JP2542845Y2 - 車両用灯具の取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は車両用灯具に関し、特に
灯具を車体に対して着脱容易に構成した車両用灯具の取
付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、車両用灯具を車体に取り付ける構
造として、図５に示すように、灯具ボディ１の背面に後
方に向けてファスナ３を突設し、このファスナ３を車体
パネル２に設けた穴に嵌合させることで灯具を車体パネ
ルに取り付ける構造が提案されている。図６はその一部
の拡大断面図であり、ファスナ３は略円筒状に形成され
て灯具ボディ１にネジ１２等により一体に取着されてお
り、その円筒部３ａの直径位置には外径方向に突出され
た嵌合爪４を設けている。

【０００３】そして、嵌合爪４を内径方向に弾性変形さ
せながら、ファスナ３を車体パネル２に設けた穴２ａに
挿通させた上で、車体パネル２の内側からファスナ３の
中空穴内にスクリュ９を螺合させ、このスクリュ９を嵌
合爪４の内側に当接させてその内径方向への変形を防止
させることで、ファスナ３が車体パネル穴２ａから離脱
されることを防止し、灯具が車体パネルから脱落される
ことを防止する。尚、灯具を取り外す場合には、前述と
逆の操作を行う。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】このような灯具の取付
構造では、ファスナ３が予め灯具ボディ１に固定的に取
着されているため、灯具ボディ１に対するファスナ３の
取着位置や、車体パネル２の穴２ａの開設位置等に誤差
が生じた場合には、ファスナ３と車体パネル穴２ａとの
対応位置にずれが生じ、ファスナ３が車体パネル穴２ａ
に嵌合することができなくなり、灯具を車体バネルに取
り付けることができなくなる。又、無理にファスナ３を
車体パネル穴２ａに嵌入させるとファスナ３が破損され
ることがあり、灯具の取付の信頼性が低下される等の問
題がある。本考案の目的は、灯具を適切に車体に取り付
けることを可能した灯具の取付構造を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案の取付構造は、灯
具ボディの背面部に後方に突出するように支持し、車体
パネルの穴に嵌合して灯具を車体パネルに取り付けるた
めのファスナが、灯具ボディに一体化されたカバー体に
よって灯具ボディに支持されており、かつこのファスナ
には車体パネルの穴に嵌入される円筒部と、この円筒部
の基部に設けられたフランジ部とが設けられ、前記カバ
ー体には前記円筒部よりも大径で前記フランジ部よりも
小径の穴が設けられ、前記ファスナは、そのフランジ部
が前記灯具ボディの背面部とカバー体との間に挟持さ
れ、かつ前記円筒部が前記カバー体の穴に挿通され、前
記円筒部の突出方向と直角な方向に移動可能に支持され
ている構成とされる。

【０００６】

【作用】ファスナと車体パネル穴との間に位置ずれが生
じた場合に、ファスナを突出方向と直角な方向に移動さ
せることで、両者の位置ずれを解消し、灯具の取り付け
を可能とする。

【０００７】

【実施例】次に、本考案について図面を参照して説明す
る。図１は本考案の一実施例の拡大断面図、図２はその
部分分解斜視図であり、図５に示した灯具の取付構造に
適用した例を示している。図１及び図２において、１は
灯具ボディ、２は車体パネルである。ファスナ３は円筒
部３ａを主体に形成され、この円筒部３ａの直径方向に
対向する２箇所には外径方向に変形可能な嵌合爪４を有
している。又、ファスナ３の基部には円形のフランジ４
を一体に設けている。

【０００８】一方、ファスナを支持する灯具ボディ１の
背面には、前記ファスナ３のフランジ５よりも大径の浅
い円形凹部６を形成する。この円形凹部６は開口部より
も内部の径寸法が若干大きくされた断面構造とされてい
る。又、円環状をしたカバー体７は周縁の複数箇所には
前記円形凹部６の開口縁に係合可能なランス構造の係合
片８を設けている。前記カバー体７には前記ファスナ３
のフランジ５よりも小径でファスナ３の円筒部３ａを挿
通可能な穴７ａが開設されている。

【０００９】この構成では、ファスナ３はフランジ５を
灯具ボディ１の円形凹部６に内装させた上で、ファスナ
３の先端側からカバー体７を挿通させ、カバー体７の係
合片８を円形凹部６の開口縁に係合させることで、フラ
ンジ５は円形凹部６の内底面とカバー体７との間に挟持
される。この状態ではカバー体７に設けた穴７ａがファ
スナ３の円筒部３ａの径よりも若干大きくしておくこと
で、ファスナ３はこの穴７ａの径寸法の範囲内で円形凹
部６の内底面に沿って、換言すればファスナ３の筒軸方
向（突出方向）と直角な方向に移動することができる。
この場合、係合片８の寸法を適宜に設定することで、カ
バー体７によりフランジ５を円形凹部６の内底面に押圧
させ、フランジ５とカバー体７或いは円形凹部６の内底
面との間に摩擦力を生じさせ、ファスナ３の前記した移
動に節度を持たせることができる。

【００１０】このようにファスナ３を灯具ボディ１に支
持させた上で、ファスナ３を車体パネル穴２ａに挿通さ
せる。このとき、嵌合爪４は中心方向に弾性変形してフ
ァスナ３の円筒部３ａの挿通を可能とする。その上で車
体パネル２の内方からスクリュ９をファスナ３の円筒部
３ａの先端開口内に螺合させると、スクリュ９が嵌合爪
４の内側に接触され、嵌合爪４が内方に弾性変形するこ
とを阻止し、ファスナ３が車体パネル穴２ａから脱落さ
れることを防止することができる。

【００１１】このとき、ファスナ３と車体パネル２の穴
２ａとの間に位置ずれが生じていても、ファスナ３は灯
具ボディ１の円形凹部６内で灯具ボディの背面に沿って
移動できるため、ファスナ３を車体パネル穴２ａに正対
させることができ、好適な取り付けが可能となる。尚、
灯具を車体パネル２から離脱させる際には、ファスナ３
からスクリュ９を外して嵌合爪４を内径方向に弾性変形
可能な状態とした後、ファスナ４を車体パネル穴２ａか
ら引き抜くことで可能となる。

【００１２】図３は本考案の他の実施例を示す要部の拡
大断面図、図４はその部分分解斜視図である。この実施
例では、ファスナ３は前記実施例と同じであるが、ファ
スナ３を灯具ボディ１に支持させる構造が相違してい
る。ここでは、灯具ボディ１の背面は平坦な状態とし、
この灯具ボディ１にファスナ３のフランジ５を覆うカバ
ー体７Ａをネジ１１によって固定している。このカバー
体７Ａは底面にファスナ３の円筒部３ａを挿通させる穴
７ａを有し、かつその内径がフランジ５よりも若干大き
な円形の浅皿状に形成され、その開口周縁の一部に設け
た耳部７ｂをネジ１１により灯具ボディ１に固定してい
る。

【００１３】この構成では、ファスナ３のフランジ５は
灯具ボディ１の背面とカバー体７Ａの内面との間で挟持
される一方、カバー体７Ａの内径寸法及び穴７ａの径寸
法によって灯具ボディ１の背面に沿って移動することが
可能となる。これにより、前記実施例と同様にファスナ
３と車体パネル穴２ａとの位置ずれをファスナ３の移動
によって解消し、好適な灯具の取り付けが可能となる。

【００１４】

【考案の効果】以上説明したように本考案は、灯具を車
体パネルに取り付けるためのファスナを、灯具ボディに
一体化されたカバー体によって、その突出方向と直角な
方向に移動可能に支持させているので、ファスナと車体
パネルの穴との間に位置ずれが生じている場合でも、フ
ァスナをその突出された方向と直角な方向に移動させる
ことで、ファスナを車体パネル穴に正対させることがで
き、好適な灯具の取り付けが実現できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の取付構造の要部の拡大断面図である。

【図２】図１の取付構造の部分分解斜視図である。

【図３】本考案の他の実施例の取付構造の要部の拡大断
面図である。

【図４】図３の取付構造の部分分解斜視図である。

【図５】ファスナを用いた灯具の取付構造を示す概略平
面図である。

【図６】従来の取付構造の斜視図である。

【符号の説明】

１ 灯具ボディ ２ 車体パネル ３ ファスナ ４ 嵌合爪 ５ フランジ ７，７Ａ カバー体 ９ スクリュ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 灯具ボディの背面部に後方に突出するフ
   ァスナを支持し、このファスナを車体パネルの穴に嵌入
   させて灯具を車体パネルに取り付ける取付構造におい
   て、前記ファスナは前記灯具ボディに一体化されたカバ
   ー体によって前記灯具ボディに支持されており、かつ前
   記ファスナには車体パネルの穴に嵌入される円筒部と、
   この円筒部の基部に設けられたフランジ部とが設けら
   れ、前記カバー体には前記円筒部よりも大径で前記フラ
   ンジ部よりも小径の穴が設けられ、前記ファスナは、そ
   のフランジ部が前記灯具ボディの背面部とカバー体との
   間に挟持され、かつ前記円筒部が前記カバー体の穴に挿
   通され、前記円筒部の突出方向と直角な方向に移動可能
   に支持されていることを特徴とする車両用灯具の取付構
   造。