JP2537940Y2 - 小型巻上機の安全装置 - Google Patents

小型巻上機の安全装置

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JP2537940Y2
JP2537940Y2 JP8900391U JP8900391U JP2537940Y2 JP 2537940 Y2 JP2537940 Y2 JP 2537940Y2 JP 8900391 U JP8900391 U JP 8900391U JP 8900391 U JP8900391 U JP 8900391U JP 2537940 Y2 JP2537940 Y2 JP 2537940Y2
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宗介 高橋
等 小林
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日本ホイスト株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、荷の巻上用支持体に可
撓性平帯体を使用した、小型巻上機の安全装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、小型の巻上機としては、荷の巻上
用支持体にワイヤロープを用いた電気ホイストと、ロー
ドチェーンを用いた電気チェーンブロックが、広く使用
されている。
【0003】このような従来の巻上機において、前者の
ものでは、ドラムに対してワイヤロープを順次横方向に
巻き取っていくため、必要揚程を確保するにはドラムの
全長を長くしなければならず、また、ワイヤロープの寿
命を考慮した場合には、ドラムの直径やシーブの直径を
ある程度大きくしなければならないので、ヘッドルーム
寸法が必然的に大きくなり、併せて機体構造も大きくな
る欠点があった。
【0004】一方、後者のものでは、チェーンホイール
にロードチェーンを噛合させて順次巻き取っていくた
め、チェーンホイールが摩耗した場合には、巻取り音が
大きくなり、また、1本吊りであるため吊り荷が揺動し
やすく、巻上げ時の荷の安定性が悪いという欠点があっ
た。
【0005】このような従来の欠点を解消する小型の巻
上機として、荷の巻上用支持体に可撓性平帯体を使用
し、該可撓性平帯体をドラムの周面にうず巻き状に重ね
巻くようにした巻上機が、本願出願人によって案出さ
れ、既に実用新案登録出願されている(実開平2-52894
号及び実開平2-52895 号)。
【0006】このような巻上機において、可撓性平帯体
は、その一端部をドラムの周面に適宜手段で固着し、垂
下した途中部分にはフックブロックのシーブを渡架する
とともに、他端部はドラムを支持したケーシングに固着
して取付けられている。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】一般に巻上機では、フ
ックブロックを定められた上限で自動的に停止させるた
めに、巻過防止装置の取付けが義務付けられている。こ
れは、フックブロックの巻上げ過ぎによる、フックブロ
ックとケーシングとの衝突、巻上用支持体の切断等を防
止する為のもので、各種のものが実用化されている。
【0008】また、逆に、フックブロックを規定の揚程
だけ巻下げした場合には、ドラムに巻上用支持体が所定
のすて巻き分だけ残る必要が有る。このすて巻きとは、
巻上用支持体の巻きつけ効果によって、巻上用支持体の
取付け部分にかかる引張力を軽減させ、荷重により巻上
用支持体がドラムから引き抜かれないようにすることを
目的としたものである。すて巻きがなくなる状態で使用
すれば、巻上用支持体のドラム取付け部の破損、脱落な
どの事故が発生するばかりか、なお巻下げを続ければ巻
上用支持体が逆巻きとなり、巻過防止装置が作動しなか
ったり、巻上用支持体が損傷する等の問題点が懸念され
る。
【0009】本考案は、このような問題点を事前に防止
することを解決課題として為されたもので、荷の巻上用
支持体に可撓性平帯体を使用した巻上機において、その
揚程の上限と下限を感知して、確実に停止させる安全装
置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本考案は、上記課題を解
決するための手段として、荷の巻上用支持体に可撓性平
帯体を使用し、該可撓性平帯体をドラムにうず巻き状に
重ね巻くようにして荷を巻上げるようにした巻上機にお
いて、この巻上機のケーシング側にはセンサを設け、前
記可撓性平帯体の本体部には前記センサに感知する所要
数の被検出片を一体に設けるとともに、前記センサが前
記被検出片を感知することによって、前記巻上機の巻上
げ過ぎ及び巻下げ過ぎを防止するように構成したもので
ある。
【0011】
【作用】このような構成とすれば、フックブロックを巻
上げ及び巻下げをした際に、定められた揚程の上限と下
限にフックブロックが達した場合には、ケーシング側に
設けたセンサが、可撓性平帯体に設けられた被検出片を
感知して、巻上機の駆動回路を開路することにより、確
実に巻上機の作動を停止させることが出来る。
【0012】
【実施例】以下、本考案に係る安全装置を用いた巻上機
の概要を、図3及び図4に基づいて説明する。
【0013】この巻上機は、中央部に設けられたケーシ
ング1と、ケーシング1の一側面に設けられたマグネッ
トブレーキ内蔵の巻上用電動機2と、ケーシング1の他
側面に設けられた減速機3と、ケーシング1内に設けら
れたドラム4と、ドラム4の周面にうず巻き状に巻き取
られる可撓性平帯体5と、可撓性平帯体5の垂下される
途中部分に渡架されたフックブロック6と、前記電動機
2の制御用機器を内蔵した制御盤7等により概略構成さ
れる。尚、8はこの巻上機を走行させるトロリ(図示
略)に連結するための取付孔、9は可撓性平帯体5の巻
き取りを案内するガイド装置である。10はケーシング1
に設けられたセンサ保持機構で、その詳細は後述する。
【0014】図5において、この巻上機の内部構造を説
明する。
【0015】中央部に設けられたケーシング1の一側面
には、マグネットブレーキ内蔵の巻上用電動機(軸方向
空隙形)2が所要数のボルト11により固着される。この
電動機2は、ブレーキ機構Bを一体に組込んだもので、
モーターフランジ12とブレーキカバー13とに軸受14,1
5,16を介して両端を軸着した電動機軸17を有するもの
である。
【0016】次に、ケーシング1の他側面には、前記電
動機2の回転を減速する減速機3が所要数のボルト18に
より固着される。この減速機3は、ギヤーケース19とギ
ヤーケースカバー20内に、数段の減速歯車21を内蔵した
もので、その入力軸22の一端は、前記電動機軸17にスプ
ライン嵌合している。そして、この減速機3の出力軸23
は、前記ギヤーケース19に軸受24,25を介して支持さ
れ、その一端は前記ケーシング1内に突出される。
【0017】一方、ケーシング1の中央部には、前記モ
ーターフランジ12に軸受26を介して支持されたドラム4
が位置する。ドラム4は、中央部に設けられたボス部4
aと、その両外周端に設けられた適宜高さを有するフラ
ンジ部4b ,4bとで構成される。このドラム4のボス部4a
は、キー27によって前記出力軸23の端部に固着される。
これによって電動機2の駆動力は、減速機3を介してド
ラム4に伝達されることになる。
【0018】ドラム4の周面には、図5及び図6に示す
ように可撓性平帯体5がうず巻き状に重ね巻かれる。そ
して、この可撓性平帯体5は、図7及び図8に示すよう
に、適当な幅W1と厚さt1を有するもので、本体部5a
と、一端部を折返して縫製した縫製部5bと、折返しアイ
部5cとで構成される。尚、5dは、可撓性平帯体5の一端
近傍部に穿設された孔で、ベルト押え28の取付け小ねじ
29が挿通するものである。この可撓性平帯体5は、皮ベ
ルト、ゴムベルト、またはポリアミド系、ポリエステル
系及びポリプロピレン系マルチフィラメント糸で織布さ
れる合成繊維ベルト等で構成され、必要かつ十分なる強
度を有するものである。
【0019】このように構成された可撓性平帯体5の一
端部は、図6に示すように、前記ドラム4の周面に、ベ
ルト押え28と小ネジ29によって強固に緊結される。
また、可撓性平帯体5は他端アイ部5cは、前記ケーシ
ング1の一部に軸30を介して取付けられる。ドラム4
の巻取有効幅となるフランジ部4b,4bの間隔W2
は、前記可撓性平帯体5の幅W1より若干大きく形成さ
れる。また、フランジ部4b,4bの高さは、前記可撓
性平帯体5を所要回数うず巻き状に重ね巻いた時に、そ
の脱落が防止できる高さに形成される。このフランジ部
4b,4bは、可撓性平帯体5をドラム4の周面にうず
巻き状に重ね巻くべくその巻き取りを案内し、かつ脱落
を防止する機能を有する。
【0020】次に、センサ保持機構10について、図1及
び図2で説明する。ケーシング1には、中空部31を有す
るガイド部材32が適宜手段で固着される。このガイド部
材32の中空部31には、頭部33を有する摺動軸34が挿通
し、この摺動軸34の一端部には、断面コ字状の保持部材
35が固着される。この保持部材35には、転動ローラー36
が回転自在に支持される。そして、前記ガイド部材32と
保持部材35間には、コイルバネ37を介在させて、保持部
材35を常にドラム中心側に付勢する。これによって、転
動ローラー36は、ドラム4の周面にうず巻き状に重ね巻
かれる可撓性平帯体5の表面に当接することになり、ド
ラム4の回転に連動して回転することとなる。そして、
保持部材35の垂下部35aには、前記可撓性平帯体5に対
向して、センサ38が設けられる。このセンサ38は、非接
触方式の例えば近接スイッチで構成される。図1におけ
るセンサにおいて、38Aは巻上げ過ぎ感知用センサであ
り、38Bは巻下げ過ぎ感知用センサである。尚、センサ
保持機構10の取付位置は、可撓性平帯体5をその外方よ
り押圧するところであれば、特に限定されない。
【0021】一方、前述した可撓性平帯体5の本体部5
aには、前記センサに対応して被検出片39を一体に設け
る。そして、図1において、39Aは巻上げ過ぎ用被検出
片であり、39Bは巻下げ過ぎ用被検出片である。これら
被検出片39A及び39Bは、磁性体(例えば薄鉄片)また
は非磁性体(例えば薄アルミ片)で構成され、本体部5a
の表面に縫合等の適宜手段で、一体に設けられる。尚、
可撓性平帯体5を合成繊維ベルトで構成した場合には、
被検出片39A及び39Bは、本体部5aの内部へ一体に編み
込んで形成してもよい。巻上げ過ぎ用被検出片39Aの取
付位置は、フックブロック6を揚程の上限まで巻上げた
場合に、フックブロック6の上面とケーシング1の下面
との間隔が、法定寸法(クレーン等安全規則によれば、
直動式の場合50mm以上)の確保される位置とする。ま
た、巻下げ過ぎ用被検出片39Bの取付位置は、フックブ
ロック6を揚程の下限まで巻下げた場合に、ドラム4の
周面にうず巻き状に重ね巻かれる可撓性平帯体5に、所
定のすて巻き(図6における実施例であれば2巻)が確
保される位置とする。
【0022】そして、このように構成される小型巻上機
の駆動回路を図9で説明する。図9における主回路部分
において、巻上用電動機2には、上行用電磁接触器MC
1と下行用電磁接触器MC2の主接点(常開接点)が逆
並列に接続される。そして、操作回路部分において、操
作用押釦スイッチ40の上行スイッチS1には、巻上げ過
ぎ感知用センサ38Aの常閉接点、下行用電磁接触器MC
2の常閉接点の直列回路に、上行用電磁接触器MC1の
励磁コイルが接続される。同様に、操作用押釦スイッチ
40の下行スイッチS2には、巻下げ過ぎ感知用センサ38
Bの常閉接点、上行用電磁接触器MC1の常閉接点の直
列回路に、下行用電磁接触器MC2の励磁コイルが接続
される。
【0023】このように構成された本考案に係る巻上機
を使用する場合には、操作用押釦スイッチ40の上行スイ
ッチS1または下行スイッチS2を操作して、巻上用電
動機2に通電すると、ドラム4は減速駆動される。これ
により、ドラム4の周面に一端を固着した可撓性平帯体
5は、ドラム4の周面にうず巻き状に整然と重ね巻か
れ、フックブロック6に吊下された吊り荷(図示略)の
荷役作業を行なうことが出来る。
【0024】この時、フックブロック6が揚程の上限ま
で巻上げられた場合には、ケーシング側に設けた巻上げ
過ぎ感知用センサ38Aが、可撓性平帯体5に設けた巻
上げ過ぎ用被検出片39Aを感知することとなる。これ
によって、上行の操作回路に直列に設けた巻上げ過ぎ感
知用センサ38Aの常閉接点が開路して、巻上用電動機
2の駆動は停止し、巻上機の巻上げ過ぎが防止される。
【0025】次に、フックブロック6が揚程の下限まで
巻下げられた場合(すて巻きが無くなる状態)には、ケ
ーシング側に設けた巻下げ過ぎ感知用センサ38Bが、可
撓性平帯体5に設けた巻下げ過ぎ用被検出片39Bを感知
することとなる。これによって、下行の操作回路に直列
に設けた巻下げ過ぎ感知用センサ38Bの常閉接点が開路
して、巻上用電動機2の駆動は停止し、巻上機の巻下げ
過ぎが防止される。
【0026】このように構成された本考案に係る安全装
置において、請求項1記載の考案は巻上げ過ぎのみを防
止するようにしたものであり、請求項2記載の考案は巻
下げ過ぎのみを防止するようにしたものであり、請求項
3記載の考案は巻上げ過ぎと巻下げ過ぎの両方を防止す
るようにしたものである。
【0027】
【考案の効果】以上詳細に説明したように、本考案に係
る安全装置では、巻上機の使用状態において、定められ
た揚程の上限と下限にフックブロックが達した場合に
は、ケーシング側に設けたセンサが、可撓性平帯体に設
けた被検出片を感知して、巻上機の駆動回路を開路する
ことにより、確実に巻上機の作動を停止させることが出
来る。これによって、フックブロックの巻上げ過ぎや巻
下げ過ぎで使用されることが無くなり、フックブロック
とケーシングとの衝突、巻上用支持体の切断、巻上用支
持体のドラム取付け部の破損、脱落などの事故が未然に
防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る安全装置の要部正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本考案に係る安全装置を用いた巻上機の正面図
である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図4のV −V 線に沿う断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】可撓性平帯体を展開した正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】本考案に係る安全装置を用いた巻上機の駆動回
路図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 巻上用電動機 3 減速機 4 ドラム 5 可撓性平帯体 5a 本体部 38A 巻上げ過ぎ感知用センサ 38B 巻下げ過ぎ感知用センサ 39A 被検出片 39B 被検出片

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷の巻上用支持体に可撓性平帯体を使用
    し、該可撓性平帯体をドラムにうず巻き状に重ね巻くよ
    うにして荷を巻上げるようにした巻上機において、該巻
    上機のケーシング側にはセンサを設け、前記可撓性平帯
    体の本体部には前記センサに感知する被検出片を一体に
    設けるとともに、前記センサが前記被検出片を感知する
    ことによって、前記巻上機の巻上げ過ぎを防止するよう
    に構成したことを特徴とする小型巻上機の安全装置。
  2. 【請求項2】 荷の巻上用支持体に可撓性平帯体を使用
    し、該可撓性平帯体をドラムにうず巻き状に重ね巻くよ
    うにして荷を巻上げるようにした巻上機において、該巻
    上機のケーシング側にはセンサを設け、前記可撓性平帯
    体の本体部には前記センサに感知する被検出片を一体に
    設けるとともに、前記センサが前記被検出片を感知する
    ことによって、前記巻上機の巻下げ過ぎを防止するよう
    に構成したことを特徴とする小型巻上機の安全装置。
  3. 【請求項3】 荷の巻上用支持体に可撓性平帯体を使用
    し、該可撓性平帯体をドラムにうず巻き状に重ね巻くよ
    うにして荷を巻上げるようにした巻上機において、該巻
    上機のケーシング側には別体のセンサを二個設け、前記
    可撓性平帯体の本体部には前記それぞれのセンサに対応
    して感知する被検出片を一体に二箇所設けるとともに、
    前記センサが前記被検出片を感知することによって、前
    記巻上機の巻上げ過ぎ及び巻下げ過ぎを防止するように
    構成したことを特徴とする小型巻上機の安全装置。
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