JP2023150721A - ポリイミドフィルム - Google Patents

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Mai Uchiyama
孔一 澤崎
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Abstract

【課題】新規なポリイミドフィルムを提供する。【解決手段】吸水量が2.2質量%以下のポリイミドフィルムであって、グラファイトシート用のポリイミドフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム等に関する。
近年、パソコン、携帯電話などの電子機器の高性能化に伴い、電子機器内の発熱量が著しく上昇し、そのため電子機器内の放熱を効率良く行うことが重要な課題となっている。
放熱方法としては、熱放射を利用する方法(例えば、セラミック板などの使用)、熱の対流を利用する方法(例えば、空冷フィンなどの使用)、熱伝導を利用する方法(例えば、熱伝導シート、熱伝導性樹脂などの使用)等がある。
熱伝導を利用する方法では、例えば、発熱源となる固体と放熱部材となる固体が積層される。しかし、固体同士(例えば、金属同士、金属とセラミックなど)を単に積層しても、その表面の凹凸のために層間に空気が存在し、発熱源から放熱部材へ熱を効率よく伝達することができない。そこで、熱伝導シートや熱伝導性樹脂層を固体間に介在させることによって、発熱源から放熱部材への効率良い熱伝導が実現できると考えられている。
このような熱伝導シートとして、ポリイミドフィルム由来のグラファイトシートが使用されている。このようなグラファイトシートは、例えば、ポリイミドフィルムを熱処理(焼成)してグラファイト化することによって得られる(特許文献1及び2等)。
特開平3-75211号公報 特開平4-21508号公報
本発明の目的は、新規なポリイミドフィルム等を提供することにある。
前記のように、グラファイトシートの原料としてポリイミドフィルムが使用されているが、本発明者の検討によれば、ポリイミドフィルムに含まれる水(吸水)がグラファイトシートの品質ないし性能に影響を与えうること、特にこのような傾向はポリイミドフィルムとして、ロール状のもの(ロール状に巻いたポリイミドフィルム)において顕著であることがわかった。
このような中、本発明者は、ポリイミドフィルムに含まれる水の量(吸水率)を所定の範囲とすることで、効率よくグラファイトシート[例えば、厚みムラが少ないグラファイトシート、フクレやシワが少ない(特に無い)グラファイトシート等]を製造しうること、さらには、ロール状のポリイミドフィルムを用いてもこのような効率よい製造を実現しうること等を見出し、さらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
吸水量が2.2質量%以下のポリイミドフィルムであって、グラファイトシート用のポリイミドフィルム。
[2]
吸水量が1.8質量%以下である、[1]記載のポリイミドフィルム。
[3]
ポリイミドを構成する重合成分が、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物を含む酸無水物成分とを少なくとも含む、[1]又は[2]記載のポリイミドフィルム。
[4]
無機粒子を含有し、無機粒子の最大分散径が15μm以下(例えば、12μm以下、10μm以下)である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[5]
厚みが25~100μmである、[1]~[4]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[6]
ロール状(フィルム)である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[7]
長さ5m以上のロール状(フィルム)である、[1]~[6]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[8]
吸水量が0.5質量%以上である、[1]~[7]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[9]
湿度70RH%以下の空間でポリイミドフィルムを24時間以上放置(調湿、保管)する工程を含む、グラファイトシート用のポリイミドフィルム(例えば、[1]~[8]のいずれかに記載のポリイミドフィルム)の製造方法。
[10]
吸水率が2.2質量%以下のポリイミドフィルム(例えば、[1]~[8]のいずれかに記載のポリイミドフィルム)を熱処理する工程を含む、グラファイトシートの製造方法。
[11]
グラファイトシートの厚みが、(シートの全領域において)ポリイミドフィルムの厚み(平均厚み)に対して1.5倍以下にある、[9]又は[10]記載の製造方法。
[12]
グラファイトシートの厚みが、平均厚みに対して0.95~1.05倍の範囲内にある[9]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13]
グラファイトシートがロール状であり、最大厚みG1と最小厚みG2との比(G1/G2)が1.1以下、及び/又は最大厚みG2と最小厚みG1との差(G1-G2)が10μm以下である、[9]~[12]のいずれかに記載の方法。
[13]
ロール状のグラファイトシートであって、下記(1)~(3)の少なくとも1つを充足する、グラファイトシート。
(1)グラファイトシートの厚みが、平均厚みに対して0.95~1.05倍の範囲内にある
(2)最大厚みG1と最小厚みG2との比(G1/G2)が1.1以下、
(3)最大厚みG2と最小厚みG1との差(G1-G2)が10μm以下
本発明によれば、新規なポリイミドフィルムを提供できる。
このようなフィルムは、特に、グラファイトシート用(グラファイトシート製造用)のフィルムとして有用である。
例えば、本発明のフィルムによれば、効率よくグラファイトシート[例えば、厚みムラが少ないグラファイトシート、フクレ、シワ、波うち等が少ないグラファイトシート(平坦なグラファイトシート)等]を製造しうる。
しかも、このようなフィルムとして、ロール状のものを使用することもできる。
そのため、本発明によれば、長尺・大面積といったグラファイトシートを効率よく製造することも可能である。
ロール状のポリイミドフィルムを高温(例えば、2000℃以上)で熱処理すると、フィルム同士の融着や熱分解によるフィルムの収縮等が影響してか、グラファイトシートに大きな厚みムラ、フクレや皺(さらには波うち)といった問題が生じやすいようであるが、本発明によれば、ロール状のポリイミドフィルムを原料としても、このような問題の少ない(特に無い)グラファイトシートを効率よく製造することもでき、極めて有用である。
<ポリイミドフィルム>
[ポリイミド]
ポリイミドフィルムは、ポリイミドで構成されている。このようなポリイミドは、ジアミン成分と酸無水物成分とを重合成分とする。
特に、重合成分は、通常、芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分を主成分(それぞれ、ジアミン成分、酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)の主成分)とする。
芳香族ジアミン成分としては、例えば、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ベンジジン、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルプロパン(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパンなど)、ジアミノジフェニルメタン(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタンなど)、ジアミノジフェニルサルファイド(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルサルファイド、3,4'-ジアミノジフェニルサルファイド、3,3'-ジアミノジフェニルサルファイドなど)、ジアミノジフェニルスルホン(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホンなど)、2,6-ジアミノピリジン、ビス-(4-アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3'-ジクロロベンジジン、ビス-(4-アミノフェニル)エチルホスフィノキサイド、ビス-(4-アミノフェニル)フェニルホスフィノキサイド、ビス-(4-アミノフェニル)-N-フェニルアミン、ビス-(4-アミノフェニル)-N-メチルアミン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,4'-ジメチル-3',4-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、2,4-ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス-(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、N-(3-アミノフェニル)-4-アミノベンズアミド、4-アミノフェニル-3-アミノベンゾエート、等が挙げられる。
芳香族ジアミン成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
芳香族ジアミン成分は、代表的には、パラフェニレンジアミン及び/又は4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを少なくとも含んでいてもよい[特に、主成分(重合成分の主成分、芳香族ジアミン成分の主成分)として含んでいてもよい(例えば、芳香族ジアミン成分のうち50モル%以上の割合で含んでいてもよい)]。
芳香族ジアミン成分がパラフェニレンジアミン及び/又は4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む場合、芳香族ジアミン成分(さらにはジアミン成分)全体におけるパラフェニレンジアミン及び/又は4,4’-ジアミノジフェニルエーテルの割合は、例えば、10モル%以上(例えば、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、40モル%以上等)程度の範囲から選択してもよく、特に、50モル%以上(例えば、55モル%以上、60モル%以上、65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、100モル%等)であってもよい。
なお、ジアミン成分は、芳香族ジアミン成分のみであってもよく、芳香族ジアミン成分を主成分として含む限り、芳香族ジアミン成分以外のジアミン成分(他のジアミン成分)を含んでいてもよい。ジアミン成分に占める芳香族ジアミン成分の割合は、50モル%以上(例えば、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、100モル%等)であってもよい。
芳香族酸無水物成分(酸無水物成分)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(例えば、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-デカヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,5,6-ヘキサヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロ-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロ-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロ-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物)、1,8,9,10-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
芳香族酸無水物成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
芳香族酸無水物成分は、代表的には、ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を少なくとも含んでいてもよい[特に、主成分(重合成分の主成分、芳香族酸無水物成分の主成分)として含んでいてもよい(例えば、芳香族酸無水物成分のうち50モル%以上の割合で含んでいてもよい)]。
芳香族酸無水物成分がピロメリット酸二無水物及び/又は3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む場合、芳香族酸無水物成分(さらには酸無水物成分)全体におけるピロメリット酸二無水物及び/又は3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の割合は、例えば、10モル%以上(例えば、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、40モル%以上等)程度の範囲から選択してもよく、特に、50モル%以上(例えば、55モル%以上、60モル%以上、65モル%以上、70モル%以上、75モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、100モル%等)であってもよい。
なお、酸無水物成分は、芳香族酸無水物成分のみであってもよく、芳香族酸無水物成分を主成分として含む限り、芳香族酸無水物成分以外の酸無水物成分(他の酸無水物成分)を含んでいてもよい。酸無水物成分に占める芳香族酸無水物成分の割合は、50モル%以上(例えば、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、100モル%等)であってもよい。
[無機粒子]
ポリイミドフィルムは、通常、無機粒子を含んでいてもよい。この場合、無機粒子は、通常、ポリイミドフィルム中に分散されている(分散した形態にて含まれる)。
無機粒子としては、例えば、酸化物{例えば、SiO(シリカ)、TiO(酸化チタン(IV))等}、無機酸塩{例えば、CaHPO(リン酸水素カルシウム)、CaPO(リン酸カルシウム)、Ca(二りん酸カルシウム)等のリン酸(水素)塩、CaCO(炭酸カルシウム)等の炭酸塩}等が挙げられる。中でもリン酸を含むCaHPOを用いた場合、ポリイミドフィルム内部から昇華するときに発生するガスにより良好な発泡(膨れ)が生じ、熱伝導性等に優れた良好なグラファイトシートが得られるため、CaHPOを主成分(全無機粒子のうち、例えば、50~100質量%、好ましくは70~100質量%含む)とすることが特に好ましい。
無機粒子(分散に供する無機粒子)の平均粒子径は、例えば、0.3~3.5μm(例えば、0.5~3μm)、好ましくは0.5~2.5μm(例えば、0.5~2.2μm)程度であってもよく、0.5~2.0μm(例えば、0.5~1.9μm)、1~3.5μm(例えば、1.5~3.0μm、2.0~2.5μm)等であってもよい。
このような粒子径であると、後述の吸水量等との組み合わせにおいて、より一層、良好なグラファイトシートを効率よく得やすい。
また、このような粒子径であると、ポリイミドフィルム中の無機粒子の凝集を低減でき、ポリイミドフィルム焼成時の無機粒子の昇華ガスによる発泡が均一になる等の点においても好ましい。
より具体的には、適度に大きい粒子径であるとポリイミドフィルムの易滑性やグラファイトシートの柔軟性、破断強度等の特性が良好となる等の観点から、好ましい。その他、大きすぎない適度な粒子径であるとポリイミドフィルム中の無機粒子の凝集を抑制でき、これが結果的に焼成時の無機粒子の昇華ガスによる部分的な過度の発泡を抑制でき、また、グラファイトシート上の表面突起欠陥を低減できる等の観点から好ましい。
無機粒子(分散に供する無機粒子)の粒度分布については、狭い分布であること、つまり類似の大きさの無機粒子が全無機粒子に占める割合が高い方が良い。具体的には、特定の粒子径(例えば、0.5~2.5μm、1~3.5μm等)の無機粒子が全無機粒子中80体積%以上(例えば、80~100体積%)の割合を占めることが好ましい。
このような粒度分布であると、後述の吸水量等との組み合わせにおいて、より一層、良好なグラファイトシートを効率よく得やすい。
また、このような粒度分布であれば、フィルムの易滑性やグラファイトシートの柔軟性、破断強度等の特性が良好となる等の観点からも好ましい。
なお、無機粒子(分散に供する無機粒子)の粒子径(平均粒子径)は、体積径(体積平均径)であってもよい。また、無機粒子の粒子径(粒度分布)の測定方法は特に限定されず、例えば、後述の実施例に記載の方法を用いてもよい。
ポリイミドフィルムにおいて、無機粒子の割合(添加量)は、ポリイミド(ポリイミド樹脂の固形分)100質量部に対して、例えば、0.03質量部以上(例えば、0.04質量部以上)、好ましくは0.05質量部以上等であってもよい。
無機粒子の割合(添加量)の上限値は、ポリイミド(ポリイミド樹脂の固形分)100質量部に対して、例えば、1質量部以下(例えば、0.9質量部以下)、好ましくは0.8質量部以下(例えば、0.7質量部以下)、より好ましくは0.6質量部以下(例えば、0.58質量部以下、0.55質量部以下、0.52質量部以下、0.4質量部以下、0.3質量部以下、0.2質量部以下)等であってもよい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、0.05~1質量部など)を設定してもよい(他も同じ)。
代表的には、ポリイミドフィルムにおいて、無機粒子の割合(添加量)は、ポリイミド(ポリイミド樹脂の固形分)100質量部に対して、0.03~0.8質量部、0.04~0.8質量部、0.05~0.8質量部、0.05~0.52質量部、0.05~0.3質量部、0.1~0.2質量部等であってもよい。
このような割合であると、後述の吸水量等との組み合わせにおいて、より一層、良好なグラファイトシートを効率よく得やすい。
また、無機粒子を十分な割合にて含有させることで、ポリイミドフィルム中の無機粒子がフィルム内部から昇華するときに発生するガスが多くなり、また、圧延処理を加えて得られたグラファイトシートが、柔軟性、破断強度等の特性に優れる等の観点から、好ましい。
さらに、無機粒子を多すぎない適量にて含有させることで、ポリイミドフィルム中の無機粒子の凝集を抑制しやすいため、ポリイミドフィルム焼成時の無機粒子の昇華ガスによる部分的な過度の発泡を抑制でき、また、グラファイトシート上の表面突起欠陥を低減できる等の観点から好ましい。
ポリイミドフィルム(無機粒子を含むポリイミドフィルム)において、無機粒子の最大分散径(最大分散粒子径)は、比較的小さくてもよい。例えば、ポリイミドフィルム中の無機粒子の最大分散径(最大分散粒子径)は、例えば、15μm以下(例えば、1~15μm、3~15μm)、好ましくは13μm以下(例えば、1~13μm、3~12μm)、さらに好ましくは11μm以下(例えば、1~11μm、3~11μm)程度であってもよく、10μm以下(例えば、2~10μm、5~10μm)等であってもよい。
このような最大分散径であると、吸水量等との組み合わせにおいて、より一層、良好なグラファイトシートを効率よく得やすい。
また、このように大きすぎない分散径とすることで、無機粒子の昇華ガスによる部分的な過度の発泡(膨れ)を生じることなく、グラファイト化時のポリイミドフィルムの膨れが良好であり、グラファイト化されたシートの表面突起欠陥が少なく外観が優れる等の観点から好ましい。
なお、無機粒子の分散径とは、ポリイミドフィルムにおける、分散された無機粒子の粒子径のことであり、一次粒子径のみならず、二次粒子径(凝集粒子の粒子径)を含む。すなわち、無機粒子の最大分散径とは、ポリイミドフィルムにおける無機粒子の最大粒子径のことをいう。
なお、無機粒子の分散径の測定方法は、特に限定されず、後述の実施例に記載の方法を使用してもよい。
ポリイミドフィルムの厚み(例えば、平均厚み)は、用途などに応じて適宜選択できるが、例えば、10μm以上(例えば、20μm以上)であり、好ましくは25μm以上(例えば、30μm以上、40μm以上、50μm以上)であってもよい。
ポリイミドフィルムの厚みの上限は、特に限定されないが、例えば、200μm以下、180μm以下、150μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下などであってもよい。
ポリイミドフィルムの厚さ(厚み)は、代表的には、10~150μm、25~100μm、30~95μm、40μm~90μm、50μm~85μm、60μm~80μm等であってもよい。
このような厚みであると、吸水量等との組み合わせにおいて、より一層、良好なグラファイトシートを効率よく得やすい。
十分な厚みのポリイミドフィルムを用いることで、ポリイミドフィルム焼成後に柔軟なグラファイトシートが得られる等の観点から好ましい。また厚みの大きすぎないポリイミドフィルムを用いることで、ガス透過性が高い為、グラファイトシートに良質な発泡が発生し、更にグラファイト化されたシート上の表面突起欠陥も少なく、外観に優れる等の観点から好ましい。
ポリイミドフィルムは、比較的大きいサイズを有していてもよい。このようなポリイミドフィルムの長さは、例えば、1m以上(例えば、5m以上)、10m以上(例えば、20m以上)であり、好ましくは30m以上(例えば、40m以上)、さらに好ましくは50m以上(例えば、100m以上)であってもよく、200m以上、300m以上、500m以上、1000m以上、2000m以上、3000m以上、5000m以上などであってもよい。
ポリイミドフィルムの幅は、特に限定されないが、例えば、30mm以上(例えば、45mm以上、50mm以上、75mm以上、100mm以上)、好ましくは150mm以上(例えば、155mm以上)、さらに好ましくは200mm以上(例えば、250mm以上)であってもよく、500mm以上、1000mm以上、1500mm以上、2000mm以上などであってもよい。
具体的なポリイミドフィルムの幅としては、例えば、50~1000mm、75~500mm、100~300mm等が挙げられる。
ポリイミドフィルムは、積層された状態であってもよく、特に、巻き取られた状態[ロール状(ロール)、例えば、前記のような比較的大きいサイズ(長さ)で巻き取られたロール状]であってもよい。
ロール状とは、ポリイミドフィルムが内芯等に巻かれている状態のことであり、内芯形状に制限はないが、一般的には円柱状である。
内芯の素材としては、ポリイミドフィルムの用途に応じて特に限定されないが、グラファイトシートを得るべくそのまま後に熱処理を行う場合には、高温(例えば、2000℃以上)での連続使用環境に耐えることが必要であり、例えばカーボン素材が挙げられる。
内芯径は、例えば、20mm以上程度の範囲から選択してもよく、30mm以上、好ましくは50mm以上、さらに好ましくは70mm以上等であってもよい。内芯径の上限値は、例えば、500mm以下、400mm以下、300mm以下、250mm以下、200m以下、150mm以下、120mm以下等であってもよい。
具体的な内芯径としては、例えば、30~400mm、50~200mm、70~120mm等が挙げられる。
このような内芯径であると、ロール状であっても、吸水量等との組み合わせにおいて、良好なグラファイトシートを効率よく得やすい。
内芯径を適度に大きくすることで、得られるグラファイトシートに巻き癖が付くことを防止し、波うちが発生しにくくなるので好ましい。また内芯径を大きすぎないものとすることで、単位容積あたりのポリイミドフィルムの量を大きくできる(さらには、グラファイト化処理量を大きくできる)という点から好ましい。
ロール状のフィルムにおいて、巻き数は、例えば、10以上、好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上であってもよい。巻き数の上限値は、特に限定されず、例えば、3000以下、2000以下、1000以下などであってもよい。
本発明のポリイミドフィルムは、通常、特定の吸水量(吸水率)を有している。このようなポリイミドフィルムの吸水量(吸水率)は、例えば、2.5質量%以下(例えば、2.4質量%以下、2.3質量%以下)程度の範囲から選択してもよく、2.2質量%以下(例えば、2.1質量%以下)、好ましくは2質量%以下(例えば、1.9質量%以下)、さらに好ましくは1.8質量%以下程度であってもよく、1.7質量%以下、1.5質量%以下、1.3質量%以下等とすることもできる。
ポリイミドフィルムの吸水量の下限値は、0質量%(又は検出限界)であってもよく、有限値(例えば、0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、1質量%、1.1質量%、1.2質量%、1.3質量%等)であってもよい。
このような吸水率であると、良好なグラファイトシート(例えば、厚みのムラが小さいグラファイトシート、フクレ、シワや波うちの少ないグラファイトシート)を効率よく得やすい。
特に、ロール状のフィルムでは、吸水が、グラファイト化に伴い、フクレ等や厚みのバラつきの要因となりやすいようであるが、上記のような吸水量とすることにより、このようなフクレ等や厚みのバラつきを効率よく抑えることができる。
また、上記のように、このようなグラファイトシートを得るため、吸水率は、必ずしも極限まで小さくする必要はなく、むしろ、やや吸水している方が、過度な吸水量の調整処理(例えば、乾燥処理)を要しない他、効率よくグラファイトシートが得られることも想定され(例えば、加熱時に水分が抜けることでフィルムが幾分収縮してフィルムとフィルムの間に空間ができることにより、その後のグラファイト化時の脱ガスもスムーズになる等)、好適である。
なお、吸水率は、フィルム全体の平均値であってもよく、擬似的な平均値(例えば、最大吸水率と最小吸水率との相加平均等)などであってもよく、最大吸水率であってもよく、フィルムの全部において上記吸水率を充足してもよい。例えば、フィルムにおいて、吸水率にバラつきがある場合には、その最大値をもって吸水率としてもよく、最大値(最大吸水率A1)と最小値(最小吸水率A2)との相加平均[(A1+A2)÷2]を吸水率としてもよい[例えば、ロール状のフィルムにおいて、最大吸水率(例えば、最も内側(内芯)に近い部分の吸水率)や、最大吸水率と最小吸水率(例えば、最表層部分(最も内芯から遠い部分)の吸水率)との相加平均が、上記吸水率を充足してもよい]。
ポリイミドフィルムは、各種処理(例えば、延伸処理、アニール処理等の後述の処理)がされていてもよい。延伸処理されたポリイミドフィルムにおいて、延伸倍率は、例えば、1.01倍以上(例えば、1.01~1.90倍、1.05~1.60倍、1.10~1.50倍)であってもよい。延伸は、長さ方向(走行方向、フィルムの長手方向)及び/又は幅方向において行われてよく、これらの両方向において行われてもよい。
[ポリイミドフィルムの製造方法]
次に、本発明のポリイミドフィルムの製造方法について説明する。
ポリイミドフィルムを得るに際しては、まず、重合成分(芳香族ジアミン成分及び芳香族酸無水物成分を含む成分)を有機溶媒中で重合させることにより、ポリアミック酸溶液(以下、ポリアミド酸溶液ともいう)を得る。
ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン等のピロリドン系溶媒、フェノール、o-,m-,或いはp-クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒、ヘキサメチルホスホルアミド、γ-ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。さらには、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素と組み合わせて使用してもよい。
ポリアミック酸溶液の重合方法は公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば、
(1)先にジアミン成分(芳香族ジアミン成分)全量を溶媒中に入れ、その後酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)をジアミン成分(芳香族ジアミン成分)全量と当量になるよう加えて重合する方法、
(2)先に酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)全量を溶媒中に入れ、その後ジアミン成分(芳香族ジアミン成分)を酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)と当量になるよう加えて重合する方法、
(3)一方のジアミン成分(芳香族ジアミン成分)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)が95~105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン成分を添加し、続いてもう一方の酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)を全ジアミン成分(芳香族ジアミン成分)と全酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)とがほぼ当量になるよう添加して重合する方法、
(4)一方の酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方のジアミン成分(芳香族ジアミン成分)が95~105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)を添加し、続いてもう一方のジアミン成分(芳香族ジアミン成分)を全ジアミン成分(芳香族ジアミン成分)と全酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)とがほぼ当量になるよう添加して重合する方法、
(5)溶媒中で一方のジアミン成分(芳香族ジアミン成分)と酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(A)を調整し、別の溶媒中でもう一方のジアミン成分(芳香族ジアミン成分)と酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)をどちらかが過剰になるよう反応させポリアミック酸溶液(B)を調製する。こうして得られた各ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。この時ポリアミック酸溶液(A)を調整するに際しジアミン成分(芳香族ジアミン成分)が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)を過剰に、またポリアミック酸溶液(A)で酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)ではジアミン成分(芳香族ジアミン成分)を過剰にし、ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全ジアミン成分(芳香族ジアミン成分)と全酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)とがほぼ当量になるよう調整する方法、等が挙げられる。
なお、重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。
ポリアミック酸を構成する酸無水物成分(芳香族酸無水物成分)とジアミン成分(芳香族ジアミン成分)とは、それぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるが、その一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で他方に対して過剰に配合されてもよい。
重合反応は、有機溶媒中で撹拌しながら行うことが好ましい。重合温度は、特に限定されないが、通常は、反応溶液の内温0~80℃で行なわれる。重合時間は、特に限定されないが、10分~30時間連続して行うことが好ましい。重合反応は、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもよい。両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン成分の溶液中に芳香族酸無水物を添加することが好ましい。重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミック酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加することによって、重合反応の制御を行ってもよい。前記末端封止剤は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。
こうして得られるポリアミック酸溶液は、固形分を、通常5~40重量%、好ましくは10~30重量%を含有する。また、その粘度は、特に限定されないが、ブルックフィールド粘度計による測定値が、通常10~2000Pa・sであり、安定した送液のために、好ましくは100~1000Pa・sである。なお、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
また、ポリアミック酸溶液は、通常、無機粒子を含有する。無機粒子を含有するポリアミック酸溶液を得るに際しては、予め重合したポリアミック酸溶液に無機粒子を添加してもよいし、無機粒子の存在下でポリアミック酸溶液を重合してもよい。
無機粒子は、溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、N-メチルピロリドン等の極性溶媒等)に分散されたスラリー(無機粒子スラリー)として使用することが、凝集を防止できるため好ましい。このスラリーは、粒子径が非常に小さいため、沈降速度が遅く安定している。また、たとえ沈降しても再攪拌する事で容易に再分散可能である。
無機粒子スラリーの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。無機粒子スラリーの製造方法としては、例えば、ミキサーを用いて無機粒子と溶媒を混合する方法等が挙げられる。ミキサーとしては、高速ディスパー、ホモミキサー、ボールミル、コーレスミキサー、撹拌式ディスパー等の剪断力の高いものを用いることが好ましい。また、湿式粉砕処理を行い、平均粒子径を細かくしてもよい。湿式粉砕処理には、例えば、ビーズミル、サンドミル等を用いることができる。
無機粒子スラリーとしては、無機粒子が予め溶媒中に分散された市販品を使用してもよい。また、無機粒子スラリーは、必要に応じて、他の有機溶媒や配合剤等を含んでいてもよい。
無機粒子スラリー中の無機粒子の濃度は、特に限定されないが、例えば、1~80重量%、好ましくは1~60重量%、より好ましくは1~40重量%である。
また、無機粒子スラリーを、所定の孔径を有するフィルター(例えば、孔径15μm以下、好ましくは孔径13μm以下、より好ましくは孔径11μm以下、さらに好ましくは孔径5μm以下、特に好ましくは孔径3μm以下のカットフィルター)にかける(フィルター処理する)ことが、無機粒子同士の凝集を抑制することができ、ポリイミドフィルム中の所定の粒子径の無機粒子(例えば、15μm以上の無機粒子)を除去することができる等の観点から、好ましい。
前記フィルターの材質は、特に限定されず、例えば、高分子素材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等)、金属(例えば、ステンレス等)等が挙げられる。
無機粒子の添加量は、ポリイミドフィルムにおける所望の含有量に対応させて(例えば、ポリイミドを形成したときにポリイミド100質量部に対して、0.03~0.8質量部となるように)適宜選択すればよい。
ポリイミドフィルムを製造する方法としては、例えば、ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし熱的に脱環化脱溶媒させてポリイミドフィルムを得る方法、ポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を混合し化学的に脱環化させてゲルフィルムを作製し、これを加熱脱溶媒することによりポリイミドフィルムを得る方法が挙げられるが、後者の方が得られるポリイミドフィルムの熱膨張係数を低く抑えることができ、フィルム面方向の配高性が高まる為、グラファイトシートが熱伝導性に優れ、また厚みを厚くできること等から好ましい。
化学的に脱環化させる方法においては、まず上記ポリアミック酸溶液を調製する。上記ポリアミック酸溶液は、環化触媒(イミド化触媒)、脱水剤及びゲル化遅延剤等を含有することができる。
環化触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、イソキノリン、ピリジン、β-ピコリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用できる。なかでも複素環式第3級アミンを少なくとも一種以上使用する態様が好ましい。
脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物、無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられるが、なかでも無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましい。
ポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法としては、例えば、環化触媒及び脱水剤を含有せしめたポリアミック酸溶液をスリット付き口金等から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離して熱処理を行うことにより、ポリイミドフィルムを得る方法が挙げられる。
上記ポリアミック酸溶液は、加熱された支持体上に流延され、支持体上で熱閉環反応をし、自己支持性を有するゲルフィルムとなって支持体から剥離される。
上記支持体とは、金属製の回転ドラムやエンドレスベルトであり、その温度は液体又は気体の熱媒、及び/又は電気ヒーター等の輻射熱により制御される。
上記ゲルフィルムは、支持体からの受熱及び/又は熱風や電気ヒーター等の熱源からの受熱により、通常30~200℃、好ましくは40~150℃に加熱されて閉環反応し、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることにより自己支持性を有するようになり、支持体から剥離される。
上記支持体から剥離されたゲルフィルムは、通常、回転ロールにより走行速度を規制しながら走行方向に延伸される。延伸は、通常は140℃以下の温度で1.01~1.90倍、好ましくは1.05~1.60倍、さらに好ましくは1.10~1.50倍の倍率で実施される。走行方向に延伸されたゲルフィルムは、例えば、テンター装置に導入され、テンタークリップに幅方向両端部を把持されて、テンタークリップと共に走行しながら、幅方向へ延伸される。
上記の延伸されたゲルフィルムは、通常、風、赤外ヒーター等で15秒から30分加熱される。次いで、熱風及び/又は電気ヒーター等により、通常、250~550℃の温度で15秒~30分熱処理を行う。
また、ポリイミドフィルムの厚みは、走行速度を調整することによって調整することができる。
このようにして得られたポリイミドフィルムに対して、さらにアニール処理を行ってもよい。アニール処理の方法は、特に限定されず、常法に従ってよい。アニール処理の温度としては、特に限定されないが、200~500℃が好ましく、200~370℃がより好ましく、210~350℃が特に好ましい。具体的には、前記温度範囲に加熱された炉の中を、低張力下にてフィルムを走行させ、アニール処理を行うことが好ましい。炉の中でフィルムが滞留する時間が処理時間となるが、走行速度を変えることでコントロールすることになり、5秒~5分の処理時間であることが好ましい。また走行時のフィルム張力は10~50N/mが好ましく、さらには20~30N/mが好ましい。
ポリイミドフィルムは、前記のように、巻き取られてもよい(ロール状としてもよい)。巻き取り方法は、特に限定されず、慣用の方法[例えば、ゲルフィルム(延伸後のもの、アニール処理後のもの)を連続的に巻き取る方法]を利用できる。ロールの態様(巻き取りのフィルム長さ、内芯の素材、内芯径等)は、前記の通りである。
本発明のポリイミドフィルムは、前記のように、特定の吸水量を有している。このようなフィルムは、特定の吸水量を充足するのであれば、特に何らの処理を行うことなく、そのまま適宜用途(特にグラファイトシートの製造)に使用する等も可能であるが、安定して吸水量を調整できる等の観点から、通常、特定の吸水量のポリイミドフィルムを得るための何らかの処理を行う場合が多い。
このような特定の吸水量とする方法(手法)は、特に限定されないが、効率よく(さらには簡便に)所定の吸水量に調整しやすい(安定的に調整しやすい)等の点で、所定の湿度条件の空間にてポリイミドフィルムを放置(保管、調湿)する方法(工程)であってもよい。
このような方法において、湿度としては、ポリイミドフィルムの放置前の吸水量や放置時間、所望の吸水量等にもよるが、例えば、80RH%以下(例えば、75RH%以下)、好ましくは70RH%以下(例えば、65RH%以下)等であってもよく、60RH%以下(55RH%以下、50RH%以下、45RH%以下、40RH%以下)等であってもよい。
放置(保管、調湿)時間は、ポリイミドフィルムの放置前の吸水量や放置時間、所望の吸水量、フィルムの態様[ロール状であるか否か、フィルムのサイズ(長さ)等]等にもよるが、例えば、3時間以上(例えば、6時間以上)、好ましくは8時間以上(例えば、12時間以上)、さらに好ましくは18時間以上(例えば、20時間以上)程度であってもよく、24時間以上(例えば、30時間以上、36時間以上、48時間以上、60時間以上、72時間以上)等であってもよい。
<ポリイミドフィルムの用途及びグラファイトシート>
本発明のポリイミドフィルムは、特に、グラファイトシート用などとして好適である。
グラファイトシートは、ポリイミドフィルムを焼成(及びグラファイト化)することにより(焼成する工程を経て)得ることができる。
なお、前記のように、ポリイミドフィルムが、ロール状である場合、ロール状のまま焼成してもよい。この場合、グラファイトシートもロール状のものが得られることになる。
ポリイミドフィルムの焼成は、予備焼成工程(I)と本焼成工程(II)を含むことが好ましい。本焼成工程(II)は、通常、予備焼成工程(I)に次いで行われる。
予備焼成工程(I)における最終焼成温度は、本焼成工程(II)における焼成温度より低ければよく、例えば、900~1500℃程度であってよい。
予備焼成工程(I)における昇温速度は、好ましくは1~15℃/分である。このような範囲であれば、密度が0.3~1.5g/cmのグラファイトシートを得られやすいなどの観点から好ましい。
また、予備焼成工程(I)において、最終焼成温度まで昇温後に、最終焼成温度で保持してもよい。保持時間は、例えば、30分~3時間程度であってよい。
本焼成工程(II)における焼成温度は、例えば、2000℃以上(例えば、2000~3500℃)であり、2400℃以上(例えば、2400~3500℃)が好ましく、2600℃以上(例えば、2600~3500℃)がより好ましい。
また、本焼成工程(II)における最終焼成温度は、2700℃以上(例えば、2700~3500℃)が好ましく、2800℃以上(例えば、2800~3500℃)がより好ましく、2900℃近辺(例えば、2900~3200℃)がさらに好ましい。
焼成温度が3500℃以下であれば、焼成炉の耐熱劣化が小さく、長時間の生産が可能となる。最高焼成温度が2000℃以上であれば、得られるグラファイトシートが柔軟かつ強固となる傾向がある。
本焼成工程(II)における昇温速度は、好ましくは1~15℃/分である。このような範囲であれば、十分な密度(例えば、0.3~1.5g/cm)のグラファイトシートを得られやすいなどの観点から好ましい。
また、本焼成工程(II)にいて、最終焼成温度まで昇温度後に、最終焼成温度で保持してもよい。保持時間は、例えば、30分~3時間程度であってよい。
予備焼成工程(I)及び本焼成工程(II)は、通常、不活性ガス中で行われる。不活性ガスとしては、特に限定されず、ヘリウム、アルゴン、窒素等が挙げられるが、アルゴンを用いるのが好ましい。
なお、焼成後のグラファイトシートは、必要に応じて、圧延ローラ等で挟み込んで圧延処理をしてもよい。圧延処理によって、焼成後のグラファイトシートの熱伝導性を高めることができる。圧延処理方法は特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。
上記のようにしてグラファイトシートが得られる。そのため、本発明には、このようなグラファイトシートも含まれる。なお、このようなグラファイトシートは、通常、上記の方法にて製造されたシート(前記ポリイミドフィルムを用いて製造されたシート)であるが、そうでなくてもよい。
グラファイトシートは、積層された状態であってもよく、特に、巻き取られた状態[ロール状(ロール)、例えば、前記のような比較的大きいサイズ(長さ)で巻き取られたロール状]であってもよい。
ロール状とは、グラファイトシートが内芯等に巻かれている状態のことであり、内芯形状に制限はないが、一般的には円柱状である。
内芯の素材としては、高温(例えば、2000℃以上)での連続使用環境に耐えることが必要であること等に鑑み、例えばカーボン素材が挙げられる。
内芯径は、例えば、20mm以上程度の範囲から選択してもよく、30mm以上、好ましくは50mm以上、さらに好ましくは70mm以上等であってもよい。内芯径の上限値は、例えば、500mm以下、400mm以下、300mm以下、250mm以下、200m以下、150mm以下、120mm以下等であってもよい。
具体的な内芯径としては、例えば、30~400mm、50~200mm、70~120mm等が挙げられる。
ロール状のグラファイトシートにおいて、巻き数(積層数)は、例えば、10回以上、好ましくは50回以上、さらに好ましくは100回以上であってもよい。巻き数の上限値は、特に限定されず、例えば、3000回以下、2000回以下、1000回以下などであってもよい。
グラファイトシートの厚みは、原料となるポリイミドフィルムの厚みによるが、例えば、10μm以上(例えば、20μm以上)であり、好ましくは25μm以上(例えば、30μm以上、40μm以上、50μm以上)であってもよい。
グラファイトシートの厚みの上限は、特に限定されないが、例えば、500μm以下、300μm以下、200μm以下、180μm以下、150μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下などであってもよい。
グラファイトシートの厚さ(厚み)は、代表的には、10~150μm、25~100μm、30~95μm、40μm~90μm、50μm~85μm、60μm~80μm等であってもよい。
グラファイトシートの厚みは、その長さやロール状である場合等に応じて、バラつきを有する場合がある。
そのため、グラファイトシートの厚みは、シート全体の平均値であってもよく、擬似的な平均値(例えば、最大厚みと最小厚みとの相加平均等)などであってもよく、最大厚みであってもよく、シートの全部において上記厚みを充足してもよい(シート全体又は全域における厚みであってもよい)。
例えば、シートにおいて、厚みにバラつきがある場合には、その最大値(最大厚みG1)をもって厚みとしてもよく、最大値(最大厚みG1)と最小値(最小厚G2)との相加平均[(G1+G2)÷2]を厚みとしてもよい[例えば、ロール状のシートにおいて、最大厚みG1(例えば、最も内側(内芯)に近い部分の厚み)や、最大厚みG1と最小厚みG2(例えば、最表層部分(最も内芯から遠い部分)の厚み)との相加平均が、上記厚みを充足してもよい]。
上記のようにグラファイトシートには厚みのバラつきが有する場合があるが、本発明では、このような厚みのバラつき(ムラ)が小さいグラファイトシートを効率よく提供(製造)しうる。
例えば、グラファイトシートの厚みは、シート全体において、グラファイトシートの平均厚み(又は最大厚みG1と最小厚みG2との相加平均)に対して、0.95~1.05倍(例えば、0.96~1.04、0.97~1.03、0.98~1.02)の範囲内にあってもよい。
その他、グラファイトシートの最大厚みG1と最小厚みG2の比(G1/G2)は、例えば、1.1以下(例えば、1.09以下、1.08以下、1.07以下、1.06以下、1.05以下、1.04以下)であってもよい。
また、グラファイトシートの最大厚みG1と最小厚みG2の差(G1-G2)は、例えば、10μm以下(例えば、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下)であってもよい。
また、本発明では、フクレ等を効率よく抑えることができるため、目標の厚みを効率よく実現しやすい。例えば、シート全体におけるグラファイトシートの厚み[又はグラファイトシートの最大厚みG1及び/又は最小厚みG2]は、ポリイミドフィルム(グラファイトシートの製造に用いたポリイミドフィルム)の厚みに対して、1.6倍以下(例えば、1.55倍以下、1.5倍以下、1.45倍以下、1.4倍以下、1.38倍以下、1.35倍以下、1.32倍以下、1.3倍以下、1.28倍以下、1.25倍以下、1.22倍以下、1.2倍以下等)であってもよい。
グラファイトシートの長さもまた、原料となるポリイミドフィルムによる。例えば、グラファイトシートの長さは、比較的大きいサイズであってもよく、例えば、1m以上(例えば、5m以上)、10m以上(例えば、20m以上)であり、好ましくは30m以上(例えば、40m以上)、さらに好ましくは50m以上(例えば、100m以上)であってもよく、200m以上、300m以上、500m以上、1000m以上、2000m以上、3000m以上、5000m以上などであってもよい。
グラファイトシートの幅もまた、原料となるポリイミドフィルムによるが、例えば、30mm以上(例えば、45mm以上、50mm以上、75mm以上、100mm以上)、好ましくは150mm以上(例えば、155mm以上)、さらに好ましくは200mm以上(例えば、250mm以上)であってもよく、500mm以上、1000mm以上、1500mm以上、2000mm以上などであってもよい。
具体的なグラファイトシートの幅としては、例えば、50~1000mm、75~500mm、100~300mm等が挙げられる。
グラファイトシートの密度は、例えば、0.2~1.6g/cm、好ましくは0.3~1.5g/cmであってもよい。0.2g/cm以上であれば、グラファイトシートが層間剥離しにくいなどの観点から好ましい。また、1.6g/cm以下であれば、グラファイトシートの柔軟性が優れ、発熱源や放熱部材などの固体と積層させる際に、グラファイトシートと固体との間に空隙が生じにくく、積層面の熱抵抗を低減できるなどの観点から好ましい。
グラファイトシートの熱拡散係数は、例えば、7cm/s以上(例えば、7~15cm/s)であってもよい。
グラファイトシートの破断強度は、例えば、10MPa以上(例えば、10~200MPa)であり、好ましくは15MPa以上(例えば、15~200MPa)であり、より好ましくは20MPa以上(例えば、30~200MPa)であってもよい。
グラファイトシートの用途は、特に限定されず、例えば、放熱部材[例えば、小型携帯電子機器(例えば、スマートフォンなど)の放熱部材]などに使用してもよい。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
[ポリイミドフィルムの厚み、グラファイトシートの厚みの評価]
Mitutoyo社製ライトマチック(Series318)を使用して測定した。
グラファイトシートの厚みは、表層及び内芯側のシートを、それぞれ、両端より1cm内側の箇所を含めて幅方向で均等に5か所選定して1cm角切り出して測定し、平均値で評価した。
[ポリイミドフィルムの吸水量]
ポリイミドフィルムの質量(W1)を測定し、その後150℃で1時間熱処理して脱水させた後のポリイミドフィルムの質量(W0)を測定し、下記式により求めた。
吸水量(%)=(W1-W0)/W0×100
ポリイミドフィルムの吸水量は、表層及び内芯側のフィルムを、それぞれ、幅方向の中央部を6cm角切り出して測定した。
[ポリイミドフィルムに添加する無機粒子の評価]
株式会社堀場製作所社製のレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA-910を用い、極性溶媒に分散させた試料を測定し、レーザー回折および散乱光強度パターンを解析した結果から、体積平均径として、粒子径範囲、平均粒子径、粒子径1.0~3.5μmの粒子が全粒子中に対する占有率を読み取った。
[ポリイミドフィルム中の無機粒子の分散径]
株式会社キーエンス社製のマイクロスコープVHX-2000を用い、50cmのポリイミドフィルム中に存在する無機粒子の分散粒子径を透過モードにて観察し、分散粒子径が10μm以上の粒子の個数、最大分散粒子径とその個数を読み取った。
[ポリイミドフィルム中の無機粒子量の評価]
ブルカーAXS株式会社製の蛍光X線S2Rangerを用い、無機粒子(リン酸水素カルシウム)に含まれる成分(リン)のKα線のエネルギー量から無機粒子(リン酸水素カルシウム)添加量を評価した。
[グラファイトシート表面の突起欠陥]
株式会社キーエンス社製のマイクロスコープVHX-2000を用い、1mのグラファイトシートの表面を観察し、Φ(直径)0.1mm以上のサイズの突起欠陥の数を評価した。
(実施例1)
常法により、厚さ60μm、幅250mm、長さ200mのポリイミドフィルム[重合成分(4,4’-ジアミノジフェニルエーテル100モル%、ピロメリット酸二無水物100モル%)、分散に供する無機粒子(リン酸水素カルシウム、平均粒子径2.2μm、1.0~3.5μmの無機粒子が全無機粒子中81.5体積%)、無機粒子(リン酸水素カルシウム、最大分散径9.2μm、分散粒子径が10μm以上の粒子の個数=0個)をポリイミド100質量部に対して0.1質量部の割合で含むポリイミドフィルム(延伸フィルム)]を製造し、外径75mm、幅300mmのカーボン製の内芯に巻き付けた(巻き数665回)。
これを2組用意し、それぞれ湿度50RH%に調整された部屋で48時間調湿した。そのうち1組は表層側のポリイミドフィルムと内芯に接したポリイミドフィルムをサンプリングし吸水量を測定し、表層側(最小吸水量)は1.5質量%、内芯側(最大吸水量)は1.6質量%であった。
もう1組は焼成炉に入れ、アルゴンガス中で5℃/分で1000℃まで昇温させて1時間保持し(予備焼成工程)、更に2800℃まで8℃/分で昇温させて1時間保持して(本焼成工程)グラファイト化を行い、グラファイトシートを得た。
得られたグラファイトシートの厚みは表層側(最小厚みG2)が68μm(ポリイミドフィルムの厚みの1.13倍、平均厚み(表層側(最小)厚みG2と内芯側(最大)厚みG1との相加平均)に対して0.98倍)、内芯側(最大厚みG1)が71μm(ポリイミドフィルムの厚みの1.18倍、平均厚みに対して1.02倍)であり、両方共にフクレ、シワや波うちは無く平坦なグラファイトシート(G1/G2=1.04、G1-G2=3μm)であった。また、グラファイトシートにおいて、直径0.1mm以上のサイズの突起欠陥の数は0個/mであった。
(実施例2)
湿度60RH%に調整された部屋で48時間調湿した以外は実施例1と同様に行った。
得られたポリイミドフィルムの吸水量は表層側(最小吸水量)が1.6質量%、内芯側(最大吸水量)が1.7質量%であり、得られたグラファイトシートの厚みは表層側(最小厚みG2)が70μm(ポリイミドフィルムの厚みの1.17倍、平均厚みに対して0.97倍)、内芯側(最大厚みG1)が74μm(ポリイミドフィルムの厚みの1.23倍、平均厚みに対して1.03倍)であり、両方共にフクレ、シワや波うちは無く平坦なグラファイトシート(G1/G2=1.04、G1-G2=4μm)であった。また、グラファイトシートにおいて、直径0.1mm以上のサイズの突起欠陥の数は0個/mであった。
(実施例3)
常法により、厚さ68μm、幅250mm、長さ200mのポリイミドフィルム[重合成分(4,4’-ジアミノジフェニルエーテル100モル%、ピロメリット酸二無水物100モル%)、分散に供する無機粒子(リン酸水素カルシウム、平均粒子径1.0μm、1.0~3.5μmの無機粒子が全無機粒子中90体積%)、無機粒子(リン酸水素カルシウム、最大分散径9.9μm、分散粒子径が10μm以上の粒子の個数=0個)をポリイミド100質量部に対して0.5質量部の割合で含むポリイミドフィルム(延伸フィルム)]を製造し、外径75mm、幅300mmのカーボン製の内芯に巻き付けた(巻き数660回)。
得られたポリイミドフィルムの吸水量は表層側(最小吸水量)が1.6質量%、内芯側(最大吸水量)が1.7質量%であり、得られたグラファイトシートの厚みは表層側(最小厚みG2)が88μm(ポリイミドフィルムの厚みの1.29倍、平均厚みに対して0.97倍)、内芯側(最大厚みG1)が93μm(ポリイミドフィルムの厚みの1.37倍、平均厚みに対して1.02倍)であり、両方共にフクレ、シワや波うちは無く平坦なグラファイトシート(G1/G2=1.06、G1-G2=5μm)であった。また、グラファイトシートにおいて、直径0.1mm以上のサイズの突起欠陥の数は0個/mであった。
(比較例1)
湿度90RH%に調整された部屋で48時間調湿した以外は実施例1と同様に行った。
得られたポリイミドフィルムの吸水量は表層側(最小吸水量)が2.6質量%、内芯側(最大吸水量)が2.7質量%であり、得られたグラファイトシートの厚みは表層側(最小厚みG2)が92μm(ポリイミドフィルムの厚みの1.53倍、平均厚みに対して0.94倍)、内芯側(最大厚みG1)が103μm(ポリイミドフィルムの厚みの1.72倍、平均厚みに対して1.06倍)であり、両方共にフクレやシワが有り特に内芯側は顕著に発生した(G1/G2=1.12、G1-G2=11μm)。
本発明では、グラファイトシート用等として有用なポリイミドフィルムを提供できる。

Claims (14)

  1. 吸水量が2.2質量%以下のポリイミドフィルムであって、グラファイトシート用のポリイミドフィルム。
  2. 吸水量が1.8質量%以下である、請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. ポリイミドを構成する重合成分が、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物を含む酸無水物成分とを少なくとも含む、請求項1又は2記載のポリイミドフィルム。
  4. 無機粒子を含有し、無機粒子の最大分散径が15μm以下である、請求項1~3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  5. 厚みが25~100μmである、請求項1~4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  6. ロール状である、請求項1~5のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  7. 長さ5m以上のロール状である、請求項1~6のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  8. 吸水量が0.5質量%以上である、請求項1~7のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  9. 湿度70RH%以下の空間でポリイミドフィルムを24時間以上放置する工程を含む、グラファイトシート用のポリイミドフィルムの製造方法。
  10. 請求項1~8のいずれかに記載のポリイミドフィルムを熱処理する工程を含む、グラファイトシートの製造方法。
  11. グラファイトシートの厚みが、ポリイミドフィルムの厚みに対して1.5倍以下にある、請求項9又は10記載の製造方法。
  12. グラファイトシートの厚みが、平均厚みに対して0.95~1.05倍の範囲内にある請求項9~11のいずれかに記載の製造方法。
  13. グラファイトシートがロール状であり、最大厚みG1と最小厚みG2との比(G1/G2)が1.1以下、及び/又は最大厚みG2と最小厚みG1との差(G1-G2)が10μm以下である、請求項9~12のいずれかに記載の方法。
  14. ロール状のグラファイトシートであって、下記(1)~(3)の少なくとも1つを充足する、グラファイトシート。
    (1)グラファイトシートの厚みが、平均厚みに対して0.95~1.05倍の範囲内にある
    (2)最大厚みG1と最小厚みG2との比(G1/G2)が1.1以下、
    (3)最大厚みG2と最小厚みG1との差(G1-G2)が10μm以下
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