JP2549890B2 - ビス(トリクロロメチル)ジフェニルエーテルの製法 - Google Patents

ビス(トリクロロメチル)ジフェニルエーテルの製法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ビス(トリクロロメチル)ジフェニルエー
テルを高純度で製造する方法に関する。
ビス(トリクロロメチル)ジフェニルエーテルは非常
に反応性に富むトリクロロメチル基を有し、例えばこれ
より容易に誘導できるジカルボン酸は耐熱性樹脂あるい
は高分子液晶の原料として非常に有用な化合物である。
(従来の技術) メチル置換基を有する芳香族化合物の側鎖はラジカル
反応開始剤の添加又は光照射等によるラジカル反応によ
って選択的に塩素化されることはよく知られているが、
活性なベンゼン環を有する分子の側鎖塩素化反応では副
反応も多く、側鎖のみを高選択的に塩素化することは非
常に困難であることも知られている。
従来ビス(トリクロロメチル)ジフェニルエーテルの
製造法としては次のような方法が知られている。
(1)米国特許 第3376350号 ジフェニルエーテルをクロロメチル化してビス(クロ
ロメチル)ジフェニルエーテルとした後、四塩化炭素中
太陽灯照射下で塩素化を行う方法。
(2)ソビエト特許 第245061号 ジメチルジフェニルエーテルに五塩化燐を添加し、11
0〜250℃で紫外線を照射しながら塩素化を行う方法。
(3)ソビエト特許 第273186号 ジメチルジフェニルエーテルに脂肪族ニトロエステル
添加し高温に加熱して塩素化を行う方法。
また、ビス(トリクロロメチル)ジフェニルエーテル
の製造を目的とするものではないが、ジメチルジフェニ
ルエーテルの側鎖塩素化に際してラジカル反応開始剤を
用いる従来法として以下のものが知られている。
(4)特開昭55−89237号 ジメチルジフェニルエーテルを含窒素化合物及び含硫
黄化合物とラジカル反応開始剤の共存下で塩素化して主
としてジクロロメチル側鎖を有する化合物を得る方法。
(5)特開昭56−125326号 ジメチルジフェニルエーテルを含硫黄化合物とラジカ
ル反応開始剤の共存下で塩素化して主としてジクロロメ
チル側鎖を有する化合物を得る方法。
(発明が解決しようとする課題) 上記(1),(2)の反応初期から紫外線を照射する
方法及び(3)の高温塩素化を行う方法のいずれも得ら
れるビス(トリクロロメチル)ジフェニルエーテルは黒
色のタール状副生物で著しく汚染されている。これは分
子内のエーテル結合によって活性化されたベンゼン環に
より引き起こされる副反応(例えば脱塩化水素によるタ
ール状オリゴマー生成、核塩素化、環化反応等)に起因
するものと考えられる。上記従来の光塩素化法の場合、
反応開始当初からタール状副生物の生成により反応液が
着色するため反応が進行すると共に光の透過が悪くな
り、反応速度の減少、暗黒反応による副生物の増加、最
悪の場合には反応を完結することができないという事態
が生じた。従って、従来法では反応液中の原料ジメチル
ジフェニルエーテルの濃度はできるだけ小さい領域で行
わねばならないという制約があったが、しかしそれでも
なお上記現象を完全に抑えることはできなかった。しか
もこれらの方法によって得られた反応液からビス(トリ
クロロメチル)ジフェニルエーテルを得るためには蒸留
あるいは最結晶などの精製の手段が不可欠である。
また、従来法の上記(4),(5)の方法は、主とし
てジクロロメチル側鎖を有する化合物の製造を目的とす
るものであるが、このような第三物質を添加する方法は
生成物中にこれらが残存し、これを分離除去せねばなら
ないという問題が残っている。
一方、上記含窒素化合物や含硫黄化合物の如き第三物
質を共存させずにラジカル反応開始剤のみによって側鎖
塩素化する方法も考えられるが、この方法は、反応を完
結させるために長時間を要するという難点がある。ま
た、この方法は反応後期における反応速度の急激な低下
をラジカル反応開始剤の逐次添加によって補わねばなら
ないといった煩わしさがあるし、この大量に添加したラ
ジカル反応開始剤を分離除去せねばならないといった精
製処理上の問題もある。
一般にビス(トリクロロメチル)ジフェニルエーテル
は、(i)沸点が高く、熱に対して不安定である、(i
i)融点は低く、有機溶媒には易溶である、(iii)求核
性を有する化合物と容易に反応する、等の性質が知られ
ており、上記従来法によって得られた反応液を通常の精
製法、例えば蒸留を行うと、上記(i)の性質のため蒸
留中熱分解を起こしたり、また再結晶による精製を行う
には、上記(ii),(iii)のため使用可能な溶媒が限
定されるなど、精製に大きな損失を伴うことは避けられ
なかった。また上記従来法(1)〜(3)の場合反応液
はタール状副生物のために過が困難であるなど操作上
の不利もあった。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、ビス(トリクロロメチル)ジフェニル
エーテルの製造法において、反応後反応液を蒸留もしく
は再結晶などの精製工程を加えることなく、減圧濃縮等
の簡便な操作のみで高純度な目的物を得るためには、上
記副反応を最小限に抑えることが工業生産上重要である
と考え、タール状副生物、更には核置換塩素化物を如何
に抑えるかに主眼をおいて鋭意検討を行った。
その結果、ラジカル反応開始剤存在下での塩素化はタ
ール状副生物の生成を抑えうること、更に側鎖に塩素が
ある程度導入されたジメチルジフェニルエーテルの塩素
化物は、核塩素化に対して殆んど不活性であるとの知見
を基にして本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(I) (但し、上記(I)式中メチル基はメタ位又はパラ位に
位置する) で表わされる化合物を塩素化するに際し、反応初期にお
いてラジカル反応開始剤を含む上記化合物の全仕込量に
対して重量で8〜50倍量の不活性溶媒中に上記(I)式
化合物と塩素とを(I)式化合物に対して塩素を2〜4.
5倍モルの割合で同時に導入して塩素化を行い、次いで
塩素のみを導入して塩素化を行うことを特徴とする一般
式(II) (但し、上記(II)式中トリクロロメチル基はメタ位又
はパラ位に位置する) で表わされるビス(トリクロロメチル)ジフェニルエー
テルの高選択的製法である。更に、また本発明は上記式
(I)化合物を塩素化するに際し、反応初期においてラ
ジカル反応開始剤を含む上記化合物の全仕込量に対して
重量で8〜50倍量の不活性溶媒中に上記(I)式化合物
と塩素とを(I)式化合物に対して塩素を2〜4.5倍モ
ルの割合で同時に導入して塩素化を行い、次いで塩素の
みを導入して(I)式化合物の側鎖メチル基の塩素化率
が70〜90%まで塩素化する工程と光照射下に塩素を導入
して塩素化を完結する工程によって行うことを特徴とす
る一般式(II) (但し、上記(II)式中トリクロロメチル基はメタ位又
はパラ位に位置する) で表わされるビス(トリクロロメチル)ジフェニルエー
テルの高選択的製法である。
本発明において原料となる一般式(I)で表わされる
ジメチルジフェニルエーテルは非常に活性なベンゼン環
を有しており、分子状塩素を接触させただけで容易に核
塩素化される。従って、分子状塩素とジメチルジフェニ
ルエーテルとの接触時間を可能な限り少なくすることが
核塩素化を抑える点で重要である。ラジカル反応開始剤
の存在下でジメチルジフェニルエーテル溶液に塩素を導
入するという既知の方法によると、反応初期は分子状塩
素によって最も核置換を受け易いジメチルジフェニルエ
ーテルが導入される塩素に対して大過剰に存在している
ことになる。従って、このような気−液二相反応では、
導入された塩素ガスがそのまま過剰に存在するジメチル
ジフェニルエーテルと反応して核塩素化を避けることが
できない。
本発明者らの実験によると、塩素ラジカルによる側鎖
メチル基の塩素化は分子状塩素による核塩素化より、よ
り速やかに進行し、かつ都合のよいことに、側鎖メチル
基に塩素が導入されるとその電子的効果によりジフェニ
ルエーテルのベンゼン環は分子状塩素に対して殆ど不活
性になり核塩素化し難く、また光照射によるタール状副
生物が生成し難くなることが分かった。そこで本発明の
如く、ラジカル反応開始剤を溶解した不活性溶媒中にジ
メチルジフェニルエーテルと塩素とを同時に導入して塩
素化を行ったところ、同時に導入されたジメチルジフェ
ニルエーテルは塩素ラジカルによって速やかに側鎖塩素
化された核塩素化物の副生は従来の方法より大幅に抑制
されることが確認された。また、ラジカル反応開始剤を
含む不活性溶媒中で原料を同時導入して塩素化するとい
う比較的穏和な条件下では、従来法の致命的欠点ともい
うべきタール状副生物の生成はほぼ完全に抑えられるこ
とも分かった。
更に、本発明においては、上記ラジカル反応開始剤の
存在下で原料化合物と塩素とを同時導入する工程の後、
反応終期において光照射下での塩素化により反応を完結
せしめれば最小のラジカル反応開始剤でもって最短の反
応時間で反応を遂行することができるという利点も見出
された。この方法は光照射なしで反応を完結せしめる方
法に比べて反応時間が著しく少なくてすみ、しかも得ら
れた目的物は高純度であり、該置換塩素化物などの不純
物も極端に少ないビス(トリクロロメチル)ジフェニル
エーテルであることが分かった。
塩素化反応によって得られた生成物中に残存するラジ
カル反応開始剤の分解物は、本発明の目的物であるビス
(トリクロロメチル)ジフェニルエーテルとの間に非常
に大きな沸点差があるので、反応後精留を行うまでもな
く、単なる減圧濃縮だけで容易に反応混合物から除去す
ることができる。
本発明に用いられる原料化合物の(I)式化合物の具
体例としては、3,3′−ジメチルジフェニルエーテル、
3,4′−ジメチルジフェニルエーテル及び4,4′−ジメチ
ルジフェニルエーテル等の前記(I)式中メチル基がメ
タ位又はパラ位に位置する化合物である。
本発明に用いられる不活性溶媒としては、例えば四塩
化炭素,モノクロロベンゼン,ジクロロベンゼン等の塩
素化に対して不活性なものが挙げられる。
原料ジメチルジフェニルエーテルの全仕込量に対して
使用する溶媒が少なすぎると、反応に際して反応液の粘
度の上昇、塩素溶解速度の減少等の影響によって核塩素
化副反応が起こり易い状況となり目的物の純度は低下す
る。また多すぎると、純度的には良好なものが得られて
も、大量の溶媒を回収して循環させる必要が生じるので
工業的には返って不利である。従って溶媒の使用量は、
原料ジメチルジフェニルエーテルの全仕込量に対して重
量で8倍以上、好ましくは8〜50倍、特に好ましくは10
〜30倍が望ましい。
本発明に用いられるラジカル反応開始剤としては、ベ
ンゾイルパーオキサイドに代表される有機過酸化物やア
ゾビスイソブチロニトリルに代表されるアゾ化合物が挙
げられ、ラジカル反応開始剤と溶媒との組合せは反応温
度と該開始剤の半減期を考慮して適宜選択される。ラジ
カル反応開始剤の添加量は塩素の導入速度によって異な
るが、少ないと塩素導入速度を抑える必要があるので反
応時間が長期化し返って不利である。また多すぎると該
開始剤の分解生成物の分離がし難くなるので、通常原料
のジメチルジフェニルエーテルに対して0.1〜20重量
%、好ましくは1〜10重量%の範囲が適当である。ラジ
カル反応開始剤は反応の始めに必要量を一括して投入し
反応を完結させることができるが、該開始剤の消費のた
めに反応後半において反応速度は減少する。この傾向は
原料のジメチルジフェニルエーテルへの側鎖塩素化率が
70%を超える時点から顕著になるので、反応時間の短縮
を望むならば、原料ジメチルジフェニルエーテルの供給
が終了し側鎖塩素化率が70〜90%に達した時点で該開始
剤を追加投入することが好ましく、その量は初期投入量
の5〜50重量%で十分である。
塩素化反応は、反応初期において不活性溶媒中に所定
量のラジカル反応開始剤を添加しておき、これに原料ジ
メチルジフェニルエーテル屯塩素とを同時に導入するこ
とによって行われる。導入するジメチルジフェニルエー
テルと塩素のモル比は製品の純度を決定する大きな要因
となる。側鎖メチル基を塩素化する速度は反応初期にお
いては非常に速いが、塩素化度が増大するにつれて急激
に減少する。そのため、ジメチルジフェニルエーテルに
対し塩素のモル比が高いと反応系中に過剰の塩素を生じ
ることになり、核塩素化を促進する結果となる。また塩
素のモル比が低いと反応系中に未反応のジメチルジフェ
ニルエーテルを蓄積する結果となり好ましくない。従っ
て同時に導入するジメチルジフェニルエーテルに対する
塩素のモル比は、2〜4.5倍、好ましくは2.5〜4倍の範
囲が好適である。
上記ジメチルジフェニルエーテルと塩素との同時導入
による塩素化反応は、上記モル比で行われた後、詳しく
は側鎖メチル基に上記モル比に相当する量の塩素が導入
された時点で原料ジメチルジフェニルエーテルの導入を
中止し、続いて塩素のみの導入を行い、必要ならラジカ
ル反応開始剤を追加添加し最終目的物になるまで塩素化
することによって反応は完結する。
上記塩素化反応に続いて反応終期に光照射による塩素
化反応を行う場合には、原料ジメチルジフェニルエーテ
ルの側鎖塩素化率が70〜90%に達した時点、更に好まし
くは塩素化された原料化合物からベンジルプロトンが消
失したときに光照射下での塩素化反応を開始すればよ
い。この段階での側鎖塩素化率は反応条件によっても異
なるが、通常75〜85%の範囲にある。側鎖塩素化率が70
%未満では低次塩素化物(例えば、メチル及びベンジル
プロトンを有するもの)の割合が多く、このものは光照
射により副反応を起こし易いので好ましくない。また90
%を超えてからの光塩素化では反応速度の減少によって
反応に長時間を要する結果となり、更に系内の過剰の塩
素が蓄積するために光照射開始時に爆発的な反応が起こ
り操作上好ましくない。
光塩素化に使用される光源は350〜500nm程度の通常の
紫外線が用いられ、高圧水銀灯を用いるのが好適であ
る。
上記反応によって生成した塩化水素は核塩素化の触媒
効果を持つことが知られており、反応温度が低いと塩化
水素の溶解量が増大するために製品純度が低下する。従
って反応温度は50〜150℃の範囲、好ましくは反応系が
緩やかに還流する温度で行うのがよい。また窒素の如き
不活性ガスを導入して反応系から塩化水素を追い出しな
がら反応を行ってもよい。反応中の攪拌は局部的な塩素
の高濃度化を防ぐために重要であり、原料ジメチルジフ
ェニルエーテル及び塩素の導入方法等は目的物の純度に
影響を与えるが、これらは実施に際し実験により容易に
定めることができる。
(実施例) 実施例1 ベンゾイルパーオキサイド2.9gを四塩化炭素520gに溶
解し、緩やかに還流させながら、これに4,4′−ジメチ
ルジフェニルエーテル及び塩素とを別々の導入管よりそ
れぞれ0.321g/min及び140ml/minの速度で同時に導入し
た。4,4′−ジメチルジフェニルエーテルは3時間で導
入を終了し引き続き塩素化を行った。4,4′−ジメチル
ジフェニルエーテルの総仕込量は58.2g(0.29モル)で
あった。4,4′−ジメチルジフェニルエーテルの導入を
終了した時点での側鎖塩素化率はガスクロマトグラフィ
分析によると63%であることが確認された。反応開始か
ら7時間後、NMRにより塩素化物中のベンザルプロトン
の消失が確認され反応は完結した。
反応後、系に窒素ガスを導入して溶存する塩化水素、
塩素ガスを追い出した後、減圧濃縮して無色油状物119g
を得た。これをガスクロマトグラフィーを用いて分析し
たころ4,4′−ビス(トリクロロメチル)ジフェニルエ
ーテル98.9重量%、核塩素化物1.1重量%の割合で生成
していた。
実施例2 100Wの高圧水銀灯照射装置を内部に備えた反応器に、
ベンゾイルパーオキサイド1.7gと四塩化炭素520gを仕込
み、系を緩やかに還流させた。水銀灯を点灯せずに、こ
の中に4,4′−ジメチルジフェニルエーテル及び塩素と
を別々の導入管よりそれぞれ0.325g/min及び140ml/min
の速度で導入し塩素化を開始した。4,4′−ジメチルジ
フェニルエーテルは3時間で導入を終了し、引き続き塩
素を導入して反応を続行した。4,4′−ジメチルジフェ
ニルエーテルの総仕込量は58.5g(0.295モル)であっ
た。4,4′−ジメチルジフェニルエーテルの導入を終了
した時点での側鎖塩素化率は62%であることがガスクロ
マトグラフィ分析により確認された。反応開始より3時
間40分経過した時点で、NMRにより塩素化物のベンジル
プロトンの消失がほぼ確認され、4時間目から水銀灯を
点灯し光塩素化を開始した。この4時間目の時点での側
鎖塩素化率は83%であることがガスクロマトグラフィ分
析により確認された。反応開始より5時間後、ベンザル
プロトンの消失がNMRで確認され反応は完結した。
反応後、系に窒素ガスを通じて溶存する塩化水素、塩
素ガスを追い出した後、減圧濃縮して無色油状物120gを
得た。これをガスクロマトグラフィーを用いて分析した
ところ、4,4′−ビス(トリクロロメチル)ジフェニル
エーテルが99.5重量%、核塩素化物が0.5重量%の割合
で生成していた。
比較例1 100Wの高圧水銀灯照射装置を内部に備えた反応器に、
4,4′−ジメチルジフェニルエーテル58.5g(0.29モ
ル)、四塩化炭素520gを仕込んだ。系を緩やかに還流さ
せて水銀灯照射下で塩素を140ml/minの速度で導入して
塩素化を行った。反応開始と共に反応液は次第に褐色を
帯び、反応後半は反応速度が著しく低下したが、反応開
始から7時間後、NMRによりベンザルプロトンの消失が
確認されたのでこの時点で反応を終了した。
反応後、窒素ガスを導入して溶存する塩化水素、塩素
ガスを追い出した後減圧濃縮して粘稠な黒褐色油状物12
4gを得た。これをガスクロマトグラフィーを用いて分析
したころ、4,4′−ビス(トリクロロメチル)ジフェニ
ルエーテル92.9重量%、核塩素化物3.2重量%、その他
高沸点物3.9重量%の割合で生成していた。
比較例2 4,4′−ジメチルジフェニルエーテル58.2g(0.29モ
ル)、ベンゾイルパーオキサイド2.9gを四塩化炭素520g
に溶解し、系を緩やかに還流させた。これに塩素を140m
l/minの速度で導入しNMRで反応を追跡した。反応開始よ
り8時間目にベンザルプロトンが消失したので反応を終
了した。
反応後、系に窒素ガスを導入して溶存する塩化水素、
塩素ガスを追い出した後、減圧濃縮して淡黄色油状物12
1gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したと
ころ、4,4′−ビス(トリクロロメチル)ジフェニルエ
ーテル96.9重量%、核塩素化物3.1重量%の割合で生成
していた。
(発明の効果) 本発明法は、ラジカル反応開始剤を含む不活性溶媒稠
での原料の同時導入による塩素化という比較的穏やかな
条件下で行われるため、従来のラジカル反応開始剤及び
原料化合物を含む不活性溶媒中での塩素化という方法に
比べて原料の溶媒に対する濃度を高めて行うことがで
き、また該塩素化物、タール状副生物などの副生物を最
小限に抑えることができるので生成物は蒸留や再結晶等
の精製操作を必要とせず、減圧濃縮等の簡便な操作のみ
で高純度なものを得ることができる。また本発明法にお
いて、反応終期に光塩素化の操作を行うことにより反応
時間が短縮でき、より収率アップを図ることができる。
このようにして得られた本発明の目的物は、耐熱樹脂、
高分子液晶の原料等にそのままで十分使用可能である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) (但し、上記(I)式中メチル基はメタ位又はパラ位に
    位置する) で表わされる化合物を塩素化するに際し、反応初期にお
    いてラジカル反応開始剤を含む上記化合物の全仕込量に
    対して重量で8〜50倍量の不活性溶媒中に上記(I)式
    化合物と塩素とを(I)式化合物に対して塩素を2〜4.
    5倍モルの割合で同時に導入して塩素化を行い、次いで
    塩素のみを導入して塩素化を行うことを特徴とする一般
    式(II) (但し、上記(II)式中トリクロロメチル基はメタ位又
    はパラ位に位置する) で表わされるビス(トリクロロメチル)ジフェニルエー
    テルの高選択的製法。
  2. 【請求項2】下記一般式(I) (但し、上記(I)式中メチル基はメタ位又はパラ位に
    位置する) で表わされる化合物を塩素化するに際し、反応初期にお
    いてラジカル反応開始剤を含む上記化合物の全仕込量に
    対して重量で8〜50倍量の不活性溶媒中に上記(I)式
    化合物と塩素とを(I)式化合物に対して塩素を2〜4.
    5倍モルの割合で同時に導入して塩素化を行い、次いで
    塩素のみを導入して(I)式化合物の側鎖メチル基の塩
    素化率が70〜90%まで塩素化する工程と光照射下に塩素
    を導入して塩素化を完結する工程によって行うことを特
    徴とする一般式(II) (但し、上記(II)式中トリクロロメチル基はメタ位又
    はパラ位に位置する) で表わされるビス(トリクロロメチル)ジフェニルエー
    テルの高選択的製法。
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JPH01261343A (ja) 1989-10-18

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