JP2005239696A - 無機物質を配合した医薬硬質カプセル剤 - Google Patents

無機物質を配合した医薬硬質カプセル剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 硬質カプセル剤内に充填された医薬品の保存安定性の改善。特に、硬質カプセル剤の基剤がゼラチンであるゼラチンカプセル剤内に充填された医薬品の保存安定性の改善。
【解決手段】 カプセル内の充填物に無機物質を配合することを特徴とするカプセル剤。無機物質が含水ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群から選ばれた1種または2種以上を配合したものであることを特徴とする硬質カプセル剤。
【選択図】 図5

Description

本発明は、カプセル内に充填された薬物を安定に含有する硬質カプセル剤に関し、特に、薬物としてペネム系抗生物質を含有する硬質カプセル剤に関する。
顆粒剤のような形態を有する粒剤は服薬しにくいため、一般に、粒剤を硬質カプセルに充填して服用されている。また、硬質カプセルは、薬物の単位服薬量を収容し、服用量がコントロールしやすく、且つ薬物の不快な味や臭いを隠蔽して、飲みやすくする利点もある。硬質カプセルは、現在ゼラチンを基材としたゼラチンカプセルが市場の大部分を占めている。しかしながら、ゼラチンカプセルの欠点として、アルデヒド基やカルボニル基を有する薬物を充填した場合、または薬物の分解によりアルデヒド様物質が発生した場合に、薬物のこれらの基やアルデヒド様物質とカプセルとが反応して、ゼラチンタンパクに架橋構造を形成し、カプセルを不溶化させることが知られている(非特許文献1)。
これを回避する目的で、ゼラチンカプセルの主成分であるゼラチンをコハク化したり(特許文献1および2)、さらにコハク化ゼラチンにポリエチレングリコール(マクロゴール)を配合したりした改良が加えられている(特許文献3)。また、ゼラチンに代わりセルロース誘導体(特許文献4)や、デンプン質等(特許文献5)を基材としたカプセルが開発されている。しかしながら、これらの基材を用いたカプセルは、いまだ市場規模が小さく、製造コストがかさみ、ゼラチンカプセルに比べて値段が高い。また、ゼラチンカプセルは消化管内での溶解性が早く、溶解性などの品質のばらつきが少ないため、ゼラチンカプセルの需要は非常に高く、アルデヒド様物質を充填する場合に対するカプセル不溶化対策が望まれている。
これまでに、そのような対策がいくつか提案されている。例えば、亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤をカプセル内に添加することで、アルデヒド様物質の前駆体である過酸化物の生成を抑制し、硬質ゼラチンカプセルの不溶化が抑制できることが報告されている(非特許文献2および非特許文献3)。また、特許文献6にはゼラチンカプセルの不溶化を防止する手段として、カプセル充填物中にフリーラジカル捕獲剤を配合する方法が開示されている。さらには特許文献7には、アミノ酪酸が硬ゼラチンカプセルの不溶化を抑制すると記載されている。ただし、これらの物質の添加はカプセル自体の不溶化を防止、または抑制するものであって、カプセル内に充填された内容物の安定化を目的とするものではない。
ところで、硬質カプセル剤に充填される医薬品のうち薬物の一つとして挙げられるペネム系化合物は、ペニシリンとセファロスポリンの構造を融合するという概念に基づいて設計された非天然型のβ−ラクタム系化合物である(例えば、非特許文献4、特許文献8〜11等参照)。
このペネム系化合物のうち、(+)−(5R,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−3−[(R)−2−テトラヒドロフリル]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム(以下、ファロペネムという)は、種々の感染症に対する経口治療薬として使用されており、ペネム環という新規な骨格により、メチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)、化膿連鎖球菌、肺炎球菌のみならず、従来のβ−ラクタム系抗生剤では十分効果が及ばなかったペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、口腔連鎖菌、腸球菌をはじめとするグラム陽性菌に強い抗菌活性を示し、また、インフルエンザ菌などのグラム陰性菌、バクテロイデス属などの嫌気性菌まで幅広く抗菌力を示すことが報告(非特許文献4参照)されており、期待されている抗生物質である。
しかしながら、ファロペネムを含む水溶性のペネム系化合物を経口投与により服用する場合には、一般的に他のβ−ラクタム系化合物と同様、脂溶性の化合物に比べて、消化管での吸収性は良くないことが知られている(非特許文献5)。このような状況を鑑み、ファロペネム自身の安定性、および経口投与における薬剤の吸収性を改善する目的で、ファロペネムの遊離カルボキシル基を(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基によりエステル化し、脂溶性を高めたプロドラッグ型の化合物、すなわち、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル (5R,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−3−[(R)−2−テトラヒドロフリル]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート(以下、ファロペネムダロキセートという)が開発された(特許文献12および13)。
このファロペネムダロキセートは、嫌気性菌に対して特に強い抗菌活性を有し、且つ毒性が低い特徴を有している。また、このファロペネムダロキセートの経口吸収率は70%以上と良好なものであり、小腸上部から速やかに吸収された後、体内においてエステル結合が加水分解され、抗菌活性を持つファロペネムに変換され、抗菌活性を示すものである。
PHARM TECH JAPAN Vol.14 No.3 p67-76(1998) 1995年 第32回薬剤学懇談会研究討論会講演要旨集p46-49 1998年第8回固形製剤処方研究会シンポジウム 講演要旨集,p61-68 化学療法の領域,Vol.13, No.10, p.74-80, 1997 製剤学改定第2版、大塚開昭信ら、南江堂 日本医薬品添加物事典2000,日本医薬品添加剤協会編集,薬事日報社
特開昭61−186314号公報 特開平7−252138号公報 特開平6−72862号公報 特許第2552937号 特開2000−202003号公報 特開平8−99869号公報 特開2000−26282号公報 特開昭61−207387号公報 特開昭63−162694号公報 特開昭60−222486号公報 特開昭54−119486号公報 特開平6−72875号公報 特開平6−128267号公報
本発明は、カプセル内に充填された医薬品、特に薬物を安定に含有する硬質カプセル剤に関し、詳細には、薬物としてペネム系抗生物質を含有する硬質ゼラチンカプセル剤において、硬質ゼラチンカプセルの不溶化と、機能性被膜の変質を防止したカプセル剤を提供することを目的とする。
抗生物質にあっては、一般に体内における有効血中濃度以上の血中濃度を持続する時間が長い方が、抗菌活性が有効に発揮される。したがって、経口剤の場合には、抗生物質が消化管内で徐々に吸収され、持続的に効果を発揮する持続性製剤の開発が望ましいものといえる。前述したファロペネムダロキセートにあっても同様であり、このファロペネムダロキセートの場合には、小腸上部において主に吸収され、小腸上部以降の消化器官内ではほとんど吸収されないことから、本発明者らはファロペネムダロキセートの持続性製剤の開発を検討した。
その目的のため、先ず、薬物の消化管内の通過を平均化でき、経口吸収率および血中における薬物の動態の個人差をできるだけ少なくするために顆粒剤を選択し、そのうえ、服用のしやすさから、顆粒剤を硬質カプセルに充填したカプセル剤とすることを検討した。その上で、小腸上部におけるファロペネムダロキセートの通過量、および服用後の通過時間をコントロールするために、経口投与後において胃内で速やかに製剤が崩壊して薬物が溶出する顆粒(以下、速溶性顆粒という)と、胃内消化液のpHでは被膜が溶解せず、小腸上部に達した後に小腸の消化液のpHに依存して被膜が溶解した後、製剤が崩壊して薬物が溶出する腸溶性顆粒との組み合わせからなる複合顆粒剤とすることを検討した。
本発明者らは、かかる複合顆粒剤を開発するにあたり、先ずファロペネムダロキセートの素顆粒に腸溶性皮膜を施した腸溶性顆粒を調製して、その保存試験を行った。その結果、保存後の腸溶性顆粒にあっては、薬物の溶出時間が遅延するものであった。これは、保存中に素顆粒中に含まれるファロペネムダロキセートが分解し、そのファロペネムダロキセート由来の分解物と腸溶性被膜の接触により、腸溶性被膜が変質することが原因であると考えられた。
一般に、薬物による腸溶性皮膜の変質が考えられる場合には、素顆粒と腸溶性被膜との間にシールコート(サブコート層)を施す手法が汎用されている(非特許文献2)。そこで、常法により素顆粒にシールコートした後に、更に腸溶性皮膜を施した腸溶性顆粒を調製し、腸溶性顆粒の保存試験を同様に行ったところ、腸溶性顆粒からの薬物溶出時間はシールコートを施さなかった腸溶性顆粒に比べて改善されたものの、シールコートだけではファロペネムダロキセートの安定性は不十分であった(後記する実施例1を参照)。このことから、腸溶性被膜の変質の原因は、ファロペネムダロキセートに由来する分解物の腸溶性被膜への直接接触以外に、シールコートを通過できるガス状の分解物が発生しており、そのガス状の分解物が、腸溶性被膜を変質させるものと考えられた。
また、別に、ファロペネムダロキセートの素顆粒にシールコートを施した速溶性顆粒と、この速溶性顆粒に腸溶性皮膜を施した腸溶性顆粒とからなる複合顆粒剤を調製し、硬質ゼラチンカプセルに充填した状態で保存したところ、硬質ゼラチンカプセルが不溶化する現象が認められた(後記する実施例2のカプセル剤−1/表4及び表5を参照)。この現象は、ファロペネムダロキセートを苛酷温度条件下に保存すると、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル) 5−[テトラヒドロフリル]チアゾール−4−カルボキシレート(以下、化合物2という)が主分解物して生成することが確認されており(図1参照)、この化合物2はファロペネムダロキセートのβ−ラクタム環が開裂した結果生成され、その分解機構から化合物2の生成と同時に、低分子のガス状アルデヒド様物質が生成することから、このガス状アルデヒド様物質が硬質ゼラチンカプセルを不溶化したと考えられた(図1参照)。
また、更に、図2に示すように、ファロペネムダロキセートを硬質ゼラチンカプセルと接触しない状態で、密閉したガラス容器内に共存させ、60℃(成り行き湿度)で7日間保存し、ファロペネムダロキセートの変化を確認した。その結果を表1に示すが、保存開始後3日目以降には、化合物2の生成量が増加するとともに、硬質ゼラチンカプセルが不溶化した。これらの試験結果から、硬質ゼラチンカプセルが不溶化する現象は、ファロペネムダロキセートの分解により、低分子のガス状アルデヒド様物質が生成され、そのガス状アルデヒド様物質が硬質ゼラチンカプセルを不溶化しているものであることが確認された。
なお、図1,2中においては、ファロペネムダロキセートを「化合物1」として表している。
表1:ファロペネムダロキセートと硬質ゼラチンカプセルの非接触下の密閉保存における、化合物2の生成とカプセルの不溶化
Figure 2005239696
注1:高速液体クロマトグラフィー分析によるクロマトグラム上の全ピーク面積に対する比率で記載した。
注2:37℃の水30mLに保存後のカプセルのボディを浸し、3分後に目視観察した。
そこで、ガス状アルデヒド様物質の生成を防止または抑制するための手段として、硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤の添加や、過酸化物の発生源になるフリーラジカルの発生防止策としてフリーラジカル捕獲剤の添加が考えられたが、これらの物質は医薬品添加剤としての使用量が限られているという制限がある。
例えば経口剤としての最大使用量は、亜硫酸水素ナトリウムでは160mg程度、亜硫酸ナトリウムでは200mg、フリーラジカル捕獲剤のトコフェロールは6mg、ピロリン酸ナトリウムでは4mgと制限されている(非特許文献6参照)。このように使用できる量が少ない場合には、ガス状アルデヒド様物質の生成の防止または抑制効果には不十分であり、カプセルの不溶化が完全に防止できない場合がある。
また、ファロペネムダロキセートの場合には、過酸化物の発生源になるフリーラジカルを介してガス状アルデヒド様物質が生成されるのではなく、上述したようにファロペネムダロキセートの分解により直接ガス状アルデヒド様物質が生成すると考えられるため、抗酸化剤やフリーラジカル捕獲剤の添加では、ガス状アルデヒド様物質の生成を防止または抑制することができない。本発明者らは、ファロペネムダロキセートの分解により生成されるガス状アルデヒド様物質が原因と考えられる腸溶性被膜の変質を防止でき、かつ硬質ゼラチンカプセルの不溶化を防止できる手段について、更に研究を進めた。
そこで、本発明者らは、ガス状物質の吸着を目的として、多孔質性でその表面積が非常に大きく、吸油・吸水能に富み、且つ医薬品或いは医薬品添加物として人体に対する安全性が確立されている無機物質を、ファロペネムダロキセートとともにカプセル内に充填することを試みた。その結果、かかる無機物質を充填することにより、ファロペネムダロキセートの分解により生成するガス状アルデヒド様物質を吸収し、ガス状アルデヒド様物質が原因と考えられる腸溶性被膜の変質を防止でき、かつ硬質ゼラチンカプセルの不溶化を防止できることを確認し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、カプセル内に充填された医薬品を安定に含有する硬質カプセル剤に関し、さらに詳細には、医薬品としてペネム系抗生物質を含有する硬質ゼラチンカプセル剤において、医薬品の分解により生成されるガス状物質による硬化ゼラチンカプセルの不溶化防止と、機能性被膜の変質防止を、無機物質を添加することにより防止したカプセル剤を提供するものである。
より詳細には、本発明は、
(1)カプセル内の充填物に無機物質を配合することを特徴とする硬質カプセル剤;
(2)硬質カプセルの基剤がゼラチンである(1)に記載の硬質カプセル剤;
(3)無機物質が、含水ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群から選ばれた1種または2種以上を配合したものであることを(1)または(2)に記載の硬質カプセル剤;
(4)無機物質がメタケイ酸アルミン酸マグネシウムであることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬質カプセル剤;
(5)無機物質の配合量が、カプセル内に充填される医薬品に対して0.1〜100重量%の範囲であることを特徴とする(1)ないし(4)に記載の硬質カプセル剤;
(6)硬質カプセル剤に充填される医薬品が固形又は半固形状態の医薬品であることを特徴とする(1)ないし(5)に記載の硬質カプセル剤;
(7)固形または半固形状態の医薬品が細粒または顆粒であることを特徴とする(6)に記載の硬質カプセル剤;
(8)硬質カプセル剤に充填される医薬品に、機能性皮膜が施されていることを特徴とする(1)ないし(7)に記載の硬質カプセル剤;
(9)医薬品に施される機能性皮膜が腸溶性皮膜であることを特徴とする(7)に記載の硬質カプセル剤;
(10)医薬品に施される機能性皮膜が胃溶性皮膜であることを特徴とする(7)に記載の硬質カプセル剤;
(11)硬質カプセル剤に充填される医薬品が、機能性皮膜が施されている医薬品と機能性皮膜が施されていない医薬品とを混合したものであることを特徴とする(1)ないし(10)に記載の硬質カプセル剤;
(12)機能性皮膜が施されている医薬品と、機能性皮膜が施されていない医薬品との混合比が、重量比で3:7から7:3の範囲であることを特徴とする(11)に記載の硬質カプセル剤;
(13)硬質カプセル剤に充填される医薬品が、腸溶性皮膜を施した医薬品と、胃溶性皮膜を施した医薬品とを混合したものであることを特徴とする(1)ないし(7)に記載の硬質カプセル剤;
(14)腸溶性皮膜を施した医薬品と、胃溶性皮膜を施した医薬品との混合比が、重量比で3:7から7:3の範囲であることを特徴とする(13)に記載の硬質カプセル剤;
(15)硬質カプセル剤に充填される医薬品がペネム系抗生物質であることを特徴とする(1)ないし(14)に記載した硬質カプセル剤;
(16)硬質カプセル剤に充填されるペネム系抗生物質が(+)−(5R,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−3−[(R)−2−テトラヒドロフリル]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその医薬上許容される塩並びその誘導体、または誘導体の薬理学上許容されうる塩である(15)に記載の硬質カプセル剤;
(17)硬質カプセル剤に充填されるペネム系抗生物質が(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル (5R,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−3−[(R)−2−テトラヒドロフリル]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートである(15)に記載の硬質カプセル剤;
(18)無機物質の配合量が、カプセル内に充填される医薬品であるペネム系抗生物質に対して1〜100重量%の範囲であることを特徴とする(15)ないし(17)に記載の硬質カプセル剤;
(19)無機物質の配合量が、カプセル内に充填される医薬品であるペネム系抗生物質に対して1〜25重量%の範囲であることを特徴とする(15)ないし(17)に記載の硬質カプセル剤;
(20)硬質カプセルに充填されるペネム系抗生物質が、機能性皮膜が施されているペネム系抗生物質と機能性皮膜が施されていないペネム系抗生物質とを混合したものであることを特徴とする(15)ないし(19)に記載の硬質カプセル剤;
(21)機能性皮膜が施されているペネム系抗生物質と、機能性皮膜が施されていないペネム系抗生物質との混合比が、重量比で5:5から7:3の範囲であることを特徴とする(20)に記載の硬質カプセル剤;
(22)硬質カプセル剤に充填されるペネム系抗生物質が、腸溶性皮膜を施したペネム系抗生物質と、胃溶性皮膜を施したペネム系抗生物質とを混合したものであることを特徴とする(15)ないし(19)に記載の硬質カプセル剤;
(23)腸溶性皮膜を施したペネム系抗生物質と、胃溶性皮膜を施したペネム系抗生物質との混合比が、重量比で5:5から7:3の範囲であることを特徴とする(22)に記載の硬質カプセル剤を提供する。
本発明により、硬質ゼラチンカプセルに充填された医薬品、特にペネム系抗生物質を充填した場合の、保存中におけるカプセル内の医薬品の分解で発生するガス状の物質によるカプセルの不溶化と医薬品に施した機能性被膜の変質を、無機物質をカプセル内の充填物に配合することによって防止でき、保存性のよいカプセル剤が提供できる。
また、ガス状の物質による医薬品に施した機能性皮膜の変質が起こらず、用途に応じて施した機能性皮膜の目的が維持でき、持続性製剤等の機能を充分に果たすことができる製剤設計を行うことができる。
特に、強力な抗菌活性を有し、経口投与により抗菌効果の持続性に優れた、ペネム系抗生物質であるファロペネムダロキセートを含有するカプセル剤が提供される。
本発明に用いられるペネム系抗生物質としては、抗菌活性を有し、感作性および経口毒性がない等の安全性を有し、医薬上許容されるものであれば、特に限定されない。また、これらは遊離のカルボン酸であっても、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩やリジンなどのアミノ酸塩あるいはアンモニウム塩などの医薬上許容される塩のいずれでもよい。そのなかでも、好ましくは、前述したファロペネムのカルボキシル基を、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基によりエステル化した脂溶性の高いプロドラッグ型のペネム系抗生物質であるファロペネムダロキセートを挙げることができる。
またカプセル中に充填する薬物の含量は、薬物の種類や適応疾患に応じて適宜決定すればよい。例えば、ファロペネムダロキセートを用いる場合には、カプセル内に充填する内容物に対して10〜90重量%程度配合するのがよい。
一方、本発明で使用する無機物質とは、多孔質性でその表面積が非常に大きく、吸油・吸水能および圧縮成形性などに優れた無機医薬品添加物を指す。このような無機物質の例としては、含水ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどを挙げることができる。本発明ではこれらの例に限らず、その他の無機物質を適宜選択して、1種または2種以上のものを使用できる。
本発明が提供するカプセル内の充填物に配合される無機物質のは、無機物質の種類によって、或いは発生が予想される医薬品の分解物等の量に応じて、適宜決定することができるが、カプセル内に充填される医薬品に対して0.1〜100重量%の範囲が好ましい。カプセル内に充填する医薬品がペネム系抗生物質の場合、薬物に対して1〜100重量%、更に好ましくは1〜25重量%の範囲が好ましい。
これらの無機物質は、製剤学的には、散剤、細粒剤および顆粒剤の流動性改善剤として、またそれ以外にも、賦形剤、結合剤、崩壊助剤、固結防止剤や粉末吸着化剤として、広く用いられているが、医薬品の分解生成物を吸収するために薬効成分とともにカプセル内に充填し使用される点は、本発明者が全く新規に見出した事項である。なお、これらの無機物質が流動性改善剤として使用される場合には、粒状医薬品に対して通常0.1〜1重量%添加される。また、医薬品添加剤としての無機物質の最大経口投与量は、カオリン(含水ケイ酸アルミニウム)504mg、合成ケイ酸アルミニウムで1.8g、軽質無水ケイ酸で2.6g、含水二酸化ケイ素で3.8g、およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムで1.05gであり(非特許文献6参照)、したがって、本発明にあっては、その範囲内で、目的に応じた添加量を選択することができる。
本発明が提供するカプセル剤において、カプセル内に充填する固形または半固形状態の医薬品の剤型としては、散剤、細粒剤、顆粒剤を挙げることができる。これらの製剤は有効成分である薬物、当該無機物質および他の添加剤を配合して常法により製造してカプセルに充填することができる。また、散剤、細粒剤、顆粒剤のフィルムコーティング層内に当該無機物質を内包させてもよい。さらには薬物および無機物質以外の他の添加剤を配合して常法により製造し、この製剤と無機物質を単純混合後に、あるいは各々別個にカプセルに充填することもできる。
例えば、機能性の被膜を施した細粒剤、顆粒剤の場合には、賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、ソルビトール、グルコース等の単糖類、デキストリン、デキストラン、プルラン等の多糖類、トウモロコシデンプン、α−デンプン、カルボキシメチルデンプンなどのデンプン類、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウムなどのセルロース類が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースやポリビニルピロリドンなどが挙げられる。可塑剤としてはマクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール600、マクロゴール6000などのマクロゴール類、ポリソルベート80、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。水溶性のフィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
さらに、機能性のフィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(Eudragit(登録商標)E100)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(Eudragit(登録商標)RS)、メタクリル酸コポリマーL(Eudragit(登録商標)L100)、メタクリル酸コポリマーLD(Eudragit(登録商標)L30D55)、メタクリル酸コポリマーS(Eudragit(登録商標)S100)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(Eudragit(登録商標)NE30D)などを挙げることができる。
上記した添加剤の配合量は、製剤として求められる特性などの点から適宜設定される。
本発明においては、カプセル内に充填された医薬品が、カプセルの保存中に分解し発生するガス状アルデヒド様物質を、カプセル内の充填物に配合された無機物質によって吸着させ、かかるガス状アルデヒド様物質に起因するカプセルの不溶化と、医薬品に施した機能性被膜の変質を防止することができる。機能性皮膜が変質を起こさないため、用途に応じて施した機能性皮膜の目的が維持でき、持続性製剤等の機能を充分に果たすことができる製剤設計を行うことができるものである。
以下に、本発明をより詳細に説明するため、前出のファロペネムダロキセートを用いて検討した実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:
下記の表2に示す成分の組成比で、ファロペネムダロキセートを含有する腸溶性顆粒−1、腸溶性顆粒−2および速溶性顆粒−1を得た。
すなわち、ファロペネムダロキセート、乳糖およびトウモロコシデンプンを攪拌造粒機に投入して混合した。別にヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して結合液を調製し、これを攪拌造粒機に添加して練合造粒した。練合物を円筒造粒機に投入して目開き0.8mmスクリーンで押し出し造粒して顆粒を得た。これを流動層造粒機に投入して流動層乾燥させた。乾燥した顆粒を整粒機に投入して整粒し、18メッシュの篩を通過し、且つ30メッシュの篩上に残る素顆粒を得た。
別にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、クエン酸トリエチルおよびタルクを水に溶解または分散させた腸溶性コート溶液1を調製した。上記で得た素顆粒を流動層造粒機に投入し、該腸溶性コート溶液1を噴霧しながら流動層コーティングし、所望の腸溶性顆粒−1を得た。また、該素顆粒を流動層造粒機に投入してヒドロキシプロピルメチルセルロース2910とタルクを水に溶解または分散させたシールコート溶液を噴霧しながら流動層コーティングし、所望の速溶性顆粒−1を得た。別にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、クエン酸トリエチルおよびタルクを水に溶解または分散させた腸溶性コート溶液2を調製した。速溶性顆粒−1を流動層造粒機に投入して該腸溶性コート溶液2を噴霧しながら流動層コーティングし、所望の腸溶性顆粒−2を得た。
得られた速溶性顆粒および腸溶性顆粒について、それぞれ電子顕微鏡で観察し、皮膜が顆粒に形成されていることを確認した。以下、シールコートを含む皮膜を施した顆粒を調製した場合は、必ず電子顕微鏡で観察し、皮膜の形成を確認したうえで使用した。
表2:ファロペネムダロキセートを含む腸溶性顆粒−1、腸溶性顆粒−2および速溶性顆粒−1の処方
Figure 2005239696
得られた腸溶性顆粒−1および腸溶性顆粒−2について、下記の表3に示す保存形態で安定性を評価した。すなわち、腸溶性顆粒−1および腸溶性顆粒−2のそれぞれ1.5g力価相当量をガラス瓶に入れて密栓し、40℃/相対湿度75%で1ヶ月間保存した。保存後の試料について、ファロペネムダロキセートの含量を高速液体クロマトグラフィーで測定するとともに、日本薬局方の第二法(パドル法)で溶出試験を行った。
その結果を、以下の表3に示す。
表3 腸溶性顆粒−1および腸溶性顆粒−2の安定性
Figure 2005239696
その結果、シールコートを施していない腸溶性顆粒−1では、40℃/相対湿度75%の1ヶ月間保存において、力価残存率は98%以下に低下し、試験開始時に比べてカプセルから顆粒が放出されるまでの時間が延長した。
一方、シールコートを施した腸溶性顆粒−2では、40℃/相対湿度75%の1ヶ月間保存において、力価残存率は98%以上であり、腸溶性顆粒−1に比べてpH6.8液で顆粒が放出されるまでの時間が改善したが、pH6.5液での顆粒が放出されるまでの時間に改善はなく、シールコートだけでは安定化効果は十分でないと判断された。
実施例2:
実施例1で得られた速溶性顆粒−1および腸溶性顆粒−2について、下記表4に示す各々40.0mg力価および60.0mg力価に相当する量を秤量して、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤−1を得た。
これとは別に、速溶性顆粒−1および腸溶性顆粒−2について、各々40.0mg力価および60.0mg力価に相当する量を秤量して、ゼラチンカプセルに充填し、さらに無機物質として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム20.0mgを入れたカプセル剤−2を得た。
表4:速溶性顆粒−1および腸溶性顆粒−2を充填したゼラチンカプセル剤の処方
Figure 2005239696
得られたカプセル剤−1およびカプセル剤−2について、下記表5に示す保存形態で安定性を評価した。すなわち、カプセル剤−1およびカプセル剤−2の各々のカプセル12個をガラス瓶に入れて、シリカゲル1gを添加して密栓し、40℃/相対湿度75%で4ヶ月間、または25℃(成り行き湿度)で12ヶ月間保存した。
保存後の試料について、ファロペネムダロキセートの含量を、高速液体クロマトグラフィーで測定するとともに、日本薬局方の第二法(パドル法)で溶出試験を行った。
その結果を、まとめて表5に示す。
表5:速溶性顆粒−1および腸溶性顆粒−2を充填したゼラチンカプセル剤のガラス瓶包装での安定性
Figure 2005239696
その結果、無機物質であるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを配合していないカプセル剤−1では、40℃/相対湿度75%の4ヶ月間保存、および25℃(成り行き湿度)で12ヶ月間保存において、試験開始時に比べてカプセルから顆粒が放出されるまでの時間が延長するとともに、顆粒からの薬物の溶出時間も延長した。また、力価残存率も98%以下に低下した。
一方、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを配合したカプセル剤−2では、カプセル剤−1と同じ条件で保存しても、顆粒が放出されるまでの時間および顆粒からの薬物の溶出時間は試験開始時と同じであった。また、カプセル剤−2の力価残存率は98%以上でありカプセル剤−1より高かった。
以上より、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、ファロペネムダロキセートを含有する顆粒を充填したゼラチンカプセルの不溶化、および顆粒からの薬物溶出速度低下の双方、ならびに含量低下に対して抑制または防止効果を示した。
実施例3:
下記表6に示す成分の組成比で、ファロペネムダロキセートの速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を得た。
すなわち、ファロペネムダロキセート、D−マンニトール、クロスカルメロースナトリウムおよびマクロゴール6000を攪拌造粒機に投入して混合した。別にヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して結合液を調製し、これを攪拌造粒機に添加して練合造粒した。練合物を円筒造粒機に投入して目開き0.8mmスクリーンで押し出し造粒して顆粒を得た。これを流動層造粒機に投入して流動層乾燥させた。乾燥した顆粒を整粒機に投入して整粒し、18メッシュの篩を通過し、且つ30メッシュの篩上のある素顆粒を得た。
別にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910とタルクを水に溶解または分散させたシールコート溶液を調製した。上記で得た素顆粒を流動層造粒機に投入して、該シールコート溶液を噴霧しながら流動層コーティングし、所望の速溶性顆粒−2を得た。
また、別にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクを水に溶解または分散させた腸溶性コート溶液3を調製した。上記で得た速溶性顆粒−2を流動層造粒機に投入して、腸溶性コート溶液3を噴霧しながら流動層コーティングし、所望の腸溶性顆粒−3を得た。
表6:ファロペネムダロキセートを含む速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3の処方
Figure 2005239696
得られた速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3について、下記表7に示す各々90.0mg力価および60.0mg力価に相当する量を秤量して、硬質ゼラチンカプセルに充填し、さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム36.0mgを入れたカプセル剤−3を得た。
表7:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したゼラチンカプセル剤の処方
Figure 2005239696
得られたカプセル剤−3について、下記表8に示す保存形態で安定性を評価した。
すなわち、カプセル15個をガラス瓶に入れて、シリカゲル1.5gを添加して密栓し、40℃/相対湿度75%で1ヶ月間保存した。保存後の試料について、ファロペネムダロキセートの含量を高速液体クロマトグラフィーで測定するとともに、日本薬局方の第二法(パドル法)で溶出試験を行った。なお、40℃/相対湿度75%で1ヶ月間保存したカプセル剤−3の全内容物を、新しい同型ゼラチンカプセルに充填しなおしてものも、日本薬局方の第二法(パドル法)で溶出試験を行った。
その結果をまとめて表8に示した。
表8:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したゼラチンカプセル剤−3のガラス瓶包装での安定性
Figure 2005239696
その結果、カプセル剤−3に充填した速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3には、強いゼラチン架橋反応を誘引する過酸化物質を多く発生させると報告のあるマクロゴール6000およびクエン酸トリエチルが添加されていた(非特許文献2および非特許文献3参照)が、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの添加により、40℃/相対湿度75%の1ヶ月間保存において、試験開始時に比べてカプセルから顆粒が放出されるまでの時間の延長はわずかであった。
また、40℃/相対湿度75%で1ヶ月間保存したカプセル剤−3の全内容物を新しい同型ゼラチンカプセルに充填しなおして溶出試験を行った結果、顆粒からの薬物の溶出時間は試験開始時と同じであった。さらに保存後の力価残存率は98%以上であった。
以上より、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムはゼラチンの架橋反応を誘引する物質がカプセル内に添加されている場合でも、抑制または防止効果を示した。
実施例4:
実施例3で得られた速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3について、下記表9に示す各々45.0mg力価および30.0mg力価に相当する量を秤量して、硬質ゼラチンカプセルに充填し、さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム20.0mgを入れたカプセル剤−4を得た。
表9:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したゼラチンカプセル剤の処方
Figure 2005239696
得られたカプセル剤−4について、下記表10に示す保存形態で安定性を評価した。
すなわち、カプセル10個をフィルムがグラシン紙、シートがポリ塩化ビニルから成るPTP包装を行い、このPTP包装10個(カプセル数/計50個)をアルミ袋に入れてシリカゲル4.2gを添加してヒートシールで密封し、40℃/相対湿度75%で2ヶ月間保存した。保存後の試料について、ファロペネムダロキセートの含量を高速液体クロマトグラフィーで測定するとともに、日本薬局方の第二法(パドル法)で溶出試験を行った。その結果を、まとめて表10に示した。
表10:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したゼラチンカプセル剤のPTP/アルミ袋包装での安定性
Figure 2005239696
その結果、カプセル剤−4に充填した速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3には、強いゼラチン架橋反応を誘引する過酸化物質を多く発生させると報告のあるマクロゴール6000およびクエン酸トリエチルが添加されていたが、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの添加により、40℃/相対湿度75%の2ヶ月間保存において、試験開始時に比べてカプセルから顆粒が放出されるまでの時間の延長は極わずかであり、顆粒からの薬物の溶出時間は試験開始時とほぼ同じであった。また保存後の力価残存率は98%以上であった。
以上より、カプセル内に添加したメタケイ酸アルミン酸マグネシウムはPTP/アルミ袋包装においても、実施例3のガラス瓶包装と同様に抑制または防止効果を示した。
実施例5:
実施例3で得られた速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3について、下記表11に示す各々90.0mg力価および60.0mg力価に相当する量を秤量して、コハク化ゼラチンを主成分したカプセル(以下、コハク化ゼラチンカプセルという)に充填し、さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム10.0mgを入れたカプセル剤−5を得た。
表11:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したコハク化ゼラチンカプセル剤の処方
Figure 2005239696
得られたカプセル剤−5について、下記表12に示す保存形態で安定性を評価した。
すなわち、カプセル15個をガラス瓶に入れてシリカゲル1.5gを添加して密栓し、50℃(成り行き湿度)で2週間保存した。保存後の試料について、ファロペネムダロキセートの含量を高速液体クロマトグラフィーで測定するとともに、日本薬局方の第二法(パドル法)で溶出試験を行った。
その結果を、まとめて表12に示した。
表12:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したコハク化ゼラチンカプセル剤のガラス瓶包装での安定性
Figure 2005239696
その結果、カプセル剤−5に充填した速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3について、顆粒からの薬物の溶出時間は試験開始時と同じであった。さらに保存後の力価残存率は98%以上であった。また、コハク化ゼラチンを主成分にしたカプセルを用いたため、アルデヒド様物質の結合によるゼラチンの架橋反応は発生せず、カプセルから顆粒が放出されるまでの時間の延長は認められなかった。
以上より、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムはコハク化ゼラチンカプセル内に充填された顆粒に対しても抑制または防止効果を示した。
実施例6:
実施例3で得られた速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3について、下記表13に示す各々90.0mg力価および60.0mg力価に相当する量を秤量して、セルロース誘導体であるヒドロキシプロピルメチルセルロースを基剤としたカプセル(以下、HPMCカプセルという)に充填し、さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム30.0mgを入れたカプセル剤−6を得た。
表13:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したHPMCカプセル剤の処方
Figure 2005239696
得られたカプセル剤−6について、下記表14に示す保存形態で安定性を評価した。
すなわち、カプセル15個をガラス瓶に入れて、シリカゲル1.5gを添加して密栓し、50℃(成り行き湿度)で2週間保存した。保存後の試料について、ファロペネムダロキセートの含量を高速液体クロマトグラフィーで測定するとともに、日本薬局方の第二法(パドル法)で溶出試験を行った。
その結果をまとめて表14に示した。
表14:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したHPMCカプセルのガラス瓶包装での安定性
Figure 2005239696
その結果、カプセル剤−6に充填した速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3について、顆粒からの薬物の溶出時間は試験開始時と同じであった。さらに保存後の力価残存率は98%以上であった。また、非ゼラチンを基剤にしたHPMCカプセルを用いたため、アルデヒド様物質によるカプセルの不溶化は発生せず、カプセルから顆粒が放出されるまでの時間の延長は認められなかった。
以上より、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムはHPMCカプセル内に充填された顆粒に対しても抑制または防止効果を示した。
なお、上記実施例で行った、ファロペネムダロキセートの含量測定における高速液体クロマトグラフ法の条件は、以下のとおりである。
オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したステンレス製の高速液体クロマトグラフ用カラム(Innertsil ODS−2 4.6mmΦ×250mm)を用いた。カラム温度は40℃に設定した。移動相には、トリフルオロ酢酸0.005v/v%含む水とアセトニトリルを9対1に混合したA液、およびトリフルオロ酢酸0.005v/v%含むアセトニトリルのB液を用いた。移動相の組成制御条件では、B液の初期濃度を5%とし、分析開始後、B液を一定量ずつ増加させて40分で60%になるよう設定した。流量は、1.5mL/分とした。検出機には、紫外吸光光度計を用い、240nmの測定波長を用いた。内標準液にはパラオキシ安息香酸プロピル0.275w/v%を含むアセトニトリル溶液を用いた。なお、測定したファロペネムダロキセートの含量について、試験開始時に対する保存後の残存率(%)を算出した。
また、上記実施例で行った、顆粒およびカプセルの溶出試験の条件は、以下のとおりである。
日本薬局方溶出試験法にしたがって行った。パドル法で行い、パドルの回転数は100rpmとした。試験液には水の他、pH1.2(日本薬局方第1液)、およびpH5.5、pH6.0、pH6.5、pH6.8に調整したClark−Lubs緩衝液を各々900mL用いた。試験液の温度は37±1℃に設定した。試料については、顆粒の場合はファロペネムダロキセートとして100mg力価相当量を試験液に投入し、カプセルの場合はカプセル1個をシンカーに入れて試験液に投入した。
実施例7:
持続性製剤として徐放性顆粒を用いたカプセル剤の製造例を以下に挙げる。
表15:ファロペネムダロキセートを含む徐放性顆粒−1の処方
Figure 2005239696
表15に示す成分の組成比で徐放性顆粒−1を得た。すなわち、ファロペネムダロキセートにアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液を加えて湿式練合し、流動層乾燥後30メッシュの篩で通過した。別にアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液およびタルクを水に分散させた徐放性コート溶液を調製した。篩過した顆粒を転動流動層造粒機に投入して、徐放性コート溶液を噴霧しながら転動流動層コーティングし、所望の徐放性顆粒−1を得た。
表16:速溶性顆粒−2および徐放性顆粒−2を充填したゼラチンカプセル剤の処方
Figure 2005239696
表16に示すように、得られた徐放性顆粒−1の150.0mg力価に相当する量を秤量して硬質ゼラチンカプセルに充填し、さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム30.0mgを入れたカプセル-剤−7を得た。またこれとは別に実施例3で得られた速溶性顆粒−2及び徐放性顆粒−1について各々90.0mg力価および60.0mg力価に相当する量を秤量して硬質ゼラチンカプセルに充填し、さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム30.0mgを入れたカプセル-剤−8を得た。
実施例8:
表17:ファロペネムダロキセートを含む速溶性顆粒−3及び腸溶性顆粒−4の処方
Figure 2005239696
表17に示す成分の組成比でファロペネムダロキセートの速溶性顆粒−3および腸溶性顆粒−4を得た。すなわち、ファロペネムダロキセート、D−マンニトール、クロスカルメロースナトリウム及びマクロゴール6000を攪拌造粒機に投入して混合した。別にヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して結合液を調製し、これを攪拌造粒機に添加して練合造粒した。練合物を円筒造粒機に投入して目開き0.8mmスクリーンで押し出し造粒して顆粒を得た。これを流動層造粒機に投入して流動層乾燥させた。乾燥した顆粒を整粒機に投入して整粒し、18メッシュの篩を通過し、且つ30メッシュの篩上のある素顆粒を得た。別にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびタルクを水に溶解または分散させたシールコート溶液を調製した。素顆粒を流動層造粒機に投入してシールコート溶液を噴霧しながら流動層コーティングし、所望の速溶性顆粒−3を得た。これとは別にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910とタルクを水に溶解または分散させたシールコート溶液を調製した。素顆粒を流動層造粒機に投入してシールコート溶液を噴霧しながら流動層でシールコートした。さらに別にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクを水に溶解または分散させた腸溶性コート溶液を調製した。シールコートした顆粒を流動層造粒機に投入して腸溶性コート溶液を噴霧しながら流動層コーティングし、所望の腸溶性顆粒−4を得た。
表18:速溶性顆粒−3および腸溶性顆粒−4を充填したゼラチンカプセル剤の処方
Figure 2005239696
得られた速溶性顆粒−3および腸溶性顆粒−4について、表18に示す各々90.0mg力価および60.0mg力価に相当する量を秤量して硬質ゼラチンカプセルに充填したカプセル剤−9を得た。カプセル剤−9には、速溶性顆粒−3のシールコート成分であるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが5.5mg含まれる。この量はカプセル内のファロペネムダロキセートに対して2.6重量%に相当する。
得られたカプセル剤−9について、表19に示す保存形態で安定性を評価した。すなわち、カプセル12個をガラス瓶に入れてシリカゲル1.0gを添加して密栓し、40℃/相対湿度75%で2ヶ月間保存した。保存後の試料について、ファロペネムダロキセートの含量を高速液体クロマトグラフィーで測定するとともに、日本薬局方の第二法(パドル法)で溶出試験を行った。その結果を表中に示した。
表19:速溶性顆粒−3および腸溶性顆粒−4を充填したゼラチンカプセルのガラス瓶包装での安定性
Figure 2005239696
その結果、カプセル内のメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの配合量が5.5mgと少量であったため、40℃/相対湿度75%の2ヶ月間保存において、試験開始時に比べてカプセルから顆粒が放出されるまでの時間は延長した。しかしながら、40℃/相対湿度75%で2ヶ月間保存したカプセル剤−9の全内容物を新しい同型ゼラチンカプセルに充填しなおして溶出試験を行った結果、顆粒からの薬物の溶出時間は試験開始時と同じであった。
以上より、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは少量の配合でも機能性被膜の変質を防止できることが明らかとなった。
実施例9:
表20:速溶性顆粒−3および腸溶性顆粒−4を充填したゼラチンカプセル剤の処方
Figure 2005239696
実施例8で得られた速溶性顆粒−3および腸溶性顆粒−4について、表20に示す各々150.0mg力価に相当する量を秤量して硬質ゼラチンカプセルに充填したカプセル剤−10およびカプセル剤−11を得た。
得られたカプセル剤−10およびカプセル剤−11をヒト(成人5名)に食後経口投与して、12時間後まで経時的に採血して血漿中のファロペネムダロキセートの抗菌活性体であるファロペネム濃度を求め、さらに薬動力学的バラメータを算出した。ファロペネムの血漿中推移を図3および図4に示すとともに、薬動力学的バラメータを表21に示した。
表21:ファロペネムダロキセートを含むカプセル剤をヒトに経口投与した際の薬動力学的バラメータ
Figure 2005239696
表21中、生物学的利用率(F)=(AUC/Dose)/(AUCiv/Doseiv),AUCiv=57.1μg・hr/mL,Doseiv=7.74mg/kg (500mg/man)、尿中回収率=ファロペネムとしての回収量である。
その結果、速溶性顆粒−3を充填したカプセル剤−10および腸溶性顆粒−4を充填したカプセル剤−11を経口投与すると、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は各々2.2時間およ3.6時間であった。また、最高血漿中濃度(Cmax)および生物学的利用率はカプセル剤−10で4.35μg/mLおよび72.1%、カプセル剤−11で6.53μg/mLおよび95.5%であり、カプセル剤−11の方が高かった。この結果より、血漿中有効ファロペネム濃度をできるだけ持続させるには、生物学的利用率の低い速溶性顆粒−3の配合量を腸溶性顆粒−4に比べて若干多くした方が良いと判断し、速溶性顆粒−3および腸溶性顆粒−4の配合比が6:4である複合顆粒を選択するに至った。
実際に速溶性顆粒−3および腸溶性顆粒−4の配合比が6:4である実施例8で得られたカプセル剤−9(複合顆粒150mg力価)をヒト(5名)に食後経口投与して、経時的に採血して血漿中のファロペネムダロキセートの抗菌活性体であるファロペネム濃度を求め、さらに薬動力学的バラメータを算出した。ファロペネムの血漿中推移を図5に示すとともに、薬動力学的バラメータを上記表21に併せて示した。
その結果、経口投与30分後で血漿中濃度は1μg/mLに達した(図5参照)。一方、カプセル−11では経口投与1時間後でも血漿中濃度は1μg/mLに達しておらず(図4参照)、速溶性顆粒と腸溶性顆粒を6:4にした複合顆粒にすることにより、経口投与後速やかに血漿中ファロペネム濃度が上昇することが確認できた。さらに1μg/mL以上の濃度を投与後6時間まで維持することができた。
実施例10:
実施例3で得られた速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3について、表22に示す各々45.0mg力価および30.0mg力価に相当する量を秤量して硬質ゼラチンカプセルに充填し、さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム10.0mgを入れたカプセル剤−12を得た。また、これとは別に速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3について、表22に示す各々90.0mg力価および60.0mg力価に相当する量を秤量して硬質ゼラチンカプセルに充填し、さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム20.0mgを入れたカプセル剤−13を得た。
表22:速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3を充填したゼラチンカプセル剤の処方
Figure 2005239696
得られたカプセル剤−12を1カプセル(75mg力価)、カプセル剤−13を1カプセル(150mg力価)または2カプセル(300mg力価)をヒト(成人6名)に食後経口投与して、12時間後まで経時的に採血して血漿中のファロペネムダロキセートの抗菌活性体であるファロペネム濃度を求め、さらに薬動力学的バラメータを算出した。ファロペネムの血漿中推移を図6に示すとともに薬動力学的バラメータを表23に示した。
表23:ファロペネムダロキセートを含むカプセル剤をヒトに経口投与した際の薬動力学的バラメータ
Figure 2005239696
表21中、生物学的利用率(F)=(AUC/Dose)/(AUCiv/Doseiv),AUCiv=57.1μg・hr/mL,Doseiv=7.74mg/kg (500mg/man)、尿中回収率=ファロペネムとしての回収量である。
その結果、カプセル剤−12を1カプセル(75mg力価)、カプセル剤−13を1カプセル(150mg力価)または2カプセル(300mg力価)を経口投与すると、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は各々2.83時間、2.00時間および2.67時間であり、ほぼ同じであった。AUC(血漿中濃度−時間曲線下面積)は、カプセル剤−12(75mg力価)で5.09μg/hr/mL、カプセル剤−13(150mg力価)で11.77μg/hr/mL、カプセル剤−13(300mg力価)で24.47μg/hr/mLであり、投与量に比例して増加した。生物学的利用率および尿中回収率はカプセル剤−12(75mg力価)で60.9%および13.0%、カプセル剤−13(150mg力価)で67.1%および13.5%、カプセル剤−13(300mg力価)で75.6%および14.1%であり、投与量による差異はほとんどなかった。
この結果より、速溶性顆粒−2および腸溶性顆粒−3の配合比が6:4である複合顆粒およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを充填したカプセル剤をヒトに経口投与した際には、ファロペネムダロキセートの75mg力価から300mg力価において、薬物動態的には線形の薬物速度論で説明できることが示唆され、投与設計のしやすいカプセル剤であると結論できた。
上述の実施例で行った血液および尿の処理方法、血漿中および尿中のファロペネム含量測定における高速液体クロマトグラフ法の条件は、以下の通りである。
採取した血液および尿を前処理してから使用した。すなわち、血液及び尿を3,000rpmで15分間遠心分離後に上清を分取した。血液では上清(血漿)200μLにアセトニトリル200μLを加えては攪拌後、4℃、12,000rpmで15分間遠心分離した。この上清200μLを10mMリン酸緩衝液800μLで希釈し、その200μLを高速液体クロマトグラフに注入した。尿では上清100μLに10mMリン酸緩衝液900μLを加えて攪拌後、この試料液50μLを10mMリン酸緩衝液950μLで希釈し、その200μL高速液体クロマトグラフに注入した。
高速液体クロマトグラフ条件は以下の通りとした。すなわち、オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したステンレス製の高速液体クロマトグラフ用カラム(Innertsil ODS−2 4.6mmΦ×250mm)を用いた。カラム温度は室温に設定した。移動相には、リン酸でpH2に調整した20mMリン酸二水素ナトリウム水溶液の680mLにアセトニトリル320mLを混合した液を用いた。流量は1mL/分になるように調整した。検出機には、紫外吸光光度計を用い、318nmの波長で測定した。
以上記載のように、本発明により硬質ゼラチンカプセルに充填された医薬品、特にペネム系抗生物質を充填した場合の保存中におけるカプセル内の医薬品の分解で発生するガス状の物質によるカプセルの不溶化と医薬品に施した機能性被膜の変質を、無機物質をカプセル内の充填物に配合することによって防止でき、保存安定性がよいカプセル剤が提供できる。
また、本発明により、強力な抗菌活性を有し、経口投与により抗菌効果の持続性に優れた、ペネム系抗生物質であるファロペネムダロキセートを含有する保存安定性が良いカプセル剤が提供されることより、その医療上の貢献度は多大なものである。
図1は、ファロペネムダロキセートが分解し、化合物2の生成と同時に、低分子のガス状アルデヒド様物質が生成する化学反応を説明する図である。 図2は、ファロペネムダロキセートを硬質ゼラチンカプセルと接触しない状態で、密閉したガラス容器内に共存させ、60℃、成り行き湿度で7日間保存し、その状態を検討した試験の模式を示した図である。 図3は、カプセル剤−10をヒトに経口投与した際の、ファロペネムの血漿中濃度の推移を示した図である。 図4は、カプセル剤−11をヒトに経口投与した際の、ファロペネムの血漿中濃度の推移を示した図である。 図5は、カプセル剤−9をヒトに経口投与した際の、ファロペネムの血漿中濃度の推移を示した図である。 図6はカプセル剤−12およびカプセル剤−13をヒトに経口投与した際の、ファロペネムの血漿中濃度の推移を示した図である。

Claims (23)

  1. カプセル内の充填物に無機物質を配合することを特徴とする硬質カプセル剤。
  2. 硬質カプセルの基剤がゼラチンである請求項1に記載の硬質カプセル剤。
  3. 無機物質が、含水ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群から選ばれた1種または2種以上を配合したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の硬質カプセル剤。
  4. 無機物質がメタケイ酸アルミン酸マグネシウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の硬質カプセル剤。
  5. 無機物質の配合量が、カプセル内に充填される医薬品に対して0.1〜100重量%の範囲であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  6. 硬質カプセル剤に充填される医薬品が固形または半固形状態の医薬品であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  7. 固形または半固形状態の医薬品が細粒または顆粒であることを特徴とする請求項6に記載の硬質カプセル剤。
  8. 硬質カプセル剤に充填される医薬品に、機能性皮膜が施されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  9. 医薬品に施される機能性皮膜が腸溶性皮膜であることを特徴とする請求項7に記載の硬質カプセル剤。
  10. 医薬品に施される機能性皮膜が胃溶性皮膜であることを特徴とする請求項7に記載の硬質カプセル剤。
  11. 硬質カプセル剤に充填される医薬品が、機能性皮膜が施されている医薬品と機能性皮膜が施されていない医薬品とを混合したものであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  12. 機能性皮膜が施されている医薬品と、機能性皮膜が施されていない医薬品との混合比が、重量比で3:7から7:3の範囲であることを特徴とする請求項11に記載の硬質カプセル剤。
  13. 硬質カプセル剤に充填される医薬品が、腸溶性皮膜を施した医薬品と、胃溶性皮膜を施した医薬品とを混合したものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  14. 腸溶性皮膜を施した医薬品と、胃溶性皮膜を施した医薬品との混合比が、重量比で3:7から7:3の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の硬質カプセル剤。
  15. 硬質カプセル剤に充填される医薬品がペネム系抗生物質であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載した硬質カプセル剤。
  16. 硬質カプセル剤に充填されるペネム系抗生物質が(+)−(5R,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−3−[(R)−2−テトラヒドロフリル]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸またはその医薬上許容される塩並びその誘導体、または誘導体の薬理学上許容されうる塩である請求項15に記載の硬質カプセル剤。
  17. 硬質カプセル剤に充填されるペネム系抗生物質が(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル (5R,6S)−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−3−[(R)−2−テトラヒドロフリル]−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートである請求項15に記載の硬質カプセル剤。
  18. 無機物質の配合量が、カプセル内に充填される医薬品であるペネム系抗生物質に対して1〜100重量%の範囲であることを特徴とする請求項15ないし17のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  19. 無機物質の配合量が、カプセル内に充填される医薬品であるペネム系抗生物質に対して1〜25重量%の範囲であることを特徴とする請求項15ないし17のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  20. 硬質カプセルに充填されるペネム系抗生物質が、機能性皮膜が施されているペネム系抗生物質と機能性皮膜が施されていないペネム系抗生物質とを混合したものであることを特徴とする請求項15ないし19のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  21. 機能性皮膜が施されているペネム系抗生物質と、機能性皮膜が施されていないペネム系抗生物質との混合比が、重量比で5:5から7:3の範囲であることを特徴とする請求項20に記載の硬質カプセル剤。
  22. 硬質カプセル剤に充填されるペネム系抗生物質が、腸溶性皮膜を施したペネム系抗生物質と、胃溶性皮膜を施したペネム系抗生物質とを混合したものであることを特徴とする請求項15ないし19のいずれかに記載の硬質カプセル剤。
  23. 腸溶性皮膜を施したペネム系抗生物質と、胃溶性皮膜を施したペネム系抗生物質との混合比が、重量比で5:5から7:3の範囲であることを特徴とする請求項22に記載の硬質カプセル剤。
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