JPH08296032A - ゴム系複合材の製造方法 - Google Patents

ゴム系複合材の製造方法

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JPH08296032A JP12316695A JP12316695A JPH08296032A JP H08296032 A JPH08296032 A JP H08296032A JP 12316695 A JP12316695 A JP 12316695A JP 12316695 A JP12316695 A JP 12316695A JP H08296032 A JPH08296032 A JP H08296032A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基材表面に酸化コバルト薄膜を形成したの
ち、該薄膜上にゴム組成物を形成し、次いでこのゴム組
成物を加硫してゴム系複合材を製造する方法において、
上記酸化コバルト薄膜を、コバルトをターゲットとし、
酸素分子を有するガスを含有する不活性ガスの存在下に
おいてターゲットにDC電源を用いてパワーを投入した
際、ターゲット及び基材間の電圧が急激に上昇する変移
点以上のパワーでスパッタリングすることにより形成す
ることを特徴とするゴム系複合材の製造方法。 【効果】 本発明によれば、酸化コバルトの酸化度を簡
単かつ確実にコントロールしてこれを高め、基材とゴム
層とを強固に接合することができ、ゴム複合体の耐湿熱
劣化性を大幅に向上させることができるものである。ま
た、本方法は従来方法と比較して1工程でCoOx薄膜
を装置依存性なく作製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材とゴム層との接着
性に優れたゴム系複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】防振ゴ
ムなどの金属とゴムとの複合材は従来より広く使用され
ているが、この場合金属とゴムとは強固に接合している
ことが必要である。
【0003】本出願人は、このような点から特開昭62
−87311、62−246278号公報において、ド
ライプレーティング法によりコバルト又はコバルト合金
を基材上に成膜することで未加硫ゴム加硫時に基材/ゴ
ムが強固に接合する複合体を製造する方法を提案した。
また、特開平1−290342号公報では基材/ゴム複
合体製造後の耐久性(耐湿熱劣化性)を向上させる目的
でコバルト成膜時及び成膜後の熱処理によりコバルトの
酸化を行っている。
【0004】しかし、このように特開平1−29034
2号公報では耐湿熱性の向上のために成膜時に酸素ガス
をアルゴンガスに混入させて反応性スパッタリングを行
うことで酸化コバルト膜を得ているものの、この方法の
みでは酸化が不十分で、耐湿熱劣化性が向上しない。こ
の場合、成膜後に熱処理を行ってコバルトをより酸化さ
せることで耐湿熱劣化性を向上させることができる。し
かし、この方法は、2段階処理(2工程)が必要である
こと、また、実行化に向けて上記方法で反応性スパッタ
リングを他の装置で行っても良好な接着性が得られず、
スケールアップが容易に図れない状態であった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
酸化コバルト薄膜の酸化度を簡単かつ確実に高め、コン
トロールすることができ、基材とゴムとを密着性よく接
合し得ると共に、スケールアップが可能なゴム系複合材
の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、基材表面
に酸化コバルト薄膜を形成したのち、該薄膜上にゴム組
成物を形成し、次いでこのゴム組成物を加硫してゴム系
複合材を製造する方法において、上記酸化コバルト薄膜
を、コバルトをターゲットとし、酸素分子を有するガス
を含有する不活性ガスの存在下においてターゲットにD
C電源を用いてパワーを投入した際、ターゲット及び基
材間の電圧が急激に上昇する変移点以上のパワーでスパ
ッタリングすることにより形成することが有効であるこ
とを知見した。
【0007】即ち、基材表面にCoOxで示されるコバ
ルト酸化膜をスパッタリング法、特にマグネトロンスパ
ッタリング法で形成する場合、不活性ガスと酸素分子を
有するガスの比率を変えて装置内に流し、その時のコバ
ルトターゲットへの投入パワーに対して、投入電圧をプ
ロットすると、ある電力以上になると急激に電圧が上昇
する変移点が現れる。この変移点はスパッタ時の不活性
ガスと酸素の比率、スパッタ時の圧力などに依存して変
化するが、どのような条件下でも変移点以上の電力で成
膜した膜は適度に酸化されているため、後処理として熱
処理を施さなくても耐湿熱性に優れた接着性を得ること
ができる。成膜法の異なるスパッタリング装置を用いた
場合にも、同様の変移点が観測され、変移点以上の電力
下で成膜した膜はゴムと加硫接着後の耐湿熱劣化性に優
れていることを見い出し、本発明をなすに至ったもので
ある。
【0008】従って、本発明は、基材表面に酸化コバル
ト薄膜を形成したのち、該薄膜上にゴム組成物を形成
し、次いでこのゴム組成物を加硫してゴム系複合材を製
造する方法において、上記酸化コバルト薄膜を、コバル
トをターゲットとし、酸素分子を有するガスを含有する
不活性ガスの存在下においてターゲットにDC電源を用
いてパワーを投入した際、ターゲット及び基材間の電圧
が急激に上昇する変移点以上のパワーでスパッタリング
することにより形成することを特徴とするゴム系複合材
の製造方法を提供する。
【0009】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明のゴム系複合材の製造方法において、対象と
なる基材の種類は特に制限されず、金属、セラミック
ス、プラスチック等に適用可能である。この場合、金属
基材の種類としては、例えば鉄鋼、ステンレススチー
ル、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、
銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アモルファス合金などが
挙げられるが、これらに限定されるものではない。ま
た、セラミックス、プラスチックとしてもその目的に応
じて種々のものを選定することができる。この基材の形
状、サイズなどは目的に応じて適宜選定される。
【0010】これらの基材表面に酸化コバルト(CoO
x)膜を形成する場合、その前処理としてクリーニング
処理をすることが望ましい。その方法としては、溶剤洗
浄、超音波洗浄、酸、アルカリ洗浄等の湿式法、コロナ
放電処理法、不活性ガス雰囲気で行う大気圧プラズマク
リーニング法、真空中で行うプラズマクリーニング法、
逆スパッタ法等の乾式法が挙げられる。これらの処理に
より基材とCoOx膜との密着性を高めることが望まし
い。
【0011】上記基材に対するCoOx膜の形成方法と
しては、特に、CoOx膜をコントロールしながら作製
するためにはDCマグネトロンスパッタリング法、対向
ターゲット型スパッタリング法等が適している。
【0012】これらの方法によりCoOx膜を形成する
場合、成膜時に酸化性を有するガスとスパッタリングの
ためのガスを混合し反応させる方法が好適で、一般には
反応性スパッタリング法が採用される。この場合、酸化
するためのガスとして、酸素、オゾン、空気、水等の酸
素原子を有するものを使用できるが、特に限定するもの
ではない。スパッタリング用の不活性ガスとしてはヘリ
ウム、アルゴン等が用いられるが、工業的に用いること
から最も安価なアルゴンが好ましい。これらのガスの混
合比を変えることでCoOx膜の酸化度をコントロール
することができるが、使用する装置の大きさ、コバルト
ターゲットの大きさ、真空チャンバーの到達真空度、ス
パッタリング方法の違い等により得られる酸化度はばら
つく。
【0013】本発明においては、上述したように所定真
空度(ガス圧力)での種々の不活性ガスと酸素分子を有
するガスとの比率におけるターゲットに投入するDCパ
ワーに対する投入電圧の変化を測定し、図1に示すよう
な投入パワー対ターゲット及び基材間の電圧(投入電
圧)曲線を作成し、該電圧が急激に変化(上昇)するパ
ワーの変移点を求める。
【0014】そして、スパッタリングを、この変移点以
上のパワーで成膜を行うものである。この場合、変移点
近傍では接着性にばらつきが生じるおそれがあるため、
好ましくは少なくともパワー変移点より30W以上、よ
り好ましくは50W以上、更に好ましくは100W以上
のパワーでスパッタリングを行う。これにより、酸化コ
バルトの酸化度が高く、優れた接着性を有する酸化コバ
ルト薄膜が得られる。
【0015】なお、スパッタリングのその他の条件は公
知の条件とすることができるが、真空度は通常1mTo
rr〜1Torrとすることが好ましく、また、不活性
ガスに対する酸素分子を有するガスの混合割合は、投入
する電力により異なるが、容量比として不活性ガス:O
2=100:0.1〜100:100の範囲とすること
が好ましい。
【0016】酸化コバルト膜の膜厚は目的に応じて選定
することができるが、通常10Å〜100μmが薄膜の
生産性から好ましく、特に50Å〜1μmが好ましい。
【0017】一方、本発明で用いるゴム組成物中のゴム
成分としては、天然ゴム(NR)、及び構造式中に炭素
−炭素二重結合を有する合成ゴムを単独で或いは2種以
上ブレンドして使用できる。上記合成ゴムには、イソプ
レン、ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン化合物
の単独重合体であるポリイソプレンゴム(IR)、ポリ
ブタジエンゴム(BR)、ポリクロロプレンゴム等、前
記共役ジエン化合物とスチレン、アクリロニトリル、ビ
ニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルア
クリレート類、アルキルメタクリレート類等のビニル化
合物との共重合体であるスチレンブタジエン共重合ゴム
(SBR)、ビニルピリジンブタジエンスチレン共重合
ゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合ゴム、アクリ
ル酸ブタジエン共重合ゴム、メタアクリル酸ブタジエン
共重合ゴム、メチルアクリレートブタジエン共重合ゴ
ム、メチルメタアクリレートブタジエン共重合ゴム等、
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類
とジエン化合物との共重合体〔例えばイソブチレンイソ
プレン共重合ゴム(IIR)〕、オレフィン類と非共役
ジエンとの共重合体(EPDM)〔例えばエチレン−プ
ロピレン−シクロペンタジエン三元共重合体、エチレン
プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共
重合体、エチレンプロピレン−1,4−ヘキサジエン三
元共重合体〕、シクロオレフィンを開環重合させて得ら
れるポリアルケナマー〔例えばポリペンテナマー〕、オ
キシラン環の開環重合によって得られるゴム〔例えば硫
黄加硫が可能なポリエピクロロヒドリンゴム〕、ポリプ
ロピレンオキシドゴム等が含まれる。また、前記各種ゴ
ムのハロゲン化物、例えば塩素化イソブチレンイソプレ
ン共重合ゴム(Cl−IIR)、臭素化イソブチレンイ
ソプレン共重合ゴム(Br−IIR)等も含まれる。更
に、ノルボルネンの開環重合体も用い得る。また更に、
ブレンドゴムとしては上述のゴムにエピクロロヒドリン
ゴム、ポリプロピレンオキシドゴム、クロロスルフォン
化ポリエチレン等の飽和弾性体をブレンドして用いるこ
ともできる。
【0018】本発明で用いるゴム組成物には、更に硫
黄、有機硫黄化合物、その他の架橋剤を上記ゴム成分1
00部(重量部、以下同様)当り好ましくは0.01〜
10部、より好ましくは0.1〜6部配合され、また加
硫促進剤がゴム成分100部に対して0.01〜10
部、特に0.1〜5部配合される。この場合、加硫促進
剤の種類は限定されないが、N−シクロヘキシル−2−
ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)を用いること
で加硫時間を短くすることができる。
【0019】更に、本発明のゴム組成物には、例えばパ
ラフィン系、ナフテン系、芳香族系プロセスオイル、エ
チレン−α−オレフィンのコオリゴマー、パラフィンワ
ックス、流動パラフィン等の鉱物油、ひまし油、綿実
油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、
落花生油等の植物油などのオイルを配合することが好ま
しく、これによりCZの使用に伴う上記CoOx薄膜上
におけるゴムとの湿潤接着性を向上させることができ
る。オイルの配合量はゴム成分100部に対して3〜5
0部、特に4〜10部とすることが好ましい。オイルの
配合量が少なすぎると湿熱接着性改善効果が少なく、多
すぎるとゴム自身のバネ特性が大きく変化する。特に防
振ゴムの場合振動を減衰させるために重要なtanδが
大きく変化する傾向がある。
【0020】上記ゴム成分には、更に常法に従い、目
的、用途などに応じてカーボンブラック、シリカ、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、クレイ、マイカ等の充填
剤、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤等を添加し
てゴム組成物を調製することができる。なお、本発明に
おいては、部分酸化コバルトとゴムとの加硫接着促進剤
として有機コバルト塩類を特に配合する必要はない。
【0021】上記ゴム組成物と基材表面のCoOx薄膜
との接合は、該薄膜上にゴム組成物を加熱圧着して加硫
接着するものであるが、加硫法は硫黄加硫のほか、ジチ
オモルフォリン、チウラム加硫等の有機硫黄化合物によ
る有機硫黄加硫などが採用され、常法に従って加硫する
ことができる。これらの中では特に硫黄加硫による方法
が好ましい。この場合、硫黄や有機硫黄化合物中の硫黄
の配合量はゴム成分100部に対して0.5〜7部、特
に1〜6部とすることが好ましい。
【0022】本発明方法では、上記硫黄を例えば5〜6
部といった多量配合したゴム組成物で、長時間加硫接合
を行った後、例えば−60℃程度の低温雰囲気下で剥離
試験を行った場合でもCoOx薄膜内の破壊が生じず、
基材とゴムとを強固に接合でき、このため本発明方法は
金属等の基材とゴムとの接合強度を必要とするタイヤ、
動力伝達ベルト、コンベアベルト、ホース等の繊維状金
属を芯材に用いたゴム系複合材や防振ゴム、免振材、ゴ
ムクローラ、ラバースクリーン、ゴムロールなどの各種
ゴム製品や部品類の製造に広く応用できる。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、酸化コバルトの酸化度
を簡単かつ確実にコントロールしてこれを高め、基材と
ゴム層とを強固に接合することができ、ゴム複合体の耐
湿熱劣化性を大幅に向上させることができるものであ
る。また、本方法は従来方法と比較して1工程でCoO
x薄膜を装置依存性なく作製することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。
【0025】〔参考例〕マグネトロンスパッタ装置とし
てDCマグネトロンスパッタ装置を使用し、ターゲット
としてコバルトを用いると共に、スパッタ用ガスとして
アルゴン、酸化用として酸素をそれぞれ所定割合で供給
すると共に、ターゲットに投入するパワーと、基材(ホ
ールダー(SUS製)のみ)及びターゲット間の電圧
(投入電圧)との各条件下におけるカーブを求めた。こ
の場合、アルゴン流量は18ml/分(ガス圧力3.6
6mTorr)とし、これに酸素を5〜14ml/分の
割合で混ぜて供給した。結果を図1に示す。
【0026】図1の結果より、各条件下であるパワー以
上で電圧が急激に上昇する領域があり、変移点を有する
ことが認められた。
【0027】〔実施例1〕基材として10×75×0.
5mmのアルミニウム試験片を用い、まず表面をアセト
ンで洗浄した後、高周波13.56MHz、100Wで
5分間減圧アルゴンプラズマ処理を行った。上記基材上
にマグネトロンスパッタリング法で酸化度の異なるCo
x膜を目標厚み500Åで形成した。スパッタリング
時の条件は、スパッタ用ガスとしてアルゴン18ml/
分、酸化用として酸素6ml/分をスパッタ装置内に流
し、ガス圧力5mTorrで、ターゲット投入パワーを
変えて30秒間成膜を行った。
【0028】次いで、表1に示す未加硫ゴム組成物と貼
り合わせた後、145℃で40分(通常加硫条件)又は
400分間(耐熱テスト)加硫し、接合させた。400
分加硫した接着サンプルは液体窒素中に入れて冷やした
後、即座に剥し、その破壊状態を観察した。また同時に
加硫時間40分で作製したサンプルを80℃、98%R
Hの恒温恒湿槽で7日間放置した後、−60℃の低温槽
内で引張試験を行った。以上の結果を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】表2の結果から、変移点未満では低温での
接着性が不十分であったが、変移点以上の750W以上
の条件で成膜したCoOx膜は室温、低温(耐熱テスト
後)、湿熱劣化後のどの場合も優れた接着性を示した。
【0032】〔実施例2〕実施例1と同様のアルミニウ
ム試験片を用い、実施例1と同様の前処理を行った後、
マグネトロンスパッタリング法で、酸化度の異なるCo
x膜を目標厚み500Åで形成した。スパッタリング
時の条件は、スパッタ用ガスとしてアルゴン18ml/
分、酸化用として酸素0.2,1,2,3.2,5,6
ml/分とアルゴンに対する比を1,5,11,15,
22,25%と変えてスパッタ装置内に流し、ガス圧力
5mTorrでターゲット投入電流をほぼ一定にして3
0秒間成膜を行った。
【0033】次いで、表1に示す未加硫ゴム組成物と貼
り合わせた後、実施例1と同様の接着試験を行った。結
果を表3に示す。なお、比較のために成膜サンプルを2
00℃で10分間熱処理を行った後、同様のテストを行
った。
【0034】
【表3】
【0035】なおこの場合、酸素濃度20%以上におい
て投入パワーが、ターゲット及び基材間の電圧が急激に
上昇する変移点以上となっている。
【0036】表3の結果から、特開平1−290342
号公報の提案ではCoOx成膜と熱処理の2工程で耐
熱、耐湿熱性に優れた接着が得られることが確認できた
が、本発明では酸素流量とターゲットへ投入するパワー
をコントロールする1工程で耐久性を満足する接着を得
ることができた。
【0037】〔実施例3〕実施例1と同様のアルミニウ
ム試験片を用い、実施例1と同様の前処理を行った後、
チャンバーの大きさ、ターゲットの大きさ、形の異なる
マグネトロンスパッタリング装置を用いて、酸化度の異
なるCoOx膜を目標厚み500Åで形成した。スパッ
タリング時の条件は、スパッタ用ガスとしてアルゴン1
8ml/分、酸化用として酸素3ml/分を混合してス
パッタ装置内に流し、ガス圧力5mTorrでターゲッ
ト投入電流をほぼ一定にして30秒間成膜を行った。
【0038】次いで、表1に示す未加硫ゴム組成物と貼
り合わせた後、実施例1と同様の接着試験を行った。結
果を表4に示す。なお、比較のために成膜サンプルを2
00℃で10分間熱処理を行った後、同様のテストを行
った。
【0039】
【表4】
【0040】表4の結果から、変移点未満の300W以
下では低温での接着性が不十分であったが、変移点以上
の400W以上の条件で成膜したCoOx膜は室温、低
温(耐熱テスト後)、湿熱劣化後のどの場合も優れた接
着性を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネトロンスパッタリング法における投入パ
ワーと投入電圧との関係を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に酸化コバルト薄膜を形成した
    のち、該薄膜上にゴム組成物を形成し、次いでこのゴム
    組成物を加硫してゴム系複合材を製造する方法におい
    て、上記酸化コバルト薄膜を、コバルトをターゲットと
    し、酸素分子を有するガスを含有する不活性ガスの存在
    下においてターゲットにDC電源を用いてパワーを投入
    した際、ターゲット及び基材間の電圧が急激に上昇する
    変移点以上のパワーでスパッタリングすることにより形
    成することを特徴とするゴム系複合材の製造方法。
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