JP2023114821A - 光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】面内位相差が歪みに対し優れる光学フィルムを提供する。【解決手段】重合体成分(A)及び2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学フィルムであって、前記重合体成分(A)はポリビニルブチラールを含み、前記光学フィルムの波長589nmでの歪み1%における面内位相差が0~10nmである、光学フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムに関する。
近年、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のディスプレイデバイス等の種々の表示素子に係る電子デバイスには、薄型化、軽量化及びフレキシブル化等を実現するために、デバイスを構成する部材等の基板として、従来のガラス等のリジッドな基板に代えて、厚さの薄い透明プラスチックフィルムを用いることが検討されている。
このような中、前記厚さの薄い透明プラスチックフィルム等を、例えば、前記表示素子の表面(画面)側に設け、さらに表示素子を屈曲させた態様で使用した場合であっても、光学等方性を維持することが要求されることがある。このような場合、厚さの薄い透明プラスチックフィルムには、屈曲により歪みが生じ、それにともない面内位相差が増大し、光学等方性が維持できなくなることがあり、表示素子にあっては、視認性の低下に繋がってしまっていた。
特許文献1では、チオール系連鎖移動剤を使用せずに(メタ)アクリレートを含む単量体を180~350℃の温度で高温連続重合して得られる重量平均分子量が500~5,000で、かつ芳香族基を有しないアクリル系重合体(A)からなる可塑剤及び芳香族基を有しないウレタン(メタ)アクリレート(C)を含む活性エネルギー線硬化型組成物を硬化してなる、柔軟性及び破断強度に優れ、光弾性係数の低い光学フィルムが開示されている。
特開2014-091752号公報
しかしながら、特許文献1は、液晶ディスプレイの大型化に伴う光学フィルムの大型化による外力の偏りが要因となる複屈折変化によるコントラストの不均一性の低減等に係る発明であり、光弾性係数の低減の観点から検討されているものであり、歪みによる面内位相差に係る低減については言及されていなかった。
本発明は、上記を鑑み、面内位相差が歪みに対し優れる光学フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、光学フィルムを、特定の重合体成分(A)に特定の数の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を含有させた硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]を提供するものである。
[1]重合体成分(A)及び2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学フィルムであって、
前記重合体成分(A)はポリビニルブチラールを含み、前記光学フィルムの波長589nmでの歪み1%における面内位相差が0~10nmである、光学フィルム。
[2]前記光学フィルムの厚さが25μm以下である、上記[1]に記載の光学フィルム。
[3]前記光学フィルムのヘイズ値が1.0%以下である、上記[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4]前記光学フィルムの全光線透過率が85%以上である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5]前記光学フィルムの破断伸度が5.0%以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の光学フィルム。
[6]重合体成分(A)の重量平均分子量が10,000以上である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の光学フィルム。
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載の光学フィルムにさらに機能層を備える、積層体。
[8]前記機能層が、接着剤層、粘着剤層、粘接着剤層、ガスバリア層、導電層及びハードコート層の少なくとも1層を含む、上記[7]に記載の積層体。
本発明によれば、面内位相差が歪みに対し優れる光学フィルムを提供することができる。
本明細書において、好ましいとする規定は任意に選択でき、好ましいとする規定同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
<光学フィルム>
本発明の光学フィルムは、重合体成分(A)及び2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学フィルムであって、
前記重合体成分(A)はポリビニルブチラールを含み、前記光学フィルムの波長589nmでの歪み1%における面内位相差が0~10nmであることを特徴とする。
本発明では、光学フィルムを、ポリビニルブチラールを含む重合体成分(A)及び2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層とすることで、歪み1%における面内位相差を0~10nmと小さくすることができる。得られた光学フィルムは歪み1%に対し優れた面内位相差を有するため、例えば、フレキシブルなディスプレイデバイス等の電子デバイス用部材等の基板として表示素子の表面(画面)側に適用した場合であっても、優れた視認性を示す。
本発明の光学フィルムは、単層であってもよく、複数層としてもよい。
なお、光学フィルムの形成方法については、後述する積層体の製造方法において、詳述する。
(硬化性樹脂組成物)
本発明に用いる硬化性樹脂組成物は、重合体成分(A)及び2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を含有する。
〈重合体成分(A)〉
重合体成分(A)として、ポリビニルブチラールを含む。ポリビニルブチラールとしては、例えば、下記式(i-1)、(i-2)、及び(i-3)で表される構成単位を有するものを用いることができる。
ポリビニルブチラールの重量平均分子量(Mw)は、10,000以上であることが好ましく、12,000~200,000であることが好ましく、15,000~100,000であることが更に好ましく、18,000~80,000であることが特に好ましい。ポリビニルブチラールの重量平均分子量がこのような範囲にあると、光学フィルムの製膜性が良化する。
また、分子量分布(Mw/Mn)(Mn:数平均分子量)は、好ましくは、1.0~5.0、より好ましくは、2.0~4.5の範囲である。重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
重合体成分(A)の全構成単位を100モル%として、上記式(i-1)で表されるブチラール基を有するユニットの割合は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、その上限値は100モル%である。また、重合体成分(A)の残余の割合を上記式(i-2)や(i-3)で表される官能基を有するユニットが構成する。
ポリビニルブチラールのガラス転移温度(Tg)は、40~150℃であることが好ましく、50~120℃であることがより好ましい。ポリビニルブチラールのTgがこのような範囲にあると、光学フィルムの靭性が高まる。
ここでTgは、示差走査熱量計(昇温速度5℃/分で0~150℃の範囲で測定)により得られたtanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)の最大点の温度をいう。
ポリビニルブチラールを構成する上記3種の構成単位の含有比率は、所望の物性に応じて任意に調整してもよい。
また、ポリビニルブチラールは、上記3種の構成単位以外の構成単位を有していてもよいが、上記3種の構成単位の含有量は、ポリビニルブチラールの全量基準で、好ましくは80~100モル%、より好ましくは90~100モル%、更に好ましくは100モル%である。
重合体成分(A)は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、重合体成分(A)と、他の重合体成分(A’)とを組み合わせて用いてもよい。
他の重合体成分(A’)としては、ポリビニルホルマール等のポリビニルブチラール以外のポリビニルアセタール樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂等の重合体成分が挙げられ、ポリビニルホルマール、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
なお、光学等方性を低下させないよう、他の重合体成分(A’)は分子内に芳香族構造を持たないものが好ましい。
他の重合体成分(A’)を添加する場合、添加する樹脂の量は、ポリビニルブチラール100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、よりさらに好ましくは30質量部以下であり、また、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。
〈硬化性単量体(B)〉
硬化性単量体(B)は、2つ以上の硬化性官能基(重合性不飽和結合)を有する単量体であって、重合反応、又は、重合反応及び架橋反応に関与し得る単量体である。
なお、本明細書において、「硬化」とは、この「単量体の重合反応」、又は、「単量体の重合反応及び引き続く重合体の架橋反応」を含めた広い概念を意味する。
硬化性単量体(B)の分子量は、通常、3,000以下、好ましくは100~2,000、より好ましくは100~1,500である。
硬化性単量体(B)中の硬化性官能基(重合性不飽和結合)の数は2つ以上である。硬化性単量体(B)中の硬化性官能基の数が2つ未満であると、硬化性樹脂組成物及びその硬化物である光学フィルムのフィルム強度が不足したり、未反応物が残留することによる汚染や、物性の経時変化が生じることがある。硬化性単量体(B)中の硬化性官能基の数(ただし、硬化性単量体(B)が複数種の混合物の場合は、それらの平均値とする)は、好ましくは2~10であり、より好ましくは2~3である。硬化性単量体(B)中の硬化性官能基の数がこの範囲にあると、前記重合体成分(A)と併用することで、歪みに対し面内位相差が小さい光学等方性の優れる光学フィルムを得ることができる。
前記2つ以上の硬化性官能基を有する単量体としては、多官能の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
多官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。例えば、2~6官能の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
式中、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Rで表される炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。Rは、2価の有機基を表す。Rで表される2価の有機基としては、下記式で示される基が挙げられる。
(式中、sは1~20の整数を表し、tは、1~30の整数を表し、uとvは、それぞれ独立に、1~30の整数を表し、両末端の「-」は、結合手を表す。)
前記式で示される2官能の(メタ)アクリル酸誘導体の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び靭性の観点から、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の、上記式において、Rで表される2価の有機基がトリシクロデカン骨格を有するもの、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の、上記式において、Rで表される2価の有機基がビスフェノール骨格を有するもの、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の、上記式において、Rで表される2価の有機基が9,9-ビスフェニルフルオレン骨格を有するものが好ましい。
また、これら以外の2官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
4官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
6官能の(メタ)アクリル酸誘導体としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化性単量体(B)として、環化重合性モノマーを用いてもよい。環化重合性モノマーとは、環化しながらラジカル重合する性質をもつモノマーである。環化重合性モノマーとしては、非共役ジエン類が挙げられ、例えば、α-アリルオキシメチルアクリル酸系モノマーを用いることができ、2-アリロキシメチルアクリル酸の炭素数1~4のアルキルエステル、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸シクロヘキシルが好ましく、2-アリロキシメチルアクリル酸の炭素数1~4のアルキルエステルがより好ましく、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルが更に好ましい。
また、ジメチル -2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(i-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-ブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-ヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジシクロヘキシル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等の環化重合性モノマーを用いることもできる。
硬化性単量体(B)は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)の含有量は、硬化性単量体(B)の全量中、40質量%以上が好ましく、より好ましくは50~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%、特に好ましくは90~100質量%である。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物は、重合体成分(A)、2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)、及び所望により、後述する重合開始剤やその他の成分を混合し、適当な溶媒に溶解又は分散させることにより調製することができる。
硬化性樹脂組成物中の、重合体成分(A)と2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)の合計含有量は、溶媒を除いた硬化性樹脂組成物全体の質量に対して、好ましくは40~99.5質量%、より好ましくは60~99質量%、さらに好ましくは80~98質量%である。
硬化性樹脂組成物中の、重合体成分(A)と2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)の含有量は、重合体成分(A)と2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)との質量比で、好ましくは、重合体成分(A):2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)=20:80~90:10、より好ましくは30:70~50:50、さらに好ましくは、40:60~50:50である。
硬化性樹脂組成物において、重合体成分(A):2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)の質量比がこの範囲にあると、得られる光学フィルムの歪み対して面内位相差を小さく制御し易くできる。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物は熱硬化性の硬化性樹脂組成物であってもよく、紫外線硬化性の硬化性樹脂組成物であってもよい。このような硬化性樹脂組成物には、所望により重合開始剤を含有させることができる。重合開始剤は、硬化反応を開始させるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が挙げられる。
ここで、熱重合開始剤は、熱のエネルギーを吸収することにより重合反応を引き起こす化合物であり、例えば、加熱によりラジカルを発生する化合物(熱ラジカル発生剤)、加熱により酸を発生する化合物(熱酸発生剤)、加熱により塩基を発生する化合物(熱塩基発生剤)等が挙げられ、
一方、光重合開始剤は、光のエネルギーを吸収することにより重合反応を引き起こす化合物であり、例えば、光のエネルギーを吸収することによりラジカルを発生する化合物(光ラジカル発生剤)、光のエネルギーを吸収することにより酸を発生する化合物(光酸発生剤)、光のエネルギーを吸収することにより塩基を発生する化合物(光塩基発生剤)等が挙げられ、いずれであってもよく、重合反応の反応性(照度又は光量による制御のし易さ)の観点から、光重合開始剤が好ましい。なお、ここで光として、可視光線、紫外線、X線のような活性エネルギー線であることが好ましい。
熱重合開始剤としては、有機過酸化物やアゾ系化合物が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類;t-ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル類;等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィネート、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド等のリン系光重合開始剤;ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル]チタニウム等のチタノセン系光重合開始剤;1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、p-クロロベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-(13-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキサトリデシル)-ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;等が挙げられる。
上記の光重合開始剤の中でも、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィネート、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド等のリン系光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物全体に対して、0.05~15質量%が好ましく、0.05~10質量%がより好ましく、0.05~5質量%が更に好ましい。
また、前記硬化性樹脂組成物が紫外線硬化性である場合は、重合体成分(A)、3つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)、及び光重合開始剤に加えて、トリイソプロパノールアミンや、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等の光重合開始助剤を含有していてもよい。
前記硬化性樹脂組成物の調製に用いる溶媒としては、特に制限されず、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;1,3-ジオキソラン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。
前記硬化性樹脂組成物中の溶媒の含有量は、特に限定されないが、重合体成分(A)1gに対し、通常、0.1~1,000g、好ましくは、1~50gである。溶媒の量を適宜調節することによって、硬化性樹脂組成物の粘度を適宜なものに調節することができる。
また、前記硬化性樹脂組成物は、本発明の目的、効果を損なわない範囲内で、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の、公知の添加剤を更に含有していてもよい。
光学フィルムの面内位相差は、下記式(1)によって算出することができる。
Re(λ)=(nx-ny)×d (1)
ここで、Re(λ)は、23℃における波長λnmの光で測定した光学フィルムの面内位相差であり、例えば、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定した光学フィルムの面内位相差である。また、「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、dは光学フィルムの厚さ(nm)である。
これに対し、厚さ方向の位相差の絶対値は、通常、500nm以下であり、450nm以下が好ましい。また、面内位相差を光学フィルムの厚さで割った値(複屈折率)は、通常、100×10-5以下であり、好ましくは20×10-5以下である。
光学フィルムの面内位相差、厚さ方向の位相差、複屈折率が上記の範囲内であれば、光学等方性に優れることから光学用途の部材として好ましく用いることができる。
なお、歪み0%における面内位相差の測定は、後述する実施例に記載した方法で行った。
光学フィルムの波長589nmでの歪み1%における面内位相差は0~10nmである。歪み1%における面内位相差が10nm超であると、光学等方性の低下が生じるおそれがある。
光学フィルムの波長589nmでの歪み1%における面内位相差は、好ましくは0~8nm、より好ましくは0~6nm、さらに好ましくは0~4nmである。歪み1%における面内位相差がこの範囲であると、例えば、光学フィルムをフレキシブルな表示素子に適用した時に、表示素子を屈曲させた際に生じる光学等方性の低下が抑制でき、表示内容を維持又は確認し易くなり、表示素子が本来有する所定の機能を十分発揮させることができる。
なお、本発明における歪み1%における面内位相差は、実施例に記載されている製造方法で作製した光学フィルムが有する値である。すなわち、例えば、工程フィルムに、硬化性樹脂組成物を塗布し、得られた塗膜を100℃で2分間加熱し、次いで紫外線照射により硬化し工程フィルムを除いた硬化物のみの層の厚さ20μmの光学フィルムが有する値である。
また、歪み1%における面内位相差の測定は、後述する実施例に記載した方法で行った。
本発明の、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学フィルムの厚さは、好ましくは25μm以下、より好ましくは0.1~20μm、さらに好ましくは0.1~10μm、特に好ましくは0.2~10μmである。
光学フィルムの厚さがこの範囲であると、積層体の厚さが大きくなることを防止でき、薄型の積層体とすることができる。この場合、より薄型化が求められるデバイス等に適用した時に、積層体が適用デバイス全体の厚さの増大要因とならないため好ましい。また、薄型の積層体であれば、積層体の実装後のフレキシブル性が担保できる。
光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。全光線透過率がこの範囲にあると、例えば、後述する機能層を形成し積層体とした場合に、該積層体全体の光の透明性を維持し易くなる。
なお、全光線透過率の測定は、後述する実施例に記載した方法で行った。
光学フィルムのヘイズ値は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。ヘイズ値がこの範囲にあると、例えば、後述する機能層を形成し積層体とした場合に、該積層体全体の光の拡散性を小さく維持し易くなる。
なお、ヘイズ値の測定は、後述する実施例に記載した方法で行った。
光学フィルムの破断伸度は、好ましくは5.0%以上、より好ましくは6.0%以上、さらに好ましくは、7.0%以上である。光学フィルムの破断伸度がこの範囲にあると、例えば、5.0%以上であれば、機能層を含む積層体の破断伸度を4%以上程度に調整し易くなり、結果的に、フレキシブル性に優れる積層体が得られ易くなる。
なお、破断伸度の測定は、後述する実施例に記載した方法で行った。
(積層体)
本発明の積層体は、好ましくは光学フィルムに機能層を備えるものであり、一態様として、光学フィルム上に機能層を積層したものであってもよい。
光学フィルムは、前記機能層を設ける層や基材として用いることができる。
また、本発明の他の一態様として、積層体は、工程フィルムと、光学フィルムと、機能層とをこの順で備えていてもよい。積層体を実際に用いる際には、該積層体から工程フィルムを剥離し、例えば、所定のディスプレイ等の電子デバイス等に貼り付けて使用する。
機能層としては、特に制限されないが、好ましくは接着剤層、粘着剤層、粘接着剤層、ガスバリア層、導電層及びハードコート層の少なくとも1層から選ばれる。なお、機能層の配置位置は特に限定されない。
例えば、機能層として用いる導電層(電極、透明導電層等)を構成する材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等が挙げられる。透明導電層では、例えば、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO);フッ素をドープした酸化スズ(FTO);酸化スズ、ゲルマニウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これら金属と導電性金属酸化物との混合物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料;等が挙げられる。
導電層の形成方法としては、例えば、印刷法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。
導電体層の厚さはその用途等に応じて適宜選択すればよい。通常10nmから50μm、好ましくは20nmから20μmである。
接着剤層は、例えば、積層体を被着体等に貼付する場合に用いられる層である。接着剤層を形成する材料としては、特に限定されず、アクリル系、シリコーン系、ゴム系、エポキシ系等の公知の接着剤または粘着剤、ヒートシール材等を使用することもでき、接着剤層を構成する材料としては、エポキシ系接着剤が好ましい。
同様に、粘着剤層は、例えば、積層体を被着体等に貼付する場合に用いられる層である。粘着剤層に用いる粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着力、透明性及び取り扱い性の点から、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤が好ましい。また、架橋構造を形成し得る粘着剤が好ましい。粘着剤は、溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等のいずれの形態のものであってもよい。
接着剤層の厚さはその用途等に応じて適宜選択すればよい。通常1~50μm、好ましくは5~25μmである。
積層体の厚さは、目的とする、被着体、電子デバイス等の用途によって適宜決定することができる。積層体の実質的な厚さは、取り扱い性の観点から、好ましくは0.3~50μm、より好ましくは0.5~25μm、より好ましくは0.7~12μmである。
なお、「実質的な厚さ」とは、使用状態における厚さをいう。すなわち、上記積層体は、前述したように工程フィルム等を有していてもよいが、使用時に除去される部分(工程フィルム等)の厚さは、「実質的な厚さ」には含まれない。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体は、一態様として工程フィルムを用いて製造することができる。工程フィルムを用いることで、積層体を効率よく、かつ、容易に製造することができる。
本発明の積層体の製造方法は、以下(工程1)~(工程3)を含むことが好ましい。
(工程1):工程フィルム上に、重合体成分(A)及び2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を含有する硬化性樹脂組成物を用いて光学フィルム(塗膜)を形成する工程
(工程2):工程1で得られた光学フィルム(塗膜)を硬化させて、光学フィルムを形成する工程
(工程3):工程2で得られた光学フィルム上に、機能層を形成する工程
硬化性樹脂組成物を工程フィルム上に塗工する方法は、特に制限されず、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法を利用することができる。
得られた塗膜を乾燥する方法は特に制限されず、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法を利用することができる。
塗膜の乾燥温度は、通常、30~150℃、好ましくは、80~130℃である。
工程1で得られた光学フィルム(塗膜)を硬化させて光学フィルムを形成する。
光学フィルム(塗膜)を硬化する方法としては、特に限定されず、公知の方法が採用できる。例えば、光学フィルム(塗膜)が、熱重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものである場合、光学フィルム(塗膜)を加熱することで光学フィルム(塗膜)を硬化させることができる。加熱温度は、通常、30~150℃、好ましくは、50~130℃である。
また、光学フィルム(塗膜)が、光重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものである場合、光学フィルム(塗膜)に活性エネルギー線を照射することで光学フィルム(塗膜)を硬化させることができる。活性エネルギー線は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ等を用いて照射することができる。
活性エネルギー線の波長は、200~400nmが好ましく、350~400nmがより好ましい。照射量は、通常、照度50~1,000mW/cm、光量50~5,000mJ/cm、好ましくは1,000~5,000mJ/cmの範囲である。照射時間は、通常、0.1~1,000秒、好ましくは1~500秒、更に好ましくは10~100秒である。光照射工程の熱負荷を考慮して前述の光量を満たすために、複数回照射してもよい。
この場合、活性エネルギー線照射による重合体成分(A)の劣化や、光学フィルム(塗膜)の着色を防止するために、硬化反応に不要な波長の光を吸収するフィルタを介して、活性エネルギー線を硬化性樹脂組成物に照射してもよい。この方法によれば、硬化反応に不要で、かつ、重合体成分(A)を劣化させる波長の光がフィルタに吸収されるため、重合体成分(A)の劣化が抑制され、無色透明の光学フィルムが得られ易くなる。
フィルタとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムを利用することができる。樹脂フィルムを用いる場合、工程1と工程2の間に、光学フィルム(塗膜)上にポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムを積層させる工程を設けることが好ましい。なお、樹脂フィルムは、通常は、工程2の後に剥離される。
また、光学フィルム(塗膜)に電子線を照射することで、光学フィルム(塗膜)を硬化させることもできる。電子線を照射する場合は、通常、光重合開始剤を利用しなくても、光学フィルム(塗膜)を硬化させることができる。電子線を照射する場合は、電子線加速器等を用いることができる。照射量は、通常10~1,000kradの範囲である。照射時間は、通常、0.1~1,000秒、好ましくは1~500秒、さらに好ましくは10~100秒である。
光学フィルム(塗膜)の硬化は、必要に応じて窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。不活性ガス雰囲気下で硬化を行うことにより、酸素や水分等が硬化を妨げることを回避し易くなる。
工程2で得られた光学フィルム上に、所望の機能層を形成する。
機能層を形成する方法としては、先に説明した方法を適宜採用することができる。
積層体が工程フィルムを有する場合、積層体は片面に工程フィルムを有していてもよく、両面に工程フィルムを有していてもよい。後者の場合は、2種類の工程フィルムを用いて、先に剥離する工程フィルムをより剥離しやすいものにするのが好ましい。
工程フィルムは、シート状またはフィルム状のものが好ましい。シート状またはフィルム状とは、長尺のものに限らず、短尺の平板状のものも含まれる。
工程フィルムとしては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;上記紙基材に、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル-スチレン樹脂等で目止め処理を行ったもの;あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムやポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム;ガラス等が挙げられる。
また、工程フィルムは、取り扱い易さの点から、紙基材や、プラスチックフィルム上に剥離剤層を設けたものであってもよい。剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
剥離剤層の厚さは、特に制限されないが、通常、0.02~2.0μm、より好ましくは0.05~1.5μmである。
工程フィルムの厚さは、取り扱い易さの点から、1~500μmが好ましく、5~300μmがより好ましい。
なお、工程フィルムは、通常は、積層体の用途等に応じて、所定の工程において剥離される。
このように、前記(工程1)~(工程3)を含む製造方法は、工程フィルムを利用して光学フィルムを形成するものであるが、この方法によって得られる積層体は、工程フィルムを有していてもよいし、有していなくてもよい。
上述した積層体の製造方法によれば、本発明の一態様に係る積層体を効率よく、連続的に、かつ容易に製造することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で作製した光学フィルムの面内位相差、破断伸度、破断強度、ヤング率、全光線透過率及びヘイズ値の評価は、以下の方法で行った。
(1)面内位相差
(1-a)面内位相差(歪み0%)
実施例及び比較例で得られた光学フィルム(厚さ:10μm)を、工程フィルムから剥離し、40mm×40mmの試験片とし、位相差測定装置(王子計測機器社製、型名「KOBRA-WR」、波長:589nm)を使用し、温度23℃の条件で、試験片の面内位相差(歪み0%)(リタデーション値)を測定した。
(1-b)面内位相差(歪み1.0%)
実施例及び比較例で得られた光学フィルム(厚さ:20μm)を、工程フィルムから剥離し、60mm×15mmの試験片とした。次いで、試験片の長手方向の、面内位相差の測定領域を除く両端部(両端から10mmの領域)を、それぞれ両面テープを介しPETフィルム(厚さ:100μm)を用い補強した後、PETフィルムで補強した一方の端部を鉛直方向上部の測定用治具側に固定し、他方の端部を鉛直方向下部になるように重りぶら下げ用治具側に配置した。
次いで、当該試験片に重りをぶら下げた状態で、位相差測定装置(王子計測機器社製、型名「KOBRA-WR」、波長:589nm)を使用し、温度23℃の条件で、試験片の歪み1.0%における面内位相差(リタデーション値)を測定した。ここで、実施例1、2で用いた試験片の歪みが1.0%となる重りの重さは227g、比較例1で用いた試験片の歪みが1.0%となる重りの重さは1027gであった。
(2)破断伸度、破断強度及びヤング率
実施例及び比較例で得られた光学フィルム(厚さ:10μm)を、工程フィルムから剥離し、100mm(長さ)×15mm(幅)の試験片とし、治具で固定し、オートグラフ (島津製作所社製、型名「AUTOGRAPH AG-X Plus」)を使用し、温度23℃50RH%の条件で、300mm/minの速度で、破断伸度、破断応力及びヤング率を測定した。
(3)全光線透過率、ヘイズ値
実施例及び比較例で得られた光学フィルム(厚さ:10μm)を、工程フィルムから剥離し、50mm×50mmの試験片とし、当該試験片を、JIS K7361-1:1997に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「SH-7000」)を用いて全光線透過率(%)を測定した。
同様に、JIS K7136:2000に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「SH-7000」)を用いてヘイズ値(%)を測定した。
(実施例1)
・光学フィルムの形成
硬化性樹脂組成物1を以下のように調製した。
重合体成分(A)として、ポリビニルブチラールの粉体(積水化学社製、製品名:「KS-10」、ガラス転移温度Tg=105℃、重量平均分子量40,000)100質量部をメチルエチルケトンに溶解して、ポリビニルブチラールの20質量%溶液を調製した。次いで、この溶液に、硬化性単量体(B)として、2官能のポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、製品名:A-400、分子量522.6)122質量部、及び重合開始剤として、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、IRGACURETPO)5質量部を添加、混合して、固形分濃度21質量%に希釈した硬化性樹脂組成物1を調製した。なお、本実施例,他の実験例及び比較例において使用した硬化性単量体(B)及び重合開始剤は溶媒を含まず、全て固形分100質量%の原料である。
次に、工程フィルムとして、剥離フィルム(リンテック社製、製品名:PET38 2150、厚さ38μm)を使用し、この剥離フィルムの低剥離力面側に硬化性樹脂組成物1を塗布し、塗膜を100℃で2分間加熱して乾燥した。次いで、この乾燥した塗膜上に、剥離フィルムの低剥離力面側に積層しコンベアー式紫外線照射装置(Heraus株式会社製、型名「CV-100Q-G」)を使用し、紫外線ランプ高さ85mm、紫外線ランプ出力100%、ライン速度3.7m/min、光線波長365nmの照度が400mW/cm、光量が800mJ/cm(Heraus社製、UV Power Puck(登録商標)IIで測定)の条件で、剥離フィルムを介して紫外線照射して硬化反応を行い、光学フィルムを形成した。なお、光学フィルムは、厚さ10μm及び20μmの2種類を用意した。
得られた光学フィルムの面内位相差(歪み0%)、面内位相差(歪み1.0%)、破断伸度、破断強度、ヤング率、全光線透過率及びヘイズ値の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の硬化性樹脂組成物1における硬化性単量体(B)の代わりに、2官能のポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A-600、分子量742.9)を使用した以外は、実施例1と同様に、厚さ10μm及び20μmの光学フィルムを用意した。
得られた光学フィルムの面内位相差(歪み0%)、面内位相差(歪み1.0%)、破断伸度、破断強度、ヤング率、全光線透過率及びヘイズ値の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
重合体成分(A)として、ポリイミド樹脂(PI)の粉体(河村産業株式会社製、製品名KPI-MX300F、Tg=354℃、重量平均分子量280,000)100質量部をメチルエチルケトン(MEK)及びトルエン(MEK:トルエン=1:1)に溶解して、PIの15質量%溶液を調製した。次いで、この溶液に、硬化性単量体(B)として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製、製品名:A-DCP、分子量304.4)122質量部、及び重合開始剤として、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、IRGACURETPO)5質量部を添加、混合して、硬化性樹脂組成物2を調製した。
次に、工程フィルムとして、片面に易接着層を有するポリエチレンテレフテレート(PET)フィルム(東洋紡社製、PET100A-4100、厚さ50μm、)を使用し、このPETフィルムの易接着層面とは反対の面に、硬化性樹脂組成物2を塗布し、塗膜を100℃で2分間加熱して乾燥した。
さらに、この乾燥した塗膜上に、PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4100、厚さ50μm)を、易接着面とは反対の面が対向するように積層しコンベアー式紫外線照射装置(Heraus株式会社製、CV-100Q-G)を使用し、紫外線ランプ高さ85mm、紫外線ランプ出力100%、ライン速度3.7m/min、光線波長365nmの照度が400mW/cm、光量が800mJ/cm(Heraus社製、UV Power Puck(登録商標)IIで測定)の条件で、PETフィルムを介して紫外線照射して硬化反応を行い、厚さ10μm及び20μmの光学フィルムを用意した。
得られた光学フィルムの面内位相差(歪み0%)、面内位相差(歪み1.0%)、破断伸度、破断強度、ヤング率、全光線透過率及びヘイズ値の評価を行った。結果を表1に示す。
以下に、実施例及び比較例で使用した、硬化性単量体(B)の化学構造式を示す。
硬化性樹脂組成物において、重合体成分(A)としてポリビニルブチラール、及び2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を用いた実施例1及び2の光学フィルムは、重合体成分(A)としてポリイミドを用いた比較例1の光学フィルムに比べ、歪みに対し優れた面内位相差を有することがわかる。
また、低いヤング率を有するため、屈曲時の応力が小さくデバイスの曲げやすさにおいても優れている。
本発明の光学フィルムによれば、歪みに対する面内位相差が小さく、光学等方性が維持され易いことから、フレキシブルな表示素子、例えば、フレキシブル有機EL素子等の部材の基板等に適用されることが期待される。

Claims (8)

  1. 重合体成分(A)及び2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性単量体(B)を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学フィルムであって、
    前記重合体成分(A)はポリビニルブチラールを含み、前記光学フィルムの波長589nmでの歪み1%における面内位相差が0~10nmである、光学フィルム。
  2. 前記光学フィルムの厚さが25μm以下である、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記光学フィルムのヘイズ値が1.0%以下である、請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記光学フィルムの全光線透過率が85%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記光学フィルムの破断伸度が5.0%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 重合体成分(A)の重量平均分子量が10,000以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の光学フィルムにさらに機能層を備える、積層体。
  8. 前記機能層が、接着剤層、粘着剤層、粘接着剤層、ガスバリア層、導電層及びハードコート層の少なくとも1層を含む、請求項7に記載の積層体。
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