JP2023094589A - 反転pn接合を含む半導体レーザダイオード - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム含有量の高いp型クラッド構成の使用に伴う酸化の問題に対処したトンネル接合を反転pn接合と組み合わせて使用する端面発光型GaAs系半導体レーザを提供する。【解決手段】端面発光型GaAs系半導体レーザは、n型GaAs基板12上に形成したトンネル接合14と、トンネル接合の上のp型クラッド層16およびp型導波路層18と、活性領域20と、活性領域上のn型導波路層22およびn型クラッド層24を有する。p型層は活性領域の下に位置し、処理中に空気に曝されないため、比較的高いアルミニウム含有量を使用することができ、デバイスの熱特性および電気特性を改善することができる。n型材料は高いアルミニウム含有量を必要としないため、構造の実質的な酸化を導入することなく、リッジ構造を形成するためにさらに処理することができる。【選択図】図4

Description

本発明は、半導体レーザダイオードに関し、より詳細には、熱制御を改善することができる反転接合構成を有する、特に高出力用途によく適した端面発光型GaAs系半導体レーザダイオードに関するものである。
電気的に励起される半導体レーザは、活性領域に(p型材料からの)正孔および(n型材料からの)電子の両方を導入するpn接合(「ダイオード」)の使用に基づいており、活性領域が、導入された正孔および電子(「フリーキャリア」)から光を生成するために形成される。GaAs系ダイオードレーザは、通常、そのp型構造よりもn型構造の方が高品質であるため、n型基板上に成長させるのが一般的である。このため、殆どの場合、GaAs系半導体レーザの基材として単結晶n-GaAsが使用される。
ここ数年、光学キャビティの長さを(例えば、4~6mmの長さの範囲内で)長くすることで、比較的高出力のGaAs系半導体レーザが実現されている。このアプローチにより、2Wを超えるシングルモード出力を達成することができ、単一エミッタのマルチモード領域において25Wを超える出力に到達することが可能である。しかしながら、このような長いキャビティ構造では、自由キャリア吸収が光損失の大きな原因となる。電子は正孔よりも吸収が少ないため、高出力構造の改良は、光モードがp型層よりもn型導波路層の多くを占める非対称導波路の使用に基づくものとなっている。
非対称構造を作るために必要な比較的高いアルミニウム含有量(典型的には30~80%の範囲)は、熱管理の面で新たな問題を引き起こす。特に、上述した範囲のアルミニウム割合の場合、生成した層が、レーザ構造の中で最も高い熱抵抗率を示す。また、アルミニウムの割合が高いと、正孔の移動度が低くなる条件にも関連付けられる。これらのメカニズムは、特に高出力領域において、許容可能な動作を維持するために取り出さなければならない大量の熱を発生させる結果となる。
当該技術分野に残されたニーズは、半導体レーザダイオードに関する本発明であって、より詳細には、熱制御を改善することができる反転接合構成を有する、特に高出力用途によく適した端面発光型GaAs系半導体レーザダイオードに関する本発明によって対処される。
本発明の原理によれば、高出力GaAs系半導体レーザは、高いアルミニウム含有量のp型クラッド構成の使用に付随する酸化の問題を克服するために、トンネル接合を反転pn接合と組み合わせて使用する。具体的には、n型基板(好ましい出発材料)上にトンネル接合が形成され、その上に高いアルミニウム含有量のp型クラッド層および導波路層が形成される。その後、活性領域(MQW、DH、量子ドット、ワイヤなどを含み得る)がp型層の上に形成され、この活性領域上にn型導波路層およびクラッド層が成長される。このため、p型層が活性領域の下に配置され、n型層が活性領域の上に配置されるため、結果として得られる構造は、先行技術に対して「反転」したものとなる。n型材料は、必要な性能パラメータを示すために高いアルミニウム含有量を必要とせず、よって、構造の実質的な酸化を導入することなく好ましいリッジ構造を形成するためにさらに処理することができる。
いくつかの好ましい実施形態では、活性領域の所望の部分内に電流を閉じ込めるのを助けるように、トンネル接合が調整される(エッチングおよびパターニングされる)。また、反転接合レーザは、分布帰還型(DFB)レーザとして形成することもでき、必要なブラッグ格子が活性領域の上のn型導波路層内に形成される。
例示的な一実施形態は、n型GaAs基板(上部主面および反対側の下部主面を有すると規定される基板)上に形成される端面発光型GaAs系レーザの形態をとることができ、レーザ構造が、n型GaAs基板の上部主面に形成されたトンネル接合と、トンネル接合の上に形成されたp型クラッド層と、p型クラッド層の上に形成されたp型導波路層と、形成されたp型導波路層上に配置された活性領域と、活性領域の上に形成されたn型導波路層と、n型導波路層に結合された第1のn型オーミックコンタクトと、n型GaAs基板の下部主面に結合された第2のn型オーミックコンタクトとを含む。
本発明の他のおよび更なる態様および実施形態は、以下の説明の過程で、添付の図面を参照することにより明らかになるであろう。
ここで図面を参照すると、いくつかの図面では同様の符号が同様の部品を示している。
図1は、活性領域の軸方向の範囲およびレーザ構造の端面に沿った光放射の出口を示すように向けられた、先行技術の端面発光型半導体レーザの概略図である。 図2は、先行技術のGaAs系端面発光型半導体レーザの導波路層に使用されるAlGaAsの材料特性のプロットを含み、図2(a)はAl組成の割合の関数としての熱抵抗率のプロットであり、図2(b)はAl組成の割合の関数としての正孔移動度のプロットである。 図3は、レーザ構造の側面図として向けられた、本発明の原理に従って形成された例示的な反転接合GaAs系半導体レーザを示している。 図4は、図3の線分4-4に沿った、図3の本発明のレーザの切断端面図である。 図5は、本発明の反転接合端面発光型レーザの代替的な実施形態の切断端面図であり、この場合、活性領域内の電流閉じ込めを改善するためにストリップとして成形されたトンネル接合を使用している。 図6は、本発明の反転接合端面発光型半導体層の別の実施形態を示しており、この場合、DFBレーザとして形成されており、活性領域の上に位置するn型導波路層内に形成された格子構造を含む。 図7は、図6のDFBレーザ構造の切断端面図であり、特に、光モードと活性領域に対する格子構造の位置との間の関係を示している。
図1は、単結晶n型GaAs基板2上に成長させた先行技術の端面発光型半導体ダイオードレーザ1の概略図である。この場合、先ず、n型クラッド層3およびn型導波路層4が、n-GaAs基板2上に成長され、続いて、活性領域に入る電気キャリア(正孔、電子)から光放射を生成するために、周知の方法で活性領域5が形成される。図1の概略図の向きでは、図面左側のファセット(端面)に沿ってレーザ出力が出射するものとして示されている。
この先行技術の端面発光型デバイスの説明を続けると、p型導波路層6およびp型クラッド層7が活性領域5の上に成長される。エピタキシャル成長は、第1のオーミックpコンタクト8の形成に使用されるp型コンタクト層で終了する。第2のオーミックコンタクト9は、n型材料で形成され、n-GaAs基板2の下面にわたって配置されている。この構成により、電子は、第2のオーミック9からn型基板2、n型クラッド層3およびn型導波路層4を介して活性領域5へ供給される。正孔は、第1オーミックコンタクト8からpクラッド層7およびp導波路層6を介して活性領域5内に供給される。
典型的なGaAs系レーザダイオードでは、p型クラッド層がAlGaAsで形成されており、デバイス性能のためには、比較的高いアルミニウム含有量が好ましい。しかしながら、大量のアルミニウム含有量が存在すると、製造時に湿度の高い空気に曝されたときにクラッド層が酸化し、AlOx層が形成される。そのようなAlOx層の厚さは、温度、湿度および暴露時間に依存するため、制御が困難である。そのような制御されていないAlOx層の形成は、高出力シングルモードレーザにとって特に望ましくなく、その変動に伴う追加の応力が、性能(線形出力の低下)と信頼性の両方にとって有害となり得る。
望ましくない酸化の可能性を低減するために、p型クラッドの形成において、比較的低いAl含有量(例えば、約40%)のAlGaAs層が一般に使用される。しかしながら、図2から分かるように、Al組成が約40%のAlGaAs層は、可能性のあるアルミニウム含有量全体の中で最も高い熱抵抗率(図2(a))を示す一方で、比較的低い正孔移動度(図2(b))を有するため、動作の観点から最も好ましくない。レーザの設計によっては、p型クラッド層および導波路層がレーザ直列抵抗の約50%を占めることとなり、これは、レーザの熱の約50%がそれらの層で生成されることを意味する。熱抵抗率が悪いため(図2(a)を参照)、この熱はあまり効率的に取り出されることはなく、その結果、動作中に接合部温度が上昇(自己発熱)し、よって高い動作電流でのレーザ性能が低下する。
図2のグラフの網掛け領域を参照すると、Al含有量が90%を超えるAlGaAs層を使用することが有益である(純粋なp型AlAs層を使用することがさらに有益である)ことは明らかであろう。上述したように、この場合の重大な問題は、そのような層が空気に曝されると容易に酸化されることである。これは、例えば、リッジ導波路がシングルモードレーザで規定されている場合に発生する。形成された酸化物層は、レーザの性能および信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある。
所望の高いアルミニウム含有量と酸化の最小化という、競合する要因のバランスをとる際のこれらの様々な困難は、反転接合構造を使用して、アルミニウム含有量の低いn型材料を活性領域の上に配置するとともに、酸化の問題を最小化する所望のリッジ構造を形成するように処理することにより、本発明によって対処される。
好ましいn型GaAs基板(以下、n-GaAs基板と称する)の使用を維持するために、p型クラッド層および導波路層を導入する前に、基板の上部にトンネル接合が形成される。トンネル接合は、基板からの電子の流れを、p型材料を通過するキャリア移動に必要な正孔の流れに変換するために使用される。トンネル接合は電気経路にある程度の抵抗率をもたらすが、後述するように、その影響を最小限に抑えることができる。レーザダイオードのp型部分を活性領域の下に移動させることにより、p型クラッド層を、AlGaAsよりも熱抵抗率の低いAlAsで形成することができ、それにより、高出力レベルにおける熱放散をさらに向上させることができる。さらに、p型クラッド層の厚さを(典型的なAlGaAs系レーザのp型クラッド層の厚さと比較して)約2分の1に減らすことができ、トンネル接合の存在によってもたらされる有限の抵抗率を補償することができる。
図3は、本発明の原理に従って形成された反転接合GaAs系半導体レーザ10を示している。先行技術と同様に、本発明のレーザ構造は、好ましくは単結晶構造であるn型GaAs(n-GaAs)基板12の使用に基づいている。n-GaAs基板12を通る電子の流れを、反転接合構成に必要な正孔の流れに変換するために、n-GaAs基板12の露出した上面12Sにトンネル接合14が成長(または他の方法で形成)される。トンネル接合14の存在は、活性領域に向かう流れにある程度の抵抗率を導入するが、以下に詳細に述べるように、トンネル接合層14を注意深く設計することによって最小化することができる。
反転接合レーザダイオード10の説明を続けると、次に、p型クラッド(p-クラッド)層16およびp型導波路(p-導波路)層18がトンネル接合14の上に順次成長される。その後、p-導波路層18の上に活性領域20が生成される。活性領域20は、ダブルヘテロ構造(DH)、量子井戸(QW)、多重QW(MQW)、量子ドット/ダッシュ/ワイヤに限定されるものではないが、これらを含む当該技術分野で周知の任意の適切な構成を含むことができる。
反転接合形成によれば、n型導波路層(n-導波路)22およびn型クラッド(n-クラッド)層24が続いて活性領域20の上に形成される。第1のn型オーミックnコンタクト26は、n-クラッド層24上に形成され、第2のn型オーミックpコンタクト28は、n-GaAs基板12の裏面にわたって形成されるものとして示されている。一対の同様の導電性電気コンタクトを使用する結果として、反転接合GaAs系レーザダイオード10に電気駆動電流入力を印加すると、(図3に示すように)オーミックnコンタクト26からオーミックpコンタクト28への電子流が生成される。トンネル接合14の存在により、第2のオーミックpコンタクト28に向かう電子の流れが、活性領域20に向かう正孔の流れに変換される。
例示的な一実施形態では、トンネル接合14が(図3に挿入図として示すように)、高度にドープされたn型層14.1と、真性層14.2と、高度にドープされたp型層14.3とからなる多層構成を含むことができる。例えば5E19cm-3程度のドーピングレベルを使用することができ、この高いドーピング濃度により、追加の外部バイアスを提供する必要なしに、平衡状態のフェルミレベルをn型材料の伝導帯よりも高く、p型材料の価電子帯よりも低くすることができる。このため、レーザダイオード10自体が順方向バイアス下にあるとき、トンネル接合14自体は逆方向バイアス下にあり、活性領域20への正孔および電子の両方の必要な流れが可能になる。p-導波路層18、活性領域20およびn-導波路層22の組合せは、GaAs系半導体レーザダイオード10の「反転接合30」と呼ばれることがある。
高効率および高出力の端面発光型GaAs系半導体レーザは、通常、活性領域の上の領域において光学的閉じ込めおよび電気的(電流)閉じ込めの両方を提供するためにリッジ構造を含むように形成される。図4は、このリッジ構造を示している。図4は、図3の線分4-4に沿った反転接合レーザ10の図である。閉じ込めリッジは、図4においてリッジ24aとして示されている。この図面では、z軸に沿った光出力が図面に対して垂直であり、光モードの位置も示されている。
端面発光型半導体レーザのクラッド領域および導波路領域に通常使用されるn型AlGaAs層は、(p型材料が90%を超えるのとは対照的に)40%未満のAl含有量を有する。このため、リッジ24aを形成する際にn型材料を使用しても、デバイススタックのこの位置にp型クラッド材料を使用する先行技術において問題となっていた酸化は生じない。さらに、電子は正孔に比べて約10倍のキャリア移動度を有するため、n型AlGaAs層は遥かに低い抵抗率を示し、レーザ動作中の発熱が少なくなる。光モード強度は、n型クラッド層24内で、典型的なp型層に見られるよりも小さな勾配を示し、その結果、リッジ24aを作成する際のモード制御のためのエッチング深さの変化に対して敏感ではなくなる。
さらに、p型層の位置変更により、p-クラッド層16を、先行技術のAlGaAsよりも熱伝導率の高いAlAsで形成することが可能となり(約40%のAl含有率のAlGaAsでは約8cmK/Wである(図2(a)を参照)のに対して、AlAsでは約1cmK/W)、それにより構造のp側の熱抵抗率をさらに低下させることができる。p-クラッド層としてAlAsを使用する場合のより効率的な熱除去システムの存在により、自己発熱、自己集束、空間的ホールバーニングなどの望ましくない熱関連の非線形作用も最小限に抑えることができる。
図4には、トンネル接合14が光モードと重ならないことが明確に示されている。このため、トンネル接合14の形成において、比較的低いバンドギャップ内の材料(例えば、GaAsおよび/またはInGaAs)を使用することが可能である。低バンドギャップ材料は、構造のトンネル特性を向上させ、よって、まず第一にトンネル接合の存在に関連する追加の抵抗率を低減する。
端面発光型半導体レーザダイオードの性能をさらに向上させるためには、電流拡散の影響を低減することが必要になる。リッジ構造は、「上部」オーミックコンタクトと活性領域との間の電流拡散を最小限に抑えるように機能するが、「下部」オーミックコンタクトと活性領域との間の構造には、同様の物理的制約が存在しない。この問題は、本発明の原理によれば、電子/正孔の流れを抑制する方法でトンネル接合の構成を制御することにより、対処することもできる。
図5は、例示的な反転接合端面発光型レーザダイオード10Aの切断端面図であり、含まれるトンネル接合のトポロジーが、レーザダイオードの下部領域内で電流閉じ込めを提供するように構成されている。
レーザダイオード10Aは、図3および図4の説明に関連して上述した構造と同じ層を含む。しかしながら、この場合、トンネル接合14の均一な層構造が、(ページ内に延びる)ストリップ構成14Aによって置き換えられている。正孔の流れを活性領域20に最良に閉じ込めるために、トンネル接合ストリップ14Aは、光モードの真下に配置され、リッジ24Aと実質的に同じ幅Wで形成されている。本発明者等による同時係属中の出願[LE030]は、下部オーミックコンタクトとレーザダイオード活性領域との間の経路に沿った「電流リストリクタ」の使用に関する拡張した説明を含むが、これは引用により本明細書に援用されるものとする。
殆どの場合、従来のタイプのパターニングおよびエッチングプロセスを使用して、成長/堆積したトンネル接合14をトンネル接合ストリップ14Aに変換することができる。トンネル接合14の材料の余計な部分を除去することによって、n-p-n電流遮断領域が形成され、よって、図5に示すような方法で電流閉じ込めが促進される。
図6は、本発明の原理に従って形成された反転接合GaAs系半導体レーザの別の実施形態を示している。この場合、反転接合レーザ60は、分布帰還型(DFB)レーザの形態をとる。当該技術分野で周知のように、DFBレーザは、活性領域に比較的近接して構造の長手方向軸に沿って配置されるブラッグ格子を含む。格子の存在により、レーザの反射率バンドの中心に共振が生じ、その結果、出力放射が共振値に本質的に「ロック」するように狭められ、安定した単一波長デバイスが提供される。
図6に示す具体的な要素を参照すると、反転接合DFBレーザ60は、好ましくは単結晶構造であるn-GaAs基板62に基づくものとして示されている。n-GaAs基板62を通る電子の流れを、反転接合構成に必要な正孔の流れに変換するために、n-GaAs基板62の露出した上面62Sにトンネル接合64が成長(または他の方法で形成)される。その後、トンネル接合64の上にp-クラッド層66およびp-導波路層68が順次成長される。次いで、p-導波路層68の上に活性領域70が生成される。上述した反転接合レーザ10と同様に、活性領域70は、当該技術分野で周知の任意の適切な構成を含むことができる。
反転接合DFBレーザ60は、活性領域70の上に形成されたn-導波路層72をさらに含む。DFBレーザに必要な共振構造を生成するために、当該技術分野で周知の方法を用いて、n-導波路層72内にブラッグ格子構造74が形成される。ブラッグ格子構造74は、レーザの出力波長で共振を生じさせる周期Λを示すように形成される。n-クラッド層76は、n-導波路層72/格子74の上に形成されるものとして示されている。第1のn型オーミックnコンタクト78は、n-クラッド層76の上に形成され、第2のn型オーミックpコンタクト80は、n-GaAs基板62の裏面にわたって形成されるものとして示されている。上述した反転接合レーザ10と同様に、トンネル接合64の存在により、第2のオーミックpコンタクト80に向かう電子の流れが、活性領域70に向かう正孔の流れに変換される。
本発明の原理によれば、GaAs系DFBレーザにおいて反転接合構成を使用することにより、先行技術のDFBレーザに見られるようなp型ではなく、n型材料内に格子を形成することが可能になる。n型導波路層とp型導波路層の位置を反転させることによって、光モード強度が、従来のDFB構造よりも小さい勾配を示すことを思い起こされたい。このため、格子構造74を、p型材料内に格子構造を形成することに基づく先行技術の構成よりも、活性領域70からさらに離れた位置に配置することができる。図7は、図6の線分7-7に沿った反転接合DFBレーザ60の図である。光モードの位置もこの図面に示されており、これには、活性領域70と格子構造74との間の光モードの重なり、並びに、活性領域70と格子構造74との間の間隔Sが明確に示されている。
デバイス性能に影響を与えることなく活性領域70と格子構造74との間の間隔を増加させる能力によって、格子構造74を形成するプロセス中に導入され得る様々な不純物および欠陥形成の影響を低減することが可能になる。n-導波路層72と格子構造74との間の過成長界面を活性領域70からさらに遠ざけることにより、この界面に存在し得る不純物の影響も限定される。さらに、光モード強度が比較的小さな勾配を示すため、活性領域70と格子構造74との間の結合強度がより良好に制御され得る。
本明細書に記載の実施形態および例は、本発明およびその実用的な応用を最もよく説明し、それによって当業者が本発明を製造および利用できるようにするために提示されたものである。しかしながら、当業者は、上述した説明および例が、説明および例示のみを目的として提示されたことを認識するであろう。本発明の他の変形および変更は、当業者には明らかであり、そのような変形および変更を網羅することが、添付の特許請求の範囲の意図である。実際に、端面発光型GaAs系レーザにおける反転接合構造の使用は、980nmポンプレーザ、広域単一発光レーザ、バーレーザなど、高出力レーザダイオードが必要とされる様々な状況において好ましいと考えられる。
上述した説明は、網羅的であることも、本発明の範囲を限定することも意図していない。上記教示に鑑みて、以下の特許請求の範囲の主旨および範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が可能である。本発明の使用は、様々な特性を有するコンポーネントを含むことができると考えられる。本発明の範囲は、あらゆる点で均等物を十分に認識した上で、添付の特許請求の範囲によって規定されることが意図される。

Claims (13)

  1. 端面発光型GaAs系レーザであって、
    上部主面および反対側の下部主面を有するn型GaAs基板と、
    前記n型GaAs基板の上部主面に形成されたトンネル接合と、
    前記トンネル接合の上に形成されたp型クラッド層と、
    前記p型クラッド層の上に形成されたp型導波路層と、
    形成されたp型導波路層上に配置された活性領域と、
    前記活性領域の上に形成されたn型導波路層と、
    前記n型導波路層の上に形成されたn型クラッド層と、
    前記n型クラッド層に結合された第1のn型オーミックコンタクトと、
    前記n型GaAs基板の下部主面に結合された第2のn型オーミックコンタクトとを備えることを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  2. 請求項1に記載の端面発光型GaAs系レーザにおいて、
    前記p型クラッド層が、アルミニウムを含む半導体組成物で形成され、アルミニウムの含有量が半導体組成物の40%を超えることを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  3. 請求項2に記載の端面発光型GaAs系レーザにおいて、
    前記p型クラッド層のアルミニウム含有量が90%を超えることを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  4. 請求項1に記載の端面発光型GaAs系レーザにおいて、
    前記p型クラッド層がAlGaAsを含むことを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  5. 請求項1に記載の端面発光型GaAs系レーザにおいて、
    前記p型クラッド層がAlAsを含むことを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  6. 請求項1に記載の端面発光型GaAs系レーザにおいて、
    前記n型クラッド層が、光モードフィールドを閉じ込めるためのリッジ構造を含むように形成されていることを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  7. 請求項6に記載の端面発光型GaAs系レーザにおいて、
    前記トンネル接合が、前記n型クラッド層のリッジ構造と位置合わせされたストリップとして構成されていることを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  8. 請求項1に記載の端面発光型GaAs系レーザにおいて、
    当該端面発光型GaAs系レーザが、分布帰還型レーザとして形成され、さらに、
    前記n型導波路層内に形成されかつ前記活性領域と平行に配置されたブラッグ格子を備えることを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  9. 請求項8に記載の端面発光型GaAs系レーザにおいて、
    前記ブラッグ格子が、当該ブラッグ格子の過成長界面と前記活性領域との間の相互作用を最小限に抑えるのに十分なだけ、前記活性領域から離間した位置に配置されていることを特徴とする端面発光型GaAs系レーザ。
  10. 端面発光型GaAs系レーザを形成する方法であって、
    上部主面および反対側の下部主面を有するn型GaAs基板を提供するステップと、
    前記n型GaAs基板の上部主面にトンネル接合を形成するステップと、
    前記トンネル接合の上にp型クラッド層を形成するステップと、
    前記p型クラッド層の上にp型導波路層を形成するステップと、
    形成されたp型導波路層上に活性領域を配置するステップと、
    前記活性領域の上にn型導波路層を形成するステップと、
    前記n型導波路層の上にn型クラッド層を形成するステップと、
    前記n型クラッド層に第1のn型オーミックnコンタクトを堆積させるステップと、
    前記n型GaAs基板の下部主面に第2のn型オーミックpコンタクトを堆積させるステップとを備えることを特徴とする方法。
  11. 請求項10に記載の方法において、
    エピタキシャル成長プロセスを使用してp型層およびn型層を形成することを特徴とする方法。
  12. 請求項10に記載の方法において、
    前記トンネル接合を形成するステップが、
    高度にドープされたn型およびp型材料の層状構造を堆積させるステップと、
    前記層状構造をパターニングして、光モード領域と位置合わせされたストリップを規定するステップと、
    パターニングされた層状構造をエッチングして、ストリップ位置の外側の領域から高度にドープされたp型およびn型材料を除去するステップとを含むことを特徴とする方法。
  13. 請求項10に記載の方法において、
    前記n型導波路層を形成するステップが、前記端面発光型GaAs系レーザの出力波長に対応するブラッグ波長を有するブラッグ格子構造を作成して、分布帰還型レーザを形成するステップを含むことを特徴とする方法。
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