JP2540186Y2 - 外階段の段板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は外階段の段板に係り、詳
しくは乾式工法により施工される外階段の構成要素であ
る段板の改良技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】建造物の屋外側には複数の段板を敷設し
てなる外階段が設置されることがあるが、この外階段の
施工方法は大別すると、湿式工法と乾式工法とに区別さ
れる。湿式工法は、現場においてコンクリート打設する
ものであるのに対し、乾式工法は、予め製造されている
各構成要素を現場において組み立てるものである。この
乾式工法は通例においては、建造物の所要箇所に、二本
の簓桁を傾斜状に且つ並列に固定設置し、この双方の簓
桁に跨がるように踏面形成板と蹴込板とを順次止着して
いくものである。この場合、各踏面形成板及び蹴込板の
両側方には階段腰壁が存在しているのが通例である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の乾式工法によれば、各構成要素の寸法精度及び加工
精度を如何に高めても、踏面形成板及び蹴込板と階段腰
壁との間に必然的に隙間が生じ、この隙間に侵入した雨
水等は踏面形成板の裏面を伝わって例えば当該裏面の中
央部近傍に至り不特定箇所から下方スペース広面に宜っ
て滴下することに なり、このため階段下のスペースを物
置として有効利用できないという問題があった。

【０００４】本考案は上記諸事情に鑑みてなされたもの
であり、雨水等が外階段の構成要素を伝わって不特定箇
所から滴下するといった不具合を回避して階段下のスペ
ースの有効利用を図ることを技術的課題とするものであ
る。

【０００５】

【課題を解説するための手段】上記技術的課題を達成す
るための具体的手段とするところは、止着部材の嵌入に
よって補強部材上に止着されて載置固定される踏面形成
部と蹴込部を一体的に成形する外階段の段板において、
該段板の両側方から流下する雨水等が踏面形成部の裏面
の不特定箇所に伝わらないように、前記踏面形成部の裏
面における横方向両端部の当該踏面形成部の裏面の短辺
方向の全域に亘って水切用溝を形成したことにある。

【０００６】

【作用】上記技術的手段によると、段板の踏面形成部の
裏面における横方向両端部の当該踏面形成部の裏面の短
辺方向の全域に亘って水切用溝が形成されているので、
段板とその側方に設置されている階段腰壁との間に雨水
等が侵入して踏面形成部の裏面端部に伝わった場合に
は、前記水切用溝において雨水等の不特定箇所への伝流
が阻止されて当該雨水等は水切用溝の形成箇所で滴下す
ることになり、従って、水切用溝の直下に受け部を設け
ておけば、雨水等は受け部に確実に滴下収納されること
になり、不特定箇所への雨水等の滴下が防止されて外階
段下方のスペースの有効利用が図り得ることになる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。 本考案は，例えば図１に示すように、建造物１の
二階玄関口２への昇降を行うべく屋外側に設置した外階
段３に適用されるものである。

【０００８】図２及び図３に示すように、外階段の構成
要素である段板４は、踏面形成部４ａと蹴込部４ｂとが
一体的に成形されたものであり、例えばコンクリート材
料であるものである。そして、前記踏面形成部４ｂの裏
面における横方向両端部の当該踏面形成部の裏面の短辺
方向の全域に亘って、断面が台形状をなす水切用溝５，
５が形成されている。尚、この水切用溝５，５の断面形
状は、台形状に限定されるものではなく、半円形状や三
角形状等であっても差し支えない。また、前記踏面形成
部４ａには、鉛直方向に延びる複数（図例では２個）の
嵌入孔６，６が形成されており、この嵌入孔６，６は踏
面形成部４ａの裏面にのみ開口されている。

【０００９】前記段板４を用いて図１に示すような外階
段３を組立てる際の手順を以下に示す。 先ず、図４に示
すように、階段状に折曲成形された金属折板７と簓桁
８，８とを固着してなる補強ユニット（補強部材）９
を、建造物１の屋外側に設置すると共に、該補強ユニッ
ト９の両側における直側方に配置されるように金属製
（アルミ製）の幅木１０を、当該建造物１の縦壁部１ａ
に取付ける（一側方については不図示）。そして、前記
金属折板８の各段毎の上面に、ゴム等の弾性材料でなる
複数個のパッキン１１…１１を固着せしめると共に、図
５に示すように、段板４の蹴込板４ｂの上端面にも矩形
細長状のパッキン１２を貼着せしめる。

【００１０】次に、図６に示すように、前記金属折板７
の各段毎の上面に、パッキン１１…１１を介して段板４
…４を載置し、このような状態で図７に示すように、金
属折板７の裏側の形成された貫通孔１３…１３から段板
４の嵌入孔６…６に宜って植込ボルト（止着部材）１４
…１４を螺入し、図８に示すように金属折板７と段板４
…４とを締結固定する。この場合、上段側の段板４の踏
面形成部４ａ裏面と、下段側の段板４の蹴込部４ｂ上端
面とは、パッキン１２を介して密接した状態となる。

【００１１】一方、図９に示すように、建造物１の縦壁
部（階段腰壁）１ａに締結部材１５，１５を用いて固着
された幅木１０の下端縁には、長手方向に連続して延び
る受け溝１０ａが形成されている。従って、段板４と幅
木１０との間の隙間Ｘに流入した雨水等は、段板４の裏
面端部に形成された水切用溝５において右方への伝流が
阻止され、矢印Ｙで示すように幅木１０の受け溝１０ａ
に滴下する。このような作用は、段板４の右側方におい
ても同様に行われる。そして、このようにして幅木１０
の受け溝１０ａに滴下した雨水等は、当該受け溝１０ａ
に沿って斜め下方に流下し、外階段３の両側下端に集合
する。従って、この集合部に排水溝を設けておけば、雨
水等の処理が確実に行われる。 以上のような処理が行わ
れることにより、段板４の側方の隙間に流入した雨水等
が該段板４の踏面形成部４ａ裏面の不特定箇所に伝わり
該不特定箇所から外階段３の下方スペースに滴下すると
いった不具合が回避されることになる。

【００１２】

【考案の効果】本考案に係る外階段の段板は、上述の通
り構成されているので、以下に示す効果を奏する。

【００１３】即ち、踏面形成部の裏面における横方向両
端部の当該踏面形成部の裏面の短辺方向の全域に亘って
水切用溝が形成されているので、当該段板側方の隙間に
流入して踏面形成部の裏面に至った雨水等は、水切用溝
において裏面不特定箇所への伝流が阻止され且つ該水切
用溝から下方に滴下することになり、従って水切用溝の
直下方に受け部を設けておくことにより、前記雨水等は
受け部に確実に滴下収納され、不特定箇所に滴下すると
いった不具合が回避され、外階段の下方スペースを例え
ば物置として有効利用できることとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】外階段の設置状態の一例を示す建造物の要部斜
視図である。

【図２】段板の単体斜視図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線に従って切断した縦断正面図で
ある。

【図４】外階段の施工途中における状態を示す要部斜視
図である。

【図５】段板にパッキンが取付けられた状態を示す斜視
図である。

【図６】外階段の施工途中における状態を示す要部斜視
図である。

【図７】外階段の施工途中における状態を示す要部斜視
図である。

【図８】外階段の施工完了後における状態を示す要部縦
断側面図である。

【図９】外階段の施工完了後における状態を示す要部拡
大縦断正面図である。

【符号の説明】

３ 外階段 ４ 段板 ４ａ 踏面形成部 ４ｂ 蹴込部 ５ 水切用溝 ９ 補強部材 １４ 止着部材

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 止着部材の嵌入によって補強部材上に止
   着されて載置固定される踏面形成部と蹴込部を一体的に
   成形する外階段の段板において、該段板の両側方に伝わ
   って流下する雨水等が踏面形成部の裏面の不特定箇所に
   伝わらないように、前記踏面形成部の裏面における横方
   向両端部の当該踏面形成部の裏面の短辺方向の全域に亘
   って水切用溝を形成したことを特徴とする外階段の段
   板。