JPH07169408A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 相対的に低熱膨張のマスク本体29と相対的に
高熱膨張のマスクフレーム30とからなるほぼ矩形状のシ
ャドウマスクがパネルに設けられたスタッドピン32と、
マスクフレームの対角部に取付けられた弾性支持体31と
により支持されてなるカラー受像管において、弾性支持
体を、スタッドピンに係合する係合部33、マスクフレー
ムに固定される固定部34およびこれら係合部と固定部と
を連結する可動部35とで構成し、この可動部の係合部側
端部がスタッドピンの中心軸に対して蛍光体スクリーン
側に位置し、固定部側がその反対側に位置する構造に形
成した。 【効果】 相対的に低熱膨張のマスク本体と相対的に高
熱膨張のマスクフレームとからなるシャドウマスクを有
するカラー受像管の長時間ピュリテイドリフトを適正に
補正することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カラー受像管に係
り、特にシャドウマスクを支持する弾性支持体の構造を
改良したカラー受像管に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラー受像管は、図５に示すよう
に、周辺部にスカート部１が設けられたほぼ矩形状のパ
ネル２の内面に形成された青、緑、赤に発光する３色蛍
光体層からなる蛍光体スクリーン３に対向しかつ所定間
隔離れて、その内側にほぼ矩形状のシャドウマスク４が
配置され、このシャドウマスク４により電子銃５から放
出された３電子ビーム６を選別して、３色蛍光体層に入
射させる構造に形成されている。そのシャドウマスク４
は、多数の電子ビーム通過孔の形成されたマスク本体８
とこのマスク本体８の周辺部に取付けられたマスクフレ
ーム９とからなり、パネル２のスカート部１に設けられ
た複数個のスタッドピン１０とこのスタッドピン１０に
係止するマスクフレーム９に固定された複数個の弾性支
持体１１とにより支持されている。

【０００３】その弾性支持体１１として、帯板状のもの
を用い、これをほぼ矩形状のマスクフレーム９の各辺の
中央部に固定したものがあるが、この帯板状の弾性支持
体１１のかわりに、図６に示すように、パネル２のスカ
ート部１に設けられたスタッドピン１０に係合する係合
部１３、マスクフレーム９に固定される固定部１４およ
びその係合部１３と固定部１４とを連結する可動部１５
からなるほぼＶ字形に形成し、これをマスクフレーム９
の各対角部に固定したものが、特開昭６１−２２５７３
８号公報、特開昭６１−２６７２３８号公報などに示さ
れている。

【０００４】このほぼＶ字形の弾性支持体１１によるシ
ャドウマスク４の支持方式は、 （イ） ほぼ矩形状のマスクフレームの対角部に取付け
てシャドウマスクを支持するため、マスクフレームの各
辺の中央部に帯板状の弾性支持体を取付けて支持する方
式にくらべて、マスクフレームの捩れなどの変形が小さ
く、３色蛍光体層に対するビームランディングのずれを
小さくすることができる （ロ） 同様の理由により、マスクフレームを軽量化で
き、衝撃や振動によるビームランディングのずれを小さ
く抑えることができる （ハ） カラー受像管の動作開始後３０分以上経過した
のちのシャドウマスクの熱膨張により生ずるビームラン
ディングのずれ、すなわち長時間ピュリティドリフト
を、帯板状の弾性支持体の場合に用いられたバイメタル
素子を用いることなく補正できる などの特徴がある。

【０００５】このほぼＶ字形の弾性支持体１１による長
時間ピュリティドリフトの補正は、図７に常温における
マスク本体およびマスクフレームを破線で、熱膨張をお
こした状態を実線で示したように、マスク本体８および
マスクフレーム９が熱膨張をおこすと、マスク本体８の
電子ビーム通過孔１７は、矢印１８で示す放射方向に変
位し、３色蛍光体層に対するビームランディングにずれ
が生ずることになるが、このとき、弾性支持体１１が実
線で示すように変形して、シャドウマスク４を蛍光体ス
クリーン３方向に押上げ、結果として、電子ビーム６の
軌道は変化せず、シャドウマスク４の熱膨張により生ず
る長時間ピュリティドリフトを補正する。

【０００６】このほぼＶ字形の弾性支持体１１を用いて
も、長時間ピュリティドリフトを十分に補正しきれない
場合の弾性支持体１１として、図８に示すように、ほぼ
Ｎ字形に形成し、これをマスクフレーム９の各対角部に
固定したものが、特開昭６３−２１８１２６号公報に示
されている。このほぼＮ字形の弾性支持体１１は、パネ
ル２のスカート部１に設けられたスタッドピン１０に係
合する係合部１３とマスクフレーム９に固定される固定
部１４とを連結する可動部１５の係合部側端部２０が蛍
光体スクリーン３の反対側に位置し、固定部側端部２１
が蛍光体スクリーン３側に位置する構造に形成されてい
る。このほぼＮ字形の弾性支持体１１は、図８に常温に
おけるマスク本体およびマスクフレームを破線で、熱膨
張をおこした状態を実線で示したように、マスク本体８
およびマスクフレーム９が熱膨張をおこした場合に生ず
るマスク本体８の電子ビーム通過孔１７の矢印１８で示
す放射方向の変位に対して、シャドウマスク４を蛍光体
スクリーン３方向に押上げる量が、図７に示したほぼＶ
字形の弾性支持体よりも大きくすることができる。その
結果、ほぼＶ字形の弾性支持体１１では補正しきれない
長時間ピュリティドリフトも補正することができる。

【０００７】一方、近年大型カラー受像管については、
通常のカラー受像管の比較的熱膨張の高い低炭素鋼板か
らなるマスク本体およびマスクフレームに対して、特に
マスク本体をインバーなどの低熱膨張材で形成し、マス
クフレームを低炭素鋼材で形成したシャドウマスクが用
いられている。このように相対的に低熱膨張のマスク本
体と相対的に高熱膨張のマスクフレームとからなるシャ
ドウマスクを上述したほぼＶ字形またはほぼＮ字形の弾
性支持体により支持すると、シャドウマスクがマスクフ
レームの熱膨張により蛍光体スクリーン方向に押上げら
れるが、マスク本体の熱膨張がマスクフレームの熱膨張
よりも大幅に小さいために、逆方向補正となる。すなわ
ち、このようなシャドウマスクでは、マスク本体の電子
ビーム通過孔の位置は、あまり変化しないが、マスクフ
レームの熱膨張により弾性支持体は、シャドウマスクを
蛍光体スクリーン方向に押上げ、ビームランディングを
変化させる過補正現象をおこすようになる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、マスク
本体およびこのマスク本体の周辺部に取付けられたマス
クフレームがともに低炭素鋼板からなるシャドウマスク
については、ほぼＶ字形またはほぼＮ字形の弾性支持体
を用いることにより、マスク本体およびマスクフレーム
の熱膨張により生ずる長時間ピュリティドリフトを効果
的に補正することができる。しかし近年大型カラー受像
管に用いられている相対的に低熱膨張のマスク本体と相
対的に高熱膨張のマスクフレームからなるシャドウマス
クについては、ほぼＶ字形またはほぼＮ字形の弾性支持
体を用いると、マスク本体の熱膨張がマスクフレームの
熱膨張よりも小さいため、逆方向補正となり、長時間ピ
ュリティドリフトの補正に対して逆作用となるという問
題がある。

【０００９】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、相対的に低熱膨張のマスク本体と
相対的に高熱膨張のマスクフレームからなるシャドウマ
スクを有するカラー受像管の長時間ピュリティドリフト
を効果的に補正し、ビームランディングのずれによる色
純度変化の少ない高性能カラー受像管を得るようにする
ことを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】ほぼ矩形状のパネルの内
面に形成された蛍光体スクリーンと対向かつ所定間隔離
れて相対的に低熱膨張のマスク本体とこのマスク本体の
周辺部に取付けられた相対的に高熱膨張のマスクフレー
ムとからなるほぼ矩形状のシャドウマスクが配置され、
このシャドウマスクがパネルに設けられたスタッドピン
と、マスクフレームの対角部に取付けられてスタッドピ
ンに係止する弾性支持体とにより支持されてなるカラー
受像管において、弾性支持体を、スタッドピンに係合す
る係合部、マスクフレームに固定される固定部およびこ
れら係合部と固定部とを連結する可動部からなり、この
可動部の係合部側端部がスタッドピンの中心軸に対して
蛍光体スクリーン側に位置し、固定部側がスタッドピン
の中心軸に対して蛍光体スクリーンの反対側に位置する
構造に形成した。

【００１１】

【作用】上記のように弾性支持体を、スタッドピンに係
合する係合部、マスクフレームに固定される固定部およ
びこれら係合部と固定部とを連結する可動部で構成し、
その可動部の係合部側端部がスタッドピンの中心軸に対
して蛍光体スクリーン側に位置し、固定部側が蛍光体ス
クリーンの反対側に位置する構造に形成すると、マスク
フレームが熱膨張して放射方向に拡大しても、従来のほ
ぼＶ字形またはＮ字形弾性支持体とは逆に、シャドウマ
スクを蛍光体スクリーンから遠ざける方向に押下げるよ
うに作用し、相対的に低熱膨張のマスク本体と相対的に
高熱膨張のマスクフレームとからなるシャドウマスクを
有するカラー受像管の長時間ピュリテイドリフトを適正
に補正することが可能となる。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。

【００１３】図２にその一実施例であるカラー受像管を
示す。このカラー受像管は、周辺部にスカート部２０が
設けられたほぼ矩形状のパネル２１と、そのスカート部
２０に接合された漏斗状のファンネル２２とからなる外
囲器を有し、そのパネル２１の内面に、青、緑、赤に発
光する３色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン２３が形
成され、この蛍光体スクリーン２３に対向かつ所定間隔
離れて、ほぼ矩形状のシャドウマスク２４が配置されて
いる。一方、ファンネル２２のネック２５内に３電子ビ
ーム２６を放出する電子銃２７が配置されている。そし
て、この電子銃２７から放出される３電子ビーム２６を
ファンネル２２の外側に装着された偏向ヨーク（図示せ
ず）の発生する磁界により偏向し、シャドウマスク２４
を介して蛍光体スクリーン２３を水平、垂直走査するこ
とにより、カラー画像を表示する構造に形成されてい
る。

【００１４】上記シャドウマスク２４は、蛍光体スクリ
ーン２３と対向する面に多数の電子ビーム通過孔が形成
されたインバーなどの低熱膨張材からなるほぼ矩形状の
マスク本体２９と、このマスク本体２９の周辺部に溶接
固定された低炭素鋼材からなる断面Ｌ字形のほぼ矩形状
のマスクフレーム３０とからなり、マスク本体２９とマ
スクフレーム３０とは、相対的に低熱膨張のマスク本体
２９に対してマスクフレーム３０が相対的に高膨張とな
っている。そして、このシャドウマスク２４は、マスク
フレーム３０の対角部の側壁に取付けられた弾性支持体
３１を、パネル２１のスカート部２０の対角部の内面に
設けられたスタッドピン３２に係止することにより、パ
ネル２１の内側に支持されている。

【００１５】特にこのカラー受像管では、上記弾性支持
体３１は、図１に示すように、スタッドピン３２に係合
する係合孔の形成された係合部３３と、マスクフレーム
３０の対角部の四隅部に溶接固定される固定部３４と、
両端部がそれぞれこれら係合部３３および固定部３４に
溶接されて、係合部３３と固定部３４とを連結する可動
部３５とからなり、この可動部３５の係合部側端部３６
がスタッドピン３２の中心軸３７に対して、蛍光体スク
リーン２３側に位置し、固定部側端部３８がスタッドピ
ン３２の中心軸３７に対して、蛍光体スクリーン２３の
反対側に位置するほぼＮ字形に形成されている。

【００１６】このような弾性支持体３１によりシャドウ
マスク２４を支持すると、図３に示すように、マスクフ
レーム３０が破線で示す常温状態から熱膨張して実線で
示すように放射方向に広がると、弾性支持体３１をスタ
ッドピン３２に押付ける力が作用する。この場合、弾性
支持体３１の係合部３３は、スタッドピン３２を中心に
して矢印４０方向に回転し、この回転による作用と上記
スタッドピン３２への押付け作用とにより、マスクフレ
ーム３０を蛍光体スクリーンの反対側、すなわち蛍光体
スクリーンから遠ざける方向に押し下げる。その結果、
シャドウマスクは、蛍光体スクリーンから遠ざける方向
に押し下げられ、相対的に低熱膨張のマスク本体２９と
相対的に高熱膨張のマスクフレーム３０とからなるシャ
ドウマスクに対して、従来のほぼＶ字形またはほぼＮ字
形の弾性支持体では、補正不可能であった逆方向の長時
間ピュリティドリフトを補正することができる。

【００１７】このスタッドピン３２の中心軸３７に対し
て可動部３５の係合部側端部３６が蛍光体スクリーン２
３側、固定部側端部３８が蛍光体スクリーン２３の反対
側に位置するほぼＮ字形弾性支持体３１の長時間ピュリ
ティドリフトの補正量は、スタッドピン３２と係合部３
３との係合中心と、可動部３５の固定部側端部３８とを
結ぶ線がスタッドピン３２の中心軸３７となす角度αに
より調整でき（図１参照）、角度αを大きくすることに
より、シャドウマスク２４の押下量を大きくして、長時
間ピュリティドリフトの補正量を大きくすることができ
る。

【００１８】なお、上記実施例では、係合部、固定部お
よび可動部を溶接した弾性支持体について説明したが、
この弾性支持体は、図４（ａ）および（ｂ）に示すよう
に、係合部３３と可動部３５の一端部を溶接し、この可
動部３５の他端部を折曲げて、マスクフレーム３０に溶
接固定する固定部３４としてもよい。また同（ｃ）に示
すように、可動部３５の両端部をそれぞれ折曲げて、係
合部３３と固定部３４を形成してもよい。

【００１９】

【発明の効果】ほぼ矩形状のパネルの内面に形成された
蛍光体スクリーンと対向して相対的に低熱膨張のマスク
本体とこのマスク本体の周辺部に取付けられた相対的に
高熱膨張のマスクフレームとからなるほぼ矩形状のシャ
ドウマスクが配置され、このシャドウマスクがパネルに
設けられたスタッドピンと、マスクフレームの対角部に
取付けられてスタッドピンに係止する弾性支持体とによ
り支持されてなるカラー受像管において、弾性支持体
を、スタッドピンに係合する係合部、マスクフレームに
固定される固定部およびこれら係合部と固定部とを連結
する可動部からなり、この可動部の係合部側端部がスタ
ッドピンの中心軸に対して蛍光体スクリーン側に位置
し、固定部側が蛍光体スクリーンの反対側に位置する構
造に形成すると、マスクフレームが熱膨張して放射方向
に拡大しても、従来のほぼＶ字形またはＮ字形弾性支持
体とは逆に、シャドウマスクを蛍光体スクリーンから遠
ざける方向に押下げるように作用し、相対的に低熱膨張
のマスク本体と相対的に高熱膨張のマスクフレームとか
らなるシャドウマスクを有するカラー受像管の長時間ピ
ュリテイドリフトを適正に補正することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例であるカラー受像管の要部
構成を示す図である。

【図２】この発明の一実施例であるカラー受像管の全体
の構成を示す図である。

【図３】その弾性支持体の作用を説明するための図であ
る。

【図４】図４（ａ）乃至（ｃ）はそれぞれ異なる弾性支
持体の構造を示す図である。

【図５】従来のカラー受像管の全体の構成を示す図であ
る。

【図６】従来のほぼＶ字形弾性支持体によりシャドウマ
スクを支持されたカラー受像管の要部構成を示す図であ
る。

【図７】従来のほぼＶ字形弾性支持体の作用を説明する
ための図である。

【図８】従来のほぼＮ字形弾性支持体によりシャドウマ
スクを支持されたカラー受像管の要部構成を示す図であ
る。

【符号の説明】

２１…パネル ２３…蛍光体スクリーン ２４…シャドウマスク ２６…３電子ビーム ２７…電子銃 ２９…マスク本体 ３０…マスクフレーム ３１…弾性支持体 ３２…スタッドピン ３３…係合部 ３４…固定部 ３５…可動部 ３６…可動部の係合部側端部 ３８…可動部の固定部側端部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 和文 埼玉県深谷市幡羅町一丁目９番２号 株式 会社東芝深谷電子工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほぼ矩形状のパネルの内面に形成された
   蛍光体スクリーンと対向して位置する相対的に低熱膨張
   のマスク本体とこのマスク本体の周辺部に取付けられた
   相対的に高熱膨張のマスクフレームとからなるほぼ矩形
   状のシャドウマスクが配置され、このシャドウマスクが
   上記パネルに設けられたスタッドピンと、上記マスクフ
   レームの対角部に取付けられて上記スタッドピンに係止
   する弾性支持体とにより支持されてなるカラー受像管に
   おいて、 上記弾性支持体は上記スタッドピンに係合する係合部、
   上記マスクフレームに固定される固定部およびこれら係
   合部と固定部とを連結する可動部からなり、この可動部
   の上記係合部側端部が上記スタッドピンの中心軸に対し
   て上記蛍光体スクリーン側に位置し、上記固定部側が上
   記スタッドピンの中心軸に対して上記蛍光体スクリーン
   の反対側に位置する構造に形成されていることを特徴と
   するカラー受像管。