JPH08162033A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カラー受像管の長時間ピュリティドリフトを
十分に補正する構造にすることを目的とする。 【構成】 シャドウマスク20がパネル2 に固定されたス
タッドピン24と、マスクフレーム22に取付けられる固定
部26、スタッドピンに係止する係止部27およびこれら固
定部と係止部を連結する傾斜した連結部28からなりこの
連結部を蛍光体スクリーン4 側にしてマスクフレームに
取付けられるほぼ楔状の弾性支持体25とにより支持され
てなるカラー受像管において、そのマスクフレームの弾
性支持体取付け部分に、蛍光体スクリーン側端縁に開口
をもつ切欠部30を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カラー受像管に係
り、特にシャドウマスクの支持構造を長時間ピュリティ
ドリフトを補償する構造にしたカラー受像管に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラー受像管は、図５に示すよう
に、周辺部にスカート部１が設けられたほぼ矩形状のパ
ネル２と上記スカート部１に接合された漏斗状のファン
ネル３とからなる外囲器を有し、そのパネル２の内面
に、青、緑、赤に発光する３色蛍光体層からなる蛍光体
スクリーン４が形成され、この蛍光体スクリーン４に対
向して、その内側に多数の電子ビーム通過孔が形成され
たほぼ矩形状のマスク本体５と、このマスク本体５の周
辺部に取付けられたほぼ矩形状のマスクフレーム６とか
らなるほぼ矩形状のシャドウマスク７が配置されてい
る。一方、ファンネル３のネック９内に３電子ビーム１
０を放出する電子銃１１が配設されている。そして、こ
の電子銃１１から放出される３電子ビーム１０をファン
ネル３の外側に装着された偏向装置１２の発生する磁界
により偏向し、シャドウマスク７を介して蛍光体スクリ
ーン４を水平、垂直走査することにより、カラー画像を
表示する構造に形成されている。

【０００３】このようなカラー受像管のシャドウマスク
７の支持方式として、従来よりほぼ矩形状パネルのスカ
ート部の各辺の中央部にスタッドピンを固定し、一方、
ほぼ矩形状マスクフレームの各辺の中央部に帯板状の弾
性支持体を取付け、この弾性支持体を上記スタッドピン
に係止することによりシャドウマスクを支持する方式
と、ほぼ矩形状パネル２のスカート部１の四隅部にスタ
ッドピン１４を固定し、一方、ほぼ矩形状マスクフレー
ム６の四隅部に、図６に示すように、マスクフレームに
取付けられる固定部１５、上記スタッドピン１４に係止
する係止部１６およびこれら固定部１５と係止部１６と
を連結する傾斜した連結部１７とからなるほぼ楔状の弾
性支持体１８をその連結部１７を蛍光体スクリーン４側
としてマスクフレーム６に取付け、その係止部１６を上
記スタッドピン１４に係止することによりシャドウマス
ク７を支持する方式とがある。

【０００４】特に上記楔状弾性支持体１８を用いた後者
のシャドウマスク支持方式によれば、マスクフレームの
各辺の中央部に帯板状の弾性支持体を取付けてシャドウ
マスクを支持する前者の方式にくらべて、マスクフレー
ムの変形を小さくでき、シャドウマスクの変形に基づく
ビームランディングのずれを小さくすることができる。
またカラー受像管を長時間（動作開始から３０分以上）
動作させた場合に生ずる長時間ピュリティドリフトを、
前者の支持方式の場合必要としたバイメタル素子を用い
ることなく補正できるなどの利点がある。

【０００５】この楔状弾性支持体１８を用いたシャドウ
マスクの支持方式による長時間ピュリティドリフトの補
正は、つぎのようにおこなわれる。すなわち、カラー受
像管の動作開始初期には、シャドウマスク７は、電子銃
１１から放出される３電子ビーム１０の衝突により、主
としてマスク本体５が加熱され、熱膨張するが、この加
熱されたマスク本体５の熱は、次第にマスクフレーム６
に伝達され、マスク本体５とともにマスクフレーム６も
熱膨張する。このマスクフレーム６の熱膨張により、図
７に一点鎖線で示したように、弾性支持体１８は変形
し、その結果生ずる傾斜した連結部１７と固定部１５と
の角度θ（または係止部１６との角度）の変化により、
マスク本体５の電子ビーム通過孔を通過して３色蛍光体
層に達する電子ビームの軌道が変化しないように、マス
ク本体５を蛍光体スクリーン４に近づける方向に変位さ
せることによりおこなわれる。

【０００６】しかしこの楔状弾性支持体１８を用いたシ
ャドウマスク支持方式による長時間ピュリティドリフト
の補正は、マスク本体５とマスクフレーム６とが同程度
の熱膨張係数の材料で形成されている場合には有効であ
るが、最近使用されはじめたシャドウマスクのように、
マスク本体が熱膨張係数約１．２×１０^-6／Ｃ°のアン
バー（３６％Ｎｉ−Ｆｅ合金）などで構成され、マスク
フレームがそれよりも熱膨張係数の大きい（約１０倍）
軟鋼で構成されたシャドウマスクに適用すると、十分に
長時間ピュリティドリフトを補正しなくなるという問題
がある。

【０００７】これは、図８に一点鎖線で示したように、
相対的に低熱膨張係数のマスク本体５に電子銃からの電
子ビームが衝突しても、あまり熱膨張しないが、相対的
に高熱膨張係数のマスクフレーム６は熱膨張するため、
マスク本体５の電子ビーム通過孔を通過して３色蛍光体
層に達する電子ビーム１０の軌道が変化するためであ
る。

【０００８】このようにマスク本体が低熱膨張係数の材
料からなるシャドウマスクの長時間ピュリティドリフト
を補償するためには、マスクフレームも同じ低熱膨張材
料で構成すればよいが、一般に低熱膨張材料は、軟鋼な
どにくらべてコストが高いため、実用しがたい。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来よ
りシャドウマスクを支持する弾性支持体を、マスクフレ
ームに取付けられる固定部、パネルに固定されたスタツ
ドピンに係止する係止部およびこれら固定部と係止部と
を連結する傾斜した連結部からなるほぼ楔状に形成し、
この楔状の弾性支持体の連結部を蛍光体スクリーン側と
してほぼ矩形状のマスクフレームの四隅部に取付け、そ
の係止部をほぼ矩形状パネルのスカート部の四隅部に固
定されたスタツドピンに係止することにより、シャドウ
マスクを支持するカラー受像管がある。

【００１０】この楔状弾性支持体を用いたシャドウマス
クの支持方式によれば、マスクフレームの各辺の中央部
に帯板状の弾性支持体を取付けてシャドウマスクを支持
する方式にくらべて、マスクフレームの変形を小さくで
き、シャドウマスクの変形に基づくビームランディング
のずれを小さくすることができる。またカラー受像管を
長時間動作させた場合に生ずる長時間ピュリティドリフ
トを、各辺の中央部に帯板状の弾性支持体を取付けてシ
ャドウマスクを支持する方式の場合必要としたバイメタ
ル素子を用いることなく補正できるなどの利点がある。
しかしこの楔状弾性支持体を用いたシャドウマスクの支
持方式を、マスク本体が相対的に低熱膨張係数、マスク
フレームが相対的に高熱膨張係数からなるシャドウマス
クに適用すると、長時間ピュリティドリフトを十分に補
正しなくなるという問題がある。

【００１１】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、マスク本体が相対的に低熱膨張の
材料、マスクフレームが相対的に高熱膨張の材料からな
るシャドウマスクを有するカラー受像管の長時間ピュリ
ティドリフトを十分に補正することができるようにする
ことを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】パネルの内面に形成され
た蛍光体スクリーンと所定間隔離れて対向するシャドウ
マスクが多数の電子ビーム通過孔の形成されたマスク本
体と、このマスク本体の周辺部に取付けられたマスクフ
レームとからなり、このシャドウマスクがパネルに固定
されたスタッドピンと、マスクフレームに取付けられる
固定部、スタッドピンに係止する係止部およびこれら固
定部と係止部を連結する傾斜した連結部からなりこの連
結部を蛍光体スクリーン側にしてマスクフレームに取付
けられるほぼ楔状の弾性支持体とにより支持されてなる
カラー受像管において、そのマスクフレームの弾性支持
体取付け部分に、蛍光体スクリーン側端縁に開口をもつ
切欠部を形成した。

【００１３】また、その切欠部を、マスクフレームに取
付けられた弾性支持体の両側に位置する一対の切欠溝で
構成した。

【００１４】さらにまた、その切欠部を、マスクフレー
ムに取付けられた弾性支持体の幅よりも広い幅の切欠部
で構成した。

【００１５】

【作用】上記のように構成すると、マスクフレームが熱
膨張したとき、弾性支持体は、主として固定部のマスク
フレーム取付け部分側が変位し、このマスクフレーム取
付け部分側の変位に対して、蛍光体スクリーン側の変位
を少なくすることができ、それにより、カラー受像管の
長時間ピュリテイドリフトを十分に補正するカラー受像
管を構成することができる。

【００１６】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。

【００１７】図１にその一実施例であるカラー受像管を
示す。このカラー受像管は、周辺部にスカート部１が設
けられたほぼ矩形状のパネル２および上記スカート部１
に接合された漏斗状のファンネル３とからなる外囲器を
有し、そのパネル２の内面に、青、緑、赤に発光する３
色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン４が形成され、そ
の内側にほぼ矩形状の下記シャドウマスク２０が配置さ
れている。一方、ファンネル３のネック９内に３電子ビ
ーム１０を放出する電子銃１１が配設されている。そし
て、この電子銃１１から放出される３電子ビーム１０を
ファンネル３の外側に装着された偏向装置１２の発生す
る磁界により偏向し、シャドウマスク２０を介して蛍光
体スクリーン４を水平、垂直走査することにより、カラ
ー画像を表示する構造に形成されている。

【００１８】上記シャドウマスク２０は、蛍光体スクリ
ーン４と所定間隔離れて対向する多数の電子ビーム通過
孔の形成された熱膨張係数の低いアンバーなどからなる
マスク本体２１と、このマスク本体２１の周辺部に取付
けられた熱膨張係数の高い軟鋼などからなるほぼ矩形状
のマスクフレーム２２とからなり、ほぼ矩形状パネル２
のスカート部１の四隅部に固定されたスタッドピン２４
と、ほぼ矩形状のマスクフレーム２２の四隅部に取付け
られて、上記スタッドピン２４に係止する弾性支持体２
５とによりパネル２の内側に支持されている。その各弾
性支持体２５は、マスクフレーム２２に取付けられる固
定部２６、スタッドピン２４に係止する係止部２７およ
びこれら固定部２６と係止部２７とを連結する傾斜した
連結部２８とからなるほぼ楔状に形成されている。

【００１９】特にこの例のシャドウマスク２０において
は、図１（ｃ）に示したように、マスクフレーム２２の
弾性支持体取付け部分に、蛍光体スクリーン側端縁に開
口した一対の切欠溝からなる切欠部３０が形成され、弾
性支持体２５は、その一対の切欠溝が両側に位置するよ
うにその内側に配置され、蛍光体スクリーンの反対側と
なる固定部２６の遊端部が×印で示した複数の溶接点で
溶接されている。なお、上記一対の切欠溝の深さは、そ
の内側に固定される固定部２６の溶接側端部近傍まで延
びている。

【００２０】このようにマスクフレーム２２の四隅部の
弾性支持体取付け部分に一対の切欠溝からなる切欠部３
０を設けて、その内側に弾性支持体２５を固定すると、
従来十分に補正することができなかったマスク本体が低
熱膨張係数、マスクフレームが高熱膨張係数の材料から
なるシャドウマスクを有するカラー受像管の長時間ピュ
リティドリフトを十分に補正するようにすることができ
る。

【００２１】すなわち、一般にカラー受像管のシャドウ
マスクは、動作開始の初期には、電子ビームの衝突によ
り主としてマスク本体が加熱されるが、次第にこの加熱
されたマスク本体の熱がマスクフレームに伝達される。
この場合、低熱膨張係数のマスク本体は、あまり熱膨張
しないが、高熱膨張係数の軟鋼からなるマスクフレーム
は熱膨張する。その結果、図２に示すように、マスクフ
レームに取付けられたほぼ楔状の弾性支持体２５の固定
部２６は、その全面に矢印３２方向の力を受け、一点鎖
線で示すように蛍光体スクリーン方向にｄｚ変位し、シ
ャドウマスクを蛍光体スクリーン側にｄｚ押上げる。こ
のシャドウマスクの蛍光体スクリーン側への変位ｄｚが
マスク本体が低熱膨張係数、マスクフレームが高熱膨張
係数の材料からなるシャドウマスクを有するカラー受像
管の長時間ピュリティドリフトを十分に補正しない原因
となっている。

【００２２】しかしこの例のマスクフレームのように弾
性支持体取付け部分に一対の切欠溝からなる切欠部３０
を設けて、その内側に弾性支持体２５を固定すると、図
３に示すように、固定部２６のマスクフレームに溶接さ
れた端部側は、マスクフレームの熱膨張により、矢印３
２方向の力を受け、一点鎖線で示したように変位する
が、蛍光体スクリーン側は、マスクフレームにその蛍光
体スクリーン側端縁に開口した一対の切欠溝からなる切
欠部３０の形成により、その蛍光体スクリーン側に加わ
る力が緩和され、蛍光体スクリーン方向への変位ｄｚは
小さくなる。したがってシャドウマスクの蛍光体スクリ
ーン側への変位が小さくでき、長時間ピュリティドリフ
トによるランディングずれを十分に補正するカラー受像
管とすることができる。

【００２３】つぎに、他の実施例について説明する。

【００２４】上記実施例では、弾性支持体の固定部の両
側に一対の切欠溝からなる切欠部を設けたが、図４に示
すように、マスクフレーム２２の四隅部に蛍光体スクリ
ーン側に開口し、かつ弾性支持体２５の固定部２６より
も幅の広い切欠部３０を設け、固定部２６がこの切欠部
３０の内側に位置するように取付けても、上記実施例と
同様の効果をもつカラー受像管とすることができる。

【００２５】

【発明の効果】パネルの内面に形成された蛍光体スクリ
ーンと所定間隔離れて対向するシャドウマスクが多数の
電子ビーム通過孔の形成されたマスク本体と、このマス
ク本体の周辺部に取付けられたマスクフレームとからな
り、このシャドウマスクがパネルに固定されたスタッド
ピンと、マスクフレームに取付けられる固定部、スタッ
ドピンに係止する係止部およびこれら固定部と係止部を
連結する傾斜した連結部からなり、この連結部を蛍光体
スクリーン側にしてマスクフレームに取付けられるほぼ
楔状の弾性支持体とにより支持されてなるカラー受像管
において、そのマスクフレームの弾性支持体取付け部分
に、蛍光体スクリーン側端縁に開口をもつ切欠部を形成
すると、マスクフレームが熱膨張したとき、弾性支持体
は、主として固定部のマスクフレーム取付け部分側端部
が変位し、この固定部のマスクフレーム取付け部分側端
部の変位に対して、蛍光体スクリーン側の変位を少なく
することができる。それにより、カラー受像管の長時間
ピュリテイドリフトを十分に補正するカラー受像管を構
成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）はこの発明の一実施例であるカラー
受像管の全体の構成を示す図、図１（ｂ）はそのシャド
ウマスクの支持構造を示す図、図１（ｃ）はその弾性支
持体の取付け構造を示す図である。

【図２】シャドウマスクの熱膨張による弾性支持体の変
位を説明するための図である。

【図３】この発明の一実施例であるカラー受像管におけ
る弾性支持体の変位を説明するための図である。

【図４】この発明の他の実施例における弾性支持体の取
付け構造を示す図である。

【図５】従来のカラー受像管の全体の構成を示す図であ
る。

【図６】図６（ａ）は従来のカラー受像管の弾性支持体
の構造を示す正面図、図６（ｂ）はそのＢ−Ｂ線断面で
示した側面図である。

【図７】カラー受像管の長時間ピュリティドリフトを説
明するための図である。

【図８】マスク本体が低熱膨張材料、マスクフレームが
高熱膨張材料からなるシャドウマスクを有するカラー受
像管の長時間ピュリティドリフトを説明するための図で
ある。

【符号の説明】

２…パネル ４…蛍光体スクリーン ２０…シャドウマスク ２１…マスク本体 ２２…マスクフレーム ２４…スタッドピン ２５…弾性支持体 ２６…固定部 ２７…係止部 ２８…連結部 ３０…切欠部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネルの内面に形成された蛍光体スクリ
   ーンと所定間隔離れて対向するシャドウマスクが多数の
   電子ビーム通過孔の形成されたマスク本体と、このマス
   ク本体の周辺部に取付けられたマスクフレームとからな
   り、このシャドウマスクが上記パネルに固定されたスタ
   ッドピンと、上記マスクフレームに取付けられる固定
   部、上記スタッドピンに係止する係止部およびこれら固
   定部と係止部を連結する傾斜した連結部からなりこの連
   結部を上記蛍光体スクリーン側にして上記マスクフレー
   ムに取付けられるほぼ楔状の弾性支持体とにより支持さ
   れてなるカラー受像管において、 上記マスクフレームは上記弾性支持体の取付け部分に上
   記蛍光体スクリーン側端縁に開口をもつ切欠部が形成さ
   れていることを特徴とするカラー受像管。
2. 【請求項２】 切欠部がマスクフレームに取付けられた
   弾性支持体の両側に位置する一対の切欠溝からなること
   を特徴とする請求項１記載のカラー受像管。
3. 【請求項３】 切欠部がマスクフレームに取付けられた
   弾性支持体の幅よりも広い幅の切欠部からなることを特
   徴とする請求項１記載のカラー受像管。