JP2544090Y2 - 苗植機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 本考案は苗植機、詳しくは、機
体に植付装置を昇降可能に支持し、かつ、該植付装置の
前後傾斜を調整可能とした苗植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種苗植機として、機体にトッ
プリンク及びロアリンクをもった昇降装置を介して植付
装置を昇降可能に支持すると共に、前記トップリンクの
中間部に、該トップリンクをその長さ方向に伸縮させて
リンクの支点間長さを変更し、前記植付装置の前後傾斜
を調整可能にする前後傾斜調整アクチュエータを設け
て、前記機体の前後傾斜などにより前記植付装置の圃場
の植付面に対する前後傾斜角度が所定範囲を越えたと
き、その傾きに応じて前記アクチュエータにより前記ト
ップリンクを伸長し前記植付装置を後傾姿勢方向に調整
動作したり、また、前記トップリンクを短縮し前記植付
装置を前傾姿勢方向に調整動作すべく構成したものが知
られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】所で、前記した前後傾
斜調整アクチュエータにより前記植付装置の前後傾斜を
調整するとき、前記植付装置の重心が後方にあって、植
付装置の荷重がトップリンクに対し引張力として作用し
ている。従って、前記アクチュエータによりトップリン
クを伸長して植付装置を後傾姿勢方向へ調整動作する場
合には、前記植付装置の荷重作用方向と前記アクチュエ
ータによるトップリンク伸長方向とが同一方向であるた
め、前記植付装置の荷重を利用してアクチュエータに大
きな負荷を作用させることなく調整動作させることがで
きるのであるが、前記アクチュエータによりトップリン
クを短縮して植付装置を前傾姿勢方向へ調整動作する場
合には、前記植付装置の荷重が作用する方向とアクチュ
エータによるトップリンクの短縮方向とが反対方向とな
るので、前記荷重に抗して前記植付装置を引上げなけれ
ばならず、このため、前記アクチュエータに大きな負荷
が作用して、該アクチュエータへの負担が大きくなり、
この結果、大型のアクチュエータを用いなければならな
いし、また前記アクチュエータの駆動部に摩損が生じ易
く、その耐久性が悪い問題があった。

【０００４】本考案の目的は、前後傾斜調整アクチュエ
ータに作用する植付装置の荷重による負荷を軽減する補
助ばねを用いて、植付装置の前傾姿勢方向への調整動作
時における前記アクチュエータへの負担を軽減でき、小
型のアクチュエータを用いることができ、またその駆動
部の摩損を抑え耐久性を向上できながら、しかも、前記
補助ばねによる前記アクチュエータに曲げなどの不要な
力が作用しないようにして、該補助ばねによる前記アク
チュエータの強度低下や耐久性の低下を防止できる苗植
機を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、以上の目的を
達成するために、機体１に、トップリンク７及びロアリ
ンク８をもった昇降装置９を介して植付装置６を昇降可
能に支持すると共に、前記トップリンク８とロアリンク
８との一方に、リンクの支点間長さを変更して前記植付
装置６の前後傾斜を調整可能とする前後傾斜調整用アク
チュエータ１７を設けた苗植機において、前記アクチュ
エータ１７を設け、支点間長さを変更可能とした前記リ
ンクに、前記アクチュエータ１７による前記植付装置６
の前傾姿勢方向への調整動作を補助する補助ばね２４，
２４を設けて、これら補助ばね２４，２４を、そのばね
力作用中心線が、前記アクチュエータ１７の作用中心線
にほゞ一致するように配設したのである。

【０００６】

【作用】前記補助ばね２４，２４により前後傾斜調整ア
クチュエータ１７に作用する植付装置６の荷重による負
荷を軽減でき、前記アクチュエータ１７で前記植付装置
６の前傾姿勢方向への調整動作を行う場合に、前記アク
チュエータ１７への負担を軽減できるのであり、また、
前記補助ばね２４，２４を、そのばね力作用中心線が、
前記アクチュエータ１７の作用中心線にほゞ一致するよ
うに配設することにより、前記補助ばね２４，２４によ
るアクチュエータ１７への曲げ作用を互いに打ち消し合
うように作用させることができ、これにより、前記補助
ばね２４，２４を用いても、これら補助ばね２４，２４
により前記アクチュエータ１７に曲げ等の力が作用する
のをなくし、不要な力の作用によるの強度低下や耐久性
の低下を抑えることができるのである。

【０００７】

【実施例】図３は本考案に係る苗植機を適用した乗用形
の田植機の全体構造を示しており、該図中、１は前方上
部側に原動機２を搭載した機体であって、該機体１の前
部側で左右両側に前車輪３を、また、後部側で左右両側
に前記原動機２で駆動される後車輪４を設け、機体１の
中間部上方には操縦部５を設けている。

【０００８】また、前記操縦部５の後方側には、植付爪
６１をもった植付ケース６２と、該植付ケース６２上に
搭載した苗載台６３及び前記植付ケース６２の下部に支
持したフロート６４などから構成される植付装置６を、
１本のトップリンク７と２本のロアリンク８，８とから
成る三点リンク機構をもった昇降装置９を介して昇降可
能に支持している。

【０００９】この昇降装置９としては、図１に示したよ
うに前記トップリンク７及び各ロアリンク８の一端部
を、前記機体１の後部フレーム１ａに枢支軸１０及び１
１を介して回動自由に支持し、他端部を、前記植付装置
６に設けるヒッチ６５に枢支軸１２及び１３を介して回
動自由に支持して三点リンク機構を形成する一方、前記
後部フレーム１ａに枢支される一方のロアリンク８に揺
動アーム１４を固定して、該揺動アーム１４の遊端部を
機体１の後部に設ける昇降用シリンダ１５の作動杆１６
に連動連結して、この昇降用シリンダ１５の伸縮動作に
より、前記揺動アーム１４を介してロアリンク８を枢支
軸１１を中心に上下揺動させ、つまり、前記三点リンク
機構を上下揺動させて前記植付装置６を上下動させるべ
く構成している。

【００１０】また、前記トップリンク７には、該トップ
リンク７の支点間長さ方向を変更して前記植付装置６の
前後傾斜を調整可能にする主としてモータから成る前後
傾斜調整アクチュエータ（以下モータと称す）１７を設
けている。

【００１１】この場合、図１及び２に示したように前記
トップリンク７を、前記モータ１７を備えたケーシング
から成る第１部材７１と、１対の対向板７２ａ，７２ａ
から成る第２部材７２とから形成して、これら第１部材
７１と第２部材７２のうち、第１部材７１を機体１の後
部フレーム１ａの前記枢支軸１０を介して支持すると共
に、また第２部材７２を植付装置６のヒッチ６５に枢支
軸１２を介して支持し、かつ、前記モータ１７のモータ
軸１８に螺軸１９を連動連結する一方、前記第２部材７
２における対向板７２ａ，７２ａの遊端部に前記螺軸１
９に螺合するナット体２０を支持筒２１を介して固定
し、前記モータ１７による前記螺軸１９の正逆回転によ
り前記ナット体２０を前記螺軸１９に対し螺進又は螺退
させることにより前記第１部材７１と第２部材７２を、
つまりトップリンク７を伸縮させ、該トップリンク７の
支点間長さ方向を変更すべく構成している。

【００１２】また、前記機体１と植付装置６には、圃場
面に対する前後傾斜角度を検出する振子センサー等の前
後傾斜検出センサー（図示せず）がそれぞれ設けられ、
これら各センサーによる検出結果に基づいて制御手段
（図示せず）により前記モータ１７を駆動制御し、前記
植付装置６の前後傾斜角度を調整すべく構成している。
しかして、以上のごとく構成する田植機において、図１
及び図２に示したごとく前記昇降装置９のトップリンク
７における第１部材７１の両側面で、前記モータ１７の
取付位置の外側方にばね取付孔２２ａをもつ支持片２
２，２２を設けると共に、第２部材７２の各対向板７２
ａ，７２ａの外側面にばね取付孔２３ａをもつ支持片２
３，２３を設け、かつ、前記各支持片２２のばね取付孔
２２ａに補助ばね２４の一端を、また支持ピン２３のば
ね取付孔２３ａに補助ばね２４の他端部を引掛けて、こ
れら各支持片２２，２３間に補助ばね２４，２４をそれ
ぞれ介装し、これら補助ばね２４，２４のばね力により
前記第１部材７１と第２部材７２とを近接方向に付勢し
て、前記モータ１７や螺軸１９及びナット体２０等の駆
動部に作用する植付装置６の荷重による負荷を軽減し、
前記モータ１７による前記植付装置６の前傾姿勢方向へ
の調整動作を補助する一方、前記支持片２２，２２及び
２３，２３を第１部材７１及び第２部材７２の外側面に
取付けるに際し、前記支持片２２，２２及び２３，２３
を前記アクチュエータ１７の作用中心線上で、かつ、左
右対称位置に配置し、これら前記各支持片２２及び２３
に前記補助ばね２４，２４を設けたとき、これら各補助
ばね２４，２４のばね力の作用中心線が、前記アクチュ
エータ１７の作用中心線にほゞ一致するように配設し、
前記補助バネ２４，２４による前記トップリンク７への
曲げ作用を互いに打ち消し合うように構成したのであ
る。

【００１３】また、前記補助ばね２４の取付位置として
は、前記した如く第１部材７１と第２部材７２の側方位
置に設ける構造に何ら限定されるものではなく、例えば
図４に示したごとく第１部材７１の上下位置に配設して
もよい。

【００１４】この場合、前記第１部材７１の上下位置に
ばね取付孔２５ａをもつ上下支持片２５，２５を設ける
と共に、第２部材７２の上下位置にばね取付孔２６ａを
もつ上下支持片２６，２６を設けて、これら支持片にお
ける上方２５，２５と下方支持片２５，２６との間にそ
れぞれ補助ばね２４，２４を配設するのである。

【００１５】さらに、前記補助ばね２４の取付位置の別
の実施例としては、図５に示したように、例えば前記補
助ばね２４の一方の引掛部を第１部材７１又は第２部材
７２の支持片に引掛け、他方の引掛部を第２部材７２の
回動支点である枢支軸１２または第１部材７１の回動支
点である枢支軸１０に設けてもよいし、また、前記第１
部材７１の枢支軸１０と第２部材７２の枢支軸１２とに
補助ばね２４を設けてもよい。

【００１６】尚、上記実施例では、前記前後傾斜調整ア
クチュエータ１７をトップリンク７に設けたものについ
て説明したけれども、前記アクチュエータ１７はロアリ
ンク８側に設けてもよい。この場合、前記植付装置６の
荷重は、ロアリンク８を圧縮する方向に作用するので、
該ロアリンク８を伸長方向に付勢させるように補助ばね
を設けるのである。

【００１７】また、前記アクチュエータ１７としてはモ
ータを用いる他、油圧シリンダを用いてもよい。

【００１８】本考案は以上のごとく構成するもので、機
体１を走行させて、植付装置６により苗植えを行う場
合、例えばフロートセンサー（図示せず）による植付深
さの検出結果により、昇降装置９における昇降シリンダ
１５を制御して、揺動アーム１４を介してロアリンク８
を上下揺動させ、これにより三点リンク機構を介して前
記植付装置６を昇降させ、該植付装置６による植付深さ
を一定にするように動作させる。

【００１９】一方、機体１側の前後傾斜により、植付装
置６側の圃場面に対する前後傾斜角度が設定値よりも大
きくなった場合、これを機体１及び植付装置６に設ける
前後傾斜検出センサー（図示せず）により検出して、そ
の検出結果に基づいて制御手段（図示せず）により前記
モータ１７を駆動制御し、植付装置６の前後傾斜角度を
調整するのである。

【００２０】つまり、前記前後傾斜検出センサーによる
検出結果により植付装置６が前傾し過ぎていると判断し
た場合には、前記モータ１７を逆回転することにより、
モータ１７のモータ軸１８に連動連結した螺軸１９に対
し前記ナット体２０を前記モータ１７から離れる方向に
螺退させることにより第１部材７１と第２部材７２とが
伸長されて、植付装置６を後傾姿勢に調整動作するので
あり、また、植付装置６が後傾し過ぎていると判断した
場合には、前記モータ１７を正回転させることにより、
前記螺軸１９に対しナット体２０をモータ側へ螺進さ
せ、第１部材７１と第２部材７２とを短縮して、植付装
置６を前傾姿勢に調整動作させるのである。

【００２１】そして、斯かる植付装置６の前後傾斜制御
を行う場合、前記第１部材７１と第２部材７２との間に
補助ばね２４，２４を設けて、これら補助ばね２４，２
４により前記第１部材７１と第２部材７２とに引張作用
を与えているので、前記モータ１７や螺軸１９及びナッ
ト体２０等の駆動部に作用する植付装置６の荷重による
負荷を軽減することができ、これにより、前記モータ１
７により前記植付装置６を前傾姿勢方向に調整動作する
ときに前記モータ１７や螺軸１９及びナット体２０等の
駆動部への負担を軽減できるのであり、この結果、前記
モータ１７や螺軸１９及びナット体２０等の駆動部の摩
損を抑え耐久性を向上できるのである。しかも、図１に
示すように１対の前記補助ばね２４，２４を、そのばね
力作用中心線が、前記アクチュエータ１７の作用中心線
にほゞ一致するように配設すると共に、前記作用中心線
を軸としてその左右位置に１８０°の位相角で対称状に
設けて、これら補助バネ２４，２４によるトップリンク
７への曲げ作用、つまりモータ１７や螺軸１９及びナッ
ト体２０等の駆動部への曲げ作用を互いに打ち消し合う
ように作用させているので、前記補助ばね２４，２４を
用いるも、前記補助ばね２４の曲げ作用が前記モータ１
７や螺軸１９及びナット体２０等の駆動部に対し一方に
偏って作用することがなく、従って、前記補助ばね２
４，２４による前記モータ１７や螺軸１９及びナット体
２０等の駆動部の強度低下や耐久性の低下を抑えること
ができるのである。

【００２２】また、図１，２又は４に示した実施例のご
とくトップリンク７の第１部材７１に支持片２２又は２
５を、また第２部材７２に支持片２３または２６を取付
け、これら支持片２２と２３又は２５と２６との間に補
助ばね２４，２４を設ける構造とした場合、前記トップ
リンク７に予め補助ばね２４，２４を組付けて１つの組
付け部品としてユニット化することができ、これにより
前記トップリンク７及び補助ばね２４，２４の後部フレ
ーム１ａ及びヒッチ６５への組付性を良好にできるし、
その上、前記ばね２４，２４がトップリンク７と一体で
あるため、前記補助ばね２４，２４のばね荷重が変化す
ることもないのである。

【００２３】尚、以上の実施例では本考案を田植機に適
用したものについて説明したけれども、この他例えば移
植機にも適用できる。

【００２４】

【考案の効果】以上の如く本考案は、機体１に、トップ
リンク７及びロアリンク８をもった昇降装置９を介して
植付装置６を昇降可能に支持すると共に、前記トップリ
ンク７とロアリンク８との一方に、リンクの支点間長さ
を変更して前記植付装置６の前後傾斜を調整可能とする
前後傾斜調整用アクチュエータ１７を設けた苗植機にお
いて、前記アクチュエータ１７を設け、支点間長さを変
更可能とした前記リンクに、前記アクチュエータ１７に
よる前記植付装置６の前傾姿勢方向への調整動作を補助
する補助ばね２４，２４を設けて、これら補助ばね２
４，２４を、そのばね力作用中心線が、前記アクチュエ
ータ１７の作用中心線にほゞ一致するように配設しもの
であるから、前記補助ばね２４により前後傾斜調整アク
チュエータ１７に作用する植付装置６の荷重を軽減し
て、前記アクチュエータ１７による前記植付装置６の前
傾姿勢方向への調整動作を行う場合に、前記アクチュエ
ータ１７の負担を軽減でき、これにより、小型のアクチ
ュエータを用いることができると共に、その駆動部の摩
損を抑え耐久性を向上できながら、しかも、前記補助ば
ね２４，２４を、そのばね力作用中心線が、前記アクチ
ュエータ１７の作用中心線にほゞ一致するように配設し
たことにより、前記補助バネ２４，２４による前記アク
チュエータ１７への曲げなどの不要な力を互いに打ち消
し合うように作用させることができ、この結果、前記補
助ばね２４，２４を用いるも、これら補助ばね２４，２
４のばね作用による前記アクチュエータ１７の強度低下
や耐久性の低下を抑えることができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す要部の側面図である。

【図２】同一部省略平面図である。

【図３】本考案苗植機を適用した田植機の全体側面図で
ある。

【図４】補助ばねの別の取付状態を示す説明図である。

【図５】補助ばねの別の取付状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 機体 ６ 植付装置 ７ トップリンク ８ ロアリンク ９ 昇降装置 １７ 前後傾斜調整アクチュエータ ２４ 補助ばね

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体１に、トップリンク７及びロアリン
   ク８をもった昇降装置９を介して植付装置６を昇降可能
   に支持すると共に、前記トップリンク８とロアリンク８
   との一方に、リンクの支点間長さを変更して前記植付装
   置６の前後傾斜を調整可能とする前後傾斜調整用アクチ
   ュエータ１７を設けた苗植機において、前記アクチュエ
   ータ１７を設け、支点間長さを変更可能とした前記リン
   クに、前記アクチュエータ１７による前記植付装置６の
   前傾姿勢方向への調整動作を補助する補助ばね２４，２
   ４を設けて、これら補助ばね２４，２４を、そのばね力
   作用中心線が、前記アクチュエータ１７の作用中心線に
   ほゞ一致するように配設していることを特徴とする苗植
   機。