JP2503785Y2 - スケルトン時計の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、スケルトン時計の構造に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

従来のスケルトン腕時計を、第７図に示す。第７図は
従来のスケルトン腕時計のムーブメントの平面図であ
る。スケルトン腕時計は、一般の腕時計ムーブメントの
地板71に大きな覗き穴71aを複数明けることにより作り
出すのが常道である。従って、このスケルトン腕時計に
は不要な挽込71c、スケルトン以外の時計では文字板に
隠れてしまうので問題にもしなかったピン71dの下面
や、生産用外周切欠71bなど丸見えとなっており、さら
に、筒車を押さえるために文字板の代りに設けた筒車押
え72が厚さ方向に出張っているなどの外観を有してい
た。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、挽込71cやピン71dは、見える面をきれ
いに仕上げていないので美観を損ねており、さらに切欠
け71bも幾何学的でない複雑な形状の覗き穴71aと形状的
に整合せず異様な感覚を与えるし、筒車押え72は地板71
より高さ方向に突出していて表面が凸凹している等、ム
ーブメントの外観が優れているとは言えず、商品として
の品位を下げてしまうという問題があった。

本考案は、上述のような従来の問題点を解消させ、ム
ーブメントの外観の美しいスケルトン時計を提供するこ
とを目的にしている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成させるために、本考案は次のような
構成としている。すなわち、地板には輪列車等の部品を
覗くための複数の円弧で形成された覗き穴を設け、前記
地板の覗き穴の形状に略一致する形状の穴を設けた薄板
を地板に重ね合わせ、地板に残っているネジ穴や支柱の
穴、挽込の段部等を薄板で隠すようにしている。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は、本考案にかかるムーブメント下面側の平面
図であって、地板１の上に薄板２が載っており、覗き穴
2aより香箱車３や三番車13等の輪列車が見える。４は香
箱真のホゾ石であって、穴2bをホゾ石４よりやゝ大きい
穴径にしてこのホゾ石４を外部より見せている。５は薄
板２の止メネジ、６は位置決めピンである。７は巻真、
８は裏押え、９は日ノ裏押え、10は日ノ裏車、11は筒車
であり、この針回し機構は、薄板２の覗き穴2aより見せ
ている。

第２図は、第１図に示す薄板２の平面図であって、複
数の円弧で形成された複数個の覗き穴2a、香箱真のホゾ
石用の穴2bが設けられている。

第３図は、第１図に示す薄板２を取り除いた状態のム
ーブメント平面図であって、地板１に形成された複数の
円弧を有する覗き穴1aは、第１図で説明した針回し機構
の部分を除いて第２図薄板２の覗き穴2aとほゞ同形状を
なしている。地板１には、加工上に使用する円弧状の切
欠1b、不要になった挽込段差1c、図示していないがムー
ブメント上面側にある受に対する位置決めピン1e、支柱
1d等がある。３は香箱車、４はホゾ石、13は三番車であ
る。

第２図の薄板２を載せたムーブメント完成状態（第１
図の状態）では、地板１の美観を損ねる挽込1c、ピンや
支柱の下面部分1e、1d、及び形状が単純で覗き穴1aと不
整合な感覚の切欠1b等は隠れてしまう。

第４図は、第１図の要部断面図であって、地板１に薄
板２がネジ５によって固定されている。挽込1c、支柱1
d、ピン1e等は薄板２でふさがれており、一方、香箱真3
aのホゾ石４に合わせた抜き穴2b、地板１の覗き穴1aに
合わせた覗き穴2aが明いている。11は筒車、12は針座で
あって薄板２で支えられている。

第５図は、薄板２の部分断面図である。薄板２に立体
的なマークや模様を入れた方が美観上優れる。（ａ）は
エッチング、又はイングレによってマークや模様2cを凹
ませたものであり、（ｂ）はエンボス2dなどにより出張
らせたもので、凹ませたものでも出張らせたものでも良
い。

第６図は、本考案の第２実施例を示すもので、要部の
断面図である。第１実施例と同様に地板１には、挽込1c
や、覗き穴1a等の第３図と同形態をなしており、これに
対して薄板14は透明なガラス或いはプラスチックで作ら
れ、挽込1cを隠すように不透明な印刷14aを施こし、印
刷形状は第２図と同形状をなしている。従って、第１実
施例と同様な作用、効果を発揮する。

尚、２つの実施例は、地板に薄板を重ね合わせた構造
についてのみ述べたが、反対側の受にも同様な方式を設
けることが出来る。

また、本考案では覗き穴を複数の円弧の形状を有する
と記載しているが、全くの円ではない楕円のようなもの
は含むものである。

〔考案の効果〕

以上、本考案によれば、一般の時計ムーブメントを使
用して覗き穴を追加したままでは美観上問題となる所を
隠すことにより品位を向上させることが出来、そして、
地板の表面をきれいに仕上げようとしても多少加工歪か
らソリが出ているので難しく、高級感を出すためにマー
クや模様を入れるのもソリや強度理由から機械によるプ
レスや切削加工は難しいが、これらは薄板に簡単に施す
ことが出来るなどにより、品位の高い高級感のあるスケ
ルトン時計を、低コストで実現でき、しかも大量生産を
も可能ならしめる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案にかかる第１実施例を示すムーブメン
ト下面側の平面図、第２図は、第１図の薄板の平面図、
第３図は、第１図の薄板を取り除いた状態のムーブメン
ト平面図、第４図は、第１図の要部断面図、第５図は、
薄板の要部断面図、第６図は、第２実施例の要部断面
図、第７図は、従来のスケルトン腕時計のムーブメント
平面図である。 １……地板、1a……覗き穴、２、14……薄板、2a……覗
き穴、３……香箱車、13……三番車。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】地板と受の中間に輪列車等の部品を配置し
   たムーブメントに於いて、少くとも前記地板には前記輪
   列車等の部品を覗くための複数の円弧で形成された覗き
   穴を設け、前記地板の覗き穴の形状に略一致する形状の
   穴を設けた薄板を前記地板に重ね合わせ、前記地板に残
   っているネジ穴や支柱の穴、挽込の段部等を前記薄板で
   隠すようにしたことを特徴とするスケルトン時計の構
   造。