JP6589611B2 - 磁性シート - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば磁気シールドとして用いられる磁性シートに関する。
磁化物体等の磁界発生源が他の物体や電気回路等に影響を与えないようにするために、磁気シールド材が用いられている。磁気シールド材としては高透磁率の金属板を用いることがシールド特性の面からは望ましい。しかし、金属板は性質・コストなどの面で用途が著しく制限される。
一方、磁気シールド材としては磁性シートを用いることも知られている。磁性シートは、例えば、磁性粉末材料を有機結合剤に分散した塗料を、磁気シールドの必要な個所に塗布して形成することができる。また、磁性シートは様々な場所に形成することができる。例えば、可撓性支持体など金属板を用いることが困難な箇所にも前記塗料を塗布して磁性シートを形成することができる。磁性シートは上記の特性を有するので、様々な用途で利用することが可能である。
このような磁気シールド材として用いられる磁性シートでは、表面抵抗が高いことが求められる。そのため、たとえば下記の特許文献1では、扁平な磁性粒子の表面に無機絶縁物を付着させることが提案されている。
しかしながら、従来の技術では、扁平な磁性粒子の表面に無機絶縁物を付着させるために、磁気特性が劣化する可能性がある。また、従来の技術では、扁平な磁性粒子の表面に無機絶縁物を付着させるための工程が煩雑であると共に、無機絶縁物としてガラス(アモルファス)を用いていることから、扁平処理の長時間化および設備や装置の摩耗といった問題もある。
特許第5384711号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、Q値およびシート表面抵抗が高い磁性シートを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る磁性シートは、
扁平状磁性体粒子を含む磁性シートであって、
前記扁平状磁性体粒子が、Fe−Si−Cr系合金からなり、
前記扁平状磁性体粒子の表面には、酸素膜が存在し、
前記酸素膜の厚みを、オージェ電子分光で酸素強度が最表面から半減するまでの距離と定義する場合に、前記酸素膜の平均厚みが3.5〜6.0nmであることを特徴とする。
本発明に係る磁性シートでは、磁性シートに含まれる扁平状磁性体粒子の表面に存在する酸素膜の平均厚みを3.5〜6.0nmに制御することで、Q値およびシート表面抵抗が高い磁性シートを提供することができる。
なお、Crの含有量が0または小さいため一般的にはFe−Si系合金とされる合金であっても本発明のFe−Si−Cr系合金に含まれる。
図1は本発明の一実施形態に係る磁性シートの拡大断面図である。 図2は図1に示すII部の要部拡大断面図である。 図3は熱処理前におけるオージェ電子分光結果の概略図である。 図4は熱処理後におけるオージェ電子分光結果の概略図である。 図5は実験例1における酸素膜の厚みとQとの関係を表すグラフである。 図6は実験例1における酸素膜の厚みとIRとの関係を表すグラフである。 図7は実験例2における酸素膜の厚みとQとの関係を表すグラフである。 図8は実験例2における酸素膜の厚みとIRとの関係を表すグラフである。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1および図2に示すように、本発明の一実施形態に係る磁性シート2は、扁平状磁性体粒子4が合成樹脂6中に分散してある磁性シートである。以下、扁平状磁性体粒子4を単に磁性体粒子4と呼ぶことがある。磁性体粒子4は、シート2の中で、シート2の面方向に磁性体粒子4の長手方向が略一致するように配向してある。
合成樹脂6としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂などが例示される。
磁性体粒子4は、Fe−Si−Cr系合金磁性体である。磁性シート2中における磁性体粒子4の充填率には特に限定はないが、60〜95wt%であることが好ましい。
Fe−Si−Cr系合金磁性体の組成には特に限定はない。Fe−Si−Cr系合金磁性体の組成をFea1Sib1Crc1d1と表した場合に、a1=53〜85、b1=15〜35、c1=0〜6、d1=0〜6であることが好ましい。また、Crの含有量が0または小さいため一般的にはFe−Si系合金とされる合金であっても本実施形態のFe−Si−Cr系合金に含まれる。
なお、XはFe,Si,Cr以外の1つ以上のその他の元素であり、a1,b1,c1,d1はそれらの元素の原子%比であり、a1+b1+c1+d1=100である。その他の元素Xとしては、Fe,Si,Cr以外の元素であるという点以外には特に限定されないが、たとえば遷移金属元素等の各種金属元素や半金属元素などから、必要に応じて選択することができる。なお、その他の元素Xには、磁気特性に悪影響を与えない限り、N、S等の不可避的不純物が含有されていてもよい。
磁性体粒子4のアスペクト比は、磁性体粒子4の短手方向の長さL1を長手方向の長さL0で割り算した値である。本実施形態では、磁性体粒子4のアスペクト比の上限は特に限定されないが、0.3以下であることが好ましい。磁性体粒子4のアスペクト比の下限は、特に限定されないが、0.002以上であることが好ましい。磁性体粒子4のアスペクト比が0.3以下である場合には、磁性シート2の厚みを薄くしても、シート化しやすいと共に、磁気特性に優れ、しかもシート表面抵抗が高い磁性シート2を提供することができる。磁性体粒子4のアスペクト比が0.002以上である場合には、粗大粒子の存在によるシート密度の低下を抑制することができる。
また、磁性体粒子4の長手方向の長さL0は特に限定されないが、好ましくは5〜60μmである。L0が5〜60μmである場合には、優れた磁気特性を得ることができる。
また、磁性シート2の厚みは、特に限定されないが、好ましくは50〜100μmである。磁性シート2の厚みが50〜100μmである場合には、シート塗布後の乾燥が適切に行えるためにシート密度を高められる。
さらに、本実施形態に係る磁性シート2に含まれる磁性体粒子4の表面には所定の厚みの酸素膜8が存在している。酸素膜8とは、磁性体粒子4の最表面付近にあり、酸素膜8の外部と比較して酸素濃度が高い部分である。また、酸素膜8は、磁性体粒子4に含まれる各元素の酸化物が偏在していると考えられる。なお、酸素膜8は必ずしも磁性体粒子4の全ての表面に存在している必要はなく、一部の表面のみに存在していてもよい。具体的には、磁性体粒子4の全表面積の20%以上に酸素膜8が存在していればよい。
磁性体粒子4の表面に所定の厚みの酸素膜8が存在しているために、無機絶縁物を磁性体粒子とは別に用意して付着させる必要がなく、製造が容易でありながら、磁気特性に優れ、しかもシート表面抵抗が高い磁性シート2を提供することができる。具体的には、シートのQ値が100以上であり、シートの表面抵抗が1.0E+06(1.0×10)Ω以上である磁性シート2を容易に得ることができる。
以下、酸素膜8の厚みの測定方法について記載する。
酸素膜8の厚みはオージェ(Auger)電子分光により測定することができる。オージェ電子分光は、表面から深さ方向に高精緻な元素分析が可能な表面分析手段として知られている。試料表面に電子線を入射すると、電子と試料表面の元素との相互作用により様々な電子や電磁波が放出される。その内の一つであるオージェ電子は、元素の外殻準位と内殻準位のエネルギー差に相当するエネルギーを持つ。オージェ電子の持つエネルギーの大きさは元素の種類ごとに異なる固有の大きさであるため、エネルギースペクトルの解析により物質表面の元素に対して高精度での定性分析が可能となる。オージェ電子分光はナノメートルレベルの試料最表層の分析に用いられるが、オージェ電子分光とAr等を用いたイオンエッチングとを併用することで、表面からの深さ方向の定性分析を行う事ができる。すなわち、磁性体粒子4の表面を一定速度でエッチングしながらオージェ電子分光を行い、磁性体粒子4に含まれる各元素のスペクトル強度の変化を見ることで、磁性体粒子4の表面からの深さ方向の定性分析を行うことができる。
本実施形態では、磁性体粒子4の最表面から、オージェ電子分光で酸素強度(酸素スペクトルの強度)が最大値から半減するまでの距離を酸素膜の厚みと定義する。そして、本実施形態の磁性体粒子4は、酸素膜8の平均厚みが3.5〜6.0nmであり、好ましくは3.8〜4.8nmである。
酸素膜8の平均厚みを測定するためにオージェ電子分光で酸素膜8の厚みを測定する磁性体粒子4の個数は、少なくとも5個以上とする。より正確に平均値を算出したい場合には、10個以上の磁性体粒子4について酸素膜8の厚みを測定する。
本実施形態の磁性シート2は、無機絶縁物を磁性体粒子とは別に用意して付着させる必要がなく、製造が容易でありながら、Q値およびシート表面抵抗が高いという優れた特徴を有する。
本実施形態の磁性シート2は、たとえば磁気シールドの用途に用いられるが、その他の用途としては、ノイズフィルター、電波吸収体などが例示される。
本実施形態の磁性シート2は、たとえば以下のようにして製造される。まず、上述した組成を有する合金粒子を得る。合金粒子の製造方法には特に制限はない。例えば合金溶湯の急冷や合金インゴットの粉砕により行なえばよい。
合金溶湯を急冷する場合には、粉砕工程なしで所望の粒径の合金粒子が得られて生産性が高いことから、水アトマイズ法を用いることが好ましい。水アトマイズ法は、合金溶湯に高圧水を噴射して凝固・粉末化した後、水中で冷却するものであり、その詳細は、例えば、特願平1−12267号に記載されている。
また、水アトマイズ法の他、溶湯を冷却基体に衝突させて、薄帯状や薄片状、あるいは粒状の合金を得る方法を用いてもよい。このような方法としては、片ロール法や双ロール法、あるいはアトマイズ法が挙げられる。これらの方法では、得られた急冷合金を必要に応じて粉砕し、所望の粒径の合金粒子とすればよい。
合金インゴットの粉砕により合金粒子を製造する場合、インゴットに容体化処理を施した後、粉砕することが好ましい。
合金粒子の平均粒径は、目的とする扁平状磁性体粒子の粒径やアスペクト比に応じて適宜決定すればよいが、通常、重量平均粒径D50で5〜30μm、好ましくは7〜20μmとすればよい。
なお、合金粒子には、結晶構造を整えるための熱処理が施されることが好ましい。扁平化前の合金粒子に施される熱処理の際の保持温度および温度保持時間は、100〜600℃にて10分間〜10時間とすることが好ましい。より好ましい熱処理条件は、300〜500℃にて30分間〜2時間である。
次に、合金粒子を扁平化して扁平状の磁性体粒子4を得る。合金粒子を扁平化する手段に特に制限はなく、所望の扁平化が可能であればどのような手段を用いてもよい。
本実施形態では、主として劈開により合金粒子の扁平化が進行するので、劈開を効率よく行なえる手段を用いることが好ましい。
このような手段としては、媒体撹拌ミル、転動ボールミル等が挙げられ、これらのうち、特に媒体撹拌ミルを用いることが好ましい。
媒体撹拌ミルは、ピン型ミル、ビーズミルあるいはアジテーターボールミルとも称される撹拌機であり、例えば特開昭61−259739号公報、特願平1−12267号などに記載されている。
このようにして得られた扁平状磁性体粒子に所定の厚さの酸素膜を形成するために熱処理を施す。熱処理を施すことにより、扁平状磁性体粒子の最表面近傍で、主にFe、Si、Crの各元素の一部が酸化される。その結果、扁平状磁性体粒子の最表面から所定の厚さで各元素の酸化物が偏在する。なお、熱処理を施す前の扁平状磁性体粒子にも扁平状磁性体粒子の表面が自然に酸化されることによって生じる酸素膜(自然酸素膜)が存在している。
熱処理の際の保持温度および保持時間には、特に制限はない。例えば390〜550℃にて20分〜4時間とすることが好ましい。また、より好ましい熱処理の保持温度は、390〜500℃である。より好ましい保持時間は、30分〜3時間である。保持温度が高く、保持時間が長いほど、酸素膜の厚みは大きくなる。
上記の熱処理における昇温速度と降温速度には特に制限はない。100℃からの昇温速度は、好ましくは5〜50℃/分、さらに好ましくは10〜50℃/分である。また、100℃までの降温速度は、好ましくは2〜20℃/分、さらに好ましくは5〜20℃/分である。
さらに、上記の熱処理工程では、いったん真空度を0.1Pa未満にしてから、不活性ガスを導入して、酸素濃度を1×10−8〜0.01Paとして、その後、上記の酸素濃度を維持したまま熱処理(昇温、保持および降温の全行程)することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などが例示される。また、上記の熱処理は、磁場中にて行なわれてもよい。
以下、図3、図4に表す上記の熱処理工程の前後における各元素のスペクトル強度の変化について概略を述べるが、以下の記載は本発明におけるスペクトル強度の変化の態様を限定するものではない。
まず、各元素のスペクトル強度は、一般的には各元素の含有量に比例する。
本実施形態での酸素膜では、酸素膜の内部に酸素強度のピークが存在する。酸素強度がピークを示す位置と最表面の位置とが一致していてもよい。
実際の扁平状磁性体粒子では、最表面に近いほど酸素の含有量が多く、通常は最表面で最も酸素の含有量が多くなっていると考えられる。ここで、最表面は扁平状磁性体粒子と粒子外の部分との境界となる。さらに、オージェ電子分光の測定スポットには一定の大きさが存在する。すなわち、最表面で各元素のスペクトル強度を測定する場合、境界の外側の部分、すなわち粒子外の部分をも測定スポットに含んでしまう。したがって、酸素強度のピークは、通常は扁平状磁性体粒子の最表面上ではなく、最表面から扁平状磁性体粒子内部に少し入った部分に存在する。
図3に示す熱処理工程前の扁平状磁性体粒子では、酸素強度は最表面から内部に向かうにつれて一度上昇して最大値をとる。酸素強度が最大値をとった後はほぼ単調に下降していく。この酸素強度の変化は自然酸素膜の存在を示している。そして、最表面から、酸素強度が最大値に対して半減する箇所までの部分が酸素膜(自然酸素膜)である。ケイ素強度、クロム強度は酸素膜(自然酸素膜)の内外でほとんど変化しない。鉄強度は最表面から内部に向かうにつれてほぼ単調に増加していく。
図4に示す熱処理工程後の扁平状磁性体粒子でも、酸素強度は最表面から内部に向かうにつれて一度上昇して最大値をとり、その後はほぼ単調に下降していく。この酸素強度の変化は酸素膜の存在を示している。酸素強度のピークの高さ(最大値の大きさ)には特に制限はないが、酸素膜外の酸素強度の平均の2〜1000倍であることが好ましい。クロム強度は酸素膜の内外でほとんど変化しない。鉄強度は最表面から内部に向かうにつれてほぼ単調に増加していく。
そして、図3に示す熱処理工程前の扁平状磁性体粒子と異なり、図4に示す熱処理工程後の扁平状磁性体粒子では、ケイ素強度は、酸素強度と同様に、最表面から内部に向かうにつれて一度上昇して最大値をとり、その後はほぼ単調に下降し、最終的には酸素膜外でほぼ一定となる。
図3に示す熱処理工程前の扁平状磁性体粒子では、自然酸素膜の中でも外でもケイ素強度はほとんど変化しない。それに対し、図4に示す熱処理工程後の扁平状磁性体粒子では、酸素膜内におけるケイ素強度が酸素膜外におけるケイ素強度と比較して高くなる傾向にある。すなわち、熱処理によってケイ素が磁性体粒子表面に移動し、自然酸素膜よりもケイ素の含有量が多い酸素膜が形成されていると考えられる。ケイ素の含有量の多い酸素膜が所定の厚さで形成されることで、最終的に得られる磁性シートのQ値および表面抵抗が著しく向上しているとも考えられるが詳細は不明である。また、酸素膜内のケイ素強度の平均が酸素膜外のケイ素強度の平均の1.2倍以上であることが好ましい。さらに、酸素膜内のケイ素強度のピーク(最大値)が酸素膜外のケイ素濃度の平均の2倍以上であることが好ましい。なお、図3に示す自然酸素膜の平均厚みは通常は3.0nm未満であり、3.5nm以上となることはない。
磁性シート2は、このようにして得られる磁性体粒子4を、合成樹脂を含むバインダ中に分散させて、シート化することにより得られる。シート化するための方法としては特に限定されないが、たとえば塗布法が例示される。
なお、シート化される前の磁性シート用ペーストには、軟磁性粉末から成る磁性体粒子4および合成樹脂6の他、硬化剤、分散剤、安定剤、カップリング剤等を含有してもよい。このようなペーストは、通常、所望の形状に成形され、あるいは必要な溶媒を用いて塗布用組成物(塗料)とされた後に塗布され、次いで、必要に応じて加熱硬化されてシート化される。加熱硬化は、一般に、加熱オーブン中で50〜80℃にて6〜100時間程度加熱すればよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。また、本発明の磁性シートには、完成したシートのみではなく、部材の表面に前記塗布用組成物(塗料)を塗布してシート化したものも含まれる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
実験例1
水アトマイズ法により合金粒子を作製し、次いで、媒体撹拌ミルにより合金粒子を扁平化し、さらに熱処理を施して、扁平状磁性体粒子からなる軟磁性粉末を得た。
扁平状磁性体粒子の組成は、Fe−Si−Cr系合金磁性体であり、Fea1Sib1Crc1d1と表した場合に、a1=70、b1=28、c1=2、d1=0であった。
熱処理の際には、いったん真空度を0.1Pa未満にしてから、不活性ガスとしての窒素ガスを導入して、酸素濃度を1×10−8〜0.01Paとして、熱処理(昇温、保持および降温の全行程)を行った。熱処理条件を変化させることで酸素膜の厚みを変化させて表1に示す実施例および比較例の扁平状磁性体粒子を得た。また、熱処理を実施しない比較例として比較例1を準備した。
熱処理時には、100℃からの昇温速度を20℃/min、100℃までの降温速度を10℃/min、保持時間を2時間で一定として、保持温度を350〜600℃の間で変化させた。
次に、各実施例および比較例で得られた扁平状磁性体粒子を、ポリウレタンを主成分とするバインダ溶液と混合し、磁性体ペーストを作製した。ペースト中の磁性体粒子の充填率は80wt%とした。
磁性体ペーストを、厚さ75μmの長尺PET基板に25μm厚に塗布し、ロール状に巻き取った後、60℃にて60分間加熱して硬化した。これをシート状に切断し、磁性シートのサンプルを得た。磁性シートのサンプルの磁気特性として、磁性シートのQ値を測定した。Q値の測定にはアジレント・テクノロジー株式会社製Agilent E4991A RFインピーダンス/マテリアル・アナライザを使用し、フィクスチャーとしてHP16454Aを使用した。結果を表1および図3に示す。Q値は100以上を良好とした。
さらに、磁性シートの表面抵抗(IR)を、二本の端子を厚さ100μm以下のシートの表面と裏面に接触させる方式で測定した。IRの測定にはAgilent Technology製HIGH RESISTANCE METER 4339Bを用いた。結果を表1および図4に示す。IRは1.0E+06Ω以上を良好とした。
そして、磁性シートに含まれる扁平状磁性体粒子における酸素膜の厚みはオージェ電子分光により測定した。測定には、アルバック・ファイ株式会社製 SAM680型Augerを用いた。また、一つの磁性シートにつき、酸素膜の厚みを測定する扁平状磁性体粒子の個数は5個とし、平均厚みを算出した。
また、オージェ電子分光において熱処理を行わない比較例1では酸素膜内および酸素膜外でケイ素強度がほぼ一定であった。それに対し、熱処理を行った各実施例では酸素膜内におけるケイ素強度が酸素膜外におけるケイ素強度より高かった。
なお、クロム強度は実施例、比較例ともに酸素膜の内外を問わずほぼ一定であった。
また、各実施例における磁性シートのサンプルを、シート面に垂直な断面で切断し、その切断面をEPMAにより観察したところ、扁平状磁性体粒子が合成樹脂中に分散してあることが確認された。
また、各実施例において10μm×10μmの視野内で観察される扁平状磁性体粒子のアスペクト比の平均が0.002以上0.3以下であることを確認した。
Figure 0006589611
表1、図5および図6より、酸素膜の厚みが3.5〜6.0nmである実施例1〜5はQおよびIRが良好な値となった。これに対し、酸素膜の厚みが小さすぎる比較例1〜3および酸素膜の厚みが大きすぎる比較例4はQおよびIRが実施例より劣っていた。
実験例2
扁平状磁性体粒子の組成をFea1Sib1Crc1d1と表した場合に、a1=72、b1=28、c1=d1=0とした点を除いて実験例1と同様にして各実施例および比較例を作成して特性を評価した。結果を表2、図7および図8に示す。
Figure 0006589611
表2、図7および図8より、扁平状磁性体粒子がCrを含有しない場合であっても、Crを含有する場合と同様の傾向を示した。
2… 磁性シート
4… (扁平状)磁性体粒子
6… 合成樹脂
8… 酸素膜

Claims (1)

  1. 扁平状磁性体粒子を含む磁性シートであって、
    前記扁平状磁性体粒子が、Fe−Si−Cr系合金からなり、
    前記扁平状磁性体粒子の表面には、酸素膜が存在し、
    前記酸素膜の厚みをオージェ電子分光で酸素強度が最表面から半減するまでの距離と定義する場合に、前記酸素膜の平均厚みが3.5〜6.0nmであることを特徴とする磁性シート。
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