JP2519872Y2 - 車両用施錠装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、自動２・３輪車等の
車両に使用されるワイヤロック式に構成された車両用施
錠装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】実開昭６２−７５１７３号公報には、ワ
イヤロックを構成するワイヤ部の途中を自動２輪車の前
部に取付けられたかごへ伸縮自在に取付けるとともに、
ワイヤ部の一端側にロック部を設け、他端側にはこのロ
ック部と係脱自在な係合部を設け、駐車時にはワイヤ部
を伸ばして前輪と係合させた状態で、両端のロック部と
係合部を係合させて車体を移動不能にするものが示され
ている。また、特開昭５６−１２０４６４号公報には、
後輪と係合可能にしたワイヤロックのワイヤ部を中空の
シートフレ−ム内へ収容したものが示されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】ところで、これらの
ワイヤ部はいずれも非駐車時には不要物として外から見
えないように収容されてしまう。しかし、せっかく車体
へ取付けてある以上、部品の効率的な利用の観点からす
れば、駐車時のみならず非駐車時にも何らかの機能向上
に役立つ積極的な役割を与え、常時外観部品として使用
できる常備部品とすることにより利用効率の向上を図る
ことが望まれる。そのうえ、車体へ簡単に取付けること
ができることも望まれる。本考案の目的は係る要望を満
足させることにある。

【０００４】

【上記問題点を解決するための手段】上記問題点を解決
するため本考案に係る施錠装置は、前輪と、その上方を
覆いフェンダ部を兼ねるフロントカバーと、前輪の後方
に位置して固定部材により車体へ取付けられるステップ
フロアとを備えた自動２輪車に用いるワイヤロック式の
車両用施錠装置において、ワイヤロックは、フロントカ
バー及びステップフロアの左右に沿って前後方向へ配設
される左右一対のワイヤ部と、これら左右のワイヤ部の
いずれか一方側の前端に設けられたロック部と、他方側
の前端に設けられてロック部に施錠される係合部とを備
え、ワイヤ部は、ステップフロアへ前記固定部材で取付
けられる各後端部を有するとともに、フロントカバーの
前輪上方位置にロック部を係合支持するためのホルダを
設けたことを特徴とする。

【０００５】

【作用】ワイヤ部をフロントカバー及びステップフロア
の左右に沿わし、その後端部をステップフロアヘ取付け
るとともに、その前端に設けられたロック部をフロント
カバーの前輪上方位置に設けられたホルダーに係合支持
することとしたので、ワイヤ部は駐車時にはそのまま前
輪のスポーク間の空間へ係合し、かつ、非駐車時には左
右のワイヤ部が外観装飾部材として機能する。したがっ
て、ワイヤ部は非駐車時に収納されてしまうことがな
く、常時外観部品として使用できる常備部品になる。そ
のうえ、ステップフロアを車体フレームへ取付けるため
に予め用意されている固定部材を利用してワイヤ部を取
付け可能なため、取付作業が容易になる。

【０００６】

【実施例】図１乃至図４に基づいて一実施例を説明す
る。本実施例はスクータ型自動２輪車用に構成されたも
のであり、図１は車体前部を斜め前方から見た状態を示
し、図２は車体前部の外観側面を示す。

【０００７】図１及び図２において、車体の前部に設け
られるフロントカバー１は、フロントフォーク２の上部
を覆っており、その一部はフロントフォーク２の下部に
支持される前輪３に対するフェンダ部４を兼ねている。

【０００８】フロントカバー１の前面には先端部近傍に
ロックブラケット５が設けられ、その下端部に設けられ
たホルダー６にワイヤロック７の前端部が係合支持され
ている。ワイヤロック７は全体としてループ状をなすワ
イヤ部８を備える。

【０００９】ワイヤ部８は全体が車体表面に露出状態で
取付けられており、その略前半部はフロントカバー１の
側面から前面を下端部に沿って囲み、中間部左右でクリ
ップ９によりフロントカバー１の側面に固定され、さら
に略後半部はステップフロア１０の左右両側に沿うフロ
アサイド部１１とステップフロア１０の後端部に沿って
車幅方向へ配設されるフロアエンド部１２になってい
る。

【００１０】フロアエンド部１２はステップフロア１０
の後端部から立ち上がる物入１３の付け根部分に沿って
湾曲している。また、フロアエンド部１２はフロアサイ
ド部１１と分断された独立部材であり、ステップフロア
１０へ固定される略Ｌ字形のワイヤブラケット１４を介
してフロアサイド部１１の後端部へ接続されている。フ
ロアサイド部１１の前部もワイヤブラケット１５により
ステップフロア１０へ固定される。

【００１１】図２に明らかなように、ワイヤブラケット
１４、１５はメインフレーム１６に設けられたステー１
７へボルト１８により取付けられる。このメインフレー
ム１６は車体フレームを構成し、ステップフロア１０を
支持するためにその下を前後方向へ通り、前部１９は上
方へ屈曲してフロントカバー１内へ入り、上下方向へ延
びるヘッドパイプ２０へ接続している。

【００１２】ヘッドパイプ２０は下部でフロントフォー
ク２と接続するとともに、上部はフロントカバー１の上
方に位置するハンドル２１へ接続している。また、フロ
ントカバー１の前部にはかご２２が取付けられ、このか
ご２２の下方でロック部２３の係脱操作に邪魔にならな
い位置にロックブラケット５が設けられている。

【００１３】ワイヤ部８の前端部はフック部６によって
係止される部分で分断されており、その一方側の端部に
ロック部２３が設けられている。他方側の端部は図では
見えないがこのロック部２３と係脱可能な係合部になっ
ている。

【００１４】したがってこの係合部をロック部２３に連
結させるとワイヤ部８は全体として閉ループをなす。ま
た、キー穴２４へ図示しないキーを挿入して解錠する
と、係合部をロック部２３から分離させて閉ループを開
くことができる。

【００１５】ロック部２３は略Ｕ字形断面のフック部６
へ係脱自在であり、ロック部２３をフック部６から外し
た場合、予め分離させておいたロック部２３と係合部を
前輪３の両側からスポーク２５間の空間２６内入れて相
互に連結可能になっている。

【００１６】また、ワイヤ部８はロック部２３をフック
部６に係止した状態では、略前半部がフロントカバー１
の外形よりも左右方向へ張出すループ状をなし、ワイヤ
部８のロック部２３をフック部６から外したとき、フッ
ク部６の位置からさらに前方へ延ばすことができる長さ
調節部にもなっている。

【００１７】このため本実施例では、ロック部２３をフ
ック部６から外した場合におけるワイヤ部８の最大長さ
を、閉ループ状態でも前輪３の最前部より前方へ延び、
前輪３と係合せずに地上へ落下できる程度の長さにして
ある。

【００１８】図３は図１のＡ−Ａ線に沿う拡大断面を示
し、フロアサイド部１１を固定するためのワイヤブラケ
ット１５は、ステップフロア１０を固定するために設け
られているステー１７を利用して、ボルト１８をステー
１７のウエルドナット２７へ締結することにより、ステ
ップフロア１０の上に重ねられて一緒に共締めされてい
る。

【００１９】図４はワイヤブラケット１４のうち車体左
側（進行方向を基準）のものの外形形状を立体的に示す
図である。ワイヤブラケット１４はボルト１８によりワ
イヤブラケット１５と同様にしてメインフレーム１６
（図２）側へ共締めされるが、全体として略Ｌ字形をな
し、側方と後方へそれぞれ突出する連結部２８、２９が
設けられている。

【００２０】側方へ向かう連結部２８には、ワイヤブラ
ケット１５と同様にしてフロアサイド部１１の後端部が
把持されて固定され、また後方へ向かう突部２９には、
フロアエンド部１２の一端部がカシメ等によって強固に
固定されている。車体右側のワイヤブラケット１４は左
側と対称に形成されている。

【００２１】したがって、ワイヤブラケット１４により
フロアサイド部１１の後端部とフロアエンド部１２の一
端部が接続され、ワイヤ部８が全体としてループを形成
できるようになっている。なお、連結部２８と同２９は
フロアサイド部１１に対してフロアエンド部１２が鋭角
をなして接続するように形成される。

【００２２】なお、ワイヤブラケット１４、１５を取付
けるためのボルト１８は、一定トルク以上の締め付けで
ねじ山がつぶれて以後簡単には取り外し不能になるよう
に配慮することができる。

【００２３】また、ステップフロア１０の上にはフロア
マット（図示せず）を焼き付けることが普通であるた
め、フロアマットを取付ける際、少なくともボルト１８
によって固定されたワイヤブラケット１４、１５の上方
から覆った状態で焼き付けることもできる。このとき、
フロアマットの肉厚をワイヤブラケット１４、１５の上
で薄くなるように調節すれば、フロアマットの表面全体
をよりフラットにできる。

【００２４】

【実施例の作用】次に、本実施例の作用を説明する。図
１及び図２において、非駐車時にはロック部２３がフッ
ク部６へ係止される。このとき、ワイヤ部８は全体が露
出してフロントカバー１の下端縁からステップフロア１
０の側方後端部まで延び、あたかもモールを取付けたか
のような外観を呈する。

【００２５】したがって、非駐車時のワイヤロック７は
全体が外観装飾部品として機能し、車体の外観を向上さ
せることができ、部品を積極的にかつ効率的に使用でき
る。しかも、本実施例のワイヤ部８が比較的剛性を有す
るため、一種のバンパーとなり、フロントカバー１の保
護部材としても機能できる。

【００２６】さらに、ワイヤ部８は、略後半部側がステ
ップフロア１０を固定するために設けられているステー
１７を利用してボルト１８によりステップフロア１０と
共締されるので、車体側へ特別の加工を施すことなく容
易かつ迅速に取付できるので極めて便利であり、後付も
容易である。

【００２７】また、フロアエンド部１２をステップフロ
ア１０の後端部である物入れ１３の付け根部分に沿って
配設したので、乗員の足の踵に接触しにくく有利であ
る。そのうえ、フロアエンド部１２をフロアサイド部１
１と分離させ、かつワイヤブラケット１４によって相互
を連結したのでフロアエンド部１２とフロアサイド部１
１の接続部をきれいに鋭角に曲げることができる。

【００２８】駐車時にはロック部２３を解錠して係合部
を分離することによりワイヤ部８のループを解き、ロッ
ク部２３と係合部をそれぞれ前輪３の反対側から空間２
６内へ入れ、再び両者を係合させて施錠してワイヤ部８
を閉ループにすれば、前輪３とメインフレーム１６がワ
イヤ部８で連結されるので、車体が移動不能になる。

【００２９】このとき、ワイヤ部８を前輪３でなく、例
えば、路傍にあるガードレール支柱などの不動固定部材
へ巻き付けることによって係合させることもできる。

【００３０】なお、本考案は上記実施例に限定されるも
のでなく種々な応用が可能であり、ワイヤロック７のワ
イヤ部８は必ずしもループ状でなく、車体の両側へそれ
ぞれ一端を取付けられた一対の部材でもよく、フロアエ
ンド部１２も省略可能である。

【００３１】また、一端を固定端として車体へ取付け、
他端を自由端として車体へ係脱自在にした一本の部材で
もよい。この場合、ロック部２３をワイヤ部８側又は車
体側のいずれかへ設けることができる。さらに、ステッ
プフロア１０を有すれば各種の自動２・３輪車やその他
の車両に適用可能である。

【００３２】

【考案の効果】本考案に係る車両用施錠装置は、一対の
ワイヤ部を前輪のフェンダーを兼ねるフロントカバー及
びステップフロアの左右に沿わし、その後端部をステッ
プフロアに取付けるとともに、ワイヤ部の前端に設けら
れているロック部をフロントカバーの前輪上方位置に設
けられているホルダに係合した。ゆえに、非駐車時に
は、左右のワイヤ部を外観装飾部材として利用できるの
で、外観的にも常備部品として使用でき、部品の効率利
用が可能になるとともに、非駐車時にはワイヤ部をその
まま前輪のスポーク間の空間へ係合することができる。

【００３３】そのうえ、ワイヤ部の後端部をステップフ
ロアに対してその固定部材を利用して取付けできるた
め、特別な後加工が不要になるので、ワイヤ部の取付が
容易かつ迅速になり、後付が容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例を適用した自動２輪車における車体前部
の斜視図

【図２】実施例を適用した自動２輪車における車体前部
の側面図

【図３】図１のＡ−Ａ先に沿う拡大断面図

【図４】実施例要部の拡大斜視図

【符号の説明】

１：フロントカバー、３：前輪、５：ロックブラケッ
ト、６：フック部、７：ワイヤロック、８：ワイヤ部、
１０：ステップフロア、１４・１５：ワイヤブラケッ
ト、１６：メインフレーム、２３：ロック部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前輪と、その上方を覆いフェンダ部を兼ね
   るフロントカバーと、前輪の後方に位置して固定部材に
   より車体へ取付けられるステップフロアとを備えた自動
   ２輪車に用いるワイヤロック式の車両用施錠装置におい
   て、 ワイヤロックは、フロントカバー及びステップフロアの
   左右に沿って前後方向へ配設される左右一対のワイヤ部
   と、これら左右のワイヤ部のいずれか一方側の前端に設
   けられたロック部と、他方側の前端に設けられてロック
   部に施錠される係合部とを備え、 ワイヤ部は、ステップフロアへ前記固定部材で取付けら
   れる各後端部を有するとともに、 フロントカバーの前輪上方位置にロック部を係合支持す
   るためのホルダを設けた ことを特徴とする車両用施錠装
   置。