JP2020164611A - ポリイミドフィルム及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】新規なポリイミドフィルム及びその製造方法を提供する。【解決手段】ヘイズ値の標準偏差が0.4%以下である、無機粒子が分散されたポリイミドフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム及びその製造方法等に関する。
ポリイミドフィルムは、グラファイトシートなどに使用されている。
グラファイトシートは、ポリイミドフィルムを熱処理(焼成)してグラファイト化した後、圧延処理することによって得られることが知られている(特許文献1及び2参照)。
また、ポリイミドフィルムには、フィルムの滑り性(易滑性)のために無機質のフィラーを分散させることが知られている。グラファイトシート用途においても、良質なグラファイトシートを得るためには、無機質のフィラーを含むポリイミドフィルムが好ましいことが知られている(特許文献3参照)。
グラファイトシート用途において、原料となるポリイミドフィルムにおける無機粒子の役割としては、ポリイミドフィルムを焼成する際にフィルム中に分散させた無機粒子がフィルム内部から昇華するときに発生するガスにより、発泡(膨れ)を生じさせることである。この膨れが生じることで、圧延処理を加えて得られたグラファイトシートの柔軟性、破断強度等の特性を改善させることが可能となる。
一方で、ポリイミドフィルム中の部分的な過度の膨れは、グラファイトシートの表面に突起欠陥を作り、外観に影響を与える。特に、厚みの厚いポリイミドフィルムを原料として用いる場合は、ガス透過性が低い為、影響が生じやすくなる。
特許文献4には、無機粒子の最大分散径が15μm以下のポリイミドフィルムを用いることにより、表面突起が少ないグラファイトシートを形成できること、このようなポリイミドフィルムは、予めフィルター処理した無機粒子のスラリーと混合したポリアミック酸溶液によって得られることが開示されている。なお、特許文献4には、無機粒子の最大分散径が10μm以下のポリイミドフィルムについては、具体的に開示されていない。
特開平3−75211号公報 特開平4−21508号公報 特開平8−267647号公報 特開2017−43668号公報
本発明の目的は、新規なポリイミドフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、ヘイズ値のばらつきが少ないポリイミドフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、表面突起が少ないグラファイトシート及びこのシートを得るのに有用なポリイミドフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、良好な物性(柔軟性、破断強度、熱拡散係数など)を有するグラファイトシート及びこのシートを得るのに有用なポリイミドフィルムを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記のようなポリイミドフィルム及びグラファイトシー
トを製造する方法を提供することにある。
本発明者らの検討によれば、特許文献4に開示されたポリイミドフィルムは、ヘイズ(曇価)値のばらつき(ムラ)が大きい場合があることがわかった。また、ヘイズ値のばらつきが大きいポリイミドフィルムを焼成して得られたグラファイトシートは、厚みムラが生じやすいことがわかった。
このような中、本発明者らは、無機粒子とポリアミック酸溶液の混合物をフィルター処理して得られたポリアミック酸溶液をイミド化することによって、ポリイミドフィルムのヘイズ値のばらつきを低減しうるだけでなく、無機粒子の分散径が小さい(特に、10μm以下となりうる)、さらに、このポリイミドフィルムを用いることで、表面突起の形成を著しく抑制でき、外観に優れたグラファイトシートを効率よく得ることができることを見出した。
一方、従来無機粒子を溶媒中に分散させた混合物をそのままフィルター処理するとフィルターでの無機粒子の凝集が発生してフィルターの目詰まりが起こりやすくなり、フィルター処理に使用されるフィルターのライフ(使用可能日数)が短くなることが懸念されていたが、無機粒子とポリアミック酸溶液の混合物のフィルター処理では、フィルターでの無機粒子の凝集を抑制して、フィルターのライフを比較的長くできることも見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を進め本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
ヘイズ値の標準偏差が0.4%以下である、無機粒子が分散されたグラファイトシート用ポリイミドフィルム。
[2]
無機粒子が分散されたポリイミドフィルムであって、無機粒子の最大分散径が10μm以下であるグラファイトシート用ポリイミドフィルム。
[3]
ポリイミドを構成する重合成分が、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを含む芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物を含む酸無水物成分とを少なくとも含む[1]、[2]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[4]
無機粒子を溶媒中に分散させた無機粒子スラリーとポリアミック酸溶液の混合物をフィルター処理して得られるポリアミック酸溶液をイミド化して得られる前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
[5]
無機粒子の割合が、ポリイミド樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部である[1]〜[4]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[6]
無機粒子が、リン酸水素カルシウムを主成分とする[1]〜[5]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[7]
厚みが25〜80μmである[1]〜[6]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[8]
表面の直径0.1mm以上の突起欠陥が1個/1m以下のグラファイトシートを形成するための[1]〜[7]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[9]
無機粒子とポリアミック酸溶液の混合物をフィルター処理する工程を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
[10]
[1]〜[7]のいずれかに記載のポリイミドフィルムを原料として含む、表面の直径0.1mm以上の突起欠陥が1個/1m以下のグラファイトシート。
[11]
[1]〜[8]のいずれかに記載のポリイミドフィルムを焼成する工程を含むグラファイトシートの製造方法。
本発明によれば、新規なポリイミドフィルムを提供できる。
本発明によれば、ヘイズ値のばらつきが少ないポリイミドフィルムを提供できる。このようなポリイミドフィルムを原料とすることにより、厚みムラの少ないグラファイトシートを形成しうる。
本発明によれば、表面突起が少ないグラファイトシートを提供できる。このようなグラファイトシートは、表面の外観に優れる。
本発明によれば、良好な物性(柔軟性、破断強度、熱拡散係数など)を有するグラファイトシートを提供できる。
そして、本発明では、上記のようなポリイミドフィルムやグラファイトシートを効率よく製造する方法を提供できる。
本発明のポリイミドフィルムは、無機粒子(又はフィラー)が分散されたものである。
<ポリイミド(ポリアミック酸)>
ポリイミドフィルム(又はポリイミドフィルムを構成するポリイミド、又はポリアミック酸)は、通常、芳香族ジアミン成分と酸無水物成分(テトラカルボン酸成分)とを重合成分とする。なお、重合成分は、芳香族ジアミン成分と酸無水物成分を主成分とする限り、他の重合成分を含んでいてもよい。
ポリイミドフィルムを製造するに際しては、特に限定されないが、まず、芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とを有機溶媒中で重合させることにより、ポリアミック酸(ポリアミド酸)溶液を得る。
本発明のポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン成分として、特に、オキシジアニリン(ODA)(又はジアミノジフェニルエーテル、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなど)を好適に含んでいてもよい。
芳香族ジアミン成分は、オキシジアニリン以外のものを含んでいてもよい。
このようなオキシジアニリン以外の芳香族ジアミン成分の具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルサルファイド、3,4'−ジアミノジフェニルサルファイド、3,3'−ジアミノジフェニルサルファイド、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3'−ジクロロベンジジン、1,4−ビス(3−メチル−5−アミノフェニル)ベンゼン及びこれらのアミド形成性誘導体が挙げられ、パラフェニレンジアミンなどが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ジアミン成分がODA(特に4,4’−ODA)を含む場合、芳香族ジアミン成分全体におけるODAの割合は、例えば、50モル%以上(例えば、55モル%以上)であり、好ましくは60モル%以上(例えば、65モル%以上)、より好ましくは70モル%以上(例えば、75モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上)であってもよい。
芳香族ジアミン成分全体におけるODA(特に4,4’−ODA)の割合の上限値は、特に限定されず、例えば、100モル%、99モル%、95モル%、90モル%、85モル%、80モル%などであってもよい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、50〜100モル%、70〜99モル%など)を設定してもよい(他も同じ)。
代表的には、芳香族ジアミン成分全体におけるODA(特に4,4’−ODA)の割合は、50〜100モル%(例えば、55〜100モル%)、60〜100モル%(例えば、65〜100モル%)などであってもよく、70〜100モル%であってもよい。
本発明のポリイミドフィルムは、酸無水物成分として、特に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を好適に含んでいてもよい。
酸無水物成分は、ピロメリット酸二無水物以外のものを含んでいてもよい。
このようなピロメリット酸二無水物以外の酸無水物成分の具体例としては、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ジフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸(例えば、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−デカヒドロナフタレンテトラカルボン酸、4,8−ジメチル−1,2,5,6−ヘキサヒドロナフタレンテトラカルボン酸、2,6−ジクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,7−ジクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸)、1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンなどの酸及びこれらのアミド形成性誘導体などの酸無水物(二無水物など)が挙げられ、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物などが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
酸無水物成分がPMDAを含む場合、酸無水物成分全体におけるPMDAの割合は、例えば、50モル%以上(例えば、55モル%以上)であり、好ましくは60モル%以上(例えば、65モル%以上)、より好ましくは70モル%以上(例えば、75モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上)であってもよい。
酸無水物成分全体におけるPMDAの割合の上限値は、特に限定されず、例えば、100モル%、99モル%、95モル%、90モル%、85モル%、80モル%などであってもよい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、50〜100モル%、70〜99モル%など)を設定してもよい(他も同じ)。
代表的には、酸無水物成分全体におけるPMDAの割合は、50〜100モル%(例えば、55〜100モル%)、60〜100モル%(例えば、65〜100モル%)などであってもよく、70〜100モル%であってもよい。
本発明では、特に、ODA(特に4,4’−ODA)を含む芳香族ジアミン成分と、PMDAを含む酸無水物成分とを少なくとも重合成分とすることが好ましい。例えば、パラフェニレンジアミンと4,4’−ODAをモル比45/55〜0/100(好ましくは、40/60〜0/100)で含み、PMDAと3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物をモル比100/0〜50/50(好ましくは、100/0〜60/40)で含む組み合わせなど挙げられる。
また、本発明において、ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は2種以上を使用した混合物として用いるのが望ましいが、さらにはキシレン、トルエン等の芳香族炭化水素の使用も可能である。
重合方法は、公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば
(1)先に芳香族ジアミン成分全量を溶媒中に入れ、その後、酸無水物成分を芳香族ジアミン成分全量と当量(等モル)になるように加えて重合する方法。
(2)先に酸無水物成分全量を溶媒中に入れ、その後、芳香族ジアミン成分を酸無水物成分と当量になるように加えて重合する方法。
(3)一方の芳香族ジアミン成分(a1)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の酸無水物成分(b1)が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン成分(a2)を添加し、続いて、もう一方の酸無水物成分(b2)を全芳香族ジアミン成分と全酸無水物成分とがほぼ当量になるように添加して重合する方法。
(4)一方の酸無水物成分(b1)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン成分(a1)が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の酸無水物成分(b2)を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン成分(a2)を全芳香族ジアミン成分と全酸無水物成分とがほぼ当量になるように添加して重合する方法。
(5)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分と酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(A)を調整し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分と酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(B)を調整する。こうして得られた各ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。この時ポリアミック酸溶液(A)を調整するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では酸無水物成分を過剰に、またポリアミック酸溶液(A)で酸無水物成分が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と全酸無水物成分とがほぼ当量になるように調整する。
なお、重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。
こうして得られるポリアミック酸溶液は、通常5〜40重量%の固形分を含有し、好ましくは10〜30重量%の固形分を含有する。また、その粘度は、ブルックフィールド粘度計による測定値で通常10〜2000Pa・sであり、安定した送液のために、好ましくは100〜1000Pa・sである。また、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
<無機粒子>
無機粒子としては、特に限定されないが、例えば、酸化物(例えば、シリカ、酸化チタンなど)、無機酸塩{例えば、リン酸塩(例えば、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、二りん酸カルシウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウムなど)}などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無機粒子の中でも、ポリイミドフィルム内部から昇華するときに発生するガスによって良好な発泡(膨れ)が生じ、熱伝導性に優れたグラファイトシートを得やすいなどの観点から、リン酸塩を含むことが好ましく、リン酸水素塩(例えば、リン酸水素カルシウム)を含むことがより好ましい。特に、リン酸水素塩などのリン酸塩を主成分とする(全無機粒子のうち、例えば、50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%含む)ことが好ましい。
無機粒子(分散に供する無機粒子)の平均粒子径は、ポリイミドフィルム中の無機粒子の凝集を低減でき、ポリイミドフィルム焼成時の無機粒子の昇華ガスによる発泡が均一になるなどの観点から、体積平均径が、例えば、1.0〜3.5μmであり、好ましくは1.5〜3.0μm、より好ましくは2.0〜2.5μmであってもよい。
なお、無機粒子の平均粒子径の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述の実施例に記載の方法を用いてもよい。
無機粒子の粒度分布は、ポリイミドフィルムの易滑性やグラファイトシートの物性(柔軟性、破断強度など)などの観点から、比較的狭いことが好ましい。
具体的には、平均粒子径(体積平均径)1.0〜3.5μmの無機粒子が、全無機粒子中80体積%以上(例えば、80〜100体積%)の割合を占めることが好ましい。
なお、無機粒子の粒度分布の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述の実施例に記載の方法を用いてもよい。
<ポリイミドフィルムの製造方法>
ポリイミドフィルムの製造においては、まず、ポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体)と無機粒子とを混合する。
ポリアミック酸溶液と無機粒子の混合方法は、特に限定されず、ポリアミック酸溶液に無機粒子を添加(混合)してもよいし、無機粒子の存在下でポリアミック酸を重合してもよい。
ポリアミック酸溶液に無機粒子を添加(混合)する場合、無機粒子は、溶媒中に分散されたスラリー(無機粒子スラリー)としてポリアミック酸溶液と混合することが、無機粒子の凝集抑制などの観点から好ましい。また、無機粒子スラリーの粘度は、例えば、1〜20poise(ポイズ)、好ましくは5〜15poise、より好ましくは7〜12poiseであってもよい。さらには、混合するポリアミック酸溶液との粘度の差は、例えば、100poise以下、好ましくは50poise以下、より好ましくは10poise以下であってもよい。
溶媒としては、特に限定されず、前記例示の溶媒を使用することができ、ポリアミック酸の重合溶媒と同一の溶媒であってもよい。
無機粒子スラリーの製造方法は、特に限定されないが、ミキサーなどを用いて無機粒子と溶媒とを混合してもよい。ミキサーとしては、特に限定されないが、例えば、高速ディスパー、ホモミキサー、ボールミル、コーレスミキサー、撹拌式ディスパーなどが挙げられる。
無機粒子スラリー中の無機粒子の濃度は、特に限定されないが、無機粒子スラリー全体において、例えば、1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは1〜40重量%程度であってもよい。
なお、無機粒子スラリーとしては、無機粒子が溶媒中に予め分散された市販品を使用してもよい。
無機粒子の添加量は、ポリイミドを形成したときにポリイミド樹脂100重量部に対して、例えば、0.03重量部以上(例えば、0.04重量部以上)、好ましくは0.05重量部以上となる量であってもよい。
無機粒子の添加量の上限値は、ポリイミドを形成したときにポリイミド樹脂100重量部に対して、例えば、1重量部以下(例えば、0.9重量部以下)、好ましくは0.8重量部以下(例えば、0.7重量部以下)、より好ましくは0.6重量部以下(例えば、0.58重量部以下、0.55重量部以下)となる量であってもよい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、0.05〜1重量部など)を設定してもよい(他も同じ)。
代表的には、無機粒子の添加量は、ポリイミドを形成したときにポリイミド樹脂100重量部に対して、0.03〜0.8重量部、0.04〜0.8重量部、0.05〜0.8重量部となる量などであってもよい。
無機粒子が混合されたポリアミック酸溶液は、フィルター処理を行うことが好ましい。このようなフィルター処理工程を経ることによって、本発明のポリイミドフィルムを効率よく得やすい。
フィルターの濾過精度は、JISK3832に記載の方法でイソプロピルアルコール中でのバブルポイントを求め、下記式(1)により孔径形状を円形と仮定した最大孔径によって示される。
D=4γ×cosθ/P・・・式(1)
ここで、Dは最大孔径(m)、γはイソプロピルアルコールの表面張力(N/m)、θはフィルター素材とイソプロピルアルコールとの接触角(rad)、Pはバブルポイント(Pa)を表す。
この濾過精度が10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下であってもよい。
フィルターの材質は、特に限定されないが、例えば、高分子素材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン)、金属(例えば、ステンレス)などが挙げられる。
上記のようにして得られた無機粒子を含むポリアミック酸溶液は、支持体に供給され、支持体上でフィルム化される。
具体的には、支持体上で、ポリアミック酸を環化することにより、ゲルフィルム(自己支持性を有するフィルム)が得られる。
ゲルフィルムは、通常、ポリアミック酸溶液を、支持体上に流延(塗布)して部分的に乾燥及び硬化(イミド化)させることで得ることができる。
なお、支持体への供給方法は、特に限定されないが、例えば、スリットを備えた口金から吐出する方法などであってもよい。
支持体としては、特に限定されないが、例えば、金属製の回転ドラム、エンドレスベルトなどが挙げられる。
支持体の温度は、特に限定されず、例えば、30〜200℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃であってもよい。
なお、支持体の温度は、(i)液体又は気体の熱媒体、(ii)電気ヒーター等の輻射熱等により制御できる。
フィルム化工程において、ポリアミック酸を環化反応させる方法は、環化(イミド化)の方法(熱閉環法、化学閉環法)によって大別される。
具体的には、(i)熱閉環法では、ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし、加熱して、熱的に脱水環化させてゲルフィルムを得てもよい。一方、(ii)化学閉環法では、ポリアミック酸溶液を触媒(環化触媒)及び脱水剤(転化剤)により化学的に脱環化させてゲルフィルムを得てもよい。
本発明では、特に化学閉環法を好適に利用してもよい。
環化触媒としては、アミン類、例えば、脂肪族第3級アミン(トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなど)、芳香族第3級アミン(ジメチルアニリンなど)、複素環第3級アミン(例えば、イソキノリン、ピリジン、β−ピコリンなど)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、β−ピコリンなどの複素環第3級アミンが好ましい。
脱水剤としては、酸無水物、例えば、脂肪族カルボン酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸など)、芳香族カルボン酸無水物(例えば、無水安息香酸など)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましく、特に無水酢酸が好ましい。
環化触媒及び脱水剤の使用量は、特に限定されないが、それぞれ、ポリアミック酸のアミド基(又はカルボキシル基)1モルに対して、例えば、1モル以上(例えば、1.5〜10モル)程度であってもよい。
なお、環化触媒や脱水剤をポリアミック酸溶液に添加(混合)するタイミングは、ゲルフィルムを形成できる限り、特に限定されないが、ポリアミック酸溶液と無機粒子とを混合後に添加する場合が多い。
なお、環化触媒や脱水剤は、適当な溶媒に溶解又は分散して混合してもよい。溶媒としては、前記例示の溶媒が挙げられる。
乾燥方法としては、特に限定されず、部分的にイミド化するとともに乾燥してもよい。例えば、ポリアミック酸溶液を支持体上でフィルム状に成型しつつ、支持体からの受熱、熱風又は電気ヒーター等の熱源からの受熱により、閉環しつつ遊離した有機溶媒などの揮発分を乾燥させることによりゲルフィルムとしてもよい。
フィルム化工程で得られたフィルム(ゲルフィルム)をイミド化(さらにイミド化)することで、ポリイミドフィルムが得られる。
イミド化は、例えば、得られたゲルフィルムを熱処理する工程(イミド化工程)を経て得ることができる。なお、熱処理により、乾燥(及び脱溶媒)及びイミド化が進行する。
イミド化工程は、支持体上で行ってもよく、支持体から剥離したゲルフィルムに対して行ってもよい。
なお、イミド化工程の前に、ゲルフィルムを乾燥(及び脱溶媒)処理する工程を経てもよい。
熱処理や乾燥処理は、ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱炉(テンター加熱炉など)を通過させることによって行ってもよい。
乾燥処理を行う場合、乾燥温度は、特に限定されないが、例えば、50℃以上、好ましくは55℃以上、さらに好ましくは60℃以上であってもよい。
乾燥処理を行う場合、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、15秒〜30分程度であってもよい。
熱処理温度は、特に限定されないが、例えば、200℃以上(例えば、250〜600℃)、好ましくは300℃以上、さらに好ましくは350℃以上であってもよい。
熱処理時間は、特に限定されないが、例えば、15秒〜30分程度であってもよい。
また、熱処理は、延伸処理をしながら行ってもよい。
延伸処理は、MD方向、TD方向のいずれに対して行ってもよく、MD方向とTD方向の両方に対して行ってもよい。MD方向とTD方向の両方に対して延伸を行う場合、延伸方向の順番は、特に限定されないが、MD方向への延伸を行ってから、TD方向への延伸を行うことが好ましい。なお、MD方向やTD方向の延伸は、多段階であってもよい。
MD方向の延伸倍率(MDX)は、ポリイミドフィルムの厚みなどによって調整しうるが、例えば、1.01〜1.3倍であり、好ましくは1.05〜1.3倍、さらに好ましくは1.05〜1.25倍であってもよい。
TD方向の延伸倍率(TDX)は、ポリイミドフィルムの厚みなどによって調整しうるが、例えば、1.01〜1.33倍であり、好ましくは1.05〜1.30倍、さらに好ましくは1.15〜1.30倍であってもよい。
ポリイミドフィルムの厚みは、所定の厚みとなるように、固形分濃度、粘度、支持体に流延するポリマー量などを調整してもよい。
<ポリイミドフィルム>
本発明のポリイミドフィルムにおいて、無機粒子の含有量は、ポリイミドフィルム中のポリイミド樹脂100重量部に対して、例えば、0.03重量部以上(例えば、0.04重量部以上)であり、好ましくは0.05重量部以上であってもよい。
無機粒子の含有量の上限値は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、例えば、1重量部以下(例えば、0.9重量部以下)であり、好ましくは0.8重量部以下(例えば、0.7重量部以下)、より好ましくは0.6重量部以下(例えば、0.58重量部以下、0.55重量部以下)であってもよい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、0.05〜1重量部など)を設定してもよい(他も同じ)。
代表的には、無機粒子の含有量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、0.03〜0.8重量部、0.04〜0.8重量部、0.05〜0.8重量部などであってもよく、好ましくは0.1〜0.2重量部であってもよい。
特に、0.05重量部以上であると、ポリイミドフィルム中に分散された無機粒子がフィルム内部から昇華するときに発生するガスが多くなり、また、圧延処理を加えて得られたグラファイトシートの物性(例えば、柔軟性、破断強度など)が優れるなどの観点から、好ましい。また、0.8重量部以下であると、ポリイミドフィルム中の無機粒子の凝集を抑制できるため、ポリイミドフィルム焼成時の無機粒子の昇華ガスによる部分的な過度の発泡を抑制でき、また、グラファイトシート上の表面突起を低減できるなどの観点から好ましい。
ポリイミドフィルムのヘイズ値は、ポリイミドフィルムの厚みなどによって適宜変更しうるが、例えば、1.0〜40.0%であり、好ましくは5.0〜20.0%などであってもよい。
例えば、厚み60μmのポリイミドフィルムであれば、ポリイミドフィルムのヘイズ値は、例えば、5.0〜20.0%であり、好ましくは6.0〜15.0%、より好ましくは9.0〜12.0%であってもよい。
なお、ヘイズ値は、測定点2点以上(例えば、2〜10点など)の平均値であってもよい。ヘイズ値が平均値である場合、測定点は、特に限定されない。
ポリイミドフィルムのヘイズ値の標準偏差は、例えば、0.4%以下(例えば、0.35%以下、0.3%以下、0.25%以下、0.2%以下、0.15%以下)であり、好ましくは0.1%以下であってもよい。
なお、ヘイズは、JIS K―7105(1981)に従って測定することができる。
また、本発明のポリイミドフィルムは、無機粒子の最大分散径(最大分散粒子径)が、比較的小さく、例えば、10μm以下(例えば、3〜10μm、5〜10μm)であってよい。
なお、本発明において、無機粒子の分散径とは、通常、ポリイミドフィルム中に分散された無機粒子の粒子径のことであり、一次粒子径のみならず、二次粒子径(凝集粒子の粒子径)を含む。すなわち、無機粒子の最大分散径とは、ポリイミドフィルムにおける無機粒子の最大粒子径のことをいう。
なお、無機粒子の分散径の測定方法は、特に限定されず、後述の実施例に記載の方法を使用してもよい。
ポリイミドフィルムの厚みは、用途などに応じて適宜選択できるが、例えば、10μm以上(例えば、20μm以上)であり、好ましくは25μm以上(例えば、30μm以上、40μm以上、50μm以上)であってもよい。
ポリイミドフィルムの厚みの上限は、特に限定されないが、例えば、200μm以下、180μm以下、150μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下などであってもよい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、10〜150μm、25〜90μmなど)を設定してもよい(他も同じ)。
ポリイミドフィルムは、比較的大きいサイズを有していてもよい。このようなポリイミドフィルムの長さは、例えば、1m以上(例えば、5m以上)、10m以上(例えば、20m以上)であり、好ましくは30m以上(例えば、40m以上)、さらに好ましくは50m以上(例えば、100m以上)であってもよく、200m以上、300m以上、500m以上、1000m以上、2000m以上、3000m以上、5000m以上などであってもよい。
ポリイミドフィルムの幅は、特に限定されないが、例えば、30mm以上(例えば、45mm以上、75mm以上、100mm以上)、好ましくは150mm以上(例えば、155mm以上)、さらに好ましくは200mm以上(例えば、250mm以上)であってもよく、500mm以上、1000mm以上、1500mm以上、2000mm以上などであってもよい。
ポリイミドフィルムは、巻き取られた状態、すなわち、ロール状(ロール)であってもよい。
本発明のポリイミドフィルムは、特に、グラファイトシート用などとして好適である。
すなわち、本発明は、本発明のポリイミドフィルムで形成されたグラファイトシートも包含する。
<グラファイトシートの製造方法>
本発明のグラファイトシートは、本発明のポリイミドフィルムを焼成(及びグラファイト化)することにより得ることができる。
グラファイトシートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下に説明する方法を用いてもよい。
グラファイトシートの製造においては、まず、ポリイミドフィルムを所定の寸法に切断し、ポリイミドフィルムのフィルム面を水平に又はフィルム面を(例えば、垂直に)立ててグラファイト製の保持容器に入れる。
次いで、ポリイミドフィルムが投入された保持容器を加熱し、ポリイミドフィルムを焼
成することにより、グラファイト化を行う。焼成方法には、公知の加熱手段を使用してよい。
グラファイト化の焼成(以下、本加熱処理ともいう)の温度は、例えば、2000℃以
上(例えば、2000〜3500℃)であり、好ましくは2400℃以上(例えば、2400〜3500℃)、より好ましくは2600℃以上(例えば、2600〜3500℃)であってもよい。
また、最終焼成温度は、2700℃以上(例えば、2700〜3500℃)が好ましく
、2800℃以上(例えば、2800〜3500℃)がより好ましく、3000℃近辺(
例えば、3000〜3500℃)がさらに好ましい。
焼成温度が3500℃以下であれば、焼成炉の耐熱劣化が小さく、長時間の生産が可能
となる。最高焼成温度が2000℃以上であれば、得られるグラファイトシートが柔軟か
つ強固となる傾向がある。
焼成時の昇温速度は、特に限定されないが、例えば、1〜10℃/分程度であってもよい。
また、焼成時間は、特に限定されない。
焼成は、通常、不活性ガス中で行われる。不活性ガスとしては、特に限定されず、ヘリ
ウム、アルゴン、窒素等が挙げられるが、アルゴンを用いるのが好ましい。また、焼成時
の圧力は、特に限定されず、常圧であってもよい。
前記焼成(本加熱処理)の前に、必要に応じて、予備加熱処理を行ってもよい。予備加
熱処理の温度は、本加熱処理の温度より低い温度が好ましい。
具体的には、900℃以上1500℃以下程度が好ましい。
予備加熱処理の昇温速度は、特に限定されないが、例えば、1〜15℃/分程度であってもよい。予備加熱処理も、通常、不活性ガス中で行われる。不活性ガスとしては、上記例示のものを使用してよい。
なお、予備加熱処理の時間は、特に限定されない。
ポリイミドフィルムを焼成して得られたグラファイトシートは、さらに、圧延処理を行うことが好ましい。圧延処理方法は、特に限定されないが、例えば、圧延ローラで挟み込んでもよい。
圧延処理によって、ポリイミドフィルムの焼成によって生じたグラファイトシートの膨れによる厚みムラを小さくできる。また、圧延処理によって、グラファイトシートの密度を大きくし熱伝導性を高めることができる。
<グラファイトシート>
上記のようにして得られた本発明のグラファイトシートは、表面の直径0.1mm以上の突起欠陥の数が、例えば、4個/1m以下であり、好ましくは3個/1m以下(例えば、2個/1m以下)、より好ましくは1個/1m以下である。
なお、表面の突起欠陥の数は、後述の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
グラファイトシートの熱拡散係数は、例えば、7cm/s以上(例えば、7〜15cm/s)であってもよい。
熱拡散係数の測定方法は、特に限定されないが、後述の実施例に記載の方法を用いて測定してもよい。
グラファイトシートの破断強度は、例えば、10MPa以上(例えば、10〜200MPa)であり、好ましくは15MPa以上(例えば、15〜200MPa)であり、より好ましくは20MPa以上(例えば、30〜200MPa)であってもよい。
破断強度の測定方法は、特に限定されないが、後述の実施例に記載の方法を用いて測定してもよい。
本発明のグラファイトシートの用途は、特に限定されず、例えば、放熱部材[例えば、小型携帯電子機器(例えば、スマートフォンなど)の放熱部材]などに使用してもよい。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
(合成例)
ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、ピロメリット酸二無水物:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(モル比)で85:100の割合で用意し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)中22.0重量%溶液にして重合し、10poiseのポリアミック酸溶液を得た。
(実施例1)
平均粒子径2.2μm、粒子径1.0〜3.5μmの粒子が全粒子中81.5体積%のリン酸水素カルシウムのN,N−ジメチルアセトアミドスラリー(スラリー中、リン酸水素カルシウムを6重量%含む)を、合成例で得たポリアミック酸溶液に、ポリイミドを形成したときにポリイミド樹脂100重量部に対してリン酸水素カルシウムが0.10重量部となるように添加し、室温で10分間攪拌し、無機粒子をポリアミック酸溶液中に分散させた。その後、ピロメリット酸二無水物を追加して300poiseのポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液を濾過精度5μmのカットフィルター(日本精線製ナスロンフィルター、型式NF−05C)に通した後、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、ピロメリット酸二無水物:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(モル比)で1:1の割合となるようにピロメリット酸二無水物を添加し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)中23.7重量%溶液にして重合し、4000poiseのポリアミック酸溶液を得た。ここで得られたポリアミック酸溶液に無水酢酸とβ−ピコリンからなる添加剤を、ポリアミック酸に対し、それぞれ2.0モル当量の割合で混合し、攪拌した。
得られた混合物を、口金より回転する65℃のステンレス製ドラム上にキャストし、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。
このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて250℃×30秒、400℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ60μmのポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムを幅250mm×長さ600mmの寸法に切断し、グラファイト製の円筒形の有低保持容器にフィルム面を垂直に立てて入れた。
続いて、アルゴンガス中で3℃/分で1000℃まで昇温させて1時間保持し、更に3000℃まで3℃/分で昇温させて1時間保持してポリイミドフィルムを焼成し、グラファイト化を行った。
得られたグラファイトシートを2つの圧延ロール間に挟み込み、圧延処理を行って圧延し、厚さ32μmのグラファイトシートを得た。
(実施例2〜4)
無機粒子の添加量を表1に記載の量とした以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム及びグラファイトシートを得た。
(実施例5〜6)
リン酸水素カルシウムを表1に記載の平均粒子径のものとした以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム及びグラファイトシートを得た。
(実施例7〜8)
ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル比の割合を調整することによりスラリー添加時のポリアミック酸溶液の粘度を表1に記載の粘度とした以外は実施例1と同様にし、ポリイミドフィルム及びグラファイトシートを得た。
(実施例9〜10)
ドラムの回転速度、ゲルフィルムの搬送速度を調整することによりポリイミドフィルムの厚みを表1に記載の厚みとした以外は実施例1と同様にし、ポリイミドフィルム及びグラファイトシートを得た。
(比較例1)
平均粒子径2.2μm、粒子径1.0〜3.5μmの粒子が全粒子中81.5体積%のリン酸水素カルシウムのN,N−ジメチルアセトアミドスラリー(スラリー中、リン酸水素カルシウムを6重量%含む)を濾過精度5μmのカットフィルター(日本精線製ナスロンフィルター、型式NF−05C)に通した後、合成例で得たポリアミック酸溶液に分散させ、さらにピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、ピロメリット酸二無水物:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(モル比)で1:1の割合となるようにピロメリット酸二無水物を添加し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)中23.7重量%溶液にして重合し、4000poiseのポリアミック酸溶液を得た。以降は実施例1と同様にし、ポリイミドフィルム及びグラファイトシートを得た。
得られたポリイミドフィルム及びグラファイトシートを、以下の方法によって評価した。結果を表1及び表2に示す。
<ポリイミドフィルムに添加する無機粒子の評価>
株式会社堀場製作所社製のレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用い、極性溶媒に分散させた試料を測定し、レーザー回折および散乱光強度パターンを解析した結果から、体積平均径として、粒子径範囲、平均粒子径、粒子径1.0〜3.5μmの粒子が全粒子中に対する占有率を読み取った。
<ポリイミドフィルム中の無機粒子の分散径>
株式会社キーエンス社製のマイクロスコープVHX−2000を用い、50cmのポ
リイミドフィルム中に存在する無機粒子の分散粒子径を透過モードにて観察し、分散粒子径が10μm以上の粒子の個数、最大分散粒子径とその個数を読み取った。
<ポリイミドフィルムのヘイズ値のばらつき>
長さ100mのポリイミドフィルムにおいて、ヘイズ(曇価)値を、JIS K―7105(1981)に従って、MD方向に等間隔で500点測定し、ヘイズ値の標準偏差(σ)を求めた。
<ポリイミドフィルムの厚み、グラファイトシートの厚み>
ポリイミドフィルム及びグラファイトシートの厚みは、Mitutoyo社製ライトマチック(Series318)を使用して測定した。
<グラファイトシート表面の突起欠陥>
株式会社キーエンス社製のマイクロスコープVHX−2000を用い、1mのグラファイトシートの表面を観察し、Φ(直径)0.1mm以上のサイズの突起欠陥の数を評価した。
<グラファイトシートの破断強度>
株式会社島津製作所社製のオートグラフAGS−Xを用い、測定温度:25℃、チャック間距離:50mm、引張速度:25mm/分、試験片:幅10mmの条件測定し、以下の基準で評価した。
良好(○):10MPa以上
不良(×):10MPa未満
<グラファイトシートの柔軟性>
100mm(縦)×100mm(幅)のグラファイトシートを、縦方向の端部同士あるいは幅方向の端部同士がぴったりと重なるように折り曲げた後、シートの折り目の中央部に100gの荷重を3秒間押圧し、徐荷した後のシートを元の状態に戻し、目視により以下の評価基準で評価した。この評価方法においてシートがほぼ元の状態に戻ることを柔軟性が良好と評価した。
良好(○):シートがほぼ元の状態に戻る
不良(×):シートが部分的に変形する
<グラファイトシートの熱拡散係数>
NETZSCH株式会社製の熱伝導率測定装置LFA447を用い、キセノンフラッシュ法、測定温度:25℃、光源:キセノンフラッシュランプ、IR検出器:InSb検出器(液体窒素冷却)の条件でシート面方向の熱拡散係数を測定し、以下の基準で評価した。
良好(○):7cm/s以上
不良(×):7cm/s未満
<フィルターのライフ>
フィルターのライフは、連続運転可能日数が30日以上を○、29日以下を×として評価した。
表1が示すように、実施例のポリイミドフィルムは、無機粒子の最大分散径が10μm以下であった。
また、実施例のポリイミドフィルムは、ヘイズ値のばらつきが少なかった。
表2が示すように、実施例では、良好な物性を有するグラファイトシートが得られた。
また、実施例では、表面の突起欠陥が少ないグラファイトシートが得られた。
本発明は、グラファイトシート用などとして有用なポリイミドフィルムを提供できる。

Claims (11)

  1. ヘイズ値の標準偏差が0.4%以下である、無機粒子が分散されたグラファイトシート用ポリイミドフィルム。
  2. 無機粒子が分散されたポリイミドフィルムであって、無機粒子の最大分散径が10μm以下であるグラファイトシート用ポリイミドフィルム。
  3. ポリイミドを構成する重合成分が、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを含む芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物を含む酸無水物成分とを少なくとも含む、請求項1、2のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  4. 無機粒子を溶媒中に分散させた無機粒子スラリーとポリアミック酸溶液の混合物をフィルター処理して得られるポリアミック酸溶液をイミド化して得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  5. 無機粒子の割合が、ポリイミド樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部である請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  6. 無機粒子が、リン酸水素カルシウムを主成分とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  7. 厚みが25〜80μmである請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  8. 表面の直径0.1mm以上の突起欠陥が1個/1m以下のグラファイトシートを形成するための請求項1〜7のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  9. 無機粒子とポリアミック酸溶液の混合物をフィルター処理する工程を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリイミドフィルムを原料として含む、表面の直径0.1mm以上の突起欠陥が1個/1m以下のグラファイトシート。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載のポリイミドフィルムを焼成する工程を含むグラファイトシートの製造方法。
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