JP2023170524A - めっき皮膜の製造方法。 - Google Patents

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Abstract

【課題】3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物に優れた耐食性を付与することができ、且つ、光沢性に優れた3価クロムめっき皮膜を形成することができるめっき皮膜の製造方法を提供する。【解決手段】電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程1、及び、前記電解ニッケルめっき皮膜上に、電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程2を有し、前記電解ニッケルめっき皮膜は、圧縮応力が0~100MPaであることを特徴とするめっき皮膜の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、めっき皮膜の製造方法に関する。
従来、硬度、耐摩耗性等を備えた硬質クロムめっきは、自動車部品、成型用金型、圧延ロール、印刷ロールなどに広く利用されている。
クロムめっきを施す3価クロムめっき液、及び、3価クロムめっき方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、3価クロムめっき浴により形成されためっき皮膜は素地から貫通するクラックが発生し易い。一方、6価クロムめっき浴により形成されためっき皮膜は皮膜中で細かいマイクロクラックが発生する。このため、硬質3価クロムめっき皮膜は、6価クロムめっきと比較して耐食性に劣るという問題がある
また、クロムめっきは上述の用途に利用されるため、光沢性が要求される。従って、耐食性及び光沢性に優れた3価クロムめっき皮膜を形成することができるめっき皮膜の製造方法が望まれている。
特開2006-249518号公報
本発明は、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物に優れた耐食性を付与することができ、且つ、光沢性に優れた3価クロムめっき皮膜を形成することができるめっき皮膜の製造方法を付与することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程1、及び、電解ニッケルめっき皮膜上に、電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程2を有し、上記電解ニッケルめっき皮膜の電着応力が圧縮応力であり、当該圧縮応力が特定の範囲であるめっき皮膜の製造方法によれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のめっき皮膜の製造方法に関する。
1.電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程1、及び、
前記電解ニッケルめっき皮膜上に、電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程2
を有し、
前記電解ニッケルめっき皮膜は、圧縮応力が0~100MPaである
ことを特徴とするめっき皮膜の製造方法。
2.前記電解3価クロムめっき皮膜の算術平均粗さRaは、0.080μm以下である、項1に記載の製造方法。
3.前記電解3価クロムめっき皮膜の厚みは、2μm以上である、項1又は2に記載の製造方法。
4.前記電解3価クロムめっき皮膜のビッカース硬度は、750HV以上である、項1又は2に記載の製造方法。
5.前記工程2は、断続的に電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程である、項1又は2に記載の製造方法。
本発明のめっき皮膜の製造方法は、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物に優れた耐食性を付与することができ、且つ、光沢性に優れた3価クロムめっき皮膜を製造することができる。
本発明のめっき皮膜の製造方法は、電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程1、及び、前記電解ニッケルめっき皮膜上に、電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程2を有し、電解ニッケルめっき皮膜は、圧縮応力が0~100MPaであることを特徴とする。本発明の製造方法では、下地の電解ニッケルめっき皮膜の電着応力が圧縮応力であり、当該圧縮応力が0~100MPaであるので、電解3価クロムめっき皮膜の電着応力が引張応力であることにより、電着応力が緩和され、クラックの発生が抑制されて、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物に優れた耐食性を付与することができる。また、本発明の製造方法によれば、上述のようにめっき皮膜のクラックの発生が抑制されることにより、光沢性に優れた電解3価クロムめっき皮膜を製造することができる。すなわち、本発明の製造方法は、上記工程1及び工程2を有すること、及び、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力が0~100MPaであることがあいまって、電解3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物に優れた耐食性を付与することができ、且つ、光沢性に優れた電解3価クロムめっき皮膜を製造することができる。
(工程1)
工程1は、電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程である。
電解ニッケルめっき皮膜を形成するための電解ニッケルめっき液は、圧縮応力を0~100MPaとすることができれば特に限定されない。このような電解ニッケルめっき液として、具体的には、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸等を含むいわゆるワット浴、スルファミン酸ニッケルを含むスルファミン酸ニッケル浴、塩化ニッケルを含むいわゆるストライク浴(ウッド浴)等が挙げられる。また、一水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、及び酢酸ニッケル等を含む、各種のニッケル浴を使用することも可能である。本発明の製造方法においては、電解ニッケルめっき液としては、ワット浴、スルファミン酸浴が好ましく、本発明の製造方法により製造されるめっき皮膜の耐摩耗性がより向上する点で、スルファミン酸浴がより好ましい。
電解ニッケルめっき液としては、具体的には、水溶性ニッケル化合物を含有する電解ニッケルめっき液を用いることができる。また、電解ニッケルめっき液には、一次系光沢剤、二次系光沢剤、電位調整剤、ピット防止剤等を添加してもよい。
(水溶性ニッケル化合物)
水溶性ニッケル化合物としては水に可溶であれば特に限定されない。このような水溶性ニッケル化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、炭酸ニッケル、及び、それらの水和物等が挙げられる。水溶性ニッケル化合物としては、より具体的には、硫酸ニッケル6水和物、塩化ニッケル6水和物、スルファミン酸ニッケル、炭酸ニッケル4水和物等が挙げられる。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる点で、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル及びそれらの水和物が好ましく、スルファミン酸ニッケル及び塩化ニッケルの混合物又はその水和物を用いることがより好ましい。
上記水溶性ニッケル化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電解ニッケルめっき液中のスルファミン酸ニッケル及びその水和物の含有量は、200~500g/Lが好ましく、220~400g/Lがより好ましく、230~350g/Lが更に好ましい。スルファミン酸ニッケル及びその水和物の含有量が上記範囲であることにより、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる
電解ニッケルめっき液中の硫酸ニッケル及びその水和物の含有量は、200~500g/Lが好ましく、220~400g/Lがより好ましく、230~350g/Lが更に好ましい。硫酸ニッケル及びその水和物の含有量の上限が上記範囲であることにより、めっき液の比重が高くなることによるピットの発生をより抑制することができる。硫酸ニッケル及びその水和物の含有量の下限が上記範囲であることにより、めっき皮膜の外観の曇り及び焦げの発生がより抑制される。
電解ニッケルめっき液中の塩化ニッケル及びその水和物の含有量は、30~70g/Lが好ましく、35~60g/Lがより好ましく、40~55g/Lが更に好ましい。塩化ニッケル及びその水和物の含有量が上記範囲であることにより、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる。
(一次系光沢剤) 電解ニッケルめっき液は、一次系光沢剤を含有することが好ましい。電解ニッケルめっき液が一次系光沢剤を含有することにより、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易くなる。
一次系光沢剤としては、硫黄系化合物、スルホン酸系化合物等を用いることができる。電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる点で、硫黄系化合物が好ましい。
上記硫黄系化合物としては、例えば、ヘテロ原子として硫黄及び窒素を含有する複素環式化合物、含硫黄複素環式化合物等が挙げられる。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる点で、ヘテロ原子として硫黄及び窒素を含有する複素環式化合物、含硫黄複素環式化合物が好ましく、ヘテロ原子として硫黄及び窒素を含有する複素環式化合物がより好ましい。
上記一次系光沢剤としては、下記一般式(1)
Figure 2023170524000001
で表される複素環式化合物が好ましい。一次系光沢剤として、上記一般式(1)で表される複素環式化合物を用いることにより、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる。
上記一般式(1)において、Rは、S又はSOである。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる点で、SOが好ましい。
上記一般式(1)において、Rは、H、Cl、Br、I又はCHである。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる点で、H又はCHが好ましい。
上記一次系光沢剤としては、より具体的には、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、サッカリン、N-メチルサッカリン、N-クロロサッカリン、N-ブロモサッカリン、N-ヨードサッカリンが挙げられる。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる点で、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、サッカリン、N-メチルサッカリン、N-クロロサッカリンが好ましく、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、サッカリン、N-メチルサッカリンがより好ましい。
上記一次系光沢剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電解ニッケルめっき液中の一次系光沢剤の含有量は0.1~10g/Lが好ましく、0.2~5g/Lがより好ましく、0.2~2g/Lが更に好ましい。一次系光沢剤の含有量の下限が上記範囲であることにより、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力を0~100MPaにより調整し易く、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる。一次系光沢剤の含有量の上限が上記範囲であることにより、光沢ニッケルめっき皮膜の硫黄の含有量が抑制され、耐食性の低下がより一層抑制される。
(二次系光沢剤)
電解ニッケルめっき液は、二次系光沢剤を含有することが好ましい。電解ニッケルめっき液が二次系光沢剤を含有することにより、電解ニッケルめっき皮膜の表面がより平滑となり、工程2で形成される3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する。
二次系光沢剤としては、炭素間多重結合系化合物、炭素-ヘテロ原子間多重結合系化合物等を用いることができる。電解ニッケルめっき皮膜の表面がより平滑となり、工程2で形成される3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する点で、炭素間多重結合系化合物が好ましい。
二次系光沢剤としては、例えば、炭素間二重結合及び/又は炭素間三重結合を有する不飽和化合物等が挙げられる。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の表面がより平滑となり、工程2で形成される3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する点で、炭素間三重結合を有する不飽和化合物が好ましい。
上記二次系光沢剤としては、プロピンスルホン酸ナトリウム、ブチンジオールジエトキシレート、ヘキシンジオール、下記一般式(2)
Figure 2023170524000002
で表される不飽和化合物、下記一般式(3)
Figure 2023170524000003
で表される不飽和化合物が好ましい。二次系光沢剤として、これらの不飽和化合物を用いることにより、電解ニッケルめっき皮膜の表面がより平滑となり、工程2で形成される3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する。
上記一般式(2)及び(3)において、R及びRは、H、OH又はCHである。上記R及びRは、電解ニッケルめっき皮膜の表面がより平滑となり、工程2で形成される3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する点で、H又はCHが好ましい。
上記一般式(2)において、Rは、炭素数1~7のアルキル基又はプロパギル基である。上記Rは、電解ニッケルめっき皮膜の表面がより平滑となり、工程2で形成される3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する点で、アルキル基が好ましい。また、上記Rの炭素数は、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
上記二次系光沢剤としては、より具体的には、2-プロピン-1-オール(プロパギルアルコール)、プロピンスルホン酸ナトリウム、プロペンスルホン酸ナトリウム、1,4-ブチンジオール、2-ブチン-1-オール、2-ペンチン-1-オール、ブチンジオールジエトキシレート、2-ヘキシン-1-オール、ヘキシンジオール、2-へプチン-1-オール、2-オクチン-1-オール、2-ノニン-1-オール、2-デシン-1-オール、2,4-ヘキサジイン-1,6-ジオールが挙げられる。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の表面がより平滑となり、工程2で形成される3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する点で、2-プロピン-1-オール(プロパギルアルコール)、1,4-ブチンジオール、2-ブチン-1-オール、ブチンジオールジエトキシレート、ヘキシンジオールが好ましい。
上記二次系光沢剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電解ニッケルめっき液中の二次系光沢剤の含有量は0.005~3g/Lが好ましく、0.02~1.8g/Lがより好ましく、0.04~1.5g/Lがより好ましい。二次系光沢剤の含有量の下限が上記範囲であることにより、電解ニッケルめっき皮膜の表面がより平滑となり、工程2で形成される電解3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する。
(電位調整剤)
電解ニッケルめっき液は、電位調整剤を含有することが好ましい。電解ニッケルめっき液が電位調整剤を含有することにより、電解ニッケルめっき皮膜の電位をより貴な電位にすることができ、電解ニッケルめっき皮膜の耐食性を向上させることができる。
電位調整剤としては、例えば、アルデヒド化合物、ジオール化合物等を用いることができる。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の炭素含有量をより向上させ、且つ、硫黄含有量をより低減させて、電解ニッケルめっき皮膜の耐食性をより向上させることができ、且つ、電解ニッケルめっき皮膜の電位をより貴な電位にすることができる点で、ジオール化合物が好ましい。
上記電位調整剤としては、下記一般式(4)
Figure 2023170524000004
で表されるアルデヒド化合物、下記一般式(5)
Figure 2023170524000005
で表されるアルデヒド化合物、下記一般式(6)
Figure 2023170524000006
で表されるジオール化合物、下記一般式(7)
Figure 2023170524000007
で表されるジオール化合物が好ましい。電位調整剤として、上記一般式(4)及び(5)で表されるアルデヒド化合物、並びに、上記一般式(6)及び(7)で表されるジオール化合物を用いることにより、電解ニッケルめっき皮膜の耐食性をより向上させることができる。
上記一般式(4)~(7)において、R、R、R、及びR11は、H、Cl、Br、CH、CBr又はCClである。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の耐食性をより向上させることができる点で、H、CH3、Cl、CClが好ましい。
上記一般式(4)及び(6)において、R及びR10は、炭素数1~7のアルキル基又はビニル基である。上記R及びR10は、光沢ニッケルめっき皮膜の耐食性をより一層向上させることができる点で、アルキル基が好ましい。また、上記R及びR10の炭素数は、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
上記電位調整剤としては、より具体的には、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ヘキサナール、3-クロロプロパナール、クロロアセトアルデヒド、抱水クロラール、抱水ブロマール、3-メチルブタナール、2-プロペナール、及び、2-ブテナールが挙げられる。これらの中でも、電解ニッケルめっき皮膜の耐食性をより一層向上させることができる点で、クロロアセトアルデヒド、抱水クロラール、2-プロペナール、2-ブテナールが好ましい。
上記電位調整剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電解ニッケルめっき液中の電位調整剤の含有量は0.001~1g/Lが好ましく、0.002~0.1g/Lがより好ましく、0.005~0.05g/Lがより好ましい。電位調整剤の含有量が上記範囲であることにより、電解ニッケルめっき皮膜の炭素含有量をより向上させ、且つ、硫黄含有量をより低減させて、電解ニッケルめっき皮膜の耐食性をより向上させることができ、且つ、電解ニッケルめっき皮膜の電位をより貴な電位にすることができる。
(他の添加剤)
電解ニッケルめっき液は、上述の水溶性ニッケル化合物を含有し、必要に応じて上述の一次系光沢剤、二次系光沢剤及び電位調整剤を含有することが好ましく、これらを含有する水溶液であることがより好ましい。
電解ニッケルめっき液は、上記成分の他に、ピット防止剤、pH緩衝剤等を含有していてもよい。
ピット防止剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。ピット防止剤の含有量は特に限定的ではないが、例えば0.01~10g/L程度とすることができる。
pH緩衝剤としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、炭酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。pH緩衝剤の配合量は特に限定的ではないが、例えば0.1~200g/L程度とすることができる。
電解ニッケルめっき液のpHは、通常3.5~5.0程度とすればよく、3.8~4.8程度とすることが好ましい。pH調整には、硫酸、塩酸等の無機酸;炭酸ニッケル等の金属炭酸塩;水酸化ナトリウム;アンモニア水等を使用することができる。
上記電解ニッケルめっき液を用いて電解ニッケルめっきを行うには、常法に従って、電解ニッケルめっき液を被めっき物に接触させればよい。通常は、電解ニッケルめっき液中に被めっき物を浸漬し、電解めっきを行うことによって、効率よく電解ニッケルめっき皮膜を形成することができる。
電解ニッケルめっき液の液温は、通常、45~65℃程度とすればよく、50~60℃程度とすることが好ましい。また必要に応じて、めっき液の撹拌や被めっき物の揺動を行うことができる。
電解ニッケルめっきの際の電流密度は1~6A/dm程度とすればよく、2~4A/dm程度とすることが好ましい。
めっき時間については、目的とする電解ニッケルめっき皮膜の膜厚に応じて適宜決めればよいが、10~30分程度とすればよい。
被めっき物の材質については、電解めっきが可能であれば特に限定はない。例えば、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属やこれらの合金、下地めっきを施した樹脂等が挙げられる。
本発明の製造方法において、工程1により形成される電解ニッケルめっき皮膜は、電着応力は圧縮応力である。すなわち、電解ニッケルめっき皮膜は、圧縮応力が0~100MPaである。圧縮応力が0MPa未満であると、引張応力となり、後述する工程2で形成される3価クロムめっき皮膜の電着応力が同じく引張応力であることにより、電着応力が緩和されず、クラックの発生が抑制されないため、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物に優れた耐食性を付与することができない。圧縮応力が100MPaを超えると、ニッケルめっき皮膜にクラックが発生しやすくなり、3価クロムめっき皮膜が耐食性に劣る。電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力は、0~50MPaが好ましい。
本明細書において、電解ニッケルめっき皮膜の圧縮応力は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
電解ニッケルめっき皮膜の算術平均粗さRaは、0.080μm以下が好ましく、0.050μm以下がより好ましく、0.040μm以下が更に好ましい。上記算術平均粗さRaの上限が上記範囲であることにより、後述する工程2により上記電解ニッケルめっき皮膜上に形成される電解3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上する。また、上記算術平均粗さRaの下限は低い方がよく、例えば、0.020μm程度であってよい。
本明細書において、電解ニッケルめっき皮膜の算術平均粗さRaは、JIS B0601-2001に準拠した測定方法により測定される。
電解ニッケルめっき皮膜のビッカース硬度は、300HV以上が好ましく、350HV以上がより好ましく、400HV以上が更に好ましい。また、電解ニッケルめっき皮膜のビッカース硬度は、1000HV以下が好ましく、900HV以下がより好ましく、800HV以下が更に好ましい。ビッカース硬度の範囲が上記範囲であることにより、本発明の製造方法により製造されるめっき皮膜のクラックの発生がより抑制され、耐食性がより向上する。
本明細書において、電解ニッケルめっき皮膜のビッカース硬度は、JIS Z2244-1:2020に準拠した測定方法により測定される。
電解ニッケルめっき皮膜の厚みは5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、電解ニッケルめっき皮膜の厚みは50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。電解ニッケルめっき皮膜の厚みが上記範囲であることにより、後述する工程2により上記電解ニッケルめっき皮膜上に形成される電解3価クロムめっき皮膜が引張応力であることとあいまって、めっき皮膜のクラックの発生がより抑制され、めっき皮膜の耐食性がより向上する。
(工程2)
工程2は、前記電解ニッケルめっき皮膜上に、電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程ある。
電解3価クロムめっき皮膜を形成するための電解3価クロムめっき液としては特に限定されず、従来公知の電解3価クロムめっき液を用いることができる。
電解3価クロムめっき液としては、例えば、3価クロム化合物、錯化剤、導電性塩、pH緩衝剤を含む電解3価クロムめっき液を用いることができる。
(3価クロム化合物)
3価クロム化合物としては、水溶性の3価クロム化合物であればよく、例えば、硫酸クロム、塩化クロム、塩基性硫酸クロム等を用いることができる。3価クロム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電解3価クロムめっき液中の3価クロム化合物の濃度については特に限定的ではないが、例えば、クロム金属濃度として20~60g/L程度とすることが好ましく30~45g/L程度とすることがより好ましい。
(錯化剤)
錯化剤としては、3価クロムに対する錯化能を有する化合物であれば特に限定されない。水溶性脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物を用いることが好ましい。
水溶性脂肪族カルボン酸の種類については特に限定的ではなく、所定の濃度の水溶液とすることが可能なカルボン酸であればよい。例えば、ギ酸、酢酸、グリシン等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;グルコン酸などの脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸;リンゴ酸等の脂肪族ヒドロキシジカルボン酸;クエン酸等の脂肪族ヒドロキシトリカルボン酸等を用いることができる。
水溶性脂肪族カルボン酸の塩としては、上記した各種カルボン酸の水溶性塩であればよく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を用いることができる。
錯化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
錯化剤の使用量は、電解3価クロムめっき液中に含まれる3価クロムイオン1モルに対して、0.1~0.8モル程度とすることが好ましい。特に、3価クロムイオン1モルに対して、0.1~0.3モル程度とすることによって、電解3価クロムめっき皮膜の析出速度を向上させることができる。
(導電性塩)
導電性塩としては、例えば、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩;塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩化物塩;臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム等の臭化物塩等を用いることができる。これら中でも、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩を用いることが好ましい。
導電性塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電解3価クロムめっき液中の導電性塩の濃度については特に限定されないが、50~200g/L程度とすることが好ましく70~180g/L程度とすることがより好ましい。
(pH緩衝剤)
pH緩衝剤としては、例えば、硫酸アルミニウム;ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、酸化ホウ素等のホウ酸化合物を用いることができる。硫酸アルミニウムと、ホウ酸化合物とを両方用いることが、低電流密度領域におけるめっき皮膜の析出性をより改善し、付き回り性をより良好にすることができる点で好ましい。
pH緩衝剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電解3価クロムめっき液中の硫酸アルミニウムの濃度は、10~50g/Lが好ましく、20~40g/Lがより好ましい。
電解3価クロムめっき液中のホウ酸化合物の濃度は、10~80g/Lが好ましく、20~60g/Lがより好ましい。
電解3価クロムめっき液は、上述の3価クロム化合物、錯化剤、導電性塩、pH緩衝剤を含有することが好ましく、これらを含有する水溶液であることがより好ましい。
電解3価クロムめっき液のpHは、通常1.0~3.0が好ましく、1.5~2.5がより好ましい。pHが上記範囲であると、低電流密度領域における析出性がより向上して付き回り性がより良好になる。
電解3価クロムめっき方法としては特に限定されず、上記電解3価クロムめっき液を用いて、通常の電解3価クロムめっき方法と同様の方法を採用すればよい。
電解3価クロムめっき時に使用する陽極としては特に限定されず、Ti-Pt電極などの公知の不溶性陽極を用いることができる。特に、Ir-Ta複合酸化物薄膜で被覆したTi電極を用いる場合には、6価クロムの生成を抑制できる点で有利である。
電解3価クロムめっき液の液温については、めっき作業時の浴温が低い場合にはつき回り性は向上し、逆に浴温が高い場合には、低電流密度へのつき回り性は低下する傾向がある。また、浴温が低過ぎる場合は成分が結晶化するおそれがある。この点を考慮すると浴温は25~50℃程度とすることが好ましく、30~40℃程度とすることがより好ましい。
電解3価クロムめっきの際の電流密度は5~40A/dmが好ましく、10~20A/dmがより好ましい。
めっき時間については、目的とする電解3価クロムめっき皮膜の膜厚に応じて適宜決めればよいが、10~90分程度とすればよい。
本発明の製造方法において、工程2により形成される電解3価クロムめっき皮膜は、引張応力が0~50MPaであることが好ましく、0~30MPaであることがより好ましい。電解3価クロムめっき皮膜の電着応力が引張応力であり、当該引張応力が上記範囲であることにより、上記工程1で形成された電解ニッケルめっき皮膜の電着応力が圧縮応力であるため、電着応力がより緩和されて、クラックの発生がより抑制され、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物により優れた耐食性を付与することができる。
本明細書において、電解3価クロムめっき皮膜引張応力は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
電解3価クロムめっき皮膜の算術平均粗さRaは、0.080μm以下が好ましく、0.050μm以下がより好ましく、0.040μm以下が更に好ましい。上記算術平均粗さRaの上限が上記範囲であることにより、電解3価クロムめっき皮膜の光沢性がより向上し、また、電解3価クロムめっき皮膜の耐摩耗性が向上する。また、上記算術平均粗さRaの下限は低い方がよく、例えば、0.020μm程度であってよい。
本明細書において、電解3価クロムめっき皮膜の算術平均粗さRaは、JIS B0601-2001に準拠した測定方法により測定される。
電解3価クロムめっき皮膜のビッカース硬度は、750HV以上が好ましく、800HV以上がより好ましく、850HV以上が更に好ましい。また、電解3価クロムめっき皮膜のビッカース硬度は、1500HV以下が好ましく、1300HV以下がより好ましく、1200HV以下が更に好ましい。ビッカース硬度の範囲が上記範囲であることにより、電解3価クロムめっき皮膜のクラックの発生がより抑制され、めっき皮膜の耐食性がより向上する。
本明細書において、電解3価クロムめっき皮膜のビッカース硬度は、JIS Z2244-1:2020に準拠した測定方法により測定される。
電解3価クロムめっき皮膜の厚みは2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。また、電解3価クロムめっき皮膜の厚みは200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。電解3価クロムめっき皮膜の厚みが上記範囲であることにより、上記工程1により形成される電解ニッケルめっき皮膜が圧縮応力であることとあいまって、めっき皮膜のクラックの発生がより抑制され、めっき皮膜の耐食性がより向上する。
上記工程2は、断続的に電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程であってもよい。工程2が当該工程であることにより、電解3価クロムめっき皮膜が多層構成のようになり、電解3価クロムめっき皮膜の下側(電解ニッケルめっき皮膜側)に発生したクラックが上側まで到達することが抑制され、3価クロムめっき皮膜の耐食性がより向上する。
断続的に電解3価クロムめっき皮膜を形成する方法としては、例えば、(1)通電、(2)電解を停止、(3)水洗、の(1)、(2)のサイクル又は(1)~(3)のサイクルを繰り返す方法が挙げられる。
上記(1)~(3)の条件は目的とする電解3価クロムめっき皮膜の膜厚に応じて適宜設定すればよい。例えば、上記(1)通電の通電時間は5~20分が好ましく、10~15分がより好ましい。(1)、(2)のサイクルの繰り返しの場合は(2)電解を停止後すぐに(1)を行うのが好ましい。(2)の電解停止時間は60秒以内が好ましい。また、上記(2)電解を停止後、直ちに上記(3)水洗の工程を行ってもよい。上記(3)水洗の水洗時間は5~60秒が好ましく、10~20秒がより好ましい。
(熱処理)
本発明の製造方法では、上記工程2の後に、熱処理を行ってもよい。熱処理を行うことにより、製造されためっき皮膜が水素を吸蔵することにより生じる可能性がある水素脆性をより一層抑制することができる。熱処理温度は特に限定されず、100~500℃が好ましく、100~200℃がより好ましい。熱処理時間は15分~180分が好ましく、30~60分がより好ましい。
(めっき皮膜を有する物品)
本発明の製造方法により製造されるめっき皮膜は、例えば、工業用クロムめっき等の各種の用途に用いることができる。特に、本発明の製造方法によれば、3価クロムめっき皮膜が形成された被めっき物に優れた耐食性を付与することができ、且つ、光沢性に優れた3価クロムめっき皮膜を製造することができる。このため、本発明の製造方法により製造されるめっき皮膜は、特に、工業用クロムめっきの用途に適したものである。
工業用クロムめっきは、クロムめっき皮膜の高硬度、耐摩耗性、耐食性、密着性、離型性等の特性を利用して各種の産業分野に利用されており、例えば、金型、圧延ロール、印刷ロールなどの作製に用いられている。工業用クロムめっきでは、被めっき物としては、例えば、鉄鋼、ステンレス鋼、黄銅、亜鉛ダイカスト等の金属素材が主として用いられている。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
被めっき物として、鉄板(6cm×5cm、厚み0.3mm)を用意した。
[工程1]
下記に示す配合の各成分を水に順次添加して混合することにより、無光沢ニッケルめっき浴(ワット浴)を調製した。
(無光沢ニッケルめっき浴(ワット浴)組成)
・硫酸ニッケル六水和物:280g/L
・塩化ニッケル六水和物:45 g/L
・ホウ酸:40 g/L
・添加剤:表1に示す添加剤を、表2に示すように添加
下記に示す配合の各成分を水に順次添加して混合することにより、スルファミン酸ニッケルめっき浴を調製した。
(スルファミン酸ニッケルめっき浴組成)
・スルファミン酸ニッケル:300g/L
・塩化ニッケル六水和物:10 g/L
・ホウ酸:40 g/L
・添加剤:表1に示す添加剤を、表2に示すように添加
上記ワット浴、及び、スルファミン酸ニッケルめっき浴において、用いたニッケルめっき添加剤を下記表1に示す。
Figure 2023170524000008
表2に示すように、上記ワット浴、及び、スルファミン酸浴であるベース浴、及び、光沢剤を用いて、ニッケルめっき浴を調製し、下記ニッケルめっき電解条件によりニッケルめっき皮膜を形成した。
(ニッケルめっき電解条件)
・pH:4.2
・浴温:55 ℃
・陰極電流密度:3A/dm2
・電解時間:20分
・膜厚(狙い):10μm
・陽極:ニッケル板
・撹拌:エアー撹拌 (1L/min)
(ニッケルめっき皮膜の電着応力測定)
上記ニッケルめっき電解条件によりニッケル皮膜を形成し、テストストリップ (藤化成社製) を用いて、有効面積0.077 dm2の測定条件で電着応力を測定した。電着応力は、下記式に基づいて算出した。
電着応力 (MPa) = 58.2×UK/T
U=開き幅 (mm)、K=係数 (引張応力の場合K=0.2949、圧縮応力の場合K=0.1918)
T=膜厚 (μm) (めっき前後の試験片の重量差から算出)
測定されたニッケルめっき皮膜の電着応力を表2に示す。
[工程2]
下記に示す配合の各成分を水に順次添加して混合することにより、クロムめっき浴(トップファインクロムSP-A 奥野製薬工業株式会社製)を調製した。
(クロムめっき浴組成)
・トップファインクロムSP-Aコンク(Cr3+源、錯化剤):330ml/L(Cr3+40g/L)
・トップファインクロムSP-Aコンダクター1 (導電性塩):90g/L
・トップファインクロムSP-Aコンダクター2 (導電性塩) :90g/L
・トップファインクロムSP-Aベース1 (pH緩衝剤):30g/L
・トップファインクロムSP-Aベース2 (pH緩衝剤):40g/L
上記工程1により形成したニッケルめっき皮膜上に、上記クロムめっき浴を用いて、下記クロムめっき電解条件により3価クロムめっき皮膜を形成し、めっき皮膜を製造した。
(クロムめっき電解条件)
・pH:1.7
・浴温:35 ℃
・陰極電流密度:15A/dm2
・電解時間:60分
・膜厚(狙い):8μm
・陽極:酸化イリジウム陽極
・撹拌:エアー撹拌 (0.1L/min)
なお、クロムめっき皮膜の形成を断続めっきにより行う場合は、下記条件により断続めっきとした。
・10分通電ごとに電解停止し10秒水洗
(クロムめっき皮膜形成後の表面粗さRa測定)
上記工程1及び工程2により、製造しためっき皮膜の3価クロムめっき皮膜側の算術平均粗さRa(μm)を、JIS B0601-2001に準拠した測定方法により測定した。
測定されためっき皮膜の3価クロムめっき皮膜側の算術平均粗さRa(μm)を表2に示す。
(塩水噴霧試験)
被めっき物上に上記工程1及び工程2によりめっき皮膜を製造した。当該めっき皮膜について、JIS Z2371に準拠した測定方法により温度35℃、湿度95%、200時間の測定条件により塩水噴霧試験を行い、下記評価基準に従って評価した。なお、△以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
○:赤錆が発生しなかった
○△:赤錆がわずかに発生した
△:赤錆が数か所発生した
×:ほぼ全面赤錆が発生した
Figure 2023170524000009
(耐摩耗性試験)
実施例3、及び、比較例3で製造しためっき皮膜について、JIS H8503の往復運動磨耗試験法に準拠した測定方法により、下記測定条件により耐摩耗性試験を行った。500往復を1回の試験回数としてカウントし、クロムめっき皮膜の剥離が確認されるまでの試験回数を測定することにより評価した。比較のために、参考例1として、ニッケルめっき皮膜を形成せず、鉄板上に直接3価クロムめっき皮膜を形成したものについても評価を行った。
・装置:スガ摩耗試験器製 NUS-ISO-3
・研磨紙:#600
・荷重:500gf
・往復回数:500回
(摩耗量測定)
めっき皮膜が形成された被めっき物の重量を、上記耐摩耗性試験前後において測定し、耐摩耗性試験前の重量から耐摩耗性試験後の重量を引いて、差を摩耗量とした。同一箇所について耐摩耗性試験を3回行って摩耗量を測定し、平均値を測定値とした。
結果を表3に示す。
Figure 2023170524000010
表3の結果から、スルファミン酸浴により形成されたニッケルめっき皮膜を下地として有する実施例3のめっき皮膜は、ワット浴(半光沢)により形成されたニッケルめっき皮膜を下地として有する比較例3のめっき皮膜よりもクロムめっき皮膜の耐摩耗性に優れることが分かった。これは、実施例3のめっき皮膜では、ニッケルめっき皮膜の電着応力が低いためであると考えられる。また、実施例3のめっき皮膜は比較例3のめっき皮膜と比較して表面粗さが小さく平滑性が高いため、摩耗量も少ないことが分かった。

Claims (5)

  1. 電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程1、及び、
    前記電解ニッケルめっき皮膜上に、電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程2
    を有し、
    前記電解ニッケルめっき皮膜は、圧縮応力が0~100MPaである
    ことを特徴とするめっき皮膜の製造方法。
  2. 前記電解3価クロムめっき皮膜の算術平均粗さRaは、0.080μm以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記電解3価クロムめっき皮膜の厚みは、2μm以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記電解3価クロムめっき皮膜のビッカース硬度は、750HV以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記工程2は、断続的に電解3価クロムめっき皮膜を形成する工程である、請求項1又は2に記載の製造方法。
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