JP2023104378A - 構成体 - Google Patents

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Takumi Furuya
博貴 木下
Hirotaka Kinoshita
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Abstract

【課題】薄膜の光学フィルムの剥離性に優れる構成体を提供する。【解決手段】支持フィルムと粘着剤層を含む転写フィルム、及び前記粘着剤層に接した光学フィルムを備える構成体であって、前記光学フィルムに対する前記転写フィルムの剥離力が、前記粘着剤層への物理化学的処理により小さくなる、構成体。【選択図】なし

Description

本発明は、構成体に関する。
近年、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のディスプレイデバイス等の電子デバイス等の製造工程においては、製造工程での加工や搬送のしやすさの観点から、樹脂フィルム(例えば、薄膜の光学フィルム等)を電子デバイスに粘着剤層等を介し貼り合わせて用いることがある。
従来、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の工程フィルム上に、樹脂成分を含む塗工液を用いて直接塗布により前記樹脂フィルムを形成した後、工程フィルムを当該樹脂フィルムから剥離すると共に当該樹脂フィルムを所望の電子デバイスに貼り合わせることにより実装していた。しかしながら、このように工程フィルムを樹脂フィルムから剥離する際に、工程フィルムと樹脂フィルムとの剥離が容易ではなく、特に、樹脂フィルムとして薄膜の光学フィルムを用いた場合、剥離後、薄膜の光学フィルムに割れ、ひび、又は脱落等が発生する問題があった。
この問題を解決するためには、少なくとも前記工程フィルムと前記樹脂フィルムとの間の剥離直前の剥離力を小さく制御することが必要であった。
特許文献1には、水の滴下により剥離力が約4分の1程度まで低下する離型性積層体について開示され、かつ工程フィルムとしての利用が想定されている。
特許文献2には、プロテクトフィルムの幅方向中央部に対し両端部の剥離力を小さくすることで、薄膜基材に対する剥離安定性を向上させる構成体について開示されている。
特開2019-151076号公報 特開2017-121777号公報
しかしながら、特許文献1では、開示されている材料から分かるように、前記離型性積層体自体に粘着成分は含まれておらず、樹脂フィルムのような粘性のない物体に対する工程フィルムとしては適さないものと考えられる。
また、特許文献2では、剥離力の制御はエンボス加工で行うため、制御できるエリアが限定され、設計の幅が小さくなるものと考えられる。
本発明は、上記を鑑み、薄膜の光学フィルムの剥離性に優れる構成体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、工程フィルム、粘着剤層及び光学フィルムをこの順に備える構成体において、物理化学的処理により工程フィルム上の粘着剤層の、光学フィルムに対する剥離直前の剥離力を小さくすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]を提供するものである。
[1]支持フィルムと粘着剤層を含む転写フィルム、及び前記粘着剤層に接した光学フィルムを備える構成体であって、前記光学フィルムに対する前記転写フィルムの剥離力が、前記粘着剤層への物理化学的処理により小さくなる、構成体。
[2]前記物理化学的処理が、温度変化、又はエネルギー線照射である、上記[1]に記載の構成体。
[3]前記粘着剤層が、前記温度変化により剥離力が小さくなる感温型粘着剤層である、上記[2]に記載の構成体。
[4]前記感温型粘着剤層の23℃50%RHにおける前記光学フィルムに対する剥離力が、2000mN/50mm以上である、上記[3]に記載の構成体。
[5]前記感温型粘着剤層の10℃における前記光学フィルムに対する剥離力が、250mN/50mm以下である、上記[3]又は[4]に記載の構成体。
[6]前記粘着剤層が、前記エネルギー線照射により硬化して剥離力が小さくなるエネルギー線硬化型粘着剤層である、上記[2]に記載の構成体。
[7]前記エネルギー線硬化型粘着剤層の硬化前の23℃50%RHにおける前記光学フィルムに対する剥離力が、2000mN/50mm以上である、上記[6]に記載の構成体。
[8]前記エネルギー線硬化型粘着剤層の硬化後の23℃50%RHにおける前記光学フィルムに対する剥離力が、250mN/50mm以下である、上記[6]又は[7]に記載の構成体。
[9]前記光学フィルムが、重合体成分及び硬化性単量体を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなるプラスチックフィルムである、上記[1]~[8]のいずれかに記載の構成体。
[10]前記光学フィルムの厚さが0.1~20μmである、上記[1]~[9]のいずれかに記載の構成体。
本発明によれば、薄膜の光学フィルムの剥離性に優れる構成体を提供することができる。
本発明の構成体の一例を示す断面図である。
本明細書において、好ましいとする規定は任意に選択でき、好ましいとする規定同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
[構成体]
本発明の構成体は、支持フィルムと粘着剤層を含む転写フィルム及び前記粘着剤層に接する光学フィルムを備える構成体であって、前記光学フィルムに対する前記転写フィルムの剥離力が、前記粘着剤層への物理化学的処理により小さくなることを特徴とする。
本発明では、支持フィルムと粘着剤層を含む転写フィルム及び前記粘着剤層に接する光学フィルムを備える構成体において、光学フィルムを転写フィルムから剥離する前に、物理化学的処理により、特に制限はないが、好ましくは、温度変化により、又はエネルギー線照射による硬化により、転写フィルムの光学フィルムに対する剥離力を剥離可能なレベルまで小さくし、薄膜の光学フィルムであっても、その剥離後の剥離面の全領域にわたり欠陥を有さないものにできる。
図1は、本発明の構成体の一例を示す断面図である。
構成体1は、支持フィルム2と粘着剤層3を含む転写フィルム4、及び光学フィルム5をこの順に備える。
キャリアフィルム6は、例えば、光学フィルム5形成時の支持体として、及び製造時の搬送フィルムとして用いられる。
(転写フィルム)
〈粘着剤層〉
本発明の構成体における転写フィルムは、粘着剤層を含む。
本発明に用いる粘着剤層は、粘着剤層への物理化学的処理により転写フィルムの剥離力を小さくする性質を有する。その一態様として、温度変化により剥離力が小さくなる感温型粘着剤層であることが好ましい。また、本発明に用いる粘着剤層は、他の態様として、エネルギー線照射により硬化して剥離力が小さくなるエネルギー線硬化型粘着剤層であることが好ましい。
〈感温型粘着剤層〉
本発明では、粘着剤層に物理化学処理としての温度変化に対応して剥離力が変化する感温型粘着剤を用いることができる。感温型粘着剤は、例えば、側鎖結晶性ポリマーを含有する粘着剤が挙げられ、前記側鎖結晶性ポリマーの融点を越える温度で粘着性を有するとともに融点以下の温度で剥離力が低下する性質を示す。
温度変化により剥離力が小さくなる粘着剤は、温度変化に対応して結晶状態と流動状態とを可逆的に起こすポリマーである。感温型粘着剤層は、この側鎖結晶性ポリマーを主成分として含有する粘着剤層である。
ここで、融点とは、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていたポリマーの特定部分が無秩序状態となる温度を意味するものとする。なお、融点は、示差熱走査熱量計(DSC)によって10℃/分の測定条件で測定して得られる値である。前記融点の範囲としては、好ましくは室温(例えば25℃)以下、より好ましくは0℃以上15℃以下が挙げられる。融点の温度が高すぎると、例えば、製造工程中又は保管中に、意図しない剥離が起こってしまう可能性がある。また、融点が低すぎると、結露や霜付着による不良が起こらないよう特別な対策が必要となる場合がある。
側鎖結晶性ポリマーは、側鎖結晶性ポリマーを構成するモノマー(以下、「モノマー」と言うことがある。)を重合させて得られる重合体からなる。モノマーとしては、例えば炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、極性モノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数16~22の線状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
極性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー等が挙げられる。
モノマーの重合割合としては、炭素数16以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートを30~100質量部、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを0~70質量部、極性モノマーを0~10質量部とすることが好ましい。モノマー種や重合割合としては、重合して得られる側鎖結晶性ポリマーの融点が前記所定の温度となるように選択することが好ましい。
重合方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。例えば、溶液重合法を採用する場合には、上述したモノマーを溶剤に加えて混合し、40~90℃程度で2~10時間程度攪拌すればよい。
側鎖結晶性ポリマーを構成する重合体の質量平均分子量としては、20万以上100万以下であることが好ましく、40万以上70万以下であることがより好ましい。質量平均分子量は、重合体をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、得られた測定値をポリスチレン換算した値である。
一方、このような側鎖結晶性ポリマーとともに温度変化により剥離力が小さくなる粘着剤層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が挙げられる。
感温型粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは2μm以上200μm以下であり、より好ましくは5μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。厚さがこの範囲にあると、剥離力が十分に得られ易くなり、熱処理により粘着剤層が変形しにくい傾向がある。
感温型粘着剤層の20℃50%RHにおける光学フィルムに対する剥離力は、好ましくは2000mN/50mm以上であり、より好ましくは3000mN/50mm以上20000mN/50mm以下であり、さらに好ましくは5000mN/50mm以上10000mN/50mm以下である。20℃50%RHにおける光学フィルムに対する剥離力がこの範囲にあると、剥離力が十分に得られ、製造工程中のハンドリング時、又は保管中に剥離が発生しにくい。
感温型粘着剤層の10℃における光学フィルムに対する剥離力が、好ましくは250mN/50mm以下であり、より好ましくは10mN/50mm以上230mN/50mm以下であり、さらに好ましくは20mN/50mm以上200mN/50mm以下である。10℃における光学フィルムに対する剥離力がこの範囲にあると、剥離力が十分に小さくなり、光学フィルムの剥離が容易になり、特に薄膜の光学フィルムにあっても、その剥離後の剥離面に割れ、ひび、又は脱落等が発生しない。
なお、剥離力は(180°剥離強度)はJIS Z0237:2000に準拠した方法により測定できる。
〈エネルギー線硬化型粘着剤層〉
本発明では、粘着剤層に物理化学処理としてのエネルギー線照射(たとえば、紫外線照射、電子線照射)に対応して剥離力が変化する粘着剤を用いることができる。エネルギー線硬化型粘着剤は、エネルギー線照射により硬化する成分を含有する。エネルギー線硬化型粘着剤層に用いるエネルギー線硬化型の粘着剤としては、特に紫外線硬化型の粘着剤を用いることが好ましい。エネルギー線硬化型の粘着剤は、一般的には、アクリル系粘着剤と、エネルギー線重合性化合物とを主成分としてなる。エネルギー線硬化型の粘着剤に用いられるエネルギー線重合性化合物としては、例えば、光照射によって三次元網状化しうる分子内に光重合性炭素-炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分子量化合物が用いられる。
アクリル系粘着剤はアクリル共重合体を主成分とする。アクリル共重合体としては、例えば、主成分である(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、これと共重合し得る極性単量体(官能基含有単量体)とを重合した重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~12である(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが好適に用いられ、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。極性単量体(官能基含有単量体)としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル等が挙げられる。アクリル共重合体は1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10万以上であることが好ましく、15万以上200万以下であることがより好ましい。また、アクリル共重合体のガラス転移温度は、通常20℃以下であり、好ましくは-70℃以上10℃以下である。
分子内に光重合性炭素-炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分子量化合物としては、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4-ブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート等を用いることができる。
さらに、エネルギー線重合性化合物として、上記のようなアクリレート系化合物のほかに、ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、ポリエステル型またはポリエーテル型等のポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4-ジイソシアネート等)を反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有するアクリレートまたはメタクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレートまたは2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等)を反応させて得られる。
また、エネルギー線硬化型粘着剤層は、側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化型共重合体(以下「アダクトポリマー」と言うことがある。)から形成されていてもよい。このようなエネルギー線硬化型共重合体は、粘着性とエネルギー線硬化性とを兼ね備える性質を有している。側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化型共重合体としては、公知のものを適宜用いることができる。
エネルギー線硬化型共重合体は、側鎖に官能基含有単量体を有するアクリル共重合体と、当該官能基に反応する置換基とエネルギー線重合性基を有する化合物とを反応させることにより得られる。このようなアクリル共重合体としては、前述したアクリル共重合体において例示した(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと官能基単量体の共重合体が挙げられる。また、置換基とエネルギー線重合性基を有する化合物の例としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、アリルイソシアナート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等がある。
エネルギー線硬化型共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10万以上であることが好ましく、15万~200万であることがより好ましい。また、アクリル共重合体のガラス転移温度は、通常20℃以下であり、好ましくは-70℃以上10℃以下である。
エネルギー線硬化型粘着剤には、アクリル系粘着剤とエネルギー線重合性化合物、あるいはエネルギー線硬化型共重合体に、さらに光重合開始剤が配合されることが好ましい。
エネルギー線硬化型粘着剤層に光重合開始剤を用いることで、照射するエネルギー線として紫外線(UV)を用いた場合であっても十分な硬化性が得られ、基板との剥離性が向上する。
光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、2-クロールアンスラキノンあるいは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンゾチアゾール-N,N-ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-プロペニル)フェニル]プロパノン}等が挙げられる。光重合開始剤は単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。
また、エネルギー線硬化型粘着剤には、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分が配合されていてもよい。他の成分としては、架橋剤、硬化剤、無機充填材、有機充填剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。
エネルギー線硬化型粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは2μm以上200μm以下であり、より好ましくは5μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。エネルギー線硬化型粘着剤層の厚さがこの範囲にあると、剥離力が十分に得られ易くなり、熱処理により粘着剤層が変形しにくい傾向がある。
エネルギー線硬化型粘着剤層の硬化前の20℃50%RHにおける光学フィルムに対する剥離力は、好ましくは2000mN/50mm以上であり、より好ましくは3000mN/50mm以上20000mN/50mm以下であり、さらに好ましくは5000mN/50mm以上10000mN/50mm以下である。硬化前の20℃50%RHにおける光学フィルムに対する剥離力がこの範囲にあると、剥離力が十分に得られ、製造工程中のハンドリング時、又は保管中に剥離が発生しにくい。
エネルギー線硬化型粘着剤層の硬化後の20℃50%RHにおける光学フィルムに対する剥離力が、250mN/50mm以下であり、より好ましくは10mN/50mm以上230mN/50mm以下であり、さらに好ましくは20mN/50mm以上200mN/50mm以下である。硬化後の20℃50%RHにおける光学フィルムに対する剥離力がこの範囲にあると、剥離力が十分に小さくなり、光学フィルムの剥離が容易になり、特に薄膜の光学フィルムにあっても、その剥離面に割れ、ひび、又は脱落等が発生しない。
なお、前述したように、剥離力は(180°剥離強度)はJIS Z0237:2000に準拠した方法により測定できる。
〈支持フィルム〉
本発明に用いる支持フィルムは、例えば、転写フィルムにおいて粘着剤層の支持基材となるものである。
支持フィルムとしては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;上記紙基材に、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル-スチレン樹脂等で目止め処理を行ったもの;あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムやポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム;ガラス等が挙げられる。
また、支持フィルムは、取り扱い易さの点から、紙基材や、プラスチックフィルム上の粘着剤層が設けられる側とは反対面に剥離剤層を設けたものであってもよい。剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
剥離剤層の厚さは、特に制限されないが、通常、0.02~2.0μm、より好ましくは0.05~1.5μmである。
支持フィルムの厚さは、取り扱い易さの点から、1~500μmが好ましく、5~300μmがより好ましい。
支持フィルムの表面粗さRa(算術平均粗さ)は、20.0nm以下が好ましく、10.0nm以下がより好ましい。また、表面粗さRt(最大断面高さ)は、500nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましい。
なお、表面粗さRa及びRtは、100μm×100μmの測定面積で、光干渉法により得られた値である。
(光学フィルム)
本発明の構成体は、光学フィルムを含む。
光学フィルムは、重合体成分及び硬化性単量体を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなるプラスチックフィルムが好ましい。
光学フィルムは単層であってもよく、複数層としてもよい。
なお、このような光学フィルムの形成方法については、後述する構成体の製造方法において、詳述する。
〈重合体成分〉
重合体成分としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、耐熱性の観点から、芳香族環構造又は脂環式構造等の環構造を有する熱可塑性樹脂が好ましく、芳香族環構造を有する熱可塑性樹脂がより好ましい。このような熱可塑性樹脂として、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、及び脂環式炭化水素系樹脂等が挙げられる。
ポリイミド系樹脂(非晶性熱可塑性樹脂)を用いることで、透明性に優れた光学フィルムが得られ易くなる。ガラス転移温度(Tg)が高く(例えば、250℃以上)、耐熱性に優れており、良好な耐熱性を示しつつも汎用の有機溶剤に可溶なものを得やすい。
ここで、非晶性熱可塑性樹脂とは、示差走査熱量測定において、融点が観測されない熱可塑性樹脂をいう。
また、Tgは、粘弾性測定(周波数10Hz、昇温速度3℃/分で0~400℃の範囲で引張モードによる測定)により得られたtanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)の極大点の温度をいう。
ポリイミド系樹脂としては、特に制限されないが、例えば、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族(カルボン酸成分)-環式脂肪族(ジアミン成分)ポリイミド樹脂、環式脂肪族(カルボン酸成分)-芳香族(ジアミン成分)ポリイミド樹脂、環式脂肪族ポリイミド樹脂、及びフッ素化芳香族ポリイミド樹脂等を使用することができる。特に、後述する分子内にフルオロ基を有するポリイミド樹脂が好ましい。
具体的には、芳香族ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物を用いて、ポリアミド酸への重合、化学イミド化反応を経て得られるポリイミド樹脂が好ましい。
芳香族ジアミン化合物としては、合わせて用いられるテトラカルボン酸二無水物との反応により、共通の溶媒(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC))に可溶で、所定の透明性を有するポリイミドを与える芳香族ジアミン化合物であれば、任意の芳香族ジアミン化合物を使用することができる。具体的には、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエ-テル、4,4’-ジアミノジフェニルエ-テル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェニル)〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェニル)〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エ-テル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エ-テル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エ-テル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス〔4-(4-アミノ-6-トリフルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3-ビス〔4-(4-アミノ-6-フルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル〕ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル等が挙げられる。
これらの芳香族ジアミン化合物は単独で用いてもよく、2種類以上の芳香族ジアミン化合物を使用してもよい。そして、透明性や耐熱性の観点から、好ましい芳香族ジアミン化合物としては、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス〔4-(4-アミノ-6-トリフルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル〕ベンゼン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル等のフルオロ基を有する芳香族ジアミン化合物が挙げられ、使用する芳香族ジアミン化合物の少なくとも1種類はフルオロ基を有する芳香族ジアミン化合物であることが好ましく、特に好ましくは2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニルである。フルオロ基を有する芳香族ジアミン化合物を用いることで、透明性、耐熱性、溶剤への可溶性を得ることが容易となる。
テトラカルボン酸二無水物としては、上記芳香族ジアミン化合物と同様に、共通の溶媒(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC))に可溶で所定の透明性を有するポリイミドを与えるテトラカルボン酸二無水物であれば、任意のものを使用でき、具体的には、4,4’-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル)ジフタル酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,4-ヒドロキノンジベンゾエ-ト-3, 3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が例示される。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよく、二種類以上のテトラカルボン酸二無水物を使用してもよい。そして、透明性、耐熱性及び溶剤への可溶性の観点から、4,4’-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル)ジフタル酸二無水物等、少なくとも1種類のフルオロ基を有するテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。
ポリアミド酸への重合は、生成するポリアミド酸が可溶な溶剤への溶解下で、上記芳香族ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物を反応させることにより行うことができる。ポリアミド酸への重合に用いる溶剤としては、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等の溶剤を用いることができる。
ポリアミド酸への重合反応は、撹拌装置を備えた反応容器で撹拌しながら行うことが好ましい。例えば、上記溶剤に所定量の芳香族ジアミン化合物を溶解させて、撹拌しながらテトラカルボン酸二無水物を投入して反応を行い、ポリアミド酸を得る方法、テトラカルボン酸二無水物を溶剤に溶解させて、撹拌しながら芳香族ジアミン化合物を投入して反応を行い、ポリアミド酸を得る方法、芳香族ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物を交互に投入して反応させてポリアミド酸を得る方法等が挙げられる。
ポリアミド酸への重合反応の温度については特に制約はないが、0~70℃の温度で行うことが好ましく、より好ましくは10~60℃であり、さらに好ましくは20~50℃である。重合反応を上記範囲内で行うことで、着色が少なく透明性に優れた高分子量のポリアミド酸を得ることが可能となる。
また、ポリアミド酸への重合に使用する芳香族ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物は、概ね当モル量を使用するが、得られるポリアミド酸の重合度をコントロールするために、テトラカルボン酸二無水物のモル量/芳香族ジアミン化合物のモル量(モル比率)を0.95~1.05の範囲で変化させることも可能である。そして、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物のモル比率は、1.001~1.02の範囲であることが好ましく、1.001~1.01であることがより好ましい。このようにテトラカルボン酸二無水物を芳香族ジアミン化合物に対して僅かに過剰にすることで、得られるポリアミド酸の重合度を安定させることができるとともに、テトラカルボン酸二無水物由来のユニットをポリマーの末端に配置することができ、その結果、着色が少なく透明性に優れたポリイミドを与えることが可能となる。
生成するポリアミド酸溶液の濃度は、溶液の粘度を適正に保ち、その後の工程での取り扱いが容易になるよう、適切な濃度(例えば、10~30質量%程度)に整えることが好ましい。
得られたポリアミド酸溶液にイミド化剤を加えて化学イミド化反応を行う。イミド化剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水安息香酸等のカルボン酸無水物を用いることができ、コストや反応後の除去のしやすさの観点から無水酢酸を使用することが好ましい。使用するイミド化剤の当量は化学イミド化反応を行うポリアミド酸のアミド結合の当量以上であり、アミド結合の当量の1.1~5倍であることが好ましく、1.5~4倍であることがより好ましい。このようにアミド結合に対して少し過剰のイミド化剤を使用することで、比較的低温でも効率的にイミド化反応を行うことができる。
化学イミド化反応には、イミド化促進剤として、ピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族、芳香族又は複素環式第三級アミン類を使用することができる。このようなアミン類を使用することで、低温で効率的にイミド化反応を行うことができ、その結果イミド化反応時の着色を抑えることが可能となり、より透明なポリイミドを得易くなる。
化学イミド化反応温度については特に制約はないが、10℃以上50℃未満で行うことが好ましく、15℃以上45℃未満で行うことがより好ましい。10℃以上50℃未満の温度で化学イミド化反応を行うことで、イミド化反応時の着色が抑えられ、透明性に優れたポリイミドを得ることができる。
この後、必要に応じて、化学イミド化反応により得られたポリイミド溶液に、ポリイミドの貧溶媒を加えてポリイミドを析出させて粉体を形成させる粉体化、乾燥を行う。
ポリイミド樹脂としては、ベンゼンやメチルエチルケトン等の低沸点の有機溶剤に可能であることが好ましい。特に、メチルエチルケトンに可溶であることが好ましい。メチルエチルケトンに可溶であると、塗布・乾燥によって容易に硬化性樹脂組成物の硬化物からなる後述する硬化性樹脂層を形成することができる。
フルオロ基を含むポリイミド樹脂は、メチルエチルケトン等の沸点の低い汎用の有機溶剤に溶解し易くなり、塗布法で硬化性樹脂層を形成し易くなるという観点から、特に好ましい。
フルオロ基を有するポリイミド樹脂としては、分子内にフルオロ基を有する芳香族ポリイミド樹脂が好ましく、分子内に以下の化学式で示す骨格を有するものが好ましい。
上記化学式で示される骨格を有するポリイミド樹脂は、上記骨格の剛直性が高いことにより、300℃を超える極めて高いTgを有している。このため、硬化性樹脂層の耐熱性を大きく向上させ得る。また、上記骨格は直線的であり比較的柔軟性が高く、硬化性樹脂層の破断伸度を高くさせ易くなる。さらに、上記骨格を有するポリイミド樹脂は、フルオロ基を有することにより、メチルエチルケトン等の低沸点の汎用有機溶剤に溶解し得る。したがって、溶液キャスト法を用いて塗工を行い、塗膜として硬化性樹脂層を形成することができ、また、乾燥による溶剤除去も容易である。上記化学式で示される骨格を有するポリイミド樹脂は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニルと、4,4’-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル)ジフタル酸二無水物とを用いて、上述のポリアミド酸の重合及びイミド化反応により得ることができる。
ポリアリレート樹脂は、芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸又はそのクロライドとの反応により得られる高分子化合物からなる樹脂である。ポリアリレート樹脂も、ポリイミド樹脂と同様、比較的高いTgを有しており、伸び特性も比較的良好である。ポリアリレート樹脂としては、特に限定されず、公知のものが使用できる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン〔ビスフェノールF〕、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3’-メチル-4’-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2-ビス(3’-メチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)オクタン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールZ〕、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類;ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(2,3,6-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フルオロフェニルメタン、ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-4-フルオロフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-クロロフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-ブロモフェニルメタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-フルオロフェニルメタン、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン〔ビスフェノールP〕、1,1-ビス(3’-メチル-4’-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(3’-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(3’-フェニル-4’-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)-1-(4’-ニトロフェニル)エタン、1,1-ビス(3’-ブロモ-4’-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン等のビス(ヒドロキシフェニル)フェニルアルカン類;ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類;ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキシフェニル)ケトン類;ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド等のビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類;ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類;ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン〔ビスフェノールS〕、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン等のビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類;9,9-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(3’-メチル-4’-ヒドロキシフェニル)フルオレン等のビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類;等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸又はそのクロライドとしては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテル4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、及びそれらのクロライド等が挙げられる。また、用いるポリアリレート系樹脂は、変性ポリアリレート系樹脂であってもよい。これらの中でも、ポリアリレート系樹脂としては、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパンとイソフタル酸との反応により得られる高分子化合物からなる樹脂が好ましい。
ポリスルホン系樹脂は、主鎖中に、スルホン基(-SO-)を有する高分子であり、特に限定されず、公知のものが使用できる。
ポリスルホン系樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂等が挙げられる。また、本発明に用いるポリスルホン系樹脂は、変性ポリスルホン系樹脂であってもよい。ポリスルホン系樹脂は、具体的には、下記(a)~(h)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物からなる樹脂が挙げられる。

ポリスルホン系樹脂としては、ポリエーテルスルホン樹脂、又はポリスルホン樹脂が好ましい。
ポリカーボネート系樹脂は、主鎖中にカーボネート基(-O-C(=O)-O-)を有する高分子である。ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、公知のものが使用できる。ポリカーボネート系樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂や脂肪族ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。なかでも、耐熱性、機械的強度、透明性等に優れることから、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジオールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法や溶融エステル交換法で反応させる方法や、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させる方法や、環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させる方法によって得ることができる。
芳香族ジオールとしては、前述したポリアリレート樹脂において例示したものが挙げられる。
カーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
脂環式炭化水素系樹脂は、主鎖中に環状の炭化水素基を有する高分子である。脂環式炭化水素系樹脂としては、特に限定されず、公知のものが使用できる。脂環式炭化水素系樹脂としては、例えば、単環の環状オレフィン系重合体、ノルボルネン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。その具体例としては、アペル(三井化学社製のエチレン-シクロオレフィン共重合体)、アートン(JSR社製のノルボルネン系重合体)、ゼオノア(日本ゼオン社製のノルボルネン系重合体)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した重合体成分の中で、Tgが高く耐熱性に優れており、また、良好な耐熱性を示しつつも汎用の有機溶剤に可溶なものを得やすいことから、ポリイミド系樹脂が特に好ましい。
(硬化性単量体)
硬化性単量体は、重合性不飽和結合を有する単量体であって、重合反応、又は、重合反応及び架橋反応に関与し得る単量体である。なお、本明細書において、「硬化」とは、この「単量体の重合反応」、又は、「単量体の重合反応及び引き続く重合体の架橋反応」を含めた広い概念を意味する。
硬化性単量体の分子量は、通常、3,000以下、好ましくは150~2,000、より好ましくは150~1,000である。
硬化性単量体中の重合性不飽和結合の数は特に制限されない。硬化性単量体は、重合性不飽和結合を1つ有する単官能型の単量体であっても、複数有する2官能型や3官能型等の多官能型の単量体であってもよい。
前記単官能型の単量体としては、単官能の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
単官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。例えば、窒素原子を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体、脂環式構造を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体、ポリエーテル構造を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。
窒素原子を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、下記式で示される化合物が挙げられる。
式中、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~12の有機基を表し、RとRは、結合して環構造を形成してもよく、Rは、2価の有機基を表す。
で表される炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
及びRで表される炭素数1~12の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1~12のアルキル基;シクロペンチル基、シクロへキシル基等の、炭素数3~12のシクロアルキル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の、炭素数6~12の芳香族基;が挙げられる。これらの基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。また、RとRが一緒になって環を形成してもよく、該環は、骨格中に更に窒素原子や酸素原子を有していてもよい。
で表される2価の有機基としては、-(CH-、-NH-(CH-で表される基が挙げられる。ここで、mは、1~10の整数である。
これらの中でも、窒素原子を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、下記式で表される(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましいものとして挙げられる。
窒素原子を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体を、硬化性単量体として用いることで、より耐熱性に優れる硬化性樹脂層を形成することができる。
脂環式構造を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、下記式で示される化合物が挙げられる。
式中、Rは上記と同じ意味を表し、Rは脂環式構造を有する基である。
で表される脂環式構造を有する基としては、シクロへキシル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロデカニル基等が挙げられる。
脂環式構造を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体の具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
脂環式構造を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体を、硬化性単量体として用いることで、より光学特性に優れる光学フィルムを形成することができる。
ポリエーテル構造を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、下記式で示される化合物が挙げられる。
式中、Rは上記と同じ意味を表し、Rは炭素数1~12の有機基を表す。Rで表される炭素数1~12の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1~12のアルキル基;シクロへキシル基等の、炭素数3~12のシクロアルキル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の、炭素数6~12の芳香族基;等が挙げられる。jは、2~20の整数を表す。
ポリエーテル構造を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体の具体例としては、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリエーテル構造を有する単官能の(メタ)アクリル酸誘導体を、硬化性単量体(B)として用いることで、靭性に優れる光学フィルムを形成することができる。
前記多官能型の単量体としては、多官能の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
多官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。例えば、2~6官能の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、下記式で示される化合物が挙げられる。
式中、Rは、上記のものと同じ意味を表し、Rは、2価の有機基を表す。Rで表される2価の有機基としては、下記式で示される基が挙げられる。
(式中、sは1~20の整数を表し、tは、1~30の整数を表し、uとvは、それぞれ独立に、1~30の整数を表し、両末端の「-」は、結合手を表す。)
前記式で示される2官能の(メタ)アクリル酸誘導体の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び靭性の観点から、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の、上記式において、Rで表される2価の有機基がトリシクロデカン骨格を有するもの、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の、上記式において、Rで表される2価の有機基がビスフェノール骨格を有するもの、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の、上記式において、Rで表される2価の有機基が9,9-ビスフェニルフルオレン骨格を有するものが好ましい。
また、これら以外の2官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
4官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
6官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化性単量体として、環化重合性モノマーを用いてもよい。環化重合性モノマーとは、環化しながらラジカル重合する性質をもつモノマーである。環化重合性モノマーとしては、非共役ジエン類が挙げられ、例えば、α-アリルオキシメチルアクリル酸系モノマーを用いることができ、2-アリロキシメチルアクリル酸の炭素数1~4のアルキルエステル、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸シクロヘキシルが好ましく、2-アリロキシメチルアクリル酸の炭素数1~4のアルキルエステルがより好ましく、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルがさらに好ましい。
また、ジメチル -2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(i-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-ブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-ヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジシクロヘキシル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等の環化重合性モノマーを用いることもできる。
硬化性単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、硬化性単量体は、耐熱性及び耐溶剤性により優れる光学フィルムが得られることから多官能型の単量体が好ましい。多官能の単量体としては、重合体成分と混ざりやすく、かつ、重合物の硬化収縮が起こりにくく硬化物のカールが抑制できるという観点から、2官能(メタ)アクリル酸誘導体が好ましい。
硬化性単量体として、多官能(メタ)アクリレート化合物と、環化重合性モノマーとが含まれることがより好ましい。これらを併用することで、光学フィルムの耐熱性を適度に調整しつつ、光学フィルムの破断伸度を調整し易くなる。
硬化性単量体が多官能型の単量体を含む場合、その含有量は、硬化性単量体の全量中、40質量%以上が好ましく、50~100質量%がより好ましい。
硬化性樹脂組成物は、重合体成分、硬化性単量体、及び所望により、後述する重合開始剤やその他の成分を混合し、適当な溶媒に溶解又は分散させることにより調製することができる。
硬化性樹脂組成物中の、重合体成分と硬化性単量体の合計含有量は、溶媒を除いた硬化性樹脂組成物全体の質量に対して、好ましくは40~99.5質量%、より好ましくは60~99質量%、さらに好ましくは80~98質量%である。
硬化性樹脂組成物中の、重合体成分と硬化性単量体の含有量は、重合体成分と硬化性単量体との質量比で、好ましくは、重合体成分:硬化性単量体=20:80~90:10、より好ましくは30:70~70:30である。
硬化性樹脂組成物において、重合体成分:硬化性単量体の質量比がこの範囲にあると、光学フィルムの高温での熱処理前後の熱収縮率が低下し易くなり、破断伸度が維持され易くなる。
また、重合体成分中の熱可塑性樹脂の含有量は、溶媒を除いた重合体成分全体の質量に対して、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、さらに好ましくは95~100質量%である。
硬化性樹脂組成物には、所望により重合開始剤を含有させることができる。重合開始剤は、硬化反応を開始させるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、有機過酸化物やアゾ系化合物が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類;t-ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル類;等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィネート、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド等のリン系光重合開始剤;ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル]チタニウム等のチタノセン系光重合開始剤;1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、p-クロロベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-(13-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキサトリデシル)-ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;等が挙げられる。
上記の光重合開始剤の中でも、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィネート、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド等のリン系光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物全体に対して、0.05~15質量%が好ましく、0.05~10質量%がより好ましく、0.05~5質量%が更に好ましい。
また、硬化性樹脂組成物は、重合体成分、硬化性単量体、及び重合開始剤に加えて、トリイソプロパノールアミンや、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等の光重合開始助剤を含有していてもよい。
硬化性樹脂組成物の調製に用いる溶媒としては、特に制限されず、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;1,3-ジオキソラン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物中の溶媒の含有量は、特に限定されないが、重合体成分1gに対し、通常、0.1~1,000g、好ましくは、1~100gである。溶媒の量を適宜調節することによって、硬化性樹脂組成物の粘度を適宜なものに調節することができる。
また、硬化性樹脂組成物は、本発明の目的、効果を損なわない範囲内で、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の、公知の添加剤をさらに含有していてもよい。
光学フィルムの厚さは、好ましくは0.1~20μmであり、より好ましくは0.1~10μm、さらに好ましくは0.1~5μmである。
光学フィルムの厚さがこの範囲であると、より薄型化が要求されるディスプレイデバイス等の電子デバイス用に適用した時に、光学フィルムが電子デバイス全体の厚さの増大要因とならないため好ましい。
光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
光学フィルムのヘイズ値は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
全光線透過率及びヘイズ値がこの範囲にあると、例えば、高い透明性が要求されるディスプレイデバイス等の電子デバイス用の光学フィルム又は基材として適用できる。
なお、全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に準じて、また、ヘイズ値は、JIS K7136:2000に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「SH-7000」)を用いて測定することができる。
〈キャリアフィルム〉
本発明に用いるキャリアフィルムは、光学フィルムの支持基材となるものである。前述した工程フィルムと同様のものが使用でき、好ましい厚さ、表面粗さRa(算術平均粗さ)、表面粗さRt(最大断面高さ)も同様である。
<構成体の製造方法>
本発明の構成体の製造方法は、一例として、以下(工程1)~(工程5)を含む。
(工程1):キャリアフィルム上に、重合体成分及び及び硬化性単量体を含有する硬化性樹脂組成物を用いて光学フィルム(塗膜)を形成する工程
(工程2):工程1で得られた光学フィルム(塗膜)を硬化させて、光学フィルムを形成する工程
(工程3):支持フィルム上に、粘着剤層を形成して転写フィルムを用意する工程
(工程4):工程3で得られた転写フィルムの粘着剤層の面と、工程2で得られた光学フィルムの面と、を貼り合わせる工程
(工程5):工程4で得られた転写フィルム、光学フィルム、及びキャリアフィルムからなる積層体から、キャリアフィルムを剥離し構成体を得る工程
工程1において、硬化性樹脂組成物をキャリアフィルム上に塗工する方法は、特に制限はなく、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法を利用することができる。
得られた塗膜を乾燥する方法は特に制限されず、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法を利用することができる。
塗膜の乾燥温度は、通常、30~150℃、好ましくは、80~130℃である。
工程2において、光学フィルム(塗膜)を硬化する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が採用できる。例えば、光学フィルム(塗膜)が、熱重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものである場合、光学フィルム(塗膜)を加熱することで光学フィルム(塗膜)を硬化させることができる。加熱温度は、通常、30~150℃、好ましくは、50~130℃である。
また、光学フィルム(塗膜)が、光重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものである場合、光学フィルム(塗膜)に活性エネルギー線を照射することで光学フィルム(塗膜)を硬化させることができる。活性エネルギー線は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ等を用いて照射することができる。
活性エネルギー線の波長は、200~400nmが好ましく、350~400nmがより好ましい。照射量は、通常、照度50~1,000mW/cm、光量50~5,000mJ/cm、好ましくは1,000~5,000mJ/cmの範囲である。照射時間は、通常、0.1~1,000秒、好ましくは1~500秒、更に好ましくは10~100秒である。光照射工程の熱負荷を考慮して前述の光量を満たすために、複数回照射してもよい。
この場合、活性エネルギー線照射による重合体成分の劣化や、光学フィルム(塗膜)の着色を防止するために、硬化反応に不要な波長の光を吸収するフィルタを介して、活性エネルギー線を硬化性樹脂組成物に照射してもよい。この方法によれば、硬化反応に不要で、かつ、重合体成分を劣化させる波長の光がフィルタに吸収されるため、重合体成分の劣化が抑制され、無色透明の光学フィルムが得られ易くなる。
フィルタとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムを利用することができる。樹脂フィルムを用いる場合、工程1と工程2の間に、光学フィルム(塗膜)上にポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムを積層させる工程を設けることが好ましい。なお、樹脂フィルムは、通常は、工程2の後に剥離される。
また、光学フィルム(塗膜)に電子線を照射することで、光学フィルム(塗膜)を硬化させることもできる。電子線を照射する場合は、通常、光重合開始剤を利用しなくても、光学フィルム(塗膜)を硬化させることができる。電子線を照射する場合は、電子線加速器等を用いることができる。照射量は、通常10~1,000kradの範囲である。照射時間は、通常、0.1~1,000秒、好ましくは1~500秒、さらに好ましくは10~100秒である。
光学フィルム(塗膜)の硬化は、必要に応じて窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。不活性ガス雰囲気下で硬化を行うことにより、酸素や水分等が硬化を妨げることを回避し易くなる。
工程3では、所望の粘着剤を含む成分を溶媒に溶解して適度な粘度を有する塗工液を準備し、該塗工液を支持フィルム上に塗布し、乾燥させることにより、粘着剤層を形成する。塗工液を支持フィルム上に塗工する方法は、特に制限されず、例えば、ナイフコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ロッドコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。
得られた塗膜を乾燥する方法は特に制限されず、従来公知の乾燥方法を利用することができる。塗膜の乾燥温度は、通常、30~150℃、好ましくは、50~100℃である
工程4において、転写フィルムの粘着剤層の面と、工程2で得られた光学フィルムの面とを貼り合わせる方法としては、特に制限はなく、常温ラミネートや加熱ラミネートなど公知の貼り合わせ方法を利用することができる。
工程5において、前記積層体における光学フィルムからキャリアフィルムを剥離する方法としては、特に制限はなく、公知の剥離方法を利用することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で作製した構成体の粘着剤層の光学フィルムに対する剥離力の評価、及び剥離後の光学フィルムの目視評価は、以下の方法で行った。
(1)剥離力
実施例及び比較例で作製した構成体を幅50mm、長さ150mmに裁断し、当該構成体の光学フィルム側の面を、該構成体より大きいサイズのガラス板に固定したものを試験片として準備した。次に、所定の環境下で、試験片の粘着剤層と光学フィルムとの間を、高速剥離引張試験機(テスター産業社製、製品名「高速剥離試験機TE-701」)を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件で剥離し、その際の剥離力(mN/50mm)を測定した。なお、温度処理、エネルギー線照射を行った構成体についても同様に測定した。
(2)目視評価
実施例及び比較例で作製した構成体を幅50mm、長さ150mmに裁断したものを、粘着剤層に対し所定の物理化学的処理(温度変化、エネルギー線照射)を行った後、粘着剤層から光学フィルムを剥離(剥離条件:剥離角度180°、剥離速度300mm/min)し、得られた剥離後の光学フィルムの剥離面の反対側の面を黒板上に置き、白色LEDライト下で光学フィルムに割れ、ひび、脱落等が発生しているか否かを、以下の評価基準に従い、目視にて観察した。
A:割れ、ひび、脱落等の欠陥が全くない。
B:割れ、ひび、脱落等の欠陥が発生。
(実施例1)
<構成体の作製>
硬化性樹脂組成物を以下のように調製した。
重合体成分として、ポリイミド樹脂のペレット(河村産業社製、製品名「KPI-MX300F」、Tg=354℃、重量平均分子量190,000)100質量部をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、ポリイミド樹脂の15質量%溶液を調製した。次いで、この溶液に、硬化性単量体として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製、A-DCP、分子量304.4)122質量部、及び重合開始剤として、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、IrgacureTPO)5質量部を添加、混合して、硬化性樹脂組成物を調製した。なお、硬化性単量体及び重合開始剤は溶媒を含まず、全て固形分100%の原料である。
次に、キャリアフィルムとして、片面に易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製、製品名「PET50A-4160」、厚さ50μm)を用い、このPETフィルムの易接着層面とは反対の面に、上記で調製した硬化性樹脂組成物を塗布し、得られた光学フィルムの塗膜を100℃で2分間加熱して乾燥した。
その後、高圧水銀ランプ(アイグラフィクス社製、製品名「H04-L41」)を用いて、光線波長365nmの照度が130mW/cm、光量が700mJ/cm(Heraus社製、紫外線光量計、UV Power Puck(登録商標)II)の条件で、窒素雰囲気下にて紫外線照射して硬化反応を行い、厚さ5μmの光学フィルムを形成した。
さらに、光学フィルムの、キャリアフィルム側の面とは反対側の面に、支持フィルム(PETフィルム)上に感温型粘着剤層を備える転写フィルム(ニッタ社製、製品名「インテリマー CS5010C25(クールオフタイプ)」、PETフィルム厚さ:100μm、感温型粘着剤層厚さ:10μm)の粘着剤層面を70℃で熱ラミネートし貼り合わせた。次いで、キャリアフィルムを光学フィルムから剥離することで構成体を得た。
得られた構成体を用い、23℃50%RHにおける感温型粘着剤層の光学フィルムに対する剥離力、及び、別に作製した同一仕様の構成体を10℃まで冷却(10分間保持)した際の10℃における感温型粘着剤層の光学フィルムに対する剥離力を、それぞれ上述した評価方法により評価した。
さらに、10℃において感温型粘着剤層から剥離された光学フィルムの割れ、ひび、脱落等を上述した評価方法により目視にて評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
支持フィルムにポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:100μm)、粘着剤層(厚さ:10μm)にエネルギー線硬化性粘着剤が用いられた粘着シート(リンテック社製、製品名「Adwill D-241」)を転写フィルムとして用いた以外は、実施例1と同様に構成体を得た。
得られた構成体を用い、硬化前の23℃50%RHにおける転写フィルムの光学フィルムに対する剥離力、及び、別に作製した同一仕様の構成体の転写フィルムの粘着剤層をエネルギー線照射高圧水銀ランプ(アイグラフィクス社製、製品名「H04-L41」)を用いて、光線波長365nmの照度が230mW/cm、光量が700mJ/cm(Heraus社製、紫外線光量計、UV Power Puck(登録商標)II)で硬化させ、硬化後の23℃50%RHにおける転写フィルムの光学フィルムに対する剥離力を、それぞれ上述した評価方法により評価した。
さらに、硬化後において転写フィルムから剥離された光学フィルムの割れ、ひび、脱落等を上述した評価方法により目視にて評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
支持フィルムとして、片面に易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製、製品名「PET50A-4360」、厚さ50μm)を用い、このPETフィルムの易接着層の面上に、ブチルアクリレート系樹脂(サイデン化学社製、LT-55)100質量部、イソシアネート系架橋剤(サイデン化学社製、コウカザイK-315)2質量部を混合した粘着剤組成物からなる粘着剤層(厚さ:10μm)を積層した転写フィルムを、光学フィルムにラミネートし貼り合わせた以外は、実施例1と同様に構成体を得た。当該粘着剤層は、温度変化やエネルギー線照射の物理化学的処理により剥離力の変化が生じない再剥離型粘着剤からなる。
得られた構成体を用い、UV照射前の23℃50%RHにおける転写フィルムの光学フィルムに対する剥離力、別に作製した同一仕様の構成体の粘着剤層へのUV照射後の23℃50%RHにおける転写フィルムの光学フィルムに対する剥離力、及びさらに別に作製した同一仕様の構成体を10℃まで冷却(10分間保持)した際の10℃における転写フィルムの光学フィルムに対する剥離力、をそれぞれ上述した評価方法により評価した。
さらに、UV照射後において粘着剤層から剥離された光学フィルムの割れ、ひび、脱落等、また10℃において粘着剤層から剥離された光学フィルムの割れ、ひび、脱落等、を上述した評価方法により目視にて評価した。結果を表1に示す。
粘着剤層として感温型を用いた実施例1、また、粘着剤層としてエネルギー線硬化型を用いた実施例2では、それぞれの粘着剤層の光学フィルムに対する剥離力が低下し、転写フィルムから光学フィルムを容易に剥離ができ、剥離後の光学フィルムの剥離面に、割れ、ひび、脱落等の欠陥が生じていないことが分かる。これに対し、比較例1では、粘着剤層の光学フィルムに対する剥離力が高く維持され、工程フィルム上の粘着剤層から光学フィルムを容易に剥離することができず、剥離後の光学フィルムの剥離面に、割れ、ひび、脱落等の欠陥が生じていることが分かる。
本発明の構成体によれば、薄膜の光学フィルムをガラス基板等に貼り合わせた後、容易に粘着剤層から剥離でき、剥離後の光学フィルムの剥離面に割れ、ひび、脱落等の欠陥が生じないことから、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のディスプレイデバイス等の電子デバイス等に用いられる光学用フィルム等の部材、例えば、反射防止用のハードコートフィルム、液晶ディスプレイに用いられる偏光板の偏光板保護フィルム、さらに、タッチパネル等に用いられるITO基材フィルム等に適用されることが期待される。
1:構成体
2:支持フィルム
3:粘着剤層
4:転写フィルム
5:光学フィルム
6:キャリアフィルム

Claims (10)

  1. 支持フィルムと粘着剤層を含む転写フィルム、及び前記粘着剤層に接した光学フィルムを備える構成体であって、前記光学フィルムに対する前記転写フィルムの剥離力が、前記粘着剤層への物理化学的処理により小さくなる、構成体。
  2. 前記物理化学的処理が、温度変化、又はエネルギー線照射である、請求項1に記載の構成体。
  3. 前記粘着剤層が、前記温度変化により剥離力が小さくなる感温型粘着剤層である、請求項2に記載の構成体。
  4. 前記感温型粘着剤層の23℃50%RHにおける前記光学フィルムに対する剥離力が、2000mN/50mm以上である、請求項3に記載の構成体。
  5. 前記感温型粘着剤層の10℃における前記光学フィルムに対する剥離力が、250mN/50mm以下である、請求項3又は4に記載の構成体。
  6. 前記粘着剤層が、前記エネルギー線照射により硬化して剥離力が小さくなるエネルギー線硬化型粘着剤層である、請求項2に記載の構成体。
  7. 前記エネルギー線硬化型粘着剤層の硬化前の23℃50%RHにおける前記光学フィルムに対する剥離力が、2000mN/50mm以上である、請求項6に記載の構成体。
  8. 前記エネルギー線硬化型粘着剤層の硬化後の23℃50%RHにおける前記光学フィルムに対する剥離力が、250mN/50mm以下である、請求項6又は7に記載の構成体。
  9. 前記光学フィルムが、重合体成分及び硬化性単量体を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなるプラスチックフィルムである、請求項1~8のいずれか1項に記載の構成体。
  10. 前記光学フィルムの厚さが0.1~20μmである、請求項1~9のいずれか1項に記載の構成体。
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