JP2512913B2 - ゴム系複合材料の製造方法 - Google Patents

ゴム系複合材料の製造方法

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JP2512913B2 JP61249370A JP24937086A JP2512913B2 JP 2512913 B2 JP2512913 B2 JP 2512913B2 JP 61249370 A JP61249370 A JP 61249370A JP 24937086 A JP24937086 A JP 24937086A JP 2512913 B2 JP2512913 B2 JP 2512913B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、線材、管材又はリボン材をゴムと接着、複
合化してゴム系複合材料を製造する方法に関し、更に詳
述すると同軸マグネトロンスパッタ法を利用して線材、
管材又はリボン材の外周面に金属薄膜を形成し、これと
ゴムとを複合化する方法に関する。
従来の技術及び発明が解決しようとする問題点 従来、線材、管材、リボン材等の外周面に均一に金属
薄膜を形成する手段としては、電気メッキや無電解メッ
キ等の湿式メッキ法、真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング等のドライメッキ法がメッキすべき基
体の材質や使用目的などに応じて採用されている。
しかし、電気メッキは通常金属材料を基体とする場合
に限られ、また無電解メッキはプラスチックスにも適用
可能な場合があるものの使用可能なメッキ金属種にかぎ
りがある。また、電気メッキ法、無電解メッキ法共に液
組成の厳密な管理が必要であるばかりでなく、廃液の処
理、前処理、後処理等に公害、安全衛生上の問題が少な
くない。
これに対し、近年、これらの問題を解決する新しいメ
ッキ法として、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ
ーティング、イオンビームスパッタリング等のドライメ
ッキ法が注目され、これは膜厚制御性の良さ、基材を問
わない、メッキする金属種に制約が殆どない、廃液等の
処理がない等の利点を有することから、有機・無機材料
を問わず、これらに装飾、磁性、導電性、その他種々の
被膜特性を与える機能性メッキ法として広く実用に共さ
れている。
しかし、これらのドライメッキ法もメッキしようとす
る基体が線状、管状、リボン状の場合にはその外周に均
一に金属薄膜形成することは容易ではない。しかも、こ
れら基体に通常の方法でドライメッキを施す場合には、
ターゲット材料や蒸着材料の使用効率は極めて低く、工
業的見地からするとコスト、生産性の両面で問題があ
る。例えば真空蒸着やイオンプレーティング法では、メ
ッキしようとする金属種を溶かして蒸発させるため、蒸
発源を重力に逆らって設置することは困難である。従っ
て、線材、管材、リボン材等の外周面に均一なメッキを
施す場合には、これら線材等を処理装置内で回転、反転
させるか、或いは巻き戻しをして再度メッキする必要が
あり、高度に複雑な装置を必要とする。また、通常の平
板型スパッタリング法やマグネトロンスパッタリング法
を用いた場合には、メッキソースの配置は自由である
が、原料の使用効率は極めて悪いものとなる。また、こ
の方式では、強磁性体を飛ばしてメッキしようとする場
合、ターゲットの下部や内側の磁石を強力にしたり、タ
ーゲットそのものに複雑な溝加工を施したり、或いは磁
石の先端をターゲット表面近傍に設置するなどして磁性
体表面に磁界を漏洩させる必要がある。
従って、以上のようなメッキ法によって線材、管材、
リボン材の外周面に金属薄膜を形成し、これをゴムと複
合化してゴム系複合材料を製造することは、金属薄膜の
膜厚の不均一性、コストや生産性等の点で種々問題を有
している。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、線材、管
材、リボン材の外周面に簡単かつ確実に膜厚の均一な金
属薄膜を形成でき、このため生産性よくかつ生産コスト
を低減して線材、管材、リボン材をゴムと接着性良く接
着、複合化することができるゴム系複合材料の製造方法
を提供することを目的とする。
問題点を解決するための手段及び作用 本発明は、上記目的を達成するため、線材、管材又は
リボン材の外周面に同軸マグネトロンスパッタ法により
均一にコバルト又はコバルトを主体とする合金からなる
金属薄膜を形成した後、この金属薄膜を有機コバルト塩
を含まないゴム組成物で覆い、これを加硫して、該金属
薄膜を介して線材、管材又はリボン材とゴムとを接着、
複合化するようにしたものである。
即ち、本発明者らは線材、管材、リボン材のゴムとの
接着、複合化について鋭意検討を行なった結果、これら
線材、管材、リボン材の外周面に同軸マグネトロンスパ
ッタ法の採用により高能率、かつ均一にコバルト又はコ
バルトを主体とする合金金属薄膜を連続して形成せしめ
ることができること、そして該金属メッキ表面を有機コ
バルト塩を含まないゴム組成物と接触して加熱加硫する
ことにより両者が強固に接着して良好なゴム系複合材料
が得られること、そしてこのように有機コバルト塩を含
まないゴム組成物を用いたことにより、有機コバルト塩
の添加に基づく接着力の経時劣化、破断強度、伸度等の
熱老化を抑制し得、耐久性に優れたゴム系複合材料を得
ることができるを知見した。
この場合、同軸マグネトロンスパッタ法にて線材、管
材、リボン材に金属薄膜を形成するに際し、カソード陰
極(ターゲット)より放出される大量の電子を吸収する
ための棒、パイプ、コイル等の電子吸収体をそのスパッ
タ部に設けることにより、メッキされる基体のメッキ時
における温度上昇と損傷を最小に押さえ、基体の温度上
昇による物性変化を少なくすることができること、また
このような電子吸収体の設置は、スパッタ部における放
電を容易にし、メッキされる基体が導電性、非導電性を
問わず良好にメッキされることを見出し、本発明をなす
に至ったものである。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の複合材料の製造方法は、まず線材、管材又は
リボン材の外周面に同軸マグネトロンスパッタ法により
均一にコバルト又はコバルトを主体とする合金からなる
金属薄膜を形成した後、この金属薄膜を有機コバルト塩
を含まないゴム組成物で覆い、これを加硫して、該金属
薄膜を介して線材、管材又はリボン材とゴムとを接着、
複合化するもので、本発明で得られたゴム系複合材料は
タイヤ、コンベアベルト、ホース等を始め、家庭用品、
玩具等の広い用途に好適に用いられる。
ここで、同軸マグネトロンスパッタ法は、円筒シリン
ダー状ターゲットの内部にメッキしようとする線材、管
材、リボン材を配置してターゲット表面と平行な磁界を
かけ、ターゲットにDCマイナス電位を印加してスパッタ
メッキを施す方法であり、被メッキ材の外周面に高速か
つ均一なメッキが可能であり、またターゲット材から飛
びだした金属粒子は被着体にメッキされない場合、シリ
ンダーの反対側の内壁に付着して再利用されるので無駄
が非常に少ないものである。
第1図はこのような同軸マグネトロンスパッタ法に用
いる装置の一例を示す。
即ち、第1図中1は円筒状のターゲット支持体、2は
この支持体1の両端内周縁にそれぞれ突設されたリング
状の電子反射板で、両端部にリング状端面をそれぞれ有
する円筒状のターゲット3が上記ターゲット支持体1及
び電子反射板2,2により保持される。上記支持体1の両
端部にはそれぞれ絶縁フランジ4,4を介して円筒体5,5が
連結されている。これら円筒体5,5の先端開口部は蓋体
6,6によりそれぞれ閉塞され、一方の円筒体5には真空
ポンプ7と接続する排気吸引口8が形成され、真空ポン
プ7の作動によって支持体1及び両円筒体5,5(真空チ
ャンバー)内が所定真空度に調整されると共に、他方の
円筒体5にはアルゴンガス導入口9が形成されている。
なお、図中10はターゲット支持体1に接続したDC高電圧
電源、11はソレノイドコイル、12はDC定電流電源であ
り、また13は真空ゲージである。
このような装置を用いて線材、管材又はリボン材(以
下、基体という)をメッキする場合は、第1図に示すよ
うに基体14を蓋板6,6を気密に貫通してターゲット支持
体1内にその中心軸線と一致するように配置し、上述し
たように基体14にダーゲット3表面と平行な磁界をか
け、ダーゲット3にDCマイナス電位を印加してスパッタ
メッキを施すものである。この場合、ターゲット表面と
平行な磁場の印加法としては、支持体の外側に永久磁
石、電磁石を1〜複数個設置しても良いが、図示したよ
うにソレノイドコイルを1〜複数個設置しても良い。こ
のような形式ではターゲット材が強磁性体の場合でも、
コイルへの電流量を調整するだけで容易にスパッタメッ
キが達成される。また、このような同軸マグネトロンス
パッタ法においては、その内部に電子反射板を設置した
りソレノイドコイルを3個以上設置する場合、両端のコ
イルに反対電流を流してミラー磁界を発生させ、磁場分
布の均一化を図ることもできる。
なお、本発明において、同軸マグネトロンスパッタの
条件は、特に制限されない。しかし、アルゴンガス圧力
が10-4〜10-1Torrで放電が起こり、スパッタリングが行
なわれるが、放電の安定性、スパッタリング速度といっ
た点からは10-3〜10-2Torrでのスパッタリングが望まし
い。
また、基体(線材、管材、リボン材)を連続的に移動
させることにより、連続処理が行なわれる。
更に、同軸マグネトロンスパッタリングを行なう場
合、ターゲット支持体1内(スパッタ部)に電子吸収体
を配置し、この吸収体にターゲットより放出される大量
の電子を吸収させながらスパッタリングを行なうことが
できる。この場合、電子吸収体は導電性材料により形成
される。また、その形状も適宜選定されるが、例えば第
2図Aに示すようなパイプ状、第2図Bに示すように一
対のリング体15,15間に複数本の棒状体16を架設したも
の、第2図Cに示すようなスパイラル状等に形成するこ
とができる。また、これら吸収体17をスパッタ部に配設
する場合の態様は、吸収体17の形状等に応じて異なる
が、第2図Aのパイプ状の吸収体17の場合は、第3図A
に示したように一対の吸収体17を円筒状ターゲット3の
両端部付近に互いに対向させて配設し、基体14がこれら
吸収体17内を通るように配置する。また、第2図B,Cに
示すようなスパッタ金属通過空隙18を有する吸収体17の
場合には、第3図B,Cに示すようにダーゲット3の一端
部から他端部にかけて配設し、基体14は吸収体17内を通
るように配置する。このように吸収体17を配設すること
により、基体のメッキ時における温度上昇と損傷を防止
し、基体の温度上昇による物性変化を少なくすることが
でき、しかもスパッタ部における放電を容易とし、基体
に良好にメッキを施すことができる。
なお、電子吸収体はターゲット(マイナス電位)及び
基体(アース電位)と絶縁して配設されるが、電子吸収
体には正のバイアス電位を印加することができ、印加す
べきバイアス電位を適宜選定する(例えば0〜100V)こ
とにより、基体に流れる電流を零にすることができる。
なおまた、棒状、スパイラル状の電子吸収体は管状物
を用いて作製することができ、このように管状物を用い
ることにより、この中に冷却媒体を通すことで基体温度
の上昇を防ぐことができる。
本発明は、以上のような同軸マグネトロンスパッタ法
を採用して基体(線材、管材、リボン材)の外周面に金
属薄膜を形成するものであるが、この場合基体の材質に
特に制限はなく、スチール、ステンレススチール等をは
じめとする金属材料、アモルファススチールなどのアモ
ルファス合金等の各種金属材料、プラスチック、天然又
は合成繊維等の各種有機材料、石英、ガラス、セラミッ
ク等の無機材料のいずれであってもよい。また、その形
状もコード、ワイヤー、パイプ、繊維、ストランド等、
種々の形状のものが使用されるが、特に本発明はスチー
ルワイヤー,スチールコード,スチールタイヤコード,
スチールケーブル,スチールストランド,スチールロッ
ド,スチールフィラメント等のスチールコード類などの
金属基体をゴム組成物と複合化する場合に好適に採用さ
れ、これらスチールコード類などの金属基体をゴム組成
物と複合化することにより、タイヤ類、動力伝達ベルト
類、コンベアベルト類、ホース類等の繊維状金属を芯材
に用いたゴム系複合材料や防振ゴム、免震材、ゴムロー
ラ、ラバースクリーンなどの広範囲に亘る各種ゴム製品
や部品類を製造することができる。なおここで、スチー
ルコード類は、ゴム物品の強化あるいは補強に利用され
る金属製強化材料を総称したもので、この点につき更に
説明すると、一般にスチールコード類をゴム物品の強化
や補強に使用する場合、その効果を高めるために伸線し
て細線化したものを用いている。しかしながらスチール
コード類はそのままでは細線化が難しく、このためその
上に湿式メッキ、例えば電気メッキ法などを採用して亜
鉛、真鍮等を付着させ、これら付着金属の作用により細
線化をスムーズに行なっている。従って、本発明でいう
スチールコード類は、その表面に異種金属をメッキ等し
たものを含むものである。
本発明においては上記基体の外周面にコバルト又はコ
バルトを主体とする合金薄膜を形成する。これら金属薄
膜の膜厚には特に制限はないが、10A〜100μmが薄膜の
生産性から好ましく、複合体の性質に影響を及ぼさない
程度の薄膜といった点から特に10A〜1μmが好まし
い。
本発明のゴム系複合材料の製造方法は、上記方法によ
り得られた金属薄膜上にゴム組成分を加熱圧着して加硫
接着する方法によりゴム系複合材料の製造を行なうもの
である。
ここで、本発明に用いられるゴム組成物中のゴム成分
は、天然ゴム(NR)、および構造式中に炭素−炭素二重
結合を有する合成ゴムを単独あるいは2種以上ブレンド
したものが使用できる。上記合成ゴムにはイソプレン、
ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン化合物の単独
重合体であるポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエ
ンゴム(BR)、ポリクロロプレンゴム等、前記共役ジエ
ン化合物とスチレン、アクリロニトリル、ビニルピリジ
ン、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレート
類、アルキルメタクリレート類等のビニル化合物との共
重合体であるスチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、
ビニルピリジンブタジエンスチレン共重合ゴム、アクリ
ロニトリルブタジエン共重合ゴム、アクリル酸ブタジエ
ン共重合ゴム、メタクリル酸ブタジエン共重合ゴム、メ
チルアクリレートブタジエン共重合ゴム、メチルメタク
リレートブタジエン共重合ゴム等、エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン等のオレフィン類とジエン化合物との
共重合体〔例えばイソブチレンイソプレン共重合ゴム
(IIR)〕、オレフィン類と非共役ジエンとの共重合体
(EPDM)〔例えばエチレン、プロピレン、シクロペンタ
ジエン三元共重合体、エチレンプロピレン−5−エチリ
デン−2−ノルボルネン三元共重合体、エチレンプロピ
レン−1,4−ヘキサジエン三元共重合体〕、シクロオレ
フィンを開環重合させて得られるポリアルケナマー〔例
えばポリペンテナマー〕、オキシラン環の開環重合によ
って得られるゴム〔例えば硫黄加硫が可能なポリエピク
ロロヒドリンゴム〕、ポリプロピレンオキシドゴム類等
が含まれる。また、前記各種ゴムのハロゲン化物、例え
ば塩素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Cl−II
R)、臭素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Br−I
IR)等も含まれる。更に、ノルボルネンの開環重合体も
用い得る。また更に、ブレンドゴムとしては上述のゴム
にエピクロルヒドリンゴム、ポリプロピレンオキシドゴ
ム、クロルスルフォン化ポリエチレン等の飽和弾性体を
ブレンドして用いることもできる。
本発明に用いられるゴム組成物は、上記ゴム成分以外
に、常法に従い、製造するゴム系複合体の目的、用途な
どに応じてカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、クレイ、ケイソウ土、マイカ等の
充填剤、鉱物油、植物油、合成可塑剤等の軟化剤、及び
ステアリン酸等の加硫促進剤、老化防止剤、硫黄その他
の架橋剤等を添加することができるが、本発明で用いる
ゴム組成物には有機コバルト塩を配合しない。即ち、コ
バルト又はコバルトを主体とする合金薄膜の形成によ
り、ゴム組成物中の有機コバルト塩の配合をなくすこと
ができ、有機コバルト塩を全く使用しない組成にして
も、ゴム組成物と各種基体の接合力を損なうことがな
く、優れた接着を与えることができ、従って有機コバル
ト塩の添加に基づく接着力の経時劣化、破断強度、伸度
等の熱老化を抑制し得、耐久性に優れたゴム系複合材料
を得ることができる。
上記ゴム組成物と金属薄膜を形成した基体との接合
は、上述した如く金属薄膜上にゴム組成物を加熱圧着し
て加硫接着するものであるが、本発明のゴム系複合材料
の製造法に用いられる加硫法としては、一般的でかつ最
も重要な硫黄加硫のほかに、例えばジチオジモルフォリ
ン、チラウム加硫等の有機硫黄化合物による有機硫黄加
硫などが挙げられる。ここで、硫黄加硫や有機硫黄加硫
法を採用する場合、硫黄成分の量は通常ゴム成分100部
に対し4〜8部であるが、金属薄膜としてコバルト又は
コバルト合金薄膜を形成した場合にはゴム組成物との接
合力が向上し、硫黄分を4部より少なくしても優れた接
着力を示し、従って硫黄の過剰使用による加硫後のゴム
の熱老化を避けることができ、引張強度、破断強度、伸
度等のゴム物性を良好に維持し得、耐久性に優れたゴム
系複合材料を得ることができるので、硫黄分を0.5〜4
部とすることが好ましい。
なお、本発明のゴム系複合材料の製造方法にて行なわ
れる加熱及び圧着の操作は、基体及びゴム組成物の原形
を損なうことのない程度の温度、圧力にて金属薄膜の形
成された基体とゴム組成物とを密着すること、及び金属
薄膜と加硫ゴム組成物との反応を形成するに必要な賦活
熱エネルギーを供給すること、更にはゴム組成物を加硫
するに必要な賦活熱エネルギーを供給することを目的と
して行なわれるものであり、このための適正な温度、圧
力は基体及びゴム組成物の種類により適宜選定され、そ
の範囲は特に限定されない。
発明の効果 以上説明したように、本発明によれば、線材、管材、
リボン材の外周面に簡単かつ確実に均一な金属薄膜を形
成することができ、生産性よくかつ生産コストを低減し
て線材、管材、リボン材とゴムとを接着性良く接着、複
合化できる。
次に実験例を示す。
〔実験例1〕 第1図に示した同軸マグネトロン装置を用い、ダーゲ
ットとしてアルミニウムを円筒状に加工して挿入し、基
体としてスチール棒(径5mmφ)を円筒の中心に設置し
た。装置内をまず10-5torr以下に排気し、次いでアルゴ
ンガスを導入してガス圧を10-3torrに調整した後、外部
ソレノイドコイルに直流電流を流し、アルミニウムター
ゲット上に約100ガウスの平均磁場を形成し、アルミニ
ウムターゲットに200Wの負直流を印加してスパッタリン
グを実施した。このときスチール棒は毎分1mの速度で移
動させた。この方法により、平均膜厚150Åの良好かつ
均一なメッキ膜がスチール棒の全周にわたって形成され
た。
〔実験例2〕 実施例1のアルミニウムに代えてコバルトを円筒状に
加工したものをターゲットとして使用し、基体としてス
テンレススチール棒を用いたほかは実験例1と全く同様
にしてコバルトメッキを行なった。その結果、膜形成速
度がアルミニウムの場合に比してやや遅い(120A/min)
ほかはアルミニウムの場合と同様にステンレススチール
棒の全周にわたって均一なコバルトメッキ膜が形成され
た。
〔実験例3〕 同軸マグネトロンスパッタ装置の基体形状による放電
状態を測定した。
基体形状としては、SUS製丸棒1φ、2φ、5φ、8
φ、13φのものを用い、基体側を接地(アース)した。
ターゲットはCoを用い、スパッタ条件は実験例2と同様
にして行なった。結果を第1表に示す。
第1表に示されたように、基体径が2φ以下に細くな
ると、放電が起きにくいためにスパッタできないが、径
が5φ以上になると安定な放電が得られることがわかっ
た。
〔実験例4〕 実験例3の結果より基体が細い径(2φ以下)では安
定放電が得られないため、第2図に示す電子吸収体をス
パッタ部に第3図に示すように配設し、実験例3と同様
の評価を行なった。なお、電子吸収体はターゲット部
(マイナス電位)及び基板(アース電位)と絶縁されて
おり、バイアス電位を印加することができるため、バイ
アスの印加有無による放電性も検討した。この場合、バ
イアス電位は基板に流れる電流をゼロにするだけの電位
を与えた(約+5〜100V)。基体はSUS棒、スチールワ
イヤー等の電気伝導製材料のほかに有機、無機の絶縁性
材料も用いた。更に、各々の場合の基体温度も熱電対を
用いて測定した。その結果を第2表に示す。
第2表の結果より、第2図Aの筒状の電子吸収体で
は、導電性基体においては安定放電を起すために有効で
あるが、絶縁性基体では放電は起りにくかった。これに
対し、第2図B,Cの形状の電子吸収体は、基体が導電性
であっても絶縁性であっても安定な放電が得られる。ま
た、基体温度(導電材料)は電子吸収体の形状に大きく
左右される。一方、バイアス電位を印加しない場合、基
体に電子が流れ込むため、基体が加熱されてその温度が
上昇するが、バイアスを印加すると基体側に電子が流れ
なくなるため、基体加熱が抑制される。従って、以上の
ことから電子吸収体の形状、バイアス電位の有無によ
り、基体の温度上昇を防ぎ、基体に変化を与えずに金属
をスパッタできることがわかった。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。
〔実施例1〕 実験例4に従い、電子吸収体として第2図Aの円筒状
のものを用い、第3図Aのように配設してバイアス電位
を印加する方法を採用し、基体として黄銅メッキされた
コード径1.2mmのより構造3+6のスチールコードを用
いて第1図に示した同軸マグネトロンスパッタ連続装置
にて外周面にCo薄膜を形成した。
次に、この基体のCo薄膜に第3表に示す未加硫ゴム組
成物I,IIを貼り合せた後、温度145℃で40分間加圧して
上記ゴム組成物を加硫接着した。
上記ゴム組成物を加硫接着して得られた複合材料につ
き、引張り試験機により50mm/minの引張り速度にて剥離
試験を行ない、接着性を評価した。その結果を第4表に
示す。
第4表に示すように、同軸マグネトロンスパッタ法で
連続形成したCo膜を付着させたスチールコードは、ゴム
組成物中に有機コバルト塩が配合されていてもいなくて
も、又、Co膜厚の如何にかかわらず、ゴムと優れた接着
性を示した。
〔実施例2〕 第2図A,Cの電子吸収体を用いてバイアスを印加する
方法により、基体として鉄を主成分とするシリカ及びボ
ロンを含む撚糸されたアモルファススチールコード(径
0.6mm)の外周面に実施例1と同様にCo薄膜を形成し
(ターゲット入力電力は600W)、ゴム組成物I,IIと接着
して、その接着性の評価をした。
なお、アモルファススチールコードは、高温下で長時
間さらされると相変化を起こし、鋼破断強度が低下する
ため、Co薄膜形成後の破断強度も評価した。結果を第5
表に示す。
第5表に示すように、同軸マグネトロンスパッタ法で
連続形成したCo薄膜を付着させたアモルファススチール
コードは、ゴム組成物中に有機コバルト塩が配合されて
いるか否かにかかわらず、また、Co膜厚の如何にかかわ
らず、ゴムと優れた接着性を示した。また、アモルファ
ススチールコードのスパッタ前後の鋼破断強度も低下し
ないため、アモルファススチールコードに熱履歴を与え
ず、強度を低下せずにゴム複合体を製造できることがわ
かった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に用いる同軸アグネトロンスパッタ装置
の一例を示す概略断面図、第2図A〜Cはそれぞれ電子
吸収体の一例を示す斜視図、第3図A〜Cはそれぞれ同
電子吸収体の配設態様を示すスパッタ部の概略断面図で
ある。 1……ターゲット支持体、3……ターゲット、 7……真空ポンプ、10……DC高電圧電源、 11……ソレノイドコイル、12……DC高電圧電源、 14……基体、17……電子吸収体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 草野 行弘 所沢市上安松144 (56)参考文献 特開 昭59−29145(JP,A) 特開 昭56−38246(JP,A) 特公 昭57−2272(JP,B2)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】線材、管材又はリボン材の外周面に同軸マ
    グネトロンスパッタ法により均一にコバルト又はコバル
    トを主体とする合金薄膜を形成した後、このコバルト又
    はコバルトを主体とする合金薄膜を有機コバルト塩を含
    まないゴム組成物で覆い、これを加硫して、該コバルト
    又はコバルトを主体とする合金薄膜を介して線材、管材
    又はリボン材とゴムとを接着、複合化することを特徴と
    するゴム系複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】線材、管材又はリボン材がスチールのコー
    ド、ワイヤー又はパイプである特許請求の範囲第1項記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】線材、管材又はリボン材がアモルファスス
    チールのコード、ワイヤー又はリボンである特許請求の
    範囲第1項記載の製造方法。
  4. 【請求項4】線材、管材又はリボン材が有機材料の繊
    維、ストランド、リボン又はパイプである特許請求の範
    囲第1項記載の製造方法。
  5. 【請求項5】線材、管材又はリボン材が石英、ガラス又
    はセラミックから形成された特許請求の範囲第1項記載
    の製造方法。
  6. 【請求項6】同軸マグネトロンスパッタ装置の内部に電
    子吸収体を設けて、ターゲットから放射される電子をこ
    の電子吸収体に吸収させながらスパッタリングを行なう
    ようにした特許請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか
    1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】電子吸収体に正バイアスをかけることを特
    徴とする特許請求の範囲第6項記載の製造方法。
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