JP2523969Y2 - 錠付き燃料キャップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、盗難防止のために錠の
付いた燃料キャップの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】先に特願昭63-7113号で樹脂製燃料キャ
ップの性能の安定性を向上したものを提案した。その構
造は操作側のアウタキャップとフィラネックに嵌まるイ
ンナキャップとからなるものである。

【０００３】また、従来の錠付き燃料キャップの構造例
は、特公昭53-39936号、特公昭58-22435号等にみられ
る。これらの動作条件は共通して次のようなものであ
る。 給油する時 ・錠を解除し、アウタキャップをフィラネックから取り
外す方向に(反時計方向)回すと、インナキャップも回
り、キャップを外すことができる。 ・錠を解除したままで給油後キャップをネックに取り付
けることができる。 ・キーを抜くと錠はロック状態になるが、(ロック状態
にしないとキーが抜けない)その状態でも、ネックに取
り付けることができる。

【０００４】給油していない時 ・錠をロック状態にしているため、アウタキャップを外
す方向に回しても、インナーキャップと空回りしてネッ
クから取り外すことができない。従来の構造は、本構造
でいう噛合プレートとラッチ部の連結方法として、どち
らかの係止部をアーム先端やプレートの先端に突出して
設けていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】従って、片持ち状態で
荷重を受けているのでたわみを抑えるための強度上の考
慮と、寸法変動についての考慮が必要であった。そこ
で、本考案は締付けトルクが安定しており、操作時のき
しみ音もなく、駆動連結部分のたわみによる強度、寸法
変動の考慮を必要としなくすることを検討した。

【０００６】

【課題を解決するための手段】アウタキャップとインナ
キャップとからなる燃料キャップであって、アウタキャ
ップをカバー部１と薄肉リング状のラッチ部２とし、カ
バー部１は中央に錠３があり、該錠の下端にはキーによ
って回動するピン４を下向きに設けている。カバー部１
とラッチ部２に挾まれて略円盤状の噛合プレート６があ
り、その噛合プレート上面に複数個の突出部７を設け、
その放射状突出部がカバー部１の下面にある複数個の凹
部８と回転方向で係合する。噛合プレート６の外周には
複数個の弾性爪９を設けてカバー部下面10と接してラッ
チ部方向に押されている。噛合プレート下面には放射状
にラッチ11があり、ラッチ部２上面の放射状ラッチ12と
時計方向に係合している。また、噛合プレート６の中央
付近にはピン４に合う位置に穴13があり、ピン４の回転
範囲でピンが穴13上か、穴13を開けていない位置をとる
ようにカバー部と組み合わされている。

【０００７】ラッチ部２には円盤状外周に軸方向に伸び
る壁14を設け、壁の中心側にインナキャップ５のラッチ
5aとキャップを外す方向には係止し、締め付ける方向に
はトルク制限状態で係止するラッチ15を設け、ラッチ部
円盤上面には前記放射状ラッチ12を設けている。インナ
キャップ５には上記ラッチ5aを半径方向外向きに設け、
インナキャップ５とアウタキャップとが開閉トルク制御
可能に一体化されてなる錠付きキャップである。

【０００８】

【作用】このような構造であると、アウタキャップのカ
バー部の凹部８と噛合プレート６の突出部７が、噛合プ
レート６が上下方向移動できるように回転方向にて係止
している。 錠を解除すると錠先端のピン４が90°回転して噛合プ
レート６の穴のあいていないところに移動する。それに
より、ピン４が噛合プレート６の上方向の移動を制止す
る。噛合プレート６の下面に設けられたラッチ11と、ラ
ッチ部の上面に設けられたラッチ12が反時計方向及び、
時計方向共に係止する。ラッチ部のラッチ15とインナキ
ャップ５のラッチ5aが反時計方向で係止し、従って、カ
バー部の反時計方向回転、すなわち、キャップを外す操
作で、各部材が連結されてキャップが外れる。

【０００９】この状態でキャップを取り付ける場合、
噛合プレート６とラッチ部は前記により係止してい
る。ラッチ部のラッチ15とインナキャップ５のラッチ5a
は時計方向の回転ではトルク制限状態でネックに締め付
けられる。 錠をロックした状態では、ピン４が噛合プレート６の
穴13のところへ移動し、ラッチ部に対して上方向に移動
できる状態になる。

【００１０】カバー部を反時計方向に回すと噛合プレー
ト６も一緒に回る。しかし、ラッチ部に対して噛合プレ
ート６の上方向の移動によってラッチ11とラッチ12が係
止できず、カバー部はインナキャップ５に対して空回り
する。キャップを取り付ける方向では、噛合プレート６
に設けたカバー部に接触している弾性爪により、常にラ
ッチ部方向に押えられている噛合プレート６のラッチ11
とラッチ部のラッチ12が係止してカバー部とラッチ部が
連結される。ラッチ部２のラッチ12とインナキャップ５
のラッチ5aがトルク制限された状態で共に回転すること
ができる。

【００１１】

【実施例】図１は本考案の錠付き燃料キャップの断面図
であり、図２は図１中Ａ−Ａ断面図、図３は図１中Ｂ−
Ｂ半截断面図である。図１にみられるように、この錠付
き燃料キャップは、主な構成がアウタキャップとフィラ
ネックに嵌めるインナキャップとからなる。アウタキャ
ップはカバー部１と薄肉リング状のラッチ部２と、それ
らの間に介在する噛合プレート６とからなる。伏皿状の
カバー部１は中央に錠３の保持穴があり、それに保持さ
れた錠３の下端にはキーによって回動するピン４を下向
きに設けている。カバー部１とラッチ部２に挾まれた状
態で略円盤状の噛合プレート６が設けられている。

【００１２】噛合プレート６は上面に複数本の放射状突
出部７を設けている。この突出部７がカバー部１の下面
にある複数本の放射状凹部８と回転方向で係合するよう
になっている。噛合プレート６の外周には複数個の弾性
爪９があり、これがカバー部の下面10と接して常時ラッ
チ部方向に押された状態となっている。この噛合プレー
ト６の下面には放射状にラッチ11を設けており、ラッチ
部２の上面の放射状ラッチ12とロック時に時計方向に係
合するようになっている。更に、噛合プレート６には中
央付近の前記ピン４に合う位置に穴13を設けている。こ
の穴13は図２にみられるように、噛合プレート６の中心
付近の軸心対称位置に２個所設けている。円周上の他の
部分は穴が無い状態であるから、ピン４の回転範囲でピ
ンが穴13上か、穴を開けていない位置をとるようにカバ
ー部と組み合わされる。

【００１３】ラッチ部２は円盤状外周に軸方向に伸びる
壁14を設けている。この壁の中心側(内面側)にラッチ15
を設けている。このラッチ15はインナキャップ５のラッ
チ5aとキャップを外す方向には係止し、締め付ける方向
にはトルク制限状態で係止することができる。ラッチ部
円盤上面には前記放射状ラッチ12がある。インナキャッ
プ５には上記のようにラッチ5aを半径方向外向きに設け
られており、これによりインナキャップ５とアウタキャ
ップとが開閉トルク制御可能に一体化されている。

【００１４】この錠付き燃料キャップの作動はつぎのよ
うである。 通常の施錠状態のときは、ピン４が噛合プレート６の
穴13のところへあるので、キャップを外そうとしてカバ
ー部を反時計方向に回すと噛合プレート６も一緒に回る
が、しかし、ラッチ部に対して噛合プレート６の上方向
の移動によってラッチ11とラッチ12が係止できず、カバ
ー部はインナキャップ５に対して空回りする。したがっ
て、キャップは外れない。

【００１５】給油時に錠を解除すると、ピン４が90°
回転して噛合プレート６の穴のあいていないところに移
動し、これにより、ピン４が噛合プレート６の上方向の
移動を制止する。噛合プレート６の下面に設けられたラ
ッチ11と、ラッチ部の上面に設けられたラッチ12が反時
計方向及び、時計方向共に係止する。ラッチ部２の周縁
部壁14にあるラッチ15とインナキャップ５のラッチ5aが
反時計方向で係止しており、キャップを外す操作で、カ
バー部を反時計方向に回転すると、各部材が連結されて
キャップが外れる。

【００１６】給油を終えてキャップを取り付ける場合
には、この錠解除の状態でも噛合プレート６とラッチ部
２は前記により係止しているので、ラッチ部のラッチ
15とインナキャップ５のラッチ5aは時計方向の回転では
トルク制限状態でネックに締め付けられる。

【００１７】錠をロックした状態でキャップを取り付
ける場合、噛合プレート６に設けたカバー部に接触して
いる弾性爪により、常にラッチ部方向に押えられている
噛合プレート６のラッチ11とラッチ部のラッチ12が係止
してカバー部とラッチ部が連結されており、ラッチ部２
のラッチ12とインナキャップ５のラッチ5aがトルク制限
された状態で共に回転することができ、これによりキャ
ップを締め付けることができる。

【００１８】

【考案の効果】本考案は以上のような構造であるから、
締め付けトルクが安定しており、操作時のきしみ音もな
く、駆動連結部分のたわみによる強度、寸法変動の考慮
も必要としない特徴がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の錠付き燃料キャップの断面図である。

【図２】図１中Ａ−Ａ断面図である。

【図３】図１中Ｂ−Ｂ半截断面図である。

【符号の説明】

１ カバー部 ２ ラッチ部 ３ 錠 ４ ピン ５ インナキャップ 5a ラッチ ６ 噛合プレート ７ 突出部 ８ 凹部 ９ 弾性爪 10 カバー部下面 11 ラッチ 12 放射状ラッチ 13 穴 14 壁 15 ラッチ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アウタキャップとインナキャップとから
   なる燃料キャップであって、アウタキャップをカバー部
   １と薄肉リング状のラッチ部２とし、カバー部１は中央
   に錠３があり、該錠３の下端にはキーによって回動する
   ピン４を下向きに設け、カバー部とラッチ部に挾まれて
   略円盤状の噛合プレート６を設け、該噛合プレート上面
   に複数本の放射状突出部７を設け、該放射状突出部がカ
   バー部１下面にある複数個の凹部８と回転方向で係合
   し、噛合プレート６外周に複数個の弾性爪９をカバー部
   下面10と接してラッチ部方向に押された状態に設け、該
   噛合プレート下面には放射状にラッチ11を設け、ラッチ
   部２上面の放射状ラッチ12と時計方向に係合し、噛合プ
   レート６中央付近の前記ピン４に合う位置に穴13を設
   け、ピン４の回転範囲でピンが穴13上か、穴を開けてい
   ない位置をとるようにカバー部と組み合わされ、ラッチ
   部２には円盤状外周に軸方向に伸びる壁14を設け、壁の
   中心側にインナキャップのラッチ5aとキャップを外す方
   向には係止し、締め付ける方向にはトルク制限状態で係
   止するラッチ15を設け、ラッチ部円盤上面には前記放射
   状ラッチ12を設け、インナキャップ５には上記ラッチ5a
   を半径方向外向きに設け、インナキャップ５とアウタキ
   ャップとが開閉トルク制御可能に一体化されてなる錠付
   き燃料キャップ。