JP2546407B2 - ハイブリッド素子及びその製造方法 - Google Patents

ハイブリッド素子及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は一対の半導体チップを相互のバンプ電極同士
を対向させて電気的,機械的に結合するハイブリッド素
子及びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
半導体基板上に赤外線検出素子が配設されている光電
変換用半導体チップと、検出信号を処理する回路が形成
されたシリコンIC半導体チップとを数千点以上の対応す
るバンプで結合したハイブリッド型赤外線イメージセン
サーが知られている。こうしたバンプ結合は、例えば特
開昭59−155162号に示されているように、両チップのそ
れぞれ対応する位置にインジウム等の軟質金属からなる
円柱状のバンプ結合電極を形成し、目合わせして熱圧着
し、電気的かつ機械的に結合するものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
このとき、対応するバンプ電極同士は電気的,機械的
に充分に結合されなければならないが、従来のバンプ結
合電極では必ずしも充分ではなかった。一般に光電変換
用半導体チップでは温度を上げると素子特性が劣化する
ため、例えばHgCdTeでは印加できる温度は100℃以下に
制限される。一方、100℃以下で融解するものとしてガ
リウムや、インジウムとガリウムとの合金が知られてい
るが、バンプ形成プロセスの際の温度で融解してしまう
などの困難がある。従って通常はバンプ結合電極として
インジウムが用いられ、結合は融解ではなく、あくまで
も熱圧着によっている。しかし、このインジウムの表面
に酸化皮膜が形成されていると、加熱と加圧をしても酸
化皮膜は破れにくく、これが結合の邪魔をして導通不良
といった故障や、接触抵抗の増加からくるノイズの増大
といった特性の劣化、さらには両チップ間の剥離を招き
易い。
本発明の目的は、上記の欠点を解決し、充分に結合で
きるハイブリッド素子及びその製造方法を提供すること
にある。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するため、本発明に係るハイブリッド
素子においては、対向させた一対の半導体チップを電気
的に接続するパンプ結合電極を有するハイブリッド素子
であって、 前記バンプ係合電極は、前記一対の半導体チップに接
する基部がインジウムからなり、中間部がインジウムと
ガリウムとの合金からなるものであり、 さらに前記一対の半導体チップの周辺部を接着剤で機
械的に結合したものである。
また、本発明に係るハイブリッド素子は、一対の半導
体チップのそれぞれにインジウムからなるバンプ電極を
形成し、前記一対の半導体チップの少なくとも一方に、
ガリウムの薄膜を形成した平滑な基板を対向接触させて
前記バンプ電極の接触部すなわち頭部を合金化してから
前記平滑な基板を剥離した後、前記一対の半導体チップ
を対向して結合し、さらにその周辺部を接着剤で固定す
る製造方法により得られる。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。
第1図は本発明のハイブリッド素子の一実施例を示す
断面図であり、第2図はバンプ結合電極の拡大断面図で
ある。
対向させた一対の半導体チップ1,2は、バンプ結合電
極3によって電気的に接続し、周辺部を接着剤4で機械
的に結合している。またバンブ結合電極3は半導体チッ
プ1,2のそれぞれの電極5,6に接する基部7,8はインジウ
ムとし、中間部9はインジウムとガリウムとの合金とし
ている。ここで、バンプ結合電極3の高さは約20μm、
また中間部9のインジウムとガリウムとの合金厚さが約
2μm、組成比はインジウムが約16%の共晶組成として
いる。
良く知られているように、共晶組成のインジウムとガ
リウムとの合金の融点は約17℃と低く、通常の室温では
バンプ結合電極3の中間部9は融けた状態となってお
り、従来のインジウムのみのバンプによる結合での酸化
膜による電気的な接続不良の問題はない。一方、機械的
な結合強度は室温では周辺部の接着剤4が、また77Kに
冷却した動作時には接着剤4と固体化したバンプ結合電
極3が寄与するため、剥離の問題もない。さらに、この
インジウムとガリウムとの合金の中間部により、両半導
体チップの熱膨張率の差による熱ストレスの影響を受け
にくいという利点もあり、時間的な劣化もないものとな
っている。
次に、このバンプ結合電極の形成方法を説明する。
第3図(a)〜(g)は本発明のハイブリッド素子の
製造方法の一実施例を工程順に示す部分拡大断面図であ
る。
まず、第3図(a)に示すように従来の通常の形成方
法によって半導体チップ11の電極15上にインジウムから
なるバンプ基部17を形成する。次いで、第3図(b)に
示すように、ガリウムの薄膜20を形成した平滑な基板21
を対向接触させる。このとき、ガリウムの薄膜20は必ず
しも融解している必要はなく、温度は室温から35℃程度
としておけば良い。この状態で第3図(c)に示すよう
にガリウムの薄膜20とバンプ基部17の接触部25のインジ
ウムを合金化させた後、第3図(d)に示すように平滑
な基板21を剥離することで、頭部22がインジウムとガリ
ウムとの合金からなるバンプ電極23の形成が完了する。
一方半導体チップ12の電極16上には第3図(e)に示す
ようにインジウムのみからなるバンプ電極24を形成す
る。
ここで、高さ20μmのバンプ結合電極3を形成しよう
とする場合は、インジウムからなるバンプ基部17、及び
バンプ電極24の高さをそれぞれ10μm程度とし、ガリウ
ムの薄膜20の膜厚を1μm程度としておけば良い。ま
た、ガリウムの薄膜20とバンブ基部17のインジウムを合
金化させる時間としては、温度によっても変わるが、室
温で10分程度でよい。
次に、第3図(f)に示すように両半導体チップ11,1
2を向い合わせ、目合わせして各々の対応するバンプ電
極23,24を接触させることでバンプ電極が接続され、バ
ンプ結合電極13の形成が完了する。このとき、バンプ電
極23の頭部22のインジウムとガリウムとの合金は融けた
状態となっておりバンプ電極24のインジウムと容易に合
金化し、バンプ結合電極13の中間部19となる。尚、この
ままでも従来のような酸化膜の問題はなく、十分な電気
接続を行えるが、さらにこれを加熱,加圧することでよ
り完全に接続することができる。
最後に、第3図(g)に示すように、結合した両半導
体チップ11,12の周辺部を接着剤14で機械的に固定結合
し、ハイブリッド素子の製造が完了する。ここで接着剤
としては通常のエポキシ系接着剤でも、又やや弾力のあ
るシリコン系接着剤でも良い。
なお、以上の実施例では一方の半導体チップのバンプ
電極の頭部のみをインジウムとガリウムとの合金として
いるが、これを両方の半導体チップに適用しても全く同
様であることは言うまでもない。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、バンプ電極の接
続部をインジウムとガリウムとの合金としており、従来
のインジウムバンプ結合での酸化膜による接続不良がな
いため、電気的に充分に接続され、かつ機械強度の問題
もない。充分に結合されたハイブリッド素子が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のハイブリッド素子の一実施例を示す断
面図、第2図はバンプ結合電極の拡大断面図、第3図
(a)〜(g)は本発明のハイブリッド素子の製造方法
の一実施例を工程順に示しす部分拡大断面図である。 1,2,11,12……半導体チップ 3,13……バンプ結合電極、4,14……接着剤 5,6,15,16……電極、7,8,17……基部 9,19……中間部、20……ガリウムの薄膜 21……平滑な基板、22……頭部 23,24……バンプ電極、25……接触部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 27/146

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向させた一対の半導体チップを電気的に
    接続するパンプ結合電極を有するハイブリッド素子であ
    って、 前記パンプ結合電極は、前記一対の半導体チップに接す
    る基部がインジウムからなり、中間部がインジウムとガ
    リウムとの合金からなるものであり、 さらに前記一対の半導体チップの周辺部を接着剤で機械
    的に結合したことを特徴とするハイブリッド素子。
  2. 【請求項2】一対の半導体チップのそれぞれにインジウ
    ムからなるバンプ電極を形成し、前記一対の半導体チッ
    プの少なくとも一方に、ガリウムの薄膜を形成した平滑
    な基板を対向接触させて前記バンプ電極の接触部すなわ
    ち頭部を合金化してから前記平滑な基板を剥離した後、
    前記一対の半導体チップを対向して結合し、さらにその
    周辺部を接着剤で固定することを特徴とするハイブリッ
    ド素子の製造方法。
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