JP2503335Y2 - 壁パネル取付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内装材または外装材としての壁パネルを壁
下地に取付ける場合の壁パネル取付け構造に関するもの
である。

［従来例の技術］ 従来、壁面に高級な感じに仕上げるために、天然大理
石や人造大理石、セラミック材等の無機質系の板を壁パ
ネルとして用いるようにし、この壁パネルで壁面を形成
することが行われている。そして、これらの複数枚の壁
パネルを壁下地に並べて取付けることで壁面の施工を行
うようにしている。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、上記のような無機質系の壁パネルは端部の加
工や釘打ち等が難しいため、取付けの際の施工が難しい
という問題がある。そこで、本考案の考案者は壁下地に
引掛け金具を取付け、壁パネルの背面部の上部と下部と
に引掛け片を設け、この上下の引掛け片を上下の引掛け
金具に引掛けることで引掛け式で取付けることを考え
た。しかしながら、この引掛け方式では、現場により壁
パネルを切断して上部の引掛け片がなくなった場合には
壁パネルの上部の支持ができず、また、地震等により壁
パネルが横方向に移動する恐れがあった。

本考案は上記した従来例の問題点に鑑みて考案したも
のであって、その目的とするところは、引掛け方式によ
り簡単に壁パネルを取付けることができ、しかも壁パネ
ルの上部を現場により切断除去した場合において簡単に
壁パネルの上部の支持ができ、また、地震等の場合でも
壁パネルが横方向に移動するのを確実に防止することが
できる壁パネル取付け構造を提供するにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案の壁パネル取付け構造は、壁下地１の表面側に
引掛け金具２を取付け、壁パネル５の背面部下部に引掛
け片６を突設すると共に壁パネル５の背面部に上下方向
に長く且つ先端が幅広となった横方向移動防止用突片部
30を突設し、引掛け片６を引掛け金具２に上方より引掛
け、固定金具31の前端部に下方に向けて垂下する垂下片
32を設けると共に垂下片32に下方から切り込んだはめ込
み用切り欠き33を形成し、壁下地１側に固定金具31を取
付け、壁下地１から少し前方に突出した位置で垂下され
るように配置された垂下片32のはめ込み用切り欠き33を
横方向移動防止片部30の上端部の突出基部にはめ込んで
成るものであって、このような構成を採用することで、
上記した従来例の問題点を解決して本考案の目的を達成
できたものである。

［作用］ 壁パネル５の上部を現場に合わせて切断し、壁パネル
５の背面部下部の引掛け片６を壁下地１に取付けた引掛
け金具２に引掛け、更に、固定金具31の前端部に設けた
垂下片32のはめ込み用切り欠き33を横方向移動防止片部
30の上端部の突出基部にはめ込むと共に固定金具31を垂
下片32が壁下地１から少し前方に突出した位置で垂下さ
れるように壁下地１に取付けるものであり、壁パネル５
の切断上部を固定金具31により支持し、また横方向への
移動も防止するようにしたものである。

［実施例］ 以下本考案を添付図面に示す実施例に基づいて詳述す
る。

本考案において用いる壁パネル５は普通壁パネル5aの
上部を現場に応じて切断したものである。ここで、普通
壁パネル5aは、第３図に示すように、壁パネル本体８と
壁パネル本体８の背面部の端部に固着された枠体９とで
構成してあり、壁パネル本体８は天然大理石のような石
材や人造大理石、セラミック材等の無機質系の板であ
り、枠体９は金属製である。枠体９は第９図に示すよう
に取付け片10と、取付け片10の一端から前方に突出した
目地底片11と、取付け片10の略中間部分から背方に突出
した略Ｔ字状のＴ字状片35と、取付け片10の他端部付近
から背方に突出した略Ｌ字状のＬ字状片12とから構成し
てあり、枠体９の取付け片10を接着剤等により壁パネル
本体８の背面の四周端縁部に固着してある。そして、上
下の枠体９のＴ字状片35が普通壁パネル5aの上下に設け
た引掛け片６となっている。このようにして普通壁パネ
ル５の背面部の上部と下部とにそれぞれ引掛け片６が突
出して設けてある。Ｔ字状をした引掛け片６は外側引掛
け片6aと内側引掛け片6bとで構成してあり、内側引掛け
片6bが外側引掛け片6aよりも長くなっている。すなわち
第６図においてＬ₁＞Ｌ₂という関係になっている。上下
のＬ字状片12間には断熱材13が配設され、断熱材13の端
部がＬ字状片12にはめ込んである。壁パネル５は上記の
構成の普通壁パネル5aの上部を現場の状況により切断し
て形成したもので、第４図に示すように壁パネル５の側
端部の背面の上端には上下に長い縦の枠体９の切断端面
が露出することになる。この切断された縦方向の枠体９
はＴ字状片35、Ｌ字状片12がそれぞれ上下方向に長く且
つ先端が幅広となった横方向移動防止用突片部30となる
ものである。

壁下地１はパネル1aにより構成してあり、表面側には
引掛け金具２を上下に多段に一定のピッチで固着具14に
より固着してある（第８図参照）。パネル1aよりなる壁
下地１は、壁の構造材である間柱等に固着されるもので
ある。引掛け金具２は第７図に示すように板状の固定片
15の前面の下部と上部とにそれぞれ略Ｌ字状をした下引
掛け部３と上引掛け部４とが突設してある。ここで下引
掛け部３の上方への突出長さをＬ₃とし、上引掛け部４
の上方への突出長さをＬ₄とするとＬ₃＞Ｌ₄となってい
る。上引掛け部４のやや下方にはＶ字状その他の形状を
した溝条16が長手方向の全長にわたり設けてあり、この
溝条16を目印にして引掛け金具２を切断可能である。

第５図には固定金具31が示してある。この固定金具31
は固定横片部31aの前端部に下方に向けて垂下する垂下
片32を設けると共に垂下片32に下方から切り込んだはめ
込み用切り欠き33を形成して構成してある。

しかして、普通壁パネル5aの取付けに当たっては、ま
ず、普通壁パネル5aの背面上部に設けた引掛け片６のう
ち長い方の下向きの内側引掛け片6bを上段の引掛け金具
２の下引掛け部３に少し引掛け、続いて普通壁パネル5a
の背面下部に設けた引掛け片６のうち短い方の下向きの
外側引掛け片6aを下段の引掛け金具２の上引掛け部４に
引掛けると共に上記普通壁パネル5aの背面上部の下向き
の内側引掛け片6bを完全に下引掛け部３に引掛けるもの
である。そして、Ｌ₁＞Ｌ₂、Ｌ₃＞Ｌ₄としておくこと
で、引掛けに当たってまず上の下向きの内側引掛け片6b
を少し引掛けた状態で下の下向きの外側引掛け片6aを引
掛けることができ、順序よく上から確実に引掛けること
ができるのである。また、上の引掛け片６及び下引掛け
片６のいずれも略Ｔ字状として内側引掛け片6bと外側引
掛け片6aとを設けたのは壁パネル５を上下逆にして使用
した場合にも対応できるようにするためである。このよ
うにして普通壁パネル5aを壁下地１の前面側に引掛け方
式により引掛けて取付けるものであるが、下段の普通壁
パネル5aを取付けた後、第６図に示すように下段の普通
壁パネル5aの背面上部の引掛け片６（第６図の実施例で
は外側引掛け片6a）と上引掛け部４との間に浮き上がり
防止部材７を介在させて両面粘着テープ17により取付け
るものである。このように浮き上がり防止部材７を取付
けると地震等の際に普通壁パネル5aに浮き上がり力が作
用しても浮き上がり防止部材７が引掛け金具２の上引掛
け部４に当たることで普通壁パネル5aの浮き上がりを確
実に防止することができるものである。浮き上がり防止
部材７の取付けが終わると、上段の普通壁パネル5aを上
記と同様にして取付けるものであり、この場合、上段の
普通壁パネル5aの下部の引掛け片６は引掛け金具２の上
引掛け部４に引掛けけられるものである。そして、上下
段の壁パネル５の端面間には防水スポンジ18が介在さ
れ、また、コーキング材19が充填されるものである。

ところで、窓用の開口部40等の下部においては、パネ
ル割り付けの関係で普通壁パネル5aの上部を切断した本
考案の壁パネル５を用いる必要があり、この壁パネル５
の施工に当たっては、まず、壁パネル５の上部を現場に
合わせて切断し、次いで、第１図、第２図に示すよう
に、壁パネル５の背面部下部の引掛け片６（外側引掛け
片6a）を壁下地に取付けた引掛け金具２の上引掛け部４
に引掛け、更に、固定金具31の前端部に設けた垂下片32
のはめ込み用切り欠き33を横方移動防止片部30である縦
方向の枠体９のＴ字状片35またはＬ字状片12の上端部の
突出基部にはめ込むと共に固定金具31の固定横片部31a
を垂下片32が壁下地１から少し前方に突出した位置で垂
下されるように壁下地１の窓用の開口部40の下面部とな
る部分に釘41等により取付けるものである。このように
上部を切断した壁パネル５は下部を引掛け片６により引
掛け支持すると共に上部を固定金具31により確実に支持
し、更に、上記固定金具31により横方向の移動を防止し
ているものである。上記窓用の開口部40には更に窓枠カ
バー42が装着され、窓枠カバー42の前端部に設けた額縁
部43により窓用の開口部40の周囲に配設した壁パネル
５、普通壁パネル５の端部前面を覆い、シリコンコーキ
ング等のコーキング材19によりこの部分の水密性を確保
するようになっている。

なお、最上段に位置する壁パネル５や窓枠やドア枠の
下枠の下側に位置する壁パネル５の上部の取付け部分に
おいては、引掛け金具２の上部の上引掛け部４は必要が
なく、むしろ収まり上邪魔になるので、上引掛け部４の
やや下方の溝条16部分で切断して第10図のようにして使
用するものである。

［考案の効果］ 本考案にあっては、叙述のように壁下地の表面側に引
掛け金具を取付け、壁パネルの背面部下部に引掛け片を
突設すると共に壁パネルの背面部に上下方向に長く且つ
先端が幅広となった横方向移動防止用突片部を突設し、
引掛け片を引掛け金具に上方より引掛け、固定金具の前
端部に下方に向けて垂下する垂下片を設けると共に垂下
片に下方から切り込んだはめ込み用切り欠きを形成し、
壁下地側に固定金具を取付け、壁下地から少し前方に突
出した位置で垂下されるように配置された垂下片のはめ
込み用切り欠きを横方向移動防止片部の上端部の突出基
部にはめ込んであるので、壁パネルの上部を現場に合わ
せて切断したものを下部は引掛け片を引掛け金具に引掛
けることで取付けることができ、また上部は切断したに
もかかわらず、固定金具で簡単に支持でき、また壁パネ
ルの横方向への移動も防止することができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の縦断面図、第２図は同上の固定金具に
より支持する状態を示す平断面図、第３図（ａ）（ｂ）
（ｃ）は同上に用いる普通壁パネルの背面図、横断面
図、縦断面図、第４図（ａ）（ｂ）は同上の普通壁パネ
ルを切断して形成した壁パネルの背面図、平面図、第５
図は同上の固定金具の斜視図、第６図は同上の普通壁パ
ネルを施工した部分の断面図、第７図は同上の引掛け金
具の側面図、第８図は同上の引掛け金具を取付けた壁下
地の正面図、第９図は同上の枠体の側面図、第10図は本
考案の他の実施例の断面図であって、１は壁下地、２は
引掛け金具、５は壁パネル、６は引掛け片、30は横方向
移動防止片部、31は固定金具、32は垂下片、33ははめ込
み用切り欠きである。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】壁下地の表面側に引掛け金具を取付け、壁
   パネルの背面部下部に引掛け片を突設すると共に壁パネ
   ルの背面部に上下方向に長く且つ先端が幅広となった横
   方向移動防止用突片部を突設し、引掛け片を引掛け金具
   に上方より引掛け、固定金具の前端部に下方に向けて垂
   下する垂下片を設けると共に垂下片に下方から切り込ん
   だはめ込み用切り欠きを形成し、壁下地側に固定金具を
   取付け、壁下地から少し前方に突出した位置で垂下され
   るように配置された垂下片のはめ込み用切り欠きを横方
   向移動防止片部の上端部の突出基部にはめ込んで成る壁
   パネル取付け構造。