JP2524279Y2 - 歩行型田植機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、左右一対の車輪の伝動支持ケースを、その
前端の横軸芯周りで機体に対して昇降揺動駆動自在に軸
支するとともに、前記機体の後端に後方に延出したハン
ドルを備えた歩行型田植機に関する。

〔従来の技術〕

従来より、この種の歩行型田植機は、例えば特開平2-
16906号公報に開示された構造のもののように、耕盤の
深さに応じて車輪を昇降操作することで、機体を田面に
対して一定高さに維持することで植付深さを一定にし、
又、車輪を強制下降して機体を持ち上げることで枕地で
の機体旋回や畦越等を容易に行っている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記歩行型田植機にあっては、圃場で
の機体旋回や、畦越え等を行うために、車輪を強制下降
させて機体を持ち上げた場合、機体を姿勢保持するフロ
ートが泥面から離れるので、走行時に車輪が耕盤から受
ける反力で車軸を中心にして機体が前上がり傾斜姿勢と
なる現象が生じ易い。この現象が生じた場合、機体後部
がわは下降するので、ハンドルには下向きの荷重が作用
し、運転者はその荷重を支えて植付機構等が泥面に突込
まないようにしなければならず、運転者に対する負担が
大きなものとなっていた。

本考案は、上記実情に鑑みてなされたものであって、
車輪を強制下降させた状態での走行で機体が前上がり姿
勢となる現象が生じることを抑制できる歩行型田植機の
提供を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案にかかる歩行型田植機は、上記目的を達成する
ために、左右一対の車輪の伝動支持ケースを、その前端
の横軸芯周りで機体に対して昇降揺動駆動自在に軸支す
るとともに、前記機体の後端に後方に延出したハンドル
を備えた歩行型田植機であって、前記車輪の直後方位置
にソリ体を上下揺動自在に枢支するとともに、前記伝動
支持ケースと前記ソリ体とを、前記伝動支持ケースの所
定の融通範囲以上の下降揺動に連動して前記ソリ体が下
降するように、融通手段を備える連係部材を介して連係
してあることを特徴構成とする。

かかる特徴構成による作用・効果は次の通りである。

〔作用〕

すなわち、伝動支持ケースの所定の融通範囲以上の下
降揺動に連動して、ソリ体も下降するので、畦越等のた
め車輪を強制下降したときには、ソリ体が泥面に突入し
易い姿勢、又は泥中に突入した姿勢に切り換わり、走行
時に機体が前上がり姿勢になろうとしても、それに伴っ
て、ソリ体が泥中に突込まれる状態で下向きに泥押しす
ることになり、その泥押しの反力によって機体が前上が
り姿勢となることを抑制し、ハンドルにおける下向き荷
重を小さくする。一方伝動支持ケースを所定の融通範囲
内に位置しているときには、ソリ体は圃場の泥面に対し
て整地作用を有するから、車輪の直後方に設けられてい
ることにより車輪の跡消しを行うこともできる。

〔考案の効果〕

従って、本考案にかかる歩行型田植機によれば、車輪
を強制的に下限まで下降させた状態での走行において、
ソリ体で機体の前上がり現象を抑制してハンドルでの下
向き荷重を小さくできるので、運転者はその下向き荷重
を支えることに余り労力を必要としなくなって、ハンド
ル操作も軽くでき、運転者の疲労を低減できるととも
に、通常の作業時にはソリ体を車輪の跡消しに利用でき
る利点もある。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図に示すように、走行用のミッションケース
（１）の左右両側に一対の伝動支持ケース（２）が、横
軸芯（P₁）周りに上下揺動自在に支持され、この伝動支
持ケース（２）の端部の車軸（24），（24）に走行用の
車輪（3a），（3b）が備えられて機体（Ｂ）が支持され
ている。機体（Ｂ）の後部には植付アーム（４）及び苗
のせ台（５）等で構成された苗植付装置と、操縦ハンド
ル（６）が備えられると共に、ミッションケース（１）
と植付アーム（４）との間には、タンク（７）及びタン
ク（７）内の肥料を繰出す繰出し装置（８）が備えられ
ている。

機体（Ｂ）の下部にはセンターフロート（９）が備え
られ、このセンターフロート（９）に田面（Ｇ）に溝を
作って行く作溝器（10）が固定されており、繰出し装置
（８）から繰出された肥料がホース（11）を通り作溝器
（10）の作った溝内に送り込まれて行く。以上のように
して、二輪二条型式の歩行型田植機が構成されている。

この歩行型田植機はガソリンエンジン（12）を備えて
おり、第１図に示すように、ミッションケース（１）の
前面に前下り状のフレーム（13）が固定され、このフレ
ーム（13）上にガソリンエンジン（12）が搭載されて、
ガソリンエンジン（12）が前下り傾斜姿勢に支持されて
いる。

次に、左右の車輪（3a），（3b）の上下動構造につい
て説明する。第１図及び第２図に示すように、フレーム
（13）内の前端に単動型の油圧シリンダ（14）の後端が
連結され、この油圧シリンダ（14）が機体後方に向けら
れている。この油圧シリンダ（14）のピストンロッド
（14a）の先端に、アーム（15）が取り付けられてい
る。そして、このアーム（15）の両端と伝動支持ケース
（２）とに亘って、左右一対のロッド（16）が架設連結
されている。以上の構造により、油圧シリンダ（14）を
伸縮操作すると、左右の伝動支持ケース（２）及び車輪
（3a），（3b）が同方向に上下揺動操作されるのであ
る。

第１図及び第２図に示すように、センターフロート
（９）は、左右の車輪（3a），（3b）の間で、機体
（Ｂ）前後にわたって配設されているとともに、その後
端部に支持ブラケット（17）を取付けており、この支持
ブラケット（17）と操縦ハンドル（６）の取付フレーム
（18）とが横軸芯（P₂）周りで揺動自在に枢支されて、
センターフロート（９）が機体（Ｂ）に対して横軸芯
（P₂）周りに上下揺動自在に支持される。

前記横軸芯（P₂）より後位置の前記取付フレーム（1
8）に左右に横軸（19）を延出してあるとともに、第２
図に示すように、平面視でセンターフロート（９）と左
右のサイドフロート（9a），（9b）との間に位置させる
とともに、車輪（3a），（3a）の直後方に位置させた左
右一対のソリ体（20），（20）を、前記横軸（19）に横
軸芯（P₃）周りに揺動自在に枢支しているとともに、夫
々のソリ体（20），（20）はバネ（21），（21）によっ
て上方がわに付勢されている。そして、第３図に示すよ
うに、夫々のソリ体（20），（20）と、伝動支持ケース
（２），（２）の基部アーム（2a），（2a）の融通手段
としての長孔（22），（22）とにわたって、連係部材と
してのロッド（23），（23）を枢支架設している。ここ
で、基部アーム（2a），（2a）も連係部材を構成してい
る。

上記構成により、畦越え等の際に、車輪（3a），（3
a）を下降させるため伝動支持ケース（２），（２）を
下限がわへ下降操作すると、前記長孔（22），（22）の
一端部にロッド（23），（23）が接当するまでの融通範
囲ではソリ体（20），（20）の姿勢は通常のままに維持
されるが、さらにその融通範囲を越えると伝動支持ケー
ス（２），（２）の下降操作に連動するロッド（23），
（23）の押し付け力によってソリ体（20），（20）もバ
ネ（21），（21）の付勢力に抗して下降揺動して、田面
（Ｇ）の泥中に突入した姿勢となる。

〔別実施例〕 本考案は、次のように実施しても良い。

連係部材として、レリーズワイヤやプッシュプルワ
イヤを利用すること。

ソリ体を１つ又は３つ以上設けること。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る歩行型田植機の実施例を示し、第１
図は歩行型田植機を示す全体側面図、第２図は歩行型田
植機の概略を示す平面図、第３図はソリ体及び伝動支持
ケースとその連係構造を示す概略側面図である。 （２）……伝動支持ケース、（3a），（3b）……車輪、
（６）……ハンドル、（20）……ソリ体、（22）……融
通手段、（Ｂ）……機体。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右一対の車輪（3a），（3b）の伝動支持
   ケース（２），（２）を、その前端の横軸芯周りで機体
   （Ｂ）に対して昇降揺動駆動自在に軸支するとともに、
   前記機体（Ｂ）の後端に後方に延出したハンドル（６）
   を備えた歩行型田植機であって、前記車輪（3a），（3
   b）の直後方位置にソリ体（20）を上下揺動自在に枢支
   するとともに、前記伝動支持ケース（２），（２）と前
   記ソリ体（20）とを、前記伝動支持ケース（２），
   （２）の所定の融通範囲以上の下降揺動に連動して前記
   ソリ体（20）が下降するように、融通手段（22）を備え
   る連係部材を介して連係してあることを特徴とする歩行
   型田植機。