JP5604999B2 - 水溶性重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水溶性重合体の製造方法に関する。
水溶性単量体を重合して得られる水溶性重合体、特に(メタ)アクリルアミド系や(メタ)アクリレート系の重合体、又はそれらの共重合体は、優れた凝集性能を有することから水の再生や汚泥処理に用いられる凝集剤等として広く使用されており、一般的に高分子量のものほど優れた凝集性能を示す傾向にある。
(メタ)アクリルアミド系や(メタ)アクリレート系の重合体等の水溶性重合体の工業的製造方法としては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、水溶液重合等のラジカル重合が挙げられる。
例えば特許文献1には、レドックス重合によりアクリル系重合体を製造するに際して、酸化剤である過硫酸塩と過酸化水素及び還元剤を特定比率で組み合わせて使用する方法が開示されている。
また、特許文献2には、開始剤、還元剤の存在下で、銅、鉄、マンガン等の金属塩を併用する方法が開示されている。
また、溶存酸素を充分に窒素置換した後、ラジカル重合開始剤を添加し、重合生成熱(自己発熱)を利用して重合反応を進行させる断熱重合や、紫外線照射を利用した光重合などを、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、水溶液重合などに組み合わせて、水溶性重合体を製造することもある。
その中でも、工業的に安価な方法としては、例えば、水溶液重合に断熱重合や光重合を組み合わせた方法が挙げられる。この方法で水溶性単量体を重合すると、高分子量の水溶性重合体が得られるため、優れた凝集性能が求められる汚泥処理等の分野で使用される(メタ)アクリルアミド系や(メタ)アクリレート系の重合体を製造するのに好適である。
ところで、水溶液重合で得られる水溶性重合体は、一般的に水を多量に含んだ塊状の含水ゲル状重合体であり、そのままで使用されることはほとんどなく、多くは乾燥された粉末状の水溶性重合体として使用される。そのため、粉末状の水溶性重合体(粉末製品)を製造するには、含水ゲル状重合体を乾燥する乾燥工程が必要である。
含水ゲル状重合体の乾燥効率を上げる方法としては、塊状の含水ゲル状重合体を回転刃付押出成形機、エクストルーダー、ペレタイザー等の装置を用いて細粒化し、細粒化したものを回転乾燥機又はバンド乾燥機等で熱風乾燥する方法が知られている。
例えば特許文献3には、水性媒体中で水溶性単量体を重合後、含水ゲル状重合体を回転刃付押出成形機で粗砕してから本体回転型ドラム式解砕機で含水ゲルを細粒状に解して乾燥を行う方法が開示されている。
特開平03−9905号公報 特開昭55−127413号公報 特開2009−249415号公報
水溶性重合体は、その製造過程で着色しやすい性質を問題点として抱えていた。水溶性重合体を製造するに際しては、製造プラントが予期せぬ装置故障による工程トラブルや、生産計画変更等の時間調整などによって、製造途中で一定期間、製造工程を停止する場合がある。このように、製造が一旦停止した後、再開するような場合には、水溶性重合体が特に着色する現象が見られていた。
水溶性重合体が着色すると、製品の外観を損なうという問題があった。従って、特に水溶性重合体を凝集剤等として用いる場合には、水溶性重合体が着色されていないことが求められていた。
特許文献1に記載の方法によれば着色のない水溶性重合体が得られるとしているが、着色防止効果は必ずしも満足するものではなかった。特に、製造が一旦停止し、再開するような場合では、充分な着色防止効果は得られなかった。
また、特許文献2に記載の方法では、得られた水溶性重合体中に金属が残留しやすく、水溶性重合体は金属特有の色に着色しやすかった。
また、特許文献3には着色に関する記載がなく着色の有無については不明であるが、例えばレドックス重合により水溶性重合体を得る場合は、レドックス系開始剤として金属塩を用いるので、金属特有の着色が懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、着色が抑制された水溶性重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、水溶性重合体は、重合反応直後の水を多量に含んだ塊状の状態(含水ゲル状重合体)のときに長時間空気に触れた場合には、含水ゲル状重合体の表層部分が着色することを突き止めた。これは、重合に用いられた金属塩や開始剤等の重合触媒が空気中の酸素によって酸化され、この酸化に起因して着色されるものと推測される。そこで、重合反応の終了直後から切断解砕を開始するまでの間、特定の酸素濃度下で含水ゲル状重合体を保存することで、水溶性重合体の着色を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水溶性重合体の製造方法は、重合反応槽を用い、水性媒体中で水溶性単量体を重合させて含水ゲル状重合体を得る重合工程と、含水ゲル状重合体を切断解砕して細粒状重合体ゲルを得る切断解砕工程と、細粒状重合体ゲルを乾燥、粉砕して粉末状の水溶性重合体を得る乾燥粉砕工程とを含む水溶性重合体の製造方法において、前記重合工程の直後から前記含水ゲル状重合体を重合反応槽外に取り出すまで、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で前記含水ゲル状重合体を1時間以上保存することを特徴とする。
ここで、断熱重合及び/又は光重合により前記含水ゲル状重合体を得ることが好ましい。
また、前記水溶性単量体が、(メタ)アクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリレート系単量体であることが好ましい。
さらに、前記重合工程の直後から前記含水ゲル状重合体を重合反応槽外に取り出すまで、100℃以下で前記含水ゲル状重合体を1時間以上保存することが好ましい。
本発明の製造方法によれば、着色が抑制された水溶性重合体を製造できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水溶性重合体の製造方法は、水性媒体中で水溶性単量体を重合させて含水ゲル状重合体を得る重合工程と、含水ゲル状重合体を切断解砕して細粒状重合体ゲルを得る切断解砕工程と、細粒状重合体ゲルを乾燥、粉砕して粉末状の水溶性重合体を得る乾燥粉砕工程とを含む方法である。
なお、水溶性単量体を重合させて得られる重合体は水溶性であるものの、水性媒体中で重合して得られる重合体は水を多量に含んだ塊状のゲル状物(含水ゲル状重合体)として存在する。この含水ゲル状重合体は、切断解砕工程及び乾燥粉砕工程を経て水が除去されることで、粉末状の水溶性重合体となる。
<重合工程>
重合工程は、水性媒体中で水溶性単量体を重合させて含水ゲル状重合体を得る工程である。本発明において重合工程とは、重合槽内の温度制御を行うことで単量体の重合反応が進行して重合度の上昇が見られる工程のことである。本発明においては、重合反応後に通常、温度制御をしながら行う熟成操作は、重合工程に含まれるものとする。
水性媒体としては、例えば純水、イオン交換水、水道水、工業用水等が挙げられる。中でも純水が好ましい。
水溶性単量体としては特に限定されないが、得られる水溶性重合体を例えば凝集剤、紙用薬剤、土壌改良剤等として用いる場合には、(メタ)アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリレート系単量体が好ましい。特に、より優れた凝集性能を有する水溶性重合体が得られる点で、アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリレート系単量体が好ましい。
水溶性単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドとメタクリルアミドの両方を示し、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を示す。
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルアクリルアミド、N,N’−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド等のN,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの塩;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸及びその塩;N−モノメチルアクリルアミド、N−モノエチルアクリルアミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリレート系単量体としては、例えば低級アルキルエステルなどが挙げられる。具体的には、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N’−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジエチルアミノプロピルアクリレート、N,N’−ジエチルアミノプロピルメタクリレート等のN,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)クリレート及びその塩;ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
本発明により得られる水溶性重合体は、上述した(メタ)アクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を主成分とする重合体であることが好ましい。
特に、水溶性単量体としてアクリルアミド系単量体を用いる場合、水溶性重合体は、重合反応中、又は重合反応後に、加水分解反応、メチロール化反応、マンニッヒ反応等の変性反応により一部が変性されたアクリルアミド系重合体であってもよい。なお、本発明の製造方法は、詳しくは後述するが、重合工程の直後から切断解砕工程の直前までの間、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で含水ゲル状重合体を保存する。変性反応が重合反応後に行われる場合は、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で行うのが好ましい。
また、水溶性重合体は、1種の水溶性単量体を単独重合させた単独重合体であってもよいし、2種以上の水溶性単量体を共重合させた共重合体であってもよい。また、(メタ)アクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリレート系単量体と、これらと共重合可能な他の水溶性単量体を共重合させた共重合体であってもよい。
他の水溶性単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等及びそれらの塩、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
水溶性単量体を重合させる際には、通常、ラジカル開始剤が用いられる。
ラジカル開始剤としては、熱や光でラジカルを発生する公知の開始剤が挙げられる。
熱でラジカルを発生させる開始剤としては、例えば過硫酸塩、過酸化水素等の無機過酸化物、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物などの酸化剤;これら酸化剤と、三級アミン、亜硫酸塩、第一鉄塩、亜二チオン酸塩等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系開始剤;前記レドックス系開始剤と前記アゾ系開始剤との併用開始剤などが挙げられる。
光でラジカルを発生させる開始剤としては、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のアセトフェノン系開始剤;ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系開始剤;前記アセトフェノン系開始剤と前記アシルフォスフィンオキサイド系開始剤との併用開始剤など挙げられる。
水溶性単量体の重合の際には、上述した重合法に、断熱重合及び/又は光重合を組み合わせるのが好ましい。断熱重合及び/又は光重合を組み合わせることで、高分子量の重合体が得られやすくなる。
重合体はその分子量が大きくなるほど凝集性能が向上する傾向にある。従って、上述した重合法に断熱重合及び/又は光重合を組み合わせて重合を行う方法は、凝集剤等の用途に用いられる水溶性重合体を製造する場合に特に好適である。
断熱重合は、上述した熱でラジカルを発生する開始剤を用いることで実施でき、光重合は、光でラジカルを発生させる開始剤を用いることで実施できる。
なお、「断熱重合」とは、重合反応系中への熱の出入りがない状態で行われる重合のことである。
また、断熱重合及び/又は光重合を組み合わせる場合には、重合開始前の水溶性単量体の水溶液の温度を15℃以下に調節するのが好ましい。重合開始前の水溶性単量体の水溶液の温度を15℃以下に調節することで、重合熱による重合反応系中の温度が高温になりすぎないため、高分子量の重合体がより得られやすくなる。
重合に用いる重合反応槽の形態は特に限定されないが、例えば断熱重合を採用する場合には釜型反応槽、光重合を採用する場合には皿状、平板型、薄層状の反応槽を例示することができる。その他、可動式ベルト上で薄層状の単量体水溶液を重合する方法であってもよい。
水溶液中の水溶性単量体の濃度は、5〜70質量%とすることが好ましく、20〜65質量%とすることがより好ましい。水溶性単量体の濃度が5質量%以上であれば、充分な生産性で含水ゲル状重合体が得られる。一方、水溶性単量体の濃度が70質量%以下であれば、含水ゲル状重合体が硬くなりにくく、以下の切断解砕工程において含水ゲル状重合体を細粒状重合体ゲルに容易に切断解砕することができる。
重合反応における水溶性単量体の水溶液のpHは、用いる水溶性単量体の組成によっても異なるが、pH2.0〜9.5とすることが好ましい。前記pHが2.0以上であれば、充分な重合速度及び重合率が得られやすく、高い生産性で良好な品質の水溶性重合体を製造できる。また、含水ゲル状重合体に後述する亜硫酸塩化合物を添加した際のSO臭気の発生を抑えることが容易になる。一方、前記pHが9.5以下であれば、特に水溶性単量体として(メタ)アクリルアミド系単量体を用いる場合に、アミド基のアルカリ加水分解によるアンモニア臭生成を抑えることが容易になり、環境が改善される。加えて、水溶性重合体の品質が向上する。
また、必要に応じて、水溶性単量体の水溶液に連鎖移動剤を添加して重合を行うこともできる。
連鎖移動剤としては、例えば亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの塩などが挙げられる。
<切断解砕工程>
本発明において切断解砕工程とは、重合工程で得られた塊状の含水ゲル状重合体を、切断機を用いて切断解砕して細粒状重合体ゲルを得る工程のことである。
切断解砕の方法としては特に制限されず、例えば切断機として回転刃付押出成形機を用いた方法などが挙げられる。
回転刃付押出成形機としては、含水ゲル状重合体を切断解砕できるものであればよく、粉末状の重合体の製造に用いられる公知の回転刃付押出成形機を用いることができる。
切断解砕工程では、後述する乾燥粉砕工程における乾燥効率を考慮すると、細粒状重合体ゲルの平均粒径が1〜13mmになるように、含水ゲル状重合体を切断解砕するのが好ましい。
細粒状重合体ゲルの平均粒径は、例えば切断解砕に用いられる回転刃付押出機の回転数を調節することで調整できる。
なお、細粒状重合体ゲルの平均粒径は、例えば電磁式篩振とう機や、ロータップ篩振とう機等を用いて測定することができる。
<乾燥粉砕工程>
乾燥粉砕工程は、切断解砕工程により得られた細粒状重合体ゲルを乾燥、粉砕して粉末状の水溶性重合体を得る工程である。
細粒状重合体ゲルの乾燥方法としては特に限定されず、例えば回転乾燥機、バンド乾燥機、流動乾燥機等の、粉末状の重合体の製造に用いられる公知の乾燥機により熱風乾燥する方法が挙げられる。この乾燥により、細粒状重合体ゲルの水分量を10%以下にすることが好ましい。
乾燥条件としては、乾燥温度50〜150℃、乾燥時間1〜8時間が好ましい。この条件であれば、細粒状重合体ゲルが容易に水分量10%以下まで乾燥される。
また、乾燥後の粉砕方法としては、粉末状の重合体の製造に用いられる公知の粉砕機を用いて粉末化する方法が挙げられる。
本発明の水溶性重合体の製造方法は、上述した重合工程の直後から切断解砕工程の直前までの間、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で含水ゲル状重合体を保存する。
含水ゲル状重合体には重合に用いたラジカル開始剤や金属塩が含まれるが、このラジカル開始剤や金属塩は切断解砕前の含水ゲル状重合体が空気に触れることで酸化されやすい。そのため、ラジカル開始剤や金属塩の酸化に起因して含水ゲル状重合体の表面部分が着色し、その結果、着色された水溶性重合体が得られる。
しかし、本発明であれば、重合工程の直後から切断解砕工程の直前までの間、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で含水ゲル状重合体を保存するので、ラジカル開始剤が酸化されるのを抑制できる。従って、含水ゲル状重合体が着色するのを防止でき、着色が抑制された水溶性重合体が得られる。
なお、切断解砕工程や乾燥粉砕工程は、含水ゲル状重合体や細粒状重合体ゲルが空気に触れた状態で行われる。しかし、切断解砕工程は、通常、所要時間が数分程度と比較的短時間であることにより、着色が起こりにくいものと考えられる。また、乾燥粉砕工程は、含水ゲル状重合体の表面部分の水分が急激に低下することで表面硬化を起こし、ゲル状重合体内部への酸素透過性が低下する上、高温となった表面硬化部分下層のゲル内部における溶存酸素濃度が低下すること、乾燥による水分低下でラジカル開始剤や金属塩の酸化状態や錯体状態が変化を起こしていることなどによって、含水ゲル状重合体のときに比較してラジカル開始剤や金属塩が酸化されにくくなるため、水溶性重合体は着色しにくくなっているものと考えられる。
従って、本発明によれば、着色を起こしやすい含水ゲル状重合体の状態で着色を極力抑制することにより、最終的に着色度を抑制した水溶性重合体(粉末製品)を取得することができる。
なお、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で含水ゲル状重合体を保存する際の、重合工程の直後から切断解砕工程の直前までの間とは、重合工程における重合槽内の温度制御を終了した時点から酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で密閉保存した含水ゲル状重合体を重合反応槽外に取り出した時点までの間のことであり、この間、重合反応槽内の温度制御は行わない。
含水ゲル状重合体を保存する際の酸素濃度は、その値が低いほど長時間の着色防止効果が得られると共に、より着色が抑制された水溶性重合体が得られる傾向にある。酸素濃度は、より優れた着色防止効果が得られる点で、0.1〜1ppmが好ましい。
含水ゲル状重合体を酸素濃度100ppm以下の雰囲気下で保存する方法としては、重合が終了した直後の重合反応槽を不活性気体で満たして密閉保存する方法、含水ゲル状重合体を不活性気体の気流下で保存する方法、ポリ塩化ビニリデン等でコーティングされ、酸素透過が抑制されたフィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、延伸ナイロン、ポリスチレン、軟質塩化ビニル等)で含水ゲル状重合体を覆い、不活性気体の雰囲気下で保存する方法などが挙げられる。
これらの中でも、操作が簡便である点で、重合が終了した直後の重合反応槽を不活性気体で満たして密閉保存する方法が好ましい。
また、重合前の水溶性単量体の水溶液に不活性気体を吹き込み、吹き込み停止後に不活性気体の雰囲気下で重合を行い、重合完了直後に重合反応槽を密閉すれば、重合が終了した直後の重合反応槽を不活性気体で満たして密閉したことになる。なお、重合反応は重合反応槽が密閉されていない状態で行われるが、通常、重合反応中は重合反応槽内の圧力の上昇を防止できるように入口に蓋をしておくため、重合反応槽に空気が侵入しにくい。よって、重合完了直後に重合反応槽を密閉することで、重合反応槽の気相部の酸素濃度を100ppm以下に維持できる。
不活性気体としては、重合反応に影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどが挙げられる。
酸素濃度100ppm以下の雰囲気下で含水ゲル状重合体を保存する際の保存温度や保存時間などの条件は以下の通りである。
保存温度は100℃以下が好ましい。保存温度が低いほど長時間の着色防止効果が得られると共に、より着色が抑制された水溶性重合体が得られる傾向にある。保存温度が100℃よりも高くなると、含水ゲル状重合体から水分が揮発しやすくなる。また、水溶性単量体として(メタ)アクリルアミド系単量体を用いる場合、含水ゲル状重合体が加熱されることによってアミド基が加水分解し、アンモニア等の揮発成分を発生しやすくなる。その結果、保存容器(重合反応槽など)の内圧が上昇して保存容器開放時には悪臭の原因となる。加えて、水溶性重合体の品質も低下しやすくなる。
ただし、保存温度が低すぎると、含水ゲル状重合体が硬くなりやすく、切断解砕工程において細粒状に切断解砕するのが困難となる場合がある。従って、着色防止、水溶性重合体の品質、及び作業性の観点から、保存温度は10〜50℃が好ましい。
保存時間は、通常、1〜170時間の範囲で実施される。保存時間が短いほど着色防止の効果が向上し、より着色が抑制された水溶性重合体が得られる傾向にある。保存時間が170時間を超えると、含水ゲル状重合体の粘度が低下したり、着色を引き起こしたりする場合がある。着色防止、水溶性重合体の品質の観点から、保存時間は1〜24時間が好ましい。
なお、本発明においては、重合工程から切断解砕工程へ移行する間の含水ゲル状重合体が、酸素濃度100ppm以下の雰囲気下にあれば着色を防止できるので、積極的に保存時間を確保する必要はない。
ところで、水溶性単量体として(メタ)アクリルアミド系単量体を用いる場合、水溶性重合体中の残存モノマーが環境負荷の原因となる場合がある。そのため、近年では、環境面を配慮して水溶性重合体中の残存モノマーの含有量を低減させる必要性が高まっている。
本発明の水溶性重合体の製造方法では、残存モノマー低減を目的として、切断解砕工程以降の工程で、以下の添加剤の添加を行う事もできる。
添加剤としては、亜硫酸アルカリ金属塩、亜硫酸水素アルカリ金属塩、ピロ亜硫酸アルカリ金属塩等の亜硫酸塩化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの水溶液等のアルカリ性物質などが挙げられる。
また、切断解砕工程では、含水ゲル状重合体に離型剤を添加してもよい。
例えば、得られる水溶性重合体を凝集剤、紙用薬剤、土壌改良剤等として用いる場合、水溶性重合体には凝集性能はもちろんのこと、水に対する溶解性(水不溶解性成分が少ないこと)も求められる。
しかし、切断解砕工程で得られる細粒状重合体ゲルは、その粘着特性から粒子同士が相互付着することがあった。粒子同士が相互付着すると、乾燥粉砕工程において細粒状重合体ゲルを乾燥させても表面のみが乾燥されて、内部が未乾燥な塊状製品ができてしまい、均一な乾燥を施すことが困難となる。また、このような塊状製品は水への溶解性が低くなりやすい。
切断解砕工程において含水ゲル状重合体に離型剤を添加すれば、細粒状重合体ゲルの粘着特性を抑え、相互付着を防止できる。従って、乾燥粉砕工程において細粒状重合体ゲルを内部まで均一に乾燥させることができ、水不溶解性成分の少ない水溶性重合体が得られやすくなる。
離型剤としては、例えば二酸化ケイ素、ポリアルキルシロキサン、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を主な構成成分とするシリコーンオイル及びシリコーン乳化液;ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸アルカリ金属塩及びその水溶液;ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール類:アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド類;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪酸エステル類;ポリアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等を主な構成成分とするカチオン系及びノニオン系の界面活性剤などが挙げられる。
これらの中でも、含水ゲル状重合体を切断解砕する際に、含水ゲル状重合体の粘着特性を抑えると共に、ゲルのほぐれが良くなり、充分に細かく切断解砕された細粒状重合体ゲルが得られやすくなる点で、シリコーン乳化液やポリアルキレングリコールが好ましい。
離型剤の添加量は、その種類によって効果が異なるため一概には限定できないが、含水ゲル状重合体が細粒状に切断解砕されたときに相互付着を抑制できる量であればよい。具体的には、含水ゲル状重合体の全体質量(100質量%)に対する離型剤の質量割合が0.005〜2質量%となるように添加することが好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。離型剤の質量割合が0.005質量%以上であれば、細粒状重合体ゲルの粘着特性を抑え、相互付着を防止することが容易となる。その結果、水不溶解性成分の少ない水溶性重合体が得られやすくなる。一方、離型剤の質量割合が2質量%以下であれば、乾燥粉砕工程後の水溶性重合体が相互付着するのを防止できる。
上述した添加剤や離型剤は、水性媒体スラリー、水溶液、乳化液等の状態で、含水ゲル状重合体に添加することができる。また、添加剤と離型剤は併用してもよい。
添加剤及び/又は離経剤の添加は上述した方法に限定されず、重合工程から切断解砕工程における任意の段階で添加してもよい。すなわち、得られる水溶性重合体の品質を低下させない範囲であれば、重合反応が完全に終了していない時点で添加してもよい。特に、離型剤は、重合反応に支障がない範囲であれば、重合前の水溶性単量体の水溶液に予め添加しておいてもよい。
また、添加剤及び/又は離経剤は、含水ゲル状重合体を切断解砕した後の細粒状重合体ゲルに添加してもよい。細粒状重合体ゲルに添加する場合、その添加方法としては、直接添加して攪拌する方法、噴霧添加して攪拌する方法など、粉末状の重合体の製造に採用される公知の添加方法が挙げられる。
以上説明したように、本発明の水溶性重合体の製造方法によれば、重合工程の直後から切断解砕工程の直前までの間、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で含水ゲル状重合体を保存するので、ラジカル開始剤や金属塩の酸化が抑制され、含水ゲル状重合体の着色を防止でき、着色が抑制された水溶性重合体を製造できる。
従って、製造プラントが予期せぬ装置故障による工程トラブルや、生産計画変更等の時間調整などによって、製造途中で一定時間、製造工程を停止するような、水溶性重合体が着色しやすいとされている状況になっても、本発明であれば水溶性重合体が着色するのを防止できる。
また、断熱重合及び/又は光重合により水溶性単量体を重合させて含水ゲル状重合体を得れば、高分子量の水溶性重合体が得られやすくなる。水溶性単量体は高分子量なものほど凝集性能が高まるので、凝集剤等の用途に用いられる水溶性重合体を製造する場合に特に好適である。
また、切断解砕工程以降の工程において含水ゲル状重合体や細粒状重合体ゲルに亜流酸塩化合物やアルカリ性物質などの添加剤を添加すれば、残存モノマーの含有量が低減された水溶性重合体が得られやすくなる。
さらに、重合前の水溶性単量体の水溶液や、切断解砕工程において含水ゲル状重合体や細粒状重合体ゲルに離型剤を添加すれば、細粒状重合体ゲルの粘着特性を抑え、相互付着を防止できる。従って、乾燥粉砕工程において細粒状重合体ゲルを内部まで均一に乾燥させることができ、水不溶解性成分の少ない水溶性重合体が得られやすくなる。
本発明により得られる水溶性重合体は、水の再生や汚泥処理に用いられる凝集剤、紙用薬剤、土壌改良剤等に適しており、処理水や紙などが着色しにくい。
特に、アクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を主成分とする水溶性重合体は、優れた凝集性能を発現できるので、上述した用途に好適である。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各例で得られた含水ゲル状重合体及び水溶性重合体の評価は、以下の物性測定により行った。
[水分量の測定]
水溶性重合体5.0gをアルミ皿に秤量後、105℃で90分間送風乾燥した。乾燥後、再度秤量して、乾燥前後の質量測定による乾燥減量法で水溶性重合体の水分量を測定した。
なお、以下の測定方法に示す重合体有効成分の質量は、水溶性重合体の質量から水分量を差し引いて求めた。
[0.5%塩粘度の測定]
4.0質量%の塩化ナトリウム水溶液に、水溶性重合体を重合体有効成分が0.5質量%となるように溶解してポリマー水溶液を調製し、B型粘度計(東機産業株式会社製)を用い、温度25℃、ロータ回転速度60rpmの条件で、5分後のポリマー水溶液の塩粘度を測定した。
[1.0%塩粘度の測定]
4.0質量%の塩化ナトリウム水溶液に、水溶性重合体を重合体有効成分が1.0質量%となるように溶解してポリマー水溶液を調製し、B型粘度計(東機産業株式会社製)を用い、温度25℃、ロータ回転速度6rpmの条件で、5分後のポリマー水溶液の塩粘度を測定した。
[着色性の評価]
切断解砕される直前の含水ゲル状重合体100g、又は水溶性重合体100gを、縦29cm横42cmの白色紙面上に置いて着色の程度を目視にて観察し、以下の評価基準にて着色性を評価した。
◎:全く着色が認められない。
○桃:極微かに淡桃色に着色している。
○青:極微かに淡青色に着色している。
△桃:明らかに淡桃色に着色している。
△青:明らかに淡青色に着色している。
×桃:激しく桃色に着色している。
×青:激しく青色に着色している。
[実施例1]
窒素導入管、攪拌機、温度計、酸素濃度計を装備した5000mL容量のステンレス製ジャケット付重合反応槽に、水溶性単量体として50質量%アクリルアミド水溶液1976g、離型剤として10質量%ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製、「PEG#6000S」)水溶液79g、及び純水1698gを順次投入、混合した。さらに、30質量%水酸化ナトリウム水溶液で溶液のpHをpH5.6に調整し、単量体反応液を調製した。
ついで、単量体反応液に窒素ガスを吹き込んで、重合反応槽の気相部を窒素ガスで置換しながら、単量体反応液の溶液温度を−1℃に調節した。窒素ガス吹き込み開始45分後、ラジカル開始剤として10質量%2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩水溶液11.4g、0.1質量%硫酸第一鉄水溶液1.0g、0.1質量%亜二チオン酸ナトリウム水溶液6.0g、0.1質量%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液11.8gを単量体反応液に順次投入した。ついで、窒素ガスの吹き込みを停止し、窒素ガス雰囲気下で重合反応を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た(重合工程)。なお、重合反応は窒素ガス雰囲気下、自己発熱による断熱重合により行った。
重合反応終了直後、重合反応槽内温度82℃の時点で、重合反応槽の入口全てを密栓し、含水ゲル状重合体の温度成り行きによる密閉保存を開始した。密閉保存中の重合反応槽内の気相部の酸素濃度は常時、0.8ppmであった。密閉保存開始24時間後、重合反応槽内温度25℃の時点で密閉保存を終了とした。
保存後の含水ゲル状重合体を、回転刃付押出成形機(南常鉄工株式会社製、「MEAT CHOPPER M−22型」)を用いて切断解砕し、平均粒径4mmの細粒状重合体ゲルを得た(切断解砕工程)。
ついで、得られた細粒状重合体ゲルを、厚さが20mm以下になるようにナイロン製の網に広げ、熱風乾燥機を用いて温度90℃で2時間熱風乾燥した。その後、ウィレー式粉砕機(三喜製作所社製、「WT−100S型」)で粉砕することで粉末状の水溶性重合体を得た(乾燥粉砕工程)。
[実施例2]
窒素導入管、攪拌機、温度計、酸素濃度計を装備した5000mL容量のステンレス製ジャケット付重合反応槽に、水溶性単量体として50質量%アクリルアミド水溶液1986g、離型剤として30質量%ポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製、「PEG#6000S」)水溶液34.8g、水溶性単量体として50質量%アクリル酸水溶液104.5g、30質量%尿素水溶液34.8g、添加剤として30質量%水酸化ナトリウム水溶液96.6g、及び純水1498gを順次投入、混合した。さらに、30質量%水酸化ナトリウム水溶液で溶液のpHをpH5.6に調整し、単量体反応液を調製した。
ついで、単量体反応液に窒素ガスを吹き込んで、重合反応槽の気相部を窒素ガスで置換しながら、単量体反応液の溶液温度を−1℃に調節した。窒素ガス吹き込み開始45分後、ラジカル開始剤として10質量%2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩水溶液11.4g、0.1質量%硫酸第一鉄水溶液1.2g、0.1質量%亜二チオン酸ナトリウム水溶液6.0g、0.1質量%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液12.6gを単量体反応液に順次投入した。ついで、窒素ガスの吹き込みを停止し、窒素ガス雰囲気下で重合反応を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た(重合工程)。なお、重合反応は窒素ガス雰囲気下、自己発熱による断熱重合により行った。
重合反応終了直後、重合反応槽内温度94℃の時点で、重合反応槽の入口全てを密栓し、含水ゲル状重合体の温度成り行きによる密閉保存を開始した。密閉保存中の重合反応槽内の気相部の酸素濃度は常時、1.0ppmであった。密閉保存開始24時間後、重合反応槽内温度25℃の時点で密閉保存を終了とした。
保存後の含水ゲル状重合体を、回転刃付押出成形機(南常鉄工株式会社製、「MEAT CHOPPER M−22型」)を用いて切断解砕し、平均粒径4mmの細粒状重合体ゲルを得た(切断解砕工程)。
ついで、得られた細粒状重合体ゲルに、添加剤として5質量%亜硫酸ナトリウム水溶液21.1gをスプレー噴霧し、混練りによる混合を行った後、厚さが20mm以下になるようにナイロン製の網に広げ、熱風乾燥機を用いて温度90℃で2時間熱風乾燥した。その後、ウィレー式粉砕機(三喜製作所社製、「WT−100S型」)で粉砕することで粉末状の水溶性重合体を得た(乾燥粉砕工程)。
[実施例3]
窒素導入管、攪拌機、温度計、酸素濃度計を装備した5000mL容量のステンレス製ジャケット付重合反応槽に、水溶性単量体として50質量%アクリルアミド水溶液1814g、80.5質量%N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩水溶液146.3g、79質量%N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル四級塩水溶液193.8g、及び純水1594gを順次投入、混合した。さらに、35質量%硫酸水溶液で溶液のpHをpH5.5に調整し、単量体反応液を調製した。
ついで、単量体反応液に窒素ガスを吹き込んで、重合反応槽の気相部を窒素ガスで置換しながら、単量体反応液の溶液温度を−1℃に調節した。窒素ガス吹き込み開始45分後、ラジカル開始剤として10質量%2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩水溶液15.2g、0.1質量%亜二チオン酸ナトリウム水溶液8.8g、0.1質量%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液34.4g、添加剤として0.5質量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液5.3gを単量体反応液に順次投入した。ついで、窒素ガスの吹き込みを停止し、窒素ガス雰囲気下で重合反応を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た(重合工程)。なお、重合反応は窒素ガス雰囲気下、自己発熱による断熱重合により行った。
重合反応終了直後、重合反応槽内温度79℃の時点で、重合反応槽の入口全てを密栓し、含水ゲル状重合体の温度成り行きによる密閉保存を開始した。密閉保存中の重合反応槽内の気相部の酸素濃度は常時、0.3ppmであった。密閉保存開始24時間後、重合反応槽内温度25℃の時点で密閉保存を終了とした。
保存後の含水ゲル状重合体を、回転刃付押出成形機(南常鉄工株式会社製、「MEAT CHOPPER M−22型」)を用いて切断解砕し、平均粒径4mmの細粒状重合体ゲルを得た(切断解砕工程)。
ついで、得られた細粒状重合体ゲルを、厚さが20mm以下になるようにナイロン製の網に広げ、熱風乾燥機を用いて温度80℃で5時間熱風乾燥した。その後、ウィレー式粉砕機(三喜製作所社製、「WT−100S型」)で粉砕することで粉末状の水溶性重合体を得た(乾燥粉砕工程)。
[実施例4]
実施例3と同様にして重合工程を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た。
重合反応終了直後、得られた含水ゲル状重合体及び酸素濃度計を、ポリ塩化ビニリデンでコーティングされたポリエチレン製の袋に入れた。さらに、袋内を窒素置換し、含水ゲル状重合体の温度成り行きによる密閉保存を開始した。密閉保存中の気相部の酸素濃度は常時、1.0ppmであった。密閉保存開始24時間後、密閉保存を終了とした。
切断解砕工程及び乾燥粉砕工程を実施例3と同様にして行い、粉末状の水溶性重合体を得た。
[実施例5]
実施例1と同様にして重合工程を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た。
重合反応終了直後、得られた含水ゲル状重合体及び酸素濃度計を、ポリ塩化ビニリデンでコーティングされたポリエチレン製の袋に入れた。さらに、袋内を窒素置換し、含水ゲル状重合体の温度成り行きによる密閉保存を開始した。密閉保存中の気相部の酸素濃度は常時、20ppmであった。密閉保存開始6時間後、密閉保存を終了とした。
切断解砕工程及び乾燥粉砕工程を実施例1と同様にして行い、粉末状の水溶性重合体を得た。
[実施例6]
実施例1と同様にして重合工程を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た。
重合反応終了直後、得られた含水ゲル状重合体及び酸素濃度計を、ポリ塩化ビニリデンでコーティングされたポリエチレン製の袋に入れた。さらに、袋内を窒素置換し、含水ゲル状重合体の温度成り行きによる密閉保存を開始した。密閉保存中の気相部の酸素濃度は常時、100ppmであった。密閉保存開始1時間後、密閉保存を終了とした。
切断解砕工程及び乾燥粉砕工程を実施例1と同様にして行い、粉末状の水溶性重合体を得た。
[比較例1]
実施例1と同様にして重合工程を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た。
得られた含水ゲル状重合体をガラス板上に広げ、室温(25℃)にて空気雰囲気下、含水ゲル状重合体の放置保存を開始した。放置保存開始24時間後、含水ゲル状重合体温度25℃の時点で放置保存を終了とした。
切断解砕工程及び乾燥粉砕工程を実施例1と同様にして行い、粉末状の水溶性重合体を得た。
[比較例2]
実施例2と同様にして重合工程を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た。
得られた含水ゲル状重合体をガラス板上に広げ、室温(25℃)にて空気雰囲気下、含水ゲル状重合体の放置保存を開始した。放置保存開始24時間後、含水ゲル状重合体温度25℃の時点で放置保存を終了とした。
切断解砕工程及び乾燥粉砕工程を実施例2と同様にして行い、粉末状の水溶性重合体を得た。
[比較例3]
実施例3と同様にして重合工程を行い、塊状の含水ゲル状重合体を得た。
得られた含水ゲル状重合体をガラス板上に広げ、室温(25℃)にて空気雰囲気下、含水ゲル状重合体の放置保存を開始した。放置保存開始24時間後、含水ゲル状重合体温度25℃の時点で放置保存を終了とした。
切断解砕工程及び乾燥粉砕工程を実施例3と同様にして行い、粉末状の水溶性重合体を得た。
各例で得られた含水ゲル状重合体について、着色性の評価を行った。また、各例で得られた水溶性重合体について、1.0%塩粘度、0.5%塩粘度、及び水分量を測定し、着色性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005604999
表1から明らかなように、実施例1〜6の場合、重合工程の直後から切断解砕工程の直前までの間、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で含水ゲル状重合体を保存することによって、含水ゲル状重合体の着色を防止できた。また、これより得られた各水溶性重合体も着色が抑制されていた。さらに、実施例1〜6で得られた水溶性重合体は、塩粘度が高く、高分子量体であることが示された。
一方、比較例1〜3の場合、重合工程の直後から切断解砕工程の直前までの間、酸素が存在する空気雰囲気下で含水ゲル状重合体を保存したため、保存後の含水ゲル状重合体はいずれも着色していた。また、これより得られた各水溶性重合体も着色していた。
本発明の水溶性重合体の製造方法によれば、着色が抑制された水溶性重合体を製造できる。従って、例えば製造プラントが予期せぬ装置故障による工程トラブルや、生産計画変更等の時間調整などによって、製造途中で一定時間、製造工程を停止するような状況になっても、水溶性重合体が着色するのを防止できる。よって、その工業的価値は大きい。

Claims (4)

  1. 重合反応槽を用い、水性媒体中で水溶性単量体を重合させて含水ゲル状重合体を得る重合工程と、含水ゲル状重合体を切断解砕して細粒状重合体ゲルを得る切断解砕工程と、細粒状重合体ゲルを乾燥、粉砕して粉末状の水溶性重合体を得る乾燥粉砕工程とを含む水溶性重合体の製造方法において、
    前記重合工程の直後から前記含水ゲル状重合体を重合反応槽外に取り出すまで、酸素濃度が100ppm以下の雰囲気下で前記含水ゲル状重合体を1時間以上保存することを特徴とする水溶性重合体の製造方法。
  2. 断熱重合及び/又は光重合により前記含水ゲル状重合体を得ることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体の製造方法。
  3. 前記水溶性単量体が、(メタ)アクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリレート系単量体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性重合体の製造方法。
  4. 前記重合工程の直後から前記含水ゲル状重合体を重合反応槽外に取り出すまで、100℃以下で前記含水ゲル状重合体を1時間以上保存することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性重合体の製造方法。
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