JP2022085826A - リチウムイオン電池用樹脂集電体及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用樹脂集電体及びその製造方法 Download PDF

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Tomofumi Yamashita
靖泰 都藤
Yasuhiro Tsudo
英明 堀江
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Abstract

【課題】充放電に伴う体積変化を小さくすることができ、サイクル特性の低下を抑制することができるリチウムイオン電池用樹脂集電体を提供する。【解決手段】第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂層を備え、上記第1導電性フィラーは、真密度が1.1~1.8g/cm3の導電性カーボンであるリチウムイオン電池用樹脂集電体。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用樹脂集電体及びその製造方法に関する。
リチウムイオン(二次)電池は、高エネルギー密度、高出力密度が達成できる二次電池として、近年様々な用途に多用されている。
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度、高出力密度が達成できる二次電池として、近年様々な用途に多用されており、より高性能のリチウムイオン電池を開発するために種々の材料が検討されている。
近年、このようなリチウムイオン電池の集電体として金属箔に代わって、樹脂集電体用分散剤、樹脂及び導電性フィラーを含有する樹脂集電体用材料、並びに、該樹脂集電体用材料を有する樹脂集電体が提案されている(特許文献1)。
樹脂集電体は、短絡しても樹脂集電体自体の抵抗が大きいので短絡部位に向かって大電流が流れることはなく、急激な温度上昇が発生しないため発火も起きないという安全性のメリットはある。しかしながら、充放電に伴うリチウムイオンの出入りで導電性フィラーが膨潤、収縮することにより、樹脂集電体に体積変化が起きて導電パスが切断され、導電性が低下する等の劣化が生じるという問題があった。
これを解決するために、導電性フィラーにリチウムイオンの入り込まない金属系フィラーを使用する等の検討がされてきた(特許文献2)。
しかし、導電性フィラーとして金属系フィラーを使用すると、充電時又は時間の経過と共に金属系フィラーが酸化して、樹脂集電体の電気抵抗値(貫通抵抗値)が高くなることにより、リチウムイオン電池のサイクル特性が低下することがあり、更なる改善の余地があった。
国際公開第2015/005116号 特開2018-198196号公報
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、充放電に伴う体積変化を小さくすることができ、サイクル特性の低下を抑制することができるリチウムイオン電池用樹脂集電体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、真密度が高い導電性カーボンを含む第1導電性樹脂層と、第1導電性樹脂層上に、真密度が低い導電性フィラーを含む第2導電性樹脂層とを備えることにより、充放電に伴う体積変化を小さくすることができ、サイクル特性の低下を抑制することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂層を備え、上記第1導電性フィラーは、真密度が1.1~1.8g/cmの導電性カーボンであるリチウムイオン電池用樹脂集電体;第1面が第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂層からなり、第2面が第2導電性フィラーを含む第2導電性樹脂層からなるリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法であって、上記第1導電性フィラーは、真密度が1.1~1.8g/cmの導電性カーボンであり、上記第2導電性フィラーは、真密度が2.0~2.5g/cmの導電性カーボンであり、上記第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂組成物及び上記第2導電性フィラーを含む第2導電性樹脂組成物を共押出しして積層する工程を有するリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法に関する。
本発明によれば、充放電に伴う体積変化が小さくすることができ、サイクル特性の低下を抑制することができるリチウムイオン電池を提供することができる。
<リチウムイオン電池用樹脂集電体>
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂層を備え、上記第1導電性フィラーは、真密度が1.1~1.8g/cmの導電性カーボンである。
本明細書における導電性フィラーの真密度は、JIS Z 8807:2012「固体の密度及び比重の測定方法」に準拠して、ゲーリュサック型(ピクノメータ・液相置換)法を用いて測定した値であり、例えば、AUTO TRUE DENSER MAT-7000[(株)セイシン企業社製]等を用いて測定することができる。
なお、第1導電性樹脂層又は後述する第2導電性樹脂層が2種類以上の導電性フィラーを含む場合、第1導電性樹脂層に最も多く含まれる種類の導電性フィラーの真密度を代表値とし、また、第2導電性樹脂層に最も多く含まれる種類の導電性フィラーの真密度を代表値として、導電性フィラーの真密度の代表値同士を比較する。
比較の結果、真密度が小さい導電性フィラーを含む導電性樹脂層が第1導電性樹脂層となる。
(第1導電性樹脂層)
まずは、第1導電性樹脂層について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体において、第1導電性樹脂層は、第1導電性フィラーを含み、第1導電性フィラーは、真密度が1.1~1.8g/cmの導電性カーボンである。
このような導電性カーボンは、充放電によりリチウムイオンが出入りしたとしても、膨潤や収縮を起こさないだけの空間を保持する。そのため、充放電に伴う樹脂集電体の体積変化を小さくすることができる。
第1導電性フィラーは、真密度が1.2~1.7g/cmの導電性カーボンであることが好ましく、真密度が1.5~1.6g/cmの導電性カーボンであることがより好ましい。
第1導電性フィラーの結晶子サイズ(Lc)は、1.0~2.0nmであることが好ましい。
このような結晶子サイズ(Lc)を有することにより、リチウムイオンが出入りする空間を十分に保持することができる。
第1導電性フィラーの結晶子サイズ(Lc)は、1.0~1.5nmであることがより好ましく、1.0~1.2nmであることが更に好ましい。
なお、本明細書における導電性フィラーの結晶子サイズ(Lc)は、JIS K 0131「X線回折分析通則」に準拠してX線回折(XRD)法により測定した(002)回折線の結晶子サイズ(d(002)面の積み重なり)を意味する。
第1導電性フィラーとしては、例えば、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、カーボンナノファイバー等が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
これらの中では、上記真密度の範囲を好適に満たすことから、ハードカーボンが好ましい。なお、第1導電性フィラーの形状は、球状、鱗片状及び塊状のいずれであっても良い。
第1導電性樹脂層に含まれる第1導電性フィラーの重量割合は、第1導電性樹脂層の重量に基づいて10~50重量%であることが好ましい。
第1導電性フィラーの重量割合を上記範囲とすることで、充放電によりリチウムイオンが出入りしても膨潤や収縮を起こさないだけの空間を十分に保持することができ、充放電に伴う樹脂集電体の体積変化を好適に抑制することができる。
第1導電性樹脂層に含まれる第1導電性フィラーの重量割合は、電気特性及び成膜性の観点から、第1導電性樹脂層の重量に基づいて10~40重量%であることがより好ましく、20~40重量%であることが更に好ましい。
第1導電性樹脂層は、マトリックス樹脂を含むことが好ましい。
マトリックス樹脂としては、特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
マトリックス樹脂は、エチレン、プロピレン、スチレンクロロエチレン、トリクロロエチレン、フッ化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、フッ化ビニリデン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-メチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ピロメリット酸(無水物)、2-クロロ-1,4-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、テレフタロイルクロライド、2,6-ジメチルフェニレンオキサイド、スチレン、4,4-ジクロロベンゾフェノン、2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル、1,4-フェニレンサルファイド、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等を単量体として重合することで得られる。
マトリックス樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを意味し、ピロメリット酸(無水物)とは、ピロメリット酸及びピロメリット酸無水物を意味する。
第1導電性樹脂層は、ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリオレフィン[ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、及びポリシクロオレフィン(PCO)等]が挙げられる。より好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)が挙げられる。
また、これらのポリオレフィン樹脂の変性物(以下、変性ポリオレフィンという)又は混合物であってもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、以下のものが市場から入手できる。
PE:「ノバテックLL UE320」「ノバテックLL UJ960」いずれも日本ポリエチレン(株)製
PP:「サンアロマーPM854X」「サンアロマーPC684S」「サンアロマーPL500A」「サンアロマーPC630S」「サンアロマーPC630A」「サンアロマーPB522M」「クオリアCM688A」いずれもサンアロマー(株)製、「プライムポリマーJ-2000GP」(株)プライムポリマー製、「ウィンテックWFX4T」日本ポリプロ(株)製
PMP:「TPX」三井化学(株)製
変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合体に極性官能基を導入したものが挙げられ、極性官能基としては、カルボキシル基、1,3-ジオキソ-2-オキサプロピレン基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基及びイミド基等が挙げられる。
ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合体に極性官能基を導入した変性ポリオレフィンの例としては、三井化学株式会社製アドマーシリーズ等が市販されている。
第1導電性樹脂層に含まれるポリオレフィン樹脂の重量割合は、第1導電性樹脂層の重量に基づいて50~90重量%であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の重量割合が上記範囲であると、成形性が良好であり、薄膜化に適している。
第1導電性樹脂層は、第1導電性フィラーとは異なる導電材料を含有していてもよい。
導電材料の材質としては、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]及びこれらの合金、並びにこれらの混合物が挙げられる。電気的安定性の観点から、好ましくはニッケルである。
また、導電材料として、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電材料(上記した導電材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
第1導電性樹脂層は、ポリオレフィン樹脂と、第1導電性フィラーとの他に、さらに必要に応じ、その他の成分[導電材料用分散剤、着色剤、紫外線吸収剤、汎用の可塑剤(フタル酸骨格含有化合物、トリメリット酸骨格含有化合物、リン酸基含有化合物及びエポキシ骨格含有化合物等)]等を適宜含んでいてもよい。その他の成分の合計添加量は、電気的安定性の観点から、第1導電性樹脂層100重量部中0.001~5重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.001~3重量部である。
導電材料用分散剤としては、三洋化成工業株式会社製ユーメックスシリーズ、東洋紡株式会社製ハードレンシリーズ、トーヨータックシリーズ等が使用可能である。
第1導電性樹脂層は、1層であってもよいし、2以上の層を有する構成であってもよい。
第1導電性樹脂層が2以上の層を有する場合、2以上の層は、成分組成、含有比率及び厚さが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1導電性樹脂層の厚さは、5~65μmであることが好ましい。
上記範囲とすることにより、薄膜化と樹脂集電体の強度とを好適に両立することができる。
第1導電性樹脂層の厚さは、5~50μmであることがより好ましく、5~25μmであることが更に好ましい。
なお、第1導電性樹脂層が2以上の層を有する構成である場合は、2以上の層を合計した厚さが、5~65μmであることが好ましい。
(第2導電性樹脂層)
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、さらに、第1導電性樹脂層上に形成されており、第2導電性フィラーを含む第2導電性樹脂層を備え、第2導電性フィラーは、真密度が2.0~2.5g/cmの導電性カーボンであることが好ましい。
第2導電性樹脂層を備えることにより、樹脂集電体の導電性を好適に向上させることができる。
なお、本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体が、第1導電性樹脂層及び第2導電性樹脂層を備える場合、第1導電性樹脂層に含まれる導電性カーボンは、第2導電性樹脂層に含まれる導電性カーボンよりも真密度が小さい。
すなわち、導電性カーボンを含む2層の導電性樹脂層からなる樹脂集電体がある場合に、相対的に真密度の小さい導電性カーボンを含む導電性樹脂層を第1導電性樹脂層と定め、相対的に真密度の大きい導電性カーボンを含む導電性樹脂層を第2導電性樹脂層と定めることができる。
第2導電性フィラーは、真密度が2.1~2.4g/cmの導電性カーボンであることがより好ましく、真密度が2.1~2.2g/cmの導電性カーボンであることが更に好ましい。
第2導電性フィラーの結晶子サイズ(Lc)は、2.1~100nmであることが好ましい。
第2導電性フィラーの結晶子サイズ(Lc)は、2.5~60nmであることがより好ましく、3.0~50nmであることが更に好ましい。
第2導電性フィラーとしては、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)、天然又は人造の黒鉛(グラファイト)等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの中では、上記真密度の範囲を好適に満たすことから、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。
なお、第2導電性フィラーの形状は、球状、鱗片状及び塊状のいずれであっても良いが、球状が好ましい。
第2導電性樹脂層に含まれる第2導電性フィラーの重量割合は、第2導電性樹脂層の重量に基づいて10~50重量%であることが好ましい。
第2導電性フィラーの重量割合を上記範囲とすることにより、電気特性を好適に付与することができる。
第2導電性樹脂層に含まれる第2導電性フィラーの重量割合は、第2導電性樹脂層の重量に基づいて10~40重量%であることがより好ましく、20~30重量%であることが更に好ましい。
第2導電性樹脂層は、マトリックス樹脂を含むことが好ましい。
マトリックス樹脂としては、第1導電性樹脂層で記載したものを適宜選択して用いることができる。
マトリックス樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
第2導電性樹脂層は、ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂としては、第1導電性樹脂層で記載したものを適宜選択して用いることができる。
第2導電性樹脂層に含まれるポリオレフィン樹脂の重量割合は、第2導電性樹脂層の重量に基づいて50~90重量%であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の重量割合が上記範囲であると、成形性が良好であり、薄膜化に適している。
第2導電性樹脂層は、第2導電性フィラーとは異なる導電材料を含有していてもよい。
上記導電材料としては、第1導電性樹脂層で記載したものを適宜選択して用いることができる。
第2導電性樹脂層は、ポリオレフィン樹脂と、第2導電性フィラーとの他に、さらに必要に応じ、その他の成分を適宜含んでもよい。
上記その他の成分としては、第1導電性樹脂層で記載したものを適宜選択して用いることができる。
その他の成分の合計添加量は、電気的安定性の観点から、第2導電性樹脂層100重量部中0.001~5重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.001~3重量部である。
第2導電性樹脂層は、1層であってもよいし、2以上の層を有する構成であってもよい。
第2導電性樹脂層が2以上の層を有する場合、2以上の層は、成分組成、含有比率及び厚さが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2導電性樹脂層の厚さは、5~65μmであることが好ましい。
上記範囲とすることにより、薄膜化と樹脂集電体の強度とを好適に両立することができる。
第2導電性樹脂層の厚さは、5~50μmであることがより好ましく、5~25μmであることが更に好ましい。
なお、第2導電性樹脂層が2以上の層を有する構成である場合は、2以上の層を合計した厚さが、5~65μmであることが好ましい。
(リチウムイオン電池用樹脂集電体の特性)
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、電気抵抗値(貫通抵抗値)が40Ω・cm以下であることが好ましく、35Ω・cm以下であることがより好ましく、30Ω・cm以下であることが更に好ましく、25Ω・cm以下であることが特に好ましい。
なお、電気抵抗値(貫通抵抗値)は、以下の方法により測定することができる。
3cm×10cmの短冊状に裁断した樹脂集電体を測定用試験片とし、抵抗計[RM3548、HIOKI製]を接続した電気抵抗測定器[IMC-0240型、井元製作所(株)製]の電極間に試験片を挟み、電極に2.16kgの荷重をかけながら抵抗値を測定する。加重をかけてから60秒後の値に電極と試験片との接触面積(3.14cm)をかけた値を厚さ方向における電気抵抗値とすることができる。なお、電気抵抗測定器[IMC-0240型、井元製作所(株)製]は、JIS K 6378-5において厚さ方向における体積電気抵抗の測定に用いる装置に準拠した試験片を正負電極間に挟んで抵抗値の測定を行うための装置である。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、上述したように電気抵抗値(貫通抵抗値)を十分に低くすることができる。また、真密度が高い導電性カーボンを含む第1導電性樹脂層を備えることにより、充放電に伴う体積変化を小さくすることができ、導電パスの切断による導電性の低下が起こらない。
そのため、本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、リチウムイオン電池のサイクル特性の低下を抑制することができる。
<リチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法>
まずは、本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体が備える第1導電性樹脂層の作製方法について説明する。
第1導電性樹脂層は、第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂組成物を押出成型することにより作製することができる。
第1導電性樹脂組成物を作製する方法としては、第1導電性フィラーのマスターバッチを得てからさらにポリオレフィン樹脂と混合する方法、ポリオレフィン樹脂、第1導電性フィラー、及び、必要に応じてその他の成分のマスターバッチを用いる方法、及び、全ての原料を一括して混合する方法等があり、その混合にはペレット状又は粉体状の成分を適切な公知の混合機、例えばニーダー、インターナルミキサー、バンバリーミキサー及びロール等を用いることができる。
混合時の各成分の添加順序には特に限定はない。得られた混合物は、さらにペレタイザーなどによりペレット化又は粉末化してもよい。
押出成型をする方法としては特に限定されず、Tダイ法等、公知の方法を適宜用いることができる。
なお、第1導電性樹脂層が2以上の層を有する場合には、第1導電性樹脂組成物を2以上準備し、Tダイ法や、インフレーション法等、公知の方法を用いて共押出をすればよい。
第1導電性樹脂層は、マトリックス樹脂、第1導電性フィラー及び溶媒を含む第1導電性樹脂組成物スラリーを基材表面に塗工する塗工工程と、第1導電性樹脂組成物スラリーが塗工された基材を乾燥する乾燥工程を有する方法により作製してもよい。
マトリックス樹脂、溶媒、及び、基材については後述する。
また、塗工工程は、後述する第1塗工工程及び第2塗工工程と同様の方法を用いてよく、乾燥工程は、後述する方法を用いることができる。
次いで、本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体が、第1導電性樹脂層及び第2導電性樹脂層を備える場合の製造方法、すなわち、本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法は、第1面が第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂層からなり、第2面が第2導電性フィラーを含む第2導電性樹脂層からなるリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法であって、上記第1導電性フィラーは、真密度が1.1~1.8g/cmの導電性カーボンであり、上記第2導電性フィラーは、真密度が2.0~2.5g/cmの導電性カーボンであり、上記第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂組成物及び上記第2導電性フィラーを含む第2導電性樹脂組成物を共押出しして積層する工程を有する。
第2導電性樹脂組成物を得る方法としては、上記第1導電性樹脂組成物を得る方法において、第1導電性フィラーを第2導電性フィラーに変更すること以外は同様の方法を適用することができる。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法は、第1導電性樹脂組成物及び第2導電性樹脂組成物を共押出しして積層する工程を有する。
上記工程を有することにより、第1導電性樹脂層と、第2導電性樹脂層との界面抵抗値を低減することができる。
共押出をする方法としては特に限定されず、Tダイ法や、インフレーション法等、公知の方法を適宜用いることができる。
例えば、Tダイ法による共押出法の場合、第1導電性樹脂組成物及び第2導電性樹脂組成物の溶融物をTダイから共押出して、圧延(熱プレスによる圧縮を含む)することにより、第1導電性樹脂組成物及び第2導電性樹脂組成物の溶融物同士を融着させて1枚の一体化したフィルムとすることができる。
なお、第1導電性樹脂層が2以上の層を有する場合には、第1導電性樹脂組成物を2以上準備し、第2導電性樹脂組成物の溶融物とともに3層以上に積層して1枚の一体化したフィルムに成形すればよい。
第2導電性樹脂層が2以上の層を有する場合も同様である。
樹脂集電体の内部構造を多層化することにより、フィルムを成膜する際、ある1層でピンホールが発生しても、他の層と同じ位置で重ならない限りピンホールが成長しないため、薄膜化してもピンホールの発生を抑制することができる。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法においては、3層以上の多層体を得るために、例えば、第1導電性樹脂組成物を2層に積層してもよいし、第1導電性樹脂組成物を3層に積層してもよいし、第1導電性樹脂組成物を4層に積層してもよい。
また、例えば、第2導電性樹脂組成物を2層に積層してもよいし、第2導電性樹脂組成物を3層に積層してもよいし、第2導電性樹脂組成物を4層に積層してもよい。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体が第1導電性樹脂層及び第2導電性樹脂層を備える場合、他の製造方法としては、マトリックス樹脂、第1導電性フィラー及び溶媒を含む第1導電性樹脂組成物スラリーを基材表面に塗工する第1塗工工程と、第1導電性樹脂組成物スラリー上に、マトリックス樹脂、第2導電性フィラー及び溶媒を含む第2導電性樹脂組成物スラリーに塗工する第2塗工工程と、第1導電性樹脂組成物スラリー及び第2導電性樹脂組成物スラリーが塗工された基材を乾燥する乾燥工程を有してもよい。
なお、第1塗工工程と、第2塗工工程との間に、第1導電性樹脂組成物スラリーが塗工された基材を乾燥する工程を設けてもよい。
第1導電性樹脂層を2層有する場合には、第1導電性樹脂組成物スラリーを2つ準備(例えば、第1導電性樹脂組成物スラリーA、第1導電性樹脂組成物スラリーBとする)し、第1導電性樹脂組成物スラリーA上に、他の第1導電性樹脂組成物スラリーBを塗工すればよい。
この場合、第1導電性樹脂組成物スラリーBを塗工する前に、第1導電性樹脂組成物スラリーAが塗工された基材を乾燥する工程を設けてもよい。
第1導電性樹脂層を3層以上有する場合も、同様にして第1導電性樹脂組成物スラリーを重ねて塗工すればよい。
第2導電性樹脂層が2以上の層を有する場合も同様である。
第1導電性樹脂組成物スラリーにおけるマトリックス樹脂及び第1導電性フィラーとしては上述の材料を使用することができる。
また、第2導電性樹脂組成物スラリーにおけるマトリックス樹脂及び第2導電性フィラーとしては上述の材料を使用することができる。
上記溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1-メトキシ-2-プロパノール等のセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1、2-ジメチルシクロヘキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、2、2、3、3-テトラフルオロ-1-プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、1-ペンタノール、1-ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。前記溶媒は単独であるいは2種以上併用して使用することができる。
これらのうち、製造安定性の観点から、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン又はキシレンが好ましい。
上記基材としては、特に制限はないが、ポリエチレンテレフタレート、フッ素系樹脂、紙、金属、ガラス板、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等の表面平滑な離型性基材等が挙げられる。
上記第1塗工工程及び第2塗工工程は、上記基材の表面上にバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コーター、ダイ・コーター等を用いて、又はスプレー、刷毛刷り、ロール、スピンコート、ディッピング等により厚さが均一になるように塗工される。また、1回の塗工で所望の膜厚が得られない場合は、繰り返し塗工することもできる。
上記乾燥工程については、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば、前記樹脂組成物スラリーが塗工された前記基材を、多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法、オーブン中で乾燥する方法等が実施できる。乾燥温度は、用いるマトリックス樹脂の融点よりも10~100℃低い温度であることが好ましく、50~80℃低い温度であることがより好ましい。また、乾燥時間は、2~10時間であることが好ましく、5~8時間であることがより好ましい。
<リチウムイオン電池>
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、リチウムイオン電池用の集電体として用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、負極用樹脂集電体又は正極用樹脂集電体のいずれにも用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体が、第1導電性樹脂層及び第2導電性樹脂層を備える場合、第2導電性樹脂層を電極活物質と接しない側にし、第1導電性樹脂層を電極活物質と接する側にして用いることが好ましい。
このように用いることにより、電気特性を好適に付与できるとともに、充放電に伴う体積変化を好適に抑制することができる。
また、本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体を用いたリチウムイオン電池をバイポーラ電池として使用する場合に、第1導電性樹脂層を電極活物質と接する側に有することにより、接触抵抗値を好適に低減することができる。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、公知のリチウムイオン電池に適用することができる。
すなわち、正極活物質、負極活物質、電解液及びセパレータ等の材料としては、公知の材料を使用することができる。
なお、正極活物質は、正極活物質がアクリル系樹脂等の樹脂で被覆された被覆正極活物質であってもよく、負極活物質は、負極活物質がアクリル系樹脂等の樹脂で被覆された被覆負極活物質であってもよい。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<第1導電性フィラー及び第2導電性フィラー>
第1導電性フィラー及び第2導電性フィラーとして、表1に記載の材料を準備した。
なお、表1中、HCはハードカーボン、ABはアセチレンブラックを示す。また、真密度及び結晶子サイズは、明細書に記載の方法を用いて測定した。
Figure 2022085826000001
<ポリオレフィン樹脂>
PP(ポリプロピレン、商品名「サンアロマーPC684S」、ポリエチレン社製)
<分散剤>
分散剤(商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製)
(実施例1)
第1導電性フィラー(HC)30重量%、ポリオレフィン樹脂66.5重量%、及び、分散剤3.5重量%を、2軸押出機を用いて180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して第1導電性樹脂組成物Aを準備した。
一方で、第2導電性フィラー(AB)30重量%、ポリオレフィン樹脂66.5重量%、及び、分散剤3.5重量%を、2軸押出機を用いて180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して第2導電性樹脂組成物Cを準備した。
第1導電性樹脂組成物A、及び、第2導電性樹脂組成物CをTダイから共押出して、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cとを備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。
なお、第1導電性樹脂層A及び第2導電性樹脂層Cの厚さは、後述の表3に示す。
<貫通抵抗値の測定>
作製したリチウムイオン電池用樹脂集電体を3cm×10cmの短冊状に裁断して測定用試験片とし、抵抗計[RM3548、HIOKI製]を接続した電気抵抗測定器[IMC-0240型、井元製作所(株)製]の電極間に試験片を挟み、電極に2.16kgの荷重をかけながら抵抗値を測定し、2.16kgの荷重をかけてから60秒後の値をその樹脂集電体の抵抗値とした。下記の式に示すように、抵抗測定時の冶具の接触表面の面積(3.14cm)をかけた値を貫通抵抗値(Ω・cm)とした。その結果を表3に示す。
貫通抵抗値(Ω・cm)=抵抗値(Ω)×3.14(cm
<抵抗変化率の測定>
以下の方法により、リチウムイオン電池用樹脂集電体を正極、負極ともに備えるリチウムイオン電池を作製し、抵抗変化率を測定した。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSOを1mol/Lの割合で溶解させて電解液を作製した。
(負極活物質スラリーの作製)
上記電解液36部に難黒鉛化性炭素粒子[(株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製カーボトロン(登録商標)、体積平均粒子径25μm]63部及び導電材料である炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S-243]1部を添加した後、遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで1.5分間混合して負極活物質スラリーを作製した。
(正極活物質スラリーの作製)
導電性炭素フィラー[商品名デンカブラック、デンカ(株)製]1部と正極活物質粒子としてのLiNi0.8Co0.15Al0.05粉末57部を上記電解液42部と混合して、正極活物質スラリーを作製した。
(セパレータ本体の製造)
平板状のセルガード2500(PP製、厚さ25μm)を14mm×14mmの正方形に切り出して、セパレータ本体とした。
(リチウムイオン電池の作製)
実施例1の方法で作製したリチウムイオン電池用樹脂集電体を準備し、第1導電性樹脂層を有する側の面に正極活物質スラリーを塗工して厚さが300μmの正極活物質層を作製した。
その一方で、実施例1の方法で作製したリチウムイオン電池用樹脂集電体を準備し、第1導電性樹脂層を有する側の面に負極活物質スラリーを塗工して厚さが300μmになる負極活物質層を作製した。
正極活物質層が形成された面を上にして、枠状部材に配置されたセパレータを重ねた。その後、枠状部材に配置されたセパレータを反転させて、負極活物質層が形成された面の上に重ねた。枠状部材のシール層(枠状部材と、正極の樹脂集電体又は負極の樹脂集電体とが接する部分)の3辺をヒートシールし、残った1辺を真空シールして接着し、リチウムイオン単電池を得た。
(抵抗変化率の測定)
作製したリチウムイオン単電池について、完全放電後に充電を行って、電圧を確認してSOC50%に調整した。その後、0.1Cで10秒間放電を行った。0.1C相当の電流値I0.1Cと、充電後の電圧と放電後の電圧との間の電圧変化ΔV0.1Cから、直流抵抗値を測定した。上記の計測結果より、オームの法則に従って抵抗値(Ω)が算出できる。これに電極面積(正極活物質層の面積)を乗じて面積抵抗値(Ω・cm)を算出し、これを初回面積抵抗値(Ω・cm)とした。
次いで、完全放電と充電を繰り返し9回行った後、電圧を確認してSOC50%に調整した。その後、0.1Cで10秒間放電を行った。0.1C相当の電流値I0.1Cと、充電後の電圧と放電後の電圧との間の電圧変化ΔV0.1Cから、直流抵抗値を測定した。初回面積抵抗値と同様にして面積抵抗値(Ω・cm)を算出し、これを10回目面積抵抗値(Ω・cm)とした。
抵抗変化率(%)を次の式にて算出した。結果を表3に示す。
抵抗変化率(%)=10回目面積抵抗値(Ω・cm)/初回面積抵抗値(Ω・cm
(実施例2~9、比較例1~3)
第1導電性樹脂組成物A、及び、第2導電性樹脂組成物Cを、表2に記載のように変更した他は実施例1と同様にして、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cとを備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。なお、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cの厚さは表3に示す。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、それぞれの実施例及び比較例で作製したリチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例10)
実施例1と同様にして、第1導電性樹脂組成物A、及び、第2導電性樹脂組成物Cを準備した。
その一方で、第2導電性フィラー(AB)30重量%、ポリオレフィン樹脂66.5重量%、及び、分散剤3.5重量%を、2軸押出機を用いて180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して第2導電性樹脂組成物Dを準備した。
第1導電性樹脂組成物A、第2導電性樹脂組成物C、及び、第2導電性樹脂組成物DをTダイから共押出して、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cと第2導電性樹脂層Dとをこの順に備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。なお、第1導電性樹脂層A、第2導電性樹脂層C、及び、第2導電性樹脂層Dの厚さは表3に示す。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例11)
実施例1と同様にして、第1導電性樹脂組成物A、及び、第2導電性樹脂組成物Cを準備した。
その一方で、第1導電性フィラー(HC)30重量%、ポリオレフィン樹脂66.5重量%、及び、分散剤3.5重量%を、2軸押出機を用いて180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して第1導電性樹脂組成物Bを準備した。
第1導電性樹脂組成物A、第1導電性樹脂組成物B、及び、第2導電性樹脂組成物CをTダイから共押出して、第1導電性樹脂層Aと第1導電性樹脂層Bと第2導電性樹脂層Cとをこの順に備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。なお、第1導電性樹脂層A、第1導電性樹脂層B、及び、第2導電性樹脂層Cの厚さは表3に示す。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例12)
実施例1と同様にして、第1導電性樹脂組成物A、及び、第2導電性樹脂組成物Cを準備した。
その一方で、第1導電性フィラー(HC)30重量%、ポリオレフィン樹脂66.5重量%、及び、分散剤3.5重量%を、2軸押出機を用いて180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して第1導電性樹脂組成物Bを準備した。
また、第2導電性フィラー(AB)30重量%、ポリオレフィン樹脂66.5重量%、及び、分散剤3.5重量%を、2軸押出機を用いて180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して第2導電性樹脂組成物Dを準備した。
第1導電性樹脂組成物A、第1導電性樹脂組成物B、第2導電性樹脂組成物C、及び、第2導電性樹脂組成物DをTダイから共押出して、第1導電性樹脂層Aと第1導電性樹脂層Bと第2導電性樹脂層Cと第2導電性樹脂層Dとをこの順に備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。なお、第1導電性樹脂層A、第1導電性樹脂層B、第2導電性樹脂層C、及び、第2導電性樹脂層Dの厚さは表3に示す。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例13)
第1導電性樹脂組成物A、第2導電性樹脂組成物C、及び、第2導電性樹脂組成物Dを、表2に記載のように変更した他は実施例1と同様にして、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cと第2導電性樹脂層Dとをこの順に備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。なお、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cと第2導電性樹脂層Dの厚さは表3に示す。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例14)
窒素雰囲気下において、2-クロロ-1,4-フェニレンジアミン(東京化成工業(株)製)5.8重量部と4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業(株)製)19.2重量部を1-メチル-1-ピロリドン(超脱水、富士フイルム和光純薬(株)製)75重量部に溶解し、この溶液を0℃に冷却した。
系内を窒素気流下、30℃以下に保った状態で、先に混合したジアミン溶液73.2重量部に対してテレフタロイルクロライド26.8重量部を添加して2時間攪拌を行い、芳香族ポリアミドを重合した。
得られた重合溶液90.7重量部に対して、炭酸リチウム(富士フイルム和光純薬(株)製)8.58重量部及びジエタノールアミン(東京化成工業(株)製)0.76重量部を加えて攪拌し、中和することで、樹脂濃度25%の芳香族ポリアミドの溶液を作製した。
作製した芳香族ポリアミドの溶液266重量部に第1導電性フィラー(HC)30重量部、及び、分散剤3.5重量部を溶解させて第1導電性樹脂組成物スラリーAを準備した。
その一方で、上記芳香族ポリアミドの溶液266重量部に第2導電性フィラー(AB)30重量部、及び、分散剤3.5重量部を溶解させて第2導電性樹脂組成物スラリーCを準備した。
ガラス板上に塗布し、第1導電性樹脂組成物スラリーAを塗布し、160℃のホットプレート上で1時間乾燥させ、第1導電性樹脂層Aを作製した。
その後、第1導電性樹脂層A上に第2導電性樹脂組成物スラリーCを塗布し、160℃のホットプレート上で1時間乾燥させ、第2導電性樹脂層Cを作製し、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cとを備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。なお、第1導電性樹脂層A、及び、第2導電性樹脂層Cの厚さは表3に示す。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例15)
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン16.3重量部を脱水したジメチルアセトアミド75重量部に溶解させ、さらにピロメリット酸無水物8.7重量部を加えて48時間攪拌し、25重量%のポリイミド前駆体溶液を作製した。
作製したポリイミド前駆体溶液266重量部に第1導電性フィラー(HC)30重量部、及び、分散剤3.5重量部を溶解させて第1導電性樹脂組成物スラリーAを準備した。
その一方で、上記ポリイミド前駆体溶液266重量部に第2導電性フィラー(AB)30重量部、及び、分散剤3.5重量部を溶解させて第2導電性樹脂組成物スラリーCを準備した。
ガラス板上に塗布し、第1導電性樹脂組成物スラリーAを塗布し、160℃のホットプレート上で1時間乾燥させ、第1導電性樹脂層Aを作製した。
その後、第1導電性樹脂層A上に第2導電性樹脂組成物スラリーCを塗布し、160℃のホットプレート上で1時間乾燥させ、第2導電性樹脂層Cを作製し、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cとを備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。なお、第1導電性樹脂層A、及び、第2導電性樹脂層Cの厚さは表3に示す。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例16、17)
第1導電性樹脂組成物A、及び、第2導電性樹脂組成物Cを準備し、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cとを表3に記載の厚さとなるように形成した他は実施例1と同様にして、第1導電性樹脂層Aと第2導電性樹脂層Cとを備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、それぞれの実施例及び比較例で作製したリチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例18)
第1導電性樹脂組成物A、第1導電性樹脂組成物B、及び、第2導電性樹脂組成物Cを準備し、第1導電性樹脂層A、第1導電性樹脂層B、及び、第2導電性樹脂層Cを表3に記載の厚さとなるように形成した他は実施例11と同様にして、第1導電性樹脂層Aと第1導電性樹脂層Bと第2導電性樹脂層Cとを備えるリチウムイオン電池用樹脂集電体を作製した。
その後、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体の貫通抵抗値を測定した。
更に、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン単電池を作製し、実施例1と同様にして抵抗変化率を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2022085826000002
Figure 2022085826000003
実施例に係るリチウムイオン電池用樹脂集電体では、貫通抵抗値が低かった。また、実施例に係るリチウムイオン電池用樹脂集電体を備えるリチウムイオン電池では、抵抗変化率が小さかった。
この結果から、実施例に係るリチウムイオン電池用樹脂集電体では、体積変化が起こらず、導電パスの切断等が起こらなかったと判断される。
そのため、実施例に係るリチウムイオン電池用樹脂集電体では、充放電に伴う樹脂集電体の体積変化を小さくすることができ、リチウムイオン電池のサイクル特性の低下を抑制することができる。
本発明のリチウムイオン電池用樹脂集電体は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター及びハイブリッド自動車、電気自動車用に用いられるリチウムイオン電池用の樹脂集電体として有用である。

Claims (6)

  1. 第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂層を備え、
    前記第1導電性フィラーは、真密度が1.1~1.8g/cmの導電性カーボンであるリチウムイオン電池用樹脂集電体。
  2. さらに、前記第1導電性樹脂層上に形成されており、第2導電性フィラーを含む第2導電性樹脂層を備え、前記第2導電性フィラーは、真密度が2.0~2.5g/cmの導電性カーボンである請求項1に記載のリチウムイオン電池用樹脂集電体。
  3. 前記第1導電性フィラーの結晶子サイズ(Lc)が、1.0~2.0nmであり、前記第2導電性フィラーの結晶子サイズ(Lc)が、2.1~100nmである請求項2に記載のリチウムイオン電池用樹脂集電体。
  4. 前記第1導電性フィラーが、ハードカーボンである請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用樹脂集電体。
  5. 前記第1導電性樹脂層に含まれる前記第1導電性フィラーの重量割合が、前記第1導電性樹脂層の重量に基づいて10~50重量%である請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用樹脂集電体。
  6. 第1面が第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂層からなり、第2面が第2導電性フィラーを含む第2導電性樹脂層からなるリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法であって、
    前記第1導電性フィラーは、真密度が1.1~1.8g/cmの導電性カーボンであり、前記第2導電性フィラーは、真密度が2.0~2.5g/cmの導電性カーボンであり、
    前記第1導電性フィラーを含む第1導電性樹脂組成物及び前記第2導電性フィラーを含む第2導電性樹脂組成物を共押出しして積層する工程を有するリチウムイオン電池用樹脂集電体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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