JPH11339677A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラー受像管を高電流／高輝度で長時間動作
させても色ずれをおこさない色再現性のよいカラー受像
管を構成することを目的とする。 【解決手段】 シャドウマスク13のマスク本体4 の周辺
部に取付けられる側壁部6 の一端に内側張出部が設けら
れたマスクフレーム8 に接触して磁気遮蔽体23が取付け
られてなるカラー受像管において、磁気遮蔽体を、マス
クフレームとの接触面積および熱容量の少なくとも一方
の増加によりマスクフレームからの熱伝導または熱量が
増大する構造に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、高電流／高輝度
で長時間動作させた場合のランディングずれを抑制して
色ずれをおこしにくくしたカラー受像管に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラー受像管は、パネルおよびフ
ァンネルからなる外囲器を有し、そのファンネルのネッ
ク内に配置された電子銃から放出される３電子ビームを
偏向ヨークにより偏向し、シャドウマスクを介して、パ
ネルの内面に設けられた蛍光体スクリーンを水平、垂直
走査することにより、カラー画像を表示する構造に形成
されている。

【０００３】そのシャドウマスクは、図３に示すよう
に、パネル１の内面に設けられた蛍光体スクリーン２と
対向する面３に多数の電子ビーム通過孔が設けられたマ
スク本体４と、このマスク本体４の周辺部のスカート部
５に取付けられる側壁部６の一端に内側張出部７が設け
られたマスクフレーム８とからなり、このマスクフレー
ム８の側壁部６に取付けられてパネル１のスカート部１
０に設けられた支持ピン１１に係止する弾性支持体１２
により、パネル１の内側に支持されている。

【０００４】さらに、このシャドウマスク１３には、フ
ァンネル１５の内側に位置して、地磁気などによる電子
ビームの軌道変化を防止する台形筒状の磁気遮蔽体１６
が上記マスクフレーム８に取付けられている。従来のカ
ラー受像管では、この磁気遮蔽体１６は、マスクフレー
ム９の内側張出部８にのみ接触して取付けられている。

【０００５】ところで、一般にカラー受像管は、電子銃
から放出される電子ビームのうち、シャドウマスクの電
子ビーム通過孔を通って蛍光体スクリーンに達する電子
ビーム量は、電子銃から放出される電子ビームの２０％
以下であり、大部分の電子ビームは、シャドウマスクに
衝突する。この衝突によりシャドウマスクは、加熱され
熱膨張する。

【０００６】このシャドウマスクの熱膨張には、カラー
受像管の動作開始初期、主としてマスク本体が加熱され
て蛍光体スクリーン方向に膨出するドーミングといわれ
る熱膨張と、長時間動作時、加熱されたマスク本体の熱
がマスクフレームに伝わり、マスク本体とともにマスク
フレームが加熱されるために生ずる熱膨張とがあり、い
ずれもカラー受像管を高電流／高輝度で動作させた場合
に顕著となる。そして、このように熱膨張すると、蛍光
体スクリーンを構成する３色蛍光体層に対する電子ビー
ムのランディングがずれ、色ずれの原因となる。

【０００７】上記熱膨張によるランディングずれのう
ち、主としてマスク本体が加熱されるために生ずるカラ
ー受像管動作開始初期の熱膨張によるランディングずれ
は、マスク本体をアンバーなどの低熱膨張材で形成して
熱膨張を小さくすることにより防止できる。一方、マス
ク本体とともにマスクフレームが加熱されるために生ず
る長時間動作時の熱膨張によるランディングずれは、バ
イメタル素子を用いるかあるいは楔状（またはＶ字状）
の弾性支持体によりシャドウマスクを支持することによ
り補正できる。

【０００８】すなわち、図４に示すように、たとえば楔
状の弾性支持体１２によりシャドウマスク１３を支持す
ると、一点鎖線で示すようにマスクフレーム８の熱膨張
にともなって弾性支持体１２が変形し、マスク本体４を
蛍光体スクリーン２方向に押上げ、電子ビーム１８の軌
道を変化させることなく、所定の蛍光体層１９に入射さ
せ、ランディングずれによる色ずれを防止できる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、カラー
受像管を長時間動作させた場合、マスク本体とともにマ
スクフレームが加熱されるために生ずる熱膨張によるラ
ンディングずれは、シャドウマスクをバイメタル素子あ
るいは楔状の弾性支持体により支持することにより補正
できる。

【００１０】しかし、電子ビームの衝突により加熱され
たマスク本体の熱がマスクフレームに伝達され、これら
マスク本体とマスクフレームとが熱平衡状態となり、マ
スクフレームの熱膨張が停止するまでには、平均１．５
〜２．０時間かかる。これに対して、一般家庭で連続し
てテレビをみる時間は、平均４〜５時間であるとの調査
結果がでている。

【００１１】したがって、上記のようにマスク本体とマ
スクフレームとの熱平衡状態によりマスクフレームの熱
膨張が停止する時間を越えてカラー受像管を高電流／高
輝度で動作させると、図５に示すように、マスクフレー
ム８の熱膨張が停止しても、なお、マスク本体４やマス
クフレーム８からの輻射熱によりパネル１が加熱され
て、１点鎖線で示したように熱膨張し、この熱膨張にと
もなって、その内面に設けられた蛍光体層１９が１９a
で示すように変位する。その結果、弾性支持体１２で補
正しきれないランディングずれによる色ずれが生ずる。

【００１２】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、カラー受像管を高電流／高輝度で
長時間動作させても色ずれをおこさない色再現性のよい
カラー受像管を構成することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】パネルの内面に設けられ
た蛍光体スクリーンに対向配置されたシャドウマスクを
有し、このシャドウマスクが蛍光体スクリーンと対向す
る面に多数の電子ビーム通過孔が設けられたマスク本体
と、このマスク本体の周辺部に取付けられる側壁部の一
端に内側張出部が設けられたマスクフレームとからな
り、このシャドウマスクがマスクフレームに取付けられ
た弾性支持体をパネルに設けられた支持ピンに係止する
ことにより支持され、かつこのシャドウマスクがマスク
フレームに接触して磁気遮蔽体が取付けられてなるカラ
ー受像管において、磁気遮蔽体を、マスクフレームとの
接触面積および熱容量の少なくとも一方の増加によりマ
スクフレームからの熱伝導または熱量が増大する構造に
形成した。

【００１４】また、その磁気遮蔽体を、マスクフレーム
の内側張出部および側壁部の両方に接触させた。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。

【００１６】図１にその一形態であるカラー受像管を示
す。このカラー受像管は、有効部２０の周辺部にスカー
ト部１０が設けられたほぼ矩形状のパネル１と漏斗状の
ファンネル１５とからなる外囲器を有する。そのパネル
１の内面に、青、緑、赤に発光する３色蛍光体層からな
る蛍光体スクリーン２が設けられている。また、この蛍
光体スクリーン２に対向して、その内側にほぼ矩形状の
シャドウマスク１３が配置されている。さらに、このシ
ャドウマスク１３にファンネル１５の径大部２２の内側
に位置する台形筒状の磁気遮蔽体２３が取付けられてい
る。一方、ファンネル１５のネック２５内に３電子ビー
ム１８B ，１８G ，１８R を放出する電子銃２６が配設
されている。そして、この電子銃２６から放出される３
電子ビーム１８B ，１８G ，１８R をファンネル１５の
外側に装着された偏向ヨーク２７により偏向し、シャド
ウマスク１３を介して、蛍光体スクリーン２を水平、垂
直走査することにより、カラー画像を表示する構造に形
成されている。

【００１７】上記シャドウマスク１３は、図２に示すよ
うに、蛍光体スクリーン２と対向する面３に多数の電子
ビーム通過孔２９が設けられたほぼ矩形状のマスク本体
４と、このマスク本体４の周辺部のスカート部５に取付
けられる側壁部６の一端に内側張出部７が設けられたほ
ぼ矩形状のマスクフレーム８とからなり、このマスクフ
レーム８のコーナー部の側壁部６に取付けられてパネル
１のコーナー部のスカート部１０に設けられた支持ピン
１１に係止する楔状の弾性支持体１２により、パネル１
の内側に支持されている。

【００１８】特にこの実施の形態においては、上記シャ
ドウマスク１３に取付けられる磁気遮蔽体２３の径大部
が、上記マスクフレーム８の内側張出部７に接触する部
分３１と、弾性支持体１２が取付けられるマスクフレー
ム８のコーナー部を避けて側壁部６に接触する部分３２
とからなる形状に形成されている。

【００１９】このように磁気遮蔽体２３を構成すると、
従来の磁気遮蔽体にくらべて（図３参照）、マスクフレ
ーム８に対する磁気遮蔽体２３の接触面積を増加させ、
マスクフレーム８からの熱伝導が増大する。したがっ
て、それにより、電子ビーム１８B ，１８G ，１８R の
衝突により加熱されるマスク本体４とこのマスク本体４
の熱が伝達されるマスクフレーム８とが熱平衡状態とな
る時間を遅らせることができる。また、長時間マスク本
体４やマスクフレーム８の温度を低く保って、これらマ
スク本体４やマスクフレーム８からの輻射熱によりパネ
ル１が加熱されるために生ずる熱膨張を抑制することが
できる。

【００２０】したがって、上記のように磁気遮蔽体２３
を構成することにより、長時間３色蛍光体層に対する電
子ビーム１８B ，１８G ，１８R のランディングずれを
抑制でき、長時間連続してテレビを見る場合でも、色ず
れをおこしにくいカラー受像管とすることができる。

【００２１】なお、上記実施の形態では、マスクフレー
ムと磁気遮蔽体との接触面積を増加させ、マスク本体と
マスクフレームとが熱平衡状態となる時間を遅らせる場
合について説明したが、他の手段として、たとえば磁気
遮蔽体の板厚を厚くしてその重量を増加させることによ
り磁気遮蔽体の熱容量を増大させても、同様の効果が得
られる。さらに、このように熱容量を増大させた磁気遮
蔽体を上記実施の形態での磁気遮蔽体のように、マスク
フレームとの接触面積を増加させることにより、より効
果的に３色蛍光体層に対する電子ビームのランディング
ずれを長時間にわたり抑制でき、よりすぐれた効果が得
られる。

【００２２】また、上記実施の形態では、シャドウマス
クを楔状の弾性支持体で支持する場合について説明した
が、この発明は、バイメタル素子を介して取付けられた
弾性支持体によりシャドウマスクを支持し、そのバイメ
タル素子の熱変形を利用して、長時間動作時のランディ
ングずれを補正するカラー受像管に適用しても、同様の
効果が得られる。

【００２３】

【発明の効果】上述のように、磁気遮蔽体をマスクフレ
ームとの接触面積および熱容量の少なくとも一方を増加
させて、マスクフレームからの熱伝導または熱量が増大
する構造に形成すると、電子ビームの衝突により加熱さ
れるマスク本体とこのマスク本体の熱が伝達されるマス
クフレームとが熱平衡状態となる時間を遅らせることが
できる。また、長時間マスク本体やマスクフレームの温
度を低く保って、これらマスク本体やマスクフレームか
らの輻射熱によりパネルが加熱されるために生ずる熱膨
張を抑制することができる。したがって、それにより長
時間３色蛍光体層に対する電子ビームのランディングず
れを抑制でき、長時間連続してテレビをみる場合でも、
色ずれをおこしにくいカラー受像管とすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の一形態であるカラー受像管の
構成を示す図である。

【図２】上記カラー受像管のシャドウマスクおよびこの
シャドウマスクに対する磁気遮蔽体の取付け構造を示す
図である。

【図３】従来のカラー受像管のシャドウマスクおよびこ
のシャドウマスクに対する磁気遮蔽体の取付け構造を示
す図である。

【図４】楔状の弾性支持体でシャドウマスクを支持した
カラー受像管の長時間動作時のランディングずれ補正を
説明するための図である。

【図５】従来のカラー受像管の長時間動作時のランディ
ングずれ補正に対する問題点を説明するための図であ
る。

【符号の説明】

１…パネル ２…蛍光体スクリーン ４…マスク本体 ６…側壁部 ７…内側張出部 ８…マスクフレーム １１…支持ピン １２…弾性支持体 １３…シャドウマスク ２９…電子ビーム通過孔 ３１…内側張出部に接触する部分 ３２…側壁部に接触する部分

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネルの内面に設けられた蛍光体スクリ
   ーンに対向配置されるシャドウマスクを有し、このシャ
   ドウマスクが上記蛍光体スクリーンと対向する面に多数
   の電子ビーム通過孔が設けられたマスク本体と、このマ
   スク本体の周辺部に取付けられる側壁部の一端に内側張
   出部が設けられたマスクフレームとからなり、このシャ
   ドウマスクが上記マスクフレームに取付けられた弾性支
   持体を上記パネルに設けられた支持ピンに係止すること
   により支持され、かつこのシャドウマスクに上記マスク
   フレームに接触して磁気遮蔽体が取付けられてなるカラ
   ー受像管において、 上記磁気遮蔽体は上記マスクフレームとの接触面積およ
   び熱容量の少なくとも一方の増加により上記マスクフレ
   ームからの熱伝導または熱量が増大する構造に形成され
   ていることを特徴とするカラー受像管。
2. 【請求項２】 磁気遮蔽体がマスクフレームの内側張出
   部および側壁部の両方に接触していることを特徴とする
   請求項１記載のカラー受像管。