JP2541364B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

感光性樹脂組成物

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JP2541364B2
JP2541364B2 JP3175141A JP17514191A JP2541364B2 JP 2541364 B2 JP2541364 B2 JP 2541364B2 JP 3175141 A JP3175141 A JP 3175141A JP 17514191 A JP17514191 A JP 17514191A JP 2541364 B2 JP2541364 B2 JP 2541364B2
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感光性樹脂組成物に関
し、より詳しくは、表面粘着がない感光性樹脂の組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】各種印刷用レリーフ版やサンドブラスト
用レリーフマスク、凸版、凹版、平版、装飾用図柄、フ
ォトレジスト、ディスプレー、ネームプレート等の分野
においては、従来より、可溶性高分子化合物、光重合性
不飽和化合物、および光重合開始剤を基本成分とする感
光性樹脂組成物が広く用いられてきた。例えば、レリー
フ版は、通常、次のようにして作成される。まず、感光
性樹脂組成物層が支持体上に設けられた原版にネガフィ
ルムまたはポジフィルムを通して露光を行うことによ
り、露光部分の感光性樹脂組成物を光硬化させて不溶化
する。次いで、未露光部分の感光性樹脂組成物のみを適
当な溶剤により溶解させて除去することによりレリーフ
版を得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の製版工
程で得られたレリーフ版は表面が粘着性を有することが
多く、特に、柔軟性に優れるレリーフ版の場合には表面
の粘着性が大きい。このような表面に粘着性を有するレ
リーフ版は、以下のような欠点がある。
【0004】レリーフ版の画像面同士が重なった場
合、剥すことが難しく、無理に剥そうとすると、支持体
が折れたり、画像が変形する。従って、このようなレリ
ーフ版を使用して印刷した際に良好な画像を得ることが
できない。
【0005】レリーフ版の画像面とネガフィルムとが
重なった場合、剥すことが難しく、無理に剥そうとする
と、ネガフィルムが折れる。
【0006】使用方法を説明する指図書などの紙とレ
リーフ版の画像面とが重なった場合、剥すことが難し
く、無理に剥そうとすると、紙が破れる。
【0007】紙に印刷する場合、レリーフ版表面にイ
ンクを付着させて紙上に印刷を行う場合に、紙を剥そう
とすると粘着力が大きいため紙が破れる。
【0008】このように、表面に粘着性を有するレリー
フ版を用いると、取扱作業性や印刷収率が非常に悪い。
このようなレリーフ版の表面の粘着性をなくすために以
下の方法が検討されてきた。
【0009】(1)露光時において、表面に微細な凹凸を
有するカバーフィルムを感光性樹脂組成物の層に被せ
て、その表面に凹凸を形成する方法。
【0010】(2)製版工程後、レリーフ版の画像表面に
各種コーティング剤を塗布する方法。
【0011】(3)製版工程後、レリーフ版の画像表面を
殺菌灯で処理いて、さらに樹脂を高分子化させる方法。
【0012】上記(1)や(3)の方法では、ある程度の効果
はあるが、充分ではなく、(2)の方法では、初期の効果
はあるが、効果が持続せず、さらにその製造にあたって
煩雑な工程が増加するため、生産性が低下する。
【0013】本発明は、上記の欠点を解決しようとする
もので、その目的は、製版後得られるレリーフ版の表面
の粘着性がなく、かつその持続性も高く、さらにレリー
フ版を煩雑な工程を経ることなく得ることができる感光
性樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の感光性樹脂組成
物は、可溶性合成高分子化合物、光重合不飽和化合物、
光重合開始剤および表面粘着防止剤を含有するものであ
って、光硬化後の前記感光性組成物においては、前記表
面粘着防止剤と、前記可溶性合成高分子化合物、前記光
重合性不飽和化合物および前記光重合開始剤を含む混合
物との相溶性が、光硬化前の相溶性に比べて低いことを
特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0015】次に本発明を詳しく説明する。
【0016】本発明の感光性樹脂組成物は、可溶性合成
高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤お
よび表面粘着防止剤を含有する。
【0017】本発明の感光性樹脂組成物を構成する樹脂
成分あるいは硬化して樹脂となる成分は、可溶性合成高
分子化合物および光樹脂合成不飽和化合物である。これ
らのうち可溶性合成高分子化合物は、例えば、塩基性窒
素原子を含有する化合物(例えば、塩基性窒素原子を含
有するポリアミド、特開昭53−36555号公報)、
アミド結合を有するジアミンと有機ジイソシアネート化
合物との付加重合体(特開昭58−140737号公
報)、アミド結合を有しないジアミンと有機ジイソシア
ネート化合物との付加重合体(特願平2−212117
号公報)、ポリエーテルアミド(特開昭55−7943
7号公報)、ポリエーテルエステルアミド(特開昭58
−117537号公報)、ポリビニルアルコール/エテ
レンオキシドグラフト重合体(特開平3−2757号公
報)などが挙げられる。これらのうち塩基性窒素原子を
含有する化合物は、四級化剤によりアンモニウム型化合
物となるので特に好ましい。上記四級化剤としては、プ
ロトン酸、金属塩、アルキルハロゲン化合物などの公知
のものを使用することができる。上記プロトン酸として
は、塩酸、硫酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、クロル酢
酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、アジピン酸、
アクリル酸、桂皮酸などの有機酸が挙げられる。上記可
溶性合成高分子化合物は、単独で使用しても良いが、2
種以上を併用しても良い。
【0018】上記可溶性合成高分子化合物の含有量は、
25〜95重量%が好ましい。可溶性高分子化合物の含
有量が25重量%未満の場合には、感光性樹脂に充分な
機械的強度が得られず、一方、含有量が95重量%を超
える場合には、光硬化性が悪くなり、得られる画像が不
鮮明となる。
【0019】本発明に使用される光重合性不飽和化合物
は、分子内に光重合可能な不飽和結合を1個以上含有す
る化合物であり、公知のものを使用することができる。
このような化合物としては、以下のものが挙げられる。
【0020】(i)1個の不飽和結合を有する化合物:
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、イタコン酸、桂皮酸、メチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ
−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)ア
クリレート、N,N´−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、脂肪族カルボン酸(あるいはその無水
物)と2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレートと
の反応によって得られるモノエステルカルボン酸、グリ
シジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド−n−ブチルエーテル、
ジアセトアクリルアミド、N−tert−ブチル(メ
タ)アクリルアミド、ナトリウム(メタ)アクリレー
ト、アンモニウム(メタ)アクリレート、アクリロニト
リル、スチレン、スチレンスルホン酸ソーダ、ビニルピ
リジン、グリシジル(メタ)アクリレートとモノアルコ
ールとの開環付加反応物、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸など。
【0021】(ii)2個以上の不飽和結合を有する化合
物:アリール(メタ)アクリレート、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオール
ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、トリ(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェイ
ト、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸と
(メタ)アクリル酸とのトリエステル、多価アルコール
のポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との開
環付加反応生成物[例えば、(ポリ)エチレングリコー
ルジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応
生成物、(ポリ)プロピレングリコールのグリシジルエ
ーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、1,6−
ヘキサメチレングリコールのジグリシジルエーテルと
(メタ)アクリル酸との反応生成物、グリセリンジグリ
シジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、
トリメチロールエタントリグリシジルエーテルと(メ
タ)アクリル酸との反応生成物、トリメチロールプロパ
ントリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反
応生成物、イソフタル酸ジクリシジルエーテルと(メ
タ)アクリル酸との反応生成物、イソプレンオリゴマー
のジカルボン酸のジグリシジルエーテルと(メタ)アク
リル酸との反応生成物等]、その他の活性水素化合物と
グリシジル(メタ)アクリレートとの開環付加反応生成
物[例えば、(ポリ)エチレングリコールとグリシジル
(メタ)アクリレートとの反応生成物、(ポリ)プロピ
レングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートとの
反応生成物、グリセリンとグリシジル(メタ)アクリレ
ートとの反応生成物、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応
生成物、トリメチロールエタンとグリシジル(メタ)ア
クリレートとの反応生成物、トリメチロールプロパンと
グリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、(メ
タ)アクリル酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの
反応生成物、脂肪族多価カルボン酸とグリシジル(メ
タ)アクリレートとの反応生成物、芳香族多価カルボン
酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、
第1級または第2級アミノ基を有する化合物とグリシジ
ル(メタ)アクリレートとの反応生成物等]、N,N´
−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N´−エ
チレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N´−プロピ
レンビス(メタ)アクリルアミド、N,N´−ヘキサメ
チレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N´−m−フ
ェニレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N´−m−
キシレンリビス(メタ)アクリルアミド、ジ(メタ)ア
クリルアミド−N−メチルエーテル、1,3−ビス
〔(メタ)アクリロイルアミノメチル〕尿素およびその
誘導体、1,3−ビス〔(メタ)アクリロイルアミノメ
チル〕1,3−ジメチル尿素およびその誘導体、1,3
−ビス〔(メタ)アクリロイルアミノメチル〕エチレン
尿素およびその誘導体、1,3−ビス〔(メタ)アクリ
ロイルアミノメチル〕トリメチレン尿素およびその誘導
体、トリアクリルホルマール、トリス(2−ヒドロキシ
エチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート、
1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダン
トインなど。
【0022】上記光重合性不飽和化合物は、単独で用い
ても良いが、2種以上併用してもよい。
【0023】上記光重合性不飽和化合物の含有量は、感
光性樹脂組成物中の上記可溶性合成高分子化合物100
重量部に対して5〜200重量部が好ましく、10〜1
50重量部が特に好ましい。光重合性不飽和化合物の含
有量が5重量部未満の場合、感光性樹脂組成物の光硬化
が不充分となり、現像時に溶媒に溶解しやすくなる。こ
れに対し、含有量が200重量部を超える場合、光硬化
後の感光性樹脂の機械的強度が低くなる。
【0024】本発明に使用される光重合開始剤は、上記
光重合性不飽和化合物の重合反応を開始、促進または強
化する化合物であり、従来公知の化合物を使用すること
ができる。このような化合物の例としては、以下のもの
が挙げられる。ベンゾフェノン類:ベンゾフェノン、p
−アミノベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノンな
ど。アンラキノン類:9,10−アントラキノン、1−
クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノンな
ど。ベンゾイン類:ベンゾインベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピ
ルエーテル、α−メチルベンゾインなど。ベンジル類:
ベンジル、ベンジルジメチルケタールなど。その他の化
合物:ベンジルリボメチルビン、硝酸ウラニル、ゲン化
合物、イオウ化合物など。
【0025】上記光重合開始剤の含有量は、特に制限は
ないが、0.01〜10重量%であることが好ましく、
0.05〜5重量%が特に好ましい。これらの光重合開
始剤を単独で用いても良いが、2種以上併用しても良
い。
【0026】本発明の組成物に含有される表面粘着防止
剤は、通常、液状の化合物であり、組成物の硬化前にお
いては、この化合物と組成物中の他の成分との相溶性が
高く、硬化後においては、相溶性が低い、化合物であ
る。このような化合物が含有されていると、光硬化前で
は、感光性樹脂組成物の他の成分との相溶性が良好であ
るため、他の成分と分離して感光性樹脂組成物層表面に
移行することがなく、他方、光硬化後では、感光性樹脂
組成物の他の成分との相溶性が低下するため、他の成分
と分離して感光性樹脂組成分層表面に移行し、膜を形成
する。従って、表面の粘着性がなくなる。
【0027】上記表面粘着防止剤の種類は、組成物中に
含有される上記可溶性合成高分子化合物および光重合性
不飽和化合物の種類により異なるが、分子内に1個以上
のエステル基を有するエステル化合物、アミンのポリア
ルキレングリコール付加物などが用いられる。
【0028】上記の分子内に1個以上のエステル基を有
するエステル化合物としては、例えば、下記一般式
〔I〕〜〔VII〕で示される化合物が挙げられる。
【0029】
【化1】
【0030】(ここで、R1は炭素数が3〜20のアル
キル基、R2は水素原子またはメチル基であり、kは1
〜25の整数である。)
【0031】
【化2】
【0032】(ここで、R3は炭素数が3〜20のアル
キル基、R4は水素原子またはメチル基であり、lは1
〜15の整数である。)
【0033】
【化3】
【0034】(ここで、R5は炭素数が3〜18のアル
キル基であり、mは1〜10の整数である。)
【0035】
【化4】
【0036】(ここで、R6は炭素数が3〜18のアル
キル基、R7は置換または無置換のシクロヘキサン環、
ベンゼン環またはナフタレン環である。)
【0037】
【化5】
【0038】(ここで、R8は炭素数が3〜18のアル
キル基、R9は置換または無置換のシクロヘキサン環、
ベンゼン環またはナフタレン環である。)
【0039】
【化6】
【0040】(ここで、R10は炭素数が3〜18のアル
キル基、R11は置換または無置換のシクロヘキサン環、
ベンゼン環またはナフタレン環である。)
【0041】
【化7】
【0042】(ここで、R12は炭素数が3〜18のアル
キル基、R13は炭素数が2〜15のアルキレン基であ
り、pは3〜10の整数、qは2〜10整数である。)
上記アミンのポリアルキレングリコール付加物として
は、例えば、下記一般式〔VIII〕で示される化合物が挙
げられる。
【0043】
【化8】
【0044】(ここで、R14は炭素数が3〜20のアル
キル基、R15は水素原子またはメチル基であり、rおよ
びsはr+sが1〜20の整数である。)これらの化合
物は単独で使用しても良いが、2種以上併用しても良
い。使用する化合物の種類は、光硬化後の樹脂成分との
相溶性や、得られるレリーフ版の表面の粘着防止付与効
果を考慮して、適宜選択することが望ましい。
【0045】上記表面粘着防止剤の含有量は、可溶性合
成高分子化合物および光重合性不飽和化合物などの他の
成分の種類や量により異なるが、0.1〜5.0重量%
であることが好ましく、0.5〜4.0重量%が特に好
ましい。含有量が0.1重量%未満の場合には、得られ
るレリーフ版表面の粘着防止効果がほとんどなく、5.
0重量%を超える場合には、レリーフ版表面の粘着防止
効果が充分であるが、画像形成工程までの保存期間中に
感光性樹脂組成物層の表面にブリードアウトし、その結
果、表面を覆っているカバーフィルムが剥離してしま
う。さらに、得られるレリーフ版の機械的強度が低下す
る。
【0046】本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応
じて熱重合禁止剤が添加され得る。熱重合禁止剤は、感
光性樹脂組成物の各成分を調合する時、調合された混合
物を用いてフォトレジスト板を製造する時、あるいはフ
ォトレジスト板を成形加工する時などの加熱による予定
外の熱重合あるいはこの組成物の保存中の暗反応を防止
するために用いられる。上記熱重合禁止剤としては、例
えば、以下のものが挙げられる。ハイドロキノン類:ハ
イドロキノン、モノ−tert−ブチルハイドロキノ
ン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ハ
ンドロキノンモノメチルエーテルなど。ベンゾキノン
類:ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキ
ノンなど。フェノール類。カテコール類:カテコール、
p−tert−ブチルカテコールなど。その他の化合
物:芳香族アミン類、ピクリン酸類、フェノチアジン、
α−ナフトキノン類、アントラキノン類、ニトロ化合物
類、イオウ化合物類など。これらの光重合開始剤を単独
で用いても良いが、2種以上併用しても良い。上記熱重
合禁止剤の含有量は、0.001〜2重量%が好まし
く、0.005〜1重量%が特に好ましい。
【0047】また本発明の感光性樹脂組成物中には、感
光性能、物性などを損なわない限り、他の添加剤、例え
ば、可塑剤、顔料、安定剤などが含有されていても良
い。
【0048】上記可溶性合成高分子化合物、光重合性不
飽和化合物、光重合開始剤および表面粘着防止剤、必要
に応じて熱重合禁止剤、可塑剤などのその他の添加剤の
混合は、公知の任意の方法に従って行うことができる。
例えば、所定の温度で加熱して上記可溶性合成高分子化
合物および光重合性不飽和化合物を溶融状態として各成
分を混合する方法、または各成分をアルコールなどの適
当な溶剤に溶解させて混合したのち溶剤を除去する方法
がある。各成分の混合の順序は特に限定されない。例え
ば、表面粘着防止剤を予め可溶性高分子化合物中に混合
した後に、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤と
混合する方法、表面粘着防止剤を光重合性不飽和化合物
と混合した後に可溶性高分子化合物および光重合開始剤
と混合する方法などが挙げられるが、どのような方法で
混合してもその本発明の組成物の表面粘着防止効果は変
わらない。
【0049】本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、熱
プレス、注型、溶融押し出し、溶液キャストなどの任意
の方法により所望の厚さの板、フィルム、または箔など
のシートとすることができる。このシートを公知の接着
剤を用いて、または用いずに支持体に接着することによ
り積層され得る。上記支持体としては、スチール、アル
ミニウム、ガラス、ポリエステルフィルムなどのプラス
チックフィルム、金属蒸着したフィルムなど任意のもの
を用いることができる。
【0050】このような感光性樹脂組成物の単独層、ま
たはこの感光性樹脂組成物層と支持体とからなる感光性
樹脂原版を用い、以下に示す通常の方法により、露光お
よび現像がなされる。まず、感光性樹脂組成物層に透明
画像部を有するネガフィルムまたはポジフィルムを密着
して重ね合わる。次にその上方から活性光線を照射して
露光を行うと、露光部のみが硬化し、溶剤に対して不溶
となる。ついで適当な溶剤により非露光部の感光性樹脂
組成物を溶解除去することによって、鮮明な画像部を有
するレリーフ版を得ることができる。
【0051】非露光部を溶剤除去する適当な溶剤として
は、例えば、水、アルカリ水溶液、低級脂肪族アルコー
ル、または水/アルコール混合液、水/アルコール/ベ
ンゼン混合液、塩化カルシウムまたは塩化亜鉛などの低
級アルコール溶液などが挙げられる。
【0052】
【作用】感光性樹脂組成物に含有される表面粘着防止剤
は、光硬化前では表面粘着防止剤以外の他の成分との相
溶性が良好であるが、光硬化後では相溶性が低いため、
感光性樹脂組成物層の表面に移行して膜を形成する。こ
の膜により、得られるレリーフ版の画像表面の粘着性を
極めて低くすることができる。
【0053】
【実施例】次に本発明を実施例および比較例を挙げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0054】実施例1 N,N´−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン4
5.0重量部と1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘ
キサン31.0重量部とをメタノール800重量部に溶
解させた。この溶液に、攪拌しながら、ポリエチレング
リコール(平均分子量600)600重量部とヘキサメ
チレンジイソシアネート370重量部とを反応させて得
られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレ
タンオリゴマー364重量部を徐々に添加して反応させ
た。約10分で反応は完了し付加重合体が形成された。
この反応液をテフロンコートされたシャーレに取り出
し、メタノールを蒸発除去させることにより付加重合体
を得た。この付加重合体は水溶性を示し、主鎖中にポリ
エーテルセグメントを54.0重量%含有し、比粘度は
1.76であった。
【0055】このようにして得られた重合体55重量部
をメタノール200重量部に溶解し、この溶液に、平均
分子量400のポリエチレングリコールのジグリシジル
エーテルとアクリル酸との開環付加反応によって得られ
たジアクリレート29重量部、N−ブチルベンゼンスル
ホンアミド15重量部、ハイドロキノンモノメチルエー
テル0.1重量部、ベンジルジメチルケタール1.0重
量部およびアジピン酸ジイソノニルエステル1.0重量
部を加えて感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0056】この感光性樹脂組成物の溶液をテフロンコ
ートされたシャーレに流延し、暗所でメタノールを蒸発
除去した。その後、さらに一昼夜40℃で減圧乾燥させ
ることにより厚さ800μmの感光性樹脂組成物のシー
トを得た。このシートを褐色顔料入りの接着剤を塗布し
た厚さ250μmのポリエステルフィルムに張り合わせ
た。さらにこの感光性樹脂組成物層の上に厚さ125μ
mのポリエステルフィルムを密着させ、110℃で熱プ
レスして感光性樹脂組成物層の厚さが約700μmの感
光性樹脂原版を作成した。次いでこの感光性樹脂原版か
らカバーフィルムを剥離し、感光性樹脂組成物層の表面
にネガフィルムを密着させ、ケミカルランプを用いて3
分間露光した。その後、感光性樹脂組成物層からネガフ
ィルムを剥離し、ブラシ式ウォッシャーを用いて中性水
にて2分25秒間現像し、乾燥後露光することによりレ
リーフ版を得た。得られたレリーフ版は原画を忠実に再
現しており、その表面の粘着性は3.0g/cm2であ
った。レリーフ版の表面の粘着性は、以下の方法により
測定した。
【0057】<表面粘着性評価>20℃でレリーフ版表
面に125μmのPETフィルムを重ね、50g/cm
の荷重をかけて10分間放置する。その後、500mm
/分の一定速度でPETフィルムを剥離し、その際の1
cm2当りの剥離力を測定した。
【0058】実施例2 アジピン酸ジイソノニルエステルの代わりにセバシン酸
ジオクチルエステルを使用したこと以外は実施例1と同
様にしてレリーフ版を得た。得られたレリーフ版は原画
を忠実に再現しており、その表面の粘着性は2.5g/
cm2であった。実施例3 アジピン酸ジイソノニルエステルの代わりにフタル酸ジ
ヘキシルエステルを使用したこと以外は実施例1と同様
にしてレリーフ版を得た。得られたレリーフ版は原画を
忠実に再現しており、その表面の粘着性は5.3g/c
2であった。
【0059】実施例4〜9 アジピン酸ジイソノニルエステルのかわりに、表1に示
す表面粘着防止剤を添加したこと以外は実施例1と同様
にしてレリーフ版を得た。得られたレリーフ版は原画を
忠実に再現していた。
【0060】比較例1 アジピン酸ジイソノニルエステルを使用しなかったこと
以外は実施例1と同様にしてレリーフ版を得た。得られ
たレリーフ版は原画を忠実に再現していた。
【0061】実施例4〜9及び比較例1で得られたレリ
ーフ版の表面粘着力、引張強度および引張伸度を測定し
た。その結果を表1に示す。レリーフ版の引張強度およ
び引張伸度は以下のように測定した。
【0062】<引張強度および引張伸度>JIS−K6
301のベンベル状1号形で打ち抜いたレリーフ版を2
0℃、67%RHで7日間調整し、引張試験検機RTM
−100(東洋ボールドウィン(株)製)を用いて引張
速度20mm/分で引っ張った。レリーフ版が切断され
た時の引張強度および引張伸度を測定した。
【0063】
【表1】
【0064】実施例10 ε−カプロラクタム500重量部、N−(2−アミノエ
チル)ピペラジン270重量部とアジピン酸305重量
部とのナイロン塩575重量部、および末端アミノ基化
剤(兼重合度調節剤)としてN−(2−アミノエチル)
ピペラジン40重量部を、オートクレーブ中で溶融重縮
合させることにより、両末端が実質的に第1級又は第2
級アミノ基である共重合ナイロンオリゴマー(平均分子
量約3050)を得た。このオリゴマーは比粘度1.4
0の微黄色透明で、アルコール可溶性であった。
【0065】これとは別にポリプロピレングリコール
(平均分子量1000)750重量部とヘキサメチレン
ジイソシアネート300重量部とを反応させて、実質的
に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマ
ーを得た。次に前記の共重合ナイロンオリゴマー92重
量部をメタノール200重量部に溶解し、この溶液に、
攪拌しながら50℃にて、前記のウレタンオリゴマー1
8重量部を徐々に添加して反応させた。約15分で反応
は完結した。この反応液は淡黄色透明で、粘度は約18
0ポイズ/gcm2であった。この溶液をテフロンコー
トされたシャーレに取り出し、メタノールを蒸発除去す
ることにより重合体を得た。得られた重合体は、分子内
にアミド結合、ウレタン結合及び尿素結合を有し、軟化
点85〜95℃、比粘度2.20の淡黄色半透明で、柔
軟かつ弾性を有し、中性水に実質的に不溶であった。
【0066】このようにして得られた重合体55重量部
をメタノール100重量部に溶解し、この溶液に、アジ
ピン酸(上記重合体の主鎖中のピペラジン環の塩基性第
3級窒素および末端アミノ基と4級塩を形成し、上記重
合体を水溶性化する)4重量部、ヒドロキシエチルメタ
クリレート20重量部、トリエチレングリコールジアク
リレート20重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテ
ル0.1重量部、ベンゾインジメチルケタール1.0重
量部およびアジピン酸ジイソノニルエステル1重量部を
加えて感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0067】この感光性樹脂組成物の溶液を用いて熱プ
レスの温度を100℃、ケミカルランプでを用いた露光
を4分間とし、中性水を用いた現像を2分15秒間とし
たこと以外は実施例1と同様にしてレリーフ版を得た。
得られたレリーフ版は原画を忠実に再現していた。
【0068】比較例2 アジピン酸ジイソノニルエステルを使用しなかったこと
以外は、実施例10と同様にしてレリーフ版を得た。得
られたレリーフ版は原画を忠実に再現していた。
【0069】実施例11 実施例1で調整された付加重合体55重量部をメタノー
ル100重量部に溶解し、この溶液にアジピン酸(上記
重合体の主鎖中のピペラジン環の塩基性第3級窒素およ
び末端アミノ基と4級塩を形成し、上記重合体を水溶性
化する)2.0重量部、平均分子量400のポリエチレ
ングリコールのジグリシジルエーテルとアクリル酸との
開環付加反応によって得られたジアクリレート27重量
部、N−ブチルベンゼンスルホンアミド15重量部、ハ
イドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部、ベンジ
ルジメチルケタール1.0重量部およびアジピン酸ジイ
ソノニルエステル1重量部を加えて感光性樹脂組成物の
溶液を得た。
【0070】この感光性樹脂組成物の溶液を用い、中性
水を用いた現像を3分15秒間としたこと以外は実施例
1と同様にしてレリーフ版を得た。得られたレリーフ版
は原画を忠実に再現していた。
【0071】比較例3 アジピン酸ジイソノニルエステルを使用しなかったこと
以外は、実施例11と同様にしてレリーフ版を得た。得
られたレリーフ版は原画を忠実に再現していた。
【0072】実施例12 数平均分子量600のポリオキシエチレングリコールの
両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元し
て得たα,ω−ジアミノポリオキシエチレンと、アジピ
ン酸との当モル塩55重量部、ε−カプロラクタム25
重量部、およびヘキサメチレンジアミンとアジピン酸と
の当モル塩20重量部を通常の条件で溶融重合して相対
粘度(ポリマー1gを抱水クロラール100mlに溶解
し、25℃で測定した)2.1のポリアミドを得た。
【0073】この重合体を用いて実施例1と同様にして
感光性樹脂組成物の溶液を得、次いで、これを用い、中
性水を用いた現像を3分30秒間としたこと以外は実施
例1と同様にしてレリーフ版を得た。得られたレリーフ
版は原画を忠実に再現していた。
【0074】比較例4 アジピン酸ジイソノニルエステルを使用しなかったこと
以外は、実施例12と同様にしてレリーフ版を得た。得
られたレリーフ版は原画を忠実に再現していた。
【0075】実施例13 ε−カプロラクタム15重量部、ヘキサメチレンジアミ
ンとアジピン酸との当モル塩15重量部、および数平均
分子量600のポリオキシエチレングリコールとアジピ
ン酸との当モルエステル70重量部を、テトラブチルチ
タネート触媒を用い、250℃減圧下にて、6時間反応
させて、相対粘度(ポリマー1gをオルトクロロフェノ
ール200mlに溶解し、25℃で測定した)1.65
のポリエーテルエステルアミドを得た。
【0076】この重合体を用いて実施例1と同様にして
感光性樹脂組成物の溶液を得、次いで、この溶液を用
い、現像を4分30秒間としたこと以外は実施例1と同
様にしてレリーフ版を得た。得られたレリーフ版は原画
を忠実に再現していた。
【0077】比較例5 アジピン酸ジイソノニルエステルを使用しなかったこと
以外は、実施例13と同様にしてレリーフ版を得た。得
られたレリーフ版は原画を忠実に再現していた。
【0078】実施例10〜13及び比較例2〜5で得ら
れたレリーフ版の表面粘着力、引張強度および引張伸度
を以下の方法により測定した。その結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】また実施例10と比較例2で得られたレリ
ーフ版の表面の粘着性の経時変化を調べた。その結果を
表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】表1、表2および表3より、実施例1〜1
3で得られたレリーフ版の表面の粘着性が低く、その持
続性が高く、かつ機械的強度が良好であることがわか
る。
【0083】
【発明の効果】本発明にの感光性樹脂組成物によれば、
このように、表面の粘着性がほとんどなく、かつその持
続性も大きいレリーフ版を提供することができ、かつ煩
雑な工程を経ることなく、機械的強度に優れた樹脂凸版
を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 7/035 G03F 7/035 7/037 7/037

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和
    化合物、光重合開始剤および表面粘着防止剤を含有する
    感光性樹脂組成物であって、 光硬化後の該感光性組成物においては、該表面粘着防止
    剤と、該可溶性合成高分子化合物、該光重合性不飽和化
    合物および該光重合開始剤を含む混合物との相溶性が、
    光硬化前の相溶性に比べて低い、感光性組成物。
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