JP2505031Y2 - 飲料自動販売機の原料撹拌装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、カップ式飲料自動販売機に組み込んで使用
する原料攪拌装置に関する。

〔従来の技術〕 コーヒーなどの飲料自動販売機は機内に原料攪拌装置
を備え、販売時に粉末原料と湯あるいは水を攪拌混合し
て飲料を作り、この飲料をカップに供給して販売に供す
るようにしている。この原料攪拌装置は通称ミキシング
ボゥルと呼ばれる容器に駆動モータに連結した攪拌羽根
を組み込み、このミキシングボゥルに投入した粉末原料
と湯，水を攪拌羽根の回転駆動により攪拌して飲料を作
り、攪拌後に飲料をミキシングボゥルからカップに放出
するようにしたものであり、かかる原料攪拌装置は、例
えば実開昭63-143989号公報などで公知である。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、前記の公報で例示した従来の原料攪拌装置
では攪拌性能，取扱い面で次記のような問題点がある。
すなわち、 （１）ミキシングボゥル内に組み込んで駆動モータに連
結した攪拌羽根の駆動軸は鉛直方向であり、該駆動軸上
に取付けた攪拌羽根（円板上にラジアル方向のリブ状突
起を設けたもの）は駆動軸の回りで水平方向に回転す
る。このためにミキシングボゥル内の液中には乱流が殆
ど発生せず、攪拌羽根を中心にその回りに層流をなす強
制対流が生じるだけであり、かつ攪拌により生じた水流
もミキシングボゥルの周壁に突き当たって弱めるために
粉末原料と湯，水との攪拌効果が比較的低く、粉末原料
を十分溶かすにはそれだけ長い攪拌時間を要する。

（２）また、ミキシングボゥル内に湯を注入した際に発
生する湯気がそのまま機内に放散するのを防ぐ手段とし
て、通常はミキシングボゥルに上蓋を被せるとともに、
ミキシングボゥルから湯気抜きダクト引出して排気ファ
ンにより湯気を機外へ強制排気するようにした手段を採
用しており、さらに前記の公報では、粉末原料が付着し
易い湯気抜きダクトに通じる周辺部分に湯水注入孔を開
口した蓋体を着脱可能に取付けておき、必要時にこの蓋
体を取り外して粉末原料の付着物を容易に洗浄できるよ
うに構成している。

しかしながら、前記構成では内部の洗浄に際して蓋体
を取り外す場合には、その都度給水ホースと蓋体との結
合を解く必要があって作業が厄介である他、洗浄作業の
終了後に給水ホースの接続をうっかり忘れると、販売動
作時に湯，水がミキシングボゥル内に供給されずに機内
にこぼれてしまうと言ったトラブルを招く。

（３）さらに、原料攪拌装置を機内に組み込む場合に、
従来の取付け構造では、まずミキシングボゥルを機内側
にあらかじめ設けたボゥルホルダにねじ止めなどの方法
で取付け、次にこの取付け位置で攪拌羽根の駆動軸と別
に取付けられた駆動モータとの間を軸継手を介して連結
するようにしている。

ところで、この組立状態でミキシングボゥルの取付け
位置と、駆動モータの取付け位置と、攪拌羽根の駆動軸
との相対位置関係が正しく整合されてないと、駆動モー
タの出力軸と攪拌羽根の駆動軸との間で軸心が一致せ
ず、攪拌羽根の駆動時に羽根が振れてミキシングボゥル
の壁面に接触するなどの不具合を生じる。このためにミ
キシングボゥルを機内に組み込む際には、取付け作業の
他に位置合わせ調整が必要となり、特に据付け先での自
動販売機の保守点検などで一旦取り外したミキシングボ
ゥルを再度組み込む場合の作業が厄介となる。

本考案は上記の点にかんがんみなされたものであり、
従来装置の問題点を解消して攪拌性能の向上、並びにメ
ンテナンスの作業性改善が図れるようにした飲料攪拌装
置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するために、本考案は飲料攪拌装置を
次記のように構成するものとする。

（１）まず、攪拌性能の向上を図るために、ミキシング
ボゥル内に組み込んだ攪拌羽根の駆動軸を鉛直に対して
斜め方向に配備するものとする。

その際、原料攪拌時に液面の波立ちに伴う飲料の飛
沫，泡立ちでミキシングボゥルの内壁面が汚れるのを防
止するために、ミキシングボゥルの内部に頂部を液面上
に突き出して原料攪拌に伴う液面の波立ちを抑える少な
くとも１個のリブ状突起を設けるものとする。

（２）一方、ミキシングボゥル内を洗浄する際の取扱い
性を改善するために、ボゥル本体の上面に被着した蓋体
を、粉末原料投入口，および湯水注入口を開口した主蓋
と、該主蓋に並んで湯気抜きダクトの上面域を覆う補助
蓋とに分割して構成するものとする。

（３）さらに、ミキシングボゥルの取付け構造に関し
て、ミキシングボゥルの取付け台を、ミキシングボゥル
を定位置に嵌め込み挟持するＵ字形クリップ台として構
成するものとする。

〔作用〕

上記の構成により、蓋体に開口した粉末原料投入口，
湯水注入口を通じてミキシングボゥル内に粉末原料と
湯，ないし水を供給し、同時に攪拌羽根を回転駆動すれ
ば、粉末原料と湯，水が攪拌されて飲料が作られる。ま
た、湯の供給によりミキシングボゥル内に生じた湯気は
湯気抜きダクトを通じてファンにより機外に強制排気さ
れる。

ここで、前項（１）のように攪拌羽根の駆動軸を斜め
配置とすれば攪拌羽根も傾斜姿勢となり、その羽根面上
の位置によって液面（水平面）との間の水深、つまり攪
拌羽根に対する負荷が部分的に異なるようになる。した
がって、この状態で攪拌羽根を回転駆動すると、前記し
た部分的な水深差が基でミキシングボゥル内の液中には
攪拌水流の強弱による乱流が発生し、この乱流により粉
末原料と湯，水との攪拌効果が高まる。

なお、前記のように攪拌羽根を斜め姿勢で回転駆動す
ると、攪拌水流がミキシングボゥル内の液面に向けて波
及するので液面が大きく波立って飛沫が周囲に飛び散っ
たり泡立ちが生じ、このためにミキシングボゥルの内壁
面が粉末原料で汚損される虞がある。かかる点、前項
（１）のように、ミキシングボゥルの内部に頂部を液面
上に突き出して原料攪拌に伴う液面の波立ちを抑える少
なくとも１個のリブ状突起を設けることにより、このリ
ブ状突起が波立ちを抑制するように働いて液面からの飛
沫，泡立ち発生を防止できる。

一方、前項（２）のように、ボゥル本体の上面に被着
した蓋体を、粉末原料投入口，および湯水注入口を開口
した主蓋と、該主蓋に並んで湯気抜きダクトの上面域を
覆う補助蓋とに分割して構成することにより、ミキシン
グボゥルから湯気抜きダクトに通じる湯気排気通路の周
辺に付着した粉末原料などを洗浄する際には、主蓋を被
着したまま、したがって粉末原料の投入シュータ，湯水
の給水ホースなどの結合を外すことなく、補助蓋のみを
取り外すことで簡単に洗浄が行える。

さらに、前項（３）のように、ミキシングボゥルの取
付け台を、ミキシングボゥルを定位置に嵌め込み挟持す
るＵ字形クリップ台として構成することにより、ミキシ
ングボゥルをボゥルホルダに取付けた状態では、ミシキ
ングボゥル，攪拌羽根の駆動軸，および駆動モータの相
対位置関係が一義的に正しく整合される。これにより駆
動モータの出力軸と攪拌羽根の駆動軸との軸心のずれが
なく、円滑に攪拌羽根を回転駆動できる。しかも、ボゥ
ル取付け台がＵ字形のクリップ台であるので、ミキシン
グボゥルを前方，あるいは下方のいずれの方向からでも
嵌め込んで所定位置に挟持固定することが可能である。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

まず、第１図ないし第４図により原料攪拌装置の構造
を説明する。図において、１はミキシングボゥル、２は
ミキシングボゥル１内に組み込まれた攪拌羽根組立体、
３は攪拌羽根の駆動モータ、４はミキシングボゥル１を
定位置に固定するボゥル取付け台である。

ここで、ミキシングボゥル１は、その底部に飲料吐出
口5aを開口し、さらに端部に湯気抜きダクト5bを引出し
た逆三角形状のボゥル本体５と、該ボゥル本体５の上面
に被着した各独立部品の主蓋6,補助蓋７とからなり、か
つ主蓋６の上面には原料投入口6a,湯水注入口6bが開口
している。また、ボゥル本体５の内周側には壁面から上
方に起立した少なくとも１個のリブ状突起5cを備えてい
る。なお、6c,7aは主蓋6,補助蓋７をボゥル本体５に掛
け止めるフックである。

また、攪拌羽根組立体２は、先端をボゥル本体５の飲
料吐出口側の軸受部に差し込んだ駆動軸2aと、その軸上
に取付けてボゥル本体５の底部に対向させた攪拌羽根2b
と、該羽根2bに並べてその上方に設けたリブ無の補助羽
根2cとからなる。そして、駆動軸2aは図示のようにボゥ
ル本体５の傾斜壁面に沿うように鉛直に対し傾斜させて
配備され、さらに駆動軸2aの上端が軸継手８を介して駆
動モータ３に連結されている。

一方、ボゥル取付け台４は、頂部に駆動モータ３を所
定位置に固定してミキシングボゥル１を左右両翼の側壁
4aの間に嵌め込み挟持するＵ字形のクリップ台としてな
り、クリップ台自身はあらかじめ自動販売機の機内にね
じ止めされている。なお、ボゥル取付け台４の左右側壁
4aには、ミキシングボゥル１を装着した際にボゥル本体
５の外壁面に設けた位置合わせ用の突起5dと嵌まり合う
係合穴4bが設けてある。

かかる構成で、ミキシングボゥル１内へ主蓋６の原料
投入口6a,湯水注入口6bを通じて所定量の粉末原料，湯
ないし水を投入し、同時に駆動モータ３を始動して攪拌
羽根を回転駆動すれば、第５図のように液中には攪拌水
流により乱流が生じて粉末原料と湯，水とが攪拌混合さ
れて飲料が作られる。この場合に攪拌羽根の駆動軸2aが
傾斜しているので、液中には攪拌力の高い強力な乱流が
発生するとともに、一方では液面上に頂部が突出したリ
ブ状突起5cが波を打ち消すように働くので、液面上には
大きな波立ち，泡立ちの発生することが殆どなく、ミキ
シングボゥル１の飲料，粉末原料による不要な汚れを防
ぐことができる。

なお、図示例のように攪拌羽根2bに並べてその上方に
補助羽根2cを設けることにより、第６図のように攪拌羽
根2bの回転で発生した水流の一部が補助羽根2cに当たっ
た後に反転して再度攪拌羽根2bで攪拌されるようにな
る。したがって、この領域では強力な攪拌力が作用して
原料を効果的に攪拌できる。

また、ミキシングボゥル１に湯を供給して原料攪拌す
る際に発生する湯気は、ボゥル本体５より補助蓋７の内
部を経て湯気抜きダクト5bへ抜け出た後、図示されてな
い排気ファンにより機外へ排気される。ところで、飲料
販売動作の繰り返しに伴い、補助蓋７の内面には湯気排
気流に乗ってミキシングボゥル側から逸出した粉末原料
が付着堆積するようになるが、ここで粉末原料の付着物
を洗浄する際には、主蓋６をボゥル本体５に被着したま
ま、補助蓋７のみを取り外すことで簡単に洗浄が行え
る。なお、この場合に主蓋６は被着したままであり、し
たがって粉末原料投入口6a,湯水注入口6bに結合した粉
末原料投入シュータ，給水ホースなどを取り外す必要が
ない。

一方、ミキシングボゥル１を自動販売機の機内に取付
ける場合には、ミキシングボゥル１内に攪拌羽根組立体
２を組み込んだまま、ボゥル本体５を第４図で矢印Ｐの
方向からボゥル取付け台４へ差し込む。これにより位置
合わせ用突起5dが取付け台４の側壁4aに開口した係合穴
4bに嵌まり込んで定位置に挟持されるとともに、攪拌羽
根組立体２と駆動モータ３との間で軸継手８が結合され
る。しかも、駆動モータ３はボゥル取付け台４と一体化
して所定位置に設置されているので、ボゥル取付け台４
に対してミキシングボゥル１を定位置に挟持することに
より、同時に駆動モータ３と攪拌羽根組立体２との軸心
が一致するよう正しく位置合わせされる。したがって改
めて軸心を合わせる調整作業が不要である。また、ボゥ
ル取付け台４に対してミキシングボゥル１をボゥル取付
け台４の前方（第４図の矢印Ｑ方向）から着脱操作する
ことも可能である。

〔考案の効果〕

本考案による原料攪拌装置は、以上述べたように構成
されているので、次記の効果を奏する。

（１）攪拌羽根の駆動軸を鉛直に対して斜め方向に配備
したことにより、原料攪拌時にはミキシングボゥル内の
液中に乱流が生じて粉末原料と湯，水との攪拌効果が向
上する。これにより粉末原料を湯水に溶かす攪拌時間，
したがって販売動作時間を短縮できる。

さらに、ミキシングボゥルの内部に頂部を液面上に突
き出して原料攪拌に伴う液面の波立ちを抑える少なくと
も１個のリブ状突起を設けることにより、原料攪拌中に
ミキシングボゥル内の液面に生じる大きな波立ち，泡立
ちを抑えてミキシングボゥルの不要な汚れを防ぐことが
できる。

（２）ボゥル本体の上面に被着した蓋体を、粉末原料投
入口，および湯水注入口を開口した主蓋と、該主蓋に並
んで湯気抜きダクトの上面域を覆う補助蓋とに分割して
構成することにより、ミキシングボゥルから湯気抜きダ
クトに通じる湯気排気通路周辺に付着した粉末原料を洗
浄する際には、主蓋，したがって給水ホースなどの配管
系はそのままに、補助蓋のみを取り外すことで容易に洗
浄作業が行える。したがって給水ホースの取り外し，結
合などの厄介な作業が一切不要であり、かつ一旦取り外
した給水ホースの接続忘れが原因のトラブルも回避でき
るなど、従来の構造と比べてその取扱性の改善が図れ
る。

（３）ミキシングボゥルの取付け構造に関して、ミキシ
ングボゥルの取付け台を、ミキシングボゥルを定位置に
嵌め込み挟持するＵ字形クリップ台として構成すること
により、ミキシングボゥルの着脱，攪拌羽根と駆動モー
タとの連結をワンタッチ操作で行え、しかも装着状態で
は特に位置合わせ調整を必要とすることなく駆動モータ
と攪拌羽根との軸心を正しく合わせることができ、その
取付け作業が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例による原料攪拌装置の構成断面
図、第２図は第１図の外観図、第３図は第２図の側視外
観図、第４図は第１図の分解斜視図、第５図，第６図は
原料攪拌動作の説明図である。図において、 1:ミキシングボゥル、2:攪拌羽根組立体、2a:駆動軸、2
b:攪拌羽根、2c:補助羽根、3:駆動モータ、4:ボゥル取
付け台、5:ボゥル本体、5a:飲料吐出口、5b:湯気抜きダ
クト、5c:リブ状突起、6:主蓋、6a:原料投入口、6b:湯
水注入口、7:補助蓋、8:軸継手。

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ミキシングボゥル内に攪拌羽根を組み込
   み、ここに投入した粉末原料と湯，水を攪拌して飲料を
   作る飲料自動販売機の原料攪拌装置において、攪拌羽根
   の駆動軸を鉛直に対して斜め方向に配置し、かつミキシ
   ングボゥルの内部に頂部を液面上に突き出して原料攪拌
   に伴う液面の波立ちを抑える少なくとも１個のリブ状突
   起を設けたことを特徴とする飲料自動販売機の原料攪拌
   装置。
2. 【請求項２】ミキシングボゥル内に攪拌羽根を組み込
   み、ここに投入した粉末原料と湯，水を攪拌して飲料を
   作る飲料自動販売機の原料攪拌装置であり、ミキシング
   ボゥルがその端部に湯気抜きダクトを備えたボゥル本体
   と、該ボゥル本体の上面に被着した蓋体との組立体から
   なるものにおいて、前記蓋体を、粉末原料投入口，およ
   び湯水注入口を開口した主蓋と、該主蓋に並んで湯気抜
   きダクトの上面域を覆う補助蓋とに分割して構成したこ
   とを特徴とする飲料自動販売機の原料攪拌装置。
3. 【請求項３】ミキシングボゥル内に攪拌羽根を組み込
   み、ここに投入した粉末原料と湯，水を攪拌して飲料を
   作る飲料自動販売機の原料攪拌装置であり、ミキシング
   ボゥルをボゥル取付け台に保持させたものにおいて、前
   記ボゥル取付け台が、ミキシングボゥルを定位置に嵌め
   込み挟持するＵ字形クリップ台としてなることを特徴と
   する飲料自動販売機の原料攪拌装置。