JP2540957B2 - 薄膜二端子素子型アクティブマトリクス液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

薄膜二端子素子型アクティブマトリクス液晶表示装置及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、非線形抵抗素子を用いた薄膜二端子素子型
アクティブマトリクス液晶表示装置、特に、製造工程の
簡略化に関するものである。
〔従来の技術〕
近年ツイステッド・ネマチック型(TN型)を中心とし
た液晶表示装置(LCD)の応用が発展し、腕時計や電卓
の分野で大量に用いられている。それに加え、近年、文
字図形等の任意の表示が可能なマトリクス型も使われ始
めている。このマトリクス型LCDの応用分野を広げるた
めには、表示容量の増大が必要である。しかし、従来の
LCDの電圧−透過率変化特性の立ち上がりはあまり急峻
ではないので、表示容量を増加させるためにマルチプレ
ックス駆動の走査本数を増加させると、選択画素と非選
択画素との各々にかかる実効電圧比は低下し、選択画素
の透過率低下と非選択画素の透過率増加というクロスト
ークが生じる(偏光板をパラレルに配置したノーマリブ
ラックの場合)。その結果、表示コントラストが著しく
低下し、ある程度のコントラストが得られる視野角も狭
くなり、従来のLCDでは、走査本数は60本ぐらいが高画
質の限界である。最近、スーパー・ツイステッド・ネマ
チック型(STN型)といわれるものがあるが、コントラ
ストはTN型よりも優れているものの応答が遅いという大
きな欠点がある。
このマトリクス型LCDの表示容量を大幅に増加させる
ために、LCDの各画素にスイッチング素子を直列に配置
したアクティブマトリクスLCDが考案されている。これ
までに発表されたアクティブマトリクスLCDの試作品の
スイッチング素子には、アモルファスSiやポリSiを半導
体材料とした薄膜トランジスタ素子(TFT)が多く用い
られている。また一方では、製造及び構造が比較的簡単
であるため、製造工程が簡略化でき、高歩留まり,低コ
ストが期待される薄膜二端子素子(以下TFDと略す)を
用いたアクティブマトリクスLCDも注目されている。こ
のTFDは回路的には非線形抵抗素子である。
このような薄膜二端子素子型アクティブマトリクスLC
D(以下TFD−LCDと略す)において一番実用化に近いと
考えられているLCDはTFDに金属−絶縁体−金属素子(以
下MIM素子またはMIMと略す)を用いたLCD(以下MIM−LC
Dと略す)である。MIMのようなTFDを液晶と直列に接続
することにより、TFDの電圧−電流特性の高非線形性に
より、TFD−液晶素子の電圧−透過率変化特性の立ち上
がりは急峻になり、液晶表示装置の走査本数を大幅に増
やすことが可能になる。
このTFD−LCDの1画素の等価回路を第3図に示す。こ
の等価回路は、直列に接続された非線形抵抗素子12及び
液晶素子13と、両端に接続されたデータ信号線11および
走査信号線14とで表される。なお等価回路としては、デ
ータ信号線11と走査信号線14とが逆であってもよい。
このようにMIM素子の絶縁体層は、完全な絶縁体では
なく、非線形抵抗層とでも呼ぶべきものである。
TFD素子において、最も重要な材料は非線形抵抗層の
材料である。最も知られている絶縁体材料としては、酸
化タンタルが知られている。このようなTFDを用いたLCD
の従来例は、論文では、例えば、ディ・アールバラフ他
著(ジ・オプチマイゼイション・オブ・メタル・インシ
ュレータ・メタル・ノンリニア・デバイシズ・フォア・
ユース・イン・マルチプレクスド・リキッド・クリスタ
ル・ディスプレイズ),アイ・イー・イー・イー・トラ
ンザクション・オン・エレクトロン・デバイシズ,28巻,
6号,頁736−739,1981年発行)(D.R.Baraff,et al.,
“The Optimization of Metal−Insulator−Metal Non
−linear Devices for Use in Multiplexed Liquid Cry
stal Displays"IEEE Trans.Electron Devices,vol.ED−
28,pp736−739(1981))、及び、両角伸治他著,250×2
40画素のラテラルMIM−LCD テレビジョン学会技術報告
(IPD83−8),pp39−44,1983年12月発行)に代表的に
示される。
このようなTFD素子を大容量のディスプレイに適用す
るときに要求される特性は、素子を流れる電流(I)と
印加電圧(V)をI=A・Vaと表したときの非線形係数
aが大きいこと、電流電圧特性が印加電圧の極性に無関
係に正負対称であること及びTFD素子の容量が小さいこ
とである。ところが、酸化タンタルを用いたTFD素子は
対称性はよいが非線形係数が5〜6とそれほど大きくな
く、また誘電率も大きいため素子容量が大きい等の欠点
を有している。
そこで、誘電率の小さい窒化シリコンが、TFD素子用
非線形抵抗材料として開発されており、例えばエム ス
ズキ他(ア ニュー アクティブ ダイオード マトリ
クス エルシーディー ユージング オフ ストイキオ
メトリック SiNx レイヤー, プロシーディングス
オブ ザ エスアイディー 28巻 101−104頁,1987年発
行)(M.Suzuki et al.,“A New Active Diode Matrix
LCD using Off−stoichiometric SiNx Layer"Proceedin
gs of the SID,Vol.28 p101−104,1987))に記述され
ている。
これらの他に、非線形抵抗材料としては、シリコンカ
ーバイド等、種々の酸化物,窒化物,炭化物の材料が用
いられる。
これらの文献に示された従来型のTFD−LCDパネルの構
造の一例を以下に示す。窒化シリコン系TFD素子を用い
た構造の断面図を第4図に示し、酸化タンタル系TFD素
子を用いた構造のうち、TFD素子が形成されている基板
の平面図を第5図に示し、TFD−LCDのパネルの一部の透
視構造平面図を第6図に示す。
第4図は、非線形抵抗層6に窒化シリコンを用いたTF
D−LCDパネルの例であり、窒化シリコンは成膜後、エッ
チングにより所定の形にパターン化してある。なお第4
図において、1は下部ガラス基板、2は画素電極、3は
リード電極、4は画素接続電極、9は液晶層、8は対向
ストライプ電極、7は上部ガラス基板である。
第5図に示すように、陽極酸化による酸化タンタルを
用いた場合は非線形抵抗層6はリード電極3を覆う形に
なる。なお第5図において、10は上部電極である。第6
図に示すように、リード電極3は液晶セルの外まで引き
出され、端子部5を介して駆動回路に接続される。対向
ストライプ電極8は、リード電極3と直交し、画素電極
2にほぼ対応する幅でストライプ上にパターン化され、
駆動回路に接続される。リード電極3は、第3図に示す
データ信号線11または走査信号線14のいずれか一方に対
応し、対向ストライプ電極8はデータ信号線11または走
査信号線14の他方に対応する。
〔発明が解決しようとする課題〕
薄膜二端子素子(TFD)を用いたアクティブマトリク
スLCDは、製造及び構造が比較的簡単であるため、製造
工程が簡略化でき、低コスト化が期待され注目されてい
る。
本発明の目的は、TFD素子を用いたLCD(TFD−LCD)の
構造及び製造工程を更に簡略化し、低コスト化を実現で
きる、アクティブマトリクス液晶表示装置及びその製造
方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、薄膜二端子素子の一方の端子である画素接
続電極が画素電極に接続され、他方の端子がリード電極
に接続され、これら全てが素子基板上に形成され、この
素子基板が、液晶を介して、対向ストライプ電極が形成
されている対向基板と、直交する形で張り合わされた構
造の薄膜二端子素子型アクティブマトリクス液晶表示装
置において、 リード電極と非線形抵抗層が同じパターンであり、画
素接続電極がリード電極のパターンと画素電極のパター
ンの重なり部のみに形成されたことを特徴としている。
また本発明は、薄膜二端子素子が形成された素子基板
が、液晶を介して、対向ストライプ電極が形成されてい
る対向基板と、直交する形で張り合わされた構造の薄膜
二端子素子型アクティブマトリクス液晶装置の製造方法
において、 素子基板上に、透明電導体薄膜と金属薄膜とを連続形
成し、それらを画素接続電極を含む画素電極のマスクパ
ターンで金属薄膜,透明電導体薄膜の順でエッチング
し、その上に非線形抵抗層と金属電極とを連続形成し、
それらをリード電極のマスクパターンで金属電極,非線
形抵抗層の順でエッチングし、更に同一マスクで画素電
極上の金属電極もエッチングすることを特徴としてい
る。
〔作用〕
本発明によるTFD−LCDの製造方法では、使用するフォ
トマスクは、2枚のみである。従来例では、フォトマス
クは4枚必要であった。従って、露光工程が著しく簡略
になる。
また、本発明によるTFD−LCDでは、非線形抵抗層は、
金属電極で挟まれているので、外部からの光の影響を受
けることが殆ど無い。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例について説明する。
本実施例により得られる薄膜二端子素子を用いたアク
ティブマトリクスLCDの1画素の代表例の平面図を第1
図に示し、また、製造方法を断面図を用いて第2図に示
す。
まず、下部ガラス基板1上に、酸化インジウム−スズ
(通常ITOと呼ばれている)薄膜とクロム薄膜(約100n
m)とをスパッタ法で連続形成する。それを画素接続電
極を含む画素電極のマスクパターンでクロム薄膜,透明
電導体薄膜の順でエッチングし、画素電極2及び画素接
続電極4を形成する(第2図(a))。なお、下部ガラ
ス基板1をSiO2等のガラス保護層で被覆することも多い
が、不可欠なものではないので被覆を省略することもで
き、本実施例では省略している。
続いて、非線形抵抗層6として、SiH4ガスとN2ガスを
用いてグロー放電分解法により下部ガラス基板1及び画
素接続電極4上に窒化シリコン層を150nm形成した。こ
のときの窒化シリコン層を形成するときのガス混合比Si
H4/N2は0.08であった。更に連続して、クロム薄膜を約1
00nm形成する。続いて、マスクとしてレジスト15を形成
し、リード電極3のマスクパターンでクロム薄膜,非線
形抵抗層の順でエッチングし、非線形抵抗層6及びリー
ド電極3を形成する(第2図(b))。ここで、第6図
に示された従来例と同じく、リード電極3は外部に引き
出されて、同時に形成された端子部に接続される。
更に、同一のマスクを用いて、画素電極2の上のクロ
ム薄膜をエッチングすることで、素子基板は完成する
(第2図(c))。この素子基板では、リード電極3と
非線形抵抗層6が同じパターンであり、画素接続電極4
がリード電極のパターンと画素電極のパターンの重なり
部のみに形成されている。
続いて、上部ガラス基板7上にITO膜を形成、パター
ン化し、対向ストライプ電極8とした。これは第6図に
示した従来例のTFD−LCDパネルと同様であり、また通常
の単純マルチプレックスLCDとも殆ど同一である。下部
ガラス基板1と上部ガラス基板7とは対向処理を施した
のち、ガラスファイバ等のスペーサを介して張り合わ
し、通常のエポキシ接着剤によりシールした。セル厚は
5μmとした。
その後、TN型液晶を注入し液晶層9とした。これを封
止してTFD−LCDを完成した(第2図(d))。
本実施例を用いて形成された640×400素子のTFD−LCD
パネルの画像評価を行ったところ、コントラスト30:1以
上あったが、駆動電極は25Vであった。
以上の実施例では、TFDとしてSiNx系だけについて述
べたが、他のTFD材料にも、本実施例は用いることがで
きる。
〔発明の効果〕 本発明によるTFD−LCDの製造方法では、使用するフォ
トマスクは、2枚のみである。従来例では、フォトマス
クは4枚必要であった。従って、露光工程が著しく簡略
になる。
また、本発明によるTFD−LCDでは、非線形抵抗層は、
金属電極で挟まれているので、外部からの光の影響を受
けることが殆ど無い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるTFD−LCDの一実施例の断面図、 第2図は本発明による製造方法を示す素子基板の断面
図、 第3図はTFD−LCDの一般的な等価回路を示す図、 第4図〜第6図は従来のTFD−LCDの例を示したものであ
り、窒化シリコン系TFD素子を用いた構造の断面図を第
4図に示し、酸化タンタル系TFD素子を用いた構造のう
ち、TFD素子が形成されている基板の平面図を第5図に
示し、TFD−LCDパネルの一部の透視構造平面図を第6図
に示す。 1……下部ガラス基板 2……画素電極 3……リード電極 4……画素接続電極 5……端子部 6……非線形抵抗層 7……上部ガラス基板 8……対向ストライプ電極 9……液晶層 10……上部電極 11……データ信号線 12……非線形抵抗素子 13……液晶素子 14……走査信号線 15……レジスト

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄膜二端子素子の一方の端子である画素接
    続電極が画素電極に接続され、他方の端子がリード電極
    に接続され、これら全てが素子基板上に形成され、この
    素子基板が、液晶を介して、対向ストライプ電極が形成
    されている対向基板と、直交する形で張り合わされた構
    造の薄膜二端子素子型アクティブマトリクス液晶表示装
    置において、 リード電極と非線形抵抗層が同じパターンであり、画素
    接続電極がリード電極のパターンと画素電極のパターン
    の重なり部のみに形成されたことを特徴とする薄膜二端
    子素子型アクティブマトリクス液晶表示装置。
  2. 【請求項2】薄膜二端子素子が形成された素子基板が、
    液晶を介して、対向ストライプ電極が形成されている対
    向基板と、直交する形で張り合わされた構造の薄膜二端
    子素子型アクティブマトリクス液晶装置の製造方法にお
    いて、 素子基板上に、透明電導体薄膜と金属薄膜とを連続形成
    し、それらを画素接続電極を含む画素電極のマスクパタ
    ーンで金属薄膜,透明電導体薄膜の順でエッチングし、
    その上に非線形抵抗層と金属電極とを連続形成し、それ
    らをリード電極のマスクパターンで金属電極,非線形抵
    抗層の順でエッチングし、更に同一マスクで画素電極上
    の金属電極もエッチングすることを特徴とする薄膜二端
    子素子型アクティブマトリクス液晶表示装置の製造方
    法。
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