JP2516640Y2 - 紙かわし装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は輪転印刷機の排紙装置において、先行して搬
送される紙と次に搬送される紙との上下関係を規制する
紙かわし装置に関する。

＜従来の技術＞ 巻紙輪転印刷機においては、例えば、印刷後に、乾燥
及び冷却されたウェブをフォーマで幅方向に半折りし、
所定の長さごとに断裁する折機が付設されている。この
折機において、一部づつ間欠的に搬送される折丁完成品
は排出コンベア上に落とされ、ずれ重ね状に排出される
が一般的であった。ウェブを枚葉紙に裁ってそろえて積
む装置としてシータがある。

シータは、折丁を供給する上下一対の高速ベルトとこ
の高速ベルトから折丁を受取って搬送する低速ベルトと
を有し、上下一対の高速ベルトのうち上高速ベルトの搬
出側が低速ベルトの搬入側上方に重ねられて配置されて
いる。而して、所定の大きさの断裁された折丁は上下一
対の高速ベルトに支持されて搬送され、低速ベルト上に
供給される。そして、搬送速度が減速され、随時この低
速ベルト上に供給される折丁がここでずれ重ね状に積み
重ねられ、低速で搬送されて排紙される。

＜考案が解決しようとする課題＞ 折丁は上下一対の高速ベルトの間に挟まれた状態で搬
送され、低速ベルト上に落とされる。このとき、上述し
た従来の排紙装置にあっては、折丁が上高速ベルトの下
面に付着してしまい、低速ベルト上の定位置に落ちない
ことがある。すると、次に搬送されてくる折丁と接触し
て傷が付いてしまったり、正しくずれ重ね状に積み重ね
られずに紙づまりを起こしてしまうという問題点があっ
た。

本考案はこのような問題点を解決するものであって、
折丁の搬送を確実にして輪転印刷機の高速化を図った紙
かわし装置を提供することを目的とする。

＜問題点を解決するための手段＞ 上述の目的を達成するための本考案の紙かわし装置
は、低速ベルトに紙を供給する上下一対の高速ベルトの
うち上高速ベルトの搬出側が該低速ベルトの搬入側上方
に重ねられ、前記低速ベルトの搬入側上方に先行して搬
送される紙と次に搬送される紙との上下関係を維持する
回転自在なスナッバが配設された紙かわし装置におい
て、前記上高速ベルトの上方に位置する前記スナッバの
外周面が該スナッバの回転に伴って該上高速ベルトの下
方に突出するように前記スナッバの外径が回転方向後方
に向かって漸増して形成されると共にその漸増した外周
端部に搬送される紙の紙尻側端部を前記上高速ベルトか
ら剥がす紙落とし込み部が形成されたことを特徴とする
ものである。

＜作用＞ 上下一対の高速ベルトから低速ベルト上に紙が供給さ
れるときに、スナッバの回転に伴ってこのスナッバの外
周面が上高速ベルトの上方から下方に突出することで、
搬送される紙がこの外周面によって下方に押し下げられ
ながら、その紙の紙尻側端部が紙落とし込み部によって
上高速ベルトから剥がされることで、紙は低速ベルト上
に正しく落とされる。

＜実施例＞ 以下、図面に基づいて本考案の実施例を詳細に説明す
る。

第１図及び第２図に本考案の一実施例に係る紙かわし
装置、第３図にスナッバ、第４図乃至第６図に作動原
理、第７図に紙かわし装置を備えた排紙装置を示す。

第７図に示すように、折機の左右のフレーム１間に一
対のニッピングローラ２と断裁胴３及び受胴４と上下一
対の高速ベルト5,6と低速ベルト７が折丁10の流れ方向
に沿って順次配設されている。

低速ベルト７は左右のフレーム１間に複数本が一組と
なって配置されると共に、この低速ベルト７の搬入側の
上方には上高速ベルト５の搬出側が所定の長さにわたっ
てオーバーラップされている。

第１図及び第２図に示すように、低速ベルト７の搬入
側上方には先行して搬送される折丁10と次に搬送される
折丁10との上下関係を維持するスナッバ11が設けられて
いる。

このスナッバ11は、第３図に示すように、回転軸12に
回転自在に支持されて高速ベルト5,6に伴って駆動回転
することができるようになっている。そして、外周形状
は回転中心Ｏを中心として点対称をなしている。即ち、
各外周形状はそれぞれ中心Ｏから距離Ｌ離れた点P,Qを
中心とする半径Ｒの円弧をなしている。従って、スナッ
バ11の外径は回転方向（第３図矢印方向）後方に向かっ
て漸増して形成されることとなる。

更に、スナッバ11の漸増した各外周面の端部には搬送
される折丁10の紙尻側端部を上高速ベルト５から剥がす
紙落とし込み部13が形成されている。そして、この紙落
とし込み部13は、第５図に示すように、下方に位置した
ときに上高速ベルト５よりも下方に突出するようになっ
ている。なお、スナッバ11の最大径部の周速は折丁10の
搬送速度よりも若干遅く設定されている。

また、低速ベルト７の搬出側上方には折丁10を減速し
て低速ベルト７上にずれ重ねするブレーキングローラ14
が設けられている。

更に、スナッバ11とブレーキングローラ14の間に位置
した低速ベルト７の上方にはブレーキングローラ14に折
丁10を案内するペーパーガイド15が設けられている。こ
のペーパーガイド15はフレーム１に架設された支持板16
に取付けられた複数の短冊状板からなっている。

一方、ペーパーガイド15に対向して低速ベルト７を支
持する支持テーブル17が設けられている。

而して、第７図に示すように、フォーマ折りされたウ
ェブがニッピングローラ２を通って断裁胴３及び受胴４
によって所定の長さに断裁されて折丁10となる。そし
て、この折丁10が上下一対の高速ベルト5,6により所定
のピッチで搬送され、低速ベルト７上に供給される。

先行して搬送される折丁10aは、第１図に示すよう
に、高速ベルト5,6に挟まれて低速ベルト７の上方に位
置する。これと共にスナッバ11が回転し、第４図に示す
ように、折丁10aはこのスナッバ11の回転方向後方に向
かって漸増した外周面によって低速ベルト７上に落とし
込まれる。

そして、折丁10aが更に搬送されると共にスナッバ11
が回転すると、第５図に示すように、折丁10aの紙尻側
端部がスナッバ11の紙落とし込み部13によって上高速ベ
ルト５から剥がされて低速ベルト７上に正しく落とされ
る。

このとき、次に搬送される折丁10bは先端がスナッバ1
1の下方位置まで搬送されているが、先行して搬送され
る折丁10aはすでに低速ベルト７上にその後端が落とし
込まれており、両者の干渉は阻止される。従って、第６
図に示すように、ここで折丁10aと折丁10bとの紙かわし
が行われる。

低速ベルト７上に落とし込まれた折丁10aはペーパー
ガイド15に案内されてその先端がブレーキングローラ14
に至る。折丁10aはここで減速され、この折丁10aの上方
に折丁10bがずれ重ねられて排紙される。

なお、上述の実施例において、本考案の紙かわし装置
を備えた排紙装置として折機を用いて説明したが、折り
を行わずに断裁するだけで排紙するシータのうち同様の
構成を有するものに用いても同様の効果を奏することが
できる。

＜考案の効果＞ 以上、実施例を挙げて詳細に説明したように本考案の
紙かわし装置によれば、上下一対の高速ベルトのうち上
高速ベルトの搬出側を低速ベルトの搬入側上方に重ねて
低速ベルトの搬入側上方に先行して搬送される紙と次に
搬送される紙との上下関係を維持するスナッバを配置
し、そのスナッバの外径を回転方向後方に向かって漸増
して形成すると共にその外周端部に紙尻側端部を上高速
ベルトから剥がす紙落とし込み部を形成したので、スナ
ッバによって紙を徐々に押し下げてなめらかに、且つ、
確実に低速ベルト上に落とし込むことで先行して搬送さ
れる紙と次に搬送されてくる紙との接触をなくし、傷の
発生や紙づまりを防止することができる。その結果、紙
かわしを確実に行うことで輪転印刷機の高速化を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る紙かわし装置の正面
図、第２図はその平面図、第３図はスナッバの正面図、
第４図乃至第６図は作動原理の説明図、第７図は紙かわ
し装置を備えた排紙装置の概略図である。 図面中、 ５は上高速ベルト、６は下高速ベルト、７は低速ベル
ト、10,10a,10bは折丁、11はスナッバ、13は紙落とし込
み部、14はブレーキングローラである。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】低速ベルトに紙を供給する上下一対の高速
   ベルトのうち上高速ベルトの搬出側が該低速ベルトの搬
   入側上方に重ねられ、前記低速ベルトの搬入側上方に先
   行して搬送される紙と次に搬送される紙との上下関係を
   維持する回転自在なスナッバが配設された紙かわし装置
   において、前記上高速ベルトの上方に位置する前記スナ
   ッバの外周面が該スナッバの回転に伴って該上高速ベル
   トの下方に突出するように前記スナッバの外径が回転方
   向外径に向かって漸増して形成されると共にその漸増し
   た外周端部に搬送される紙の紙尻側端部を前記上高速ベ
   ルトから剥がす紙落とし込み部が形成されたことを特徴
   とする紙かわし装置。