JP2542835Y2 - エレベータの乗かごの振れ止め取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、乗かごの昇降に伴って
生じる揺動を防止するエレベータの乗かごの振れ止め取
付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】エレベータの乗かごの高さ寸法は、製作
段階で所定の仕様に決められているが、この高さ寸法を
顧客の要望で大きくすることがある。図４はこの種の従
来のエレベータの乗かごを示す正面図、そして、図５は
図４の乗かごの振れ止めの取付構造を示す要部拡大図で
ある。

【０００３】一般にエレベータの乗かご１は図４に示す
ように、側板２ａおよび天井２ｂを有するかご本体２
と、このかご本体２の周囲に配置され、かつ、剛性を有
するスリング３とが具備されている。また、乗かご１の
昇降に伴って生じる揺動を防止するため、スリング３に
係合する振れ止め４が備えられている。そして、従来の
振れ止め４の取付構造は図５に示すように、かご本体１
に溶接によって一体的に接続されている。なお、追加枠
２ｃは天井２ｂの高さを高くするために設けられた追加
仕様の枠であるが、この追加枠２ｃを設けために、かご
本体２と、スリング３を支持する支持部材５との間の空
間が狭くなっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のエレベータの乗かごの振れ止め取付構造では、振れ
止め４はかご本体１に溶接によって接続されているた
め、例えばスリング３と振れ止め４との係合が浅い場
合、溶接を除去して振れ止め４を矢印６の方向に移動さ
せ、再度溶接し直すという煩雑な作業を必要としてい
た。また、上述のように天井２ｂの高さを高くすること
に供なって、かご本体２と支持部材５との間の空間が狭
くなり、このため、振れ止め４を溶接する作業、場合に
よっては、溶接を除去して振れ止め４の位置決めを行
い、再溶接する作業が困難になるという問題がある。

【０００５】本考案はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、乗かごの天井を
高くした場合であっても、振れ止めの取付および位置調
整を容易に行うことのできるエレベータの乗かごの振れ
止め取付構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本考案は、かご本体の周囲に設けられるスリングに係
合する振れ止めを、上記かご本体の外側部分であって、
かつ、上記かご本体の側板と天井との接合部分に取付け
るようにしたエレベータの乗かごの振れ止め取付構造に
おいて、上記振れ止めを締結するブラケットを介し、上
記側板と上記天井を締結させるボルトを設けるととも
に、上記接合部分の近傍に位置する上記側板の部分に、
上記接合部分への上記ボルトの装着操作を許容させる開
口を設けた構成にしてある。

【０００７】

【作用】本考案は上記のように構成したので、スリング
に係合される振れ止めをかご本体に取付ける際、上記か
ご本体の側板に設けられた開口から工具等を挿入して、
ボルトにより上記振れ止めをかご本体に締結して行うよ
うになっており、また、上記振れ止めの位置調整は、上
記開口から工具等を挿入し、上記ボルトをゆるめて振れ
止めをスリングに近づく方向に、あるいは離れる方向に
移動させて行うようになっている。このように、振れ止
めをボルトにより上記開口を介して取付けることができ
るため、振れ止めの取付および位置調整を容易に行うこ
とができる。また、乗かごの天井を高くした場合でも、
上記振れ止めの取付けおよび位置調整を行う際に支持部
材の影響を受けることがなく容易に行うことができる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案のエレベータの乗かごの振れ止
め取付構造の実施例を図に基づいて説明する。

【０００９】図１は本考案のエレベータの乗かごの振れ
止め取付構造の一実施例を示す断面図、図２は図１の振
れ止め取付構造に備えられる開口の部分を示す正面図、
図３は図１の振れ止め取付構造を有する乗かごの正面図
である。なお、図１〜図３に示すものにおいて前述した
図４に示すものと同等のものには同一符号を付してあ
る。すなわち、１は乗かご、２はかご本体、２ａは側
板、２ｂは天井、２ｃは追加枠、３はスリング、５は支
持部材である。

【００１０】本実施例の振れ止め取付構造は図１に示す
ように、振れ止め１０をかご本体２へボルト１１を介し
て締結して行うようになっている。すなわち、振れ止め
１０の基部を形成するブラケット１０ａの上板１０ｂ
に、ボルト１１を挿入し、図１の左方が開放された切欠
き１０ｃを設けるとともに、かご本体２の天井２ｂに接
合する側板を形成する追加枠２ｃに一体に溶接された固
定金具１２の内部に、ボルト１１に螺合するねじを形成
している。すなわち、ボルト１１によって追加枠２ｃと
天井２ｂとの接合部分が締結されるようになっている。
また、図２に示すように、天井２ｂと追加枠２ｃとの接
合部分の近傍に位置する部分、すなわち追加枠２ｃ部分
に形成され、上述した接合部分へのボルト１１の装着操
作を許容させる開口１３を設けてある。また、開口１３
の裏面側に装着され、開口１３を閉塞する図示しないカ
バーを固定し、かつ、図示しないねじの挿入されるねじ
穴１４を有するプレート１５とを有している。

【００１１】この実施例にあっては、振れ止め１０をか
ご本体２に取付ける場合、図２に示すように開口１３を
露出した状態にし、振れ止め１０およびボルト１１をか
ご本体２の内部から開口１３に差し入れ、次いで、ボル
ト１１をブラケット１０ａの切欠き１０ｃに挿入し、こ
のボルト１１を固定金具１２に螺合させ、ボルト１１を
締め付けて振れ止め１０を固定金具１２に固定するよう
になっている。また、振れ止め１０とスリング３との係
合が十分でない場合は、ボルト１１をゆるめてブラケッ
ト１０ａを図１の左右方向に移動させ、十分に係合した
ところで再びボルト１１を締め付ければよい。さらに、
振れ止め１０の取付け後は、図２に示す開口１３に適合
する同等形状の図示しないカバーを開口１３に嵌め込
み、上記カバーに形成された図示しない穴と、プレート
１５に形成されたねじ穴１４とを対向させ、次いで、図
示しないねじをそれぞれに螺合させて、上記カバーを追
加枠２ｃに固定するようになっている。

【００１２】このように構成した実施例では、かご本体
２内からボルト１１および工具等を開口１３を通して差
し込むことにより、振れ止め１０をボルト１１を介して
取付けることができるため、この振れ止め１０の取付け
を容易に行うことができ、かつ、振れ止め１０の取付け
は、切欠き１０ｃの形成されたブラケット１０ａをボル
ト１１により固定して行うので、振れ止め１０の位置調
整もかご本体２内から容易に行うことができる。また、
乗かご１の天井２ｂを高くした場合でも、振れ止め１０
の取付けおよび位置調整をかご本体２内から開口１３を
利用して行うことができるので、スリング３の支持部材
５の影響を受けることなく容易に行うことができる。さ
らに、開口１３はカバーで閉塞されるので美観を損なう
ことがない。

【００１３】

【考案の効果】本考案は以上のように構成したので、乗
かごの天井を高くした場合であっても、振れ止めの取付
けおよび位置調整をかご本体内から側板に形成した開口
を利用して容易に行うことができ、したがって、従来に
比べて上記振れ止めの取付けおよび位置調整作業の能率
向上を図ることができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のエレベータの乗かごの振れ止め取付構
造の一実施例を示す断面図である。

【図２】図１の振れ止め取付構造に備えられる開口の部
分を示す正面図である。

【図３】図１の振れ止め取付構造を有する乗かごの正面
図である。

【図４】従来のエレベータの乗かごを示す正面図であ
る。

【図５】図４の乗かごの振れ止めの取付構造を示す要部
拡大図である。

【符号の説明】

１ 乗かご ２ かご本体２ａ 側板 ２ｂ 天井 ２ｃ 追加枠 ３ スリング １０ 振れ止め１０ａ ブラケット １０ｂ 上板 １０ｃ 切欠き １１ ボルト１２ 固定金具 １３ 開口

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 かご本体の周囲に設けられるスリングに
   係合する振れ止めを、上記かご本体の外側部分であっ
   て、かつ、上記かご本体の側板と天井との接合部分に取
   付けるようにしたエレベータの乗かごの振れ止め取付構
   造において、上記振れ止めを締結するブラケットを介
   し、上記側板と上記天井を締結させるボルトを設けると
   ともに、上記接合部分の近傍に位置する上記側板の部分
   に、上記接合部分への上記ボルトの装着操作を許容させ
   る開口を設けたことを特徴とするエレベータの乗かごの
   振れ止め取付構造。