JP2534165B2 - カラ―映像管 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、陰極線発光スクリー
ンに対して或る関係をもって懸架されている周辺フレー
ムに取付けられたシャドウマスクを有する型式のカラー
映像管に関し、特にそのような映像管内のマスク・フレ
ーム構体を懸架するための改良手段に関するものであ
る。

【０００２】

【発明の背景】現用カラー映像管の大部分の型において
は、シャドウマスクを支持する周辺フレームは、そのフ
レームに直接に、またはそのフレームに溶接されている
板材に溶接されたスプリングによりフェースプレートパ
ネル内に懸架されている。直接に溶接される形式では、
スプリングは普通バイメタル材料で作られ、対板材溶接
形式では、その板材自体がバイメタルになっている。ス
プリングまたは板材は、マスクからの熱がフレームを通
って伝達されることにより加熱状態になるにつれて、そ
のバイメタル材料を成す２金属層は異なった膨張をし、
そのためスプリングまたは板材を曲げてマスク・フレー
ム構体をパネルに設けたスクリーンの方に動かす。ま
た、スプリングに対抗して膨張するマスク・フレーム構
体の力の作用により、スクリーンに向けて上記と同じ運
動を起こさせるように、スプリングの幾何学的構造を選
択使用することも既に知られている。

【０００３】映像管の矩形フェースプレートパネル内に
マスク・フレーム構体を支持するには、３個または４個
のスプリングを使用するのが普通である。３スプリング
支持方式では、そのうちの１個のスプリングは普通マス
クの上辺中央に配置され、他の２個のスプリングは、マ
スク側面の中心とマスクの下辺の２つの角部の間に、映
像管の側面に沿って配置される。４スプリング支持方式
ではスプリングは普通マスクの上辺および下辺の各中
心、およびマスクの左右両辺の各中心に配置される。上
記のような３スプリングおよび４スプリングの両支持方
式においては、映像管の製造および／または動作中にマ
スク・フレーム構体は僅かにねじれてフェースプレート
に対し変位することが有り得る。

【０００４】マスク・フレーム構体のねじれおよび変位
を最少にするための既知の手段は、フレームの４つの角
部においてスプリング支持体を使用する方法である。そ
のような角部での支持を行なう形式の実施例が、１９８
８年２月２日付で曽根氏他に付与された米国特許第４，
７２３，０８８号および１９８８年３月１日付で曽根氏
他に付与された米国特許第４，７２８，８５３号に開示
されている。米国特許第４，７２３，０８８号は、各角
の頂部先端を切り取りその各角部に支持体を設けたマス
ク・フレームを開示している。この支持体は、３つのセ
クションを持った折曲げ板材である。その第１のセクシ
ョンは、フレームに溶接されており、第２のセクション
はこの第１セクションからある角度をなしてフェースプ
レートパネルのスカートの方向に延びている。第３のセ
クションは、第２セクションから延長した部分で、パネ
ルの側壁に埋め込まれた金属スタッド（突栓）に嵌合す
る開孔を含んでいる。

【０００５】米国特許第４，７２８，８５３号は、互い
に溶接された２個の部材を含むマスク・フレーム構体支
持体を開示している。その１つの部材は、平坦な板材の
形を有し、数個所の別々の点においてマスク・フレーム
に溶接されている。第２の部材は、３つのセクションを
含んでいる。その第１のセクションは、第１の部材に溶
接されている。第２のセクションは、上記第１の部分に
対し或る角度をなしており、開孔のある第３の部分は、
パネルの側壁に設けられている支持スタッドに係合す
る。従来技術による支持方式の多くが遭遇する問題は、
それらが衝撃および振動を受けたときに位置ずれを起こ
す可能性があることである。それ故この様な位置ずれを
受け易い性質を減少させるような改良を施す必要があ
る。この発明は、上記特許のマスク・フレーム構体支持
システムを使用して、衝撃および振動に影響されること
が一層少なくなるように映像管を改良するものである。

【０００６】

【発明の概要】この発明による改良されたカラー映像管
は、矩形のフェースプレートパネルを有する真空ガラス
外囲器を持っている。このパネルは、その内側周辺部の
互いに間隔を隔てた複数位置に配置された支持手段によ
って、そのパネル内に取付けられたシャドウマスク構体
を含んでいる。この支持手段は、シャドウマスク構体の
熱膨張の補償を行なう。その補償は、シャドウマスク構
体が膨張するにつれてシャドウマスク構体を映像管のス
クリーン側に向けて動かすことである。間隔を隔てた各
位置における支持手段は、ガラス外囲器に取付けられた
スタッド、スタッドに係合する開孔を有するスプリン
グ、およびこのスプリングとシャドウマスク構体の間に
溶接された板材を含んでいる。改良点は、必要な補償量
のほゞ半分を生成するようにシャドウマスク構体に対し
て或角度をなしているスプリングと、必要な補償量のほ
ゞ残りの半分を生成するように、バイメタル材料で構成
されかつ適切な厚さと長さを有する板材と、を組合わせ
たことである。

【０００７】

【詳細な説明と実施例】図１は、矩形ファンネル部１６
により接続されている矩形フェースプレートパネル１２
および管状ネック部１４から成るガラス外囲器１０を有
する矩形カラー映像管８を示す。パネル１２は、観察フ
ェースプレート１８およびファンネル部１６に封着され
た周辺フランジすなわち側壁２０から成っている。フェ
ースプレートパネル１２は、２つの直交軸を有し、長軸
Ｘは、（通常水平である）パネルの広幅方向に平行であ
り、短軸Ｙは、（通常垂直である）パネルの幅狭方向に
平行である。

【０００８】長軸および短軸は、ネック部１４の中心と
パネル１２の中心を通る映像管の中心長手軸Ｚに垂直で
ある。モザイク状３色蛍光体スクリーン２２が、フェー
スプレート１８の内表面に支持されている。このスクリ
ーンは、短軸Ｙに実質的に平行に延びる蛍光体線を有す
る線スクリーンであることが好ましい。また、スクリー
ンとしてはドット・スクリーンであってもよい。多孔色
選択電極すなわちシャドウマスク２４は、スクリーン２
２に対して所定の間隔を取って、改良された手段により
脱着可能に取付けられている。

【０００９】電子銃２６は、ネック部１４内の中心に取
付けられ、３本の電子ビームを発生してそれらをマスク
２４を通して集中通路に沿いスクリーン２２に投射す
る。図１の映像管は、ファンネル部とネック部との接合
部の近くに配置されたヨーク２８のような外部磁気偏向
ヨークと共に使用するよう設計されている。ヨーク２８
を付勢すると、ヨークは３本のビームに磁界を作用さ
せ、その磁界がビームを水平および垂直の双方向に偏向
させてスクリーン２２上に矩形ラスタを描かせる。

【００１０】シャドウマスク２４は、周辺フレーム３２
を有するマスク・フレーム構体３０の一部をなしてい
る。マスク・フレーム構体３０は、図１、２および３の
フェースプレートパネル１２内に配置された状態が示さ
れている。マスク・フレーム構体３０は、図２および３
に示す改良された４個の支持手段３４によりパネル１２
に取付けられている。フレーム３２は、Ｌ形断面構成を
なして実質的に直交する２つのフランジ、すなわち第１
フランジ３６と第２フランジ３８を有する。第１フラン
ジ３６は、第２フランジ３８からスクリーン２２に向か
う方向に延びている。第２フランジ３８は、第１フラン
ジ３６から映像管８の中心長手軸Ｚに向かう方向に延び
ている。フレーム３２の４個の各角部４２は、先端が切
り取られており、フレームの対角線方向にほゞ直角を成
している。

【００１１】シャドウマスク２４は、彎曲した開孔部分
２５、その彎曲開孔部分２５を囲む無孔境界部分２７、
およびその境界部分２７から後方に曲がり、スクリーン
２２から離れる方向に延びるスカート部２９を有してい
る。マスク２４は、フレーム３２内に望遠鏡式に嵌め込
まれるかまたはフレーム３２の内側にセットされ、第１
フランジ３６の内側表面に溶接されている。マスク・フ
レーム構体支持手段３４は、フレームとパネルの４つの
隅に含まれている。各支持手段３４は、スタッド４４、
スプリング４６および板材４８を有する。

【００１２】各スタッド４４は、パネル側壁２０に取付
けられた円錐形金属部材である。各板材４８は、その一
端付近で、先端を切取られたフレームの角部において、
フランジ３６に溶接されている。スプリング４６は、そ
の一端において、板材４８の他端に取付けられている。
各スプリング４６の自由端近くにある開孔５０がスタッ
ド４４の円錐部分に係合している。スプリング４６は３
つの部分５２、５４および５８を有する。第１の部分５
２は板材４８に平行であり、それに溶接されている。細
長い第２の部分５４は、上記第１の部分５２から延長し
て、映像管の中心長手軸Ｚに平行な面Ｃと鋭角βを成し
ている。第３の部分５８は、上記第２の部分５４から延
長して、スタッド４４の中心縦軸Ａにほゞ直角になって
いる。第３の部分５８は、中心の開孔５０を含む円形の
エンボス部分６０を有する。

【００１３】この実施例においては、エンボス部分６０
がオフセットを成している。このオフセットがあるので
細長い第２の部分５４は、開孔５０の中心と整列状態に
され、その結果第２部分５４の中心縦方向平面Ｂは、開
孔５０のほゞ中心においてスタッド４４の中心縦軸Ａと
交わる。このオフセットは、この様なオフセットの無い
スプリングの場合に、その細長い第２部分５４とスプリ
ング開孔・スタッド接触部との不整列のために、存在す
る可能性のある不所望なレバー・アームを無くすもので
ある。

【００１４】板材４８は、時にはクリップと呼ばれる
が、図３に断面で示すように積層バイメタル構造をなし
ている。フレームに面する一方の金属層４９は高熱膨張
材料であり、スプリングに面する他方の金属層５１は低
熱膨張材料である。スプリング４６および板材４８は、
各々、映像管の動作中マスクの熱膨張を補償するために
マスクをスクリーンに対して動かすのに必要な補償量の
ほゞ半分を負担する。このような補償は、マスク開孔を
電子ビーム経路に沿ってスクリーンの蛍光体素子と整列
状態に保つために必要である。

【００１５】上記の補償作用に対するスプリングの寄与
は、幾何学的な形状寸法によるものであり、スプリング
に対抗して膨張するマスクの力により生ずる。スプリン
グにより与えられる幾何学的補償の量は、スプリングの
第２部分５４が平面Ｃとなす角βに関係する。板材によ
り与えられる熱的補償量は、その板材の厚さと、両金属
層４９と５１との熱膨張係数の差とに関係する。

【００１６】アスペクト比が４対３で、矩形観察スクリ
ーンの対角線が７９ｃｍ（３１インチ）であるような映
像管に対する好ましい実施例においては、カーペンタ・
カスタム（Ｃａｒｐｅｎｔｅｒ Ｃｕｓｔｏｍ）４５５
ステンレス鋼製の厚さが０．０６３５ｍｍ（０．０２５
インチ）で角度βが１５度のスプリングを、スチール製
シャドウマスク用には厚さが０．１８５４ｃｍ（０．０
７３インチ）、長さが３．１６５ｃｍ（１．２４６イン
チ）のバイメタル板と組合わせて、またインバーシャド
ウマスク用には厚さが０．１５７５ｃｍ（０．０６２イ
ンチ）、長さが３．１６５ｃｍ（１．２４６インチ）の
バイメタル板と組合わせて使用する。

【００１７】別の実施例では、アスペクト比が１６対９
で矩形観察スクリーンの対角線が８６ｃｍ（３４イン
チ）である映像管およびアスペクト比か４対３で矩形観
察スクリーンの対角線が８９ｃｍ（３５インチ）である
映像管の両方に対し、カーペンタ・カスタム４５５ステ
ンレス鋼製の、厚さが０．０７８７ｃｍ（０．０３１イ
ンチ）のスプリングを、厚さが０．１５２４ｃｍ（０．
０６０インチ）で長さが３．８８６ｃｍ（１．５３０イ
ンチ）のバイメタル板と組合わせて使用される。カーペ
ンタ・カスタム４５５ステンレス鋼は、映像管製造工程
中遭遇する熱処理に対し他の金属よりも良好な応答を示
すので選択された。バイメタル板は、高膨張率の３００
シリーズステンレス鋼と低膨張率のインバから成ってい
る。

【００１８】マスクの膨張に対する幾何学的な寸法形状
による完全な補償はスプリングの第２部分５４の平面Ｂ
が、最大偏向時における電子ビーム経路とほゞ直角にな
るまで、スプリングの角度βを増すことにより映像管内
で行なうことができる。しかし、スプリングの角度をこ
の大きさにしたときの難点は、例えばスプリングが中心
長手軸Ｚ方向の衝撃を受けたときにスプリングが経験す
る釣合い応力レベルだけでなく、機械的な力およびスタ
ッド４４を中心とした回転モーメントが許容できない程
大きいということである。従って全面的な幾何学的寸法
形状による補償を使うことは望ましくない。板材を利用
する全面的な熱補償もまた望ましくないが、これは本質
的に異なった理由のためである。もしバイメタル板を使
って全面的な補償を行なう場合には、マスク支持手段の
構造を大幅に修正しなければならないことになる。今ま
でのところでは、図３に示す設計のみならず映像管動作
中に遭遇する種々の力、モーメント、応力および衝撃等
に関する必要な補償条件を満足させることのできる別の
支持手段は開発されていない。

【００１９】この発明は、４隅で取付けたシャドウマス
クを有する映像管に関して説明したが、この発明は、映
像管フェースプレート内にその長軸と短軸に沿って取付
けられたシャドウマスクを有する受像管にも適用できる
ものと理解すべきである。更にこの発明は、シャドウマ
スクの周辺補強材が、別個のフレームを使用することな
くマスクと一体的に設けられた受像管にも適用できる。
なお更にこの発明は、４個所以外の支持位置を持つマス
ク支持方式にも適用できる。本文中には「ほゞ半分」と
いう表現が使用されているが、この表現は広く解釈され
るべきであり、５０％±１５％を包含するものと理解す
べきである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明を実施したカラー映像管の軸断面にお
ける側面図である。

【図２】図１の映像管のフェースプレートパネルとマス
ク・フレーム構体の一象限における底面図である。

【図３】この発明によるスプリング、板材およびスタッ
ドの平面図である。

【符号の説明】

８ カラー映像管 １０ 真空ガラス外囲器 １２ 矩形フェースプレートパネル ２２ スクリーン ３０ シャドウマスク構体 ３４ 支持手段 ４２ 周辺部で間隔を隔てた位置 ４４ スタッド ４６ スプリング ４８ 板材 ５０ 開孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−65649（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−195636（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−159166（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 矩形フェースプレートパネルを有する真
   空ガラス外囲器を含むカラー映像管であって、 上 記パネルは、その内部周辺に互いに間隔を隔てた複数
   位置に配置された支持手段によりこのパネル内に取付け
   られたシャドウマスク構体を有し、 上 記支持手段は、上記シャドウマスク構体の熱膨張に対
   して、上記シャドウマスク構体が膨張するとこのシャド
   ウマスク構体を上記映像管のスクリーンの方へ動かす形
   で補償を行なうものであり、上記間隔を隔てた各位置に
   おける上記支持手段は、上記ガラス外囲器に取付けられ
   たスタッド、このスタッドに係合する開孔を有するスプ
   リング、およびこのスプリングと上記シャドウマスク構
   体の間に溶接された板材を含むものであり、上記スプリングは、上記映像管の中心長手軸に平行な面
   と鋭角の角度をなす長手部分を有し、上記角度は、上記
   スクリーンに向かう上記シャドウマスク構体の必要な補
   償の動きのほぼ半分を生じるような値であり、 上記板材は、上記シャドウマスク構体に面する高熱膨張
   材料の第１の金属層と上記スプリングに面する低熱膨張
   材料の第２の金属層とからなり、上記第１と第２の金属
   層は、上記スクリーンに向かう上記シャドウマスク構体
   の上記必要な補償の動きのほぼ残りの半分を生じるよう
   な厚さと長さとを有する ことを特徴とする、カラー映像
   管。