JP2514650Y2 - 後部ドアに副ドアを併設した車両 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、車両の後部ドアに副ドアを併設した車両に
関する。

従来の技術 従来、バン型の貨物自動車に於いては、積荷の出し入
れのために後部ドアを、車体に対し上下方向に廻動させ
て開閉する所謂跳ね上げ式に設置したもの、或いは後部
ドアを縦方向に２分割して、車体の後方開口部に対し
て、左右側方向に観音開き形式に取り付けたものがあっ
た。

考案が解決しようとする問題点 併し、何れの形式の場合も車体の後部開口に於ける後
部ドアの廻動中心即ちヒンジの設置位置は、跳ね上げ形
式のものでは後部開口の上部縁であり、また観音開き形
式のものでは後部開口の左右縁であるため、ドアを車体
外部に廻動させてドアを開閉する時には、ドアの開閉方
向への廻動にあわせて作業者は後ずさりしたり後部開口
に近づくように移動しなければならないという必要があ
って煩わしく、また後部ドアの開閉のために必要な専用
空間は、前者では後部ドアの長さを半径とした廻動空間
が必要であり、後者では第７図に示した軌跡（Ｘ）のよ
うに、少くとも後部ドアを２分した幅を半径とした廻動
空間が専用空間（Ｙ）として必要であるため、駐車した
際に後部ドアに近接して建物や塀や後続の車両があると
ドアを開けられず、或いは半開きしか出来ず、荷役作業
が困難か又は出来ないという問題があった。

本考案は、跳ね上げ式の後部ドア内に、左右側方から
更に車体の左右外側面側に沿って開閉可能なドアを組み
込んで、後部ドアを開閉して従来通りの作業を可能にす
ると共に必要に応じてこの副ドアを開閉して小型の荷物
の出し入れを可能にし、また副ドア開閉のための専用空
間を可及的に最小限にして、開閉時の作業者の移動距離
の削減による労働負担の軽減と作業能率の向上並びに狭
い場所、特に車幅方向の空間が狭い場所での副ドアの開
閉及び荷役作業を可能にすることを目的とした考案であ
る。

問題点を解決するための手段 本考案は車体（１）の後方の主開口部（1a）に後部ド
ア（２）を上下方向に開閉廻動自在に取り付け、該後部
ドア（２）に副開口部（2a）を穿設し、該副開口部（2
a）に於ける後部ドア（２）の上下のフレーム（2b）（2
b）の左右に、夫々の主リンク（３）の先端（3a）と夫
々の外副リンク（４）の先端（4a）とを軸（10）によっ
て同軸に軸支して、主リンク（３）と外副リンク（４）
とを左右水平方向に廻動自在に取り付け、更に主リンク
（３）の後端（3b）に、廻動中心（Ｏ）より間隔（Ｌ）
を介した位置に、内副リンク（５）の先端（5a）を軸
（11）によって軸支して、内副リンク（５）を主リンク
（３）の後端（3b）に左右水平方向に廻動自在に取り付
け、前記副開口部（2a）を開閉する左右の副ドア（６）
に、夫々の外副リンク（４）の後端（4b）を軸（14）に
より、また、内副リンク（５）の後端（5b）を軸（15）
によって軸支して、副ドア（６）を後部ドア（２）に対
して左右側方向に廻動自在に取り付けて成るものであ
る。

作用 本考案は上述のように構成したので、後部ドア（２）
を開閉するための廻動専用空間がある場所で、而も大き
い荷物の積み下ろし作業を行う場合は、従来の如く後部
ドア（２）を副ドア（６）と共に上下方向に廻動して開
閉して行い、またドア開閉専用空間や荷物が小さい場合
は、後部ドア（２）を閉じたまゝの状態で副ドア（６）
を解錠した後に左右両方か何れか一方の副ドア（６）に
水平外側方向の力を加えると、副ドア（６）は主リンク
（３）・外幅リンク（４）及び内副リンク（５）を介し
て外側方向に廻動して開くので、開いた副開口部（2a）
を利用して積荷の出し入れの作業を行う。そして後部ド
ア（２）と副ドア（６）とは、後部ドア（２）に廻動中
心（Ｏ）となる軸（10）によって同軸に軸支した主リン
ク（３）と、外副リンク（４）並びに該主リンク（３）
の後端（3b）に軸（11）によって廻動自在に連設した内
副リンク（５）を介して連繋させてあるので、副ドア
（６）を開いた場合に、一方の外副リンク（４）は、主
リンク（３）の廻動中心（Ｏ）たる軸（10）から軸（1
4）による副ドア（６）に対する軸支点までの長さを半
径として側方に水平廻動し、また他方の内副リンク
（５）は、主リンク（３）の廻動中心（Ｏ）たる軸（1
0）から副ドア（６）にたいする内副リンク（５）の軸
（15）支点までの伸縮自在に可変する長さを半径とした
範囲で側方に水平廻動するので、副ドア（６）の外側縦
縁（6b）はほゞ車体（１）の外側壁（1c）に接近して移
行し、副ドア（６）の外側縦縁（6b）及び内側縦縁（6
c）が移動するのは軌跡（イ）及び（ロ）の線上であっ
て、副ドア（６）はこの軌跡（イ）及び（ロ）に囲まれ
た専用空間（ハ）内のみで開閉移動する。

実施例 本考案の実施の一例を図面について説明すると、
（１）は車体、（２）は後部ドアで、該後部ドア（２）
は車体（１）の後方の主開口部（1a）の上部に設けたヒ
ンジ（７）を介して車体（１）の外部上下方向に開閉自
在に取り付け、更に該後部ドア（２）と主開口部（1a）
の左右の周縁（1b）との間に設けた伸縮自在の支間
（８）（８）によって後部ドア（２）の全開・半開の状
態を保持するように構成してある。そして、後部ドア
（２）に副開口部（2a）を穿設し、該副開口部（2a）の
上下、即ち後部ドア（２）の上部及び下部のフレーム
（2b）の左右に固着したブラケット（９）に、主リンク
（３）の先端（3a）を軸（10）により軸支して、主リン
ク（３）を上下のフレーム（2b）に対して水平方向に廻
動自在可能に取り付ける。更に主リンク（３）の先端
（3a）の軸（10）と同軸に外副リンク（４）の先端（4
a）を軸支し、主リンク（３）の廻動中心（Ｏ）即ち軸
（10）より間隔（Ｌ）を介して主リンク（３）の後端
（3b）に内副リンク（５）の先端（5a）を軸（11）によ
り左右水平方向に廻動自在に軸支する。前記外副リンク
（４）及び内副リンク（５）の後端（4b）及び（5b）
は、左右の副ドア（６）の内面（6a）に固着したブラケ
ット（12）及び（13）に軸（14）及び（15）により廻動
自在に軸支して、副ドア（６）を後部ドア（２）に対し
て左右側方に開閉自在に設置する。

図中、（3c）は外副リンク（４）の廻動を規制するた
め、主リンク（３）の先端（3a）の縁に立設したストッ
パーで、外副リンク（４）がほゞ90度の所まで開くと外
副リンク（４）の先端（4a）の側縁がストッパー（3c）
に衝合して外副リンク（４）の廻動が阻止され、主リン
ク（３）と外副リンク（４）はほゞ90度の位置関係を保
ったまゝ、軸（10）を中心に副ドア（６）が全開状態と
なる所まで回転する（第８図）。

効果 依って本考案によれば、後部ドアを開閉して大きな積
荷の出し入れを行い、小さい積荷の出し入れには後部ド
アを開閉することなく、副ドアを開閉して能率的且つ円
滑に荷役作業を行うことが出来る。そして後部ドアと副
ドアとを連繋させた外副リンクは車体の外側側に配設し
て主リンクと同軸に軸支すると共にこの外副リンクの後
端を副ドアの外側縦縁寄りに軸支されているので、外副
リンクは先端と後端の軸の間の長さを半径として廻動
し、副ドアの外側縦縁は軌跡（イ）を描きつゝ可及的に
車体の外側壁に沿って移行することゝなり、これに対し
内副リンクは主リンクを介して内副リンクの後端を副ド
アの内側縦縁寄りに軸支されているので、副ドアに対す
る内副リンクは、主リンクの廻動中心となっている軸か
ら内副リンクの後端の移動する軸までの可変する長さを
半径として廻転し、然もその廻転半径は前記外副リンク
の廻転半径に比べて大きいので、副ドアの内側縦縁は軌
跡（ロ）を描きつつ移動し、副ドアを全開した場合、副
ドアが車体の外側壁に沿って近接することとなり、副ド
ア全体の開閉時に於ける移動の軌跡（イ）（ロ）並びに
専用空間（ハ）は、第８図に示したように従来の観音扉
開閉形式後部ドアの開閉時の移動の軌跡（Ｘ）並びに専
用空間（Ｙ）に比べて著しく狭まって小さくて済み、作
業者は同じ位置に居てドアの開閉作業を行えるので大き
く移動する必要がなく、労力は軽減され、開閉作業を短
時間で行うことが出来、作業能率も向上し、また狭い場
所や間隙でのドアの開閉作業及び荷役作業も可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示したもので、第１図は本考案の
後部ドアを設けた車両を後方よりみた後部の斜視図、第
２図は後部ドアを開いた状態の車体の後部の斜視図、第
３図は後部ドアを閉じた状態で副ドアの一方を半開した
状態の斜視図、第４図は副ドアの一方を全開した状態の
斜視図、第５図は第１図のAA線縦断側面拡大図、第６図
は第５図に於ける上下のフレーム部分の拡大側面図、第
７図はだい３図のBB線横断平面拡大図、第８図は第４図
の左半分のCC線横断平面拡大図である。 符号： １……車体、3a……先端 1a……主開口部、3b……後端 1b……側縁、3c……ストッパー 1c……外側壁、４……外副リンク ２……外部ドア、4a……先端 2a……副開口部、4b……後端 2b……フレーム、５……内副リンク ３……主リンク、5a……先端 5b……後端、Ｏ……廻動中心 ６……副ドア、Ｌ……間隔 6a……内面、Ｘ……軌跡 6b……外側縦縁、Ｙ……専用空間 6c……内側縦縁 ７……ヒンジ、イ・ロ……軌跡 ８……支杆 ロ……専用空間 ９……ブラケット 10・11……軸 12・13……ブラケット 14・15……軸

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体（１）の後方の主開口部（1a）に後部
   ドア（２）を上下方向に開閉廻動自在に取り付け、該後
   部ドア（２）に副開口部（2a）を穿設し、該副開口部
   （2a）に於ける後部ドア（２）の上下のフレーム（2b）
   （2b）の左右に、夫々の主リンク（３）の先端（3a）と
   夫々の外副リンク（４）の先端（4a）とを軸（10）によ
   って同軸に軸支して、主リンク（３）と外副リンク
   （４）とを左右水平方向に廻動自在に取り付け、更に主
   リンク（３）の後端（3b）に、廻動中心（Ｏ）より間隔
   （Ｌ）を介した位置に、内副リンク（５）の先端（5a）
   を軸（11）によって軸支して、内副リンク（５）を主リ
   ンク（３）の後端（3b）に左右水平方向に廻転自在に取
   り付け、前記副開口部（2a）を開閉する左右の副ドア
   （６）に、夫々の外副リンク（４）の後端（4b）を軸
   （14）により、また、内副リンク（５）の後端（5b）を
   軸（15）によって軸支して、副ドア（６）を後部ドア
   （２）に対して左右側方向に廻動自在に取り付けたこと
   を特徴とする後部ドアに副ドアを併設した車両。