JP2555574B2 - 布縁倣い縫ミシン - Google Patents

布縁倣い縫ミシン

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JP2555574B2 JP61281466A JP28146686A JP2555574B2 JP 2555574 B2 JP2555574 B2 JP 2555574B2 JP 61281466 A JP61281466 A JP 61281466A JP 28146686 A JP28146686 A JP 28146686A JP 2555574 B2 JP2555574 B2 JP 2555574B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明はジグザグミシンに関するものであり、特に、
加工布の側縁(布縁と言う)から所定距離だけ隔てて縫
目線を形成する布縁倣い縫ミシンに関するものである。
従来の技術 ジグザグミシンは、縫針の横方向揺動位置を変えるこ
とによりジグザグな縫目が形成されるものである。この
ように縫針の横方向揺動位置、すなわち加工布の送り方
向に直角な方向の位置が変えられるというジグザグミシ
ンの特徴を利用すれば、布検出器を始めとする簡単な装
置の付加によって布縁倣い縫の可能なミシンを得ること
ができる。
発明が解決しようとする問題点 しかし、従来のこの種のミシンにおいては、布縁にほ
つれ糸が存在する等の理由で布縁が滑らかな直線あるい
は曲線とは言えない状態になっている場合には、縫目線
に急激な屈曲部が生じて美しい縫目線が得られないとい
う問題があった。ほつれ糸等の突出物が存在すれば、布
検出器は布縁位置が変動した場合と同様な検出信号を発
生させるため、それに基づいて縫針の位置が変えられて
しまうからである。このような現象は1本の糸が太いジ
ーンズ等の縫製を行う場合に特に顕著に現れるのである
が、その他にも例えば加工布にまち針が打たれた状態で
布縁倣い縫が行われる場合等においても発生する問題で
ある。
そこで、本願出願人は特願昭60−209564号の出願にお
いて次のような布縁倣い縫ミシンを提案した。このミシ
ンは、(a)加工布を送る布送り機構と、(b)縫針が
下端に取り付けられた針棒を上下往復運動可能に支持
し、布送り機構による布送り方向にほぼ直角な横方向揺
動運動可能にミシン機枠に配設された針棒支持枠と、
(c)加工布の布送り方向に延びる側縁を検出する発光
部および受光部を備えた布検出器と、(d)発光部から
の放射光を受光部に向かって反射するためにミシンベッ
ドの上面において縫針の落下点に近接して配置された反
射面と、(e)加工布の側縁から所定距離だけ離れた位
置を指令する針位置指令信号を前記布検出器が発する検
出信号に従って発生させる針位置指令信号発生手段と、
(f)上記針位置指令信号に応答して前記縫針の揺動位
置を制御する揺動位置制御装置とを含み、上記針位置指
令信号発生手段を、少なくとも前回の針落下時と今回の
針落下時とにおける加工布の側縁の位置の変化量が一定
値より大きい場合には、その側縁の位置の変化量より小
さい量だけ縫針の位置を変化させる針位置指令信号を発
生させるものである。このような布縁倣い縫ミシンによ
れば、加工布の側縁にほつれ糸等の突出物が存在する場
合でも、縫針の位置はそれほど敏感に変えられず、縫目
線の急激な屈曲が防止される。
本発明は上記出願に係る布縁倣い縫ミシンとは別の手
段により、ほつれ糸やまち針等があっても縫目の乱れが
少なく美しい縫目線を形成することができる布縁倣い縫
ミシンを提供することを目的として為されたものであ
る。
問題点を解決するための手段 本発明に係る布縁倣い縫ミシンは、上記の目的を達成
するために、前記(a)布送り機構,(b)針棒支持
枠,(c)布検出器,(d)反射面および(e)加工布
の側縁から所定間隔を隔てて縫目線が形成されるように
受光部の受光量に従って針棒支持枠の揺動位置を制御す
る揺動位置制御装置とを備えたジグザグミシンにおい
て、反射面を、布送り方向に平行かつミシンベッドの上
面に直角な平面で切断した断面が下方に凸の滑らかな凹
面としたものである。
ここにおいて下方に凸の滑らかな凹面とは、布送り方
向にほぼ直角な横方向に延びる水平軸線を中心とする円
筒面の一部、布送り方向に延びる水平軸線を中心とする
円環であって横断面形状が円形であるものの外周面の一
部、あるいは球面の一部等であり、それぞれ針棒支持枠
の設け方,布検出器の取り付け方に応じて使い分けられ
る。
例えば、針棒支持枠が垂直軸線まわりに揺動するよう
にミシン機枠に取り付けられ、布検出器が針棒支持枠の
揺動に関連して前記横方向に平行移動させられる場合に
は、反射面は円筒面の一部を成すものとされることが望
ましく、針棒支持枠が布送り方向に延びる水平軸線まわ
りに揺動するようにされ、布検出器がその針棒支持枠に
取り付けられて針棒支持枠と共に揺動するものである場
合には、反射面は円環の外周面の一部を成すものとされ
ることが望ましく、また、針棒支持枠が上記水平軸線ま
わりに揺動させられるものであっても垂直軸線まわりに
揺動させられるものであっても、布検出器がミシン機枠
に固定の場合には、反射面は球面の一部を成すものとさ
れることが望ましい。その理由は実施例について後に説
明する。
作用および効果 このように反射面を、その布送り方向に平行かつミシ
ンベッド上面に直角な平面で切断された断面が下方に凸
の滑らかな凹面とすれば、布送り方向の広い範囲におい
て反射された光が受光部に入光することとなり、反射面
が平面である場合に比較して布送り方向における検出範
囲が広くなる。そのため、一度に広い範囲の布縁位置を
検出することができ、糸のほつれ等があった場合にもそ
の影響が少なくて済む。反射面の布送り方向における検
出範囲が狭い場合に糸のほつれ等があれば、それらが検
出範囲中に占める割合が大きく、ほつれ等が存在しない
場合に比較して受光量が大きく変動し、縫目が急激に曲
がってしまうのに対し、布縁が布送り方向において広い
範囲で検出されれば、糸のほつれ等が検出範囲に占める
割合が小さくて済み、受光量の変化が小さくて済むので
あり、縫目線の急激な屈曲が回避されて美しい縫目線が
形成されることとなるのである。
実施例 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。
第4図は本発明の一実施例であるミシンを示す図であ
り、このミシンは、上面が平らなベッド10と、そのベッ
ド10の右端から立ち上がった脚柱部12と、その脚柱部12
の上端から片持ち状にかつベッド10にほぼ平行に延びる
上方アーム14とから成るミシン機枠16を備えている。上
方アーム14の自由端側の頭部18にはミシンモータの起
動,停止を制御する起動スイッチ20が設けられ、上方ア
ーム14には更にこのミシンによって形成可能な複数種類
の縫目模様を表す形象が表示された表示板22と、縫目模
様を選択するために操作される模様選択スイッチ24とが
設けられている。また、脚柱部12には布縁から一定の距
離を隔てて縫目線を形成する倣い縫を行うための倣い縫
スイッチ26,縫代設定操作部材28,針揺動量調節操作部材
30および送り量調節操作部材32が設けられている。
上記頭部18内には第1図に示されるようにコの字形の
ブラケット34が固定的に設けられており、このブラケッ
ト34に軸36によって針棒支持枠38が垂直な軸線のまわり
に回動可能に取り付けられている。針棒支持枠38は互に
逆向きに突き出す2対のアーム40,42を備えており、1
対のアーム40においてブラケット34に回動可能に取り付
けられている。そして、もう1対のアーム42によって針
棒44が上下方向に摺動可能に保持されており、その下端
に縫針46が固定されている。針棒44は、図示しない連結
機構によってミシンモータに連結されており、ミシンモ
ータの回転に伴って上下に往復運動させられるようにな
っている。また、針棒支持枠38にはリンク48を介して針
揺動制御モータに接続されており、このモータの駆動に
よって針棒支持枠38が軸36のまわりに回動させられるこ
とにより、縫針46にミシンベッド面上において軸36の軸
心を中心とする円弧の軌跡を描く横方向揺動運動が与え
られる。針棒支持枠38が描く円弧軌跡はその曲率半径が
比較的大きく、後述する布送り機構による加工布の送り
方向(布送り方向)に対してほぼ直角と成る。
前記針棒支持枠38の下端部には、第2図に示されるよ
うに、第一スライド50および第二スライド52を介して布
検出器54が連結されている。第一スライド50は針棒支持
枠38側に延び出すヨーク部56を備えるとともに、案内部
材としての一対のガイドロッド58によって摺動可能に支
持されている。第一スライド50は、ヨーク部56において
鉄棒支持枠38の下端部に係合させられており、両ガイド
ロッド58は前記ミシン機枠16に固定の支持体60(第1図
参照)によって前記横方向に平行な向きに支持されてい
る。したがって、針棒支持枠38が揺動させられるとき、
第一スライド50、延いては第二スライド52および布検出
器54がガイドロッド58に案内されて前記横方向に移動す
ることとなる。なお、61は支持体60に設けられた糸案内
部である。
布検出器54は、第二スライド52に固定されている。第
二スライド52には、第一スライド50により両端を支持さ
れて前記横方向に延びるガイドロッド64が摺動可能に挿
通されるとともに、ガイドロッド64と平行に支持された
ねじ軸66が螺合されている。ねじ軸66は、正逆両方向の
回転が可能な直流モータである布検出器駆動用モータ68
の出力軸に連結されており、ねじ軸66が回転させられる
とき、第二スライド52がガイドロッド64により案内され
て移動させられ、布検出器54の針棒支持枠38に対する上
記横方向の位置が変えられる。なお、布検出器駆動用モ
ータ68は、第二スライド52の位置を検出する位置検出器
70(第5図参照)を内蔵している。
布検出器54は、赤外線を放射する発光部72と、その赤
外線の反射して来たものを受光する受光部74とを備えて
いる。また、受光部72の近傍には、赤外線の通過は許容
するが、他の波長の光は遮断する光学フィルタ76(第1
図参照)が設けられている。
前記ミシンベッド10の上面には第1図に示されるよう
に開口が形成されており、この開口が針板78によって塞
がれている。この針板78には複数のスロットが形成さ
れ、このスロットから送り歯80が上方へ突出可能とされ
ている。この送り歯80は図示しない送り制御モータによ
って送り運動を与えられ、第3図に示される布押さえ足
82と共同して加工布84を前後方向に送るものである。送
り歯80,布押さえ足82,送り制御モータ等により布送り機
構が構成されているのであり、前記針棒支持枠38の揺動
方向は、この加工布84の送り方向に対してほぼ直角にな
るのである。
針板78には更に針孔86が形成されている。針孔86は縫
針46が描く円弧軌跡と同じ円弧を成すように形成されて
おり、この針孔86に隣接する位置に反射面88が形成され
ている。反射面88は、布検出器54の発光部72から放射さ
れた赤外線を受光部74に向かって反射するものであり、
第3図に示されるように、その布送り方向に平行かつミ
シンベッドの上面に直角な平面における切断面が、前記
横方向に延び、かつ、布検出器54を通る水平軸線を中心
とする円筒部材の表面の一部を成し、下方に凸の滑らか
な凹面とされている。
検出領域の多くが加工布84によって覆われれば、受光
部74の受光量が減少するわけであり、受光部74は検出領
域の加工布84によって覆われない部分の面積の変動に対
応した検出信号を出力する。なお、反射面88は針孔86に
極く近接して設けられているのに対し、布検出器54は針
棒支持枠38等との干渉を避けて一定距離前側(オペレー
タ側)に外れた位置に設けられている。そして、布検出
器54は第3図に示されるように垂直軸線に対して小角度
後ろ側(オペレータとは反対側)に傾斜させられてお
り、布縁位置を縫針46の中心線と針板66の上面との交点
(以下、針落下点という)の近傍において検出し得ると
ともに、発光部72から放射された光が正確に受光部74に
入光するようになっている。
第5図に本ミシンの制御装置を示す。この制御装置は
各種電子回路の集合として示されているが、主要部をマ
イクロコンピュータで構成することも可能である。前記
模様選択スイッチ24が第5図の左端に示されている。こ
の模様選択スイッチ24には模様選択カウンタ100が接続
されており、模様選択スイッチ24の操作回数をカウント
し、そのカウント内容を縫目信号発生装置102に供給す
る。また、図示はしないが、このカウント内容に応じ
て、前記表示板22に配設されている複数の発光ダイオー
ドが発光させられ、選択された縫目模様が示されるよう
になっている。
縫目信号発生装置102は形成可能な縫目模様の各々に
対応した縫目信号を記憶しており、それらの縫目信号中
から模様選択カウンタ100のカウント内容に対応した縫
目信号を選択して送り演算装置104と針揺動演算装置106
とに供給するようになっている。この信号の供給は縫目
信号発生装置102に接続されたタイミングパルス発生器1
08からアナログスイッチ110を介してタイミングパルス
が供給される毎に行われる。タイミングパルス発生器10
8は、第6図に示されるように、図示しないミシン主軸
の回転に同期して針揺動制御用の第一のタイミングパル
スBCPと送り制御用の第二のタイミングパルスFCPとを発
生するように構成されており、縫目信号発生装置102
は、第一のタイミングパルスBCPの供給に対応して縫目
信号中の針揺動信号HDSを針揺動演算装置106に供給し、
第二のタイミングパルスFCPの供給に対応して縫目信号
中の送り信号NDSを送り演算装置104に供給するのであ
る。
上記送り演算装置104には送り量調節装置112が、ま
た、針揺動演算装置106には針揺動調節装置114がそれぞ
れ接続されている。送り量調節装置112は、前記送り量
調節操作部材32の操作に応じて変化する送り調節信号を
送り演算装置104に供給する。送り演算装置104は、この
送り調節信号と前記縫目信号発生装置102から供給され
る送り信号との掛算を行って、縫目信号発生装置102か
ら供給された送り信号に送り量調節操作部材32の操作位
置に対応した変更を加えた上で、送り駆動制御回路116
に供給する。針揺動演算装置106も同様にして縫目信号
発生装置102から供給される針揺動データに針揺動量調
節操作部材30の位置に対応した変更を加えた上、マルチ
プレクサ118を経て針揺動制御回路120に供給する。その
結果、送り駆動制御回路116が送り制御モータ122を、ま
た、針揺動制御回路120が針揺動制御モータ124をそれぞ
れ制御し、縫針46の揺動および送り歯80による布送り量
が適宜制御されて、模様選択スイッチ24の操作によって
選択された縫目模様が形成されることとなる。
前記倣い縫スイッチ26はアナログスイッチ110および
マルチプレクサ118に接続されており、このスイッチ26
がオン状態とされることにより、アナログスイッチ110
は、第一のタイミングパルスBCPに代えて第二のタイミ
ングパルスFCPを縫目信号発生装置102に供給する状態に
切り換えられるとともに、マルチプレクサ118は針揺動
演算装置106の出力信号ではなく倣い縫制御装置130の出
力信号(以下、針揺動倣い信号HSと言う)を針揺動制御
回路120に供給する状態に切り換えられる。
倣い縫制御装置130は前記布検出器54および基準信号
を出力する可変抵抗器132を備えている。この可変抵抗
器132の摺動子は、ミシン機枠16に設けられた前記縫代
設定操作部材28の操作によって移動させられる。布検出
器54と可変抵抗器132との出力信号は比較器134に供給さ
れ、比較器134はこれら両信号の差に対応した大きさの
信号をA/D変換器136を経て加算器138に供給する。この
加算器138は前記タイミングパルス発生器108から発せら
れる第一のタイミングパルスBCPがオア回路142を経て供
給される毎にA/D変換器136とラッチ140とからのデジタ
ル信号を加算するようになっている。また、同じ第一の
タイミングパルスBCPがモノマルチバイブレータ144によ
り遅延されてラッチ140に供給され、ラッチ140はこの遅
延されたタイミングパルスに応じて加算器138の内容を
保持するようになっている。
なお、タイミングパルス発生器108が第一および第二
のタイミングパルスBCP,FCPを発するのは、ミシンモー
タが回転して針棒44が上下往復運動している場合のみで
あるため、ミシンが停止している状態においても第一の
タイミングパルスBCPに類似のクロックパルスが加算器1
38およびラッチ140に供給されるように、クロックパル
ス発生器146が設けられている。ただし、クロックパル
ス発生器146から出力されたクロックパルスは、針上信
号およびミシン停止信号が入力されている状態において
のみアンド回路148およびオア回路142を経て加算器138
およびラッチ140に供給されるようになっている。
さらに、前記縫目信号発生装置102から発せられる針
揺動信号HDSは布検出器駆動装置150に供給され、布検出
器54の移動を制御するようにされている。縫目信号発生
装置102から供給される針揺動信号HDSは、D/A変換器152
により変換されるとともに、分圧器154により1/3に分圧
されて布検出器移動信号KASに変換された後、比較器156
に供給されるようになっている。比較器156にはまた、
前記布検出器駆動用モータ68に設けられた位置検出器70
が接続されており、その位置検出器70から布検出器位置
信号KESが供給されるようになっている。比較器156は、
供給される両信号KES,KASの差に対応したレベルの差分
信号MSをモータ制御回路158に供給し、モータ制御回路1
58は差分信号MSが零となるようにモータ68の駆動を制御
する。
上記のように構成されたミシンによって例えばジグザ
グ縫目による倣い縫を行う場合には、オペレータはまず
加工布84を縫目線形成希望位置が針孔86のほぼ中央とな
るようにセットする。そして、倣い縫スイッチ26を操作
すればアナログスイッチ110は第一のタイミングパルスB
CPに代えて第二のタイミングパルスFCPを縫目信号発生
装置102に供給する状態に切り換えられ、さらに、マル
チプレクサ118が倣い縫制御装置130の針揺動倣い信号HS
を針揺動制御回路120に供給する状態に切り換えられ
る。
次に、作業者が模様選択スイッチ24の操作によってジ
グザグ縫目を選択すると、模様選択カウンタ100はジグ
ザグ縫目に対応するカウント内容を縫目信号発生装置10
2に供給する。この状態においてはミシンはまだ起動さ
れていないので、タイミングパルス発生器108からは第
一および第二のタイミングパルスBCP,FCPが発生してお
らず、縫目信号発生装置102は、第7図および第8図に
示されるような針目番号(0)の針位置座標(0)に対
応する針揺動信号HDSを出力し、これがD/A変換器152お
よび分圧器154を経て検出器移動信号KASとして比較器15
6に供給される。比較器156は、この信号KASと実際の布
検出器54の位置に対応する位置検出器70の検出位置信号
KESとを比較し、両信号KAS,KESの差に対応したレベルの
差分信号MSをモータ制御回路158に供給し、モータ制御
回路158は差分信号MSのレベルが零レベルになるように
布検出器駆動用モータ68の駆動を制御し、布検出器54は
針棒44および針棒支持枠38に対して検出器移動信号KAS
により指示された位置まで相対的に移動させられる。そ
の結果、位置検出器70の検出位置信号KESが検出器移動
信号KASに一致し、モータ68の駆動が停止される。
この状態において布検出器54は検出領域の加工布84に
覆われていない部分の面積に対応する検出信号KSを比較
器134に供給する。比較器134はこの検出信号KSと可変抵
抗器132からの基準信号とを比較し、両者の差に対応し
た大きさの誤差信号をA/D変換器136へ出力し、A/D変換
器136はこれをデジタル信号に変換して加算器138に供給
する。
この状態においてはミシンはまだ起動されておらず、
縫針46は上昇位置にあるため、クロックパルス発生器14
6からのクロックパルスがアンド回路148およびオア回路
142を経て加算器138に供給される。このクロックパルス
を受けた加算器138は、A/D変換器136からのデジタル信
号とラッチ140からのデジタル信号との加算を行う。こ
の加算結果が一定微小時間後にラッチ140に保持され
る。
ラッチ140に保持されたデジタル信号は針揺動倣い信
号HSとしてマルチプレクサ118を経て針揺動制御回路120
に供給され、針揺動制御回路120はこの針揺動倣い信号H
Sに基づく方向および量だけ針揺動制御モータ124を駆動
する。その結果、針棒支持枠38が揺動させられ、それに
連結されている布検出器54の位置が、その布検出器54か
らの検出信号が可変抵抗器132からの基準信号と等しく
なるように変更される。
1個のクロックパルスが加算器138に供給されてから
次のクロックパルスが加算器138に加えられるまでの間
に、検出信号が基準信号と一致するまで針棒支持枠38が
揺動させられ得るように、クロックパルスの周期が定め
られているのである。上記のように検出信号が基準信号
と等しくなる結果、比較器134からの誤差信号が零とな
り、A/D変換器136から加算器138に供給されるデジタル
信号も零となる。そのため次のクロックパルスに応じて
加算器138が加算を行っても、その結果はラッチ140に保
持されているデジタル信号と変わらず、一定短時間後に
それまでと同じデジタル信号がラッチ140に保持される
こととなる。結局、マルチプレクサ118を経て針揺動制
御回路120に供給される針位置制御信号も変わらず、針
揺動制御モータ124および針棒支持枠38が静止状態に保
たれる。
上記のようにして針棒支持枠38の位置が変えられれば
当然縫針46の横方向位置も変えられ、その縫針46の落下
点の位置は可変抵抗器132からの基準信号の大きさに対
応した位置となる。この位置が希望の位置でない場合に
は、オペレータは縫代設定操作部材2を操作して可変抵
抗器132からの基準信号を変える。するとその変更され
た基準信号に対して前述の場合と同様な作動が繰り返さ
れ、針棒支持枠38の位置が変えられて縫針46の落下点が
変わる。この位置が所望の位置となったとき、オペレー
タは縫代設定操作部材28の操作を止める。この操作によ
って例えば、縫針46は第9図に示される針位置座標
(5)に相当するT0に位置し、受光部74は位置ST0に位
置しているものとする。ここで、オペレータが起動スイ
ッチ20を操作してミシンを起動させると、縫針46が下降
して針位置T0に第一針目の縫目が形成される。
縫針46の下降に伴って第二のタイミングパルスFCPが
発生し、そのパルスFCPに応答して縫目信号発生装置102
は針目番号(1)の縫目信号を発生し、その縫目信号中
の針位置座標(15)に対応する針揺動信号HDSは、D/A変
換器152および分圧器154を経てその針揺動信号HDSの値
に対して1/3のレベルの検出器移動信号KASに変換されて
比較器156に供給される。このとき、位置検出器70の検
出位置信号KESのレベルは針位置座標(0)に対応する
レベルであるため、比較器156はその供給される両信号K
ES,KASの差に対応した差分信号MSをモータ制御回路158
に供給し、モータ制御回路158は差分信号MSのレベルが
零レベルになるようにモータ68を制御する。モータ68の
駆動によってねじ軸66が回転し、布検出器54が横方向に
移動する。その結果、受光部74は針目番号(1)の針位
置座標(15)の1/3の座標(5)に対応する位置SB0に移
動する。
受光部74の移動によって受光量が減少するため、倣い
縫制御装置130は第一のタイミングパルスBCPが発生する
と、受光部74の受光量を増加させるような針揺動倣い信
号HSをマルチプレクサ118を経て針揺動制御回路120に供
給し、針揺動制御回路120はその針揺動倣い信号HSに従
って針揺動制御モータ124を制御し、この針揺動制御モ
ータ124の駆動によって針棒支持枠38が揺動させられる
とともに針棒44が揺動させられる。針棒44の揺動に伴っ
て第一スライド50が横方向に平行移動させられ、受光部
74は位置ST1に、縫針46は位置T1に移動し、その位置T1
に縫目が形成される。この際、送り方向および送り量は
縫目信号発生装置102から供給される送り信号NDSと送り
量調節装置112から供給される送り調節信号とによって
決まることは通常の縫製作業におけると同様である。
そして、前述したように縫針46が下降して第二のタイ
ミングパルスFCPが発生すると縫目信号発生装置102はそ
のパルスFCPに従って針目番号(2)の針位置座標
(0)に対応する針揺動信号NDSを発生して布検出器駆
動装置150に供給する。布検出器駆動装置150は前述した
動作を行い、受光部74が位置SB1に移動する。
受光部74の移動によって受光量が増加するため、倣い
縫制御装置130は第一のタイミングパルスBCPが発生する
と、受光部74の受光量を減少させるような針揺動倣い信
号HSをマルチプレクサ118を経て針揺動制御回路120に供
給し、針揺動制御回路120はその針揺動倣い信号HSに従
って針揺動制御モータ124を制御し、この針揺動制御モ
ータ124の駆動によって針棒44が揺動させられる。この
揺動に伴って縫針46は位置T2に、受光部74は位置ST2
移動させられ、位置T2に縫目が形成される。
なお、縫目線の形成に伴って加工布84が送られ、この
過程においてオペレータは布縁の位置をほぼ一定に保つ
のであるが、これがある程度は変動することを避け得な
い場合や、加工布の布縁自体が湾曲している場合があ
る。第9図に示されるように加工布84の布縁は位置T2
りオペレータ側の部分が湾曲しているが、このように布
縁が曲がった場合には、布検出器54からの検出信号が可
変抵抗器132からの基準信号と一致しなくなるため比較
器134からの誤差信号が零ではなくなり、これがA/D変換
器136においてデジタル信号に変換されて加算器138に供
給される。ミシンの作動中においてはタイミングパルス
発生器108からのタイミングパルスがオア回路142を経て
加算器138に供給されるため、このタイミングパルスの
入力に応じて加算器138がラッチ140からのデジタル信号
とA/D変換器136からのデジタル信号とを加算する。以後
はミシンの停止状態において説明したのと同様の作動が
行われて、布検出器54からの検出信号が可変抵抗器132
からの基準信号と一致するように針棒支持枠38および縫
針46の位置が変えられ、ジグザグの縫目は常に布縁から
ほぼ一定の距離の位置に形成されることとなる。
以上のような動作の繰返しにより、受光部74と縫針46
との間の間隔は針揺動信号HDSに従って第9図に示され
るように間隔l1と間隔l2とに交互に繰り返し変更され、
また、受光部74の位置ST0,ST1,・・・STnは針揺動倣い
信号HSに従って布縁に沿って移動し、布縁に沿ってジグ
ザグ縫目が形成されることとなる。
また、本実施例においては、反射面88が、布送り方向
にほぼ直角な方向に延び、かつ、布検出器54を通る水平
軸線を中心とする円筒面の一部を成すように形成されて
いるため、発光部72から布送り方向において広い範囲に
わたって放射された光が受光部74に向かって反射され、
加工布84の布縁は布送り方向の広い範囲にわたって検出
されることとなる。したがって、糸のほつれがあった
り、まち針が打たれている場合にも、それらが受光部74
の受光量を減少させる割合が少なくて済み、縫目線が急
激に屈曲させられることが回避される。
さらに、本実施例においては、布検出器54を支持する
第一スライド50がガイドロッド58により案内されて横方
向の平行移動が可能とされているため、布検出器54の横
方向の移動に伴って布送り方向の位置がずれることがな
く、検出誤差の発生が回避される。
なお、上記実施例においては、反射面88は布検出器54
を通り、かつ、水平な軸線を中心とする円筒面の一部を
成すものとされていたが、針棒支持枠が布送り方向に延
びる水平軸線まわりに揺動させられるものであり、か
つ、布検出器がその針棒支持枠に取り付けられて一体的
に揺動するものである場合には、反射面を布送り方向の
みならず横方向にも湾曲されることが望ましい。すなわ
ち、布検出器54を通る横方向の直線を中心とする円を針
棒支持枠の揺動中心線を中心として回転させたときの軌
跡である円環の外周面の一部を為すように形成すること
となるのである。このようにすれば、布縁の位置が大き
く変動し、縫針がそれに追従するのに伴って受光部の向
きが変わっても布検出器による布縁位置の検出には影響
がなく、布縁位置の変動が大きい場合にも縫目線は布縁
から正確に一定距離の位置に形成され得ることとなるの
である。また、布送り方向の断面形状は下方に凸の滑ら
かな凹面であり、布縁は布送り方向の広い範囲にわたっ
て検出されることとなって、糸のほつれ等に起因する縫
目線の屈曲が防止される。
さらに、針棒支持枠が水平軸線まわりに揺動させられ
るものであっても、垂直軸線まわりに揺動させられるも
のであっても、布検出器がミシン機枠に固定される場合
には、反射面は球面の一部を成すものとすることが望ま
しい。この場合、発光部と受光部とが前記横方向におい
て小距離離れて設けられる場合には、球面はそれら発光
部と受光部との横方向における中間点を中心とするもの
とされ、発光部と受光部とが同心状に設けられる場合に
は、両部の中心を中心とするものとされる。このような
球面はいずれの部分を垂直面によって切断しても、その
切断面は下方に凸の滑らかな凹面となるのであり、布送
り方向および横方向のいずれの方向においても発光部か
らの放射光が受光部に向かって反射される範囲、すなわ
ち検出範囲が広くなる。したがって、布検出器をミシン
機枠に取り付け、固定とした場合に反射面を平面とすれ
ば、布縁位置が大きく変動した際には布検出器の検出範
囲から外れてしまう恐れがあるのであるが、上記のよう
に横方向における布縁検出範囲が広くなることにより、
布縁位置が大きく変動してもその位置が検出され得るこ
ととなる。また、布送り方向における検出範囲が広くな
ることにより、ほつれ糸等の影響が少なくて済む。
なお、以上詳記した実施例においては布検出器54が布
検出器駆動装置150によって横方向に移動させられるこ
とにより、ジグザグ縫目の倣い縫が行われるようになっ
ていたが、倣い縫を直線縫のみで行えばよい場合には、
布検出器駆動装置150を省略することができる。この場
合、ねじ軸66を手動操作して布検出器の横方向位置を変
えることにより、縫針と布検出器との相対位置を変える
ことができ、したがって、縫代設定操作部材28および可
変抵抗器132に変えて縫代設定手段として利用すること
ができる。
さらに、本願出願人の出願である特願昭61−63085号
の明細書に記載されているように、布検出器がミシン機
枠に対して横方向に移動させられる形式のミシンに本発
明を適用することも可能である。このミシンは、加工布
がベッド上にセットされたとき、まず布検出器の出力信
号レベルが予め定められた大きさ(例えば50%)となる
位置へ布検出器がサーボモータにより移動させられ、以
後は布検出器が固定されて、布縁の移動に伴う布検出器
の出力レベルの変動に従って針棒支持枠が移動させら
れ、布縁倣い縫が行われるものである。
その他、布検出器54や倣い縫制御装置130,布検出器駆
動装置150の構成を変更し、あるいはジグザグミシン全
体の構成を変更するなど、当業者の知識に基づいて種々
の変形,改良を施した態様で本発明を実施することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例である布縁倣い縫ミシンの頭
部をそのカバーを外した状態で示す斜視図である。第2
図は上記ミシンにおいて布検出器を移動させる機構を示
す斜視図である。第3図は上記ミシンの頭部をそのカバ
ーを外した状態で示す側面図である。第4図は上記ミシ
ンの外観を概略的に示す斜視図である。第5図は上記ミ
シンの制御回路を示すブロック図である。第6図は縫針
の上下動とタイミングパルスの発生タイミングとの関係
を示すタイミングチャートであり、第7図は上記ミシン
によって形成されるジグザグ縫目における針目番号と針
位置座標との関係を示す図である。第8図は上記ジグザ
ク縫目の形成状態を示す図であり、第9図はそのジグザ
グ縫目が加工布に形成される際の縫針および布検出器の
受光部の移動を示す図である。 10:ベッド、16:ミシン機枠 26:倣い縫スイッチ、38:針棒支持枠 46:縫針、54:布検出器 58:ガイドロッド、72:発光部 74:受光部、80:送り歯 82:布押さえ足、84:加工布 88:反射面、130:倣い縫制御装置 150:布検出器駆動装置

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加工布を送る布送り機構と、 縫針が下端に取り付けられた針棒を上下往復運動可能に
    支持し、前記布送り機構による布送り方向にほぼ直角な
    横方向揺動運動可能にミシン機枠に配設された針棒支持
    枠と、 前記加工布の布送り方向に延びる側縁を検出する発光部
    および受光部を備えた布検出器と、 前記発光部からの放射光を前記受光部に向かって反射す
    るためにミシンベッドの上面において前記縫針の落下点
    に近接して配置された反射面と、 前記加工布の側縁から所定間隔を隔てて縫目線が形成さ
    れるように前記受光部の受光量に従って前記針棒支持枠
    の揺動位置を制御する揺動位置制御装置と を備えたジグザグミシンにおいて、 前記反射面が、前記布送り方向に平行かつミシンベッド
    の上面に直角な平面で切断された断面の形状が下方に凸
    の滑らかな形状となる凹面とされていることを特徴とす
    る布縁倣い縫ミシン。
  2. 【請求項2】前記布検出器が前記針棒支持枠にその針棒
    支持枠の揺動と関連して移動し得るように連結されると
    ともに、その移動を前記ミシン機枠に前記横方向に沿っ
    て固設された案内部材により案内される特許請求の範囲
    第1項記載の布縁倣い縫ミシン。
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