JP2024097163A - リチウムイオン電池用集電体 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024097163000001
【課題】、電解液の液滲みを防止することができ、かつ、単電池を複数積層した場合でも樹脂集電体間の貫通抵抗値が高くなりにくいリチウムイオン電池用集電体を提供する。
【解決手段】3層以上の導電性樹脂層を有するリチウムイオン電池用集電体であって、前記導電性樹脂層のうち最も外側に位置する2つの層である最外層が、いずれも、高分子材料と導電性フィラー(A)を含み、前記導電性フィラー(A)がカーボンブラック及び/又はアセチレンブラックであり、前記導電性樹脂層のうち前記最外層ではない層である中間層のうち少なくとも1層が、高分子材料と導電性フィラー(B)を含み、前記導電性フィラー(B)が黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上である電解液滲み防止層であることを特徴とするリチウムイオン電池用集電体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池用集電体に関する。
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度、高出力密度が達成できる二次電池として、近年様々な用途に多用されている。一般的なリチウムイオン電池は、集電体の一面に正極活物質層及び負極活物質層をそれぞれ設けた後に、活物質層間にセパレータを挾んでこれら正極活物質と負極活物質を積層することで略平板状のリチウム二次単電池を製造し、この単電池を複数積層して構成される。
このような、単電池を複数積層してなるリチウムイオン電池において、集電体として導電性フィラーである金属粉末、バインダ(樹脂)及び溶剤を含む集電体金属ペーストを加熱成形した樹脂集電体を用いたものが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたような樹脂集電体の場合、十分な導電性が得られない、導電性フィラーを介して電解液の液滲みが生じる等の課題があり、これらを解決するために導電性フィラーの種類や量を最適化する試みがなされてきた(特許文献2参照)。
特開2010-62081号公報 特開2020-61300号公報
しかしながら、一般的に樹脂集電体は金属集電体に比較して電子伝導性が低い。このことは、単電池を複数積層する際に、より大きな課題として顕在化する。具体的には、上下に隣り合う単電池の上下面に位置する樹脂集電体間の貫通抵抗値が一定値以下でないとリチウムイオン電池の電気特性が悪化する。
特許文献2に記載された樹脂集電体は、電解液の液滲みを防止する効果が充分であるものの、貫通抵抗値が高く、単電池を複数積層した場合にリチウムイオン電池の電気特性が低下してしまうという課題があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、電解液の液滲みを防止することができ、かつ、単電池を複数積層した場合でも樹脂集電体間の貫通抵抗値が高くなりにくいリチウムイオン電池用集電体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、3層以上の導電性樹脂層を有するリチウムイオン電池用集電体であって、上記導電性樹脂層のうち最も外側に位置する2つの層である最外層が、いずれも、高分子材料と導電性フィラー(A)を含み、上記導電性フィラー(A)がカーボンブラック及び/又はアセチレンブラックであり、上記導電性樹脂層のうち上記最外層ではない層である中間層のうち少なくとも1層が、高分子材料と導電性フィラー(B)を含み、上記導電性フィラー(B)が黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上である電解液滲み防止層であることを特徴とするリチウムイオン電池用集電体に関する。
本発明によれば、電解液の液滲みを防止することができ、かつ、単電池を複数積層した場合でも樹脂集電体間の貫通抵抗値が高くなりにくいリチウムイオン電池用集電体を提供することができる。
図1は、リチウムイオン電池用集電体の層構成の例を模式的に示す断面図である。 図2は、リチウムイオン電池用集電体の層構成の例を模式的に示す断面図である。
<リチウムイオン電池用樹脂集電体>
本発明のリチウムイオン電池用集電体は、3層以上の導電性樹脂層を有するリチウムイオン電池用集電体であって、上記導電性樹脂層のうち最も外側に位置する2つの層である最外層が、いずれも、高分子材料と導電性フィラー(A)を含み、上記導電性フィラー(A)がカーボンブラック及び/又はアセチレンブラックであり、上記導電性樹脂層のうち上記最外層ではない層である中間層のうち少なくとも1層が、高分子材料と導電性フィラー(B)を含み、上記導電性フィラー(B)が黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上である電解液滲み防止層であることを特徴とするリチウムイオン電池用集電体である。
本発明のリチウムイオン電池用集電体は、3層以上の導電性樹脂層を有する。導電性樹脂層のうち最も外側に位置する2つの層を最外層とする。
導電性樹脂層のうち上記最外層ではない層を中間層とする。中間層のうち、少なくとも1層は電解液滲み防止層である。
まず、最外層と電解液滲み防止層について説明する。
2つの最外層は、いずれも、高分子材料と導電性フィラー(A)を含む。
2つの最外層は同じ組成の層であってもよく、異なる組成の層であってもよい。
高分子材料としては、特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリオレフィン[ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、及びポリシクロオレフィン(PCO)等]が挙げられる。より好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)が挙げられる。
また、これらのポリオレフィン樹脂の変性物(以下、変性ポリオレフィンという)又は混合物であってもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、以下のものが市場から入手できる。
PE:「ノバテックLL UE320」「ノバテックLL UJ960」いずれも日本ポリエチレン(株)製
PP:「サンアロマーPM854X」「サンアロマーPC684S」「サンアロマーPL500A」「サンアロマーPC630S」「サンアロマーPC630A」「サンアロマーPC900A」「サンアロマーPB522M」「クオリアCM688A」いずれもサンアロマー(株)製、「プライムポリマーJ-2000GP」(株)プライムポリマー製、「ウィンテックWFX4T」日本ポリプロ(株)製
PMP:「TPX」三井化学(株)製
変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合体に極性官能基を導入したものが挙げられ、極性官能基としては、カルボキシル基、1,3-ジオキソ-2-オキサプロピレン基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基及びイミド基等が挙げられる。
ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合体に極性官能基を導入した変性ポリオレフィンの例としては、三井化学株式会社製アドマーシリーズ等が市販されている。
ポリオレフィン樹脂以外の樹脂としては、スチレンクロロエチレン、トリクロロエチレン、フッ化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、フッ化ビニリデン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-メチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ピロメリット酸(無水物)、2-クロロ-1,4-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、テレフタロイルクロライド、2,6-ジメチルフェニレンオキサイド、スチレン、4,4-ジクロロベンゾフェノン、2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等を単量体として重合することで得られる樹脂が挙げられる。
導電性フィラー(A)はカーボンブラック及び/又はアセチレンブラックである。導電性フィラー(A)はカーボンブラックのみであってもよく、アセチレンブラックのみであってもよく、カーボンブラックとアセチレンブラックの併用であってもよい。
本明細書におけるカーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等が挙げられる。
アセチレンブラックは、カーボンブラックの1種と定義することもあるが、本明細書では上記のカーボンブラックとは異なる種類の導電性フィラーとして定める。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましく、0.02~5μmであることがより好ましく、0.03~1μmであることがさらに好ましい。
なお、本明細書中において、「導電性フィラーの平均粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
最外層は、いずれも、導電性フィラー(A)の重量割合が、最外層の重量を基準として20~80重量%であることが好ましい。
導電性フィラー(A)の重量割合が上記範囲であると、最外層の導電性がより高くなるので、貫通抵抗値を低くすることができる。
2つある最外層における導電性フィラー(A)の重量割合は同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、最外層には高分子材料と導電性フィラー(A)の他に、導電性フィラー(A)以外の導電性フィラーを含んでいてもよい。また、最外層には高分子材料と導電性フィラー(A)以外の導電性フィラーを含まないことが好ましい。特に、黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維はいずれも含まないことが好ましい。
最外層には、高分子材料と導電性フィラー(A)の他にフィラー分散剤を含んでいてもよい。
フィラー分散剤としては、変性ポリオレフィン及び界面活性剤等を使用することができる。
分散剤としては、三洋化成工業株式会社製ユーメックスシリーズ、東洋紡株式会社製ハードレンシリーズ、トーヨータックシリーズ等が使用可能である。
中間層は、リチウムイオン電池用集電体を構成する3層以上の導電性樹脂層のうち、最外層以外の導電性樹脂層である。
中間層のうち少なくとも1層が電解液滲み防止層である。中間層は全ての層が電解液滲み防止層であってもよく、電解液滲み防止層と他の導電性樹脂層からなる構成であってもよい。
電解液滲み防止層は、高分子材料と導電性フィラー(B)を含む。
高分子材料としては、上記最外層に使用できる高分子材料として例示した高分子材料を使用することができる。最外層を構成する高分子材料と同じ高分子材料であってもよく、異なる高分子材料であってもよい。
導電性フィラー(B)は、黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上である。
黒鉛としては、その形状は特に限定されず、球状黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片状黒鉛等が挙げられる。
ハードカーボン(難黒鉛化炭素)としては、その形状は特に限定されない。
黒鉛及びハードカーボンの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましく、0.02~5μmであることがより好ましく、0.03~1μmであることがさらに好ましい。
炭素繊維としては、平均繊維長0.1~100μmの炭素繊維であることが好ましい。また、平均繊維径は0.1~20μmの炭素繊維であることが好ましい。
なお、本明細書中において、平均繊維長及び平均繊維径は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡等の観察手段を用い、数~数十視野中に観察される繊維の繊維長の平均値として算出される値を採用するものとする。
また、炭素繊維として、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーを用いてもよい。
電解液滲み防止層は、いずれも、導電性フィラー(B)の重量割合が、電解液滲み防止層の重量を基準として1~80重量%であることが好ましい。
導電性フィラー(B)の重量割合が上記範囲であると、導電性フィラーを介して電解液の液滲みが生じることを防止できる。
電解液滲み防止層が複数層ある場合における導電性フィラー(B)の重量割合は各層で同じであってもよく、異なっていてもよい。
電解液滲み防止層には導電性フィラー(A)は含まないことが好ましく、カーボンブラック及びアセチレンブラックはいずれも含まないことが好ましい。
電解液滲み防止層には、高分子材料と導電性フィラー(B)の他にフィラー分散剤を含んでいてもよい。
フィラー分散剤としては、上記最外層に使用できるフィラー分散剤として例示したフィラー分散剤を使用することができる。最外層を構成するフィラー分散剤と同じフィラー分散剤であってもよく、異なるフィラー分散剤であってもよい。
中間層には、電解液滲み防止層ではない他の導電性樹脂層が存在してもよい。
他の導電性樹脂層は、高分子材料と導電性フィラーを含む導電性樹脂層であって、電解液滲み防止層に該当しない導電性樹脂層である。
他の導電性樹脂層の構成は最外層と同じであってもよく、最外層及び電解液滲み防止層のいずれとも異なっていてもよい。また、他の導電性樹脂層は存在していなくてもよい。
他の導電性樹脂層を構成する高分子材料としては、上記最外層に使用できる高分子材料として例示した高分子材料を使用することができる。
他の導電性樹脂層を構成する導電性フィラーとしては、黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維以外の導電性フィラーを使用することができる。
また、導電性フィラーとして金属フィラーを使用することができる。金属フィラーとしてはNiフィラー、Cuフィラー、Agフィラー等を使用することができる。
以下に図面を参照して本発明のリチウムイオン電池用集電体の層構成の例について説明する。
図1及び図2は、リチウムイオン電池用集電体の層構成の例を模式的に示す断面図である。
図1には、導電性樹脂層を3層有するリチウムイオン電池用集電体1を示している。リチウムイオン電池用集電体1では、最外層10がリチウムイオン電池用集電体1の最も外側に位置しており、中間層としての電解液滲み防止層20が最外層10に挟まれて位置している。
図2には、導電性樹脂層を5層有するリチウムイオン電池用集電体2を示している。リチウムイオン電池用集電体2では、最外層10がリチウムイオン電池用集電体2の最も外側に位置している。中間層としての電解液滲み防止層20が中央の層として位置している。
中間層としての他の導電性樹脂層30が最外層10と電解液滲み防止層20に挟まれて位置している。
本発明のリチウムイオン電池用集電体では、中間層として電解液滲み防止層が少なくとも1層設けられている。電解液滲み防止層に含まれる導電性フィラー(B)は黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上である。これらの導電性フィラー(B)を介しての電解液の液滲みは生じにくいため、導電性フィラー(B)を含む電解液滲み防止層を設けることによって、リチウムイオン電池用集電体において電解液の液滲みが生じることが防止される。
一方、導電性樹脂層に含まれる導電性フィラー(B)が黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上であると、導電性樹脂層の貫通抵抗値が高くなる。
そこで、本発明のリチウムイオン電池用集電体では集電体全体を電解液滲み防止層とはせずに3層以上の多層構造として、最外層に電解液滲み防止層とは異なる組成の導電性樹脂層を設ける。
最外層に含まれる導電性フィラー(A)はカーボンブラック及び/又はアセチレンブラックであり、これらの導電性フィラー(A)を用いた導電性樹脂層は貫通抵抗値が低くなるので、貫通抵抗値の低い導電性樹脂層をリチウムイオン電池用集電体の最外層に配置することで、リチウムイオン電池用集電体全体の貫通抵抗値を低くすることができる。
その結果、電解液の液滲みを防止することができ、かつ、単電池を複数積層した場合でも樹脂集電体間の貫通抵抗値が高くなりにくいリチウムイオン電池用集電体を提供することができる。
本発明のリチウムイオン電池用集電体では、最外層の膜厚の合計と中間層の膜厚の合計との比が、最外層/中間層=4/96~90/10であることが好ましい。
ここでいう中間層の厚さは、液滲み防止層の厚さと液滲み防止層ではない他の導電性樹脂層の厚さの合計厚さである。
このような割合であると最外層を設けることによる貫通抵抗値の低減効果と、電解液滲み防止層を含む中間層を設けることによる電解液の液滲みを防止する効果がより好適に発揮される。
また、本発明のリチウムイオン電池用集電体では、最外層の膜厚の合計と電解液滲み防止層の膜厚の合計との比が、最外層/電解液滲み防止層=4/96~90/10であることが好ましく、40/60~80/20であることがより好ましい。
このような割合であると最外層を設けることによる貫通抵抗値の低減効果と、電解液滲み防止層を設けることによる電解液の液滲みを防止する効果がより好適に発揮される。
リチウムイオン電池用集電体の全体の厚さは30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。また、リチウムイオン電池用集電体の全体の厚さは100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましい。
最外層の1層あたりの厚さは2μm以上であることが好ましく、18μm以上であることがより好ましい。また、最外層の1層あたりの厚さは45μm以下であることが好ましく、38μm以下であることがより好ましい。
最外層の合計厚さは4μm以上であることが好ましく、32μm以上であることがより好ましい。また、最外層の合計厚さは90μm以下であることが好ましく、72μm以下であることがより好ましい。
電解液滲み防止層の1層あたりの厚さは10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、電解液滲み防止層の1層あたりの厚さは96μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。
電解液滲み防止層の合計厚さは10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、電解液滲み防止層の合計厚さは96μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。
中間層の厚さは10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、中間層の厚さは96μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。
ここでいう中間層の厚さは、液滲み防止層の厚さと液滲み防止層ではない他の導電性樹脂層の厚さの合計厚さである。
本発明のリチウムイオン電池用集電体の最外層の表面には、金属膜が設けられていてもよい。
金属膜を設ける方法としてはスパッタリング、電着、めっき処理及び塗布等の手法が挙げられる。金属層を構成する金属種としては、銅、ニッケル、チタン、銀、金、白金、アルミニウム、ステンレス、ニクロム等が挙げられる。
本発明のリチウムイオン電池用集電体は、例えばTダイ法による共押出法により製造することができる。
この場合、樹脂組成物として、最外層となる樹脂組成物と、電解液滲み防止層となる樹脂組成物を、高分子材料と導電性フィラー(A)又は導電性フィラー(B)を混合することにより得る。また、必要に応じて他の導電性樹脂層となる樹脂組成物を高分子材料と導電性フィラーを混合することにより得る。
そして、リチウムイオン電池用集電体の各層を構成する樹脂組成物の溶融混練物をTダイから共押出して、圧延(熱プレスによる圧縮を含む)することにより、樹脂組成物の溶融混練物同士を融着させて1枚の一体化したフィルム状のリチウムイオン電池用集電体とすることができる。
また、本発明のリチウムイオン電池用集電体は、Tダイ法に代えてインフレーション法等の公知の共押出法により製造することもできる。
また、樹脂組成物の溶融混練物を押出成形以外の方法でシート状に成形することによってリチウムイオン電池用集電体を得るようにしてもよい。
<リチウムイオン電池>
本発明のリチウムイオン電池用集電体は、公知のリチウムイオン電池に適用することができる。
すなわち、正極活物質、負極活物質、電解液及びセパレータ等の材料としては、公知の材料を使用することができる。
なお、正極活物質は、正極活物質がアクリル系樹脂等の樹脂で被覆された被覆正極活物質であってもよく、負極活物質は、負極活物質がアクリル系樹脂等の樹脂で被覆された被覆負極活物質であってもよい。
なお、リチウムイオン電池においては、本発明のリチウムイオン電池用集電体を、正極集電体又は負極集電体のうち少なくとも一方に用いていればよい。また、正極集電体及び負極集電体の両方が本発明のリチウムイオン電池用集電体であってもよい。
また、リチウムイオン電池は、順に積層されたひと組の正極集電体、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及び負極集電体からなる積層単位を備える単電池を複数積層してなり、複数の単電池を外装体に封入した組電池であることが好ましい。
積層単位の周囲には枠部材を有していることが好ましく、枠部材が正極枠部材と負極枠部材からなり、正極枠部材と負極枠部材でセパレータを挟むことにより、セパレータの周縁部を固定した構造であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用集電体を使用すると、単電池を複数積層して組電池とした際に、樹脂集電体間の貫通抵抗値が高くなりにくいという効果が発揮される。
組電池における単電池の積層数は2~3層であることが好ましい。
本明細書には以下の事項が開示されている。
本開示(1)は、3層以上の導電性樹脂層を有するリチウムイオン電池用集電体であって、
前記導電性樹脂層のうち最も外側に位置する2つの層である最外層が、いずれも、高分子材料と導電性フィラー(A)を含み、前記導電性フィラー(A)がカーボンブラック及び/又はアセチレンブラックであり、前記導電性樹脂層のうち前記最外層ではない層である中間層のうち少なくとも1層が、高分子材料と導電性フィラー(B)を含み、前記導電性フィラー(B)が黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上である電解液滲み防止層であることを特徴とするリチウムイオン電池用集電体である。
本開示(2)は、前記最外層は、いずれも、前記導電性フィラー(A)の重量割合が、前記最外層の重量を基準として20~80重量%である本開示(1)に記載のリチウムイオン電池用集電体である。
本開示(3)は、前記電解液滲み防止層は、いずれも、前記導電性フィラー(B)の重量割合が、前記電解液滲み防止層の重量を基準として1~80重量%である本開示(1)又は(2)に記載のリチウムイオン電池用集電体である。
本開示(4)は、前記最外層の膜厚の合計と前記中間層の膜厚の合計との比が、最外層/中間層=4/96~90/10である本開示(1)~(3)のいずれかに記載のリチウムイオン電池用集電体である。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
[導電性フィラー(A)を含む樹脂集電体用組成物Aの作製]
(樹脂集電体用組成物A-1の作製)
2軸押出機にて、高分子材料としてのポリプロピレン樹脂65部、導電性フィラーとしてのカーボンブラック30部、フィラー分散剤[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用組成物A-1を得た。
(樹脂集電体用組成物A-2の作製)
2軸押出機にて、高分子材料としてのポリプロピレン樹脂90部、導電性フィラーとしてのカーボンブラック5部、フィラー分散剤[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用組成物A-2を得た。
(樹脂集電体用組成物A-3の作製)
2軸押出機にて、高分子材料としてのポリプロピレン樹脂65部、導電性フィラーとしてのアセチレンブラック30部、フィラー分散剤[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用組成物A-3を得た。
[導電性フィラー(B)を含む樹脂集電体用組成物Bの作製]
(樹脂集電体用組成物B-1の作製)
2軸押出機にて、高分子材料としてのポリプロピレン樹脂65部、導電性フィラーとしてのハードカーボン30部、フィラー分散剤[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用組成物B-1を得た。
(樹脂集電体用組成物B-2の作製)
2軸押出機にて、高分子材料としてのポリプロピレン樹脂65部、導電性フィラーとしてのハードカーボン15部、カーボンナノチューブ15部、フィラー分散剤[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用組成物B-2を得た。
(樹脂集電体用組成物B-3の作製)
2軸押出機にて、高分子材料としてのポリプロピレン樹脂65部、導電性フィラーとしての黒鉛15部、カーボンナノチューブ15部、フィラー分散剤[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用組成物B-3を得た。
[その他の導電性フィラーを含む樹脂集電体用組成物Cの作製]
(樹脂集電体用組成物C-1の作製)
2軸押出機にて、高分子材料としてのポリプロピレン樹脂65部、導電性フィラーとしてのNi粒子30部、フィラー分散剤[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用組成物C-1を得た。
(実施例1~4、比較例1~4)
[樹脂集電体の作製]
作製した樹脂集電体用組成物を表1に示す組成で組み合わせてTダイから共押出して、50℃に温調した冷却ロールで圧延することで、樹脂集電体を得た。
表中のフィラー種の詳細は以下のとおりである。
CB:カーボンブラック((商品名)Super-P、TIMCAL社製、平均粒子径0.040μm)
AB:アセチレンブラック((商品名)デンカブラックLi-100、デンカ(株)製、平均粒子径0.035μm)
HC:ハードカーボン((商品名)BELLFINE、ATエレクトロード(株)製、平均粒子径4.5μm)
CNT:カーボンナノチューブ((商品名)VGCF-H、昭和電工(株)製、平均繊維径0.15μm)
黒鉛((商品名)UP5α、日本黒鉛(株)製、平均粒子径6.0μm)
Ni:ニッケル粒子((商品名)Type255、Vale社製、平均粒子径2.5μm)
比較例4は樹脂集電体用組成物C-1のみを用いて作製した単層の樹脂集電体である。
Figure 2024097163000002
<集電体の貫通抵抗値の測定>
作製したリチウムイオン電池用集電体を3cm×10cmの短冊状に裁断して測定用試験片とし、抵抗計[RM3548、HIOKI製]を接続した電気抵抗測定器[IMC-0240型、井元製作所(株)製]の電極間に試験片を挟み、電極に2.16kgの荷重をかけながら抵抗値を測定し、2.16kgの荷重をかけてから60秒後の値をその樹脂集電体の抵抗値とした。下記の式に示すように、抵抗測定時の冶具の接触表面の面積(3.14cm)をかけた値を貫通抵抗値(Ω・cm)とした。その結果を表1に示す。
貫通抵抗値(Ω・cm)=抵抗値(Ω)×3.14(cm
<評価用リチウムイオン電池の作製>
各実施例及び比較例で作製したリチウムイオン電池用集電体に正極活物質スラリーを塗工したものを正極とし、同様に銅箔[古川電気工業(株)製]に負極活物質スラリーを塗工したものを負極とした。
ここで得られた正極と負極をセパレータを介して貼り合わせ、評価用リチウムイオン電池を作製した。
以下にそのプロセスを詳しく示す。
<正極の作製>
[被覆用高分子化合物とその溶液の作製]
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF70.0部を仕込み75℃に昇温した。次いで、メタクリル酸ブチル20.0部、アクリル酸55.0部、メタクリル酸メチル22.0部、アリルスルホン酸ナトリウム3部及びDMF20部を配合したモノマー配合液と、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.4部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部をDMF10.0部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、80℃に昇温し反応を5時間継続し樹脂濃度50%の共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液はテフロン(登録商標)製のバットに移して120℃、0.01MPaで3時間の減圧乾燥を行ってDMFを留去し、被覆用高分子化合物を得た。
[被覆正極活物質の作製]
正極活物質粉末(LiNi0.8Co0.15Al0.05粉末、体積平均粒子径4μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、上記被覆用高分子化合物をイソプロパノールに1.0重量%の濃度で溶解して得られた被覆用高分子化合物溶液11.2部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤としてアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)]6.2部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、被覆正極活物質を得た。
[リチウムイオン電池の正極の作製]
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSO(LiFSI)を2mol/Lの割合で溶解させて作製したリチウムイオン電池用電解液42部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S-243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]4.2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで7分間混合し、続いて上記電解液30部と上記被覆正極活物質206部を追加した後、更にあわとり練太郎により2000rpmで1.5分間混合し、上記電解液20部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、上記電解液2.3部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1.5分間混合して、正極活物質スラリーを作製した。
得られた正極活物質スラリーをリチウムイオン電池用集電体に塗布し、5MPaの圧力で約10秒プレスし、リチウムイオン電池用正極(58mm×42mm)を作製した。
<負極の作製>
[被覆用高分子化合物とその溶液の作製]
上記<正極の作製>において用いた被覆用高分子化合物とその溶液を作製した。
[被覆負極活物質の作製]
炭素系材料である難黒鉛化性炭素粉末(体積平均粒子径20μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、上記被覆用高分子化合物をイソプロパノールに19.8重量%の濃度で溶解して得られた被覆用高分子化合物溶液9.2部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤であるアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)]11.3部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、被覆負極活物質を得た。
[リチウムイオン電池の負極の作製]
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)に上記電解液20部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S-243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで7分間混合し、続いて上記電解液50部と上記被覆負極活物質98部を追加した後、更にあわとり練太郎で2000rpmで1.5分間混合し、上記電解液25部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、更に上記電解液50部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1.5分間混合して、負極活物質スラリーを作製した。
得られた負極活物質スラリーをそれぞれ銅箔[古河電工(株)製]の片面に塗布し、5MPaの圧力で約10秒プレスし、リチウムイオン電池用負極(62mm×46mm)を作製した。
[セパレータの作製]
平板状のセルガード2500(PP製、厚さ25μm)を70mm×55mmの正方形に切り出して、セパレータ本体とした。
[枠部材の作製]
低融点ポリエチレン(PE)からなる積層フィルムを延伸して厚さ25μmの延伸フィルム(低融点PE延伸フィルム)を準備した。その後、ポリエチレンナフタレート[帝人(株)製、PEN]からなる厚さ250μmのフィルムと接着性ポリオレフィン系樹脂フィルム[三井化学(株)製、アドマーVE300、厚さ50μm]とを加熱ロールまたはラミネート機により接着して積層体を準備した。その後、積層体を90mm×74mmの長方形に切断し、さらに、中央の66mm×50mmの長方形の領域を打ち抜くことにより、PENからなる層(PEN層)と低融点PE延伸フィルムからなる層(低融点PE層)とが積層された、外形形状が長方形の積層体(枠部材)を得た。
[セパレータ本体と枠部材との接合]
枠部材の外形寸法に基づく重心とセパレータ本体の外形寸法に基づく重心が重なるように、かつ、各枠部材のPEN層がそれぞれセパレータ本体と接触するように、セパレータ本体の両面に枠部材を貼り合わせ、インパルスシーラーを用いて接着することにより、セパレータ本体の外周に沿って枠部材が環状に配置されたリチウムイオン電池用セパレータを得た。
なお、リチウムイオン電池とする際に正極側に配置される枠部材が正極枠部材であり、負極側に配置される枠部材が負極枠部材である。
なお、正極集電体と接触する側の層(低融点PE層)を第1シール層、負極集電体と接触する側の層(低融点PE層)を第2シール層ともいう。
PEN層は、外周から幅0.5mmの部分では互いに接触しているが、その内側の幅1.5mmの部分ではセパレータ本体を介して対向している。
[評価用リチウムイオン電池の作製]
負極上に予め上記電解液で湿らせた上記リチウムイオン電池用セパレータを乗せ、さらに上にからリチウムイオン電池用正極を重ね合わせた。
順に積層されたひと組の正極集電体、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及び負極集電体からなる積層単位が単電池となる。この単電池を2つ積層し、3辺を加熱シーラーにて長辺、短辺、長辺の順でシールした。最後の1辺は、トスパック(TOSEI製)を用いてセル内を真空にし、短辺をシールした。このとき得られたセルをアルミラミセル(正極:カーボンコートアルミ、負極:銅箔)に入れて、単電池が2つ積層されてなる組電池である評価用リチウムイオン電池を作製した。
<充放電による集電体機能の確認>
集電体機能の確認のため、作製した評価用リチウムイオン電池を用い、25℃下、充放電測定装置「HJ-SD8」[北斗電工(株)製]を用いて、以下の方法によりリチウムイオン電池の初回性能の評価を行った。結果を表1に示す。
定電流定電圧充電方式(CCCVモードともいう)で0.05Cの電流で4.2Vまで充電した後4.2Vを維持した状態で電流値が初期電流値の5%に低下するまで充電した。10分間の休止後、0.05Cの電流で1.5Vまで放電した。
放電開始からの10秒間の電圧降下から、以下の式で電気抵抗値(10sDCR)を算出した。
[10sDCR(Ω・cm)]=([放電開始前の電圧(V)]-[放電開始後10秒経過時の電圧(V)])/[放電時電流値(A)]×24.36(24.36cm
<耐液滲み性試験>
以下の手順により、下記の基準で耐液滲み性を評価した。結果を表1に示す。
[耐液滲み性評価]
45℃下、充放電測定装置「HJ-SD8」[北斗電工(株)製]を用いて以下の方法により評価用リチウムイオン電池につき充放電試験を行った。
定電流定電圧方式(0.1C)で4.2Vまで充電した後、10分間の休止後、定電流方式(0.1C)で2.6Vまで放電する工程を1サイクルとして、これを100サイクル繰り返した。
上記充放電試験後のセルのリチウムイオン電池用集電体の外側に、液滴等のセル内部から浸透した液滲みがないか目視で確認し、以下の基準で判定した。
○:電解液由来による液滴がない
×:電解液由来による液滴がある
各実施例の集電体は貫通抵抗値が低く、評価用リチウムイオン電池において液滲みが生じておらず、10sDCRの値も低くなっていた。
比較例1、2、4では電解液滲み防止層に相当する層がなく、液滲み試験の結果が×となっていた。比較例2では最外層が導電性フィラー(A)を含まず導電性フィラー(B)を含む層であるため、樹脂集電体の貫通抵抗値が高く、10sDCRの値も高くなっていた。
1、2 リチウムイオン電池用集電体
10 最外層
20 電解液滲み防止層
30 他の導電性樹脂層

Claims (4)

  1. 3層以上の導電性樹脂層を有するリチウムイオン電池用集電体であって、
    前記導電性樹脂層のうち最も外側に位置する2つの層である最外層が、いずれも、高分子材料と導電性フィラー(A)を含み、前記導電性フィラー(A)がカーボンブラック及び/又はアセチレンブラックであり、
    前記導電性樹脂層のうち前記最外層ではない層である中間層のうち少なくとも1層が、高分子材料と導電性フィラー(B)を含み、前記導電性フィラー(B)が黒鉛、ハードカーボン及び炭素繊維からなる群から選択される1種以上である電解液滲み防止層であることを特徴とするリチウムイオン電池用集電体。
  2. 前記最外層は、いずれも、前記導電性フィラー(A)の重量割合が、前記最外層の重量を基準として20~80重量%である請求項1に記載のリチウムイオン電池用集電体。
  3. 前記電解液滲み防止層は、いずれも、前記導電性フィラー(B)の重量割合が、前記電解液滲み防止層の重量を基準として1~80重量%である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用集電体。
  4. 前記最外層の膜厚の合計と前記中間層の膜厚の合計との比が、最外層/中間層=4/96~90/10である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用集電体。

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