JP2024018835A - 吐出器 - Google Patents

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舞 加瀬
Mai Kase
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Abstract

【課題】ノズル筒の軸線方向と交差する方向を向く被吐出領域に対しても内容液を効果的に吐出することができ、利便性を向上させることができる吐出器を提供する。【解決手段】本発明に係る態様の吐出器は、ポンプ部と、正倒立用アダプタと、ポンプ部から送り出される内容液を吐出する第1吐出口及び第2吐出口を有し、ポンプ部の上端部に設けられたノズル部と、を備えている。第1吐出口は、上下方向に交差する第1方向に開口している。第2吐出口は、第1方向に交差する第2方向に開口している。ノズル部には、第1吐出口を閉塞する一方、第2吐出口を開放する第1閉位置、及び第1吐出口を開放する一方、第2吐出口を閉塞する第2閉位置間を移動可能な蓋部材が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、吐出器に関する。
吐出器として、容器本体の口部に対して上方付勢状態で下方移動可能に配設されたステムを有するポンプ部と、前方に開口する吐出口を有し、ポンプ部の上端部から前方に延びるノズル筒と、を備える構成が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2019-44649号公報
しかしながら、上述した従来技術にあっては、吐出口が前方のみに開口している。そのため、例えば靴の中等、ノズル筒を奥まった位置に差し入れて内容液を吐出する場合や、使用者自身の背中等、ノズル筒を背面側に回り込ませて内容液を吐出する場合等、ノズル筒の軸線方向(吐出口の開口方向)と交差する方向を向く被吐出領域に対して内容液を効果的に吐出することができなかった。
本発明は、ノズル筒の軸線方向と交差する方向を向く被吐出領域に対しても内容液を効果的に吐出することができ、利便性を向上させることができる吐出器を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る吐出器は、内容液が収容される容器本体の口部に装着される吐出器であって、前記容器本体内の内容液を送り出すポンプ部と、前記ポンプ部を操作するトリガーレバーと、前記容器本体内の底部に向けて開口し、前記吐出器の正立時に前記容器本体内の内容物が導入可能な正立時導入孔、前記正立時導入孔の上方に配置され、かつ前記吐出器の倒立時に前記容器本体内の内容物が導入可能な倒立時導入孔、前記正立時導入孔及び前記倒立時導入孔と前記ポンプ部とを連通する連通路が形成されるとともに、前記吐出器の正立時に前記倒立時導入孔と前記連通路との連通を遮断し、かつ前記吐出器の倒立時に前記倒立時導入孔と前記連通路とを連通する切替弁が配設された正倒立用アダプタと、前記ポンプ部から送り出される内容液を吐出する第1吐出口及び第2吐出口を有し、前記ポンプ部の上端部に設けられたノズル部と、を備え、前記第1吐出口は、上下方向に交差する第1方向に開口し、前記第2吐出口は、前記第1方向に交差する第2方向に開口し、前記ノズル部には、前記第1吐出口を閉塞するとともに前記第2吐出口を開放する第1閉位置、及び前記第1吐出口を開放するとともに前記第2吐出口を閉塞する第2閉位置間を移動可能な蓋部材が設けられている。
本態様によれば、蓋部材による各吐出口の開閉状態を切り替えることで、内容液の吐出方向を切り替えることができる。特に、第2吐出口を通じて内容液を第1方向に交差する方向に向けて吐出することで、第1方向と交差する方向を向く被吐出領域に対しても内容液を効果的に吐出することができる。そのため、例えば靴の中等、吐出器を倒立姿勢にし、ノズル部を奥まった位置に差し入れた状態や、使用者自身の背中等、ノズル部を背面側に回り込ませた状態等で内容液を吐出する場合であっても、第2方向を向く被吐出領域に対して内容液を効果的に吐出できる。その結果、利便性を向上させることができる。
しかも、本態様によれば、蓋部材によって吐出口を開閉することで、吐出口の開閉状態を把握し易い。また、ボール弁等、自重によって吐出口を開閉する構成に比べ、各吐出口の開閉を確実に切り替えることができる。その結果、意図しない吐出口からの内容液の吐出を抑制できる。
上記態様に係る吐出器において、前記蓋部材は、前記ノズル部のうち前記第1吐出口及び前記第2吐出口間に位置する部分に回転可能に支持されていることが好ましい。
本態様によれば、第1閉位置及び第2閉位置間で蓋部材をスムーズに移動させ易いため、優れた操作性を具備させることができる。また、蓋部材の回転軸線を中心とする円の接線方向の任意の位置に第1吐出口及び第2吐出口を設定することができるので、設計自由度の向上を図ることができる。そして、各閉位置において、対応する吐出口に正対する向きで吐出口を閉塞することができるため、対応する吐出口をより確実に閉塞できる。
上記態様に係る吐出器において、前記蓋部材のうち、回転方向における一方側を向く面には、前記第1閉位置において前記第1吐出口を閉塞する第1封止部が設けられ、前記蓋部材のうち、回転方向における他方側を向く面には、前記第2閉位置において前記第2吐出口を閉塞する第2封止部が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、一つの蓋部材の位置を切り替えることによって第1吐出口及び第2吐出口をそれぞれ閉塞できる。これにより、部品点数の削減や操作性の向上を図ることができる。
上記態様に係る吐出器において、前記蓋部材は、前記第1吐出口及び前記第2吐出口の双方を開放する全開位置に移動可能であることが好ましい。
本態様によれば、蓋部材を全開位置に移動させることで、第1吐出口及び第2吐出口の双方を通じて内容液を吐出することができる。その結果、第1方向を向く被吐出領域、及び第2方向を向く被吐出領域に亘って広範囲に内容液を供給することができる。
上記態様に係る吐出器において、前記蓋部材は、軸線回りに回転可能に前記ノズル部に支持され、前記蓋部材は、前記第1閉位置において前記軸線に対して一方側で前記第1吐出口に前記第1方向で向かい合って配置されて前記第1吐出部を閉塞するとともに、前記第2閉位置において前記軸線に対して一方側で前記第2吐出口に前記第2方向で向かい合って配置されて前記第2吐出口を閉塞する封止部を備え、前記封止部は、前記全開位置において前記軸線に対して他方側に配置されることが好ましい。
本態様によれば、全開位置において封止部が軸線に対して各吐出口とは反対側に配置される。そのため、全開位置で内容液を吐出させる際に、第1吐出口及び第2吐出口の双方から吐出される内容液が、封止部によって妨げられることを抑制できる。
本発明によれば、ノズル筒の軸線方向と交差する方向を向く被吐出領域に対しても内容液を効果的に吐出することができ、利便性を向上させることができる。
第1実施形態に係る吐出容器において、蓋部材が第1閉位置にあるときの上部縦断面図である。 第1実施形態に係る吐出容器の下部縦断面図である。 ノズル部及び蓋部材の正面図である。 第1実施形態に係る吐出容器において、蓋部材が第2閉位置にあるときの上部縦断面図である。 第2実施形態に係る吐出容器において、蓋部材が第1閉位置にあるときの拡大断面図である。 第2実施形態に係る吐出容器において、蓋部材の動作説明図である。 第2実施形態に係る吐出容器において、蓋部材が動作説明図である。 第2実施形態に係る吐出容器において、蓋部材が第2閉位置にあるときの拡大断面図である。 第2実施形態に係る吐出容器において、蓋部材が全開位置にあるときの拡大断面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、吐出器10が容器本体2に取り付けられた吐出容器1を例にして説明する。
(第1実施形態)
図1に示す吐出容器1は、有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部2aに着脱可能に装着された吐出器10と、を備えている。
吐出器10は、装着キャップ11と、ポンプ部12と、正倒立用アダプタ13(図2参照)と、吐出ヘッド14と、支持部材15と、押下部材(トリガーレバー)16と、ストッパ17と、を備えている。
ポンプ部12は、容器本体2内の内容液を吐出する。ポンプ部12は、装着キャップ11を介して容器本体2に装着されている。ポンプ部12は、シリンダ21と、ピストン22と、ピストンガイド23と、付勢部材24と、ステム25と、を備えている。
ここで、装着キャップ11、シリンダ21、ピストン22、ピストンガイド23及びステム25は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する筒状に形成されている。以下、共通軸を中心軸線O1といい、中心軸線O1に沿う方向を上下方向という。上下方向から見て中心軸線O1に交差する方向を径方向といい、中心軸線O1回りに周回する方向を周方向という。上下方向から見て、中心軸線O1に交差する一方向を前後方向L1と呼び、上下方向及び前後方向L1の双方に直交する方向を左右方向L2と呼ぶ。
図1、図2に示すように、シリンダ21は、下方に位置するものほど外径が縮小された多段の筒状に形成されている。シリンダ21は、装着キャップ11を上下方向に貫いた状態で、装着キャップ11に支持されている。シリンダ21内の下端部には、ボール弁27が設けられている。ボール弁27は、シリンダ21内の加圧時に容器本体2内とシリンダ21内との連通を遮断する一方、シリンダ21内の減圧時に容器本体2内とシリンダ21内とを連通させる逆止弁である。
図1に示すように、ピストン22は、シリンダ21内を上下動可能に設けられている。ピストン22は、外筒ピストン22a及び内筒ピストン22bを備える二重筒状に形成されている。外筒ピストン22a及び内筒ピストン22bは、上下方向の中央部分で連結部22cを介して接続されている。外筒ピストン22aは、シリンダ21内に嵌合されている。外筒ピストン22aは、シリンダ21に対してピストン22が上下動する際に、シリンダ21の内周面上を密に摺動する。
ピストンガイド23は、シリンダ21内を上下動可能に設けられている。ピストンガイド23は、ガイド筒23aと、閉塞部23bと、ばね支持部23cと、を備えている。
ガイド筒23aは、内筒ピストン22b内を上下方向に貫いている。ガイド筒23aの上端部は、シリンダ21よりも上方に突出している。ガイド筒23aの下端部には、下方に向かうに従い外径が漸次拡大する拡径部23dが形成されている。拡径部23dには、内筒ピストン22bの下端部が当接している。ピストンガイド23は、内筒ピストン22bが拡径部23d上を摺動しながら、ピストン22に対して上下動可能に構成されている。
ガイド筒23aのうち拡径部23dよりも上方に位置する部分には、下連通孔23eが形成されている。下連通孔23eは、ガイド筒23aのうち径方向で向かい合う位置に一対で形成されている。下連通孔23eは、ガイド筒23a内とシリンダ21内とを連通させる。
ガイド筒23aのうち下連通孔23eよりも上方に位置する部分には、上連通孔23fが形成されている。上連通孔23fは、ガイド筒23aのうち径方向で向かい合う位置に一対で形成されている。上連通孔23fは、ガイド筒23a内とステム25内とを連通させる。
閉塞部23bは、ガイド筒23aの下端開口部を閉塞している。閉塞部23bは、ガイド筒23aに対して径方向の外側に張り出している。
ばね支持部23cは、閉塞部23bから下方に突出している。
付勢部材24は、ピストンガイド23を介してステム25を上方に付勢している。付勢部材24は、ピストンガイド23とシリンダ21との間に介在している。付勢部材24の下端部は、シリンダ21の下端部に支持されている。付勢部材24の上端部は、ばね支持部23cが挿入された状態で、閉塞部23bの外周部分に上方から支持されている。
ステム25は、口部2aに対して上方付勢状態で下方移動可能に配設されている。ステム25は、下方に位置するものほど外径が大きい多段筒状に形成されている。ステム25内には、ガイド筒23aの上端部がステム25の下方から嵌合されている。これにより、ステム25及びピストンガイド23は、一体に移動可能に構成されている。ステム25の下端部は、外筒ピストン22aと内筒ピストン22bとの間に進入している。ステム25の下端部には、弾性片31が形成されている。弾性片31は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。弾性片31は、径方向に弾性変形可能に構成されている。
図2に示すように、正倒立用アダプタ13は、ポンプ部12の下端部に取り付けられている。正倒立用アダプタ13は、吐出容器1の正立状態及び倒立状態の双方で、容器本体2内の内容液を吐出可能とするものである。正倒立用アダプタ13は、外筒部50と、内筒部51と、切替弁52と、を備えている。なお、正立状態とは、容器本体2が吐出器10に対して下方に位置(吐出器10が容器本体2に対して上方に位置)する状態である。一方、倒立状態とは、正立状態に対して吐出容器1が上下反転した状態であって、容器本体2が吐出器10に対して上方に位置(吐出器10が容器本体2に対して下方に位置)する状態である。
外筒部50は、中心軸線O1と同軸に配置された筒状に形成されている。外筒部50の上端部には、シリンダ21の下端部が嵌め込まれている。外筒部50におけるシリンダ21よりも下方に位置する部分には、倒立時導入孔55が形成されている。倒立時導入孔55は、吐出容器1が倒立状態のとき容器本体2内の内容物を正倒立用アダプタ13内に導入可能である。
内筒部51は、中心軸線O1と同軸に配置された筒状に形成されている。内筒部51は、外筒部50内に外筒部50の下方から嵌め込まれている。内筒部51には、下方(容器本体2の底部)に向けて開口する正立時導入孔56が形成されている。正立時導入孔56は、吐出容器1が正立状態のとき容器本体2内の内容液を正倒立用アダプタ13内に導入可能である。正立時導入孔56は、倒立時導入孔55よりも下方に位置している。なお、内筒部51の下端部には、吸上筒57が設けられている。
外筒部50と内筒部51との間には、連通路58が形成されている。連通路58は、倒立時導入孔55及び正立時導入孔56と、シリンダ21の下端開口部と、を連通させる。
切替弁52は、例えばボール弁である。切替弁52は、吐出容器1が正立状態のときに正立時導入孔56を通じた倒立時導入孔55と連通路58との連通を遮断し、かつ、吐出容器1が倒立状態のときに正立時導入孔56を通じて倒立時導入孔55と連通路58とを連通させる。
図1に示すように、吐出ヘッド14は、ポンプ部12の上端部に設けられている。吐出ヘッド14は、装着筒部61と、接続筒部62と、ノズル部63と、を備えている。
装着筒部61は、中心軸線O1と同軸に配置された有頂筒状に形成されている。装着筒部61は、ステム25内にステム25の上方から嵌合されている。装着筒部61内は、ステム25内を通じてガイド筒23a内に連通している。装着筒部61の上端部には、左右方向L2の両側に突出する係合突起61aが形成されている。
接続筒部62は、装着筒部61の上端部から前後方向L1の一方側(以下、前方という。)に延びている。
ノズル部63は、ノズル本体71と、第1芯棒部72と、第2芯棒部73と、蓋部材74と、を備えている。ノズル本体71は、接続筒部62から前方に向けて延びている。具体的に、ノズル本体71は、メインノズル筒81と、サブノズル筒82と、ステー83と、を備えている。
メインノズル筒81は、上下方向に交差する方向に沿って延びている。吐出容器1が正立状態にあるとき、メインノズル筒81の中心軸線O2は、前方に向かうに従い上方に延びている。以下の説明では、メインノズル筒81の中心軸線O2に沿う方向をメイン軸方向(第1方向)という。なお、中心軸線O2は、少なくとも前後方向L1の成分を有していることが好ましい。
メインノズル筒81の後端部には、接続筒部62が嵌め込まれている。したがって、メインノズル筒81内は、接続筒部62及び装着筒部61を通じてステム25内に連通している。メインノズル筒81の前端部には、前方(メイン軸方向の一方側)に開口する第1吐出口81aが形成されている。第1吐出口81aは、中心軸線O2上に位置している。メインノズル筒81におけるメイン軸方向の中途部には、分岐口81bが形成されている。分岐口81bは、下方に向けて開口している。
サブノズル筒82は、メインノズル筒81に一体に形成されている。サブノズル筒82は、分岐口81bの開口縁から下方に延びている。したがって、サブノズル筒82は、分岐口81bを通じてメインノズル筒81内に連通している。図示の例において、サブノズル筒82の中心軸線O3は、下方に向かうに従い前方に延びている。以下の説明において、中心軸線O3に沿う方向をサブ軸方向(第2方向)という場合がある。なお、中心軸線O3は、少なくとも上下方向の成分を有していることが好ましい。
サブノズル筒82の下端部には、下方(サブ軸方向)に向けて開口する第2吐出口82aが形成されている。第2吐出口82aは、中心軸線O3上に位置している。
ステー83は、メインノズル筒81のうちサブノズル筒82よりも前方に位置する部分にメインノズル筒81と一体で形成されている。ステー83は、メインノズル筒81から前斜め下方に突出している。ステー83の前端部は、メインノズル筒81よりも前方に突出している。ステー83の前端部には、ステー83を左右方向L2に貫通する支持孔83aが形成されている。
第1芯棒部72は、メイン軸方向に延びる棒状部材である。第1芯棒部72は、メインノズル筒81内及び接続筒部62内をメイン軸方向に跨るように配置されている。第1芯棒部72の前端面は、分岐口81bよりも前方に位置している。第1芯棒部72の外周面には、メイン軸方向に延びる第1流路溝72aが形成されている。ステム25内と第1吐出口81aとは第1流路溝72aを介して連通可能である。
第2芯棒部73は、サブノズル筒82内において、サブ軸方向に延びる棒状部材である。第2芯棒部73の外周面には、サブ軸方向に延びる第2流路溝73aが形成されている。ステム25内と第2吐出口82aとは第1流路溝72a及び第2流路溝73aを介して連通可能である。
図1、図3に示すように、蓋部材74は、左右方向L2に沿う軸線P回りに回転可能にステー83に支持されている。蓋部材74は、第1吐出口81aを閉塞するとともに第2吐出口82aを開放する第1閉位置(図1参照)、及び第1吐出口81aを開放するとともに第2吐出口82aを閉塞する第2閉位置(図4参照)間を回転する。具体的に、蓋部材74は、一対の連結片100と、ベース部101と、指掛け部102と、第1封止部103と、第1係止部104と、第2封止部105と、第2係止部106と、を備えている。以下の説明では、蓋部材74が第1閉位置にある状態を基準として、蓋部材74の詳細について説明する。
一対の連結片100は、ステー83の前端部に対して左右方向L2の両側に配置されている。一対の連結片100における第1端部(下端部)には、左右方向L2の内側に向けて支持突起100aが形成されている。支持突起100aは、軸線P上に位置している。各連結片100の支持突起100aは、支持孔83a内に挿入されている。これにより、蓋部材74が軸線P回りに回転可能にステー83に支持されている。
ベース部101は、一対の連結片100における第2端部(上端部)同士を接続している。ベース部101は、メイン軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。ベース部101は、連結片100から上方に向けて延びている。メイン軸方向から見て、ベース部101の外形は、メインノズル筒81の外形よりも大きい。したがって、ベース部101は、メイン軸方向から見てメインノズル筒81に重なり合っている。
指掛け部102は、ベース部101のうち連結片100が連結されている部分とは反対側の端縁に形成されている。指掛け部102は、ベース部101から上方(連結片100とは反対側)に向けて突出している。指掛け部102には、蓋部材74の操作時において、指等が引っ掛けられる。
第1封止部103は、蓋部材74の回転方向における一方側(メインノズル筒81側)を向く面(以下、第1面という。)に設けられている。第1封止部103は、蓋部材74が第1閉位置にあるとき、第1吐出口81aを密閉する。具体的に、第1封止部103は、第1シール筒103aと、第1栓部103bと、を備えている。
第1シール筒103aは、中心軸線O2と同軸に配置されている。蓋部材74が第1閉位置にあるとき、第1シール筒103a内には、メインノズル筒81の前端部が密に嵌合される。
第1栓部103bは、蓋部材74の第1面のうち、第1シール筒103aの内側に位置する部分に設けられている。第1栓部103bは、蓋部材74の第1面からメイン軸方向に突出している。第1栓部103bは、蓋部材74が第1閉位置にあるとき、第1吐出口81aの開口縁に密接する。これにより、蓋部材74が第1閉位置にあるとき、第1吐出口81aが第1封止部103によってシールされる。なお、第1封止部103は、第1閉位置にあるときに第1吐出口81aを密閉する構成であれば、例えば第1シール筒103a及び第1栓部103bの何れかのみを有していてもよい。
第1係止部104は、ベース部101の第1面において、第1封止部103と指掛け部102との間に位置する部分からメイン軸方向に突出している。第1係止部104は、蓋部材74が第1閉位置にあるとき、メインノズル筒81から上方に突出する第1係止突起81cに係止される。これにより、蓋部材74が第1閉位置に保持される(第2閉位置への移動が規制される)。
図3、図4に示すように、第2封止部105は、蓋部材74の回転方向における他方側(サブノズル筒82側)を向く面(以下、第2面という。)に設けられている。第2封止部105は、蓋部材74が第2閉位置にあるとき、第2吐出口82aを密閉する。具体的に、第2封止部105は、第2シール筒105aと、第2栓部105bと、を備えている。
第2シール筒105aは、蓋部材74が第2閉位置にあるとき、中心軸線O3と同軸に配置されている。蓋部材74が第2閉位置にあるとき、第2シール筒105a内には、サブノズル筒82の前端部が密に嵌合する。
第2栓部105bは、蓋部材74の第2面のうち、第2シール筒105aの内側に位置する部分に設けられている。第2栓部105bは、蓋部材74が第2閉位置にあるとき、蓋部材74の第2面からサブ軸方向に突出している。第2栓部105bは、蓋部材74が第2位置にあるとき、第2吐出口82aの開口縁に密接する。これにより、蓋部材74が第2閉位置にあるとき、第2吐出口82aが第2封止部105によってシールされる。なお、第2封止部105は、第2閉位置にあるときに第2吐出口82aを密閉する構成であれば、例えば第2シール筒105a及び第2栓部105bの何れかのみを有していてもよい。
第2係止部106は、ベース部101の第2面において、第2封止部105と指掛け部102との間に位置する部分から突出している。第2係止部106は、蓋部材74が第2閉位置にあるとき、サブノズル筒82に形成された第2係止突起82bに係止される。これにより、蓋部材74が第2閉位置に保持される(第1閉位置への移動が規制される)。
支持部材15は、装着キャップ11の上方に設けられている。支持部材15は、支持筒91と、延出部92と、を備えている。
支持筒91は、中心軸線O1と同軸に配置されている。支持筒91は、シリンダ21の上端部に取り付けられている。支持筒91は、ピストン22の上方移動を規制するとともに、ステム25の上下動を案内する。
延出部92は、支持筒91から後方に延びている。具体的に、延出部92は、後方に向かうに従い上方に延びている。延出部92の後端部には、左右方向L2の両側に突出する軸部92aが設けられている。
押下部材16は、軸部92aを介して延出部92に取り付けられている。押下部材16は、軸部92aの中心を通り左右方向L2に沿う軸線Q1回りに回動可能に、延出部92に支持されている。押下部材16は、装着筒部61の上方を前後方向L1に跨いだ後、下方に延びている。押下部材16のうち、前後方向L1から見てメインノズル筒81と重なり合う部分には、貫通孔16aが形成されている。メインノズル筒81は、貫通孔16aを通じて押下部材16よりも前方に突出している。したがって、押下部材16は、メインノズル筒81を下方に跨いで、メインノズル筒81よりも下方に延びている。
押下部材16のうち平面視で係合突起61aに重なり合う部分には、突起支持部16bが形成されている。突起支持部16bは、装着筒部61に対して左右方向L2の両側に配置されている。各突起支持部16bは、対応する係合突起61aに係合突起61aの上方から係合している。押下部材16は、軸線Q1回りの下方に回動すると、突起支持部16bを介して係合突起61aを下方に押し込む。これにより、ピストン22やピストンガイド23、ステム25が付勢部材24の付勢力に抗して下方に押し込まれる。
ストッパ17は、吐出ヘッド14の下方移動を規制する規制位置と、吐出ヘッド14の下方移動を許容する規制解除位置(図1参照)と、の間を移動可能に構成されている。ストッパ17は、軸体17aと、側壁部17bと、規制部17cと、を備えている。
軸体17aは、延出部92の前端部に、左右方向L2に沿う軸線Q2回りに回動可能に支持されている。したがって、ストッパ17は、規制位置及び規制解除位置間を軸線Q2回りに回動可能に構成されている。
側壁部17bは、軸体17aにおける左右方向L2の両端部からそれぞれ上方に延びている。
規制部17cは、各側壁部17bの上端部同士を架け渡している。規制部17cは、中心軸線O1と同軸に配置された半円筒状に形成されている。規制部17cは、ストッパ17が規制位置にあるとき、ステム25のうち支持筒91よりも上方に位置する部分に、ステム25の後方から嵌まり込む。これにより、規制部17cは、支持筒91の上端縁と、接続筒部62から後方に突出する係合部62aと、の間に配置される。規制部17cは、ストッパ17が規制位置にあるとき、係合部62aが規制部17cに規制部17cの上方から当接することで、支持部材15に対する吐出ヘッド14の下方移動を規制する。規制部17cは、ストッパ17が規制位置から規制解除位置に向かう過程で、軸線Q2回りの後方に回動する。規制部17cは、ストッパ17が規制解除位置にあるとき、支持筒91と係合部62aとの間から後方に退避することで、支持部材15に対する吐出ヘッド14の下方移動を許容する。
次に、吐出容器1の使用方法について説明する。以下の説明では、第1吐出モード及び第2吐出モードについて説明する。以下の説明では、蓋部材74が第1閉位置にあるときを初期状態として説明する。
第1吐出モードは、第1吐出口81aから内容液を吐出するモードである。第1吐出モードにおいて、正立状態で内容液を吐出するには、図1、図4に示すように、初期状態の吐出容器1に対して、蓋部材74を第2閉位置に移動させる。具体的には、指掛け部102を介して蓋部材74を引き下げる。蓋部材74は、第1係止部104と第1係止突起81cとの係止が解除された後、軸線P回りに回転する。これにより、第1封止部103が第1吐出口81aから離間することで、第1吐出口81aが開放される。なお、蓋部材74は、第2係止部106と係止突起82bとが係止される位置まで回転させる。これにより、第2封止部105が第2吐出口82aを密封した状態で、蓋部材74が第2閉位置に保持される(第1閉位置への移動が規制される)。
続いて、ストッパ17を規制解除位置に移動させた状態で、押下部材16の前端部に指を掛け、押下部材16を後方に引く。すると、押下部材16が軸線Q1回り回動することで、吐出ヘッド14が突起支持部16b及び係合部62aを介して下方に押し付けられる。これにより、ボール弁27がシリンダ21の下端開口部を閉塞した状態で、吐出ヘッド14、ステム25及びピストンガイド23がシリンダ21に対して下方に移動する。
ステム25がピストンガイド23とともに下方に移動すると、ステム25と連結部22cとの間で、弾性片31が弾性変形させられつつ、ステム25及びピストンガイド23がピストン22に対して下方移動する。これにより、拡径部23dが内筒ピストン22bから下方に離間することで、内筒ピストン22bとガイド筒23aとの間を通じてシリンダ21内とステム25内とが連通する。その結果、シリンダ21内の内容液が、ステム25内を通じて吐出ヘッド14内に導入される。吐出ヘッド14内に導入された内容液は、装着筒部61及び接続筒部62を通じてノズル本体71内に導入される。
ノズル本体71内に導入された内容液は、メインノズル筒81内において第1流路溝72aを通って前方に流れる。そして、内容液は、第1吐出口81aを通じて前方に霧状に吐出される。これにより、第1吐出口81aの前方に配置された被吐出領域に対して内容液を吐出することができる。
なお、押下部材16の押し下げを解除すると、付勢部材24の付勢力によってステム25やピストンガイド23、ピストン22が押し上げられることで、シリンダ21内が減圧される。吐出容器1が正立状態の場合は、正倒立用アダプタ13の切替弁52が倒立時導入孔55と連通路58との連通を遮断している。そのため、容器本体2内の内容液は、吸上筒57、正立時導入孔56及び連通路58を流れた後、ボール弁27を押し上げることで、シリンダ21内に流入する。
第2吐出モードは、図1に示すように、第2吐出口82aから内容液を吐出するモードである。第2吐出モードにおいて、靴の中等に対して内容液を吐出する場合には、蓋部材74を第1閉位置に維持した状態で、吐出容器1を正立状態から倒立状態に移行させ、靴の中等の奥まった位置にノズル部63を差し入れる。この状態で、押下部材16を操作することで、シリンダ21内の内容液がステム25内を通じてノズル本体71内に導入される。ノズル本体71内に導入された内容液は、分岐口81bを通してサブノズル筒82に導入される。サブノズル筒82内に導入された内容液は、第2流路溝73aを通過した後、第2吐出口82aを通じて吐出される。その結果、被吐出領域に対して内容液が吐出される。なお、第2吐出モードにおける被吐出領域には、例えば靴の中の他、配管、排水溝、便器の縁裏、車両の座席、水筒等、メイン軸方向に交差する方向を向いているものが挙げられる。
吐出容器1が倒立状態にあるとき、正倒立用アダプタ13の切替弁52は、正立時導入孔56を開放している。吐出容器1が倒立状態にあるとき、押下部材16の押し下げを解除すると、倒立時導入孔55を通じて内筒部51内に内容液が流入する。内筒部51内に流入した内容液は、正立時導入孔56及び連通路58を流れた後、ボール弁27を押し上げることで、シリンダ21内に流入する。なお、蓋部材74を第1閉位置として、吐出操作を行うことで、吐出容器1を正立状態にしたまま、第2吐出口82aを通じて内容液を吐出することも可能である。
また、本実施形態の吐出容器1では、第2吐出モードとして、例えば使用者自身の背中等に対して第2吐出口82aから内容液を吐出することも可能である。具体的には、蓋部材74を第1閉位置に維持した状態で、肩口を通して吐出容器1を身体の背面側に持ってくる。これにより、第1吐出口81aが下方を向き、第2吐出口82aが背面を向いた状態となる。この状態で、押下部材16を操作することで、第2吐出口82aを通じて背中に内容液を吐出することができる。
このように、本実施形態の吐出器10は、上下方向に交差するメイン軸方向(第1方向)に開口する第1吐出口81aと、メイン軸方向に交差するサブ軸方向(第2方向)に開口する第2吐出口82aが形成されたノズル本体71と、第1吐出口81aを閉塞するとともに第2吐出口82aを開放する第1閉位置、及び第1吐出口81aを開放するとともに第2吐出口82aを閉塞する第2閉位置間を移動可能な蓋部材74と、を備える構成とした。
この構成によれば、蓋部材74による各吐出口81a,82aの開閉状態を切り替えることで、内容液の吐出方向を切り替えることができる。特に、第2吐出口82aを通じて内容液をメイン軸方向に交差する方向に向けて吐出することで、メイン軸方向と交差する方向を向く被吐出領域に対しても内容液を効果的に吐出することができる。そのため、例えば靴の中等、吐出容器1を倒立姿勢にし、ノズル部63を奥まった位置に差し入れた状態や、使用者自身の背中等、ノズル部を背面側に回り込ませた状態等で内容液を吐出する場合であっても、サブ軸方向を向く被吐出領域に対して内容液を効果的に吐出できる。その結果、利便性を向上させることができる。
しかも、本実施形態では、蓋部材74によって吐出口81a,82aを開閉することで、吐出口81a,82aの開閉状態を把握し易い。また、ボール弁等、自重によって吐出口を開閉する構成に比べ、各吐出口81a,82aの開閉を確実に切り替えることができる。その結果、意図しない吐出口からの内容液の吐出を抑制できる。
本実施形態において、蓋部材74は、ノズル部63のうち第1吐出口81a及び第2吐出口82a間に位置する部分に回転可能に支持されている構成とした。
この構成によれば、第1閉位置及び第2閉位置間で蓋部材74をスムーズに移動させ易いため、優れた操作性を具備させることができる。また、軸線Pを中心とする円の接線方向の任意の位置に第1吐出口81a及び第2吐出口82aを設定することができるので、設計自由度の向上を図ることができる。そして、各閉位置において、対応する吐出口に正対する向きで吐出口を閉塞することができるため、対応する吐出口をより確実に閉塞できる。
本実施形態の吐出器10において、蓋部材74のうち、回転方向における一方側を向く面には、第1閉位置において第1吐出口81aを密閉する第1封止部103が設けられ、蓋部材74のうち、回転方向における他方側を向く面には、第2閉位置において第2吐出口82aを密閉する第2封止部105が設けられている構成とした。
この構成によれば、一つの蓋部材74の位置を切り替えることによって第1吐出口81a及び第2吐出口82aをそれぞれ閉塞できる。これにより、部品点数の削減や操作性の向上を図ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る吐出器10は、蓋部材200が第1吐出口81a及び第2吐出口82aの双方を開放する全開位置に移動可能である点で、上述した第1実施形態と相違している。なお、以下の説明では、蓋部材200が第1閉位置にある状態を基準として、蓋部材200の詳細について説明する。
図5に示すように、蓋部材200は、一対の連結片201と、封止部202と、係止部203と、を備えている。
一対の連結片201は、ノズル本体71に対して左右方向L2の両側において、それぞれ前後方向L1に延びている。各連結片201の後端部には、ガイド孔201aが形成されている。ガイド孔201aは、メイン軸方向(連結片201の延在方向)に延びる長円形状に形成されている。メインノズル筒81のうち、軸線Pよりも後方であって分岐口81bの上方に位置する部分には、一対のガイド突起81dが形成されている。各ガイド突起81dは、メインノズル筒81から左右方向L2の両側に各別に突出している。各ガイド突起81dは、対応する連結片201のガイド孔201a内にそれぞれ挿入されている。これにより、蓋部材200は、ガイド突起81dを起点に左右方向L2に沿う軸線P回りに回転可能で、かつガイド突起81dがガイド孔201a内を連結片201の延在方向に移動することで、ノズル本体71に対して連結片201の延在方向に移動可能に構成されている。なお、連結片201にガイド突起を形成し、ノズル本体71にガイド孔が形成される構成等を採用してもよい。
封止部202は、一対の連結片201の前端部同士の間を接続している。封止部202は、閉塞板210と、シール筒211と、栓部212と、を備えている。
閉塞板210は、メイン軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。蓋部材200が第1閉位置にあるとき、閉塞板210は、メイン軸方向から見てメインノズル筒81に重なり合っている。一方、蓋部材200が図8に示す第2閉位置にあるとき、閉塞板210は、サブ軸方向から見てサブノズル筒82に重なり合っている。
シール筒211は、閉塞板210の外周部分からメイン軸方向に延びている。蓋部材200が図5に示す第1閉位置にあるとき、シール筒211内には、メインノズル筒81の前端部が密に嵌合する。蓋部材200が図8に示す第2閉位置にあるとき、シール筒211内には、サブノズル筒82の前端部が密に嵌合する。
栓部212は、閉塞板210のうちシール筒211の内側に位置する部分に設けられている。栓部212は、閉塞板210からメイン軸方向に突出している。栓部212は、蓋部材200が図5に示す第1閉位置にあるとき、第1吐出口81aの開口縁に密接して、第1吐出口81aをシールする。一方、栓部212は、蓋部材200が図8に示す第2閉位置にあるとき、第2吐出口82aの開口縁に密接して、第2吐出口82aをシールする。
係止部203は、第1閉位置(図5参照)、第2閉位置(図8参照)及び全開位置(図9参照)それぞれの位置で蓋部材200の姿勢を保持する。図5に示すように、係止部203は、閉塞板210のうち、シール筒211よりも外側に位置する部分から後方に向けて片持ちで延びている。本実施形態において、係止部203は、シール筒211を間に挟んで一対設けられている。なお、閉塞板210のうち係止部203よりも外側に位置する部分は、指掛け部210aとして機能する。
係止部203は、蓋部材200が図5に示す第1閉位置にあるとき、メインノズル筒81から張り出した第1係止突起81cに係止される。これにより、蓋部材200が第1閉位置に保持される。係止部203は、蓋部材200が図8に示す第2閉位置にあるとき、サブノズル筒82から張り出した第2係止突起82bに係止される。これにより、蓋部材200が第2閉位置に保持される。また、一対の係止部203のうち、一方の係止部203は、蓋部材200が図9に示す全開位置にあるとき、メインノズル筒81に形成された引っ掛け部81eに係止される。引っ掛け部81eは、メインノズル筒81のうち軸線Pよりも後方に位置する部分から上方に突出している。すなわち、蓋部材200が第1閉位置及び第2閉位置にあるとき、封止部202は軸線Pよりも前方(一方側)で保持され、蓋部材200が全開位置にあるとき、封止部202は軸線Pよりも後方(他方側)で保持される。
次に、第2実施形態に係る吐出容器1の使用方法について説明する。以下の説明では、第1吐出モード、第2吐出モード及び全開モードについて説明する。以下の説明では、蓋部材200が第1閉位置にあるときを初期状態として説明する。
第1吐出モードは、第1吐出口81aから内容液を吐出するモードである。第1吐出モードにおいて、正立状態で内容液を吐出するには、図5~図8に示すように、初期状態の吐出容器1に対して、蓋部材200を第2閉位置に移動させる。具体的には、指掛け部210aを介して蓋部材200を前方に引き抜く。すると、係止部203が第1係止突起81cを前方に乗り越えることで、係止部203と第1係止突起81cとの係止が解除される。その後、図6に示すように、蓋部材200をさらに前方へ引っ張ると、ガイド突起81dがガイド孔201a内を移動することで、蓋部材200がノズル本体71に対してメイン軸方向(前方)に移動する。これにより、封止部202が第1吐出口81aから離間することで、第1吐出口81aが開放される。
続いて、図7に示すように、蓋部材200を下方に押し下げると、蓋部材200は軸線P回りの下方に回転する。そして、封止部202がサブ軸方向から見てサブノズル筒82と重なり合う位置まで、蓋部材200を移動させる。この状態で、蓋部材200をサブノズル筒82に向けて押し込む。すると、ガイド突起81dがガイド孔201a内を移動することで、蓋部材200がノズル本体71に対してサブ軸方向(後斜め上方)に移動する。すると、係止部203が第2係止突起82bを乗り越え、係止部203が第2係止突起82bに係止される。これにより、蓋部材200の第2閉位置への移行が完了する。すなわち、シール筒211の内側にサブノズル筒82の前端部が密に嵌合するとともに、栓部212が第2吐出口82aの開口縁に密接することで、第2吐出口82aが封止される(第2閉位置)。この状態で押下部材16を後方に引くことで、内容液が第1吐出口81aを通じて前方に吐出される。
第2吐出モードは、第2吐出口82aから内容液を吐出するモードである。蓋部材200を第2閉位置から第1閉位置に移動させるには、上述した第1吐出モードと逆の動作を行う。すなわち、第2閉位置にある蓋部材200をサブ軸方向に引っ張る。すると、係止部203と第2係止突起82bとの係止が解除された後、蓋部材200がサブノズル筒82から離間する。これにより、第2吐出口82aが開放される。この状態で、封止部202がメイン軸方向から見てメインノズル筒81と重なり合う位置まで、蓋部材200を軸線P回りの上方に回転させる。その後、蓋部材200を後方に向けて押し込むことで、蓋部材200がノズル本体71に対してメイン軸方向(後方)に移動する。すると、係止部203が第1係止突起81cを乗り越え、係止部203が第1係止突起81cに係止される。これにより、蓋部材200の第1閉位置への移行が完了する。すなわち、シール筒211の内側にメインノズル筒81の前端部が密に嵌合するとともに、栓部212が第1吐出口81aの開口縁に密接することで、第1吐出口81aが封止される。この状態で押下部材16を後方に引くことで、内容液が第2吐出口82aを通じて前方に吐出される。
全開モードは、第1吐出口81a及び第2吐出口82aの双方から内容液を吐出するモードである。全開モードでは、蓋部材200を全開位置に移行させる。具体的には、初期状態(第1閉位置)にある蓋部材200を前方に引き出し、第1吐出口81aを開放する。この状態で、蓋部材200を軸線P回りの上方に回転させる。すると、封止部202がノズル本体71の上方を通って軸線Pよりも後方に回り込む。そして、一方の係止部203が、引っ掛け部81eに係止されることで、蓋部材200が全開位置で保持される。
蓋部材200が全開位置にある状態で、押下部材16を後方に引くと、メインノズル筒81内を流れる内容液のうち一部の内容液は、第1吐出口81aを通じて吐出される。一方、メインノズル筒81内を流れる内容液のうち残りの内容液は、分岐口81bを通じてサブノズル筒82内に流入した後、第2吐出口82aを通じて吐出される。
本実施形態では、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することに加え、以下の作用効果を奏する。すなわち、蓋部材200が第1吐出口81a及び第2吐出口82aの双方を開放する全開位置に移動可能である。そのため、第1吐出口81a及び第2吐出口82aの双方を通じて内容液を吐出することができる。その結果、メイン軸方向を向く被吐出領域、及びサブ軸方向を向く被吐出領域に亘って広範囲に内容液を供給することができる。
しかも、本実施形態では、蓋部材200が全開位置にあるとき、封止部202が軸線Pよりも後方に配置される構成とした。
この構成によれば、全開位置で内容液を吐出させる際に、第1吐出口81a及び第2吐出口82aの双方から吐出される内容液が、封止部202によって妨げられることを抑制できる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、ステム25や吐出ヘッド14を備える構成について説明したが、この構成に限られない。例えばトリガーレバーによってポンプ部12(ピストン22)を直接操作することで、シリンダ内の内容液がノズル部63に送り出される構成であってもよい。
上述した実施形態では、蓋部材74,200が回転可能な構成について説明したが、この構成に限られない。蓋部材74,200は、スライド等によって第1閉位置、第2閉位置及び全開位置間を移動可能であってもよい。また、蓋部材74,200は、ノズル本体71に対して着脱可能な構成であってもよい。
上述した実施形態では、一つの蓋部材74で第1閉位置、第2閉位置及び全開位置間が切り替えられる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば各吐出口81a,82aに対応して設けられた二つの蓋部材74によって第1閉位置、第2閉位置及び全開位置を切り替えてもよい。
上述した第1実施形態では、蓋部材74が第1閉位置及び第2閉位置の何れかにある状態で内容液を吐出する構成について説明したが、この構成に限られない。蓋部材74が第1閉位置及び第2閉位置の中間位置にある状態で、内容液を吐出してもよい。この場合、第1吐出口81a及び第2吐出口82aの双方から内容液を吐出することができる(全開位置)。
なお、上述した実施形態では、蓋部材74の開閉のみによって内容液の吐出方向を切り替える構成について説明したが、この構成に限られない。吐出器10は、接続筒部62に対してノズル本体71を中心軸O2回り回転させることで、第2吐出口82aからの内容液の吐出方向を切り替えるようにしてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
2:容器本体
2a:口部
10:吐出器
12:ポンプ部
13:正倒立用アダプタ
16:押下部材(トリガーレバー)
52:切替弁
55:倒立時導入孔
56:正立時導入孔
58:連通路
63:ノズル部
81a:第1吐出口
82a:第2吐出口
103:第1封止部
105:第2封止部
200:蓋部材
202:封止部
P:軸線

Claims (5)

  1. 内容液が収容される容器本体の口部に装着される吐出器であって、
    前記容器本体内の内容液を送り出すポンプ部と、
    前記ポンプ部を操作するトリガーレバーと、
    前記容器本体内の底部に向けて開口し、前記吐出器の正立時に前記容器本体内の内容物が導入可能な正立時導入孔、前記正立時導入孔の上方に配置され、かつ前記吐出器の倒立時に前記容器本体内の内容物が導入可能な倒立時導入孔、前記正立時導入孔及び前記倒立時導入孔と前記ポンプ部とを連通する連通路が形成されるとともに、前記吐出器の正立時に前記倒立時導入孔と前記連通路との連通を遮断し、かつ前記吐出器の倒立時に前記倒立時導入孔と前記連通路とを連通する切替弁が配設された正倒立用アダプタと、
    前記ポンプ部から送り出される内容液を吐出する第1吐出口及び第2吐出口を有し、前記ポンプ部の上端部に設けられたノズル部と、を備え、
    前記第1吐出口は、上下方向に交差する第1方向に開口し、
    前記第2吐出口は、前記第1方向に交差する第2方向に開口し、
    前記ノズル部には、前記第1吐出口を閉塞するとともに前記第2吐出口を開放する第1閉位置、及び前記第1吐出口を開放するとともに前記第2吐出口を閉塞する第2閉位置間を移動可能な蓋部材が設けられている吐出器。
  2. 前記蓋部材は、前記ノズル部のうち前記第1吐出口及び前記第2吐出口間に位置する部分に回転可能に支持されている請求項1に記載の吐出器。
  3. 前記蓋部材のうち、回転方向における一方側を向く面には、前記第1閉位置において前記第1吐出口を閉塞する第1封止部が設けられ、
    前記蓋部材のうち、回転方向における他方側を向く面には、前記第2閉位置において前記第2吐出口を閉塞する第2封止部が設けられている請求項2に記載の吐出器。
  4. 前記蓋部材は、前記第1吐出口及び前記第2吐出口の双方を開放する全開位置に移動可能である請求項1に記載の吐出器。
  5. 前記蓋部材は、軸線回りに回転可能に前記ノズル部に支持され、
    前記蓋部材は、前記第1閉位置において前記軸線に対して一方側で前記第1吐出口に前記第1方向で向かい合って配置されて前記第1吐出部を閉塞するとともに、前記第2閉位置において前記軸線に対して一方側で前記第2吐出口に前記第2方向で向かい合って配置されて前記第2吐出口を閉塞する封止部を備え、
    前記封止部は、前記全開位置において前記軸線に対して他方側に配置される請求項4に記載の吐出器。
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