JP2003138396A - ニッケルクロムめっき方法及びそのめっきを施した水道用器具 - Google Patents

ニッケルクロムめっき方法及びそのめっきを施した水道用器具

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JP2003138396A
JP2003138396A JP2002244180A JP2002244180A JP2003138396A JP 2003138396 A JP2003138396 A JP 2003138396A JP 2002244180 A JP2002244180 A JP 2002244180A JP 2002244180 A JP2002244180 A JP 2002244180A JP 2003138396 A JP2003138396 A JP 2003138396A
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Toshiyuki Kawamoto
理之 河本
Mitsuo Imamoto
光男 今本
Mikio Orita
三喜男 折田
Akira Goto
晶 後藤
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、装飾性と耐食性に優れたニ
ッケルクロムめっき方法及びその水道用器具を提供する
ことである。 【解決手段】 ニッケルめっき後、工業用クロムめっき
を施したニッケルクロムめっき方法であり、金属組織が
緻密でピンホールやクラックなどの欠陥の少ないクロム
めっきを使用するため、各種の環境下でも耐食性の良
く、装飾性にも優れたニッケルクロムめっきとすること
ができる。本発明を水道用器具に施すことで装飾性も優
れ、また、昨今の環境変化やユーザーの要求度の高まり
にも対応できる高耐食性を確保することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅系材料、鉄系材
料、及び樹脂材料などの各種素材に施すニッケルクロム
めっき方法に係り、特に装飾性と耐食性に優れたニッケ
ルクロムめっき方法及びそのニッケルクロムめっきを施
した水道用器具に関する。水道用器具とは、水栓金具、
水道メーター、給湯機部材、温水洗浄便座部材、湯沸
器、温水器、冷水器、浄水器、温水ボイラー、自動販売
機、ボールタップ、ロータンク、バルブ、フラッシュバ
ルブ、熱交換器、接手、給水及び給湯ヘッダー、管、流
し台、洗面台、便器、浴槽、住宅設備ユニットなどで、
給水管につながる器具を全て含む。
【0002】
【従来の技術】クロムめっきは、0.1μm程度の薄膜
でも優れた耐食性、耐変色性や耐薬品性を示し、厚膜に
おいては、耐摩耗性や耐久性の特性が増し、古くから各
種用途に広く使用されているめっきである。クロムめっ
きは大別すると、装飾用クロムめっきと工業用クロムめ
っきの2種類がある。
【0003】装飾用クロムめっきは、一般的に0.5μ
m程度以下の薄いクロムめっきであって、特にニッケル
めっきの保護膜として使用すると銀白色光沢外観を呈
し、耐食性や耐変色性などの付与と向上が達成でき、自
動車用部品、家電部品、水道用器具などの様々な産業の
最終仕上げめっきとして利用されている。さらなる耐食
性を要求されるケースでは、多層ニッケルめっき、厚膜
ニッケルめっき、マイクロポーラスクロムめっき、マイ
クロクラッククロムめっき、多層クロムめっきが使用さ
れている。
【0004】工業用クロムめっきは、一般的に2μm程
度以上の厚いクロムめっきであってビッカース硬度80
0HV以上を示し優れた耐摩耗性を有するため、ピスト
ンリングやシリンダーなどの自動車部品、工作機械のシ
ャフト、金型などに利用されている。これらの場合は、
装飾性や耐食性はそれほど重要視されないため、素材に
直接クロムめっきされる場合が大半であり、クロムめっ
き厚みを100μm以上施す場合も多い。そのため、め
っきの作業効率を向上させるため、装飾用クロムめっき
浴と比べてめっき条件やめっき液組成を改良し、めっき
析出電流効率を向上させた高効率浴や、高電流密度条件
を可能としめっき時間を短縮した高速浴が使用されてい
る。そのため、装飾用クロムめっきと工業用クロムめっ
きはめっき被膜特性が異なり、高硬度、高潤滑性、金属
組織の微細化、焼き付け硬化性などが工業用クロムめっ
きに認められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の装飾用ニッケル
クロムめっきでは、昨今の環境変化やユーザーの要求度
の高まりにより耐食性が不十分な場合もでてきている。
特に、水栓金具をはじめとする水道用器具は、例えば浴
室に設置された場合、高温高湿の環境でありめっき腐食
に至る場合もある。また、屋外使用においても、工業地
帯や温泉地など過酷な環境で使用される場合もあり、め
っきが腐食する場合も発生している。耐食性向上策とし
て、多層ニッケルめっき、厚膜ニッケルめっき、マイク
ロポーラスクロムめっき、マイクロクラッククロムめっ
き、多層クロムめっきが使用されているが、それだけで
は十分な耐食性向上は達成できず、また、めっき工程が
複雑になり管理の負荷が増加したり、コストアップにな
るなどの欠点がある。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、本発明の目的は、装飾性と耐食性に優れたニ
ッケルクロムめっき方法及びその水道用器具を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1は、ニッケルめっき後、工業用クロムめっき
を施したことを特徴とするニッケルクロムめっき方法で
ある。金属組織が緻密でピンホールやクラックなどの欠
陥の少ない工業用クロムめっきを使用するため、各種の
環境下でも耐食性の良いニッケルクロムめっきとなる。
さらに、ニッケルめっきの膜厚を厚くしたり、多層めっ
きにしたり、微粒子共析ニッケルめっきにしてマイクロ
ポーラスクロムめっきにするなどの手間を必要としな
い。
【0008】上記目的を達成するために請求項2は、ニ
ッケルめっき後、ニッケルめっき表面の活性化工程を経
て、工業用クロムめっきを施したことを特徴とするニッ
ケルクロムめっき方法である。ニッケルめっきにおい
て、特にレベリング力の高い光沢ニッケルめっきを使用
してそのあとに工業用クロムめっきを施す場合、ニッケ
ルめっき被膜中に共析する光沢剤の影響により、めっき
外観上シミや曇りが生じる場合がある。その際は、ニッ
ケルめっきとクロムめっきの間に活性化工程を入れるこ
とでニッケルめっき表面が清浄な状態になり外観上の問
題は解決する。
【0009】上記目的を達成するために請求項3は、ニ
ッケルめっき後、アルカリ溶液中での陰極電解工程を経
て、工業用クロムめっきを施したことを特徴とするニッ
ケルクロムめっき方法である。陰極電解により水素ガス
の発生に伴ってその表面には生のアルカリが生成し、ニ
ッケルめっき表面の洗浄力を高め、さらにガス発生は被
めっき物の隅々に起こるため、狭い隙間、クラック、ピ
ンホールの中までも洗浄される。それにより、ニッケル
クロムめっきの外観上の問題は解決する。
【0010】上記目的を達成するために請求項4は、ニ
ッケルめっき後、クロム酸溶液中への浸漬工程を経て、
工業用クロムめっきを施したことを特徴とするニッケル
クロムめっき方法である。クロム酸の酸化力によりニッ
ケルめっき表面の有機物等を分解して清浄な状態にし、
表面が活性化される。それにより、ニッケルクロムめっ
きの外観上の問題は解決する。
【0011】上記目的を達成するために請求項5乃至7
は、工業用クロムめっき条件として、陰極電流密度が3
0A/dm以上50A/dm以下、又はかつ、めっ
き液温度が55℃以上65℃以下であることを特徴とす
るニッケルクロムめっき方法である。この条件で製造し
たクロムめっき被膜は、金属組織が緻密でピンホールや
クラックなどの欠陥が少なくなるため、各種の環境下で
も耐食性の良いニッケルクロムめっきとなる。さらに、
ニッケルめっきの膜厚を厚くしたり、多層めっきにした
り、微粒子共析ニッケルめっきにしてマイクロポーラス
クロムめっきにするなどの手間を必要としない。
【0012】上記目的を達成するために請求項8は、ニ
ッケルめっき後、工業用クロムめっきを施したことを特
徴とする水道用器具である。水栓金具をはじめとする水
道用器具は、例えば浴室に設置された場合、高温高湿の
環境でありめっき腐食に至る場合もある。また、屋外使
用においても、工業地帯や温泉地など過酷な環境で使用
される場合もある。このような場合でも本発明の水道用
器具であれば、金属組織が緻密でピンホールやクラック
などの欠陥の少ない工業用クロムめっきを使用するた
め、各種の環境下でも耐食性の良いニッケルクロムめっ
きとなる。さらに、ニッケルめっきの膜厚を厚くした
り、多層めっきにしたり、微粒子共析ニッケルめっきに
してマイクロポーラスクロムめっきにするなどの手間を
必要としない。さらに、ニッケルめっきとクロムめっき
の間に陰極電解工程やクロム酸浸漬工程などの活性化工
程を入れることでニッケルめっき表面が清浄な状態にな
り、装飾性にも優れたニッケルクロムめっきを提供する
ことが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】装飾用クロムめっき、工業用クロ
ムめっきともそれ自体は公知技術であり、市販浴も多く
ある。装飾用クロムめっき液の成分は、無水クロム酸
(100〜400g/リットル程度)を主成分とし、こ
れに硫酸、フッ化物などの触媒根と呼ばれる陰イオン
を、少量(無水クロム酸/触媒根=100/1程度)添
加する。めっき浴は、無水クロム酸と硫酸からなるサー
ジェント浴、サージェント浴にフッ化物を添加したフッ
化浴がある。陽極には不溶性の鉛及び鉛合金が使用され
る。3価クロム濃度を調整し(1〜5g/リットル程
度)、めっき温度40〜60℃程度、電流密度10〜4
0A/dm程度、めっき時間1〜5分程度でめっきす
る。電流効率は一般的に10〜20%程度である。
【0014】工業用クロムめっき液の成分も装飾用クロ
ムめっきと大きな差はないが、場合によっては各種有機
物を添加する場合もあり、それによりクロムめっき被膜
中に微量の炭素を共析した被膜となる場合もある。めっ
き条件は、装飾用クロムめっきと比較して、温度、電流
密度とも高めで行う場合が多く、めっき温度50〜70
℃程度、電流密度20〜100A/dm程度で、上記
有機物添加の効果とも相まって電流効率が20〜40%
くらいに増加する。これらの理由で単位時間あたりのめ
っき析出速度は、装飾用クロムの数倍になる。めっき時
間は、要求めっき厚みによって、適宜決定する。
【0015】発明者は、装飾用及び工業用クロムめっき
被膜について、表面観察や断面観察を行いめっき被膜特
性について鋭意研究した結果、工業用クロムめっき被膜
は、結晶粒子が細かく、緻密で、また、ピンホールやク
ラックが少ないことがわかった。表面拡大写真を図1に
示す。工業用クロムめっきの方がめっき被膜の凹凸が少
なく、粒子が緻密なことがわかる。また、ニッケルクロ
ムめっき後銅めっきを施してクラックの状態を比較した
写真を図2に示す。工業用クロムめっきの方がクラック
が少ないことがわかる。さらに、ニッケルクロムめっき
において公知のキャステスト法でめっきの耐食性を比較
した結果、工業用クロムめっきが格段に優れることがわ
かった。
【0016】工業用クロムめっき液に添加される有機物
の種類は、メタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸
及びその塩類、ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸
などのアルキルカルボン酸やシクロアルキルカルボン酸
及びその塩類、及びホルムアルデヒドなどのアルデヒド
類があり、添加量は0.1〜50g/リットル程度、一
種又は数種添加する場合がある。もちろん市販の工業用
クロムめっき添加剤を使用しても何らさしつかえない。
【0017】ニッケルめっきもそれ自体は公知技術であ
り、市販浴も多くある。めっきの種類も非常に多く、無
光沢ニッケル、半光沢ニッケル、光沢ニッケル、低レベ
リングニッケル、高レベリングニッケル、黒色ニッケ
ル、サテン状ニッケル、ニッケル合金、微粒子共析ニッ
ケルなどがあり、単層もしくは多層どちらでも差し支え
ない。めっき厚みは要求される外観や耐食性によっても
変わるが、通常数μm〜数十μm施される場合が多い。
ニッケルめっき前の下地めっきとして銅めっき等を施す
場合もある。
【0018】これらのニッケルめっき後、水洗し、工業
用クロムめっきを施すとき、特に高レベリングニッケル
などでニッケルめっき被膜中の光沢剤含有量が多い場
合、クロムめっき後の外観で、シミや曇りが発生する場
合がある。これを防ぐためにニッケルめっき後、活性化
工程を追加すると良い。活性化とは、表面の有機物等を
分解除去し、清浄な状態にすることである。活性化工程
は、1〜100g/リットル程度のクロム酸溶液に常温
から40℃程度で、数秒から数十秒程度浸漬するのがよ
い。クロム酸溶液に使用する薬品は、無水クロム酸、ク
ロム酸カリウム、クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリ
ウム、重クロム酸ナトリウムなどが挙げられ、これらの
薬品を単独又は数種混合して使用する。クロム酸溶液の
代わりに、クロムめっき液の希釈液を使用してもよい。
【0019】活性化工程は、アルカリ溶液中での陰極電
解法でもよい。アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム、炭
酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウムな
どを一種又は数種混合し、5〜100g/リットル程度
の濃度で、温度は常温から60℃程度、時間は数秒から
数十秒程度、電流密度1〜10A/dmで陰極電解を
行うのがよい。陽極はSUS、鉄系材料、フェライトな
どを使用する。
【0020】
【実施例】本発明を実施例により具体的に以下に説明す
るが、本発明はこれにより限定されるものではなく、本
発明の技術的思考の範囲内で多くの改変をなしえること
はもちろんである。
【0021】以下に示す条件で、図3に記載した青銅鋳
物製水栓金具でめっきサンプルを作成し、めっき外観及
び耐食性を評価した。めっき前処理は、メタケイ酸ナト
リウム60g/L−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム2g/リットルの浴を使用し、温度60℃で10分浸
漬後、水洗し、100g/リットル硫酸の浴を使用し、
常温で1分浸漬処理した。めっき外観は目視評価とし、
耐食性は、JIS−H−8502(1999)記載のキ
ャステスト96時間としてRN(レイティングナンバ
ー)で評価した。
【0022】比較例1 水栓金具をめっき前処理後、光沢ニッケルめっきを10
μm施し、活性化工程なしで、装飾用クロムめっきを
0.2μm施した。光沢ニッケルめっき及び装飾用クロ
ムめっき条件を表1にまとめた。表中のg/Lはg/リ
ットルと同義である。
【0023】
【表1】
【0024】実施例1 水栓金具をめっき前処理後、光沢ニッケルめっきを10
μm施し、活性化工程なしで、工業用クロムめっきを
0.2μm施した。
【0025】実施例2 水栓金具をめっき前処理後、高レベリングニッケルめっ
きを10μm施し、活性化工程なしで、工業用クロムめ
っきを0.2μm施した。高レベリングニッケルめっき
及び工業用クロムめっき条件を表2にまとめた。表中の
g/Lはg/リットルと同義である。
【0026】
【表2】
【0027】実施例3 水栓金具をめっき前処理後、高レベリングニッケルめっ
きを10μm施し、クロム酸浸漬による活性化工程後、
工業用クロムめっきを0.2μm施した。
【0028】実施例4 水栓金具をめっき前処理後、高レベリングニッケルめっ
きを10μm施し、アルカリ溶液中での陰極電解及びク
ロム酸浸漬による活性化工程後、工業用クロムめっきを
0.2μm施した。クロム酸浸漬及びアルカリ溶液中で
の陰極電解条件を表3にまとめた。表中のg/Lはg/
リットルと同義である。
【0029】
【表3】
【0030】めっきサンフ゜ル作成条件、めっき外観及び耐
食性の試験結果を表4にまとめた。
【0031】
【表4】
【0032】これらの結果から明らかなとおり、工業用
クロムめっきの耐食性が優れること、クロム酸浸漬やア
ルカリ溶液中での陰極電解でめっき外観確保に効果があ
ることが確認できた。
【0033】次に、工業用クロムめっき条件の影響を調
査するため、クロムめっきの電流密度とめっき液温度を
変えてめっきサンプルを作成し、めっき外観と耐食性を
評価した。評価結果を表5と表6にまとめた。めっきサ
ンプルは、水栓金具をめっき前処理後、表2記載の高レ
ベリングニッケルめっきを10μm施し、表3記載のア
ルカリ溶液中での陰極電解及びクロム酸浸漬による活性
化工程後、工業用クロムめっきを0.2μm施した。ク
ロムめっき時間は、クロムめっき厚みが0.2μmとな
るように電流密度と時間に応じて適宜調整した。工業用
クロムめっきのめっき液成分は、表1に記載の装飾用ク
ロムめっきと同じとした。
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】表5と表6の結果から明らかなとおり、外
観と耐食性を確保できる工業用クロムめっき条件は、め
っき温度が55〜65℃、電流密度が30A/dm
50A/dmが最適であることが確認できた。クロム
めっきの場合、めっき温度と電流密度は密接な関係があ
り、特にめっき外観を確保するために各々のめっき温度
に応じ、それに適する電流密度を設定する必要ある。電
流密度が40A/dm2の場合、めっき温度が55℃を下廻
ったり、65℃を上廻ったりするとめっき外観が確保で
きなくなる。また、めっき温度が55℃を下廻るとクラ
ックが発生して、耐食性が低下することも判った。さら
に、めっき温度が60℃の場合、電流密度が30A/d
を下廻ったり、50A/dmを上廻ったりすると
めっき外観が確保できなくなる。また、電流密度が50
A/dmを上廻るとクラックが発生して、耐食性が低
下することも判った。
【0037】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1では、金属組織が緻密でピンホールやク
ラックなどの欠陥の少ない工業用クロムめっきを使用す
るのみで、各種の環境下でも耐食性の良いニッケルクロ
ムめっきとなる。さらに、ニッケルめっきの膜厚を厚く
したり、多層めっきにしたり、微粒子共析ニッケルめっ
きにしてマイクロポーラスクロムめっきにするなどの手
間を必要としない。
【0038】請求項2では、ニッケルめっきにおいて、
特にレベリング力の高い光沢ニッケルめっきを使用して
そのあとに工業用クロムめっきを施す場合、ニッケルめ
っき被膜中に共析する光沢剤の影響により、めっき外観
上シミや曇りが生じる場合がある。その際は、ニッケル
めっきとクロムめっきの間に活性化工程を入れることで
ニッケルめっき表面が清浄な状態になり外観上の問題は
解決する。
【0039】請求項3では、上記活性化工程が、アルカ
リ溶液中での陰極電解工程であり、陰極電解により水素
ガスの発生に伴ってその表面には生のアルカリが生成
し、ニッケルめっき表面の洗浄力を高め、さらにガス発
生は被めっき物の隅々に起こるため、狭い隙間、クラッ
ク、ピンホールの中までも洗浄されることにより、ニッ
ケルクロムめっきの外観上の問題は解決する。
【0040】請求項4では、上記活性化工程が、クロム
酸溶液中での浸漬工程であり、クロム酸の酸化力により
表面の有機物等を分解除去し、清浄な状態にすることに
より、ニッケルクロムめっき上の外観の問題は解決す
る。
【0041】請求項5乃至7では、クロムめっき条件に
より、金属組織が緻密でピンホールやクラックなどの欠
陥の少ないクロムめっき被膜となるので、各種の環境下
でも耐食性の良いニッケルクロムめっきとなる。さら
に、ニッケルめっきの膜厚を厚くしたり、多層めっきに
したり、微粒子共析ニッケルめっきにしてマイクロポー
ラスクロムめっきにするなどの手間を必要としない。
【0042】請求項8では、次の効果を発揮する。水栓
金具をはじめとする水道用器具は、例えば浴室に設置さ
れた場合、高温高湿の環境でありめっき腐食に至る場合
もある。また、屋外使用においても、工業地帯や温泉地
など過酷な環境で使用される場合もある。このような場
合でも本発明の水道用器具であれば、金属組織が緻密で
ピンホールやクラックなどの欠陥の少ない工業用クロム
めっきを使用するため、各種の環境下でも耐食性の良い
ニッケルクロムめっきとなる。さらに、ニッケルめっき
の膜厚を厚くしたり、多層めっきにしたり、微粒子共析
ニッケルめっきにしてマイクロポーラスクロムめっきに
するなどの手間を必要としない。さらに、ニッケルめっ
きとクロムめっきの間に陰極電解工程やクロム酸浸漬工
程などの活性化工程を入れることでニッケルめっき表面
が清浄な状態になり、装飾性にも優れたニッケルクロム
めっきを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 装飾用クロムめっき表面と工業用クロムめっ
き表面の1万倍拡大写真である。
【図2】 装飾用クロムめっき表面と工業用クロムめっ
き表面のクラックの発生状態の違いである。(銅めっき
をつけてクラックを見易くしている。)
【図3】 本発明の実施例で使用した青銅鋳物製水栓金
具を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 折田 三喜男 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 後藤 晶 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 4K024 AA02 AA03 AB02 AB03 BA02 BA12 BB17 BB20 BB28 BC05 BC10 CA01 CA04 CA06 DA02 DA03 DA06 GA02 GA04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素地上にニッケルめっき後、その表面に
    工業用クロムめっきを施したことを特徴とするニッケル
    クロムめっき方法。
  2. 【請求項2】 素地上にニッケルめっき後、ニッケルめ
    っき表面の活性化工程を経て、その表面に工業用クロム
    めっきを施したことを特徴とするニッケルクロムめっき
    方法。
  3. 【請求項3】 前記活性化工程は、アルカリ性溶液中で
    の陰極電解法であることを特徴とする請求項2記載のニ
    ッケルクロムめっき方法。
  4. 【請求項4】 前記活性化工程は、クロム酸溶液中への
    浸漬工程であることを特徴とする請求項2記載のニッケ
    ルクロムめっき方法。
  5. 【請求項5】 工業用クロムめっき条件として、陰極電
    流密度が30A/dm以上50A/dm以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至4記載のニッケルクロム
    めっき方法。
  6. 【請求項6】 工業用クロムめっき条件として、めっき
    液温度が55℃以上65℃以下であることを特徴とする
    請求項1乃至4記載のニッケルクロムめっき方法。
  7. 【請求項7】 工業用クロムめっき条件として、陰極電
    流密度が30A/dm以上50A/dm以下でか
    つ、めっき液温度が55℃以上65℃以下であることを
    特徴とする請求項1乃至4記載のニッケルクロムめっき
    方法。
  8. 【請求項8】 素地上にニッケルめっき後、その表面に
    工業用クロムめっきを施したことを特徴とする水道用器
    具。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015212417A (ja) * 2014-04-25 2015-11-26 キーソウ ドクトル ブリンクマン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト 光沢ニッケル層の析出のための電解浴、または光沢ニッケル層の析出のための電解浴中での使用のための混合物、および光沢ニッケル層を有する物品の製造方法
JPWO2015198914A1 (ja) * 2014-06-23 2017-04-20 奥野製薬工業株式会社 多層めっき皮膜及び該多層めっき皮膜を有する物品
JP7141780B1 (ja) 2022-05-19 2022-09-26 奥野製薬工業株式会社 めっき皮膜の製造方法。

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