JPH0529503Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、秘匿情報を隠蔽するための部材に関
し、特に、各種申込書、葉書、カードをはじめと
する帳票類に文字、記号、図形等で表示される、
例えば暗証番号や預貯金残高等の他人には知られ
たくない秘匿すべき情報を、隠蔽するための部材
に関する。

従来の技術 従来、帳票類に表示された秘匿すべき情報を隠
蔽状態で特定人に伝達するには、情報が表示され
た帳票類を封筒内に挿入密封して、郵送したり、
直接手渡すのが一般的である。

考案が解決しようとする問題点 ところが、情報が表示された帳票類を、封筒内
に挿入密封する従来例では、郵送にあたつて封書
としての郵送料が必要となるので、葉書と比較し
て郵送料が嵩んで不経済であり、また、直接手渡
す場合には、封筒内への挿入密封作業や、その開
封作業が煩雑であるという欠点があつた。

本考案は、このような欠点を解消した秘匿情報
隠蔽部材を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 この目的を達成するために本考案は、好ましく
は不透明なラベル等のシートの一面側における少
なくとも一対の対向辺に沿つて粘着剤を塗布し、
これら粘着剤塗布部分の内側部分には、ワツクス
層とシリコン層とを、加熱溶解すると接着可能に
なるとともに、接着後に剥離可能な接着力を有す
べく各層の厚さを調整した積層状態で設け、少な
くとも前記粘着剤に対して剥離処理を施した剥離
紙を剥離自在に貼着し、さらに好ましくは、シー
トの前記粘着剤と積層部分の境界部分、もしくは
境界部分に沿つた積層部分側には切り用ミシン目
等の切り取り部を設けたものである。

作 用 剥離紙を剥離した秘匿情報隠蔽部材を、帳票類
に対して、ワツクス層とシリコン層による積層部
分で秘匿すべき情報を覆うよう対応させたうえ加
熱すると、前記積層部分が溶解し、接着後一定以
上の力によつて剥離可能な接着力で前記帳票類に
接着する一方、粘着剤部分は前記帳票類に剥離不
能に貼着することにより、前記帳票類に対して全
面的に接着され、前記帳票類に表示された秘匿す
べき情報は隠蔽される。そして、前記秘匿情報隠
蔽部材の積層部分を破断剥離し、帳票類から除去
すれば、秘匿すべき情報が露出して判読可能にな
る。

実施例 以下、本考案の好適な実施例について、添付図
面に基づき詳細に説明する。

ここにおいて、第１図は秘匿情報隠蔽部材の拡
大断面図、第２図はその平面図、第３図は秘匿す
べき情報である定期預金残高が表示された葉書の
平面図、第４図は前記情報が秘匿情報隠蔽部材で
隠蔽された状態を示す平面図、第５図は葉書から
秘匿情報隠蔽部材の一部を剥離した状態を示す斜
視図、第６図は溶解加工後の状態における第１図
をさらに拡大した部分断面図である。

第１図及び第２図に示すように、用紙たる不透
明なラベル１の幅方向端の一対の対向辺に沿つ
て、切り取り部である一対の切り用ミシン目２
ａ，２ｂが設けられている。前記ラベル１の裏面
側には、前記一対の切り用ミシン目２ａ，２ｂの
外側に対応する部分に、粘着剤３が塗布されてい
る。また、前記裏面側における前記粘着剤３塗布
部分の内側、すなわち前記一対の切り用ミシン目
２ａ，２ｂの内側に対応する部分には、好ましく
は透明あるいは半透明なワツクス、例えばカルナ
バワツクス、パラフイン、マイクロクリスタリ
ン・ワツクス等からなるワツクス層４が設けられ
ている。そして、このワツクス層４に重ねて、同
じく好ましくは透明あるいは半透明で接着力の調
整を行うためのシリコン層５が設けられ、積層状
態に構成されており、これら各層４，５の厚さを
調整して、溶解による接着後に一定以上の力を加
えると剥離可能なように接着強度が設定される。
すなわち、前記ワツクス層４を厚くすれば接着強
度が高まる一方、前記シリコン層５を厚くすれば
接着強度が弱まるものである。この接着強度は、
接着後に葉書等の被接着体を持ち上げたり、反転
する等の通常の取扱いを行う際に、離反しない程
度でよい。また、溶解後一旦固まつた積層部分
は、剥離後には再接着が不能である。さらに、粘
着剤３と前記シリコン層５において、対向面側が
剥離処理され、幅方向両端にマージナル孔が設け
られた連続状態にある剥離紙１０に剥離自在に貼
着されている。一方、ラベル１の表面には、切り
用ミシン目２ａ，２ｂの内側部分に「このラベル
をミシン目より切り取り残高を御確認下さい。」
の文章と、「○○銀行」という銀行名が、印刷さ
れている。

次に、第３図に基づいて秘匿すべき情報である
定期預金残高が表示された葉書について説明す
る。

葉書６の表面には、その中央から右側部分に、
「定期預金残高通知」の表題の下に、秘匿すべき
情報たる定期預金残高があらかじめ印字された預
金残高表示欄７が設けられ、この欄７の大きさ
は、ラベル１のワツクス層４とシリコン層５によ
る積層部分とほぼ同一大に設定されている。ま
た、前記葉書６の表面における中央から左側部分
には、情報を通知すべき者の住所、氏名が印字さ
れた宛名印字部８が設けられる一方、発信元であ
る銀行名が印字された発信元印字部９が設けられ
ている。前記葉書６は、通常縦方向に切り用ミシ
ン目を介して連続状態にあり、この連続状態にお
いて移送れつつ前述の預金残高表示欄７及び各印
字部８，９に対してコンピユータに連繋されたプ
リンタにより印字されるものである。

本実施例は以上のような構成なので、ラベル１
を剥離紙１０から剥離したうえ、葉書６の預金残
高表示欄７部分に、ワツクス層４及びシリコン層
５からなる積層部分が対応するように載置して、
加圧しつつ加熱すれば、前記積層部分が溶解して
接着後に剥離可能な程度の適宜な接着力を生ずる
とともに、粘着剤３の粘着力によつて、前記葉書
６に全面的に確実に接着される。これによつて前
記葉書６は、第４図に示したように、預金残高が
隠蔽された状態で、投函可能となる。また、前記
溶解した積層部分は、溶解前には、ワツクス層４
がラベル１側に位置し、シリコン層５が葉書６側
に位置していたものであるから、ラベル１に対し
てよりも葉書６に対して剥離しやすい状態となつ
ている。

この第４図状態で葉書６を受領した宛名人は、
ラベル１の表面に印刷された指示にしたがつて、
各切り用ミシン目２ａ，２ｂから切り取ると、前
記各切り用ミシン目２ａ，２ｂの内側に対応する
部分には、剥離可能な積層部分が位置しているの
で、第５図に示したように、ラベル１の前記各切
り用ミシン目２ａ，２ｂの内側部分は、積層部分
をともなつた状態で前記葉書６から剥離されるこ
とになる。したがつて、隠蔽されていた預金残高
が露出し、宛名人はこれを視認することができる
ものである。

一方、宛名人が葉書６を受領する前に、何者か
が各切り用ミシン目２ａ，２ｂを切り離してラベ
ル１を剥離した場合には、一度切り離した各切り
用ミシン目２ａ，２ｂを再接着してラベル１を再
生することは不可能なので、前記宛名人は自己の
預金残高が秘匿状態にあるか、既に漏洩状態にあ
るかを一目で判別可能である。また、各切り用ミ
シン目２ａ，２ｂを切り離さずに、前記ラベル１
全体を葉書６から剥離しようとすれば、粘着剤３
を塗布した前記ラベル１の各切り用ミシン目２
ａ，２ｂの外側部分、あるいはこれに対応する葉
書６の部分が破損されるので、この場合にも宛名
人は、自己の預金残高が秘匿状態にあるか、既に
漏洩状態にあるかは一目で判別可能である。

なお、本考案は上述した実施例に限定されるも
のではなく、例えば、ラベル１は不透明であるこ
とが好ましいが、ラベル１とワツクス層４との間
に文字印刷やアルミ蒸着等による不透明層を設け
れば、透明であつても支障はない。また、シリコ
ン層５をラベル１側に、ワツクス層４を剥離紙１
０側にした積層状態で構成してもよい。さらに、
シートがラベル１に限らないことはいうまでもな
く、シートの材質としては、合成紙、樹脂フイル
ムでもよい。さらにまた、切り用ミシン目２ａ，
２ｂ等の切り取り部は必ずしも設ける必要はな
い。

効 果 以上説明したところで明らかなように、本考案
の秘匿情報隠蔽部材によれば、帳票類に全面的に
接着して秘匿すべき情報を確実に隠蔽でき、隠蔽
状態の帳票類を葉書として使用できるので経済的
であり、また、隠蔽後は秘匿情報隠蔽部材の一部
が剥離自在であるので、隠蔽状態を解除すべく、
剥離自在部分を帳票類から剥離除去したときに、
帳票類に表示した隠蔽情報が一緒に剥ぎ取られて
判読不能になることがないとともに、秘匿情報隠
蔽部材の一部は帳票類から剥離する必要がないの
で強固に接着し得るという多くの有益な効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の好適な実施例を示すもので、第１
図は秘匿情報隠蔽用部材の拡大断面図、第２図は
その平面図、第３図は秘匿すべき情報である定期
預金残高が表示された葉書の平面図、第４図は前
記情報がラベルで隠蔽された状態を示す平面図、
第５図は葉書からラベルの一部を剥離した状態を
示す斜視図、第６図は溶解加工後の状態における
第１図をさらに拡大した部分断面図である。 １……ラベル、３……粘着剤、４……ワツクス
層、５……シリコン層、６……葉書、７……預金
残高表示欄、１０……剥離紙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートの一面側における少なくとも一対の対向
   辺に沿つて粘着剤を塗布し、これら粘着剤塗布部
   分の内側部分には、ワツクス層とシリコン層と
   を、加熱溶解すると接着可能になるとともに、接
   着後に剥離可能な接着力を有すべく各層の厚さを
   調整した積層状態で設け、少なくとも前記粘着剤
   に対して剥離処理を施した剥離紙を剥離自在に貼
   着したことを特徴とする秘匿情報隠蔽部材。