JP2526046B2 - ペネム誘導体、その製造法およびその用途 - Google Patents

ペネム誘導体、その製造法およびその用途

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JP2526046B2 JP61311480A JP31148086A JP2526046B2 JP 2526046 B2 JP2526046 B2 JP 2526046B2 JP 61311480 A JP61311480 A JP 61311480A JP 31148086 A JP31148086 A JP 31148086A JP 2526046 B2 JP2526046 B2 JP 2526046B2
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
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    • C07D499/88Compounds with a double bond between positions 2 and 3 and a carbon atom having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. an ester or nitrile radical, directly attached in position 2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は一般式(1) (式中Rは水素原子またはアリル基を表わし、Aは酸
素原子を1個もしくは2個を環内に有する5又は6員環
のヘテロ脂肪族基を表わす)を有するペネム誘導体また
はそれらの薬理学上許容されうる塩に関する。
本発明に係る前記一般式(1)を有する化合物は新規
化合物であり、グラム陽性菌およびグラム陰性菌等の感
染症の治療に対して極めて顕著な効果を有し、医薬品の
みならず動物薬として広範囲に使用されうる。
〔従来技術〕
フレミング(Fleming)によるペニシリンの発明と、
フローリイ(Florey)らによるペニシリンの化学療法剤
としての用途を端緒として多種多様の抗生物質が発明さ
れ使用されてきたことは周知のことである。抗生物質の
分野において今日わが国において最も汎用されている抗
生物質はβ−ラクタム類であり、全抗生物質の80%以上
を占めている。
このようにβ−ラクタム抗生物質が広く使用されてい
る理由は抗菌活性の強さや、抗菌スペクトルの広さの他
に安全性が高いこともある。これらβ−ラクタム抗生物
質が広く使用されてきたのは、これらが発酵によって得
られることもある。
微生物によって生産されるβ−ラクタム剤にはペニシ
リン、セファロスポリン、ノカルジシン、クラプラン
酸、カルバペネムなどがある。カルバペネム化合物はす
でに数多くが放線菌やバクテリアにより産生されている
が、ペネム化合物は非天然型β−ラクタムであり、いま
だ天然から見い出されていない。
ペネム骨格は以下に示す構造式のように、 カルバペネム骨格の1位メチレン基を硫黄原子で置換し
たもので両者は極めて類似した構造を有する。又ペニシ
リンのペナム骨格は環内に大きな歪を持ち、一方セファ
ロスポリンのセフェム骨格は6員環内の二重結合により
安定化が妨げられ細菌の細胞壁合成に関与しているトラ
ンスペプチダーゼと反応し、その働きを阻害する。これ
らのことよりペネム骨格にも強力な活性が期待された。
事実1−チアチエナマイシン(S.OHYAらAntimicrob.Age
nts Chemother.,21巻,492頁,1982年)やSch29482(A.K.
GangulyらJ.Antimicrob.Chemother.,(Suppl.C)9巻,1
頁,1982年)などに強力な活性が見い出されている。
前述した如く、骨格の類似性などから数多くのペネム
誘導体が合成されている。
例えば特開昭61−207387号,特開昭54−88291号,特
開昭56−25110号,同56−25111号などが挙げられる。又
これらペネム誘導体の合成も数多く報告されている。例
えばA.Longoら(Gazz,Chim.Ital。,111巻,371−77頁,19
81年)、V.M.Girijavallabhanら(Tetrahedron Letter
s,22巻,3485頁,1981年)などが挙げられる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者らは新らしい抗生物質を開発することを考え
β−ラクタム抗生物質に照準をあわせた。
β−ラクタム抗生物質のなかでもペネム化合物はその
生物学的評価が未だ不明な点も多いが一般に化学的に安
定であり腎デヒドロペプチダーゼIに対してもカルバペ
ネムより安定である。
これらの利点を有しさらに広範囲のグラム陽性菌、グ
ラム陰性菌に強力な抗菌活性を持ち、その上経口でも使
用が可能であるペネム誘導体を見い出すべく研究を行な
い本発明を完成させた。又この研究の一部として合成法
の改良も種々行ない、より安価にペネム誘導体を合成す
ることもあわせて行なった。
〔問題を解決するための手段〕
本発明は一般式(1) (式中Rは水素原子またはアリル基を示し、Aは酸素
原子1個もしくは2個を環内に有する5又は6員環のヘ
テロ脂肪族基を示す)で表わされるペネム誘導体または
それらの薬理学上許容される塩および以下に説明するそ
の製造法および抗菌剤としてのその用途である。
前記一般式(1)で表わされるペネム誘導体は以下の
方法で合成することができる。
このペネム誘導体を合成するための前駆物質であるア
ゼチジノン誘導体(2)の合成法をまず述べる。
(式中R1,R2およびAは前記と同一意義をん表わし、
Zは酸素原子、トリアリールホスホニオ基またはトリア
ルキルホスホニオ基を表わす) 前記一般式(2)は公知化合物である一般式(2)′ (式中R1は前記定義通りであり、Xはハロゲン原子、
アセトキシ基、アリールスルホニル基またはアルキルス
ルホニル基を表わす)を有する化合物より誘導できる。
この化合物(2)′については、例えば特開昭61−2073
73号に記載されている。
前述の一般式(2)のアゼチジノン誘導体には2種類
の異性体が存在する。すなわち1′R,3S,4R体(2a)と
1′R,3R,4S体(2b)である。
(2a)(1′R,3S,4R体)(2b)(1′R,3R,4S体) (上式中R1,R2,AおよびZは前記定義通りである) 前者はチエナマイシンと同じ立体配置を有している。
この2種の分離は再結晶により極めて容易に行なえる。
前述の一般式(2)を有するアゼチジノン誘導体は、
たとえば、以下に示す方法によって製造することができ
る。
式中R1,R2,Z,X,Rおよび基Aは前記と同一意義、Yは
塩素、臭素等のハロゲン原子を示す。
基A部分を表わす具体的な構造を例示すると、 が挙げられる。
前記一般式(1)を有する化合物においては、不斉炭
素原子に基づく光学異性体及び立体異性体が存在し、こ
れらがすべて平面式で示されているが、これによって本
発明の記載の範囲は限定されるものでない。しかしなが
ら好適にはペネム骨格の5位の炭素原子がR配位を有
し、6位の炭素原子がS配位の化合物を選択することが
できる。
6位置換基である1−ヒドロキシエチル基に関しては
R配位が好ましい。基Aの2,3又は4位炭素原子に関し
ては場合によりR配位が好ましく、このことは既に本発
明者らによって報告された事実(特開昭61−207373号)
と同様であるが、本発明中の化合物においては場合によ
りR配位及びS配位のものが同等の効力を有するため、
この位置における配位は特に限定されることなく、また
混合物でもよいことが特徴となっている。
工程1は一般式(3)を有するチオカルボン酸エステ
ルを得る工程で、一般式(2′)のアゼチジノン誘導体
と1〜2当量の一般式(14)で示されるチオカルボン酸
を適当な塩基存在下縮合させる反応である。塩基として
は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属
水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の
アルカリ金属炭酸塩類又はナトリウムメチラート、ナト
リウムエチラート等のアルカリ金属アルコラート類が好
ましく、溶剤として水とメタノール、エタノール等のア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、
塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類
等が挙げられる。反応はpH8〜12で進行し、反応終了後
水と混和しない有機溶剤を用いて抽出する。有機溶剤層
を水洗し、乾燥剤で乾燥したのち、有機溶剤を留去する
ことにより目的化合物(3)が得られる。
本反応において塩基としてトリエチルアミン、ピリジ
ン、ルチジン等の有機アミン類、水素化リチウム、水素
化ナトリウム等の水素化金属類、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類等を用い、
メタノール、エタノール等のアルコール類、塩化メチレ
ン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン等の芳香族炭化水素類、エーテル、テトラ
ヒドロフラン等のエーテル類及びアセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類(もしくはニトロメタン、ジメト
キシエタン、アセトニトリル等)を溶剤として非水下に
30℃〜80℃で攪拌することによっても目的化合物(3)
を得ることができる。
本反応の生成物は精製することなく次の工程に使用さ
れるが、必要ならばカラムクロマトグラフィー、分取用
薄層クロマトグラフィー、再結晶等の操作により、さら
に精製することができる。
工程2は一般式(4)で示されるアゼチジノン誘導体
を製造する工程で、前記一般式(3)を有する化合物と
一般式(15)で表わされるグリオキシル酸エステルをテ
トラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メ
チレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類の溶剤
とともに加熱還流することにより目的とする付加物一般
式(4)を得ることができる。本反応において場合によ
りトリエチルアミン、2,6−ルチジン等の塩基を添加す
ることもある。本工程の生成物は溶剤を留去することに
より得られ、多くの場合精製することなく次の工程に使
用されるが、場合によりカラムクロマトグラフィー等に
よって精製することができる。
工程3は一般式(5)で表わされる化合物を製造する
工程で、本反応を実施するにあたって、一般式(4)で
表わされる化合物を塩化メチレン、クロロホルム等のハ
ロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素類、エーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル
類に溶解し、トリエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチ
ジン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基存在下、塩
化チオニル、臭化チオニル等のハロゲン化チオニル、五
塩化リン等のハロゲン化リン、オキシ塩化リン等のオキ
シハロゲン化リン、臭化メタンスルホニル等のハロゲン
化メタンスルホニル類と接触させることによって達成さ
れる。本反応は−40℃〜0℃の温度にて進行し、多くの
場合数時間以内に終了する。
本工程の生成物は反応後水と混和しない溶剤で希釈
し、飽和炭酸水素ナトリウム、水で順次洗浄し、乾燥剤
を加え乾燥し、溶剤を留去することにより得られる。こ
の生成物は精製することなく次の工程に使用されるが、
カラムクロマトグラフィー等の操作により精製すること
もできる。また多くの場合、反応終了後不溶物を別
し、液を濃縮するのみで次の工程に使用することが可
能である。
工程4は一般式(7)で表わされるリン−イリド化合
物を製造する工程で、本工程の反応を実施するにあたっ
ては、前記一般式(5)で示される化合物を有機溶媒に
混和し、塩基存在下、トリフェニルホスフィン等のトリ
アリールホスフィン類、トリエチルホスファイト等のト
リアルキルフォスファイト類を加え、加熱処理する。反
応温度は室温〜100℃が好適である。よく用いられる塩
基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン、ピリジン、2,6−ルチジン等があげられる。溶
剤はテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、
ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類が好適
である。
反応終了後不溶物は別し、液を希酸、希アルカ
リ、水で順次洗浄し、乾燥剤で乾燥した後濃縮すること
により目的化合物(7)が得られる。本工程の生成物
(7)は必要に応じカラムクロマトグラフィー、分取薄
層クロマトグラフィー、再結晶等の操作により精製する
ことができる。
工程5は一般式(6)で示される公知化合物(特開昭
56−25110号)と一般式(16)(式中、基Aは前記と同
一意義)で表わされる酸塩化物を縮合させる工程で、工
程4と同一目的物(7)を得る。
本反応を実施するにあたっては、一般式(6)で示さ
れる化合物を、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲ
ン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素類、エーテル、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類の溶剤に希釈し、同一溶剤にて希釈した一般式
(16)で示される酸塩化物を加えることにより行なわれ
る。反応温度は0℃〜室温で、反応は数字間以内に終了
する。
反応終了後不溶物を別し、液を水洗し、乾燥剤に
て乾燥後濃縮することにより目的化合物(7)が得られ
る。本生成物は精製することなく次の工程に使用されう
るが、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作によ
り精製することもできる。
工程6の説明を述べる前に、前述の化合物(7)およ
び(8)から本発明のペネム誘導体(1)への製造工程
を図示する。
工程6は一般式(7)で示される化合物の水酸基の保
護基を脱保護し、一般式(8)で示される化合物を得る
工程で、続く工程7はこの一般式(8)で示される化合
物を環化させることにより、一般式(10)で示されるペ
ネム化合物を得る工程である。この連続する2工程は順
序を逆にし同一操作をすることによっても、一般式(1
0)で示されるペネム化合物を得ることができる。即ち
一般式(7)で示される化合物を工程8で環化させ、続
いて工程9の脱保護操作によりペネム化合物(10)を得
ることができる。
まず工程6,9は化合物(7)及び化合物(9)の水酸
基の保護基を脱保護する工程で、各々の保護基の性質に
より、取り除く方法は異なる。例えばtert−ブチルジメ
チルシリル基などのシリル系保護基の場合には、溶剤で
一般式(7)もしくは一般式(9)の化合物を希釈し、
フッ化テトラブチルアンモニウムを接触させることによ
り容易に反応は進行する。反応温度は室温付近でよく、
使用する溶剤はジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル系有機溶剤が好適である。
反応終了後、混合物を水と混和しない溶剤で希釈し、
希アルカリ、水で順次洗浄し、乾燥剤にて乾燥した後濃
縮することにより、化合物(7)からは化合物(8)
が、又化合物(9)からは化合物(10)が得られる。こ
れら生成物は精製することなく次工程に使用できるが、
必要ならばカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマ
トグラフィー、再結晶等の操作により精製することがで
きる。
工程7,8は化合物(8)及び化合物(7)を一般式(1
0)及び一般式(9)で示される構造を有するペネム化
合物に熱閉環させる工程である。
本工程の実施にあたって、反応に使用される溶剤に特
に限定はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素類、ジオキサン、ジエトキシエタン等のエ
ーテル類が好適である。
反応終了後本工程の目的化合物は、混合物より溶剤を
留去することによって得ることができる。このようにし
て得られた化合物(10)及び化合物(9)は必要ならば
カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィ
ー、再結晶等の操作によりさらに精製することができ
る。
工程10は一般式(1)を有するペネム誘導体を製造す
る工程で、一般式(10)を有するペネム誘導体のカルボ
キシル基の保護基を除去する工程である。
保護基の除去はその種類によって異なるが、一般にこ
の分野の技術で知られている方法によって除去される。
例えば保護基がベンジル、パラニトロベンジルのような
アラルキル基の場合には、水素およびパラジウム−炭素
のような加水素分解触媒または硫化ナトリウムのような
アルカリ金属硫化物を作用させる方法が挙げられる。
又保護基がアリル基の場合には、トリアリールホスフ
ィン、パラジウムテトラキストリアリールホスフィンを
用いる方法が例示されるし、パラジウムテトラキストリ
アリールホスフィン、トリーn−ブチルチンヒドリド、
酢酸を用いる方法も挙げられる。
又保護基がα,α,α−トリクロロエチル基の場合に
は、pH3〜7で亜鉛を作用させる方法が挙げられる。
反応は溶剤の存在下で行なわれ、使用される溶剤は本
反応に関与しないものであれば特に限定はないが保護基
としてアラルキル基、α,α,α−トリクロロエチル基
を用いた場合には、メタノール、エタノール等のアルコ
ール類、エテール、テトラヒドロフラン等のエーテル
類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、酢酸等の
脂肪酸類およびこれらの溶剤と水との混合溶剤が好適で
あり、場合によりpHを3〜8の適切な値に調節すること
により反応の進行を早めることができる。
保護基がアリル基の場合には、エーテル、テトラヒド
ロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等の
エステル類が好適であり、通常反応は非水下で行なわれ
る。
反応終了後、保護基がアラルキル基、アリル基の場合
は、混合物を弱アルカリ性とした後有機溶剤層を分離
し、水層を濃縮することにより目的化合物(1)を有機
酸塩の形で得ることができる。またアリル基の場合、反
応混合物に直接2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−
エチルヘキサン酸カリウム等の脂肪酸アルカリ金属塩を
添加することによっても、析出する結晶として目的化合
物(1)の塩を得ることができる。
保護基がα,α,α−トリクロロエチル基の場合に
は、酸性条件下で反応を行ない、反応終了後有機溶剤層
を分離し、水洗し、乾燥剤にて乾燥させ、さらに濃縮す
ることによって目的化合物(1)を有機酸として得るこ
とができる。
前述の方法で得た有機酸塩は酸性にすることにより有
機酸へと変換されうる。またその逆に後述の方法で得ら
れた有機酸が炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムの
ようなアルカリ金属炭酸塩もしくは2−エチルヘキサン
酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等の脂肪
酸アルカリ金属塩と接触することにより塩形成されるこ
とも明白である。特に本発明化合物は酸塩基に対し比較
的安定に存在しうるためこれらの変換が容易であること
は有意義である。
この目的化合物はさらに必要とあれば、カラムクロマ
トグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、再結晶等
の操作により、さらに精製することができる。
以上の合成ルートにて得られる中間化合物(9)は、
また別途の公知合成法(例えば、A.AfonsoらによるJ.A
m.Chem.Soc.,104巻,6138頁,1982年、A.Yoshidaらによる
Chem,Pharm.Bull.,31巻,768頁,1983年など)を応用する
ことによっても製造することができる。
(式中R1,R2,Z及び基Aは前記と同一意義、Trはトリフ
ェニルメチル基を示す) 以下にこの各工程を順次説明する。
まず工程11は前記一般式(3)の化合物と一般式(1
7)で示されるオキザリルクロリドモノエステルとを縮
合させ一般式(11)で示される化合物を得る工程であ
る。
本工程は化合物(3)を溶剤に希釈し、適当な塩基存
在下溶剤にて希釈された化合物(17)を滴下することに
よってなしうる。反応温度は−40℃〜20℃が好適で、塩
基としては、水素化ナトリウム、水素化リチウム等の水
素化アルカリ金属類、ナトリウムメチラート、ナトリウ
ムエチラート等のアルカリ金属アルコラート類、トリエ
チルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の脂肪族ア
ミン類、ピリジン、2,6−ルチジン等の芳香族アミン類
が好適である。
溶剤としては、本反応に関与しないものであれば特に
限定はないが、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化
炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素類が好適である。
反応終了後不溶物を別し、溶剤を留去することによ
り目的化合物(11)を得ることができ、場合により不溶
物を別した液を希アルカリ、水で順次洗浄し、乾燥
剤にて乾燥させ、濃縮することによっても得られる。こ
のようにして得られた化合物(11)は多くの場合精製す
ることなく次工程に使用されるが、活性を減じたシリカ
ゲルを用いたカラムクロマトグラフィー等によりさらに
精製することができる。
本工程で得られる化合物(11)はまた以下に述べる工
程12,13の連続する操作によっても得ることができる。
まず工程12は、一般式(12)で示される公知化合物
(特開昭56−25110号)を一般式(17)で示されるオキ
ザリルクロリドモノエステルと縮合させ、一般式(13)
で示される化合物を得る工程で、本工程は前述した工程
11と全く同様に行なうことができる。
次いで工程13は、工程12で得られた化合物(13)を一
旦銀メルカプチド化合物とした後、直ちに一般式(16)
で示される酸塩化物と縮合させ一般式(11)で示される
化合物に変換する工程である。
本工程を実施するにあたって、化合物(13)を有機溶
剤で希釈し、適当な塩基存在下同一溶剤に溶解した硝酸
銀を加え、好適には−10℃〜10℃で攪拌する。混合物中
で生成する銀メルカプチド中間体は単離することなく、
適当な溶剤に希釈した酸塩化物(16)を加え、好適に
は、−10℃〜室温にて攪拌することにより目的物(11)
が得られる。
銀メルカプチド生成反応の際に使用する溶剤は、硝酸
銀を溶解し、かつ本反応に作用しないことが必要であ
り、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテ
ル類もしくはニトロメタン、アセトニトリル等が好適で
あり、塩基としてはトリエチルアミン、ジイソプロピル
エチルアミン等の脂肪族アミン類、ピリジン、2,6−ル
チジン等の芳香族アミン類、1,5−ジアザビシクロ〔4.
3.0〕ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕
ウンデセ−7−エン等のジアミン類が好適である。
また酸塩化物を希釈する溶剤は本反応に関与しないも
のであればよいが、前述の反応に使用した溶剤すなわち
例示のエーテル類、ニトロメタン、アセトニトリル等が
好適であり、さらに塩化メチレン、クロロホルム等のハ
ロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素類も好適である。
本工程の生成物は、工程11にて得られた生成物と全く
同一であり、反応終了後同様の操作をすることにより目
的化合物(11)を得ることができる。本工程により製造
した化合物(11)も、工程11にて得られた化合物(11)
と同様に多くの場合精製することなく次工程に使用され
るが、必要ならばカラムクロマトグラフィー等の操作に
より精製することができる。
このようにして得られた化合物(11)は続く工程14に
て前記一般式(9)にて示されるペネム誘導体へ導かれ
る。
まず化合物(11)とトリフェニルホスフィン等のトリ
アリールホスフィン類もしくはトリエチルホスファイ
ン、トリメチルホスファイン等のトリアルキルホスファ
イト類を混和し、これを溶剤にて希釈した後室温〜140
℃にて攪拌することにより目的化合物(9)が得られ
る。使用する溶剤は塩化メチレン、クロロホルム等のハ
ロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族
炭化水素類が好適で、場合によりヒドロキノン等の抗酸
化剤を添加することもある。
本反応により得られる目的化合物(9)は工程8で得
られたものと同一であり、同様の操作にて精製すること
ができる。
本分野における研究はめざましく、ペネム化合物の製
造法に関する報告も近年数多くなされている。そのいず
れかの方法を応用し本発明化合物を製造しうることは容
易に考えられることであり、本発明化合物の製造が以上
に述べた方法のみに限定されるものではない。
また以上記載した製造法に関しては立体化学について
は言及していないが、光学活性体を使用した合成にも全
く同じように作用できることはいうまでもない。特に本
発明化合物の特徴として、一般式(2)で示されるラク
タム化合物もしくは一般式(14)で示されるチオカルボ
ン酸化合物又は一般式(16)で示される酸塩化物のいず
れか一化合分が光学活性化合物である場合、他方がdl化
合物であっても工程1,8,9,14の各工程のいずれかに於い
てラセミ分割され、光学活性な単一化合物が得られる。
光学分割の方法は再結晶法、カラムクロマトグラフィ
ーもしくは分取薄層クロマトグラフィーによる分割が好
適である。
本発明の前記一般式(1)において基Rが水素原子で
あるものは必要に応じて薬理学上許容される塩の形にす
ることが出来る。そのような塩としては、リチウム、ナ
トリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのよう
な無機金属の塩、リジンなどのアミン酸塩あるいはアン
モニウム塩をあげることができるが、ナトリウム又はカ
リウムが好適である。
又本発明の一般式(1)で表わされるペネム誘導体は
ラセミ体でも強い抗菌活性を示すが、一般的には、それ
らの異性体のうちで最も好ましいものは(5R,6S)配位
を有し、さらに6位置換基である1−ヒドロキシエチル
基に関してはR配位である化合物をあげることができ
る。
この本発明化合物は新規な化合物であり、その上強い
抗菌活性を示す。このことは本発明者らが別途合成した
化合物との試験管内における抗菌力との比較からも明ら
かである。
本発明の化合物は標準的な試験官内の希釈試験法で試
験することにより測定され得る抗菌活性を有している。
このような標準微生物学的方法を使用してスタフィロコ
ッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ミク
ロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)などのグ
ラム陽性菌、エッセリヒア・コリ(Escherichia col
i)、クレブシエラ・ニウモニア(Klebsiella pneumoni
ae)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescen
s)、プロテウス・モルガニー(Proteus morganii)、
エンテロバクター・クロアカ(Enterobactor cloaca
e)、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faeca
lis)、などのグラム陰性菌、プロテウス・ブルガリス
(Proteus vulgaris)又嫌気性菌としてバクテロイデス
・フラギリス(Bacteroides fragilis)、フソバクテリ
ウム・バリウム(Fusobacterium varium)に対して0.02
5〜12.5μg/mlの試験量で活性を示すことが見い出され
た。
本発明化合物は一般的なペネム誘導体と同じように生
体内の毒性値(LD50)はあまり高くなく、抗菌剤として
経口投与、非経口投与および外用投与のために通常の方
法で処方される。
本発明ペネム誘導体の投与量は多くの要因に依存して
いるが、代表的な一日あたりの投与量は標準の大人に対
して50mg〜5gであり、好ましくは分割投与で100mg〜4g
である。一般的に、その投与は適量の活性成分と適当な
生理学的に許容される担体または希釈剤とを含む投与単
位で投与されるであろう。
経口投与のためには錠剤またはカプセル剤を用いるこ
とができ、これらは活性成分と共に希釈剤、例えば乳
糖、グルコース、シュークロース、マンニトール、ソル
ビトールおよびセルロースと滑剤、例えばタルク、ステ
アリン酸もしくはその塩を含み、錠剤はさらに、結合
剤、例えば珪酸マグネシウム、澱粉などを含有してもよ
い。
非経口投与、すなわち筋肉内投与、皮下投与に適する
には等張水性溶液又は懸濁液が適当である。
本発明の化合物は人間用のみならず、動物用にも用い
られる。
本発明の化合物の合成において使用される保護基はβ
−ラクタムの技術分野で通常使用される保護基のどれで
もよい。適当な水酸基の保護基はt−ブチルジメチルシ
リル基、t−ブトキシカルボニル基、p−ニトロベンジ
ルオキシカルボニル基および2,2,2−トリクロロエトキ
シカルボニル基などが挙げられる。
カルボキシル基の保護基としてはアリル基、2,2,2−
トリクロロエチル基、t−ブチル基、p−ニトロベンジ
ル基などであり、アリル基が好ましい。
次の製剤実施例において、活性成分は、たとえば、
(5R,6S)−6−(1(R)−ヒドロキシエチル)−2
−(3−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−カ
ルボン酸ナトリウム塩または等量の他の本発明化合物の
いずれであってもよい。
製剤実施例1 カプセル剤 製造方法 番号1および2の成分を適当な混合機でまぜ、番号3
の成分を加えさらに混合した。
その混合物をカプセル封入機を使用して充填した。
製剤実施例2 錠剤 番号 成 分 mg/錠 1 活性成分 250 2 乳糖 55 3 トウモロコシデンプン 40 2 ステアリン酸マグネシウム 5 全 員 350 製造方法 番号1〜3の成分を適当な混合機で混合した。
番号4の成分を加えて数分間混合した。その混合物を
適当な錠剤成形機で所定の大きさおよび重さに圧縮し
た。
製剤実施例3 注射用剤 成分 1アンプル中の量 活性成分 1.0g 0.5g 0.25g 製造方法 活性成分の無菌水溶液を20ml、10mlまたは5mlのアン
プル中に活性成分が1.0g、0.5g又は0.25gとなるように
充填、熔封した。
〔参考例1〕 (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2−
トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
2−オキソ−4−〔(2−テトラヒドロフラニル)メチ
ルカルボニルチオ〕アゼチジン(2) (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2
−トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−
〔(R)−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチ
ル〕−2−オキソ−4−銀チオアゼチジン(1)(0.97
g)を塩化メチレン(7ml)に溶解し、0℃にて攪拌下、
塩化テトラヒドロフラン−2−イルアセチル(0.223g)
と塩化メチレン(1ml)の混合物を滴下した。同温で90
分攪拌した後、不溶物を別し、液は、飽和炭酸水素
ナトリウム、水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾
燥した。溶媒を留去し、得られた残留物をカラムクロマ
トグラフィーにて精製し、標題化合物(2)を無白アモ
ルファスとして0.596g得た。
〔参考例2〕 (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2−
トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
2−オキソ−4−{〔2(R)−テトラヒドロフラニ
ル〕メチルカルボニルチオ}アゼチジン(3) 銀メルカプチド化合物(1)(1.88g)と(R)−塩
化テトラヒドロフラン−2−イルアセチル(0.46g)と
を参考例1と同様に操作し、標題化合物(3)を淡黄色
油状物として0.83g得た。
〔参考例3〕 (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2−
トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
2−オキソ−4−〔(3−テトラヒドロフラニル)メチ
ルカルボニルチオ〕アゼチジン(4) 銀メルカプチド化合物(1)(1.88g)と塩化テトラ
ヒドロフラン−3−イルアセチル(0.46g)とを参照例
1と同様に操作し、標題化合物(4)を無色アモルファ
スとして0.738g得た。
〔参考例4〕 (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2−
トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
2−オキソ−4−〔(2−テトラヒドロピラニル)メチ
ルカルボニルチオ〕アゼチジン(5) 銀メルカプチド化合物(1)(1.453g)と塩化テトラ
ヒドロピラン−2−イルアセチル(0.325g)とを参照例
1と同様に操作し、標題化合物(5)を黄色油状物とし
て0.354g得た。
〔参考例5〕 (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2−
トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
4−〔(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルカルボ
ニルチオ〕−2−オキソアゼチジン(6) 銀メルカプチド化合物(1)(1.71g)と塩化1,3−ジ
オキソラン−2−イルアセチル(0.80g)とを参考例1
と同様に操作し、標題化合物(6)を淡黄色油状物とし
て0.32g得た。
〔参考例6〕 (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2−
トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
4−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メチルカルボニ
ルチオ〕−2−オキソアゼチジン(7) 銀メルカプチド化合物(1)(1.453g)と塩化1,4−
ジオキサン−2−イルアセチル(0.329g)とを参考例1
と同様に操作し、標題化合物(7)を黄色油状物として
0.432gを得た。
〔参考例7〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシエチル〕−2−(2−テトラヒドロフラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル
(8) (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2
−トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
2−オキソ−4−〔(2−テトラヒドロフラニル)メチ
ルカルボニルチオ〕アゼチジン(2)(550mg,0.75ミリ
モル)とトルエン(55ml)の混合物を120℃で7時間攪
拌した。冷後、減圧下濃縮し、残留物はシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにて精製し、標題化合物(8)を
無色固型物として306mg(90%)得た。
〔参考例8〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシエチル〕−2−〔2(R)−テトラヒドロフ
ラニル〕メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル
(9) (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2
−トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
2−オキソ−4−{〔2(R)−テトラヒドロフラニ
ル〕メチルカルボニルチオ}アゼチジン(3)(806mg,
1.1ミリモル)とトルエン(81ml)を参考例7と同様に
操作し、標題化合物(9)を無色固型物として346mg(6
9%)得た。
〔参考例9〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシエチル〕−2−(3−テトラヒドロフラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル(1
0) (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2
−トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
2−オキソ−4−〔(3−テトラヒドロフラニル)メチ
ルカルボニルチオ〕アゼチジン(4)(704mg,0.96ミリ
モル)とトルエン(70ml)を参考例7と同様に操作し、
標題化合物(10)を無色固型物として302mg(69%)得
た。
〔参考例10〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシエチル〕−2−(2−テトラヒドロピラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル(1
1) (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2
−トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−(1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
2−オキソ−4−〔(2−テトラヒドロピラニル)メチ
ルカルボニルチオ〕アゼチジン(5)(354mg,0.47ミリ
モル)とトルエン(30ml)とを参考例7と同様に操作
し、標題化合物(11)を黄色油状物として124mg(56
%)得た。
〔参考例11〕 (5R,6S)−6−(1(R)−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシエチル〕−2−(1,3−ジオキソラン−2−
イル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル
(12) (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2
−トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
4−〔(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルカルボ
ニルチオ〕−2−オキソアゼチジン(6)(309mg,0.42
ミリモル)とトルエン(31ml)とを参考例7と同様に操
作し、標題化合物(12)を無色固型物として150mg(79
%)得た。
〔参考例12〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシエチル〕−2−(1,4−ジオキサン−2−イ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル(1
3) (3S,4R)−1−(1−アリルオキシカルボニル−2
−トリフェニルホスホラニリデンメチル)−3−〔1
(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−
4−〔(1,4−ジオキサン−2−イル)メチルカルボニ
ルチオ〕−2−オキソアゼチジン(7)(432mg,0.577
ミリモル)とトルエン(30ml)とを参考例7と同様に操
作し、標題化合物(13)を黄色油状物として87mg(32
%)得た。
〔参考例13〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシエチル〕−2−(2−テトラヒドロフラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル
(8) (1) (3S,4R)−3−〔1(R)−tert−ブチルジ
メチルシリルオキシエチル〕−2−オキソ−4−トリフ
ェニルメチルチオアゼチジン(14)(2.02g,4ミリモ
ル)を塩化メチレン(16ml)に溶解し、0℃で攪拌下ジ
イソプロピルエチルアミン(2.26g,18ミリモル)を加え
た。次いで塩化アリルオキザリル(2.61g,18ミリモル)
と塩化メチレン(16ml)の混合物を同温で加えた。25分
攪拌した後、反応物を5%硫酸水素カリウム、飽和炭酸
水素ナトリウム、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾
燥した。減圧下溶媒を留去し、(3S,4R)−1−アリル
オキシオキザリル−3−〔1(R)−tert−ブチルジメ
チルシリルオキシエチル〕−2−オキソ−4−トリフェ
ニルメチルチオアゼチジンを褐色油状物として得た。こ
のものは精製することなく次の反応に用いた。
(2) 上記粗生成物をアセトニトリル(ml)に溶解
し、0℃で攪拌下ピリジン(0.32g)とアセトニトリル
(4ml)の混合物を加えた。次いで同温でアセトニトリ
ル(8ml)に溶解した硝酸銀(1.08g)を加えた。この混
合物を0℃にて2時間攪拌し、次いで同温で塩化テトラ
ヒドロフラン−2−イル−アセチル(0.95g,6.2ミリモ
ル)を加え、さらに25分間攪拌した。不溶物を別した
後、液を酢酸エチル(50ml)に希釈し、飽和炭酸水素
ナトリウム、5%硫酸水素カリウムにて洗浄した。無水
硫酸ナトリウムにて乾燥させた後、減圧下溶媒を留去
し、(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−
〔1(R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチ
ル〕−2−オキソ−4−〔(2−テトラヒドロフラニ
ル)メチルカルボニルチオ〕アゼチジンを褐色油状物と
して得た。このものは精製することなく次の反応に用い
た。
(3) 上記粗生成物とキシレン(17.6ml)とトリエチ
ルホスファイト(3.6ml)の混合物を130〜140℃で3時
間攪拌した。冷後濃縮し、残留物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにて精製し、標題化合物(8)を淡黄
色油状物として0.959g得た。このもののスペクトルデー
ターは参考例7で得たものと完全に一致した。
〔参考例14〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシエチル〕−2−〔2(S)−テトラヒドロフ
ラニル〕メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル
(15) (3S,4R)−3−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−オキソ−4−トリフェニル
メチルチオアゼチジン(14)(4.04g,8ミリモル)、ジ
イソプロピルエチルアミン(4.52g,35ミリモル)、塩化
アリルオキザリル(5.22g,35ミリモル)、ピリジン(0.
64g)、硝酸銀(2.04g)、塩化(S)テトラヒドロフラ
ン−2−イルアセチル(1.83g,12.3ミリモル)、キシレ
ン(35.2mg)及びトリエチルホスファイト(7.2ml)を
参考例13と同様に操作し、標題化合物(15)を淡黄色油
状物として2.46g得た。
〔実施例1〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−カ
ルボン酸アリルエステル(16) (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(2−テトラヒドロフラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル
(8)(249mg,0.55ミリモル)をテトラヒドロフラン
(0.5ml)に溶解し、これに酢酸(0.28ml)及びテトラ
ブチルアンモニウムフロリド(1.65ml,1.65ミリモル)
を加えた。この混合物を室温で12時間攪拌した後、減圧
下濃縮し、得られた残留物を分取薄層クロマトグラフィ
ーにて精製し、標題化合物(16)を無色油状物として17
7mg(95%)得た。
〔実施例2〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2(R)−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−
3−カルボン酸アリルエステル(17) (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(2(R)−テトラヒドロ
フラニル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステ
ル(9)(238mg,0.52ミリモル),酢酸(0.27ml)、及
びテトラブチルアンモニウムフロリド(1.58ml,1.58ミ
リモル)を実施例1と同様に操作し、標題化合物(17)
を無色油状物として312mg(80%)得た。
〔実施例3〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2(S)−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−
3−カルボン酸アリルエステル(18) (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(2(S)−テトラヒドロ
フラニル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステ
ル(15)(2.27mg,50ミリモル),酢酸(2.34ml)、テ
トラブチルアンモニウムフロリド(15.2ml,15.2ミリモ
ル)を実施例1と同様に操作し、標題化合物(18)を淡
黄色油状物として0.677g得た。
〔実施例4〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(3−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−カ
ルボン酸アリルエステル(19) (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(3−テトラヒドロフラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル(1
0)(270mg,0.60ミリモル),酢酸(0.31ml)、及びテ
トラブチルアンモニウムフロリド(1.79ml,1.79ミリモ
ル)を実施例1と同様に操作し、標題化合物(19)を無
色固型物として137mg(68%)得た。
〔実施例5〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2−テトラヒドロピラニル)メチルペネム−3−カ
ルボン酸アリルエステル(20) (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(2−テトラヒドロピラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル(1
1)(124mg,0.264ミリモル),酢酸(0.132ml)、及び
テトラブチルアンモニウムフロリド(0.793ml,0.793ミ
リモル)を実施例1と同様に操作し、標題化合物(20)
を淡黄色固型物として93.2mg(100%)得た。
〔実施例6〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルペネム−3
−カルボン酸アリルエステル(21) (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(1,3−ジオキソラン−2
−イル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル
(12)(130mg,0.29ミリモル),酢酸(0.143ml)、及
びテトラブチルアンモニウムフロリド(0.855ml,0.855
ミリモル)を実施例1と同様に操作し、標題化合物(2
1)を淡黄色固型物として66mg(68%)得た。
〔実施例7〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(1,4−ジオキサン−2−イル)メチルペネム−3−
カルボン酸アリルエステル(22) (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(1,4−ジオキソラン−2
−イル)メチルペネム−3−カルボン酸アリルエステル
(13)(86.6mg,0.184ミリモル),酢酸(0.09ml)、及
びテトラブチルアンモニウムフロリド(0.553ml,0.553
ミリモル)を実施例1と同様に操作し、標題化合物(2
2)を淡黄色固型物として66mg(99%)得た。
〔実施例8〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−カ
ルボン酸カリウム塩(23) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(2−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−
カルボン酸アリルエステル(16)(140mg,0.41ミリモ
ル)をテトラヒドロフラン(5ml)に溶解し、−10℃攪
拌下、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム
(9mg)及びトリ−n−ブチルチンヒドリド(0.13ml)
を加えた。同温で25分攪拌した後、この混合物に酢酸
(27μ)を加え、さらに10分攪拌した。混合物を濃縮
し、水(1.8ml)及び酢酸エチル(1.2ml)を加え、2M炭
酸水素カリウムにてpH8.1とした。水層を分離し、凍結
乾燥にて濃縮し、得られた固型物を、XAD2を用いたカラ
ムクロマトグラフィーにて精製し、課題化合物(23)を
淡黄色粉末として50mg(36%)得た。スペクトルデータ
ーは化合物24と全く同一であった。
〔実施例9〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−カ
ルボン酸カリウム塩(24) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(2−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−
カルボン酸アリルエステル(16)(138mg,0.41ミリモ
ル);2−エチルヘキサン酸ナトリウム塩(68mg)、テト
ラキストリフェニルホスフィンパラジウム(6.2mg)、
トリフェニルホスフィン(6.2mg)及び酢酸エチル(0.4
1ml)の混合物を室温にて2時間攪拌した。この混合物
を濃縮し、得られた残留物をODSカラムクロマトグラフ
ィーにて精製し、標題化合物(24)を無色粉末として45
mg(34%)得た。
▲〔α〕28℃ D▼+112゜(c=0.345,H2O) 〔実施例10〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2(R)−テトラヒドロフラニル〕メチルペネム−
3−カルボン酸ナトリウム塩(25) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(2(R)−テトラヒドロフラニル)メチルペネム
−3−カルボン酸アリルエステル(17),2−エチルヘキ
サン酸ナトリウム塩(128mg)、テトラキストリフェニ
ルホスフィンパラジウム(112mg)、トリフェニルホス
フィン(112mg)及び酢酸エチル(0.8ml)を実施例9と
同様に操作し、標題化合物(25)を白色粉末として38mg
(15%)得た。
▲〔α〕28℃ D▼+164゜(c=0.192,H2O) 〔実施例11〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2(S)−テトラヒドロフラニル〕メチルペネム−
3−カルボン酸ナトリウム塩(26) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(2(S)−テトラヒドロフラニル)メチルペネム
−3−カルボン酸アリルエステル(18),2−エチルヘキ
サン酸ナトリウム塩(263mg)、テトラキストリフェニ
ルホスフィンパラジウム(38mg)、トリフェニルホスフ
ィン(38mg)及び酢酸エチル(1.5ml)を実施例9と同
様に操作し、標題化合物(26)を白色粉末として209mg
(43%)得た。
▲〔α〕28℃ D▼+121゜(c=0.377,H2O) 〔実施例12〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(3−テトラヒドロフラニル〕メチルペネム−3−カ
ルボン酸ナトリウム塩(27) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(3−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−
カルボン酸アリルエステル(19),2−エチルヘキサン酸
ナトリウム塩(57mg)、テトラキストリフェニルホスフ
ィンパラジウム(48mg)、トリフェニルホスフィン(48
mg)及び酢酸エチル(0.35ml)を実施例9と同様に操作
し、標題化合物(27)を白色粉末として33mg(30%)得
た。
▲〔α〕28℃ D▼+121゜(c=0.269,H2O) 〔実施例13〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(2−テトラヒドロピラニル〕メチルペネム−3−カ
ルボン酸ナトリウム塩(28) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(2−テトラヒドロピラニル)メチルペネム−3−
カルボン酸アリルエステル(20)(33.3mg,0.1ミリモ
ル)、2−エチルヘキサン酸ナトリウム塩(16mg)、テ
トラキストリフェニルホスフィンパラジウム(3mg)、
トリフェニルホスフィン(3mg)、酢酸エチル(3ml)を
実施例9と同様に操作し、標題化合物(28)を白色粉末
として11.4mg(38%)得た。
〔実施例14〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルペネム−3
−カルボン酸ナトリウム塩(29) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルペネム−
3−カルボン酸アリルエステル(21)(58mg,0.17ミリ
モル)、2−エチルヘキサン酸ナトリウム塩(30mg)、
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(7.8m
g)、トリフェニルホスフィン(7.8mg)及び酢酸エチル
(0.17ml)を実施例9と同様に操作し、標題化合物(2
9)を淡褐色固型物として10mg(18%)得た。
〔実施例15〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(1,4−ジオキサン−2−イル)メチルペネム−3−
カルボン酸ナトリウム塩(30) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(1,4−ジオキサン−2−イル)メチルペネム−3
−カルボン酸アリルエステル(22)(11.5mg,0.03ミリ
モル)、2−エチルヘキサン酸ナトリウム塩(55mg)、
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1m
g)、トリフェニルホスフィン(1mg)及び酢酸エチル
(1ml)を実施例9と同様に操作し、標題化合物(30)
を白色粉末として3.3mg(33%)得た。
〔参考例15〕 (3S,4R)−3−〔1(R)tert−ブチルジメチルシリ
ルオキシエチル〕−2−オキソ−4−〔(3−テトラヒ
ドロフラニル)メチルカルボニルチオ〕アゼチジン(3
3) (3R,4R)−4−アセトキシ−3−〔1(R)−tert
−ブチルジメチルシリルオキシエチル〕−2−オキソア
ゼチジン(31)(25.2g,90ミリモル)をテトラヒドロフ
ラン(730ml)に溶解し、攪拌下水(438ml)及びテトラ
ヒドロフラン−3−イルチオ酢酸(32)(15.4g,105ミ
リモル)を順次加えた。次いで1N NaOHを滴下しpH7.6と
し室温にて1晩攪拌した。混合物に酢酸エチルを加え、
水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、減圧下溶
媒を留去した。残留物をカラムクロマトグラフィーにて
精製し、課題化合物(33)を無色結晶として27.6g(82
%)得た。
〔参考例16〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(3−テトラヒドロフラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸トリクロロエチルエ
ステル(34) (3R,4R)−3−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−オキソ−4−〔(3−テト
ラヒドロフラニル)メチルカルボニルチオ〕アゼチジン
(33)(1.87g,5ミリモル)及び2,6−ルチジン(0.804
g,7.5ミリモル)の混合物をキシレン(10ml)に溶解
し、0℃にて攪拌下、キシレン(5ml)に溶解したオキ
ザリルクロリド(0.952g,7.5ミリモル)を滴下した。20
分攪拌後、α,α,α−トリクロロエタノール(1.49g,
10ミリモル)、ピリジン(0.59g,7.5ミリモル)及びキ
シレン(10ml)の混合物を0℃にて加え1時間反応させ
た。
析出した塩を別し、液を水洗し、無水硫酸ナトリ
ウムにて乾燥させた。乾燥剤を別し、液にトリエチ
ルホスファイト(4ml)を加え、140℃にて23時間加熱還
流した。減圧下溶媒を留去し、残留物をカラムクロマト
グラフィーにて精製し、課題化合物(34)を淡黄色固形
物として0.602g(22%)得た。
〔実施例16〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(3−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−カ
ルボン酸トリクロロエチルエステル(35) (5R,6S)−6−〔1(R)−tert−ブチルジメチル
シリルオキシエチル〕−2−(3−テトラヒドロフラニ
ル)メチルペネム−3−カルボン酸トリクロロエチルエ
ステル(34)(3.74g,6.87ミリモル)をテトラヒドロフ
ラン(6ml)に溶解し、酢酸(3.25ml)、n−テトラブ
チルアンモニウムフロリド(テトラヒドロフラン中1M溶
液)(20.6ml)を順次加え、室温にて終夜攪拌した。
混合物を酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリ
ウム、飽和炭酸水素カリウム、ブラインで順次洗浄し、
無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧下溶媒を留去
し、残留物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、標
題化合物(35)を淡黄色アモルファスとして1.813g(58
%)得た。
〔実施例17〕 (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−2
−(3−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−カ
ルボン酸トリクロロエチルエステル(36) (5R,6S)−6−〔1(R)−ヒドロキシエチル〕−
2−(3−テトラヒドロフラニル)メチルペネム−3−
カルボン酸トリクロロエチルエステル(35)(1.63g,3.
55ミリモル)をテトラヒドロフラン(1.63ml)に溶解
し、1Mリン酸2水素カリウム(32.6ml)及び亜鉛(3.26
g)を加え、室温にて4時間攪拌した。不溶物を別
し、液を酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル層は水
洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ、減圧下溶媒
を留去した。残留物は酢酸エチルより最結晶し、標題化
合物(36)を無色結晶として0.856g(80%)得た。
mp:133−334℃ ▲〔α〕28℃ D▼+328゜(c=0.155,アセトン) 〔マウスの実験的感染症における治療効果〕 本発明による得られた新規化合物のうち、化合物(2
7)について感染動物による治療実験を行なった。動物
としてICR系雄性マウス(5週令,体重23〜27g)を用
い、E.coli KC−14を腹腔内接種し、2時間後に化合物
(27)を皮下投与もしくは経口投与し、5日後における
マウスの生死を観察し治療効果を比較した。尚対照とし
て化合物(39)を用いた。その結果を表5に示す。
〔急性毒性試験〕 本発明により得られた新規化合物のうち、化合物(2
7)について急性毒性試験を行なった。動物はICR系マウ
ス(4週令)を用い、経口投与及び静脈内投与により化
合物(27)を投与した。
静脈内投与において、化合物(27)を3g/kg投与した
雌・雄各群のマウスは全例生存し、また経口投与におい
ては5g/kg投与した雌・雄各群のマウス全てが生存し
た。
〔最小阻止濃度(MIC)の測定〕
本発明により得られた新規化合物及び参照例化合物の
最小阻止濃度(MIC)は、日本化学療法学会MIC測定標準
法に準じて、寒天平板希釈法により行なった。接種菌量
は106コロニー形成単位で、37℃において18時間培養後
に成長を阻止する最低濃度をμg/mlとして表中に記載し
た。結果を次表に示す。
対照として化合物37,38,39の抗菌活性データを上表に
示す。

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rは水素原子またはアリル基を表わし、Aは酸
    素原子1個もしくは2個を環内に有する5又は6員環の
    ヘテロ脂肪族基を示す)で表わされるペネム誘導体また
    はそれらの薬理学上許容されうる塩。
  2. 【請求項2】基Aがテトラヒドロフラニル基である特許
    請求の範囲第1項記載の化合物。
  3. 【請求項3】基Aがテトラヒドロピラニル基である特許
    請求の範囲第1項記載の化合物。
  4. 【請求項4】基Aが1,3−ジオキソラニル基である特許
    請求の範囲第1項記載の化合物。
  5. 【請求項5】基Aが1,4−ジオキサニル基である特許請
    求の範囲第1項記載の化合物。
  6. 【請求項6】基Rが水素原子、アリル基、ナトリウム原
    子、カリウム原子またはカルシウム原子である特許請求
    の範囲第1、2、3、4もしくは5項記載の化合物。
  7. 【請求項7】光学活性体である特許請求の範囲第1、
    2、3、4、5もしくは6項記載の化合物。
  8. 【請求項8】ペネム環において、6位ヒドロキシエチル
    基の水酸基のつけ根の炭素がR配位である特許請求の範
    囲第1、2、3、4、5、6もしくは7項記載の化合
    物。
  9. 【請求項9】ペネム環において5位がR配位で6位がS
    配位の立体配置を有する特許請求の範囲第1、2、3、
    4、5、6、7もしくは8項記載の化合物。
  10. 【請求項10】一般式 (式中Rは水素原子またはアリル基を示し、Aは酸素原
    子1個もしくは2個の環内に有する5又は6員環のヘテ
    ロ脂肪族基を示す)で表わされるペネム誘導体または、
    それらの薬理学上許容される塩を製造するに際し、 一般式 (式中Aは前記と同一意義、R1は水素基の保護基、R2
    アリル基またはカルボキシル基の保護基を示す)で表わ
    されるN−ケトエステル誘導体をトリアリールホスフィ
    ン類もしくはトリアルキルホスファイトと反応せしめた
    のち加熱して一般式 (式中R1,R2およびAは前記と同一意義を示す)で表わ
    される化合物となし、次いで所望に応じて、得られた化
    合物を水酸基の保護基R1の除去反応ならびにカルボキシ
    ル基の保護基R2を除去して各々水酸基、カルボキシル基
    に復元する反応に付し、さらに必要ならば、薬理学上許
    容される塩基と反応させて、それらの塩となすペネム誘
    導体およびそれらの薬理学上許容される塩の製造法。
  11. 【請求項11】一般式 (式中Aは酸素原子を1個もしくは2個の環内に有する
    5又は6員環のヘテロ脂肪族基を表わし、R1は水酸基の
    保護基、R2はアリル基またはカルボキシル基の保護基を
    示す)で表わされるN−ケトエステル誘導体が光学活性
    体である特許請求の範囲第10項記載の製造法。
  12. 【請求項12】一般式 (式中Rは水素原子またはアリル基を示し、Aは酸素原
    子を1個もしくは2個を環内に有する5又は6員環のヘ
    テロ脂肪族基を示す)で表わされるペネム誘導体又はそ
    れらの薬理学上許容される塩を有効成分とする抗菌剤。
  13. 【請求項13】1日分用量50mgないし5gの有効成分を含
    有する特許請求の範囲第12項記載の抗菌剤。
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