JP2529852Y2 - 二重タンクの結露水排水構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、洗浄タンクをタンクカ
バーで覆うようにした二重構造のタンクにあって、その
内部の結露水を排水する構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】洋風便器では、便器本体の後部上面に設
置される便器洗浄用の洗浄タンクを、タンクカバーで覆
うようにした二重構造のタンクを備えたものが普及して
来ている。そして、このタイプのものでは、便器本体内
及びタンクカバー内に、温水タンクや温水ポンプ，温風
ファン，脱臭ファン，洗浄ノズル等の部品を組み込むよ
うにしている。従来の二重タンクを有する便器は、これ
を示せば図６の縦断面正面図の通りである。同図に示す
ように、この従来の便器にあっては、便器本体１の後部
側に設けた載置部２へ洗浄タンク３を取り付けている。
そして、便器本体１の後部上面１ａで洗浄タンク３の周
囲に、これを覆うタンクカバー４を設置している。洗浄
タンク３の底部には、フロート弁５及びその弁座６，オ
ーバーフロー管７等が設置されている。フロート弁５
は、鎖８を介してタンクカバー４へ取り付けられた操作
ハンドル９へ連結されている。また洗浄タンク３の上部
側には、浮玉１０によって洗浄水の供給及び止水を行う
ボールタップ１１が取り付けられている。一方、洗浄タ
ンク３の外表面と、タンクカバー４の内表面とには、結
露水の発生を防止するための断熱材層１２及び１３が設
けられている。この断熱材層１２及び１３を形成するこ
とにより、洗浄タンク３とタンクカバー４との間の空間
の空気が、洗浄水によって冷やされなくなり、結果とし
て結露水の発生を防ぐことが可能である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このように前記従来の
二重タンク構造を有する便器にあっては、洗浄タンク３
の外表面と、タンクカバー４の内表面とに、断熱材層１
２，１３を形成して結露水の発生を防止している。とこ
ろが、断熱材層１２，１３は、ウレタン等の材料で形成
されており、ポリプロピレンで形成された洗浄タンク３
との接着性が悪いためにその貼付作業が行い難いという
欠点があった。また前記ウレタン等の材料をタンク形状
に沿わせる加工が、高価になるという欠点があった。更
には、このような方法であっても、ある飽和条件に達す
るとやはり結露水が断熱材層１２，１３の表面に形成さ
れるようになり、本来の機能を喪失するという欠点があ
った。結露水が生成されると、これが便器本体１の床面
への取り付け部分や便器本体１とタンクカバー４との間
から滲み出し、床材を腐蝕させたり、便器自体の価値感
を低下させるという欠点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、従来の前記課
題に鑑みてこれを改良除去したものであって、結露水の
排水路を設けることにより、積極的に結露させることの
できる構造を提供せんとするものである。

【０００５】而して、前記課題を解決するために本考案
が採用した請求項１の手段は、洗浄タンクをタンクカバ
ーで覆うようにした二重構造のタンクを有する便器にお
いて、洗浄タンクをベースプレートを介して便器本体へ
設置し、タンクカバーとベースプレートとの接触部にあ
たる部位に対応する前記ベースプレートの位置に排水溝
を設置し、該排水溝を便器本体側の排水通路へ連通させ
たことを特徴とする二重タンクの結露水排水構造であ
る。

【０００６】

【実施例】以下に、本考案の構成を図面に示す実施例に
基づいて図面を参照して説明すると次の通りである。

【０００７】図１乃至図５は本考案の一実施例に係るも
のであり、図１はシャワートイレ１４の全体を示す斜視
図、図２はその主要な部材の分解斜視図、図３は洗浄タ
ンク１５と結露水受皿１６の取付関係を示す部分縦断面
図、図４はベースプレート２１の排水溝３６を示す斜視
図、図５はタンクカバー３２とベースプレート２１の排
水溝３６との関係を示す縦断面図である。同図に示す如
く、このシャワートイレ１４にあっては、便器本体１７
の後部側にメカボックス１８が形成され、温水タンク１
９が配設されている。そして、このメカボックス１８の
前面側の一部には、便鉢２０内へ連通する開口（図示せ
ず）が形成されている。メカボックス１８の上面側に
は、ベースプレート２１が取り付け固定されるようにな
っている。このベースプレート２１の上面側には、温風
ファン２２，電磁ポンプ２３，シャワーノズル３５が取
り付けられている。またベースプレート２１には、メカ
ボックス１８内に配設された温水タンク１９の一部が上
面側へ突出して固定されている。

【０００８】前記ベースプレート２１には、便器本体１
７の排水通路２４へ連通する開口２５が形成されてい
る。そして、ベースプレート２１の上面側に結露水の受
皿１６が配設され、更にこの受皿１６の上面側に洗浄タ
ンク１５が配設されている。従って、洗浄タンク１５
は、その下面側が受皿１６に嵌合装着されることにな
る。洗浄タンク１５の底部に取り付けられたフロート弁
機構は、パッキン２６を介して受皿１６の開口２７へ連
通するようになされており、更にこの開口２７はベース
プレート２１の開口２５へ連通するようになされてい
る。それ故、洗浄タンク１５内の洗浄水は、受皿１６及
びベースプレート２１を通過して便器本体１７の排水通
路２４へ流れ込むようになっている。

【０００９】而して、洗浄タンク１５の下面側と接触す
る前記受皿１６の上面側には、リブ２８が形成されてい
る。このリブ２８は、受皿１６の上面と洗浄タンク１５
の下面との間に、空間２９を形成するためのものであ
る。この空間２９は、断熱空間として作用し、また結露
水の排水通路として作用する。受皿１６の一端側には、
凹部３０が形成されている。この凹部３０には、ドレン
パイプ３１が取り付けられている。この実施例のシャワ
ートイレ１４にあっては、前記洗浄タンク１５の周囲
に、更にタンクカバー３２を覆い被せるようにしてい
る。タンクカバー３２は、固定カバー３３と可動カバー
３４とより成り、前後方向に二分割される方式である。

【００１０】このように本実施例にあっては、洗浄タン
ク１５の下面側に受皿１６を配設している。そのため、
洗浄タンク１５の外表面部で発生した結露水は、洗浄タ
ンク１５の壁面を滴下又は流下し、受皿１６に収容され
る。そして、この受皿１６と洗浄タンク１５との間の空
間２９を通じて凹部３０へ流下し、ドレンパイプ３１か
ら図示しないゴムホース等を通じて、便器本体１７の便
鉢２０内へ排水されるようになっている。従って、洗浄
タンク１５の外表面に、結露水が多く発生する場合であ
っても充分に対処することが可能であり、また結露水が
生成されても問題はないので、気象条件に左右されるこ
とがない。

【００１１】一方、図４及び図５に示すように、固定カ
バー３３及び可動カバー３４より成るタンクカバー３２
の結露水が生成される内表面側の下方に対応するベース
プレート２１の位置と、洗浄タンク１５及びその他の結
露水が生成される部材の下方に対応するベースプレート
２１の位置とには、結露水を集めて排水する排水勾配の
付された排水溝３６を形成している。この排水溝３６
は、図４の符号３７及び３８で示す位置において、便鉢
２０へ連通する排水孔（図示せず）が穿設されている。

【００１２】このような結露水の排水溝にあっては、洗
浄タンク１５とタンクカバー３２との間において発生す
る結露水は、前記ベースプレート２１の排水溝３６へ滴
下又は流下し、該排水溝３６に集められて排水孔から便
鉢２０内へ排水される。従って、結露水が沢山発生した
場合であっても、また頻繁に発生した場合であってもこ
れに対処することが可能であり、便器本体１７から結露
水が外部側へ漏れ出ることは無い。

【００１３】ところで、本考案は上述した実施例に限定
されるものではなく、例えば、排水溝３６の設置パター
ン及び排水勾配等は適宜の変更が可能である。

【００１４】

【考案の効果】以上説明したように本考案にあっては、
タンクカバーとベースプレートとの接触部にあたる部位
に対応してベースプレートに排水溝を設置している。つ
まり、本考案にあっては、結露させてその水を排水溝へ
集水して排水するようにしているので、結露水の多少と
は無関係であり、また結露しないように断熱材層を形成
する従来の場合に比較して、その貼付作業を省略するこ
とができ、材料費の高騰をも抑止することが可能であ
る。更には、排水溝はタンクカバーとベースプレートと
の接触部にあたる部位に設けられており、排水溝が該部
位においてリブの働きをするので、ベースプレートの強
度アップを図ることも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るシャワートイレの全体
を示す透視図である。

【図２】本考案の一実施例に係るシャワートイレの要部
を示す分解斜視図である。

【図３】本考案の一実施例に係る洗浄タンクと受皿との
取付関係を示す部分縦断面である。

【図４】本考案の一実施例に係るベースプレートの斜視
図である。

【図５】本考案の一実施例に係るベースプレートの排水
溝を示す縦断面図である。

【図６】従来の二重タンクを有する便器の縦断面正面図
である。

【符号の説明】

１４…シャワートイレ １５…洗浄タンク １６…受皿 １７…便器本体 ２１…ベースプレート ２８…リブ ２９…空間 ３２…タンクカバー ３３…固定カバー ３４…可動カバー ３６…排水溝 ３７，３８…排水孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭62−60665（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−133682（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−61275（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭57−26953（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】洗浄タンクをタンクカバーで覆うようにし
   た二重構造のタンクを有する便器において、洗浄タンク
   をベースプレートを介して便器本体へ設置し、タンクカ
   バーとベースプレートとの接触部にあたる部位に対応す
   る前記ベースプレートの位置に排水溝を設置し、該排水
   溝を便器本体側の排水通路へ連通させたことを特徴とす
   る二重タンクの結露水排水構造。