JP2518977Y2 - 秘匿情報隠蔽部材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、秘匿情報を隠蔽するための部材に関し、特
に、各種申込書、葉書、カードをはじめとする帳票類に
文字、記号、図形等で表示される、例えば暗証番号や預
貯金残高等の他人には知られたくない秘匿すべき情報
を、隠蔽するための部材に関する。

［従来の技術］ 従来、帳票類に表示された秘匿すべき情報を隠蔽状態
で特定人に伝達するには、情報が表示された帳票類を封
筒内に挿入密封して、郵送したり、直接手渡すのが一般
的である。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、情報が表示された帳票類を、封筒内に挿入
密封する従来例では、郵送にあたって封書としての郵送
料が必要となるので、葉書と比較して郵送料が嵩んで不
経済であり、また、直接手渡す場合には、封筒内への挿
入密封作業や、その開封作業が煩雑であるという欠点が
あった。

本考案は、このような欠点を解消した秘匿情報隠蔽部
材を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成するために本考案は、秘匿情報を有す
る被接着面の秘匿情報部の全面に対応して接着可能とな
り、接着後に剥離可能となる秘匿情報隠蔽部材であっ
て、この秘匿情報隠蔽部材には前記秘匿情報部の全面に
対応して接着するための、通常の状態では接着しない接
着剤層を有し、この接着剤層には剥離を容易とするため
のシリカゲル、コーンスターチ等の微小物質からなる接
着力調整剤が添加されてなることを特徴とする秘匿情報
隠蔽部材を提供するものである。

［作用］ 秘匿情報隠蔽部材を、帳票類の秘匿情報に対して、接
着剤塗布部分で秘匿すべき情報を覆うよう対応させたう
え、接着剤に対して所定の接着条件を付与して接着する
ことにより、帳票類に表示された秘匿すべき情報は隠蔽
される。そして、前記秘匿情報隠蔽部材を帳票類から剥
離除去すれば、秘匿情報が露出して判読可能になる。

［実施例］ 以下、本考案の好適な実施例について、添付図面に基
づき詳細に説明する。

ここにおいて、第１図乃至第５図は一実施例を示し、
第１図は秘匿情報隠蔽部材の拡大断面図、第２図は連続
状態にある秘匿情報隠蔽部材を示す平面図、第３図は秘
匿すべき情報である定期預金残高が表示された葉書の平
面図、第４図は前記情報が秘匿情報隠蔽部材で隠蔽され
た状態を示す平面図、第５図は葉書から秘匿情報隠蔽部
材の一部を剥離した状態を示す斜視図、第６図はそれぞ
れ他の実施例を示す断面図である。

まず、第１の実施例の構成を第１図及び第２図に基づ
いて説明する。

シートたる不透明なラベル１は、第２図に示したよう
に、連続用紙に切り込み等で区画形成された連続状態に
あり、その幅方向端の一対の対向辺に沿って、切り取り
部である一対の切り用ミシン目2a,2bが設けられてい
る。この連続状態から切り込み等に沿って型抜きする
と、第１図状態の単位化されたラベル１を得ることがで
きる。前記ラベル１の裏面側には、前記一対の切り用ミ
シン目2a,2bの内側に対応する部分に、透明で、通常で
は接着せず、熱が付与されると、例えば90℃で加熱され
ると接着可能となる感熱性接着剤で、一旦接着した後に
も剥離可能である弱接着性接着剤３が塗布されている。
また、前記一対の切り用ミシン目2a,2bの外側に対応す
る部分には、同じく透明で、前記弱接着性接着剤３と同
一温度条件で接着可能となる感熱性接着剤であり、一旦
接着した後は剥離不能な強接着性接着剤４が塗布されて
いる。

一方、ラベル１の表面には、切り用ミシン目2a,2bの
内側部分に「このラベルをミシン目より切り取り残高を
御確認下さい。」の文章と、「○○銀行」という銀行名
が、印刷されている。この印刷は、印刷時の円滑な移送
を行うために、各接着剤3,4を塗布する前段階でなされ
ることが望ましい。

弱接着性接着剤３の接着強度は、接着力を低下させる
接着力調整剤を添加して調整するものである。この接着
力調整剤としては、微小硬質物質、例えば粒子が８ミク
ロン〜10ミクロンのシリカゲルやコーンスターチ、ある
いは油性物質、例えばシリコンを挙げることができる。
また、弱接着性接着剤３の接着強度は、接着後に葉書等
の被接着体を持ち上げたり、反転する等の通常の取扱い
を行った際に、離反しない程度でよい。

次に、第３図に基づいて秘匿すべき情報である定期預
金残高が表示された葉書について説明する。

葉書６の表面には、その中央から右側部分に、「定期
預金残高通知」の表題の下に、秘匿すべき情報たる定期
預金残高があらかじめ印字された預金残高表示欄７が設
けられ、この欄７の大きさは、ラベル１の弱接着性接着
剤３塗布部分とほぼ同一大に設定されている。また、前
記葉書６の表面における中央から左側部分には、情報を
通知すべき者の住所、氏名が印字された宛名印字部８が
設けられる一方、発信元である銀行名が印字された発信
元印字部９が設けられている。前記葉書６は、通常縦方
向に切り用ミシン目を介して連続状態にあり、この連続
状態において移送されつつ前述の預金残高表示欄７及び
各印字部8,9に対してコンピュータに連繋されたプリン
タにより印字されるものである。

本実施例は以上のような構成なので、切り込み部分等
で型抜きして単位状態としたラベル１を、葉書６の預金
残高表示欄７部分に、その弱接着性接着剤３塗布部分が
対応するように載置して、各接着剤3,4a,4bの接着条件
である熱を付与し、例えば適宜な圧力下で90℃に加熱す
れば、接着状態となる。これによって葉書６は、第４図
に示したように、預金残高が隠蔽された状態で、投函可
能となる。

この第４図状態で葉書６を受領した宛名人は、ラベル
１の表面に印刷された指示にしたがって、各切り用ミシ
ン目2a,2bから切り取ると、前記各切り用ミシン目2a,2b
の内側に対応する部分には、剥離可能な弱接着性接着剤
３が塗布されているので、第５図に示したように、ラベ
ル１の前記各切り用ミシン目2a,2bの内側部分は、葉書
６から剥離されることになる。したがって、隠蔽されて
いた預金残高が露出し、宛名人はこれを視認することが
できるものである。

一方、宛名人が葉書６を受領する前に、何者かが各切
り用ミシン目2a,2bを切り離してラベル１を剥離した場
合には、一度切り離した各切り用ミシン目2a,2bを再接
着してラベル１を再生することは不可能なので、前記宛
名人は自己の預金残高が秘匿状態にあるか、既に漏洩状
態にあるかを一目で判別可能である。また、各切り用ミ
シン目2a,2bを切り離さずに、前記ラベル１全体を葉書
６から剥離しようとすれば、強接着性接着剤４を塗布し
た前記ラベル１の各切り用ミシン目2a,2bの外側部分、
あるいはこれに対応する葉書６の部分が破損されるの
で、この場合にも宛名人は、自己の預金残高が秘匿状態
にあるか、既に漏洩状態にあるかは一目で判別可能であ
る。

なお、本考案は上述した実施例に限定されるものでは
なく、例えば、各接着剤3,4の接着条件は、熱のほか、
圧、水によってもよい。感熱性接着剤としては、酢酸ビ
ニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の合成
接着剤を用いることができ、感圧性接着剤としては、天
然ゴム系、合成ゴム系、あるいは酢酸ビニル系の接着剤
を用いることができ、再湿性接着剤としては、ポバー
ル、デキストリン、ニカワ系等の接着剤を用いることが
できる。また、ラベル１は不透明であることが好ましい
が、第６図に示したように、ラベル１と弱接着性接着剤
３との間に文字印刷やアルミ蒸着等による不透明層５を
設ければ、透明であっても支障はない。さらに、シート
がラベル１に限らないことはいうまでもなく、シートの
材質としては、合成紙、樹脂フィルム等でもよい。また
さらに、切り用ミシン目2a,2b等の切り取り部は必ずし
も設ける必要はない。

［効果］ 以上説明したところで明らかなように、本考案の秘匿
情報隠蔽部材によれば、接着力調整剤が添加されてなる
剥離可能な接着剤は、通常の状態では接着しない接着剤
としたので、剥離紙を必要とせず、貼着時における剥離
紙の剥離作業が不要となり効率のよい貼着が行えると共
に、隠蔽部材の表面にプリンタでプリントする場合も、
接着剤および剥離紙による支障もなくスムースなプリン
ト作業も行えるものである。

そして、その使用においては、帳票類に全面的に接着
して秘匿すべき情報を確実に隠蔽でき、隠蔽状態の帳票
類を葉書として使用できるので経済的であり、また、隠
蔽後は、接着力調整剤が添加されてなる剥離可能な接着
剤により、秘匿情報隠蔽部材が剥離自在であるので、隠
蔽状態を解除すべく、帳票類から剥離除去したときに、
帳票類に表示した隠蔽情報が一緒に剥ぎ取られて判読不
能になることがないという多くの有益な効果を奏するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の好適な実施例を示すもので、第１図乃至第
５図は一実施例を示し、第１図は秘匿情報隠蔽用部材の
拡大断面図、第２図は連続状態にある秘匿情報隠蔽用部
材を示す平面図、第３図は秘匿すべき情報である定期預
金残高が表示された葉書の平面図、第４図は前記情報が
ラベルで隠蔽された状態を示す平面図、第５図は葉書か
らラベルの一部を剥離した状態を示す斜視図、第６図は
本考案の他の実施例をそれぞれ示す断面図である。 １……ラベル、３……弱接着性接着剤、４……強接着性
接着剤、６……葉書、７……預金残高表示欄

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】秘匿情報を有する被接着面の秘匿情報部の
   全面に対応して接着可能となり、接着後に剥離可能とな
   る秘匿情報隠蔽部材であって、この秘匿情報隠蔽部材に
   は前記秘匿情報部の全面に対応して接着するための、通
   常の状態では接着しない接着剤層を有し、この接着剤層
   には接着後の剥離を容易とするためのシリカゲル、コー
   ンスターチ等の微小物質からなる接着力調整剤が添加さ
   れてなることを特徴とする秘匿情報隠蔽部材。