JP2549059B2 - 法枠用コイルを使用する格子法枠体の施工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は法枠用コイルを使用する
格子法枠体の施工方法に関し、更に詳しくは、地山など
の傾斜地盤や土地造成地及び道路などの法面上に張設し
た金網などの網状体の上に法枠用コイルを設置し、この
法枠用コイルを展延させることにより格子状に設置した
該法枠用コイルの上からモルタル又はコンクリートを吹
付けて格子法枠体を形成し、この後、例えば、該格子法
枠体内の網状体に植物種子や有機客土などから成る植生
材料を吹付けて植生基盤層を形成し法面を安定させた
り、良質植生基材を厚層吹付けして前記格子法枠体内を
緑化させるようにした法枠用コイルを使用する格子法枠
体の施工方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】法面上に金網を敷設し、その上に鉄筋を
格子状に配筋して格子枠を形成した後アンカー打設を行
い、その上からモルタル又はコンクリート（以下、モル
タルと略称する）を吹付けて格子法枠を形成し、この格
子法枠内に厚層緑化基材を吹付けて緑化するソイルクリ
ート工法とよばれる簡易法枠緑化工法がある。この工法
は、法面を格子法枠にて保護し、緑化が可能な工法であ
ると共に施工性に優れているので多く設計されている。

【０００３】しかしながら、格子法枠を形成する際、そ
の幅、高さ等を規定する目安が何もないために、格子法
枠の規格が統一されずにバラバラになり易く、品質管理
上の問題があった。

【０００４】また、鉄筋の配筋位置が金網上であって低
いために格子法枠の枠強度がでないことと、無型枠であ
るために形成した格子法枠にクラックが発生し易いこと
も問題であった。

【０００５】そこで、近年、それらの問題点を解決する
ために、上述した金網型の格子法枠よりも簡易なコイル
を法枠として使用してモルタル吹付けにより格子法枠体
を施工する簡易法枠緑化工法が提案されている〔実公平
３−２０３５１号公報、特開平３−１００２３０号公
報〕。

【０００６】この法枠用コイルを使用した工法は、法面
上に金網などの網状体を設置し、その上にコイル断面が
円形形状、四角形形状、三角形形状等の法枠用コイルを
設置し、この法枠用コイルを展延させることにより格子
状に設置し、その上に１〜３本の鉄筋を配筋した後格子
状に設置された法枠用コイルの上からモルタル又はコン
クリートを吹付けて格子法枠体を形成するようにしたも
のであり、上記したソイルクリート工法の欠点である、
（１）格子法枠の規格が決められないこと、（２）鉄筋
を上部に配筋できないので枠強度がでないこと、（３）
無型枠であるために形成した格子法枠にクラックが入り
やすいことといった欠点を解決できることから優れた工
法と言える。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この法
枠用コイルを使用した工法にあっても、単にコイルに鉄
筋を針金等で括りつけたり、別途鉄筋保持具を使用して
コイルの中心部に鉄筋を位置させるという手間のかかる
配筋方法であり、しかも鉄筋の配筋位置を正確に決めら
れないことから、品質管理上の問題があると共に、法枠
用コイルの法枠としての強度にも問題があり、更に、コ
イルが法面の凹凸に良く沿うという特性を持っているけ
れども、格子法枠が法面上の等高線の方向に設置される
横枠部分と該横枠部分に直交して設置される縦枠部分と
から構成されるから、前記横枠部分を設置する際に、コ
イルがダレてしまって施工しにくいといった問題があっ
た。

【０００８】本発明は以上のような問題に鑑みてなした
もので、その目的は、法枠用コイルの法枠としての強度
を保持できるよう鉄筋の法枠用コイルへの配筋位置を確
保することができるとともに、法枠用コイルが横枠を形
成する際のコイルのダレを防止できる法枠用コイルを使
用する格子法枠体の施工方法を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の法枠用コイルを使用する格子法枠体の施工
方法は、法面上に法枠用コイルを展延させることにより
格子状に設置し、該法枠用コイルの上からモルタル又は
コンクリートを吹付けて格子法枠体を形成するに際し
て、法面上への設置前に、鉄筋が挿通可能な凸部を前記
法枠用コイルに形成し、前記法枠用コイル展延時に前記
鉄筋を前記凸部に挿通させることにより鉄筋配筋を施す
ことからなる。

【００１０】また、本発明は、別の観点から、法面上へ
の設置前に、鉄筋が挿通可能な凸部を法枠用コイルに予
め形成しておき、続いて、法面上に金網などの網状体を
設置し、更に、法面上へ前記法枠用コイルを展延させる
とともに、このコイル展延時に前記鉄筋を前記凸部に挿
通させることにより鉄筋配筋を施し、その後格子状に設
置した該法枠用コイルの上からモルタル又はコンクリー
トを吹付けて格子法枠体を形成することからなる法枠用
コイルを使用する格子法枠体の施工方法を提供する。

【００１１】本発明における法枠用コイルとしては、円
形、四角形、半円形、三角形等のいずれでもよいが、い
ずれのコイルにも１〜４箇所凸部を設けたコイルを用い
る。

【００１２】すなわち、（１）鉄筋配筋位置が２箇所の
場合、いわゆる、鉄筋２本配筋を施す際には、図３に示
すように、例えば、四角形形状の芯材部分３からなる四
角形コイル１では凸部４，５をコイル上部の左右対象位
置に２箇所設けるのが好ましく、また、図１２に示すよ
うに、例えば、三角形形状の芯材部分３３からなる三角
形コイル１では凸部２４，２５を三角形の頂角を挟む各
辺における上部の左右対象位置に２箇所設けるのが好ま
しい。（２）また、鉄筋配筋位置が３箇所の場合、例え
ば、円形コイルの変形例として、図１０に示す凸部３
０、３４，３５ように、コイル最上位置に１箇所と、芯
材部分３１上部の左右対象位置にそれぞれ設けるのが好
ましい。（３）更に、本発明の法枠用コイルにおいて
は、鉄筋配筋位置が１箇所の場合でも、例えば、四角形
コイルや半円形コイル等に適用できるものであり、図９
に示すように、四角形形状の芯材部分３２からなる四角
形コイルの上部の中央位置に、凸部４４を設けるのが好
ましく、また、図１１に示すように、半円形形状の芯材
部分４０からなる半円形コイルの上部の中央位置に凸部
４５を設けるのが好ましい。

【００１３】また、本発明においては、図７に示すよう
に、凸部が、該凸部に挿通される鉄筋間の継ぎ目におい
て２本の鉄筋を上下に並置できる程度の大きさに形成さ
れているのが好ましい。

【００１４】本発明において、凸部を有する法枠用コイ
ルを法面上へ設置するには、まず、図４に示すように、
法面６上に設置された金網などの網状体７に、例えば、
格子状に配筋が施された一対の鉄筋８，９に沿って、そ
の上に前記法枠用コイル１を展延させる。この際、一対
の鉄筋８，９は、網状体７を介して法面６に主アンカー
１０（図２参照）ですでに固定されている。続いて、図
５に示すように、このコイル展延時に鉄筋１１，１２を
前記凸部４，５に挿通させる前に、展延したコイル１を
補助アンカー１３で各芯材部分３が所定間隔になるよう
仮り止めを施し（図２参照）、しかる後、鉄筋１１，１
２を屈曲部４，５に挿通させるものである（図６参
照）。このようにして法枠用コイル１を格子状に設置
し、各格子枠内を養生シートで覆った後、法枠用コイル
１の上からモルタル又はコンクリートを吹付けて格子法
枠体を形成する（図８参照）。

【００１５】

【作用】鉄筋を挿通したときに保持できる程度の凸部
を、法面上への設置前に法枠用コイルに形成し、コイル
展延時に前記鉄筋を前記凸部に挿通させるようにしたの
で、鉄筋の配筋位置を正確に決定できるとともに、法枠
用コイルを法面上に展延しても、従来のように、単にコ
イルに鉄筋を針金等で括りつけたり、別途鉄筋保持具を
使用してコイルの中心部に鉄筋を位置させるという手間
のかかる配筋方法に比して、前記鉄筋を前記凸部に挿通
保持しながら配筋できるため、配筋作業を容易にできる
とともに、鉄筋の位置決めの安定化を図ることができ、
法枠として用いるコイルの品質管理と、法枠としての強
度が維持できる。更に、法枠用コイルの凸部に鉄筋を通
して格子状に設置することから、特に法枠用コイルを横
枠部分を形成するために設置する際に、該コイルがダレ
ることなく設置でき、施工性が良くなる。

【００１６】要するに、従来の法枠用コイルを使用した
コイル工法は、法面に金網などの網状体を設置し、その
上に円形、四角形、半円形、三角形等のコイルを格子状
に設置し、その上に１〜３本の鉄筋を配筋していたが、
鉄筋の配筋位置が性格に決まらず、法枠としての強度に
問題があったが、本発明では、鉄筋の配筋位置が正確に
決まり、必要な箇所に鉄筋を保持できるので品質管理上
優れると共に、強度のある法枠を得ることができる。ま
た、横枠部分を形成する際の、コイルのダレを防止でき
て施工性が良くなる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、本発明はそれによって限定を受けるものではない。
図１〜図３において、四角形コイル（法枠用コイルの一
例）１は、一本の鉄線（芯材）２を螺旋状に巻いて断面
略四角形形状を有する芯材部分３を形成してなり、凸部
４，５が、芯材部分３の上部の鉄筋配筋位置に鉄線２を
加工することにより凹型に形成されている。

【００１８】更に、鉄筋２本配筋を施すために、図３に
示すように、例えば、凸部４，５を芯材部分３の上部の
左右対象位置に２箇所設けてある。

【００１９】そして、凸部４，５を有する四角形コイル
１を法面６上へ設置するには、まず、図４に示すよう
に、法面６上に設置された金網などの網状体７に、例え
ば、格子状に配筋が施された一対の鉄筋８，９に沿っ
て、その上に前記法枠用コイル１を展延させる。この
際、一対の鉄筋８，９は、網状体７を介して法面６に主
アンカー１０（図２参照）ですでに固定されている。続
いて、図５に示すように、このコイル展延時に鉄筋１
１，１２を凸部４，５に挿通させる前に、展延したコイ
ル１を補助アンカー１３で各芯材部分３が所定間隔にな
るよう仮り止めを施し（図２参照）、しかる後、鉄筋１
１，１２を凸部４，５に挿通させるものである（図６参
照）。

【００２０】この際、図７に示すように、凸部４が、該
凸部４に挿通される鉄筋１１，１１間の継ぎ目Ｔにおい
て２本の鉄筋１１，１１を上下に並置できる程度の大き
さに形成されているから、２本の鉄筋１１，１１を容易
に連結できる。

【００２１】このようにして法枠用コイル１を格子状に
設置し、各格子枠１５ａ内を養生シート１４で覆った
後、法枠用コイル１の上からモルタル又はコンクリート
１６を吹付けて格子法枠体１５を形成する（図８参
照）。

【００２２】また、完成された格子法枠体１５内には、
例えば、各格子枠１５ａ内の網状体７に植物種子や有機
客土などから成る植生材料を吹付けて植生基盤層を形成
し法面を安定させたり、良質植生基材１７を厚層吹付け
して格子法枠体１５内を緑化させることができる。

【００２３】このように本実施例では、四角形コイル１
の凸部４，５に鉄筋１１，１２を容易な作業で保持でき
て確実に位置決めできるので、施工性に優れているとと
もに、法枠として用いる四角形コイル１の品質管理を維
持できる。

【００２４】更に、従来では、鉄筋の配筋位置が性格に
決まらず、法枠としての強度に問題があったが、本実施
例では、鉄筋１１，１２の配筋位置が凸部４，５により
正確に決まり、必要な箇所に鉄筋を保持できるので強度
のある法枠を得ることができるとともに、横枠部分を形
成する際の、コイル１のダレを防止できて施工性が良く
なる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、鉄筋
を挿通したときに保持できる程度の凸部を、法面上への
設置前に法枠用コイルに形成し、コイル展延時に前記鉄
筋を前記凸部に挿通させるようにしたので、鉄筋の配筋
位置を正確に決定できるとともに、法枠用コイルを法面
上に展延しても、従来のように、単にコイルに鉄筋を針
金等で括りつけたり、別途鉄筋保持具を使用してコイル
の中心部に鉄筋を位置させるという手間のかかる配筋方
法に比して、前記鉄筋を前記凸部に挿通保持しながら配
筋できるため、配筋作業を容易にできるとともに、鉄筋
の位置決めの安定化を図ることができ、法枠として用い
るコイルの品質管理と、法枠としての強度が維持でき
る。更に、法枠用コイルの凸部に鉄筋を通して格子状に
設置することから、特に法枠用コイルを横枠部分を形成
するために設置する際に、該コイルがダレることなく設
置でき、施工性が良くなる。

【００２６】要するに、従来の法枠用コイルを使用した
コイル工法は、法面に金網などの網状体を設置し、その
上に円形、四角形、半円形、三角形等のコイルを格子状
に設置し、その上に１〜３本の鉄筋を配筋していたが、
鉄筋の配筋位置が性格に決まらず、法枠としての強度に
問題があったが、本発明では、鉄筋の配筋位置が正確に
決まり、必要な箇所に鉄筋を保持できるので品質管理上
優れると共に、強度のある法枠を得ることができる。ま
た、横枠部分を形成する際の、コイルのダレを防止でき
て施工性が良くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を説明するための要部構成説
明図である。

【図２】上記実施例における要部構成説明図である。

【図３】上記実施例で使用する法枠用コイルを示す要部
構成説明図である。

【図４】上記実施例における施工方法の１つの作業過程
を説明するための構成説明図である。

【図５】上記実施例における施工方法の別の作業過程を
説明するための構成説明図である。

【図６】上記実施例における施工方法の更に別の作業過
程を説明するための構成説明図である。

【図７】上記実施例における施工方法の作業過程を説明
するための要部構成説明図である。

【図８】上記実施例における施工方法の作業過程を説明
するための全体構成説明図である。

【図９】上記実施例で使用する法枠用コイルの変形例を
示す要部構成説明図である。

【図１０】上記実施例で使用する法枠用コイルの他の変
形例を示す要部構成説明図である。

【図１１】上記実施例で使用する法枠用コイルの更なる
変形例を示す要部構成説明図である。

【図１２】上記実施例で使用する法枠用コイルの別の変
形例を示す要部構成説明図である。

【符号の説明】

１…四角形コイル（法枠用コイル）、２…一本の鉄線
（芯材）、３…芯材部分、４，５…凸部、６…法面、７
…網状体、１１，１２…鉄筋、１５…格子法枠体、１６
…モルタル又はコンクリート。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 法面上に法枠用コイルを展延させること
   により格子状に設置し、該法枠用コイルの上からモルタ
   ル又はコンクリートを吹付けて格子法枠体を形成するに
   際して、法面上への設置前に、鉄筋が挿通可能な凸部を
   前記法枠用コイルに形成し、前記法枠用コイル展延時に
   前記鉄筋を前記凸部に挿通させることにより鉄筋配筋を
   施すことからなる法枠用コイルを使用する格子法枠体の
   施工方法。
2. 【請求項２】 法面上への設置前に、鉄筋が挿通可能な
   凸部を法枠用コイルに予め形成しておき、続いて、法面
   上に金網などの網状体を設置し、更に、法面上へ前記法
   枠用コイルを展延させるとともに、このコイル展延時に
   前記鉄筋を前記凸部に挿通させることにより鉄筋配筋を
   施し、その後格子状に設置した該法枠用コイルの上から
   モルタル又はコンクリートを吹付けて格子法枠体を形成
   することからなる法枠用コイルを使用する格子法枠体の
   施工方法。