JP3443275B2 - 法枠形成用の検測枠とこれを用いる法枠工法 - Google Patents

法枠形成用の検測枠とこれを用いる法枠工法

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JP3443275B2
JP3443275B2 JP12358297A JP12358297A JP3443275B2 JP 3443275 B2 JP3443275 B2 JP 3443275B2 JP 12358297 A JP12358297 A JP 12358297A JP 12358297 A JP12358297 A JP 12358297A JP 3443275 B2 JP3443275 B2 JP 3443275B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、法枠形成用の検測枠
とこれを用いる法枠工法に関する。
【0002】
【従来の技術】道路や造成地などの法面を緑化する工法
の一つに、例えば特公昭58−20338号公報に示さ
れる「法面安定工法」がある。この工法は、法面に金網
などの網状体を敷設した後、この網状体上に鉄筋を格子
状に敷設し、この格子状鉄筋にモルタルまたはコンクリ
ート(以下、単にモルタルなどと言う)を吹き付けてモ
ルタル等よりなる格子状法枠を形成するようにしたもの
であるので、従来のプレハブ式や現場打ち法枠工法など
に比べて、施工性や強度に優れているとともに、使用す
る器材が少なく安価であるといった利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、現行の土木
基準では、前記格子状鉄筋を覆うモルタルなどの厚み
(これを被り厚と言う)が鉄筋のどの面からも5cm以
上であることが、所要強度の格子状法枠を得るための品
質管理基準として義務付けられている。しかしながら、
前記現場打ち法枠工法は、型枠を用いない現場打ち法枠
工法であるとともに、モルタルなどの吹き付けは、法面
上の不安定な場所で現場作業として行われることから、
格子状鉄筋に対するモルタルなどの吹付け厚さや幅が不
均一となりやすく、所定寸法の格子状法枠を形成するの
に相当の熟練度を要するとともに、格子状法枠の寸法や
強度にバラツキを生じることを避けることができなかっ
た。
【0004】この発明は、上述の事柄に留意してなされ
たもので、型枠を用いない現場打ち法枠工法において、
規格通りの寸法および強度を有するモルタルなどよりな
る格子状法枠を熟練を要することなく簡単に形成するこ
とができる法枠形成用の検測枠(以下、単に検測枠と言
う)とこれを用いる法枠工法を提供することを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の検測枠は、法面に網状体を敷設した後、
この網状体上に鉄筋を格子状に配置し、この格子状鉄筋
にモルタルまたはコンクリートを吹き付けたモルタルま
たはコンクリートよりなる格子状法枠の寸法を規制する
ために、前記鉄筋を跨ぐようにして、適宜の間隔をおい
て配置され、モルタルまたはコンクリートの吹き付け幅
および吹き付け高さの目安となる法枠形成用の検測枠で
あって、所定の高さと幅とを有し、かつ、一対の脚部を
有する正面視形状がM字状または台形の一対の第1部材
と、この第1部材の脚部の中間位置どうしを連結する一
対の第2部材とを備えるとともに、一対の脚部を結ぶ方
向に鉄筋保持部材を横設してなり、この検測枠に従って
モルタルまたはコンクリートが吹き付けられることを特
徴としている。
【0006】また、この発明の法枠工法は、法面に網状
体を敷設した後、この網状体上に鉄筋を格子状に配置
し、その後、第1部材が前記鉄筋を跨ぐようにして前記
検測枠を配置し、さらに、鉄筋保持部材によって鉄筋お
よび網状体を浮設保持した状態で、モルタルまたはコン
クリートを吹き付けることを特徴としている。そして、
この法枠工法において、鉄筋保持部材によって鉄筋のみ
を浮設保持させるようにしてもよい。
【0007】前記第1部材の正面視形状は、台形あるい
はM字状であるが、左右対称形であるのがより好まし
い。そして、第1部材の下端部を折曲して沈み防止部を
形成してあってもよい。
【0008】前記鉄筋保持部材は、その両端を、第1部
材または第2部材に固着してあってもよく、また、その
一端を第1部材の一方の脚部または第2部材に遊動自在
に設け、他端を他方の脚部または対応する第2部材に係
止させるようにしてあってもよく、そして、その両端を
第1部材または第2部材に対して着脱自在に取り付けら
れるようにしてあってもよい。さらに、これらいずれの
場合においても、鉄筋保持部材に鉄筋を安定に保持する
ための安定保持部を設けてあってもよい。
【0009】
【作用】この発明で用いる検測枠Kは、例えば図4に示
すように、所定の高さH(例えば10cm)と幅W(例
えば30cm)とを有するように形成されるとともに、
一対の脚部1Bを有する一対の第1部材1と、この第1
部材1どうしを連結する第2部材2とを備えるととも
に、第1部材1の高さ方向中間部において一対の脚部1
bを結ぶ方向に鉄筋保持部材3を一つ横設してなるもの
である。そして、第1部材1の両下端部を例えば互いに
向き合う方向に折曲して沈み防止部4が形成されてい
る。この検測枠Kを構成する第1部材1、第2部材2お
よび鉄筋保持部材3は、例えば防錆加工を施した適宜太
さの針金よりなり、第1部材1と第2部材2とは溶接ま
たはハンダ付けによって連結されている。また、鉄筋保
持部材3は、例えば第1部材1の一対の脚部1Bどうし
を連結するようにそれらに溶接されている。したがっ
て、検測枠Kの構造が簡単で、その製作も容易であり、
安価である。
【0010】そして、法面5に所定のモルタルなどより
なる格子状法枠12を形成するに際しては、法面5を整
形した後、図1に示すように、法面5全体に菱形金網な
どの網状体6を敷設し、この網状体6上に鉄筋8を格子
状に配置する。そして、図2に示すように、第1部材1
が鉄筋8を跨ぎ、かつ、鉄筋8が上辺1Aと鉄筋保持部
材3との間に位置するように、つまり、鉄筋8を、上辺
1Aと鉄筋保持部材3とによって形成される空間9を挿
通させるようにして、検測枠Kを網状体6上に適宜の間
隔をおいて配置し、その後、図1および図3に示すよう
に、格子枠を形成する鉄筋8にモルタルなど11を吹き
付けるのである。
【0011】このようにすることにより、鉄筋8に対し
てモルタルなど11を所定幅および高さになるように正
確に吹き付けることができ、所定強度を有するモルタル
などよりなる格子状法枠12を法面5に確実に形成する
ことができる。
【0012】
【実施例】図1〜図4は、この発明の検測枠およびこれ
を用いる法枠工法の一例を示すものである。まず、図4
において、Kは検測枠で、この検測枠Kは、所定の高さ
H(例えば10cm)と幅W(例えば30cm)とを有
する一対の第1部材1と、この第1部材1どうしを連結
する第2部材2と、第1部材1の高さ方向中間部におい
て第1部材1の一対の脚部1Bを結ぶ方向に横設される
鉄筋保持部材3とから構成される。
【0013】すなわち、第1部材1、第2部材2および
鉄筋保持部材3は、例えば防錆加工を施した適宜太さ
(例えば直径4mm)の針金よりなる。そして、第1部
材1は、その正面視形状が例えば等脚台形になるように
折曲され、その水平な上辺1Aの両側の脚部1Bの端部
は例えば互いに向き合う方向に折曲されて沈み防止部4
を構成している。この沈み防止部4の長さは、例えば3
cm程度である。また、第2部材2は、第1部材1の脚
部1Bのほぼ中間位置どうしを連結するもので、溶接ま
たはハンダ付けによって第1部材1に固着されている。
そして、この第2部材2の長さLは、法面5上に鉄筋8
によって形成される格子枠の一つの辺の長さよりも短く
(図1参照)、例えば30cm程度である。
【0014】次に、この発明の法枠工法の一例につい
て、図1〜図3をも参照しながら説明する。予め整形さ
れた法面5に目合いが例えば5〜6cm程度の菱形金網
などの網状体6を敷設し、アンカー7を適宜の間隔で法
面5に打ち込んで網状体6を法面5に固定する(図2お
よび図3参照)。
【0015】前記網状体6の上に例えば直径が6〜10
mm程度の鉄筋8を一辺が1〜2m程度の格子状に組み
合わせて配置する(図1参照)。
【0016】そして、鉄筋8からなる格子枠の各辺のほ
ぼ中央に、第1部材1が鉄筋8を跨ぎ、かつ、鉄筋8が
上辺1Aと鉄筋保持部材3との間に位置するように、つ
まり、鉄筋8が上辺1Aと鉄筋保持部材3とによって形
成される空間9を挿通させるようにして、検測枠Kを網
状体6上に適宜の間隔をおいて配置する(図1および図
2参照)。この場合、第1部材1の下端に沈み防止部4
が形成されているので、法面5が盛土であるような場
合、検測枠Kが法面5から沈み込むことが防止される。
なお、必要により、適宜の結束線10を用いて鉄筋8を
鉄筋保持部材3に結束してもよい(図2および図3参
照)。
【0017】前記検測枠Kは、モルタルなど11の吹き
付け幅および吹き付け高さの目安となるものであるか
ら、格子枠の各辺に少なくとも一つ設けてあればよく、
この実施例のように、辺の長さが1〜2m、検測枠Kの
長さLが30cmのときは、各辺に一つの検測枠Kを設
けるだけでよい。また、前記辺の長さがより大きくなっ
たときは、前記寸法の検測枠Kを2以上設けてもよい
が、検測枠Kの長さLをより大きく(例えば1.3〜
1.5m程度)設定してもよい。
【0018】以上のように構成した格子状鉄筋8に、例
えば含水率が7〜8%程度の低スランプのモルタルなど
11をモルタルガン機などの土木用吹付機(図示してな
い)によって吹き付ける。この場合、鉄筋8によって形
成される格子枠の各辺には、モルタルなど11の吹き付
け幅および吹き付け高さの目安となる検測枠Kが設けて
いるので、この検測枠Kにしたがってモルタルなど11
の吹き付けを行うだけで、所定寸法のモルタルなどより
なる格子状法枠(以下、単に格子状法枠と言う)12を
容易に形成することができる。すなわち、この実施例に
おいては、下端幅30〜35cm、高さ10〜15cm
程度の格子状法枠11を形成することができ、所定寸法
および所定強度の格子状法枠12を確実に形成できるの
である。なお、図1および図3において、符号13はモ
ルタルなど11を吹き付けるためのノズルである。
【0019】以上のようにして法面5に形成された格子
状法枠12内に、土壌、有機質材、保水材(土壌改良
材)などと芝草、野草、低木類、花などの種子とを混合
してなる植生材料を動力吹付け機などを用いて吹き付け
て植生層14(図1参照)を形成したり、また、これに
代えて、前記植生材料を粗目の袋体に充填した植生袋
(図示してない)を配置するなどして、従来不可能とさ
れていた岩盤法面などにも植生を導入することが可能と
なり、法面5の景観の向上および植生の根や茎などによ
る法面5の恒久的安定に寄与するところが大きい。
【0020】この発明は、上述の実施例に限られるもの
ではなく、種々に変形して実施できる。以下、変形例を
図に基づいて説明する。なお、以下の図において、図1
〜図4までの符号と同一のものは同一物を示している。
【0021】まず、図5は、鉄筋8と網状体6とを鉄筋
保持部材3によって浮設保持した状態でモルタルなど1
1を吹き付けた例を示している。すなわち、鉄筋8を鉄
筋保持部材3によって保持した後、網状体6を持ち上
げ、適宜の結束線15を用いて網状体6を鉄筋8あるい
は鉄筋保持部材3に結束し、その状態でモルタルなど1
1を吹き付けるのである。
【0022】図6は、鉄筋8のみを浮設保持した実施態
様を示している。このようにした場合、格子状法枠12
での植生層14の厚みが5cm未満の場合、網状体6が
吹き付け基材としての植生材料の流亡防止材として有効
に作用する。この場合、適宜のスペーサ16を用いて、
網状体6を浮設保持し、鉄筋8の被り厚が規定値になる
ようにしてもよい。なお、前記スペーサ16としては、
例えばこの出願の出願人に係る昭和63年意匠登録願第
4418号の「法面保護用ラススペーサー」や、同じく
実公平5−42118号公報の「スペーサーピン」を用
いることができる。
【0023】次に、検測枠Kの変形例を説明する。図7
に示すように、検測枠Kにおいて、二つの第1部材1
が、二つの長辺17Aと二つの短辺17Bとからなる矩
形体17によって連結するようにしてもよい。この矩形
体17は、例えば防錆加工を施した適宜太さの針金から
なり、その二つの短辺17Bに二つの第1部材1が例え
ば溶接によってそれぞれ固着されている。すなわち、こ
の検測枠Kにおいては、二つの長辺17Aが図4に示し
た検測枠Kにおける第2部材2に相当し、二つの短辺1
7Bが鉄筋保持部材3として機能する。つまり、この例
は、検測枠Kにおける第2部材2と鉄筋保持部材3とを
一体化したものである。このような検測枠Kは、その製
作がより簡単となる。なお、前記矩形体17は正方形で
あってもよい。
【0024】上述の実施例は、いずれも鉄筋保持部材
3,17Bを固定的に設けたものであったが、図8に示
すように構成してもよい。すなわち、この図において、
18は鉄筋保持部材で、例えば防錆加工を施した適宜太
さの針金からなる。この鉄筋保持部材18の一端側に
は、ループ部18Aが形成され、このループ部18Aが
第1部材1の例えば一方の脚部1Bにおける第1部材1
と第2部材2との一方の連結点の直ぐ上位の箇所に、図
中矢印で示す方向に回動できるように、遊動状態に係着
されている。そして、鉄筋保持部材18の他端側には、
フック部18Bが形成され、第2部材2とほぼ平行な状
態である第1状態から第2部材2と直交する第2状態
(鉄筋保持部材18が一対の脚部1Bを結ぶ方向、図
中、実線で示す)にしたとき、フック部18Bを連結部
材2に引っ掛けることにより第2状態を保持できるよう
に構成され、常時は第1状態にある。
【0025】このように構成された検測枠Kは、常時
は、鉄筋保持部材18が第2部材2とほぼ平行である第
2状態にあるので、保管や運搬などにおいて、検測枠K
をコンパクトに重ね合わせることができる。
【0026】なお、図8に示した検測枠Kにおいては、
鉄筋保持部材18のループ部18Aを第1部材1の一方
の脚部1Bに設けていたが、第2部材2に設けるように
してもよい。また、鉄筋保持部材18のフック部18B
を第1部材1の他の脚部1Bに引っ掛けるようにしても
よい。
【0027】上述した実施例においては、鉄筋保持部材
3,17B,18は、それらの両端または一方が検測枠
Kの主たる構成部材である第1部材1または第2部材2
に固着または係着されていたが、これを着脱自在に設け
るようにしてもよい。図9はこのように構成した例を示
すもので、この図において、19は例えば防錆加工を施
した適宜太さおよび適宜長さの針金で、対向する第2部
材2間に掛けわたされ、両端部において適宜の結束線2
0を用いて第2部材2に結束固定されて、鉄筋保持部材
19に形成されている。
【0028】このように構成した検測枠Kにおいては、
その本体が、常時は第1部材1と第2部材2とからなる
ので、コンパクトとなり、保管や運搬などにおいて好都
合である。また、この実施例において、鉄筋保持部材1
9の第2部材2への結束は、検測枠Kを鉄筋8に対して
セットする際行う方法と、予め行っておく方法とがある
が、セットの際結束を行う方が、鉄筋8の保持を行うた
めの作業をより行いやすい。
【0029】図9に示した実施例においては、鉄筋保持
部材19を結束線20によって固定していたが、これに
代えて、図10に示すようにしてもよい。すなわち、こ
の図に示す例では、例えば防錆加工を施した適宜太さお
よび適宜長さの針金21の両端部を例えば同じ方向に折
曲してフック部21Aを形成し、このフック部21Aを
第2部材2に係合させるようにして鉄筋保持部材21と
している。なお、この実施例において、フック部21A
を第1部材1の脚部1Bにおける第2部材2との連結部
分より上方において係合させるようにしてもよい。
【0030】図10に示したように構成した検測枠Kに
おいては、図9に示した検測枠Kと同様の効果があると
ともに、さらに、鉄筋保持部材21の取り付けにおいて
結束線を必要としないほか、その取り付けを容易に行な
えるといった利点がある。
【0031】図11は、図10に示した実施例の変形例
を示すもので、この実施例においては、鉄筋保持部材2
1の長さ方向の中間部において鉄筋保持部材21をやや
折曲し、鉄筋8を安定に保持するための安定保持部22
を形成している。図示する例では、鉄筋保持部材21の
ほぼ中央部を下方に屈曲し、この部分22に鉄筋8(図
示してない)を安定に保持できるようにしている。そし
て、この実施例においては、第2部材2を第1部材1の
脚部1Bのかなり上方において固着している。これは、
所定の被り厚が得られるように鉄筋8を保持するためで
ある。
【0032】なお、前記安定保持部22は、鉄筋保持部
材21に上方に開いた凹部を形成するなどにより形成し
てもよく、この場合、鉄筋保持部材21を必ずしも屈曲
させる必要はない。また、図4,図7〜図9にそれぞれ
示した鉄筋保持部材3,17B,18,19において
も、図11に示した鉄筋保持部材21と同様の安定保持
部22を形成してあってもよい。
【0033】上記実施例においてはいずれも、検測枠K
における第1部材1の正面視形状が台形であったが、こ
の発明はこれに限られるものではなく、例えば図12に
示すように、三角形(図示する例では二等辺三角形)に
形成してもよい。この図において、符号23は第1部
材、24は第1部材23の脚部(等辺)間に横設される
鉄筋保持部材である。このように構成した検測枠Kにお
いても、上記各実施例と同様の効果があり、また、これ
を用いた法枠工法においても同様の効果を奏する。さら
に、第1部材23が力学的に安定な三角形であるので、
検測枠Kとしてより安定度が大きい。
【0034】図13は、第1部材の正面視形状を左右対
称形の五角形に形成したもので、この図において、符号
25は第1部材、26は第1部材25の脚部25B間に
横設される鉄筋保持部材である。このように構成した検
測枠Kにおいても、上記各実施例と同様の効果があり、
また、これを用いた法枠工法においても同様の効果を奏
する。そして、この実施例の検測枠Kによれば、頂点2
5aを目安にしてモルタルなど11を吹き付けるだけ
で、所定の被り厚を有する格子状法枠12を形成するこ
とができる。なお、図示しないが、第1部材25を左右
対称形または非対称形の五角形以上の多角形状としても
よい。
【0035】図14は、第1部材の正面視形状を左右対
称形の凹多角形としたもので、より詳しくは、第1部材
27として、上部に一つの凸部27aと二つの凹部27
bを有する凹多角形(左右対称形が好ましい)に形成さ
れている。28は第1部材27の脚部27B間を連結す
るように横設される鉄筋保持部材である。このように構
成された検測枠Kにおいても、上記各実施例と同様の効
果があり、また、これを用いた法枠工法においても同様
の効果を奏する。そして、この実施例の検測枠Kにおい
ては、図示するように、二つの凹部27bに2本の鉄筋
8を安定に保持でき、鉄筋保持部材28にも2本の鉄筋
8を保持でき、所謂4本配筋構造の格子状法枠など背の
高い格子状法枠を形成するのに好都合である。なお、鉄
筋保持部材28に1本の鉄筋8を配設してもよいことは
言うまでもない。
【0036】さらに、この実施例の検測枠Kを用いた場
合、第1部材27の上部のほぼ中央27aが上方に突出
し、さらに、この凸部27aの両側に形成される二つの
凹部27bの他方にも凸部27cが形成されているの
で、モルタルなど11の吹き付け時には、これらの凸部
27a,27cを目安にして吹き付ければ、所定の被り
厚の格子状法枠12を形成することができ、後述するよ
うな検測ピン31(図15および図16参照)を用いな
くてもよい。
【0037】図15は、第1部材の正面視形状をM字状
(左右対称形が好ましい)に形成したもので、この図に
おいて、符号29は第1部材、30は第1部材29の脚
部29B間を連結するように横設される鉄筋保持部材で
ある。このように構成された検測枠Kにおいても、上記
各実施例と同様の効果があり、また、これを用いた法枠
工法においても同様の効果を奏する。
【0038】さらに、この実施例の検測枠Kを用いた場
合、第1部材29の上部のほぼ中央が下方に凹んでいる
ので、この凹み部分29aの高さ位置を所定の被り厚が
得られるように設定すれば、この部分29aによって鉄
筋8を、鉄筋保持部材30によって保持される鉄筋8と
は別に、安定した状態で保持させることができる。つま
り、この構造の検測枠Kは、格子状法枠12の寸法を規
制する機能のほかに、鉄筋8を上下方向に2段に保持す
る機能も有するので、より高い格子状法枠12を形成す
るような場合、好都合であるといった利点がある。な
お、この図において、符号31はモルタルなど11の吹
付け厚を規定するため、法面5に立設される検測ピンで
ある。
【0039】図16は、鉄筋8を上下2段に設ける他の
実施態様を示すもので、この例においては、図4に示し
たような正面視形状が台形の第1部材1を有する検測枠
Kを用い、第1部材1の水平な上辺1Aによっても鉄筋
8を保持させるようにして、上下2段に鉄筋8を保持さ
せるようにしている。この場合も検測ピン31を用い
て、モルタルなど11の吹付け厚を規定している。
【0040】図12〜図16にそれぞれ示した検測枠K
においても、鉄筋保持部材28,30,3に、図11に
示した鉄筋保持部材21と同様に、安定保持部22を形
成してもよいことは言うまでもない。
【0041】そして、図12〜図16に示した実施例に
おいても、鉄筋保持部材24,26,28,30,3
を、図7〜図10に示すようにして横設してもよい。
【0042】また、前記いずれの実施例においても、検
測枠Kにおける第1部材1,23,25,27,29の
下端部を折曲して沈み防止部4を形成してあったが、前
記下端部を折曲しないでストレートな状態にしてあって
もよいことは言うまでもない。
【0043】さらに、前記いずれの実施例においても、
検測枠Kにおける第2部材2の設置高さは任意である
が、鉄筋8の被り厚を所定値以上確保したい場合は、第
1部材1,23,25,27,29の高い位置に固定す
るのが望ましい。さらに、第1部材1,23,27,2
9は3以上設けてあってもよい。さらにそして、検測枠
Kをプラスチックによって一体成形によって形成してあ
ってもよい。
【0044】さらにそして、鉄筋保持部材3,17B,
18,19,21,24,26,28,30によって2
あるいはこれ以上の複数の鉄筋8を適宜の間隔をおいて
保持させるようにしてもよく、その場合、これらの鉄筋
保持部材に、図11に示すような安定保持部22を形成
してもよいことは言うまでもない。
【0045】さらにまた、格子枠の一つの辺に設けられ
る鉄筋8は必ずしも1本でなくても複数本でもよく、そ
の場合、鉄筋8の交点付近に4本の長目のアンカーを法
面5に打ち込み、鉄筋を井桁状に支承結束し、これを一
段あるいは数段重ねるようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】この発明は以上説明した通りであり、こ
の発明の検測枠は、構造が簡単であり、容易かつ安価に
製造できるとともに、その取扱いが簡単である。そし
て、検測枠に設けた鉄筋保持部材によって、格子状法枠
の中心部材となる鉄筋を安定に保持することができる。
【0047】また、前記検測枠を用いる法枠工法におい
ては、モルタルなどの吹き付けムラがなくなり、鉄筋の
まわりに所定の被り厚を有する規格通りの寸法および強
度を有するモルタルなどよりなる格子状法枠を容易に法
面に形成することができる。
【0048】さらに、請求項5に記載の発明によれば、
検測枠の構造が簡単であり、その保管や運搬における形
態がコンパクトになり、簡単に取り扱うことができる。
【0049】さらにそして、請求項6に記載の発明によ
れば、鉄筋をより安定に保持することができる。
【0050】さらにまた、請求項7に記載の発明によれ
ば、法面が盛土で形成されているような場合であって
も、検測枠の沈みを防止でき、前記モルタルなどよりな
る格子状法枠を所定寸法に確実に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の法枠工法の一例を示す図である。
【図2】前記工法の要部を示す図である。
【図3】前記工法の要部を示す正面図である。
【図4】この発明の検測枠の一例を示す斜視図である。
【図5】この発明の法枠工法によって形成される格子状
法枠の一例を示す縦断面図である。
【図6】この発明の法枠工法によって形成される格子状
法枠の他の例を示す縦断面図である。
【図7】この発明の検測枠の他の例を示す斜視図であ
る。
【図8】この発明の検測枠の他の例を示す斜視図であ
る。
【図9】この発明の検測枠の他の例を示す斜視図であ
る。
【図10】この発明の検測枠の他の例を示す斜視図であ
る。
【図11】この発明の検測枠の他の例を示す斜視図であ
る。
【図12】この発明の検測枠の他の例を示す正面図であ
る。
【図13】この発明の検測枠の他の例を示す正面図であ
る。
【図14】この発明の検測枠の他の例を示す正面図であ
る。
【図15】この発明の法枠工法によって形成される格子
状法枠の他の例を示す縦断面図である。
【図16】この発明の法枠工法によって形成される格子
状法枠の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1,23,25,27,29…第1部材、1B,25
B,27B,29B…脚部、2,17A…第2部材、
3,17B,18,19,21,24,26,28,3
0…鉄筋保持部材、4…沈み防止部、5…法面、6…網
状体、8…鉄筋、11…モルタルまたはコンクリート、
12…格子状法枠、22…安定保持部、K…検測枠。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−224(JP,A) 特開 昭63−289120(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 17/20 104

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 法面に網状体を敷設した後、この網状体
    上に鉄筋を格子状に配置し、この格子状鉄筋にモルタル
    またはコンクリートを吹き付けたモルタルまたはコンク
    リートよりなる格子状法枠の寸法を規制するために、前
    記鉄筋を跨ぐようにして、適宜の間隔をおいて配置さ
    れ、モルタルまたはコンクリートの吹き付け幅および吹
    き付け高さの目安となる法枠形成用の検測枠であって、
    所定の高さと幅とを有し、かつ、一対の脚部を有する正
    面視形状がM字状の一対の第1部材と、この第1部材の
    脚部の中間位置どうしを連結する一対の第2部材とを備
    えるとともに、一対の脚部を結ぶ方向に鉄筋保持部材を
    横設してなり、この検測枠に従ってモルタルまたはコン
    クリートが吹き付けられることを特徴とする法枠形成用
    の検測枠。
  2. 【請求項2】 法面に網状体を敷設した後、この網状体
    上に鉄筋を格子状に配置し、この格子状鉄筋にモルタル
    またはコンクリートを吹き付けたモルタルまたはコンク
    リートよりなる格子状法枠の寸法を規制するために、前
    記鉄筋を跨ぐようにして、適宜の間隔をおいて配置さ
    れ、モルタルまたはコンクリートの吹き付け幅および吹
    き付け高さの目安となる法枠形成用の検測枠であって、
    所定の高さと幅とを有し、かつ、一対の脚部を有する正
    面視形状が台形の一対の第1部材と、この第1部材の脚
    部の中間位置どうしを連結する一対の第2部材とを備え
    るとともに、一対の脚部を結ぶ方向に鉄筋保持部材を横
    設してなり、この検測枠に従ってモルタルまたはコンク
    リートが吹き付けられることを特徴とする法枠形成用の
    検測枠。
  3. 【請求項3】 鉄筋保持部材の両端を第1部材または第
    2部材に固着してある請求項1または2に記載の法枠形
    成用の検測枠。
  4. 【請求項4】 鉄筋保持部材の一端を第1部材の一方の
    脚部または第2部材に遊動自在に設け、他端を他方の脚
    部または対応する第2部材に係止させるようにしてなる
    請求項1または2に記載の法枠形成用の検測枠。
  5. 【請求項5】 鉄筋保持部材の両端を第1部材または第
    2部材に対して着脱自在に取り付けられるようにしてあ
    る請求項1または2に記載の法枠形成用の検測枠。
  6. 【請求項6】 鉄筋保持部材に鉄筋を安定に保持するた
    めの安定保持部を設けてある請求項1〜5のいずれかに
    記載の法枠形成用の検測枠。
  7. 【請求項7】 第1部材の下端部を折曲して沈み防止部
    を形成してなる請求項1〜6のいずれかに記載の法枠形
    成用の検測枠。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の検測枠
    を用いる法枠工法であって、法面に網状体を敷設した
    後、この網状体上に鉄筋を格子状に配置し、その後、第
    1部材が前記鉄筋を跨ぐようにして前記検測枠を配置
    し、さらに、鉄筋保持部材によって鉄筋および網状体を
    浮設保持した状態で、モルタルまたはコンクリートを吹
    き付けることを特徴とする法枠工法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載の検測枠
    を用いる法枠工法であって、法面に網状体を敷設した
    後、この網状体上に鉄筋を格子状に配置し、その後、第
    1部材が前記鉄筋を跨ぐようにして前記検測枠を配置
    し、さらに、鉄筋保持部材によって鉄筋を浮設保持した
    状態で、モルタルまたはコンクリートを吹き付けること
    を特徴とする法枠工法。
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