JP2023165328A - 全固体電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐湿性を向上させることができる全固体電池およびその製造方法を提供する。【解決手段】 全固体電池は、酸化物系固体電解質層と、前記酸化物系固体電解質層の第1主面上に設けられ、電極活物質および固体電解質を含む第1電極層と、前記第1主面上において前記第1電極層の周囲に設けられた第1余白層と、前記酸化物系固体電解質層の第2主面上に設けられ、電極活物質および固体電解質を含む第2電極層と、前記第2主面上において前記第2電極層の周囲に設けられた第2余白層と、を備え、前記第1余白層および前記第2余白層は、マトリクス材と、前記マトリクス材内に分散して配置され、前記マトリクス材よりも水分に対して安定なフィラー材とを含む。【選択図】 図6

Description

本発明は、全固体電池およびその製造方法に関する。
近年、二次電池の需要が急速に拡大しており、電解質に有機電解液を使用したリチウムイオン二次電池が実用化されている。しかしながら、電解液の液漏れなどの点から、より安全性の高い固体電解質への期待が高まり、固体電解質を用いた全固体電池の開発が盛んに進められている。中でも酸化物系固体電解質を用いた全固体電池(例えば、特許文献1参照)は、大気中でも安定動作することが期待されている。
国際公開第2013/175993号公報
特許文献1では、余白層に空隙を導入することで、充放電時の電極層の体積膨張収縮により発生する内部応力を緩和し、クラックの発生を抑える構造が開示されている。しかしながら、余白層に対する耐湿性向上の取り組みは何ら検討されていない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、耐湿性を向上させることができる全固体電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る全固体電池は、酸化物系固体電解質層と、前記酸化物系固体電解質層の第1主面上に設けられ、電極活物質および固体電解質を含む第1電極層と、前記第1主面上において前記第1電極層の周囲に設けられた第1余白層と、前記酸化物系固体電解質層の第2主面上に設けられ、電極活物質および固体電解質を含む第2電極層と、前記第2主面上において前記第2電極層の周囲に設けられた第2余白層と、を備え、前記第1余白層および前記第2余白層は、マトリクス材と、前記マトリクス材内に分散して配置され、前記マトリクス材よりも水分に対して安定なフィラー材とを含む。
上記全固体電池において、前記フィラー材は、アルミナまたはシリカであってもよい。
上記全固体電池において、前記マトリクス材は、酸化物系固体電解質またはガラス材料であってもよい。
上記全固体電池の前記第1余白層および前記第2余白層において、前記マトリクス材と前記フィラー材との体積比率は、95:5から20:80であってもよい。
上記全固体電池の積層方向の断面において、前記フィラー材の少なくともいずれかは、最大長さを最大厚みで除した場合のアスペクト比が3以上であってもよい。
上記全固体電池の前記断面において、半数以上の前記フィラー材の前記アスペクト比が3以上であってもよい。
上記全固体電池において、前記フィラー材の電子伝導性およびイオン伝導性を含む導電率は、10-8S/cm以下であってもよい。
上記全固体電池において、前記マトリクス材は、NASICON型結晶構造を有する酸化物系固体電解質であるガラス材料であってもよい。
上記全固体電池において、前記カバー層は、前記酸化物系固体電解質層の主成分と同じ組成を有するガラス材料を含んでいてもよい。
本発明に係る全固体電池の製造方法は、酸化物系固体電解質の粉末を含む固体電解質グリーンシート上に、電極活物質の粉末および固体電解質の粉末を含む第1パターンを配置する第1工程と、前記グリーンシート上の前記第1パターンの周辺領域に、マトリクス材の粉末、前記マトリクス材よりも水分に対して安定なフィラー材の粉末を含む第2パターンを配置する第2工程と、前記第2工程によって得られた積層単位を、前記第1パターンの配置位置が交互にずれるように複数積層することによって、積層体を得る第3工程と、前記積層体を焼成することによって、前記マトリクス材にネッキングを生じさせ、得られる骨格内に分散して前記フィラー材を配置する第4工程と、を含む。
本発明によれば、耐湿性を向上させることができる全固体電池およびその製造方法を提供することができる。
全固体電池の基本構造を示す模式的断面図である。 複数の電池単位が積層された積層型の全固体電池の部分断面斜視図である。 図2のA-A線断面図である。 図2のB-B線断面図である。 (a)はサイドマージンの断面の拡大図であり、(b)は第1エンドマージンの断面の拡大図である。 第1余白層の模式的な断面図である。 (a)および(b)は水分の侵入経路を例示する図である。 (a)および(b)は収縮のミスマッチを説明するための図である。 全固体電池の製造方法のフローを例示する図である。 (a)および(b)は積層工程を例示する図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(実施形態)
図1は、全固体電池100の基本構造を示す模式的断面図である。図1で例示するように、全固体電池100は、第1内部電極層10と第2内部電極層20とによって、固体電解質層30が挟持された構造を有する。第1内部電極層10は、固体電解質層30の第1主面上に形成されている。第2内部電極層20は、固体電解質層30の第2主面上に形成されている。例えば、第1内部電極層10、第2内部電極層20、および固体電解質層30は、粉末材料を焼結させることによって得られる焼結体である。
全固体電池100を二次電池として用いる場合には、第1内部電極層10および第2内部電極層20の一方を正極として用い、他方を負極として用いる。本実施形態においては、一例として、第1内部電極層10を正極層として用い、第2内部電極層20を負極層として用いるものとする。
固体電解質層30は、NASICON型の結晶構造を有し、イオン伝導性を有する酸化物系固体電解質を主成分とする。固体電解質層30の固体電解質は、例えばリチウムイオン伝導性を有する酸化物系固体電解質である。当該固体電解質は、例えば、リン酸塩系固体電解質である。NASICON型の結晶構造を有するリン酸塩系固体電解質は、高い導電率を有するとともに、大気中で安定しているという性質を有している。リン酸塩系固体電解質は、例えば、リチウムを含んだリン酸塩である。当該リン酸塩は、特に限定されるものではないが、例えば、Tiとの複合リン酸リチウム塩(例えば、LiTi(PO)などが挙げられる。または、TiをGe,Sn,Hf,Zrなどといった4価の遷移金属に一部あるいは全部置換することもできる。また、Li含有量を増加させるために、Al,Ga,In,Y,Laなどの3価の遷移金属に一部置換してもよい。より具体的には、例えば、Li1+xAlGe2-x(POや、Li1+xAlZr2-x(PO、Li1+xAlTi2-x(POなどが挙げられる。例えば、第1内部電極層10および第2内部電極層20に含有されるオリビン型結晶構造をもつリン酸塩が含む遷移金属と同じ遷移金属を予め添加させたLi-Al-Ge-PO系(LAGP系)材料が好ましい。例えば、第1内部電極層10および第2内部電極層20にCoおよびLiを含むリン酸塩が含有される場合には、Coを予め添加したLi-Al-Ge-PO系材料が固体電解質層30に含まれることが好ましい。この場合、電極活物質が含む遷移金属の電解質への溶出を抑制する効果が得られる。第1内部電極層10および第2内部電極層20にCo以外の遷移元素およびLiを含むリン酸塩が含有される場合には、当該遷移金属を予め添加したLi-Al-Ge-PO系材料が固体電解質層30に含まれることが好ましい。
正極として用いられる第1内部電極層10は、オリビン型結晶構造をもつ物質を電極活物質として含有する。第2内部電極層20も、当該電極活物質を含有していることが好ましい。このような電極活物質として、遷移金属とリチウムとを含むリン酸塩が挙げられる。オリビン型結晶構造は、天然のカンラン石(olivine)が有する結晶であり、X線回折において判別することができる。
オリビン型結晶構造をもつ電極活物質の典型例として、Coを含むLiCoPOなどを用いることができる。この化学式において遷移金属のCoが置き換わったリン酸塩などを用いることもできる。ここで、価数に応じてLiやPOの比率は変動し得る。なお、遷移金属として、Co,Mn,Fe,Niなどを用いることが好ましい。
オリビン型結晶構造をもつ電極活物質は、正極として作用する第1内部電極層10においては、正極活物質として作用する。例えば、第1内部電極層10にのみオリビン型結晶構造をもつ電極活物質が含まれる場合には、当該電極活物質が正極活物質として作用する。第2内部電極層20にもオリビン型結晶構造をもつ電極活物質が含まれる場合に、負極として作用する第2内部電極層20においては、その作用メカニズムは完全には判明してはいないものの、負極活物質との部分的な固溶状態の形成に基づくと推察される、放電容量の増大、ならびに、放電に伴う動作電位の上昇という効果が発揮される。
第1内部電極層10および第2内部電極層20の両方ともオリビン型結晶構造をもつ電極活物質を含有する場合に、それぞれの電極活物質には、好ましくは、互いに同一であっても異なっていてもよい遷移金属が含まれる。「互いに同一であっても異なっていてもよい」ということは、第1内部電極層10および第2内部電極層20が含有する電極活物質が同種の遷移金属を含んでいてもよいし、互いに異なる種類の遷移金属が含まれていてもよい、ということである。第1内部電極層10および第2内部電極層20には一種だけの遷移金属が含まれていてもよいし、二種以上の遷移金属が含まれていてもよい。好ましくは、第1内部電極層10および第2内部電極層20には同種の遷移金属が含まれる。より好ましくは、両電極が含有する電極活物質は化学組成が同一である。第1内部電極層10および第2内部電極層20に同種の遷移金属が含まれていたり、同組成の電極活物質が含まれていたりすることにより、両内部電極層の組成の類似性が高まるので、全固体電池100の端子の取り付けを正負逆にしてしまった場合であっても、用途によっては誤作動せずに実使用に耐えられるという効果を有する。
第2内部電極層20は、負極活物質を含んでいる。一方の電極だけに負極活物質を含有させることによって、当該一方の電極は負極として作用し、他方の電極が正極として作用することが明確になる。なお、両方の電極に負極活物質として公知である物質を含有させてもよい。電極の負極活物質については、二次電池における従来技術を適宜参照することができ、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン複合酸化物、リチウムチタン複合リン酸塩、カーボン、リン酸バナジウムリチウムなどの化合物が挙げられる。
第1内部電極層10および第2内部電極層20の作製においては、これら電極活物質に加えて、イオン電導性を有する固体電解質や、導電性材料(導電助剤)などが添加されている。これらの部材については、バインダと可塑剤を水あるいは有機溶剤に均一分散させることで内部電極用ペーストを得ることができる。導電助剤として、カーボン材料などが含まれていてもよい。導電助剤として、金属が含まれていてもよい。導電助剤の金属としては、Pd、Ni、Cu、Fe、これらを含む合金などが挙げられる。第1内部電極層10および第2内部電極層20に含まれる固体電解質は、例えば、固体電解質層30の主成分固体電解質と同じとすることができる。
図2は、複数の電池単位が積層された積層型の全固体電池100aの部分断面斜視図である。図3は、図2のA-A線断面図である。図4は、図2のB-B線断面図である。全固体電池100aは、略直方体形状を有する積層チップ60を備える。積層チップ60において、積層方向端の上面および下面以外の4面のうちの2面である2側面に接するように、第1外部電極40aおよび第2外部電極40bが設けられている。当該2側面は、隣接する2側面であってもよく、互いに対向する2側面であってもよい。本実施形態においては、互いに対向する2側面(以下、2端面と称する)に接するように第1外部電極40aおよび第2外部電極40bが設けられているものとする。
なお、図2~図4において、X軸方向は、積層チップ60の2端面が対向する方向であり、第1外部電極40aと第2外部電極40bとが対向する対向方向である。Y軸方向は、第1内部電極層10および第2内部電極層20の幅方向であり、積層チップ60の4側面のうち2端面以外の2側面が対向する対向方向である。Z軸方向は、積層方向であり、積層チップ60の上面と下面とが対向する方向である。X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向とは、互いに直交している。
以下の説明において、全固体電池100と同一の組成範囲および同一の厚み範囲を有するものについては、同一符号を付すことで詳細な説明を省略する。
全固体電池100aにおいては、複数の第1内部電極層10と複数の第2内部電極層20とが、固体電解質層30を介して交互に積層されている。複数の第1内部電極層10のX軸方向の端縁は、積層チップ60の第1端面に露出し、第2端面には露出していない。複数の第2内部電極層20のX軸方向の端縁は、積層チップ60の第2端面に露出し、第1端面には露出していない。それにより、第1内部電極層10および第2内部電極層20は、第1外部電極40aと第2外部電極40bとに、交互に導通している。なお、固体電解質層30は、第1外部電極40aから第2外部電極40bにかけて延在している。このように、全固体電池100aは、複数の電池単位が積層された構造を有している。
第1内部電極層10、固体電解質層30および第2内部電極層20の積層体の上面に、カバー層50が積層されている。当該カバー層50は、最上層の内部電極層(第1内部電極層10および第2内部電極層20のいずれか一方)に接するとともに、固体電解質層30の一部に接している。当該積層体の下面にも、カバー層50が積層されている。当該カバー層50は、最下層の内部電極層(第1内部電極層10および第2内部電極層20のいずれか一方)に接するとともに、固体電解質層30の一部に接している。例えば、カバー層50は、粉末材料を焼結させることによって得られる焼結体である。
図3で例示するように、第1外部電極40aに接続された第1内部電極層10と第2外部電極40bに接続された第2内部電極層20とが対向する領域は、電池容量を生じる領域である。そこで、当該領域を、電池容量領域70と称する。すなわち、電池容量領域70は、異なる外部電極に接続された2つの隣接する内部電極層が対向する領域である。
第1外部電極40aに接続された第1内部電極層10同士が、第2外部電極40bに接続された第2内部電極層20を介さずに対向する領域を、第1エンドマージン80aと称する。また、第2外部電極40bに接続された第2内部電極層20同士が、第1外部電極40aに接続された第1内部電極層10を介さずに対向する領域を、第2エンドマージン80bと称する。すなわち、エンドマージンは、同じ外部電極に接続された内部電極層が異なる外部電極に接続された内部電極層を介さずに対向する領域である。第1エンドマージン80aおよび第2エンドマージン80bは、電池容量を生じない領域である。
図4で例示するように、積層チップ60において、積層チップ60の2側面から第1内部電極層10および第2内部電極層20に至るまでの領域をサイドマージン90と称する。すなわち、サイドマージン90は、上記積層体において積層された複数の第1内部電極層10および第2内部電極層20が2側面側に延びた端部を覆うように設けられた領域である。
図5(a)は、サイドマージン90の断面の拡大図である。サイドマージン90は、固体電解質層30と余白層とが、電池容量領域70における第1内部電極層10と第2内部電極層20との積層方向において交互に積層された構造を有する。第1内部電極層10と同じ層内では、第1余白層95aが設けられている。第2内部電極層20と同じ層内では、第2余白層95bが設けられている。この構成によれば、電池容量領域70とサイドマージン90との段差が抑制される。
図5(b)は、第1エンドマージン80aの断面の拡大図である。サイドマージン90との比較において、第1エンドマージン80aでは、積層される複数の内部電極層のうち、1つおきに第1エンドマージン80aの端面まで内部電極層が延在する。すなわち、第1エンドマージン80aでは、第1内部電極層10が端面まで延在し、第2内部電極層20が端面まで延在していない。第2内部電極層20と同じ層内では、第2余白層95bが設けられている。また、第1内部電極層10が第1エンドマージン80aの端面まで延在する層では、第1余白層95aが積層されていない。この構成によれば、電池容量領域70と第1エンドマージン80aとの段差が抑制される。なお、第2エンドマージン80bでは、第2内部電極層20が端面まで延在し、第1内部電極層10が端面まで延在していない。第2エンドマージン80bでは、第1内部電極層10と同じ層内では、第1余白層95aが設けられている。
以下、第1余白層95aについて説明するが、第2余白層95bも第1余白層95aと同様の構成を有している。図6は、第1余白層95aの模式的な断面図である。図6で例示するように、第1余白層95aは、マトリクス材91およびフィラー材92を備える。マトリクス材91は、第1余白層95aにおいて骨格を形成している。この骨格によって複数の隙間が形成される。フィラー材92は、この隙間に配置されている。したがって、マトリクス材91が空間的に連続して形成している骨格において、複数のフィラー材92が空間的に分散して配置されている。フィラー材92は、マトリクス材91とは異なる組成を有し、マトリクス材91よりも水分に対して安定している性質を有している。
ここで、マトリクス材91よりも水分に対して安定しているとは、湿中試験において単位体積当たりの水分吸着量が、マトリクス材91よりもフィラー材92の方が少ない状態であると定義することができる。
マトリクス材91が形成する骨格に、水分に対して安定しているフィラー材92を分散して配置することで、第1余白層95aの耐湿性を向上させることができる。例えば、図7(a)で例示するように、フィラー材92が設けられていないと、外部から一定確率で水分が侵入し、電池容量領域70まで到達するおそれがある。これに対して、水分に対して安定しているフィラー材92を分散して配置することで、図7(b)で例示するように、水分の侵入経路が延長され、電池容量領域70まで水分が到達しにくくなる。これにより、第1余白層95aの耐湿性を向上させることができるのである。
例えば、マトリクス材91は、全固体電池100を焼成する際に、ネッキングを生じて骨格を形成しやすい材料であることが好ましい。例えば、マトリクス材91として、ガラス材料、酸化物系固体電解質材料などを用いることができる。第1余白層95aの密着性の観点から、マトリクス材91は、固体電解質層30の主成分の酸化物系固体電解質、第1内部電極層10に含まれる酸化物系固体電解質、第2内部電極層20に含まれる酸化物系固体電解質と共通の構造を有していることが好ましい。例えば、マトリクス材91は、NASICON型結晶構造を有していることが好ましい。また、マトリクス材91は、固体電解質層30の主成分の酸化物系固体電解質と同じ組成を有していることが好ましい。また、マトリクス材91は、第1内部電極層10に含まれる固体電解質と同じ組成を有していることが好ましい。また、マトリクス材91は、第2内部電極層20に含まれる固体電解質と同じ組成を有していることが好ましい。マトリクス材91として、例えば、Li-Al-Ge-PO系材料(LAGP)、Li-Al-Zr-PO、Li-Al-Ti-POなどを用いることができる。
または、マトリクス材91は、絶縁性を有するガラス材料であることが好ましい。例えば、マトリクス材91として、Zn-Si-B-O系ガラス、Li-Al-Ge-PO系ガラス、Li-Si-B-O系ガラスなどを用いることが好ましい。
フィラー材92は、全固体電池100を焼成する際にマトリクス材91よりもネッキングを生じにくい材料であることが好ましい。例えば、フィラー材92として、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニアなどを用いることが好ましい。
第1余白層95aに十分な絶縁性を持たせる観点から、フィラー材92は十分な絶縁性を有していることが好ましい。例えば、フィラー材92の電子伝導性およびイオン伝導性を含む導電率は、10-8S/cm以下であることが好ましく、10-12S/cm以下であることがより好ましく、10-14S/cm以下であることがさらに好ましい。
第1余白層95aにおいて、フィラー材92の比率が小さいと、第1余白層95aに十分な耐湿性が得られないおそれがある。そこで、第1余白層95aにおいて、フィラー材92の比率に下限を設けることが好ましい。例えば、マトリクス材91およびフィラー材92の合計体積に対して、フィラー材92の体積比率は、5vol%以上であることが好ましく、10vol%以上であることがより好ましく、20vol%以上であることがさらに好ましい。なお、体積比率については、全固体電池100の断面をFIB加工したのちSEM観察し、FIB加工、SEM観察を繰り返すことで全固体電池100の第1余白層95a全体の断面像を入手したのち、これらを画像処理して立体構造を構築する。マトリクス材91とフィラー材92とはSEM画像におけるコントラスト比が明確に生じるため、明暗にてフィラー材92の体積比率を算出することができる。
一方、第1余白層95aにおいて、フィラー材92の比率が大きいと、第1余白層95aに十分な緻密性が得られないおそれがある。そこで、第1余白層95aにおいて、フィラー材92の比率に上限を設けることが好ましい。例えば、マトリクス材91およびフィラー材92の合計体積に対して、フィラー材92の体積比率は、80vol%以下であることが好ましく、70vol%以下であることがより好ましく、60vol%以下であることがさらに好ましい。
第1余白層95aに、等方的な不定形フィラー材を用いた場合、またはフィラー材を用いなかった場合には、第1余白層95aの焼成時に等方的に収縮し、第1内部電極層10との間に収縮ミスマッチが生じ、クラックやデラミネーションを生じさせるおそれがある。そこで、フィラー材92は、板状、棒状など、長さ方向を有する形状を有していることが好ましい。
図8(a)は、積層方向に沿った断面における、板状または棒状のフィラー材92の形状を例示する図である。図8(a)で例示するように、フィラー材92の最大長さを、長さLとする。最大長さに垂直な方向における最大厚みを、厚みTとする。L/Tをアスペクト比と定義すると、アスペクト比は、3以上1000以下であることが好ましく、4以上800以下であることがより好ましく、5以上500以下であることがさらに好ましい。
観察された断面において、少なくとも1つのフィラー材92が板状または棒状の形状を有していることが好ましい。例えば、観察された断面において、半数以上のフィラー材92が板状または棒状の形状を有していることが好ましい。
なお、図8(b)の左図で例示するように、第1内部電極層10および第2内部電極層20は、電極活物質11に加えて、板状または棒状の導電助剤12を含んでいることがある。例えば、第1内部電極層10および第2内部電極層20は、板状のグラファイトや棒状のカーボンナノチューブを含んでいることがある。この場合において、第1余白層95aに等方的な不定形フィラー材92を用いた場合、またはフィラー材92を用いなかった場合に、第1余白層95aと第1内部電極層10との間の収縮ミスマッチが顕著となる。したがって、第1内部電極層10および第2内部電極層20が板状または棒状の導電助剤12を含む場合に、図8(b)の右図で例示するように、第1余白層95aに板状または棒状のフィラー材92が含まれていることが好ましい。なお、第1内部電極層10および第2内部電極層20における板状または棒状の導電助剤は、図8(a)で例示したアスペクト比が、3以上20000以下、4以上10000以下、5以上5000以下、などである。
続いて、図2で例示した全固体電池100aの製造方法について説明する。図9は、全固体電池100aの製造方法のフローを例示する図である。
(固体電解質層用の原料粉末作製工程)
まず、上述の固体電解質層30を構成する固体電解質層用の原料粉末を作製する。例えば、原料、添加物などを混合し、固相合成法などを用いることで、酸化物系固体電解質の原料粉末を作製することができる。得られた原料粉末を乾式粉砕することで、所望の平均粒径に調整することができる。例えば、5mmφのZrOボールを用いた遊星ボールミルで、所望の平均粒径に調整する。
(カバー層用の原料粉末作製工程)
上述のカバー層50を構成するセラミックスの原料粉末を作製する。例えば、原料、添加物などを混合し、固相合成法などを用いることで、カバー層用の原料粉末を作製することができる。得られた原料粉末を乾式粉砕することで、所望の平均粒径に調整することができる。例えば、5mmφのZrOボールを用いた遊星ボールミルで、所望の平均粒径に調整する。
(余白層用の原料粉末作製工程)
上述の第1余白層95aおよび第2余白層95bを構成するマトリクス材91およびフィラー材92の原料粉末を作製する。マトリクス材91として、フィラー材92よりもネッキングが生じやすい材料を用いる。例えば、原料、添加物などを混合し、固相合成法などを用いることで、余白層用の原料粉末を作製することができる。得られた原料粉末を乾式粉砕することで、所望の平均粒径に調整することができる。例えば、5mmφのZrOボールを用いた遊星ボールミルで、所望の平均粒径に調整する。
(電極層用ペースト作製工程)
次に、上述の第1内部電極層10および第2内部電極層20の作製用の内部電極用ペーストを個別に作製する。例えば、導電助剤、電極活物質、固体電解質材料、焼結助剤、バインダ、可塑剤などを水あるいは有機溶剤に均一分散させることで内部電極用ペーストを得ることができる。固体電解質材料として、上述した固体電解質ペーストを用いてもよい。導電助剤として、カーボン材料などを用いる。導電助剤として、金属を用いてもよい。導電助剤の金属としては、Pd、Ni、Cu、Fe、これらを含む合金などが挙げられる。Pd、Ni、Cu、Fe、これらを含む合金や各種カーボン材料などをさらに用いてもよい。
内部電極用ペーストの焼結助剤として、例えば、Li-B-O系化合物、Li-Si-O系化合物、Li-C-O系化合物、Li-S-O系化合物,Li-P-O系化合物などのガラス成分のどれか1つあるいは複数などのガラス成分が含まれている。
(外部電極用ペースト作製工程)
次に、上述の第1外部電極40aおよび第2外部電極40bの作製用の外部電極用ペーストを作製する。例えば、導電性材料、ガラスフリット、バインダ、可塑剤などを水あるいは有機溶剤に均一分散させることで外部電極用ペーストを得ることができる。
(固体電解質グリーンシート作製工程)
固体電解質層用の原料粉末を、結着材、分散剤、可塑剤などとともに、水性溶媒あるいは有機溶媒に均一に分散させて、湿式粉砕を行うことで、所望の平均粒径を有する固体電解質スラリを得る。このとき、ビーズミル、湿式ジェットミル、各種混練機、高圧ホモジナイザーなどを用いることができ、粒度分布の調整と分散とを同時に行うことができる観点からビーズミルを用いることが好ましい。得られた固体電解質スラリにバインダを添加して固体電解質ペーストを得る。得られた固体電解質ペーストを塗工することで、固体電解質グリーンシート51を作製することができる。塗工方法は、特に限定されるものではなく、スロットダイ方式、リバースコート方式、グラビアコート方式、バーコート方式、ドクターブレード方式などを用いることができる。湿式粉砕後の粒度分布は、例えば、レーザ回折散乱法を用いたレーザ回折測定装置を用いて測定することができる。
(積層工程)
図10(a)で例示するように、固体電解質グリーンシート51の一面に、内部電極用ペースト52を印刷する。固体電解質グリーンシート51上で内部電極用ペースト52が印刷されていない周辺領域には、余白層用ペースト53を印刷する。余白層用ペースト53は、固体電解質グリーンシート作製工程と同様の手法で余白層用の原料粉末を塗工することで形成することができる。印刷後の複数の固体電解質グリーンシート51を、交互にずらして積層する。図10(b)で例示するように、積層方向の上下から、カバーシート54を圧着することで、積層体を得る。この場合、当該積層体において、一方の端面に第1内部電極層10用の内部電極用ペースト52が露出し、他方の端面に第2内部電極層20用の内部電極用ペースト52が露出するように、略直方体形状のグリーンチップを得る。カバーシート54は、固体電解質グリーンシート作製工程と同様の手法でカバー層用の原料粉末を塗工することで形成することができる。カバーシート54は、固体電解質グリーンシート51よりも厚く形成しておく。塗工時に厚くしてもよく、塗工したシートを複数枚重ねることで厚くしてもよい。
(焼成工程)
次に、得られたグリーンチップを焼成することによって積層チップ60を得る。焼成の条件は酸化性雰囲気下あるいは非酸化性雰囲気下で、最高温度を好ましくは400℃~1000℃、より好ましくは500℃~900℃などとすることが特に限定なく挙げられる。最高温度に達するまでにバインダを十分に除去するために酸化性雰囲気において最高温度より低い温度で保持する工程を設けてもよい。プロセスコストを低減するためにはできるだけ低温で焼成することが望ましい。焼成後に、再酸化処理を施してもよい。その後、積層チップ60の2端面に外部電極用ペーストを塗布形成・硬化することで第1外部電極40aおよび第2外部電極40bを形成することで、全固体電池100aが生成される。
本実施形態に係る製造方法によれば、マトリクス材91にネッキングが生じやすい材料を用いるため、マトリクス材91のネッキングによって骨格が形成される。マトリクス材91よりもネッキングが生じにくいフィラー材92は、当該骨格の隙間に分散して配置されるようになる。フィラー材92は、マトリクス材91よりも水分に対して安定しているため、第1余白層95aおよび第2余白層95bの耐湿性が向上する。
(実施例1)
上記実施形態に係る製造方法に従って積層型の全固体電池を作製した。第1固体電解質グリーンシート上に、第1内部電極層(正極層)用の第1内部電極用ペーストをスクリーン印刷法により塗布形成した。第1固体電解質グリーンシート上において、第1内部電極用ペーストの周囲に、第1余白層用の余白層用ペーストを印刷した。第2固体電解質グリーンシート上に、第2内部電極層(負極層)用の第2内部電極用ペーストをスクリーン印刷法により塗布形成した。第2固体電解質グリーンシート上において、第2内部電極用ペーストの周囲に、第2余白層用の余白層用ペーストを印刷した。余白層用ペーストには、D50%粒径が0.8μmの固体電解質材料Li-Al-Ge-P-O系ガラス(以下、LAGP)をマトリクス材とし、D50%粒径が2μmのアルミナをフィラー材として、体積比率でマトリクス材:フィラー材=80:20の割合で混合した。正極層用の第1内部電極用ペーストと、負極層用の第2内部電極用ペーストとが同じ厚みになるようにした。複数の第1固体電解質グリーンシートと、複数の第2固体電解質グリーンシートとを、正極層と負極層とが交互に左右に引き出されるように積層した。所定のサイズにカットし、積層型全固体電池のグリーンチップを得た。グリーンチップを脱脂・焼成することで焼結し、外部電極用ペーストを塗布形成・硬化することで外部電極形成し、積層型全固体電池を得た。なお、D50%粒径は、断面における最大長さを径として測定した場合の平均径とした。
(実施例2)
実施例2では、余白層用ペーストにおいて、D50%粒径が3μmのZn―Si―B―O系ガラスをマトリクス材とし、D50%粒径が2μmのアルミナをフィラー材として、体積比率でマトリクス材:フィラー材=60:40の割合で混合した。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(実施例3)
実施例3では、余白層用ペーストにおいて、D50%粒径が0.8μmのLAGP系ガラスをマトリクス材とし、D50%粒径が2μmのアルミナをフィラー材として、体積比率でマトリクス材:フィラー材=30:70の割合で混合した。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(実施例4)
実施例4では、余白層用ペーストにおいて、D50%粒径が3μmのZn―Si―B―O系ガラスをマトリクス材とし、D50%粒径が2μmのアルミナをフィラー材として、体積比率でマトリクス材:フィラー材=90:10の割合で混合した。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(実施例5)
実施例5では、第1内部電極層用の内部電極用ペーストおよび第2内部電極層用の内部電極用ペーストに、導電助剤として板状のグラファイトを添加した。余白層用ペーストにおいて、D50%粒径が0.8μmのLAGP系ガラスをマトリクス材とし、板状のアルミナをフィラー材として、体積比率でマトリクス材:フィラー材=90:10の割合で混合した。その他の条件は、実施例1と同様とした。断面において観察されたフィラー材の半数以上は、アスペクト比は、3以上であった。
(比較例1)
比較例1では、余白層用ペーストにおいて、D50%粒径が0.8μmのLAGP系ガラスをマトリクス材とし、フィラー材を含有させなかった。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(比較例2)
比較例2では、余白層用ペーストにおいて、D50%粒径が2μmのアルミナをフィラー材とし、マトリクス材を含有させなかった。
(耐湿性)
実施例1~5および比較例1,2の全固体電池において、耐湿性が得られているか否かを調べた。具体的には、湿中試験を行ない、電池性能が劣化しなければ耐湿性が合格「〇」と判定し、電池性能が劣化する程度となっていれば耐湿性がやや良好「△」と判定し、素子崩壊となっていれば耐湿性が不合格「×」と判定した。
(緻密性)
実施例1~5および比較例1,2の全固体電池において、余白層が緻密であるか否かを調べた。具体的には、断面のSEM観察を行ない、空隙率が15%未満となっていれば余白層の緻密性が合格「〇」と判定し、空隙率が15%以上30%未満となっていれば余白層の緻密性がやや良好「△」であると判定し、空隙率が30%以上となっていれば余白層の緻密性が不合格「×」と判定した。
(クラック)
実施例1~5および比較例1,2の全固体電池において、クラックの発生率を調べた。具体的には、焼成後の全固体電池の側面を光学顕微鏡で観察し、素子20個あたりのクラックの発生数をクラック率として定義した。クラックの発生率が5%未満となっていれば非常に良好「◎」と判定し、クラックの発生率が5%以上20%未満となっていれば良好「〇」と判定し、クラックの発生率が20%以上となっていれば不良「×」と判定した。
結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1~5では、いずれも、耐湿性がやや良好「△」または合格「〇」と判定された。これは、余白層において、マトリクス材の骨格を形成し、骨格の隙間にマトリクス材よりも水分に対して安定なフィラー材を分散させたからであると考えられる。一方、比較例1では、耐湿性が不合格「×」と判定された。これは、フィラー材を余白層に添加しなかったからであると考えられる。比較例2でも、耐湿性が不合格「×」と判定された。これは、マトリクス材を用いなかったことで余白層に緻密性が得られなかったからであると考えられる。
なお、実施例3よりも実施例1の方が、耐湿性が良好となった。これは、実施例1ではフィラー材の体積比率が多過ぎなかったからであると考えられる。実施例4よりも実施例2の方が、耐湿性が良好となった。これは、実施例2ではフィラー材が十分に添加されたからであると考えられる。なお、実施例5では、クラック試験の結果が非常に良好「◎」となった。これは、板状のフィラー材を用いたことで、電極層と余白層との収縮ミスマッチが抑制されたからであると考えられる。
Figure 2023165328000002
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 第1内部電極層
20 第2内部電極層
30 固体電解質層
40a 第1外部電極
40b 第2外部電極
50 カバー層
51 固体電解質グリーンシート
52 内部電極用ペースト
53 余白層用ペースト
54 カバーシート
60 積層チップ
70 電池容量領域
80a 第1エンドマージン
80b 第2エンドマージン
90 サイドマージン
91 マトリクス材
92 フィラー材
95a 第1余白層
95b 第2余白層
100,100a 全固体電池

Claims (10)

  1. 酸化物系固体電解質層と、
    前記酸化物系固体電解質層の第1主面上に設けられ、電極活物質および固体電解質を含む第1電極層と、
    前記第1主面上において前記第1電極層の周囲に設けられた第1余白層と、
    前記酸化物系固体電解質層の第2主面上に設けられ、電極活物質および固体電解質を含む第2電極層と、
    前記第2主面上において前記第2電極層の周囲に設けられた第2余白層と、を備え、
    前記第1余白層および前記第2余白層は、マトリクス材と、前記マトリクス材内に分散して配置され、前記マトリクス材よりも水分に対して安定なフィラー材とを含む、全固体電池。
  2. 前記フィラー材は、アルミナまたはシリカである、請求項1に記載の全固体電池。
  3. 前記マトリクス材は、酸化物系固体電解質またはガラス材料である、請求項1または請求項2に記載の全固体電池。
  4. 前記第1余白層および前記第2余白層において、前記マトリクス材と前記フィラー材との体積比率は、95:5から20:80である、請求項1または請求項2に記載の全固体電池。
  5. 積層方向に断面において、前記フィラー材の少なくともいずれかは、最大長さを最大厚みで除した場合のアスペクト比が3以上である、請求項1または請求項2に記載の全固体電池。
  6. 前記断面において、半数以上の前記フィラー材の前記アスペクト比が3以上である、請求項5に記載の全固体電池。
  7. 前記フィラー材の電子伝導性およびイオン伝導性を含む導電率は、10-8S/cm以下である、請求項1または請求項2に記載の全固体電池。
  8. 前記マトリクス材は、NASICON型結晶構造を有する酸化物系固体電解質であるガラス材料である、請求項1または請求項2に記載の全固体電池。
  9. 前記カバー層は、前記酸化物系固体電解質層の主成分と同じ組成を有するガラス材料を含む、請求項1または請求項2に記載の全固体電池。
  10. 酸化物系固体電解質の粉末を含む固体電解質グリーンシート上に、電極活物質の粉末および固体電解質の粉末を含む第1パターンを配置する第1工程と、
    前記グリーンシート上の前記第1パターンの周辺領域に、マトリクス材の粉末、前記マトリクス材よりも水分に対して安定なフィラー材の粉末を含む第2パターンを配置する第2工程と、
    前記第2工程によって得られた積層単位を、前記第1パターンの配置位置が交互にずれるように複数積層することによって、積層体を得る第3工程と、
    前記積層体を焼成することによって、前記マトリクス材にネッキングを生じさせ、得られる骨格内に分散して前記フィラー材を配置する第4工程と、を含む、全固体電池の製造方法。
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