JP2531344Y2 - 底曳き漁船に使用される移動式揚網装置 - Google Patents

底曳き漁船に使用される移動式揚網装置

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JP2531344Y2 JP1993075946U JP7594693U JP2531344Y2 JP 2531344 Y2 JP2531344 Y2 JP 2531344Y2 JP 1993075946 U JP1993075946 U JP 1993075946U JP 7594693 U JP7594693 U JP 7594693U JP 2531344 Y2 JP2531344 Y2 JP 2531344Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、底曵き漁船に使用され
る揚網装置に関する。底曳き漁船は、揚網の方式によっ
て「おもてあげ」船と「ともあげ」船とに大別される。
「おもてあげ」船は、2本のロープを船首(おもて)か
ら引き上げ、2本のロープの先に連結された2枚の寄せ
網を船側から引き上げ、2枚の寄せ網の先に連結された
溜まりを、船首部に設置されたデレックにより吊り上げ
る方式の底曳き漁船である。一方、「ともあげ」船は、
ロープ、寄せ網および溜まりを全て船尾(とも)から引
き上げる底曳き漁船である。自然な揚網は「ともあげ」
であるが、「ともあげ」では揚網時に漁船が後退するの
で、安定性が低下する。そのため、「ともあげ」は75
トンを越える底曳き漁船で採用され、75トン以下の底
曳き漁船では「おもてあげ」を採用するのが通例であ
る。本考案は、これら2種類の底曳き漁船のうち、比較
的小型の「おもてあげ」船、そのなかでも特に、船側か
ら投網も合わせて行う底曳き漁船に搭載される揚網装置
を対象とする。以下の説明は全て「おもてあげ」船につ
いてである。
【0002】
【従来の技術】近年、漁業に従事する人の数が著しく減
少している。底曳き網漁もその例外ではなく、底曳き漁
船の乗員確保が業界の最重要課題の1つになっている。
底曳き網漁で最も人手を必要とする作業は揚網である。
この揚網作業を簡素化するために、本出願人は、ベース
上で揚網装置本体が周囲全方向を向く旋回式の揚網装置
を、特開平3−117447号公報により提示した。こ
の揚網装置は開発以来、多くの底曳き漁船に搭載され、
大変好評を博しているが、その一方では、幾つかの問題
点も明らかになった。その問題点を図6および図7によ
り説明する。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】底曳き網漁では、底曳
き漁船のブリッジ1より前方のデッキ2上で揚網が行わ
れる。揚網位置には、片側の手すり壁を切り欠いて揚網
口3が設けられている。また、デッキ2の下には、複数
の魚倉4が船長方向に並んで設けられている。魚倉4の
ハッチ部5は、デッキ2の幅方向中央部に位置し、通常
は海水の侵入を防ぐために、デッキ2より高い位置にあ
る。
【0004】揚網作業では、まず、船首のローラ6を介
してウインチ7によりロープを引き上げながら、そのロ
ープをリール8に巻き取る。次いで、揚網口3からデッ
キ2上に2つの寄せ網を引き上げ、最後に、溜まりをデ
レック9で吊り上げる。揚網に続く解網では、ハッチ部
5の側方(揚網口3の側)のデッキ2上に溜まりおよび
両側の寄せ網が別々に解かれる。そして次の投網で、こ
れらの網が揚網口3から順に海中へ投入される。後で述
べるが、一部の漁船では、ブリッジをトンネル型にし
て、船尾側へ投網を行うこともある。
【0005】揚網装置Aを搭載しない漁船の場合、揚網
時に、揚網口3がある右舷を風上に向ける。漁船は風上
から風下に流され、寄せ網は漁船に直角となる。これが
理想的な状態であり、この状態が実現されるように、揚
網口3の位置が、漁船の船長方向の重心位置に基づいて
決定されている。従って、揚網装置も揚網口3のところ
に設置しなければならないと言うことになる。
【0006】しかし、現実には、溜まりをデレック9で
吊り上げて降ろす位置が丁度、揚網口3のところにな
る。そのため、揚網口3のところに揚網装置Aを設置す
ると、この溜まりの吊り降ろしができなくなる。また、
引き上げた魚の選別が、デッキ2の後部で行われる。こ
のようなことから、揚網装置Aは、図示のように、揚網
口3より前方のハッチ部5上に設置される。そして、揚
網時には、揚網装置Aを斜め後ろに向け、寄せ網を船体
に対して傾けた状態で、その巻き上げを行う。
【0007】ところが、このような状態は、前述した理
想状態と異なり、その維持が非常に難しく、高度の操船
技術を必要とする。特に、底曳き網漁は、荒天下で行わ
れることが多く、高度の操船技術を駆使しても、寄せ網
が前後に移動し、図7に二点鎖線で示すように、寄せ網
が折曲がる場合も少なくない。寄せ網が折曲がると、そ
の都度、揚網作業を中断しなければならず、能率低下も
招いていた。これらが第1の問題点である。
【0008】第2の問題点は、デッキ2の前部に揚網装
置Aを設置することにより、漁船の重心が前方に移動
し、大きな波をすくうようになって、浮上が遅れるとい
う安定性の問題である。
【0009】第3の問題点は、揚網装置Aの設置位置が
どこであれ、その設置位置で魚倉4のハッチ部5が潰
れ、その魚倉4が犠牲になるということである。
【0010】他の問題点としては、揚網装置Aの旋回機
構の複雑化が避けられないため、その価格が高くなる
と、最近は重心を下げるために、魚種に対応する複数種
類の網を空いた魚倉4に収納することが推奨されている
が、そうした場合、旋回式の揚網装置Aと言えども、網
の交換のための出し入れに十分に対応できないので、従
来どおりデッキ2上に網が置かれている場合が多いこ
と、投網に際しては揚網口3の近くのデッキ2上に両側
の寄せ網および溜まりが個別に置かれるが、その作業で
依然として網の折れ曲がりが生じたり手数がかかること
などがある。
【0011】本考案はかかる問題点に鑑みて創案された
ものであり、溜まりの引き上げスペースや選別スペース
を犠牲にすることなく理想状態での揚網作業を可能に
ると共に、網の交換作業および投網準備作業を簡単かつ
スムーズに行うことができ、しかも漁船の安定性を高
め、更には経済的で、且つ魚倉を犠牲にすることもない
揚網装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本考案にかかる揚網装置
は、ブリッジの前方に位置するデッキの幅方向中央部に
船長方向に沿って魚倉ハッチ部が設けられると共に、魚
倉ハッチ部の側方に揚網口が設けられ、魚倉ハッチ部の
前方にデレックが設けられた「おもてあげ」式で、且つ
前記揚網口から投網を行う底引き漁船に搭載される揚網
装置であって、前記魚倉ハッチ部の両側に設けられた
イドレールと、前記デッキの幅方向中央部に前記魚倉ハ
ッチ部を跨いで設けられ且つ前記ガイドレールに沿って
船長方向に移動し得る可動ベースと、該可動ベース上に
設置されて寄せ網を巻き取る揚網装置本体と、前記可動
ベースを駆動して揚網装置本体を船長方向に直線移動さ
せる駆動手段とを具備する。
【0013】
【作用】本考案にかかる揚網装置においては、可動ベー
スの移動により、揚網装置本体が、底曳き漁船のブリッ
ジより前方のデッキの中央部に設けられた魚倉ハッチ部
の上を、船長方向に移動する。揚網時には、揚網口のと
ころに揚網装置本体を位置させることにより、理想状態
での揚網作業が可能になる。溜まりを吊り降ろしたり選
別を行うときは、揚網装置本体を揚網口より前方に位置
させる。これにより、これらの作業が揚網装置本体によ
って妨害されることなく行われる。魚倉内やデッキ上の
網の置き場所に揚網装置本体が移動してその網を巻き取
った後、網を解く位置へ揚網装置本体が移動することに
より、網の交換が簡単に行われる。投網に際しては、両
側の寄せ網および溜まりを解く位置へ揚網装置本体が順
に移動することにより、投網準備作業が簡単に行われ
る。通常に運行するときは、揚網装置本体を後方に位置
させる。これにより、漁船の重心が後方に移動し、その
安定性が向上する。また、揚網装置本体が可動ベースと
共に移動することにより、どの魚倉も使用可能になる。
魚倉ハッチ部上は魚選別スペースとして利用されるが、
このスペースも犠牲にならない。更に、直線移動機構
は、旋回機構に比ベて構造が簡単であり、コスト面で有
利である。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本考案の実施例を説明
する。図1〜5は本考案の1実施例を示し、図1はその
実施例装置を搭載した底曳き漁船の船首部の側面図、図
2はその船首部の平面図、図3はその実施例装置の側面
図、図4はその実施例装置の正面図、図5はその実施例
装置の可動ベースの支持構造を示す縦断正面図である。
【0015】底曳き漁船は、船側から投網を行うもの
と、船尾から投網を行うものとに大別される。小型の底
曳き漁船は前者に分類される。また、大型の底曳き漁船
でも、操業区域によっては、前者の投網方式が採用され
る。本揚網装置は、船側から投網を行う形式の底曳き漁
船に搭載されている。また、図6および図7に示した底
曳き漁船もこの方式である。
【0016】該底曳き漁船は、図1および図2に示すよ
うに、ブリッジ1より前方のデッキ2中央部に、船長方
向に延びる魚倉ハッチ部5を有する。魚倉ハッチ部5
は、海水が魚倉4に侵入するのを防ぐために、例えば数
十cm程度デッキ2から突出している。魚倉ハッチ部5
の前方には、デレック9が設けられている。揚網口3
は、魚倉ハッチ部5の長手方向中間部に位置している。
【0017】該底曳き漁船に搭載された本揚網装置は、
図3および図4に示すように、2つの巻取ドラム11,
11を備えた揚網装置本体10、揚網装置本体10を支
持する可動ベース20、可動ベース20を直線的に案内
する左右一対のガイドレール30,30、ガイドレール
30,30に沿って可動ベース20を直線駆動する駆動
手段40とからなる。
【0018】揚網装置本体10は、非旋回式であり、巻
取ドラム11,11の回転中心を船長方向に向けた横向
きの姿勢で、可動ベース20上に固定されている。巻取
ドラム11,11は、支持アーム13により軸方向に並
べて回転自在に支持され、支持アーム13に取り付けた
2つの油圧モータ12,12により、正逆両方向にそれ
ぞれ独立に回転駆動される。
【0019】可動ベース20は、開口部を下方に向けた
断面コ字状の部材であり、魚倉ハッチ部5を跨いで、後
述するガイドレール30,30および支持機構により、
船長方向に移動自在に支持されている。可動ベース20
の上面は水平であり、その下端面は、デッキ2の傾斜に
合わせて傾斜している。可動ベース20の移動により、
揚網装置本体10は、魚倉ハッチ部5上を船長方向に移
動する。
【0020】ガイドレール30,30は、船長方向に長
い金属の厚板からなり、後述する取り付け構造により、
デッキ2から浮かした状態で、魚倉ハッチ部5の両側面
に取り付けられている。各ガイドレール30の前端は、
揚網口3より前方に位置して魚倉ハッチ部5の前部に達
し、後端は揚網口3より後方に位置して魚倉ハッチ部5
の後部に達している。
【0021】駆動手段40は、一方のガイドレール30
の下端面に全長にわたって固着されたラッックギア41
と、可動ベース20の一方の側面に取り付けられた駆動
ユニット42とからなる。ラッックギア41の歯部は下
を向いている。駆動ユニット42は、油圧モータ43の
回転力を継手44を介してウォームギア45に伝え、ウ
ォームギア45で減速および方向転換をしてピニヨンギ
アを回転させる構造である。そして、ピニヨンギアは前
記ラッックギア41に噛み合っている。従って、油圧モ
ータ43の正逆回転により、可動ベース20は船長方向
に往復移動し、その結果、揚網装置本体10は、魚倉ハ
ッチ部5の前部と後部の間を直線移動して、この間の任
意位置に固定される。
【0022】次に、図5に基づいて、ガイドレール30
の取り付け構造および可動ベース20の支持構造を説明
する。
【0023】魚倉ハッチ部5の側面には補強板31がボ
ルト止めされている。補強板31の表面には、複数のブ
ロック32が船長方向に間隔をあけて溶接により固着さ
れている。そして、複数のブロック32にガイドレール
30をボルト止めすることにより、ガイドレール30
は、魚倉ハッチ部5の側面からやや離れた位置に、デッ
キ2から浮いた状態で支持されている。
【0024】一方、可動ベース20の側壁には、水平な
2本の支持軸21,25が、上下2段に取り付けられて
いる。上段の支持軸21は、可動ベース20の側壁から
内側に延び、その基部に溶接したフランジ22を側壁の
外側面にボルト止めすることにより、側壁に着脱自在に
結合されている。そして、支持軸21の先端部には、ガ
イドレール30の上縁部に係合する溝付きの主ローラ2
3が、複数の軸受24を介して回転自在に取り付けられ
ている。
【0025】同様に、下側の支持軸25は、可動ベース
20の側壁から内側に延び、その基部に溶接したフラン
ジ26を側壁の外側面にボルト止めすることにより、側
壁に着脱自在に結合されており、その支持軸25の先端
部には、ガイドレール30の下縁部に係合する溝付きの
副ローラ27が、軸受28を介して回転自在に取り付け
られている。
【0026】そして、可動ベース20は、図3および図
4に示すように、主ローラ23と副ローラ27の組み合
わせを、両側にそれぞれ前後2つずつ持ち、4つの主ロ
ーラ23による4点支持でガイドレール30,30上に
支えられている。また、4つの副ローラ27は、可動ベ
ース20の浮き上がりを防いで、揚網装置本体10の転
倒を防止する。なお、ラッックギア41が設けられた側
では、2つの副ローラ27はそのラッックギア41に係
合する。
【0027】更に、図示されていないが、可動ベース2
0の側壁内側には、垂直軸回りに回転する3つの補助ロ
ーラが配設されている。3つの補助ローラは、駆動ユニ
ット42が設けられた側に1つ、その反対側に前後2つ
配置され、それぞれがガイドレール30の外側面に当接
することにより、可動ベース20をガイドレール30,
30に対して平行に保持する。
【0028】次に、本揚網装置の使用方法を説明する。
【0029】揚網作業では、まず、船首のローラ6を介
してウインチ7によりロープを引き上げながら、そのロ
ープをリール8に巻き取る。ロープの巻き取りが終わる
と、揚網装置本体10を可動ベース20と共に、揚網口
3のところに移動させて固定する。そして、この状態で
揚網装置本体10を作動させて、揚網口3から揚網装置
本体10の2つの巻取ドラム11,11に2つの寄せ網
を巻き取る。揚網口3のところに揚網装置本体10があ
るので、揚網口3がある右舷を風上に向けておけば、漁
船は風上から風下に流され、寄せ網は漁船に直角とな
る。すなわち、理想状態での揚網が可能となる。従っ
て、揚網時の操船が非常に容易になり、揚網作業の中断
も生じない。
【0030】寄せ網の巻き取りが終わると、揚網装置本
体10を魚倉ハッチ部5の前部上に移動させて、溜まり
をデレック9で吊り上げる。こうしておけば、揚網装置
本体10が溜まりの吊り降ろしの邪魔にならない。その
後、引き上げた魚の選別を行うが、揚網装置本体10を
前側へ移動させたままにしておけば、揚網装置本体10
が選別作業の邪魔になることもない。
【0031】通常に航行するときは、揚網装置本体10
を後側に移動させる。こうすれば、漁船の重心が後方に
移動し、その航行安定性が非常に良くなる。
【0032】魚倉ハッチ部5を開けるときは、その邪魔
にならないように、揚網装置本体10を移動させる。そ
のため、全ての魚倉4を使用できる。また、最近は以前
ほど漁獲量が多くなく、魚倉4の一部に網を収納するこ
とがある。そのため、魚倉4は魚具倉と呼ばれている。
底曳き漁に使用される網は魚種によって多くの種類に別
れており、何種類もの網を積んで出航して適宜使い分け
られる。漁船に積む網の総重量は例えば30トン程度に
もなり、従来はこれらをデッキ2上に載せていたが、漁
船の重心が上がり不安定になるために魚倉4に収納する
ことが推奨されている。複数種類の網を魚倉4に収納し
た場合、交換のための出し入れが必要となるが、その出
し入れに揚網装置本体10を使用することにより、網の
交換作業が極めて簡単に行われる。即ち、取り出しで
は、魚倉4内の網の近くに揚網装置本体10を移動さ
せ、ここでその網を巻き取ったあと、解網位置へ揚網装
置本体10を移動させ、網を戻すときは、網を巻き取っ
た状態で揚網装置本体10を魚倉4内の収納位置の近く
に移動させるのである。
【0033】揚網が終わると、魚倉ハッチ部5の側方
(揚網口3の側)のデッキ2上で解網が行われる。この
作業では、まず溜まりが揚網口3の船首側に解かれる。
次いで、船尾側の寄せ網が揚網口3の船尾側に解かれ、
最後に船首側の寄せ網が溜まりの更に船尾側に解かれ
る。このときも、それぞれの解網位置に揚網装置本体1
0が移動するので、網の折れ曲がりが生じず、またその
作業が僅かの手数で簡単に行われる。そして、解網後
に、揚網口3から船尾側の寄せ網、溜まり、船首側の寄
せ網の順で、投網が行われる。旋回式の揚網装置では、
解網位置の方向にその装置を向けるだけであるので、網
の折れ曲がりが問題になり、作業に手数がかかる。
【0034】このように、投網を揚網口3から行う底曳
き漁船では、本揚網装置を使用しても何ら不便がないだ
けでなく、旋回式の揚網装置で問題となる点がことごと
く解決されるのである。
【0035】なお、コストは嵩むものの、揚網装置本体
10を可動ベース20上で旋回させるようにした場合
は、網の交換ための出し入れが一層簡単になる。また、
揚網中に2つの寄せ網が絡まった場合に、その網をデレ
ック9で吊り上げて揚網装置本体10を旋回させること
により、その絡まりを簡単に取り除くことができる。こ
の作業に従来は多くの手数を要していた。
【0036】ガイドレール30および駆動手段40は、
上記実施例に限らない。例えば、ガイドレール30は魚
倉ハッチ部5の両側デッキ上に取り付けることができ
る。また、駆動手段40としては、油圧シリンダーやチ
ェーンによるものをなどを用いることができる。しか
し、本揚網装置が採用するガイドレール30およびラッ
ックギア41と駆動ユニット42を組み合わせた駆動手
段40は、他のものに比して次のような利点を有する。
【0037】ガイドレール30を魚倉ハッチ部5の側面
にデッキ2から離して取り付け、且つ、可動ベース20
に取り付けた駆動ユニット42で可動ベース20を自走
させるので、デッキ2上に障害物がなく、デッキ2全体
を有効に活用できる。
【0038】デッキ2上での作業を安全に行うことがで
きる。
【0039】魚倉ハッチ部5の上で魚の選別を行うが、
選別した魚を入れる箱を、ガイドレール30の下に押し
込んで、魚倉ハッチ部5の側面に接触させることができ
るので、魚の投入が容易である。
【0040】魚倉ハッチ部5の上で魚の選別を行う際
に、作業者の足掛け台としてガイドレール30を利用す
ることができ、その選別作業が楽になる。
【0041】揚網装置本体10の移動ストロークを充分
に大きくできる。
【0042】ラッックギア41がガイドレール30の下
面に下向きに取り付けられているので、その損傷が防止
される。ピニオンギアが可動ベース20の内側にあるの
で、その損傷も防止される。
【0043】駆動ユニット42を可動ベース20の両側
に設け、両側駆動とすることもできるが、油圧モータ4
3の完全な同期は難しく、1つの駆動ユニット42で片
側駆動して、補助ローラで可動ベース20をガイドレー
ル30に平行させる方が、可動ベース20がスムーズに
移動する。
【0044】
【考案の効果】以上に説明した通り、本考案にかかる揚
網装置は、揚網装置本体が、可動ベースと共に、底曳き
漁船のブリッジより前方のデッキの中央部上を、船長方
向に移動することにより、理想状態での揚網作業を可能
にする。これにより、揚網時の操船が非常に容易にな
る。また、寄せ網の位置が安定し、揚網作業の中断がな
くなるので、その作業能率が向上する。
【0045】第2に、航行時の安定性が良くなる。第3
に、デッキの中央部上に揚網装置を設けるにもかかわら
ず、どの魚倉ハッチ部も潰れず、全ての魚倉を使用でき
る。第4に、旋回式より構造が簡単である。しかも、船
側から投網を行う漁船では、旋回式と比べて機能の差が
殆どない。それにもかかわらず、旋回式より安価に揚網
装置が提供される。
【0046】むしろ、旋回式よりも、魚倉内に収納した
網の交換作業が簡単となるので、魚倉内に網が収納され
るようになり、この点からも漁船の安定性が良くなる。
また、船側から投網を行う漁船では、投網準備作業もス
ムーズ且つ簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案を実施した揚網装置の1例についてその
全体構造を示す底曳き漁船の船首部側面図である。
【図2】同揚網装置の全体構造を示す底曳き漁船の船首
部平面図である。
【図3】同揚網装置の主要部側面図である。
【図4】同揚網装置の主要部正面図である。
【図5】同揚網装置の可動ベースの支持構造を示す縦断
正面図である。
【図6】従来の揚網装置を搭載した底曳き漁船の側面図
である。
【図7】従来の揚網装置を搭載した底曳き漁船の平面図
である。
【符号の説明】
1 ブリッジ 2 デッキ 3 揚網口 4 魚倉 5 魚倉ハッチ部 9 デレック 10 揚網装置本体 20 可動ベース 23 主ローラ 27 副ローラ 30 ガイドレール 40 駆動手段 41 ラッックギア 42 駆動ユニット 43 油圧モータ

Claims (5)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブリッジの前方に位置するデッキの幅方
    向中央部に船長方向に沿って魚倉ハッチ部が設けられる
    と共に、魚倉ハッチ部の側方に揚網口が設けられ、魚倉
    ハッチ部の前方にデレックが設けられた「おもてあげ」
    式で、且つ前記揚網口から投網を行う底引き漁船に搭載
    される揚網装置であって、前記魚倉ハッチ部の両側に設
    けられたガイドレールと、前記デッキの幅方向中央部に
    前記魚倉ハッチ部を跨いで設けられ且つ前記ガイドレー
    ルに沿って船長方向に移動し得る可動ベースと、該可動
    ベース上に設置されて網を巻き取る揚網装置本体と、前
    記可動ベースを駆動して揚網装置本体を船長方向に直線
    移動させる駆動手段とを具備することを特徴とする底曳
    き漁船に使用される移動式揚網装置。
  2. 【請求項2】 前記揚網装置本体が、周囲全方向を向く
    ように、前記可動ベース上で垂直軸回りに回転駆動され
    ることを特徴とする請求項1に記載の底曳き漁船に使用
    される移動式揚網装置。
  3. 【請求項3】 前記ガイドレールを、甲板から突出した
    魚倉ハッチ部の両側面に取り付けたことを特徴とする請
    求項1または2に記載の底曳き漁船に使用される移動式
    揚網装置。
  4. 【請求項4】 前記ガイドレールに上方から係合する前
    後一対の主ローラと、前記ガイドレールに下方から係合
    する前後一対の副ローラとにより、可動ベースを支持し
    たことを特徴とする請求項3に記載の底曳き漁船に使用
    される移動式揚網装置。
  5. 【請求項5】 前記駆動手段が、前記ガイドレールの下
    面に設けたラックギアと、前記可動ベースに取り付けら
    れ、前記ラックギアに噛み合うピニヨンギアをモータに
    より回転させる駆動ユニットとの組み合わせからなるこ
    とを特徴とする請求項3または4に記載の底曳き漁船に
    使用される移動式揚網装置。
JP1993075946U 1993-12-27 1993-12-27 底曳き漁船に使用される移動式揚網装置 Expired - Fee Related JP2531344Y2 (ja)

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