JP2521508Y2 - ロ−タリ−植付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本案はロータリー植付装置に関するものである。

（従来技術） 遊星歯車機構を利用してロータリー植付爪を駆動する
従来のロータリー植付装置にあっては伝動機構に偏心歯
車や楕円歯車等を利用して遊星歯車の自転を増減させて
植付軌跡を得ているものは特開昭61-5711号公報で知ら
れている。

（考案が解決しようとする課題） ロータリーケース内部には、ロータリーケースを回転
駆動することにより、前記ロータリーケース内の植付伝
動ケース側から固定支持した太陽歯車の周りを公転す
る、太陽歯車と噛合する中間歯車と、中間歯車と噛合す
る遊星歯車がそれぞれ設けられた遊星歯車機構を利用し
てロータリー植付爪を駆動する従来の太陽歯車の固定式
のロータリー植付装置にあっては、遊星歯車軸の回転速
度の変化がsinカーブに近い変化であり、偏心量を変え
たり、歯車の位相を変えても軌跡の変化に限界がある。

（課題を解決するための手段） したがって本案の技術的課題は、植付軌跡を自由に変
化させることのできるロータリー植付装置をうることを
目的とするもので、この技術的課題を解決するための本
案の技術的手段は、植付伝動ケースに対して回転自在に
入力軸を設け、該入力軸の端部にはロータリーケースを
固定し、該入力軸により揺動軸が回転自在に支持される
ように構成し、該揺動軸を前記植付伝動ケースに設けた
揺動機構で揺動自在に揺動するよう設け、該揺動軸の端
部の小軸に太陽歯車が固定され、ロータリーケース内部
には太陽歯車と噛合する中間歯車が中間軸を介して回転
自在に設けられ、該ロータリーケースの軸上には中間歯
車に常時噛合する遊星歯車が取付けられるロータリーケ
ースに内装した遊星歯車機構を利用したロータリー植付
爪の駆動装置において、前記太陽歯車を前記植付伝動ケ
ースに設けた前記揺動機構で揺動自在に揺動駆動するこ
とにより、ロータリー植付爪を植付伝動ケース側から加
速減速駆動するよう構成したことを特徴とするロータリ
ー植付装置である。

（実施例） 以下、図面に示す実施例について説明する。（１）は
入力軸であって、植付伝動ケース（２）に対して回転自
在である。

入力軸（１）の端部には中空状の２つ割ロータリーケ
ース（３）が固定されている。

入力軸（１）は中空状でこの中に後述する手段で揺動す
る揺動軸（４）が挿通され、端部の小軸（4a）がロータ
リーケース（３）の軸受け（５）に回転自在に支持され
ている。そして、この小軸（4a）に太陽歯車（６）が固
定されており、ロータリーケース（３）には太陽歯車
（６）と噛合し、かつ太陽歯車（６）と同歯数の中間歯
車（７）が中間軸（８）を介して回転自在に設けられて
いる。

カム軸（９）上には中間歯車（７）に常時噛合する太
陽歯車と同歯数の遊星歯車（10）が取付けられている。

そして、カム軸（９）と揺動軸（４）とを結ぶ線に対
して横方向に適宜距離（ｌ）だけ変位した位置に中間軸
（８）がある。

以上のように、ロータリーケース（３）のカム軸
（９）上には中間軸（８）上の中間歯車（７）に常時噛
合する遊星歯車（10）を嵌着してロータリーケース
（３）の一回転によって、カム軸（９）が一回転するよ
うに連動連結し、かつ太陽歯車（６）、中間歯車
（７）、遊星歯車（10）は偏心歯車である。

さて、回転体としてのロータリーケース（３）がその
回転軸である入力軸（１）により第２図矢印（Ａ）の方
向に自転すると、太陽歯車（６）は揺動軸（４）に固定
されていて入力軸（１）と同期しないので、これに噛合
する中間歯車（７）はロータリーケース（３）の自転に
伴ってその自転角度と同じ回転角度だけ同方向（矢印Ｂ
方向）に自転する。

この中間歯車（７）に遊星歯車（10）を介して連動す
るカム軸（９）は、中間歯車（７）の自転によってロー
タリーケース（３）の自転方向と逆方向（矢印Ｃ方向）
に自転するから、このカム軸（９）に取付けられた植付
アーム（13）は苗載台の方向を向いた状態のまま入力軸
（１）を中心に旋回運動することになり、この旋回運動
中において苗載台に面する側を上から下に下降すると
き、その植付爪（12）の先端で苗載台上の苗マットから
苗を一株だけ分割したのち、その下降下限の近傍におい
て圃場面に植付けし、その後において圃場面より上昇す
るもので、植付時に押出爪が苗を押出すので苗は植付爪
から離れる。

この場合、太陽歯車（６）及び中間歯車（７）並びに
遊星歯車（10）が偏心歯車でないときにはカム軸（９）
の矢印Ｃ方向の自転の回転角度がロータリーケース
（３）における矢印Ａ方向への自転の回転角度とが同じ
であるために、カム軸（９）に取付けられた植付アーム
（13）はロータリーケース（３）の自転に伴ってその自
転方向と逆方向に同じ回転角度だけ遅れ回転することに
より、植付アーム（13）は苗載台の方向を向いた状態
で、しかも苗載台に対して一定の姿勢を保った状態のも
とで旋回運動するからその植付爪の先端における運動軌
跡の閉ループは入力軸（１）からカム軸（９）までの距
離を半径とする円状にしかならないが、太陽歯車
（６）、中間歯車（７）、遊星歯車（10）を偏心歯車に
すると、ロータリーケース（３）の自転に伴うカム軸
（９）の自転はその一回転中において偏心歯車（６）
（７）（10）の直径差にてロータリーケース（３）の自
転速度に対して早くなったり、遅くなったりすることに
なり、しかも中間歯車（７）を入力軸（１）とカム軸
（９）とを結ぶ線（11）に対して横方向の適宜距離
（ｌ）だけ変位した位置に配設したことにより、歯車
（６）（７）（10）の噛合位相にずれを生じてロータリ
ーケース（３）のＡ方向への自転速度よりも早い速度で
カム軸（９）が矢印Ｃ方向に回転のときの速度が中間歯
車（７）を入力軸（１）とカム軸（９）とを結ぶ線（1
1）上に位置した場合よりも更に早くなる一方、ロータ
リーケース（３）のＡ方向への自転速度よりも遅い速度
でカム軸（９）がＣ方向に回転のときの速度が中間歯車
（７）を入力軸（１）とカム軸（９）とを結ぶ線（11）
上に位置した場合よりも更に遅くなるのである。

したがって、ロータリーケース（３）の自転に対して
カム軸（９）のＣ方向への自転が遅くなる時期が植付ア
ームの圃場面に近づくように下降する時期に、カム軸
（９）のＣ方向への自転が早くなる時期が植付アーム
（13）の上昇上限に近づくように上昇する時期に各々該
当するように設定することにより、植付アーム（13）は
圃場面に近づくように下降するときにロータリーケース
（３）の自転よりもＣ方向に遅れ勝手に自転して姿勢を
下向きに変え、上昇上限に近づくときロータリーケース
（３）の自転よりも余分にＣ方向に進み勝手に自転して
姿勢を上向きに変えるから、植付アーム（13）の植付爪
（12）における先端の運動軌跡の閉ループは上下に細長
い閉ループ曲線となると共に、この閉ループ曲線の下降
下限における形状は８字状となる。

したがって、このように植付爪の先端軌跡が８字状の
閉ループ曲線を描くので苗載台が田植機の進行方向に対
して後方に傾斜し、苗載台の前方に苗植装置を配設した
形式の田植機に適合した場合に植付爪が圃場面に侵入す
るときの位置と植付爪が圃場面から離脱するときの位置
との間の距離を短くすることができて植付爪による圃場
面への痕跡を小さくできると共に泥土の跳ね上げを低減
でき、且つ圃場面に対する苗の植付姿勢を安定化でき
る。

ところで、第１図において植付伝動ケース（２）内の
伝動チェーン（14）で駆動される駆動スプロケット（1
5）で更に駆動されるクランク軸（16）は、植付伝動ケ
ース（２）に対して軸受け（17）（18）で支持されてい
るが、このクランク軸（16）のピン（16a）の両サイド
クランク軸（16）と一体的に回転する歯車（19）（20）
があり、これら歯車（19）（20）が入力軸（１）の歯車
（21）（22）に噛合し、入力軸（１）を駆動するもので
ある。

入力軸（１）は植付伝動ケース（２）に対して軸受け
（23）（24）で支持されている。

したがって、駆動スプロケット（15）でクランク軸
（16）が駆動されると歯車（19）（20）と（21）（22）
との噛合いにより入力軸（１）が駆動され、ロータリー
ケース（３）が駆動されるのである。

そして、クランク軸（16）のピン部（16a）を第３図
スリット溝（25）中に挾む揺動アーム（26）が揺動軸
（４）に固定されているので、揺動軸に固定されている
太陽歯車（６）はクランク機構でロータリーケース
（３）の一回転で一往復運動することになる。

この太陽歯車（４）の揺動が遊星歯車（10）の自転を
増減速させることとなるので、植付軌跡の自由度を非常
に大きくでき、最適軌跡が設定できるという効果を発揮
できる。

第1,2,3図に示す揺動機構はクランク式の揺動アーム
によるものであるが、カム又は油圧でもよいもので、第
4,5図はそれを示す。すなわち、第４図のものはスプロ
ケット軸（16）にカム（28）を設け、これで揺動アーム
（27）を揺動せしめ、揺動軸（４）を揺動せしめるので
ある。

第５図のものは油圧シリンダ（29）でピストンロッド
（30）を作動せしめ、その揺動アーム（31）で揺動軸
（４）を揺動せしめるものである。

なお、植付アームについて説明すると、ケース（32）
には固定爪（12）が取付けられており押出爪（34）を押
出すプッシュロッド（35）はガイド（36）に沿って往復
動する。

プッシュロッド（35）の受金（37）にはケース（32）
内に支持されたスプリング（38）が当接しており、押出
爪（34）を常時押出す方向に附勢している。

受金（37）の溝（37a）に係合するプッシュレバー（3
9）は軸（40）を中心として揺動するが、プッシュレバ
ー（39）のカムレバー（41）がカム（42）で揺動するこ
とによりスプリング（38）に抗してプッシュレバー（3
9）を後退させる。

したがって、カム軸（９）のカム（42）に対して植付
アーム（13）が回動するとカムレバー（41）がカム（4
2）で揺動し、プッシュレバー（39）を介してプッシュ
ロッド（35）を往復動せしめるものである。

以上の如く本考案は、太陽歯車の揺動をカム、クラン
ク、油圧等の揺動機構を用いることができるが、油圧場
合制御装置と組み合わせることにより軌跡を自由に変化
させることができる。

本考案は、植付伝動ケースに対して回転自在に入力軸
を設け、該入力軸の端部にはロータリーケースを固定
し、該入力軸により揺動軸が回転自在に支持されるよう
に構成し、該揺動軸を前記植付伝動ケースに設けた揺動
機構で揺動自在に揺動するよう設け、該揺動軸の端部の
小軸に太陽歯車が固定され、ロータリーケース内部には
太陽歯車と噛合する中間歯車が中間軸を介して回転自在
に設けられ、該ロータリーケースの軸上には中間歯車に
常時噛合する遊星歯車が取付けられるロータリーケース
に内装した遊星歯車機構を利用したロータリー植付爪の
駆動装置において、前記太陽歯車を前記植付伝動ケース
に設けた前記揺動機構で揺動自在に揺動駆動することに
より、ロータリー植付爪を植付伝動ケース側から加速減
速駆動するよう構成したものである。

（考案の効果） この技術的手段によれば、太陽歯車を適宜の植付伝動
ケースに設けた揺動機構で揺動自在に駆動することによ
り、ロータリー植付爪を植付伝動ケース側から加速減速
駆動するよう構成したから、ロータリー植付爪を自在に
揺動駆動するがために植付軌跡の自由度が非常に大きく
できるとともに、太陽歯車を植付伝動ケース側から揺動
駆動せしめることにより、揺動機構の配置・スペースに
制約を受けず、揺動機構の設計の自由度も非常に高くで
き、最適の軌跡が設定できる、さらに、太陽歯車の揺動
駆動はカム、クランク、油圧等の揺動機構を用いること
ができ、油圧の場合制御装置と組み合わせると自動的に
軌跡を自由に変化させることができるというすぐれた特
徴を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置の断面図、第２図はロータリーケース
の断面図、第３図は揺動機構の側面図、第４図はカムに
よる揺動機構の側面図、第５図は油圧による揺動機構の
側面図、第６図は植付アームの軌跡の説明図、第７図は
植付アームの断面図である。 （１）……入力軸、（２）……植付伝動ケース、（３）
……ロータリーケース、（４）……揺動軸、（６）……
太陽歯車、（７）……中間歯車、（９）……カム軸、
（10）……遊星歯車、

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】植付伝動ケースに対して回転自在に入力軸
   を設け、該入力軸の端部にはロータリーケースを固定
   し、該入力軸により揺動軸が回転自在に支持されるよう
   に構成し、該揺動軸を前記植付伝動ケースに設けた揺動
   機構で揺動自在に揺動するよう設け、該揺動軸の端部の
   小軸に太陽歯車が固定され、ロータリーケース内部には
   太陽歯車と噛合する中間歯車が中間軸を介して回転自在
   に設けられ、該ロータリーケースの軸上には中間歯車に
   常時噛合する遊星歯車が取付けられるロータリーケース
   に内装した遊星歯車機構を利用したロータリー植付爪の
   駆動装置において、前記太陽歯車を前記植付伝動ケース
   に設けた前記揺動機構で揺動自在に揺動駆動することに
   より、ロータリー植付爪を植付伝動ケース側から加速減
   速駆動するよう構成したことを特徴とするロータリー植
   付装置。