JP2023118244A - 低収縮炭材の粒度決定方法及びコークスの製造方法 - Google Patents

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【課題】低収縮炭材の粒度を最適な粒度に設定することによって、コークスのMSを拡大しながら、DI,CSRの低下を抑制する。【解決手段】低収縮炭材の粒度決定方法であって、粒度区分が互いに異なる複数の低収縮炭材をそれぞれ石炭に添加して、試験コークス炉で乾留した後、MS、DI及びCSRを取得する第1ステップと、ベースコークスに対するMS拡大代を、粒度区分毎に算出する第2ステップと、ベースコークスに対するDI低下代を、粒度区分毎に算出する第3ステップと、ベースコークスに対するCSR低下代を、粒度区分毎に算出する第4ステップと、DI低下代とMS拡大代との比である第1の評価値、CSR低下代とMS拡大代との比である第2の評価値を粒度区分毎に算出し、これらの第1及び第2の評価値の大小に基づき、低収縮炭材の最適な粒度区分を少なくとも一つ決定する第5ステップと、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、コークスの原料である石炭に添加される低収縮炭材の粒度を決定する粒度決定方法等に関する。
高炉用コークスは、炉内通気性を確保するための充填材として用いられる。このため、高炉用コークスの品質管理指標として、コークス強度(以下、「DI」ともいう)を維持しながら、コークス粒径を拡大することが求められている。コークス粒径を拡大する方法として、粉コークス等の低収縮炭材を配合炭に添加する方法が知られている。低収縮炭材は、石炭の軟化溶融時に膨張せず、石炭の再固化時に収縮し難い組織であるため、石炭膨張時に石炭粒子間の接着を阻害するとともに、石炭収縮時に亀裂を発生させ、DIを低下させる。
特許文献1には、コークスの平均粒径(以下、「MS」ともいう)及びDIに与える低収縮炭材の影響度を低収縮炭材の粒度毎に予め求め、MS及びDIの目標値を満足するように、配合調整等を行う方法が提案されている。
高炉用コークスには、DIに加えて、熱間反応後強度(以下、「CSR」ともいう)が高いことも求められている。CSRが低いと、炉内反応後のコークスの粉化量が増大して、高炉の通気性が阻害されるからである。また、コークスの反応性指数(以下、「CRI」ともいう)が低いことも求められている。CRIが高いと、炉内での反応性が高くなり、CSRの場合と同様にコークスの粉化量が増大する。
特開2011-26514号公報
MacPhee et al., Fuel Processing technology, p.16 (2009)
特許文献1には、低収縮炭材の添加によるコークス粒径の拡大及びDIの向上を両立することは開示されているが、DI以外の品質管理指標であるCSRについては何ら考慮されていない。
また、非特許文献1には、60mesh(0.22mm)以下に粉砕した低収縮炭材の一種であるchar coal(以下、「小径char coal」ともいう)と、1/4~3/8inch(6.4~9.5mm)に整粒したchar coal(以下、「大径char coal」ともいう)とを比較して、小径char coalは大径char coalよりもCRIが高くCSRが低くなることが開示されている。この知見によれば、一般的に、粒径が大きい低収縮炭材ほど、CRIが小さくなるためCSRが大きくなるものと予測される。
ただし、小径char coal及び大径char coalの間の粒度については開示がなく、また、製鉄所で広く使用される粉コークスについては開示がない。
本発明は、低収縮炭材の粒度を最適な粒度に設定することによって、コークスのMSを拡大しながら、DI,CSRの低下を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る低収縮炭材の粒度決定方法は、(1)コークスの原料である石炭に添加される低収縮炭材の粒度決定方法であって、コークスの平均粒径をMS、コークスの強度をDI、コークスの熱間反応後強度をCSRと定義したとき、粒度区分が互いに異なる複数の低収縮炭材をそれぞれ石炭に添加して、試験コークス炉で乾留した後、MS、DI及びCSRを取得する第1ステップと、石炭に低収縮炭材を添加せずに試験コークス炉で乾留して得られたコークス(以下、「ベースコークス」という)のMSと前記第1ステップで取得したMSとの差分を低収縮炭材の添加率で除したMS拡大代を、粒度区分毎に算出する第2ステップと、ベースコークスのDIと前記第1ステップで取得したDIとの差分を低収縮炭材の添加率で除したDI低下代を、粒度区分毎に算出する第3ステップと、ベースコークスのCSRと前記第1ステップで取得したCSRとの差分を低収縮炭材の添加率で除したCSR低下代を、粒度区分毎に算出する第4ステップと、DI低下代とMS拡大代との比である第1の評価値、CSR低下代とMS拡大代との比である第2の評価値を粒度区分毎に算出し、これらの第1及び第2の評価値の大小に基づき、低収縮炭材の最適な粒度区分を少なくとも一つ決定する第5ステップと、を有することを特徴とする。
(2)低収縮炭材が粉コークスの場合、前記第5ステップにおいて決定した最適な粒度区分は、0.074mm超0.3mm以下の範囲に含まれることを特徴とする上記(1)に記載の低収縮炭材の粒度決定方法。
(3)本発明に係るコークスの製造方法は、上記(1)又は(2)に記載の低収縮炭材の粒度決定方法にしたがって決定した最適な粒度区分に含まれる低収縮炭材を選択する低収縮炭材選択ステップと、MSの目標値を満足するように、前記低収縮炭材選択ステップで選択した低収縮炭材の石炭に対する添加率を決定する第1の添加率決定ステップと、前記第1の添加率決定ステップで決定した添加率にしたがって低収縮炭材を石炭に添加したときのDI低下量及びCSR低下量を補償するのに必要な粘結補填材の添加率をそれぞれ算出し、これらの算出した添加率のうち高い添加率を粘結補填材の添加率として決定する第2の添加率決定ステップと、前記第1の添加率決定ステップ及び前記第2の添加率決定ステップで決定した添加率にしたがって低収縮炭材及び粘結補填材を石炭に添加し、コークス炉で乾留する乾留ステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、低収縮炭材の粒度を最適な粒度に設定することによって、コークスのMSを拡大しながら、DI,CSRの低下を抑制することができる。
添加する粉コークスの粒度区分とMSとの関係を示す棒グラフである。 添加する粉コークスの粒度区分とDIとの関係を示す棒グラフである。 添加する粉コークスの粒度区分とCRIとの関係を示す棒グラフである。 添加する粉コークスの粒度区分とCSRとの関係を示す棒グラフである。 添加する粉コークスの粒度区分とDI低下代/MS拡大代との関係を示す棒グラフである。 添加する粉コークスの粒度区分とCSR低下代/MS拡大代との関係を示す棒グラフである。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である、低収縮炭材の粒度決定方法について説明する。本実施形態の低収縮炭材の粒度決定方法は、高炉用コークスの原料である石炭に添加される低収縮炭材の粒度決定方法であり、以下のステップ1~ステップ5を含む。
(ステップ1)
粒度区分が互いに異なる複数の低収縮炭材をそれぞれ石炭に添加して、試験コークス炉で乾留した後、MS、DI及びCSRを取得する。
本明細書では、収縮率が10%以下の炭材を低収縮炭材と定義する。収縮率は、容器内に装入された低収縮炭材(試料)を電気炉等を用いて常温から再固化温度よりも充分に高いT℃(例えばT=1000℃)まで加熱し、再固化温度と1000℃における試料の容積の差または長さの差を、再固化温度における容積または長さで除することによって求めることができる。なお、昇温速度はコーク炉内の昇温速度を模擬した3℃/分とすることが推奨される。
ちなみに、再固化温度は、ピストン式の収縮率測定装置(特開2005-232349号公報参照)を用いて昇温過程における試料の変位を観察し、変位が急増したときの温度から把握することができる。
なお、粉コークスなどの軟化溶融性のない低収縮炭材は再固化しないため、室温を再固化温度として前述の手法によって収縮率を測定してもよい。
低収縮炭材として、粉コークス、石油コークス、イナート組織、半無煙炭等を用いることができる。粉コークスには、例えば、製鉄所で得られる粉コークスを用いることができる。
粒度区分については、精度向上のため、少なくとも3区分に区分けすることが望ましい。粒度区分の上限は、特に規定しないが、処理が煩雑となるため7区分程度に設定するのが望ましい。また、各粒度区分の幅は、粒度区分間においてMS、DI及びCSRに有意な差が生じるような適宜の値に設定することが望ましい。
MSは、「JIS K2151」にしたがったドラム試験を行うことにより取得してもよい。具体的には、サンプルをドラム試験装置に供し、30回転後の25mmより大きなサンプルからコークスのMSを取得することもできる。なお、例えば上述の特許文献1に記載されているように、低収縮炭材の種類や長さの影響度を考慮して、MSを予測することもできる。
CSRの取得方法は、例えば以下の通りである。低収縮炭材を添加した石炭を試験コークス炉で乾留することによってコークスを製造し、20±1mmの大きさに調整したコークス200gを所定の条件(ガス組成:二酸化炭素100%、反応温度1100℃、反応時間2時間)で反応させる。反応後に、I型ドラム内で600回転させた後、反応後質量に対する9.56mm篩上質量百分率を求め、これをCSRとすることができる。
DIは、前述の試験コークス炉で得られたコークスをドラム試験(JIS K2151参照)に供することによって取得できる。すなわち、ドラム150回転後15mm篩上指数(DI150 15)を、DIとすることができる。また、例えば上述の特許文献1に記載されているように、低収縮炭材の種類や長さの影響度を考慮して、DIを予測してもよい。
低収縮炭材の添加率は、好ましくは3質量%(外数)以上である。低収縮炭材の添加率が過度に低下すると、特にCSRに与える影響が小さくなり、測定誤差を考慮すると、特にCSRの変化代を正確に把握できなくなる。
(ステップ2)
石炭に低収縮炭材を添加せずに試験コークス炉で乾留して得られたコークス(以下、「ベースコークス」という)のMSとステップ1で取得したMSから、低収縮炭材の添加によるMSの拡大代(以下、「MS拡大代」ともいう)を粒度区分毎に算出する。具体的には、ステップ1で取得したMSからベースコークスのMSを減じ、これを低収縮炭材の添加率で除することによって、MS拡大代を求めることができる。
(ステップ3)
ベースコークスのDIとステップ1で取得したDIから、低収縮炭材の添加によるDIの低下代(以下、「DI低下代」ともいう)を粒度区分毎に算出する。
具体的には、ベースコークスのDIからステップ1で取得したDIを減じ、これを低収縮炭材の添加率で除することによって、DI低下代を求めることができる。
(ステップ4)
ベースコークスのCSRとステップ1で取得したCSRから、低収縮炭材の添加によるCSRの低下代(以下、「CSR低下代」ともいう)を粒度区分毎に算出する。
具体的には、ベースコークスのCSRからステップ1で取得したCSRを減じ、これを低収縮炭材の添加率で除することによって、CSR低下代を求めることができる。
(ステップ5)
DI低下代とMS拡大代との比である第1の評価値、CSR低下代とMS拡大代との比である第2の評価値を粒度区分毎に求めた後、これらの第1及び第2の評価値の大小に基づき、低収縮炭材の最適な粒度区分を少なくとも一つ決定する。
DI低下代とMS拡大代との比は、DI低下代をMS拡大代で除した「DI低下代/MS拡大代」とすることができる。DI低下代/MS拡大代が大きい場合、MSを拡大させた場合に、DIの低下が大きくなる。
ただし、DI低下代とMS拡大代との比は、MS拡大代/DI低下代としてもよい。この場合、MS拡大代/DI低下代が小さい場合、MSを拡大させた場合に、DIの低下が大きくなる。
CSR低下代とMS拡大代との比は、CSR低下代をMS拡大代で除した「CSR低下代/MS拡大代」とすることができる。CSR低下代/MS拡大代が大きい場合、MSを拡大させた場合に、CSRの低下が大きくなる。ただし、CSR低下代とMS拡大代との比は、MS拡大代/CSR低下代としてもよい。この場合、MS拡大代/CSR低下代が小さい場合、MSを拡大させた場合に、CSRの低下が大きくなる。
第1及び第2の評価値の大小に基づき、MSを拡大しながら、DI及びCSRの低減量を小さくするための低収縮炭材の最適な粒度区分を少なくとも一つ決定する。「少なくとも一つ」であるから、最適な粒度区分は、一つに限るものではなく複数であってもよい。
例えば、DI低下代/MS拡大代(第1の評価値)が小さく、CSR低下代/MS拡大代(第2の評価値)が過度に大きい粒度区分は、最適な粒度区分とは評価しない。同様に、CSR低下代/MS拡大代(第2の評価値)が小さく、DI低下代/MS拡大代(第1の評価値)が過度に大きい粒度区分は、最適な粒度区分とは評価しない。DI低下代/MS拡大代(第1の評価値)及びCSR低下代/MS拡大代(第2の評価値)が共に過度に大きくない区分を最適な粒度区分と評価することが望ましい。「過度に大きい」か否かは、閾値を設定して判別してもよいし、当業者の経験則に基づき判別してもよい。
なお、MS、DI及びCSRと、低収縮炭材の添加率との関係は線形であるため、低収縮炭材の添加率が変化した場合であっても、上述の第1及び第2の評価値を用いて最適な粒度区分を決定することができる。例えば、ステップ1の低収縮炭材の添加率を4質量%に設定して最適な粒度区分を決定した場合、この決定した最適な粒度区分は、低収縮炭材の添加率が5質量%に変化しても変わらない。ただし、低収縮炭材の添加率が過度に増大する(例えば、10質量%以上)と、線形性が失われるため、改めてステップ1~5の処理を実施することによって、最適な粒度区分を決定するのが望ましい。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態で決定した最適な粒度区分にしたがう低収縮炭材を利用した高炉用コークスの製造方法に関するものであり、低収縮炭材の添加によるDI及びCSRの低下を、粘結補填材を添加することによって補償する。粘結補填材には、石油系の粘結材(ASP等)、石炭系の粘結材(タール、ピッチ、SRC(Solvent Refined Coal)等)、その他、芳香族性が高く、軟化溶融性を有する高分子系物質等を用いることができる。
本実施形態のコークスの製造方法は、以下のステップ10~13を含む。
(ステップ10)
第1実施形態で決定した最適な粒度区分に含まれる低収縮炭材を、コークス炉に装入するための低収縮炭材として選択する(低収縮炭材選択ステップに相当する)。例えば、第1実施形態において、粉コークスの最適な粒度区分を「0.074mm超0.1mm以下」、「0.1mm超0.3mm以下」の二区分に決定した場合、これらの粒度区分(0.074mm超0.3mm以下)に含まれる粉コークスを、コークス炉に装入する低収縮炭材として選択する。
(ステップ11)
MSの目標値を満足させるために必要な低収縮炭材の石炭に対する添加率を決定する(第1の添加率決定ステップに相当する)。MSの目標値は、予め定めておくことができる。第1実施形態のステップ2において、添加率を1質量%上げたときのMSの拡大量(つまり、MS拡大代)を粒度区分毎に把握しているから、ベースコークスのMSとMSの目標値との差分をMS拡大代で除することによって、低収縮炭材の添加率を求めることができる。
(ステップ12)
粘結補填材の添加率を決定する(第2の添加率決定ステップに相当する)。
具体的には、ステップ11で決定した添加率にしたがって、低収縮炭材を添加したときのDI低下量及びCSR低下量を求める。第1実施形態のステップ3及び4において、添加率を1%上げたときのDIの低下量(DI低下代)及びCSRの低下量(CSR低下代)を粒度区分毎に把握しているから、これらのDI低下代及びCSR低下代にステップ11で決定した低収縮炭材の添加率を乗じることにより、DI低下量及びCSR低下量を求めることができる。
次に、求めたDI低下量及びCSR低下量を補填するのに必要な粘結補填材の添加率をそれぞれ算出し、算出した添加率のうち高い添加率を粘結補填材の添加率として決定する。例えば、DI低下量を0にするために必要な粘結補填材の添加率が1質量%、CSR低下量を0にするために必要な粘結補填材の添加率が5質量%である場合、粘結補填材の添加率は5質量%に設定される。この場合、DIはベースコークスよりも大きくなり、CSRはベースコークスと同等になる。
粘結補填材の添加率は、例えば、非特許文献2(西ら、鉄と鋼68(15)、2141-2147(1982))に基づき、決定することができる。
(ステップ13)
ステップ11及び12において決定した添加率にしたがって低収縮炭材及び粘結補填材を石炭に添加し、コークス炉で乾留する(乾留ステップに相当する)。本実施形態によれば、ベースコークスに対してMSを拡大しながら、DI及びCSRをベースコークスと同等以上に高めることができる。また、最適な粒度区分に属する低収縮炭材を用いることによって、他の粒度区分に属する低収縮炭材を使用した場合よりも粘結補填材の添加率を減らすことができるため、コストを削減できる。
ここで、第1実施形態のステップ5において最適な粒度区分を複数決定した場合、これらの粒度区分の中から粘結補填材の添加率が最も低い粒度区分を選択し、この選択した粒度区分に属する低収縮炭材をステップ10において選択することが望ましい。
(第1実施例)
第1実施形態(低収縮炭材の粒度決定方法)について、実施例を示しながら詳細に説明する。配合炭に対して粒度区分が互いに異なる種々の粉コークス(低収縮炭材)を添加し、試験コークス炉で乾留することによりMSが互いに異なるコークスを製造した。配合炭の配合条件は、三種類の粘結炭をそれぞれ50、15、15質量%(計80質量%)、二種類の非微粘結炭をそれぞれ15、5質量%(計20質量%)とした。粘結炭の性状は、配合率の加重平均によって重みづけしたΣVM(揮発分)が22.9質量%、ΣTD(全膨張率)が172.8%であった。非微粘結炭の性状は、配合率の加重平均によって重みづけしたΣVM(揮発分)が33.7質量%、ΣTD(全膨張率)が20.3%であった。配合炭は、3mm未満85質量%に粒度調整した。配合炭の性状は、ΣVM(揮発分)が25.0質量%、ΣTD(全膨張率)が142.3%であった。
粉コークスの添加条件(条件1~条件7)を表1に示した。条件1では、粉コークスを未添加とした。条件2~6では、製鉄工場で発生した粉コークスを篩で分級することにより、1mm以下の粉コークスを5つの粒度区分に分けた。粉コークスの添加率は4質量%とした。なお、粉コークスの添加率は、外数である(以下、同様である)。
試験コークス炉の乾留容器のサイズは、炉幅(W):400mm、炉長(L):600mm、炉高(H):420mmとした。石炭の装入嵩密度は、ドライベースで850(kg/m)とした。試験コークス炉の最終到達温度は1150℃とし、乾留時間は18.5(hour)とした。
それぞれのコークスを、「JIS K2151」にしたがってドラム試験装置に供し、30回転後の25mmより大きなサンプルからコークスのMSを、150回転後のサンプルからDIを求めた。コークスのCSRの測定は、実施形態に既述の方法で測定した。なお、コークスのCRIについても測定した。CRIは、20±1mmの大きさに整粒したコークス200gを所定の条件(ガス組成:二酸化炭素100%、反応温度1100℃、反応時間2時間)で反応させた後、反応後質量を測定し、「CRI=(反応前質量-反応後質量)/反応前質量×100」なる算出式に基づき求めた。それぞれのコークスのMS、DI、CRI及びCSRの実測値を図1乃至図4に示した。
図1を参照して、粉コークスを添加した条件2~6はいずれもMSが粉コークス未添加の条件1よりも拡大した。また、1mm以下の粒度条件では、粉コークスの粒度が大きくなるにしたがってMSが拡大した。これは、粉コークスの添加によってコークスの収縮率が低減し、この収縮率低減効果が、粉コークスの粒度拡大によって高まるからだと考えられる。
図2を参照して、粉コークスを添加した条件2~6はいずれもDIが粉コークス未添加の条件1よりも小さくなった。また、1mm以下の粒度条件では、粉コークスの粒度が大きくなるにしたがってDIが低下した。これは、粉コークスの添加によってコークスに微視クラックが発生し、この微視クラックが粉コークスの粒度の増大に応じて拡大するからだと考えられる。
図3を参照して、粉コークスを添加した条件2~6はいずれもCRIが粉コークス未添加の条件1よりも大きくなった。また、1mm以下の粒度条件では、粉コークスの粒度が小さくなるにしたがってCRIが増大した。これは、粉コークスの添加率が同一の場合、粉コークスの粒度が小さくなる程粒子の数が多くなるため、粉コークスの周辺に形成される微視クラックによるガス化反応部分の総表面積が増大するからだと考えられる。
図4を参照して、粉コークスを添加した条件2~6はいずれもCSRが粉コークス未添加の条件1よりも小さくなった。熱間反応後強度であるCSRは、DI及びCRIに左右され、粉コークスを添加することによってコークス強度(DI)が低下し、反応性(CRI)が増大するからである。また、1mm以下の粒度条件では、粒度区分Bが最もCSRが高くなり、粒度区分Bを境に粒度が大きくなる程CSRが低下した。これは図2に示すコークス強度(DI)が影響したものと推察される。
また、粒度区分Aは粒度区分BよりもCSRが小さくなった。粒度区分Aは、他の粒度区分と比較してCRIが大きいため、CSRの低下が大きくなったものと推察される。
次に、粒度区分A乃至Eのそれぞれについて、MS拡大代、DI低下代、CSR低下代を実施形態1に記載の方法にしたがって求めるとともに、MS拡大代とDI低下代との比(DI低下代/MS拡大代)、MS拡大代とCSR低下代との比(CSR低下代/MS拡大代)を求めた。その結果を図5及び図6に示す。
図5を参照して粒度区分D及び粒度区分Eは、DI低下代/MS拡大代が過度に大きくなるため、最適な粒度区分ではない。図6を参照して粒度区分Aは、CSR低下代/MS拡大代が過度に大きくなるため、最適な粒度区分ではない。これらを総合的に勘案して、本実施例では、粒度区分B及び粒度区分Cを「最適な粒度区分」と決定した。
なお、配合炭に含まれる石炭の配合率を大きく変更する場合、成型物等を配合する場合、粉コークスとは異なる低収縮炭材を用いる場合には、改めて上述の実験を実施して、最適な粒度区分を決定すればよい。
(第2実施例)
第2実施形態について、実施例を示しながら詳細に説明する。
粉コークス未添加のコークス(以下、「ベースコークス」ともいう)に対して、MSを2mm拡大するために粉コークスを添加し、低下したDI及びCSRをSRC(粘結補填材)によって補填する処理を行った。なお、ベースコークスは、所望のDI及びCSRを満足するものである。SRCによる補填効果は、上述の非特許文献2に基づき、SRCの添加率を1%(外数)上げると、DI及びCSRがそれぞれ0.2ポイント(以下、「pt」という)及び1pt上昇すると考えた。その結果を表2に示す。DI低下量を0.2で除して、小数点第2位を四捨五入することにより、SRC添加率(DI補償)を求めた。CSR低下量を1で除して、小数点第2位を四捨五入することにより、SRC添加率(CSR補償)を求めた。
粒度区分Aの粉コークスを添加する場合、粉コークスの添加率は2.9質量%となり、
DI低下量及びCSR低下量を0にするためのSRCの添加率はそれぞれ0.8質量%及び5.6質量%と推測される(CSRネック)。したがって、必要なSRCの添加率は5.6質量%と推算される。
粒度区分Bの粉コークスを添加する場合、粉コークスの添加率は2.1質量%となり、DI低下量及びCSR低下量を0にするためのSRCの添加率はそれぞれ2.4質量%及び3.1質量%と推測される(CSRネック)。したがって、必要なSRCの添加率は3.1質量%と推算される。
粒度区分Cの粉コークスを添加する場合、粉コークスの添加率は1.9質量%となり、DI低下量及びCSR低下量を0にするためのSRCの添加率はそれぞれ2.3質量%及び3.4質量%と推測される(CSRネック)。したがって、必要なSRCの添加率は3.4質量%と推算される。
粒度区分Dの粉コークスを添加する場合、粉コークスの添加率は1.5質量%となり、DI低下量及びCSR低下量を0にするためのSRCの添加率はそれぞれ6.2質量%及び3.8質量%と推測される(DIネック)。したがって、必要なSRCの添加率は6.2質量%と推算される。
以上の推算結果から、粒度区分B及びCは粒度区分A及びDよりもSRCの添加率を下げられることがわかった。したがって、第1実施例において最適な粒度区分と決定した粒度区分B及び粒度区分Cの範囲(言い換えると、粒度区分Bの下限値から粒度区分Cの上限値の範囲)に含まれる粉コークスを選択することによって、MSの拡大、DI及びCSRの低下抑制を図りながら、SRCの添加率が下げられるため、コストを削減できる。さらに、最適な粒度区分である粒度区分B及びCのうちSRCの添加率が低い粒度区分Bを選択することにより、より効果的にコストを削減することができる。


Claims (3)

  1. コークスの原料である石炭に添加される低収縮炭材の粒度決定方法であって、
    コークスの平均粒径をMS、コークスの強度をDI、コークスの熱間反応後強度をCSRと定義したとき、
    粒度区分が互いに異なる複数の低収縮炭材をそれぞれ石炭に添加して、試験コークス炉で乾留した後、MS、DI及びCSRを取得する第1ステップと、
    石炭に低収縮炭材を添加せずに試験コークス炉で乾留して得られたコークス(以下、「ベースコークス」という)のMSと前記第1ステップで取得したMSとの差分を低収縮炭材の添加率で除したMS拡大代を、粒度区分毎に算出する第2ステップと、
    ベースコークスのDIと前記第1ステップで取得したDIとの差分を低収縮炭材の添加率で除したDI低下代を、粒度区分毎に算出する第3ステップと、
    ベースコークスのCSRと前記第1ステップで取得したCSRとの差分を低収縮炭材の添加率で除したCSR低下代を、粒度区分毎に算出する第4ステップと、
    DI低下代とMS拡大代との比である第1の評価値、CSR低下代とMS拡大代との比である第2の評価値を粒度区分毎に算出し、これらの第1及び第2の評価値の大小に基づき、低収縮炭材の最適な粒度区分を少なくとも一つ決定する第5ステップと、
    を有することを特徴とする低収縮炭材の粒度決定方法。
  2. 低収縮炭材が粉コークスの場合、前記第5ステップにおいて決定した最適な粒度区分は、0.074mm超0.3mm以下の範囲に含まれることを特徴とする請求項1に記載の低収縮炭材の粒度決定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の低収縮炭材の粒度決定方法にしたがって決定した最適な粒度区分に含まれる低収縮炭材を選択する低収縮炭材選択ステップと、
    MSの目標値を満足するように、前記低収縮炭材選択ステップで選択した低収縮炭材の石炭に対する添加率を決定する第1の添加率決定ステップと、
    前記第1の添加率決定ステップで決定した添加率にしたがって低収縮炭材を石炭に添加したときのDI低下量及びCSR低下量を補償するのに必要な粘結補填材の添加率をそれぞれ算出し、これらの算出した添加率のうち高い添加率を粘結補填材の添加率として決定する第2の添加率決定ステップと、
    前記第1の添加率決定ステップ及び前記第2の添加率決定ステップで決定した添加率にしたがって低収縮炭材及び粘結補填材を石炭に添加し、コークス炉で乾留する乾留ステップと、
    を有することを特徴とするコークスの製造方法。

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