JP2523390B2 - 磁気シ―ルド用軟磁性粉末の製造方法および磁気シ―ルド材 - Google Patents

磁気シ―ルド用軟磁性粉末の製造方法および磁気シ―ルド材

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JP2523390B2 JP2115583A JP11558390A JP2523390B2 JP 2523390 B2 JP2523390 B2 JP 2523390B2 JP 2115583 A JP2115583 A JP 2115583A JP 11558390 A JP11558390 A JP 11558390A JP 2523390 B2 JP2523390 B2 JP 2523390B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は磁気シールド材に好適に用いられる軟磁性粉
末の製造方法と、この軟磁性粉末を含有する磁気シール
ド材とに関する。
〈従来の技術〉 磁化物体等の磁界発生源が他の物体や電気回路等に影
響を与えないようにするために、磁気シールド材が用い
られている。磁気シールド材としては高透磁率の金属板
がシールド特性からは望ましいが、金属板は性質・コス
トなどの面で用途が著しく制限される。
一方、粉末材料の場合には、これを有機結合剤に分散
して塗料の形でシールドの必要な個所に塗布したり、あ
るいは適当な可撓性支持体などに塗布してシールド板と
したり、様々な利用が可能である。
高透磁率の粉末を用いた磁気シールド材料に関して
は、各種の提案がなされている。
例えば、特開昭59−201493号には軟磁性アモルファス
合金を粉砕した扁平状粉末を高分子化合物の結合剤中に
混合した磁気シールド塗料が、 特開昭58−59268号には高透磁率合金の扁平状粉末を
高分子化合物の結合剤中に混合した磁気シールド塗料
が、 実公昭58−50495号広報には、フレーク状センダスト
合金の塗膜を磁気シールド膜として用いることが、 特公昭62−58631号広報には、Fe−Ni系合金、Fe−Ni
−Co系合金、Fe−Si−Al系合金、Fe−Ni−Mo系合金、す
なわち、パーマロイ合金やモリブデンパーマロイ合金、
あるいはセンダスト合金等の扁平な不定形状の粒子を、
高分子化合物結合剤中に混合してなる磁気遮蔽用塗料
が、 特公昭63−39966号広報には、パーマロイの磁気遮蔽
膜が、 特開平1−223627号広報には、Cr=0.5〜20重量%、S
i=0.5〜9重量%(原子百分率に換算して1〜16.5at
%)、Al=0.5〜15重量%のいずれか1種を含む扁平磁
性鉄粉の塗布膜をシールド用の保護膜として用いること
が、 開示されている。
これらの磁気シールド膜や磁気シールド材料におい
て、扁平状合金粒子を用いる理由は、塗料化された磁気
シールド材料を塗布すると、扁平状合金粒子の主面が塗
料膜面内方向となるように配向するため、磁気シールド
材として使用する方向に扁平方向が一致し、扁平形状に
由来する反磁界の小ささから素材自体の高い透磁率を活
用できるからである。そして、反磁界による塗布膜内方
向の磁気特性の低下が防止され、良好な磁気シールド特
性が得られるからである。
〈発明が解決しようとする課題〉 上記した公知の磁気シールド用合金粉末には、下記の
ような問題がある。
Fe−Si−Al系合金のうち、最大透磁率μmが極大値を
示す9.6wt%Si、5.4wt%、残部Feの合金がセンダスト合
金と呼ばれる。
センダスト合金の飽和磁歪定数は約0.3×10-6以下で
あるが、0以下とはならないため、磁気シールド材に適
用した場合、扁平化工程での応力や使用時の応力印加に
より磁気特性が劣化してしまい、設計通りの磁気シール
ド特性が得られない。
パーマロイ合金やモリブデンパーマロイ合金等のパー
マロイ系合金は、結晶構造の関係から扁平化が劈開では
なく圧延により行なわれるため、扁平化に要する時間が
長くなり、生産性が低い。そして、扁平化処理の時間が
長いことにより、加工歪が大きくなり、高い磁気シール
ド特性が得られない。さらに、パーマロイ系合金は、原
材料費がセンダスト合金の5〜10倍程度と非常に高価で
ある。
Fe基アモルファス合金も扁平化が圧延により行なわれ
るため、パーマロイ系合金と同様な問題が生じる。
また、パーマロイ合金およびFe基アモルファス合金は
磁歪が大きいため、扁平化の際の応力印加により磁気特
性劣化に加え、結合剤と混練されて塗料化される際の応
力印加によっても磁気特性が劣化する。
またパーマロイ系合金は軟らかいので塗料化工程で扁
平粉が応力による変形をうけ、特性劣化する欠点があ
る。
本発明はこのような事情からなされたものであり、迅
速に良好な扁平化ができ、磁歪が小さく、応力に対して
安定性が高い磁気シールド用軟磁性粉末の製造方法を提
供することを目的とし、また、この軟磁性粉末を用いる
ことにより、磁気シールド効果が高く、しかも安価な磁
気シールド材を提供することを目的とする。
〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明によ
り達成される。
(1)Fe、SiおよびAlの3元組成図(重量比)におい
て、 A:Fe83.8Si9.2Al7 B:Fe84.7Si9.3Al6 C:Fe85.6Si10.4Al4.0 D:Fe84.9Si11.1Al4.0 E:Fe83.2Si9.8Al7 としたとき、A、B、C、D、E、Aを順に結んで得ら
れる5角形の内側の領域で表わされる組成を有する合金
粒子を扁平化して扁平状軟磁性粒子を得、この扁平状軟
磁性粒子に200〜450℃にて熱処理を施す工程を有し、X
旋回線チャートにおける面指数(002)のピークが存在
する扁平状軟磁性粒子を製造することを特徴とする磁気
シールド用軟磁性粉末の製造方法。
(2)前記合金粒子に熱処理を施す工程を有する上記
(1)に記載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方法。
(3)前記熱処理により、前記合金粒子または前記扁平
状軟磁性粒子に、X線回折チャートにおける面指数(00
2)のピークを出現させる上記(1)または(2)に記
載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方法。
(4)前記扁平化が媒体攪拌ミルにより行なわれる上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載の磁気シールド用
軟磁性粉末の製造方法。
(5)前記扁平状軟磁性粒子のX線回折チャートにおい
て、面指数(002)のピーク高さをP(002)とし面指数
(022)のピーク高さをP(022)としたとき、P(00
2)/P(022)≧0.1%である上記(1)ないし(4)の
いずれかに記載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方
法。
(6)前記扁平状軟磁性粒子を構成する合金の飽和磁歪
定数λsが零以下である上記(1)ないし(5)のいず
れかに記載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方法。
(7)前記扁平状軟磁性粒子の平均粒径をその平均厚さ
で除した値が10〜3000である上記(1)ないし(6)の
いずれかに記載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方
法。
(8)前記扁平状軟磁性粒子の重量平均粒径D50が5〜3
0μmであり、平均厚さが1μm以下である上記(1)
ないし(7)のいずれかに記載の磁気シールド用軟磁性
粉末の製造方法。
(9)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の方法
により製造された磁気シールド用軟磁性粉末と、結合剤
とを含有することを特徴とする磁気シールド材。
〈作用〉 本発明において、磁気シールド用軟磁性粉末を構成す
る扁平状軟磁性粒子は、上記組成を有する合金粒子を扁
平化して扁平状軟磁性粒子を得、この扁平状軟磁性粒子
に熱処理を施すことにより製造される。
本発明者らは、上記組成を有する合金粒子が劈開し易
く、特に、DO3型結晶構造を有する場合に劈開が極めて
容易に起こり、磁気シールド用に扁平状軟磁性粒子に好
適であることを見いだした。
上記合金粒子に応力を印加すると、劈開が生じて扁平
状軟磁性粒子が得られる。このとき、劈開面における結
晶面の方向は規則的であるために、扁平化に伴う磁気特
性の劣化は極めて小さい。
また、劈開によりアスペクト比(平均粒径を平均厚さ
で除した値)の高い扁平状軟磁性粒子が得られ、しか
も、アスペクト比および粒径のばらつきは極めて小さく
なるため、磁気シールド用材料として最適である。
さらに、圧延により扁平化が行なわれるパーマロイ等
に比べ、扁平化に要する時間が著しく短縮され、生産性
が向上する。
扁平化を媒体攪拌ミルで行なえば、さらに迅速に扁平
化でき、しかも、ばらつきの小さい扁平状軟磁性粒子が
得られる。
なお、合金粒子は、通常、合金溶湯の急冷やインゴッ
トの粉砕により製造されるため、結晶構造が乱れている
場合もあるが、この場合、熱処理を施すことによりDO3
型結晶構造を整えることができ、扁平化に要する時間を
短縮することができる。
このようにして製造された上記組成の扁平状軟磁性粒
子は、高透磁率および低保磁力であり、特にDO3型結晶
構造を有する場合、極めて高い磁気特性が得られる。こ
のため、磁気シールド用材料に極めて好適である。
扁平化の際の応力により通常、DO3型結晶構造が消失
しているが、この場合、熱処理を施すことによりDO3
結晶構造を形成することができる。
本発明者らは、扁平化前の合金粒子および扁平状軟磁
性粒子にDO3型結晶構造を形成するには、200〜450℃の
低温熱処理で十分であることを見いだした。このため、
発火や焼結の心配なく熱処理が行なえる。
なお、DO3型結晶構造の存在は、X線回折チャートに
おいて、DO3型結晶構造特有の面指数(002)のピークの
存在により確認することができる。
また、上記組成の合金は飽和磁歪定数λsを零以下す
ることができるため、扁平化の際の応力印加や、結合剤
と混練してシールド材を製造する際の応力印加よって、
透磁率の劣化や保磁力の上昇が生じず、また、磁気シー
ルド材として使用される際に応力が加わっても、シール
ド特性が劣化しない。
〈具体的構成〉 以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明において、磁気シールド用軟磁性粉末を構成す
る扁平状軟磁性粒子の重量比組成は、第1図に示される
3元組成図において A:Fe83.8Si9.2Al7 B:Fe84.7Si9.3Al6 C:Fe85.6Si10.4Al4.0 D:Fe84.9Si11.1Al4.0 E:Fe83.2Si9.8Al7 とすると、A、B、C、D、E、Aを順に結で得られる
5角形の内側(辺上を含む)の領域である。
以下、組成の限定理由を説明する。
上記領域以外では十分な磁気シールド特性が得られな
い他、下記の問題が生じる。
AB線より外側またはBC線より外側では、応力印加によ
る磁気シールド特性劣化が大きくなる。
CD線より外側では、扁平化に要する時間が長くなる。
DE線より外側では、良好な磁気シールド特性が得られ
ない。
EA線より外側では、扁平化に要する時間が長くなる。
扁平状軟磁性粒子のより好ましい組成は、第1図にお
いて F:Fe85.1Si10.9Al4.0 G:Fe83.5Si9.5Al7.0 とすると、A、B、C、F、G、Aを順に結んで得られ
る5角形の内側(辺上を含む)の領域である。
なお、扁平状軟磁性粒子には、Fe、SiおよびAlの他、
種々の添加元素が含有されていてもよい。
添加元素に特に制限はなく、遷移金属元素等の各種金
属元素や半金属元素などから、必要に応じて選択するこ
とができる。このような添加元素の含有量は、Fe、Siお
よびAlの合計を100at%としたとき、10at%以下である
ことが好ましい。
なお、扁平状軟磁性粒子には、磁気特性に悪影響を与
えない限り、N、O、S等の不可避的不純物が含有され
ていてもよい。
本発明では、扁平状軟磁性粒子のX線回折チャートに
おいて、面指数(002)のピークが存在する。これらの
ピークは、DO3型結晶構造の存在を示すものである。
また、面指数(002)のピーク高さをP(002)とし面
指数(022)のピーク高さをP(022)としたとき、P
(002)/P(022)≧0.1%であれば、DO3型結晶構造によ
る本発明の効果はいっそう高いものとなる。P(002)/
P(022)の上限に特に制限はないが、通常20%以下であ
り、特に0.5〜10%程度である。
なお、Cuターゲットを用いた場合の(002)ピークは
2θ=31.28゜付近に、(022)ピークは2θ=44.92゜
付近にあらわれる。
本発明の軟磁性粉末は、20〜80、特に25〜60の最大透
磁率μmが得られ、1〜20Oe、特に1〜14Oeの保磁力Hc
が得られる。
また、扁平状軟磁性粒子を構成する合金の飽和磁歪定
数λsとしては、零以下、特に−10×10-6〜0、さらに
は−3×10-6〜−0.01×10-6が得られる。
以下、扁平状軟磁性粒子の寸法および形状について説
明する。
扁平状軟磁性粒子の平均厚さは1μm以下、特に0.01
〜1μmであることが好ましい。平均厚さが0.01μm未
満となると、磁気シールド材とする場合に結合剤への分
散性が低下する。また、透磁率等の磁気特性が低下し、
シールド特性が不十分となる。
一方、1μmを超えると、磁気シールド材を薄く塗布
する場合に軟磁性粉末が均一に分散された塗膜を形成す
ることができず、また、塗膜の厚さ方向の扁平状軟磁性
粒子の存在数が少なくなるため、シールド特性が不十分
となる。なお、平均厚さが0.01〜0.6μmとなると、よ
り好ましい結果を得る。
平均厚さは、分析型走査型電子顕微鏡で測定すればよ
い。
扁平状軟磁性粒子の平均アスペクト比は10〜3000、特
に10〜500であることが好ましい。本発明において平均
アスペクト比とは、扁平状軟磁性粒子の平均粒径をその
平均厚さで除した値である。
平均アスペクト比が10未満であると反磁界の影響が大
きくなり、透磁率などの磁気特性が低下し、シールド特
性が不十分となる。一方、上記した範囲内の平均厚さを
有する扁平状軟磁性粒子において平均アスペクト比が30
00を超える場合、平均粒径が大きくなりすぎるので、結
合剤と混練する際に破断が生じ易くなり磁気特性が劣化
する。
なお、この場合の平均粒径とは重量平均粒径D50を意
味し、軟磁性粉末を構成する扁平状軟磁性粒子の重量を
粒径の小さい方から積算し、この値が軟磁性粉末全体の
重量の50%に達したときの扁平状軟磁性粒子の粒径であ
る。また、この場合の粒径は、光散乱法を用いた粒度分
析計で測定した粒径である。より具体的には、光散乱法
を用いた粒度分析とは、試料を例えば循環しながらレー
ザー光やハロゲンランプ等を光源としてフランホーファ
回折あるいはミィ散乱の散乱角を測定し、粒度分布を測
定するものである。この詳細は、例えば「粉体と工業」
VOL.19NO.7(1987)に記載されている。
上記のD50は、このような粒度分析計により得られた
粒度分布により決定することができる。
本発明において軟磁性粉末は、このようにして決定さ
れるD50が、5〜30μmであることが好ましい。
このような扁平状軟磁性粒子の主面形状において、そ
の長軸の長さ(最大径)をa、短軸の長さ(最小径)を
bとしたとき、軸比の平均a/bは、磁気シールドに方向
性が要求される場合には1.2以上のできるだけ大きい値
が望ましい。磁界源が方向性を有する場合には、その方
向へ配向磁場を作用させながら磁性塗料を硬化させれば
その方向の透磁率の向上ができ、磁気シールド効果を大
きくすることができる。
この場合、a/bが1.2〜5となると、より好ましい結果
を得る。そして、後述する媒体攪拌ミルによれば、この
ような軸比を容易に実現することができる。
粒子の長軸および短軸は、分析型透過型電子顕微鏡に
より測定すればよい。
以下、本発明の軟磁性粉末の製造方法を説明する。
本発明では、第1図に示される組成を有する合金粒子
を扁平化して扁平状軟磁性粒子を得る。
合金粒子の製造は、合金溶湯の急冷や合金インゴット
の粉砕により行なえばよく、その方法に特に制限はな
い。
合金溶湯を急冷する方法に特に制限はないが、粉砕工
程なしで所望の粒径の合金粒子が得られて生産性が高い
ことから、水アトマイズ法を用いることが好ましい。
水アトマイズ法は、合金溶湯に高圧水を噴射して凝固
・粉末化した後、水中で冷却するものであり、その詳細
は、例えば、本発明者らによる特願平1−12267号に記
載されている。
水アトマイズ法の他、溶湯を冷却基体に衝突させて、
薄帯状や薄片状、あるいは粒状の合金を得る方法を用い
てもよい。このような方法としては、片ロール法や双ロ
ール法、あるいはアトマイズ法が挙げられる。これらの
方法では、得られた急冷合金を必要に応じて粉砕し、所
望の粒径の合金粒子とすればよい。
合金インゴットの粉砕により合金粒子を製造する場
合、インゴットに容体化処理を施した後、粉砕すること
が好ましい。
合金粒子の平均粒径は、目的する扁平状軟磁性粒子の
粒径やアスペクト比に応じて適宜決定すればよいが、通
常、重量平均粒径D50で5〜30μm、好ましくは7〜20
μmとすればよい。
なお、合金粒子には、結晶構造を整えるための熱処理
が施されることが好ましい。
合金粒子を扁平化する手段に特に制限はなく、所望の
扁平化が可能であればどのような手段を用いてもよい。
ただし、本発明では、主として劈開により合金粒子の
扁平化が進行するので、劈開を効率よく行なえる手段を
用いることが好ましい。
このような手段としては、媒体攪拌ミル、転動ボール
ミル等が挙げられ、これらのうち、特に媒体攪拌ミルを
用いることが好ましい。
媒体攪拌ミルは、ピン型ミル、ビーズミルあるいはア
ジテーターボールミルとも称される攪拌機であり、例え
ば特開昭61−259739号公報、本発明者らによる特願平1
−12267号などに記載されている。
このようにして得られた扁平状軟磁性粒子には、熱処
理が施されることが好ましい。この熱処理は、上記した
ようにDO3型結晶構造を形成するためのものである。
この熱処理および前記した扁平化前の合金粒子に施さ
れる熱処理の際の保持温度および温度保持時間は、200
〜450℃にて10分間〜10時間とすることが好ましい。保
持温度または温度保持時間が前記範囲未満であると熱処
理による効果が不十分となり、前記範囲を超えると発火
や焼結が生じ易い。より好ましい熱処理条件は、300〜4
50℃にて30分間〜2時間である。
なお、熱処理は、真空中、あるいは窒素、水素、Ar等
の不活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。
なお、この熱処理は、磁場中にて行なわれてもよい。
本発明の磁気シールド材は、このようにして得られる
軟磁性粉末と結合剤とを含有し、結合剤中に軟磁性粉末
が分散されているものである。
本発明の磁気シールド材の磁気特性は、素材100%に
換算した場合の直流磁界での最大透磁率μmとして、50
以上、好ましくは100以上、特に150〜400、さらには180
〜350の値が得られ、保磁力Hcとして、2〜20Oe、特に
2〜15Oeの値が得られる。
このような磁気特性により、十分な磁気シールド効果
がえられる。
磁気シールド材中における軟磁性粉末の充填率は、60
〜95wt%であることが好ましい。充填率が60wt%未満で
あると磁気シールド効果が急激に減少し、95wt%を超え
ると軟磁性粉末が結合剤によって強固に結び付くことが
できず、磁気シールド材の強度が低下する。
充填率が70〜90wt%であると、特に良好な磁気シール
ド効果が得られ、シールド材の強度も十分である。
本発明に用いる結合剤に特に制限はなく、公知の熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等から適当
に選択することができる。
なお、磁気シールド材は、軟磁性粉末および結合剤の
他、硬化剤、分散剤、安定剤、カップリング剤等を含有
してもよい。
このような磁気シールド材は、通常、所望の形状に成
形され、あるいは必要な溶媒を用いて塗布用組成物とさ
れた後に塗布され、次いで、必要に応じて加熱硬化され
て用いられる。
なお、硬化は、一般に、加熱オーブン中で50〜80℃に
て6〜100時間程度加熱すればよい。
本発明の磁気シールド材を、膜状あるいは薄板状に成
形して磁気シールド用に用いる場合、磁気シールド材の
厚さは5〜200μmであることが好ましい。
このような厚さ範囲とするのは、本発明の磁気シール
ド材は前記したような磁気特性を有するため、5μmの
厚さでも高い磁気シールド効果を示し、また、シールド
材が磁気飽和しない程度の強度を有する磁界のシールド
をする場合、200μmを超える厚さに形成しても磁気シ
ールド効果は顕著には向上せず、200μm以下とすれば
コスト的にも有利だからである。
なお、本発明の磁気シールド材を所要の形状に成形あ
るい塗布する際に、配向磁界をかけたりあるいは機械的
に配向することにより、方向性の高い磁気シールド材と
することができ、特に、磁気シールド材を板状あるいは
膜状としたときには、膜面と平行な方向の磁界に対して
高い磁気シールド効果を示し、上記のような厚さ範囲に
て十分な効果を示すものである。
なお、磁気シールド材に適用するに際し、軟磁性粉末
には、Cu、Ni等の導電性被膜を形成してもよい。
〈実施例〉 以下、具体的実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に
説明する。
[実施例1] この実施例では、様々な組成の扁平状軟磁性粒子を作
製し、本発明の効果を確認した。
水アトマイズ法により合金粒子を作製し、次いで、媒
体攪拌ミルにより合金粒子を扁平化し、さらに熱処理を
施して、扁平状軟磁性粒子からなる軟磁性粉末を得た。
扁平状軟磁性粒子の組成、熱処理の際の保持温度およ
び温度保持時間を、下記表1に示す。
媒体攪拌ミルによる扁平化は、扁平状軟磁性粒子の重
量平均粒径D50が15μmとなるまで行ない、この扁平化
に要した時間を測定した。結果を表1に示す。
なお、平均厚さは分析型走査型電子顕微鏡により測定
し、D50は光散乱を利用した粒度分析計により測定し
た。
熱処理後、扁平状軟磁性粒子にCuターゲットを用いて
X線回折分析を行ない、得られたX線回折チャートから
面指数(002)のピーク高さP(002)と面指数(022)
のピーク高さP(022)とを求め、P(002)/P(022)
を算出した。
X線回折チャート解析の結果を表1に示す。
表1に示される各組成における飽和磁歪定数λsを測
定した。測定には、各組成の5×5×20mmの試料を用
い、表1に示す熱処理を加えた後、3端子容量法により
測定した。結果を表1に示す。
得られた軟磁性粉末を下記の結合剤、硬化剤および溶
剤と混合し、磁気シールド材を作製した。
(結合剤) 塩化ビニルー酢酸ビニル系共重合体 [エスレックA(積水化学社製)] 100重量部 ポリウレタン[ニッポラン2304(日本ポリウレタン社
製)] 100重量部 (固型分換算) (硬化剤) ポリイソシアネート[コロネートHL(日本ポリウレタ
ン社製)] 10重量部 (溶 剤) MEX 850重量部 磁気シールド材中の軟磁性粉末の充填率は80wt%とし
た。
得られた磁気シールド材を、厚さ75μmの長尺PET基
板に25μm厚に塗布し、ロール状に巻き取った後、60℃
にて60分間加熱して硬化した。これをシート状に切断
し、シールド板サンプルを得た。シールド板サンプルの
磁気特性として、素材100%に換算した場合の保磁力(H
c)を、表1に示す。
作製したシールド板サンプルを磁石上に設置し、シー
ルド板サンプルから0.5cmの位置での漏れ磁束φを測定
し、これとシールド板がない場合の磁束φとを比較し
た比φ/φを算出し、サンプルNo.1を100として相対
値で表わし、シールド比とした。結果を表1に示す。
また、応力印加により磁気シールド特性の劣化を調べ
るために、各磁気シールド材サンプルに一定の荷重を加
え、磁気シールド特性の変化率を調べた。結果を表1に
示す。
なお、この測定条件において、シールド比が150以下
の値てあれば十分なシールド効果が得られていることに
なるが、実際はシールド比が小さいほど好ましい。
比較のために、センダスト合金、各種パーマロイ合金
およびFe基アモルファス合金の粒子を用い、上記と同様
にして扁平化して軟磁性粉末を作製した。
これらについて、上記と同様な測定や評価を行なっ
た。結果を表1に示す。
表1に示される結果から、本発明の効果が明らかであ
る。
すなわち、本発明例であるサンプルNo.1〜3では、扁
平化時間が短く、飽和磁歪定数λsが負の値となってい
る。そして、磁気シールド材料として必要とされる低保
磁力が得られており、実際、磁気シールド材としたとき
のシールド比が高く、また応力を印加しても殆ど劣化し
ない。
一方、第1図のAE線より外側またはCD線より外側の組
成を有するサンプルNo.4〜7は扁平化に要する時間が長
く生産性に劣り、また、磁気シールド特性が悪い。
AB線より外側またはBC線より外側の組成を有するサン
プルNo.5、7、9(センダスト合金)では、応力印加に
より磁気シールド特性の劣化が著しい。
ED線より外側の組成を有するサンプルNo.4および6で
は、応力印加により磁気シールド特性は向上するが、基
本的に特性が低い。
サンプルNo.10〜12のパーマロイ合金およびアモルフ
ァス合金は、扁平化時間が本発明サンプルよりも2倍〜
3倍以上長く、生産性に劣る。また、シールド特性が低
く、応力によるその劣化率も悪い。
[実施例2] この実施例では、本発明範囲の組成である85.1wt%Fe
−10.1wt%Si−4.8wt%Al合金を用い、熱処理条件を様
々に変更し、特性を調べた。各測定の条件は、実施例1
と同様とした。
結果を下記表2に示す。
また、サンプルNo.25および21のCuターゲットを用い
たX線回折チャートを、それぞれ第2図および第3図に
示す。
[実施例3] 上記表1に示される組成の合金粒子に450℃にて1時
間の熱処理を施し、次いで実施例1と同条件にて扁平化
を行なったところ、扁平化時間が10%以上短縮された。
以上の実施例から本発明の効果が明らかである。
〈発明の効果〉 本発明において、軟磁性粉末を構成する扁平状軟磁性
粒子は、高透磁率および低保磁力であり、また、飽和磁
歪定数λsを零以下とすることができ、さらに耐食性が
良好なので、磁気シールド用材料として極めて好適であ
る。
また、劈開し易い合金粒子を原料として用いるため、
アスペクト比の高い扁平状軟磁性粒子を短時間で製造す
ることができ、扁平化後、熱処理を施して所定の結晶構
造を形成するので、極めて高い磁気特性が得られる。
このような軟磁性粉末を用いた本発明の磁気シールド
材は、安価かつ高性能であり、スピーカ、CRT等の磁気
シールド等の他、極めて広い範囲に適用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明により製造される軟磁性粉末を構成す
る扁平状軟磁性粒子の組成を示す3元組成図である。 第2図および第3図は、それぞれ扁平状軟磁性粒子のX
線回折チャートである。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe、SiおよびAlの3元組成図(重量比)に
    おいて、 A:Fe83.8Si9.2Al7 B:Fe84.7Si9.3Al6 C:Fe85.6Si10.4Al4.0 D:Fe84.9Si11.1Al4.0 E:Fe83.2Si9.8Al7 としたとき、A、B、C、D、E、Aを順に結んで得ら
    れる5角形の内側の領域で表わされる組成を有する合金
    粒子を扁平化して扁平状軟磁性粒子を得、この扁平状軟
    磁性粒子に200〜450℃にて熱処理を施す工程を有し、X
    線回線チャートにおける面指数(002)のピークが存在
    する扁平状軟磁性粒子を製造することを特徴とする磁気
    シールド用軟磁性粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】前記合金粒子に熱処理を施す工程を有する
    請求項1に記載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方
    法。
  3. 【請求項3】前記熱処理により、前記合金粒子または前
    記扁平状軟磁性粒子に、X線回折チャートにおける面指
    数(002)のピークを出現させる請求項1または2に記
    載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】前記扁平化が媒体攪拌ミルにより行なわれ
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気シールド用
    軟磁性粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】前記扁平状軟磁性粒子のX線回折チャート
    において、面指数(002)のピーク高さをP(002)とし
    面指数(022)のピーク高さをP(022)としたとき、P
    (002)/P(022)≧0.1%である請求項1ないし4のい
    ずれかに記載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】前記扁平状軟磁性粒子を構成する合金の飽
    和磁歪定数λsが零以下である請求項1ないし5のいず
    れかに記載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】前記扁平状軟磁性粒子の平均粒径をその平
    均厚さで除した値が10〜3000である請求項1ないし6の
    いずれかに記載の磁気シールド用軟磁性粉末の製造方
    法。
  8. 【請求項8】前記扁平状軟磁性粒子の重量平均粒径D50
    が5〜30μmであり、平均厚さが1μm以下である請求
    項1ないし7のいずれかに記載の磁気シールド用軟磁性
    粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1ないし8のいずれかに記載の方法
    により製造された磁気シールド用軟磁性粉末と、結合剤
    とを含有することを特徴とする磁気シールド材。
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