JP2501780B2 - アンカ― - Google Patents

アンカ―

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JP2501780B2
JP2501780B2 JP3146667A JP14666791A JP2501780B2 JP 2501780 B2 JP2501780 B2 JP 2501780B2 JP 3146667 A JP3146667 A JP 3146667A JP 14666791 A JP14666791 A JP 14666791A JP 2501780 B2 JP2501780 B2 JP 2501780B2
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晃代 山田
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Kensetsu Kiso Engineering Co Ltd
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Kensetsu Kiso Engineering Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は地盤に埋設して定着
し、構造物などを地盤上に固定するアンカーに関するも
のであり、特に大きな引っ張り荷重に耐え得るととも
に、また作業性が良いアンカーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】PC鋼より線などの引張材をアンボンド
のシースの中に通し、アンボンドシースに通した部分を
自由長部、剥出しのままの部分を定着部とし、定着部の
外側には異形シースを配する。削孔内にて異形シースの
内側と外側にセメントミルクなどの硬化材を充填して、
引張材を定着するアンカーが開発されている。硬化材に
よって定着部が掘削孔内に定着し、引張材に与えた緊張
力はそのまま引っ張り力として定着シースに作用する。
定着シースは周辺の硬化材と一体となって、削孔内壁面
との摩擦抵抗力によってこの引っ張り力を受けるもので
ある。このようなアンカーを引っ張り型アンカーと呼ん
でいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなアンカーで
問題となるのは、定着部の摩擦抵抗力が実際は設計通り
に作用しないことである。図7に示すのは従来のアンカ
ーにおける摩擦抵抗の分布を示すものである。引張材に
引っ張り力を与えると、引張材の定着部はその周辺の硬
化材と一体となって引っ張られる。この引っ張り力に抵
抗するのは、硬化材と削孔内壁面との間に生じる摩擦抵
抗力である。その摩擦抵抗力は引っ張り力に応じて増加
すると思われがちであるが、実際は抵抗力は増加せず、
図のAからCのように応力の大きく発生する部分が掘削
孔底部の方に移動するだけである。これは、硬化材と削
孔内壁との付着が一定以上になると切れてしまうため、
最初地上側の部分の付着が抵抗力を発揮していたのが、
その部分の付着が切れると次の部分の付着で抵抗力を発
揮することになる。結局、徐々に削孔奥の方へ摩擦抵抗
力が大きく発生する部分が移動するだけで、Cの場合に
は定着部の地表側の抵抗力はほぼ0に等しく、掘削孔底
部側に抵抗力τが発生している。このように摩擦抵抗力
はほんの一部分に発生するだけで、摩擦抵抗力の総和は
変わらない。
【0004】このように、摩擦抵抗力の総和が変わらな
いということは、定着部の長さを長くしても定着力が増
加するわけではないということである。つまり大きな荷
重に耐え得るアンカーとするには、定着部分の長さを長
くするのではなく、摩擦抵抗力が発生する部分をより多
くすることが必要となるものである。もし定着部の全長
から均等に摩擦抵抗力τを得ることができれば、その総
和は大きな定着力となり、大きな荷重にも耐え得る信頼
性の高いアンカーとなる。
【0005】アンカーは設計において地山の滑り面を考
慮し、その滑り面より深く定着部を位置させる。地表に
てアンカーに固定した構造物によってこの滑りによる地
山の崩壊を防止するのであるが、もし滑りがアンカーの
定着部よりも深い位置にて生じた場合は、もはやアンカ
ーは崩壊を防ぐことができない。このために念のために
設計よりもさらに深くアンカーを埋設することが考えら
れるが、一般にこのような深さでは周辺地盤は硬岩であ
り、このような地盤に掘削孔をさらに堀り進むのは容易
な作業でなく、施工費が高騰化してしまう。
【0006】アンカーの定着部の定着シースとして鋼製
の異形シースを採用することがあるが、掘削孔内に挿入
する場合、このような鋼製のシースは屈曲しない。した
がって挿入にあたって、アンカーを地表から大きく張り
出して挿入しなければならない。しかし近年都市部など
では広い作業空間を確保するのが難しく、アンカーの挿
入にも地表と周辺建築物との間に小さな間隔しかない場
合がある。このような現場ではこのようなアンカーの採
用ができないことがあった。
【0007】この発明は以上のような課題を解決するた
めになされたもので、摩擦抵抗力を理想に近い状態で定
着部のほぼ全長に渡って発生させて大きな定着力を得る
ことができるとともに、作業性が良好なアンカーを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明にかかるアンカ
ーは、異形の定着シースを複数個の異形シースとこれを
繋ぐストレートなジョイントシースとによって構成す
る。短尺な異形シースを、離隔して配し、この隣合う異
形シースを伸縮可能なジョイントシースにより繋ぎ一本
の定着シースとする。異形とは周面に凹凸を有している
ものであって、この凹凸で硬化材との摩擦抵抗力を得る
ものであり、ステンレス製やポリエチレン製が使用でき
る。ストレートとは周面に凹凸を有していないという意
味であって、ジョイントシースは周辺の硬化材との付着
が容易に切れる。ジョイントシースとしては合成ゴムや
ポリエチレン製のシースが使用できる。引張材に引っ張
り力を与えると異形シース部分で摩擦抵抗力を得るが、
ジョイント部分は伸びて、摩擦抵抗力は発生しない。
【0009】引張材は自由長部と定着部より成り、鋼よ
り線などが使用される。引張材の自由長部はアンボンド
シースの中に通すなどして自由な伸びが可能で、定着部
は剥出しとなって硬化材と付着するようになっている。
複数本の引張材のうち、幾本づつかを組として、組ごと
に別個の異形シースの内側にて定着させる。つまり引張
材は組ごとに長さを変え、定着部の位置をズラして前記
定着シースの中に配して、組ごとに別個の異形シースの
中に定着部が位置するようにする。
【0010】分割異形シースのうち、掘削孔地表側に位
置する分割異形シースよりも、掘削孔底部側に位置する
分割異形シースの径を小さくすることもできる。掘削孔
の底部側の径を小さくでき、その分施工を容易に行なえ
る。
【0011】
【作用】以上のようなアンカーを地盤に掘削した削孔内
に挿入し、シースの内側と外側にセメントミルクなどの
硬化材を注入する。硬化材が硬化して、硬化材は削孔の
内壁と付着する。引張材に引っ張り荷重が作用した場
合、定着部はその周辺の硬化材と一体となって、硬化材
と削孔内壁面との間に生ずる摩擦抵抗力によって引張力
に抵抗する。引張材は組ごとに定着部をズラして別個の
異形シースの内側に定着してあり、組ごとにその周辺の
削孔内壁面との間に摩擦抵抗力が発生する。組とは単数
でもよいし、複数本をひとつの組にすることもある。異
形シースと異形シースとの間は伸縮可能なジョイントシ
ースによって繋いであるため、ひとつの異形シースが引
っ張られても、ジョイントシースが伸びてこの引っ張り
荷重は次の異形シースには伝わらない。つまり異形シー
スにはその内側に定着した組の引張材の引っ張り力しか
伝わらず、他の組の引張材に作用する引っ張り力は別の
異形シースに作用し、その周辺の削孔内壁との間の摩擦
抵抗力を生じさせる。つまり、摩擦抵抗力は異形シース
の数だけ別個に発生するものであり、理想に近い状態で
定着部分ほぼ全長に渡って摩擦抵抗力を発生させること
が可能となるものである。
【0012】
【実施例】以下、図に示す一実施例に基づきこの発明を
詳細に説明する。図2において1は引張材であって、実
施例ではPCストランドが使用されている。この引張材
1の自由長部はアンボンドタイプとなっており、ポリエ
チレンシース2の中に通してある。この複数本の引張材
1の自由長部は合成樹脂製の自由長部シース3に通して
ある。複数本の引張材1は幾本かづつの組に分けられて
おり、組ごとに長さを変えてある。つまり自由長部の長
さは組ごとに変え、剥出しにした定着部の長さは同じで
ある。定着シース4の中に通してある。
【0013】定着シース4は複数個の異形シース5を備
えており、隣合う異形シース5・5の間は伸縮可能なジ
ョイントシース6によって繋いである。図1の実施例で
はポリエチレンシースが採用されている。異形シース5
・5とジョイントシース6は接着剤によって接着して、
一本の定着シース4となっている。前述した複数本の引
張材1を定着シース4の中に通し、引張材1の定着部を
組ごとに別個の異形シース5の内側に位置させる。この
ようなアンカーを掘削孔7内に挿入する。作業空間が小
さい場合、図6に示すようにジョイントシース6を屈曲
して掘削孔7に挿入できる。削孔7内に配置して、定着
シース4の内側と外側にセメント系グラウト材などの硬
化材8を充填して硬化させる。
【0014】この硬化材8によって引張材1は定着シー
ス4の中で定着される。引張材1に引っ張り荷重が作用
すると、引っ張り力は定着部が付着した硬化材8をとも
に引っ張り、この引っ張り力に対し硬化材8と削孔7内
壁との間に生じた摩擦抵抗力によって抵抗する。定着シ
ース4にも引っ張り力が作用するが、異形シース5と異
形シース5との間は伸縮するジョイントシース6によっ
て繋いであるため、一方の異形シース5に作用した引っ
張り力は、別の異形シース5に作用しない。つまりジョ
イントシース6は伸びるとともに、ストレートであるた
め、周辺の地盤との付着が容易に切れて、引っ張り力を
次の異形シース5に伝達しない。結局、引張材1は組ご
とに別個の異形シース5の内側にて定着させたため、組
ごとに硬化材8、異形シース5と一体となって周辺の削
孔7内壁面との間に摩擦抵抗力を生じさせる。ここで、
硬化材8は連続しているという疑問も生ずるが、グラウ
ト硬化材8は引っ張り力を伝達しないため、ジョイント
シース6と同じように、周りの硬化材8は、次の異形シ
ース5周辺の硬化材8に引っ張り力を伝えない。
【0015】以上のように、複数本の引張材1に作用し
た引っ張り荷重は、組ごとに別個に硬化材8に伝達さ
れ、ジョイントシース6は伸びることによって異形シー
ス5・5の引っ張り力を相互に伝えず、別個の定着部分
として各々が機能する。このことは引張材1は組ごと
に、別個独立にその周囲の摩擦抵抗力τを発生させるも
ので、摩擦力分布は図1に示すようになる。すなわち定
着部の摩擦抵抗力τを広い面積に分散することができる
もので、言い換えれば各部分の摩擦抵抗力τの大きさは
変わらないが、摩擦抵抗力τを発生させる面積が広くな
るもので、結果は摩擦抵抗力τの総和は格段に大きくな
る。つまり理想に近い摩擦抵抗力τの分布を実現できる
ものである。
【0016】図2に示すのはジョイントシース6として
合成ゴム製の伸縮可能な短尺なシースを採用した場合で
あり、この場合屈曲性は良好でないが、引っ張り力が作
用したとき伸びることができ、やはり別個の異形シース
5にそれぞれ引っ張り力を負担させることができる。
【0017】図3に示すのは複数本の引張材1を幾本か
づつ別個の異形シース5の中で定着させるとともに、地
表側の異形シース5よりも掘削孔底部側に位置する異形
シース5の径を小さくしたものである。このようなアン
カーであれば、掘削孔の底部側の径を小さくすることが
可能である。例えば図4に示すように通常の設計よりも
深くアンカーを埋設しておいて万が一の安全を図る場
合、硬岩にさらに深く掘削孔7を掘削する必要がある
が、分割異形シース5の径が小さくなった分掘削孔7の
径を小さくすることができる。掘削孔7の径を大きくす
ることは施工費の高騰につながるもので、硬岩に掘削す
る際に径を小さくできるのは極めてコストの面で有利で
ある。
【0018】
【発明の効果】この発明は以上のような構成を有し、以
下のような効果を得ることができる。 定着シースを複数個の異形シースとこれを繋ぐ伸縮可
能なジョイントシースによって繋ぐとともに、複数本の
引張材のうち幾本かづつを別個の分割異形シースの中で
定着させるため、引張材に与えた引っ張り力は組ごとに
その周辺にある異形シースに各々別個に伝わり、組ごと
に別々に摩擦抵抗力を発生させるため、理想に近い定着
部ほぼ全長に渡って摩擦抵抗力が発生して、大きな定着
力を得ることができる。 ジョイントシースが屈曲可能であり、作業空間の小さ
い場所でも定着シースを曲げて掘削孔に挿入でき、施工
が容易になる。 掘削孔底部側の分割異形シースの径を地表側のそれよ
り小さくすれば、掘削孔の深い位置で径を小さくでき、
施工を安価に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるアンカーの一部断面図であ
る。
【図2】他のアンカーの一部断面図である。
【図3】他のアンカーの一部断面図である。
【図4】法面に施工した状態の断面図である。
【図5】アンカーの全体図である。
【図6】施工状態の説明図である。
【図7】従来のアンカーの説明図である。
【符号の説明】 1 引張材 2 アンボンドシース 3 自由長部シース 4 定着シース 5 異形シース 6 ジョイントシース 7 削孔 8 硬化材

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自由長部と定着部からなる複数本の引張
    材の定着部外側に定着シースを配して地盤に掘削した削
    孔内に配し、定着シースの内側と外側に硬化材を充填し
    て定着するアンカーにおいて、定着シースは複数個の短
    尺の異形シースと、隣合って配した異形シースを繋ぐた
    めの伸縮及び屈曲可能なストレートなジョイントシース
    とによって一本の定着シースと成し、複数本の引張材の
    うち幾本づつかを組とし、組ごとに別個の異形シースの
    内部にて定着させることを特徴とするアンカー。
  2. 【請求項2】 複数個の異形シースのうち、掘削孔地表
    側に位置する異形シースよりも、掘削孔底部側に位置す
    る異形シースの径を小さくしたことを特徴とする請求項
    2記載のアンカー。
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JPS6195124A (ja) * 1984-10-17 1986-05-13 Kensetsu Kiso Eng Kk グランドアンカ−定着方法
DE3507732A1 (de) * 1985-03-05 1986-09-18 Dyckerhoff & Widmann AG, 8000 München Zugglied fuer einen felsbolzen oder dergleichen

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