JP2004221492A - 面発光レーザおよび面発光レーザの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】共振器損失を抑制しつつ、分布ブラッグ反射層の低抵抗化を図る。
【解決手段】面発光レーザのノンドープ分布ブラッグ反射層6を、面発光レーザの共振器を構成する光反射領域R1およびノンドープ分布ブラッグ反射層6内における電気伝導を担当する低抵抗領域R2に分け、低抵抗領域R2には、高濃度p型不純物拡散層7を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】面発光レーザのノンドープ分布ブラッグ反射層6を、面発光レーザの共振器を構成する光反射領域R1およびノンドープ分布ブラッグ反射層6内における電気伝導を担当する低抵抗領域R2に分け、低抵抗領域R2には、高濃度p型不純物拡散層7を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面発光レーザおよび面発光レーザの製造方法に関し、特に、共振器を構成するための分布ブラッグ反射膜が設けられた面発光レーザに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の面発光レーザでは、例えば、特許文献1に開示されているように、活性層の上下面に分布ブラッグ反射(DBR)膜を結晶成長させることにより、面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface emitting laser)の共振器を構成する方法がある。
【0003】
図4は、従来の面発光レーザの概略構成を示す断面図である。
図4において、InP基板11上には、n型分布ブラッグ反射層12、発光層13、電流狭窄層15およびp型分布ブラッグ反射層16が順次形成されている。
ここで、発光層13は、活性層13bがn型クラッド層13aとp型クラッド層13cで挟まれたダブルヘテロ接合により構成することができ、活性層13bは、例えば、組成の異なるナノメートルオーダの厚みのInGaAsP層が交互に積層されたMQW(多重量子井戸)構造から構成することができる。
【0004】
また、n型分布ブラッグ反射層12は、例えば、n型InAlGaAs層12aとn型InAlAs層12bとをペアとした積層構造から構成することができ、各層の厚みは、λ/(4n)(ただし、λは波長、nは屈折率)を満たすように設定することができる。
また、p型分布ブラッグ反射層16は、p型AlGaAs層16aとp型GaAs層16bとをペアとした積層構造から構成することができ、各層の厚みは、λ/(4n)を満たすように設定することができる。
【0005】
また、電流狭窄層15は、例えば、AlAs層15aの側壁をリング状に酸化することにより形成された選択酸化層15bから構成することができる。
ここで、AlAs層15aの側壁を効率よく酸化するために、p型分布ブラッグ反射層16および電流狭窄層15は、例えば、円形状にエッチングされ、AlAs層15aの側壁が露出される。
【0006】
そして、AlAs層15aの側壁部分を酸化性ガスに晒して、AlAs層15aをリング状に酸化することにより、AlAs層15aの周囲に選択酸化層15bを形成することができる。
また、p型分布ブラッグ反射層16上にはp側電極18が形成されるとともに、InP基板11の裏面にはn側電極19が形成され、p側電極18には、活性層13bの積層方向にレーザ光を出射させる開口部18aが設けられている。
【0007】
そして、電流I2がp側電極18から注入されると、p型分布ブラッグ反射層16を進むに従って広がろうとするが、電流狭窄層15に達すると、選択酸化層15bの内側に狭窄される。
そして、電流狭窄層15で狭窄された電流I2は活性層13bに注入され、光が発生する。そして、活性層13bで発生した光は、n型分布ブラッグ反射層12とp型分布ブラッグ反射層16との間で反射を繰り返すことでレーザ発振し、開口部18aを介してレーザ光が出射される。
【0008】
ここで、図4の面発光レーザでは、p型キャリアによる吸収に起因した共振器損失を抑制するために、p型分布ブラッグ反射層16におけるp型キャリア濃度は、1017cm−3の後半以下に設定される。
また、図4の面発光レーザでは、単一基本モード発振を行わせる場合、高次モードの発振を抑制するために、選択酸化層15bの電気的開口径は10μm以下に設定される。
【0009】
【特許文献1】
Electronics Letters,Vol.36,No.13,pp.1121−1123,2000
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、p型分布ブラッグ反射層16のp型キャリア濃度が下がると、分布ブラッグ反射層16を構成する各層のシート抵抗が増大することと、各層間のバンド不連続の効果のため、p側電極18と活性層13bとの間の抵抗が増大し、発熱量が増加する。このため、図4の面発光レーザでは、レーザ出力が小さく抑えられるとともに、発振最高温度が低くなるという問題があった。
【0011】
また、単一基本モード発振を行わせるために、選択酸化層15bの電気的開口径が小さくすると、電流狭窄層15での抵抗が増大し、レーザ出力が低下するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、共振器損失を抑制しつつ、分布ブラッグ反射層の低抵抗化を図ることが可能な面発光レーザおよび面発光レーザの製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の面発光レーザによれば、発光層と、前記発光層上に設けられた分布ブラッグ反射層と、前記分布ブラッグ反射層内に設けられた光反射領域と、前記分布ブラッグ反射層内に設けられ、前記分布ブラッグ反射層の最上層と発光層との間の積層方向の抵抗が前記光反射領域よりも小さい低抵抗領域とを備えることを特徴とする。
【0013】
これにより、分布ブラッグ反射層内において、共振器を構成する領域と電流が流れる領域とを分けることが可能となり、共振器を構成する領域のキャリア濃度の低減を可能としつつ、分布ブラッグ反射層の低抵抗化を図ることが可能となる。
このため、分布ブラッグ反射層を介して発光層に電流が注入される場合においても、共振器損失を抑制しつつ、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となるとともに、発振最高温度を上昇させることが可能となる。
【0014】
また、請求項2記載の面発光レーザによれば、前記低抵抗領域は、前記光反射領域の周囲に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物導入領域であることを特徴とする。
これにより、分布ブラッグ反射層の不純物濃度分布を制御することで、光反射領域の不純物濃度を低下させることを可能としつつ、光反射領域の周囲を低抵抗化することが可能となる。
【0015】
このため、製造工程の複雑化を抑制しつつ、共振器損失を低減させることが可能となるとともに、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となる。
また、光反射領域の周囲で共振器損失を大きくすることが可能となることから、共振器損失を抑制しつつ、高次モードの発振を抑制することが可能となり、レーザ光の高出力化に対応しつつ、単一基本モード発振を行わせることが可能となる。
【0016】
また、請求項3記載の面発光レーザによれば、前記分布ブラッグ反射層の中の前記発光層側に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物層をさらに備えることを特徴とする。
これにより、光反射領域のキャリア濃度の増加を抑制しつつ、光反射領域の周囲を流れてきた電流を発光領域に導くための電流経路を低抵抗化することが可能となる。
【0017】
このため、分布ブラッグ反射層における電流経路を抵抗化するために、共振器を構成する領域と電流が流れる領域とを分けた場合においても、共振器損失を抑制しつつ、発光領域に電流を効率よく注入することが可能となる。
また、請求項4記載の面発光レーザによれば、前記高濃度不純物層と前記発光層との間に設けられ、前記発光層に注入される電流の狭窄を行う電流狭窄手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
これにより、光反射領域の周囲を流れてきた電流を発光領域の方向に狭窄することができ、電気的・光学的閉じ込め効果を実現することが可能となる。
このため、しきい値電流を低減して、面発光レーザの発光効率を向上させることが可能となるとともに、発振モードを制御して、単一基本モード発振を効率よく行わせることが可能となる。
【0019】
また、請求項5記載の面発光レーザによれば、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された第1分布ブラッグ反射層と、前記半導体基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成された活性層と、前記活性層上に形成された第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上に形成された選択酸化層と、前記選択酸化層上に形成された第2導電型の第2分布ブラッグ反射層と、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層上に形成され、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層よりも不純物濃度の低い第3分布ブラッグ反射層と、前記第3分布ブラッグ反射層内に設けられた光反射領域と、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層と接触するようにして前記光反射領域の周囲に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い第2導電型不純物領域とを備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、分布ブラッグ反射層の不純物濃度分布を制御することで、光反射領域のキャリア濃度の増加を抑制しつつ、光反射領域の周囲を低抵抗化することが可能となるとともに、発振モードの制御を行なうことが可能となる。
このため、面発光レーザの構成の複雑化を抑制しつつ、単一基本モード発振を安定して行わせることが可能となるとともに、レーザ光の高出力化を図ることが可能となる。
【0021】
また、請求項6記載の面発光レーザの製造方法によれば、エピタキシャル成長により、半導体基板上に第1分布ブラッグ反射層を形成する工程と、エピタキシャル成長により、前記第1分布ブラッグ反射層上に第1導電型クラッド層、活性層および第2導電型クラッド層を順次形成する工程と、エピタキシャル成長により、前記第2導電型クラッド層上にアルミ含有半導体層を形成する工程と、エピタキシャル成長により、前記アルミ含有半導体層上に第2導電型の第2分布ブラッグ反射層を形成する工程と、エピタキシャル成長により、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層よりも不純物濃度の低い第3分布ブラッグ反射層を前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層上に形成する工程と、前記第3分布ブラッグ反射層の光反射領域の周囲に第2導電型不純物を導入することにより、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物領域を前記第2及び第3の分布ブラッグ反射層内に形成する工程と、前記光反射領域の周囲に前記高濃度不純物領域が残るようにして、前記第3分布ブラッグ反射層、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層および前記アルミ含有半導体層を順次エッチングすることにより、前記アルミ含有半導体層の側壁を露出させる工程と、前記アルミ含有半導体層の側壁を酸化性ガスに晒すことにより、前記アルミ含有半導体層の周囲を酸化する工程とを備えることを特徴とする。
【0022】
これにより、エピタキシャル成長を用いることなく、分布ブラッグ反射層の不純物濃度分布を制御することが可能となり、光反射領域の周囲を低抵抗化することが可能となる。
このため、共振器損失を抑制しつつ、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となるとともに、高濃度不純物領域によるモード制御を可能として、単一基本モード発振を安定して行わせることが可能となる。
【0023】
また、請求項7記載の面発光レーザの製造方法によれば、前記第2分布ブラッグ反射層への第2導電型不純物の導入は、拡散またはイオン注入により行うことを特徴とする。
これにより、製造工程の複雑化を抑制しつつ、分布ブラッグ反射層の光反射領域の周囲を低抵抗化することが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る面発光レーザについて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る面発光レーザの概略構成を示す断面図である。
【0025】
図1において、InP基板1上には、n型分布ブラッグ反射層2、発光層3、電流狭窄層5、P型にドーピングされた1ペアの分布ブラッグ反射層6´およびノンドープ分布ブラッグ反射層6が順次形成されている。
ここで、発光層3は、活性層3bがn型クラッド層3aとp型クラッド層3cで挟まれたダブルヘテロ接合により構成することができ、活性層3bは、例えば、ナノメートルオーダの厚みの組成の異なる2つのInGaAsP層が交互に積層されたMQW構造から構成することができる。
【0026】
また、n型分布ブラッグ反射層2は、例えば、n型InAlGaAs層2aとn型InAlAs層2bとをペアとした積層構造から構成することができ、各層の厚みは、λ/(4n)(ただし、λは波長、nは屈折率)を満たすように設定することができる。
また、ノンドープ分布ブラッグ反射層6は、ノンドープGaAs層6aとノンドープAlGaAs層6bとをペアとした積層構造から構成することができ、各層の厚みは、λ/(4n)を満たすように設定することができる。
【0027】
ここで、ノンドープ分布ブラッグ反射層6には、面発光レーザの共振器を構成する光反射領域R1およびノンドープ分布ブラッグ反射層6内における電気伝導を主に担当する低抵抗領域R2が設けられ、低抵抗領域R2には、高濃度p型不純物拡散層7が形成されている。なお、高濃度p型不純物拡散層7の不純物としては、例えば、ZnやCdなどを用いることができる。また、高濃度p型不純物拡散層7のキャリア濃度としては、例えば、1019cm−3を超えるように設定することができる。さらに、高濃度p型不純物拡散層7の深さDは、例えば、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´に達するように設定することができ、高濃度p型不純物拡散層7の形成範囲は、例えば、レーザ光がノンドープ分布ブラッグ反射層6で反射される際に、高濃度p型不純物拡散層7による共振器損失が発生しないように設定することができる。
【0028】
また、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´は、例えば、高濃度p型GaAs層6a´および高濃度p型AlGaAs層6b´からなる1ペア層で構成することができ、高濃度p型GaAs層6a´および高濃度p型AlGaAs層6b´のp型キャリア濃度は1017cm−3の中程度に設定することができる。
また、電流狭窄層5は、例えば、AlAs層5aの側壁をリング状に酸化することにより形成された選択酸化層5bから構成することができる。
【0029】
ここで、AlAs層5aの側壁を効率よく酸化するために、p型分布ブラッグ反射層6および電流狭窄層5は、例えば、円形状または多角形状にエッチングされ、AlAs層5aの側壁が露出される。
そして、AlAs層5aの側壁部分を酸化性ガスに晒して、AlAss層5aをリング状に酸化することにより、AlAs層5aの周囲に選択酸化層5bを形成することができる。
【0030】
また、p型分布ブラッグ反射層6上にはp側電極8が形成されるとともに、InP基板1の裏面にはn側電極9が形成され、p側電極8には、活性層3bの積層方向にレーザ光を出射させる開口部8aが設けられている。
そして、電流I1がp側電極8から供給されると、ノンドープ分布ブラッグ反射層6内に注入される。ここで、ノンドープ分布ブラッグ反射層6内には、高濃度p型不純物拡散層7が設けられ、高濃度p型不純物拡散層7の電気抵抗は、ノンドープAlGaAs層6aおよびノンドープGaAs層6bに比べて小さいので、p側電極8から供給された電流Iは高濃度p型不純物拡散層7を流れる。そして、高濃度p型不純物拡散層7を流れた電流IはP型ドープの分布ブラッグ反射層6´を流れ、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´を流れた電流Iが電流狭窄層5に達すると、選択酸化層5bの内側に狭窄される。
【0031】
そして、電流狭窄層5で狭窄された電流I1は活性層3bに注入され、光が発生する。そして、活性層3bで発生した光は、n型分布ブラッグ反射層2とp型分布ブラッグ反射層6との間で反射を繰り返すことでレーザ発振し、開口部8aを介してレーザ光が出射される。
ここで、p型分布ブラッグ反射層6に高濃度p型不純物拡散層7を設けることにより、光反射領域R1の不純物濃度を低下させることを可能としつつ、光反射領域R1の周囲に低抵抗領域R2を設けることが可能となる。さらに、ノンドープ分布ブラッグ反射層6と電流狭窄層5との間にP型ドープの分布ブラッグ反射層6´を設けることにより、高濃度p型不純物拡散層7を流れてきた電流Iを電流狭窄層5で狭窄する際の電気抵抗を低下させることが可能となる。
【0032】
このため、共振器損失を低減させることを可能としつつ、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となる。
また、p型分布ブラッグ反射層6に高濃度p型不純物拡散層7を設けることにより、光反射領域R1の周囲で共振器損失を大きくすることが可能となり、選択酸化層5bの電気的開口径を拡大した場合においても、高次モードの発振を抑制することが可能となる。
【0033】
このため、電流狭窄層5の電気抵抗を低下させることが可能となり、単一基本モード発振を維持しつつ、レーザ光の高出力化を図ることが可能となる。
図2、3は、本発明の一実施形態に係る面発光レーザの製造工程を示す断面図である。
図2(a)において、例えば、MOCVD(有機金属化学気相成長)法により、n型分布ブラッグ反射層2、発光層3、電流狭窄層5、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´およびノンドープ分布ブラッグ反射層6をInP基板1上に順次積層する。ここで、n型分布ブラッグ反射層2としては、n型InAlGaAs層2aとn型InAlAs層2bとをペアとした積層構造で形成し、発光層3としては、活性層3bがn型クラッド層3aとp型クラッド層3cとの間に挟まれた積層構造で形成し、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´としては、高濃度p型GaAs層6a´および高濃度p型AlGaAs層6b´からなる1ペア層で形成し、ノンドープ分布ブラッグ反射層6としては、ノンドープGaAs層6aとノンドープAlGaAs層6bとをペアとした積層構造で形成することができる。
【0034】
次に、図2(b)に示すように、CVDなどの方法により、窒化珪素膜などからなる拡散防止膜をノンドープ分布ブラッグ反射層6上に成膜する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて拡散防止膜をパターニングすることにより、ノンドープ分布ブラッグ反射層6の光反射領域R1上に選択拡散用マスク10を形成する。
【0035】
そして、ZnまたはCdなどのp型不純物が含まれる雰囲気中で、選択拡散用マスク10が形成されたノンドープ分布ブラッグ反射層6の熱処理を行うことにより、ノンドープ分布ブラッグ反射層6の光反射領域R1の周囲にp型不純物を拡散させる。
次に、図3(a)に示すように、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いることにより、ノンドープ分布ブラッグ反射層6、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´および電流狭窄層5を円形状または多角形状にエッチングし、AlGaAs層5aの側壁を露出させる。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、AlAs層5aの側壁を酸化性ガスGに晒すことにより、AlAs層5aの周囲をリング状に酸化し、AlAs層5aの周囲にリング状の選択酸化層5bを形成する。
そして、図1に示すように、スパッタ法または蒸着法などにより、p型分布ブラッグ反射層6上にp側電極8を形成するとともに、InP基板1の裏面にn側電極9を形成する。
【0037】
そして、フォトリソグラフィー技術およびリフトオフ技術を用いることにより、出射光を効率よく取り出すための開口部8aをp側電極8に形成する。
これにより、エピタキシャル成長を用いることなく、ノンドープ分布ブラッグ反射層6の不純物濃度の面内分布を制御することが可能となり、光反射領域R1の周囲を低抵抗化することが可能となる。
【0038】
このため、共振器損失を抑制しつつ、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となるとともに、高濃度p型不純物拡散層7によるモード制御を可能として、単一基本モード発振を安定して行わせることが可能となる。
なお、上述した実施形態では、n型分布ブラッグ反射層2、発光層3、電流狭窄層5、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´およびノンドープ分布ブラッグ反射層6を結晶成長させるために、MOCVD法を例にとって説明したが、MBE(分子線エピタキシャル成長)法またはALE(原子層エピタキシャル成長)法などを用いるようにしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、ノンドープ分布ブラッグ反射層6に高濃度p型不純物拡散層7を形成するために、p型不純物の拡散を用いる方法について説明したが、イオン注入を用いるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、表面側のミラーとして、ノンドープ分布ブラッグ反射層6を用いる方法について説明したが、高濃度p型不純物拡散層7より低濃度のP型分布ブラッグ反射層又はn型の分布ブラッグ反射層を用いるようにしてもよく、ノンドープ層とp型層とを組み合わせた積層構造を用いるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、ノンドープ分布ブラッグ反射層6をGaAs系の材料で構成する方法について説明したが、InP系、GaN系の他の材料のミラー、あるいは複合した材料系のミラーを持つ面発光レーザに適用してもよい。また、上述した実施形態では、ノンドープ分布ブラッグ反射層6側にのみ電流狭窄層5を設ける構成について説明したが、n型分布ブラッグ反射層2側に電流狭窄層を設けてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、面発光レーザの分布ブラッグ反射層内において、共振器を構成する領域と電流が流れる領域とを分けることにより、共振器を構成する領域のキャリア濃度の低減を可能としつつ、分布ブラッグ反射層の抵抗化を図ることが可能となり、共振器損失を抑制しつつ、高出力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る面発光レーザの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る面発光レーザの製造工程を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る面発光レーザの製造工程を示す断面図である。
【図4】従来の面発光レーザの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 InP基板
2 n型分布ブラッグ反射層
2a n型InAlGaAs層
2b n型InAlAs層
3 発光層
3a n型クラッド層
3b 活性層
3c p型クラッド層
5 電流狭窄層
5a AlAs層
5b 選択酸化層
6 ノンドープ分布ブラッグ反射層
6a ノンドープGaAs層
6b ノンドープAlGaAs層
6´ P型にドーピングされた1ペアのブラッグ反射層
6a´ 高濃度p型GaAs層
6b´ 高濃度p型AlGaAs層
7 高濃度p型不純物拡散層
8 p側電極
8a 開口部
9 n側電極
10 選択拡散用マスク
I1 電流
R1 光反射領域
R2 低抵抗領域
G 酸化性ガス
【発明の属する技術分野】
本発明は、面発光レーザおよび面発光レーザの製造方法に関し、特に、共振器を構成するための分布ブラッグ反射膜が設けられた面発光レーザに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の面発光レーザでは、例えば、特許文献1に開示されているように、活性層の上下面に分布ブラッグ反射(DBR)膜を結晶成長させることにより、面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface emitting laser)の共振器を構成する方法がある。
【0003】
図4は、従来の面発光レーザの概略構成を示す断面図である。
図4において、InP基板11上には、n型分布ブラッグ反射層12、発光層13、電流狭窄層15およびp型分布ブラッグ反射層16が順次形成されている。
ここで、発光層13は、活性層13bがn型クラッド層13aとp型クラッド層13cで挟まれたダブルヘテロ接合により構成することができ、活性層13bは、例えば、組成の異なるナノメートルオーダの厚みのInGaAsP層が交互に積層されたMQW(多重量子井戸)構造から構成することができる。
【0004】
また、n型分布ブラッグ反射層12は、例えば、n型InAlGaAs層12aとn型InAlAs層12bとをペアとした積層構造から構成することができ、各層の厚みは、λ/(4n)(ただし、λは波長、nは屈折率)を満たすように設定することができる。
また、p型分布ブラッグ反射層16は、p型AlGaAs層16aとp型GaAs層16bとをペアとした積層構造から構成することができ、各層の厚みは、λ/(4n)を満たすように設定することができる。
【0005】
また、電流狭窄層15は、例えば、AlAs層15aの側壁をリング状に酸化することにより形成された選択酸化層15bから構成することができる。
ここで、AlAs層15aの側壁を効率よく酸化するために、p型分布ブラッグ反射層16および電流狭窄層15は、例えば、円形状にエッチングされ、AlAs層15aの側壁が露出される。
【0006】
そして、AlAs層15aの側壁部分を酸化性ガスに晒して、AlAs層15aをリング状に酸化することにより、AlAs層15aの周囲に選択酸化層15bを形成することができる。
また、p型分布ブラッグ反射層16上にはp側電極18が形成されるとともに、InP基板11の裏面にはn側電極19が形成され、p側電極18には、活性層13bの積層方向にレーザ光を出射させる開口部18aが設けられている。
【0007】
そして、電流I2がp側電極18から注入されると、p型分布ブラッグ反射層16を進むに従って広がろうとするが、電流狭窄層15に達すると、選択酸化層15bの内側に狭窄される。
そして、電流狭窄層15で狭窄された電流I2は活性層13bに注入され、光が発生する。そして、活性層13bで発生した光は、n型分布ブラッグ反射層12とp型分布ブラッグ反射層16との間で反射を繰り返すことでレーザ発振し、開口部18aを介してレーザ光が出射される。
【0008】
ここで、図4の面発光レーザでは、p型キャリアによる吸収に起因した共振器損失を抑制するために、p型分布ブラッグ反射層16におけるp型キャリア濃度は、1017cm−3の後半以下に設定される。
また、図4の面発光レーザでは、単一基本モード発振を行わせる場合、高次モードの発振を抑制するために、選択酸化層15bの電気的開口径は10μm以下に設定される。
【0009】
【特許文献1】
Electronics Letters,Vol.36,No.13,pp.1121−1123,2000
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、p型分布ブラッグ反射層16のp型キャリア濃度が下がると、分布ブラッグ反射層16を構成する各層のシート抵抗が増大することと、各層間のバンド不連続の効果のため、p側電極18と活性層13bとの間の抵抗が増大し、発熱量が増加する。このため、図4の面発光レーザでは、レーザ出力が小さく抑えられるとともに、発振最高温度が低くなるという問題があった。
【0011】
また、単一基本モード発振を行わせるために、選択酸化層15bの電気的開口径が小さくすると、電流狭窄層15での抵抗が増大し、レーザ出力が低下するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、共振器損失を抑制しつつ、分布ブラッグ反射層の低抵抗化を図ることが可能な面発光レーザおよび面発光レーザの製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の面発光レーザによれば、発光層と、前記発光層上に設けられた分布ブラッグ反射層と、前記分布ブラッグ反射層内に設けられた光反射領域と、前記分布ブラッグ反射層内に設けられ、前記分布ブラッグ反射層の最上層と発光層との間の積層方向の抵抗が前記光反射領域よりも小さい低抵抗領域とを備えることを特徴とする。
【0013】
これにより、分布ブラッグ反射層内において、共振器を構成する領域と電流が流れる領域とを分けることが可能となり、共振器を構成する領域のキャリア濃度の低減を可能としつつ、分布ブラッグ反射層の低抵抗化を図ることが可能となる。
このため、分布ブラッグ反射層を介して発光層に電流が注入される場合においても、共振器損失を抑制しつつ、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となるとともに、発振最高温度を上昇させることが可能となる。
【0014】
また、請求項2記載の面発光レーザによれば、前記低抵抗領域は、前記光反射領域の周囲に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物導入領域であることを特徴とする。
これにより、分布ブラッグ反射層の不純物濃度分布を制御することで、光反射領域の不純物濃度を低下させることを可能としつつ、光反射領域の周囲を低抵抗化することが可能となる。
【0015】
このため、製造工程の複雑化を抑制しつつ、共振器損失を低減させることが可能となるとともに、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となる。
また、光反射領域の周囲で共振器損失を大きくすることが可能となることから、共振器損失を抑制しつつ、高次モードの発振を抑制することが可能となり、レーザ光の高出力化に対応しつつ、単一基本モード発振を行わせることが可能となる。
【0016】
また、請求項3記載の面発光レーザによれば、前記分布ブラッグ反射層の中の前記発光層側に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物層をさらに備えることを特徴とする。
これにより、光反射領域のキャリア濃度の増加を抑制しつつ、光反射領域の周囲を流れてきた電流を発光領域に導くための電流経路を低抵抗化することが可能となる。
【0017】
このため、分布ブラッグ反射層における電流経路を抵抗化するために、共振器を構成する領域と電流が流れる領域とを分けた場合においても、共振器損失を抑制しつつ、発光領域に電流を効率よく注入することが可能となる。
また、請求項4記載の面発光レーザによれば、前記高濃度不純物層と前記発光層との間に設けられ、前記発光層に注入される電流の狭窄を行う電流狭窄手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
これにより、光反射領域の周囲を流れてきた電流を発光領域の方向に狭窄することができ、電気的・光学的閉じ込め効果を実現することが可能となる。
このため、しきい値電流を低減して、面発光レーザの発光効率を向上させることが可能となるとともに、発振モードを制御して、単一基本モード発振を効率よく行わせることが可能となる。
【0019】
また、請求項5記載の面発光レーザによれば、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された第1分布ブラッグ反射層と、前記半導体基板上に形成された第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層上に形成された活性層と、前記活性層上に形成された第2導電型クラッド層と、前記第2導電型クラッド層上に形成された選択酸化層と、前記選択酸化層上に形成された第2導電型の第2分布ブラッグ反射層と、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層上に形成され、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層よりも不純物濃度の低い第3分布ブラッグ反射層と、前記第3分布ブラッグ反射層内に設けられた光反射領域と、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層と接触するようにして前記光反射領域の周囲に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い第2導電型不純物領域とを備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、分布ブラッグ反射層の不純物濃度分布を制御することで、光反射領域のキャリア濃度の増加を抑制しつつ、光反射領域の周囲を低抵抗化することが可能となるとともに、発振モードの制御を行なうことが可能となる。
このため、面発光レーザの構成の複雑化を抑制しつつ、単一基本モード発振を安定して行わせることが可能となるとともに、レーザ光の高出力化を図ることが可能となる。
【0021】
また、請求項6記載の面発光レーザの製造方法によれば、エピタキシャル成長により、半導体基板上に第1分布ブラッグ反射層を形成する工程と、エピタキシャル成長により、前記第1分布ブラッグ反射層上に第1導電型クラッド層、活性層および第2導電型クラッド層を順次形成する工程と、エピタキシャル成長により、前記第2導電型クラッド層上にアルミ含有半導体層を形成する工程と、エピタキシャル成長により、前記アルミ含有半導体層上に第2導電型の第2分布ブラッグ反射層を形成する工程と、エピタキシャル成長により、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層よりも不純物濃度の低い第3分布ブラッグ反射層を前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層上に形成する工程と、前記第3分布ブラッグ反射層の光反射領域の周囲に第2導電型不純物を導入することにより、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物領域を前記第2及び第3の分布ブラッグ反射層内に形成する工程と、前記光反射領域の周囲に前記高濃度不純物領域が残るようにして、前記第3分布ブラッグ反射層、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層および前記アルミ含有半導体層を順次エッチングすることにより、前記アルミ含有半導体層の側壁を露出させる工程と、前記アルミ含有半導体層の側壁を酸化性ガスに晒すことにより、前記アルミ含有半導体層の周囲を酸化する工程とを備えることを特徴とする。
【0022】
これにより、エピタキシャル成長を用いることなく、分布ブラッグ反射層の不純物濃度分布を制御することが可能となり、光反射領域の周囲を低抵抗化することが可能となる。
このため、共振器損失を抑制しつつ、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となるとともに、高濃度不純物領域によるモード制御を可能として、単一基本モード発振を安定して行わせることが可能となる。
【0023】
また、請求項7記載の面発光レーザの製造方法によれば、前記第2分布ブラッグ反射層への第2導電型不純物の導入は、拡散またはイオン注入により行うことを特徴とする。
これにより、製造工程の複雑化を抑制しつつ、分布ブラッグ反射層の光反射領域の周囲を低抵抗化することが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る面発光レーザについて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る面発光レーザの概略構成を示す断面図である。
【0025】
図1において、InP基板1上には、n型分布ブラッグ反射層2、発光層3、電流狭窄層5、P型にドーピングされた1ペアの分布ブラッグ反射層6´およびノンドープ分布ブラッグ反射層6が順次形成されている。
ここで、発光層3は、活性層3bがn型クラッド層3aとp型クラッド層3cで挟まれたダブルヘテロ接合により構成することができ、活性層3bは、例えば、ナノメートルオーダの厚みの組成の異なる2つのInGaAsP層が交互に積層されたMQW構造から構成することができる。
【0026】
また、n型分布ブラッグ反射層2は、例えば、n型InAlGaAs層2aとn型InAlAs層2bとをペアとした積層構造から構成することができ、各層の厚みは、λ/(4n)(ただし、λは波長、nは屈折率)を満たすように設定することができる。
また、ノンドープ分布ブラッグ反射層6は、ノンドープGaAs層6aとノンドープAlGaAs層6bとをペアとした積層構造から構成することができ、各層の厚みは、λ/(4n)を満たすように設定することができる。
【0027】
ここで、ノンドープ分布ブラッグ反射層6には、面発光レーザの共振器を構成する光反射領域R1およびノンドープ分布ブラッグ反射層6内における電気伝導を主に担当する低抵抗領域R2が設けられ、低抵抗領域R2には、高濃度p型不純物拡散層7が形成されている。なお、高濃度p型不純物拡散層7の不純物としては、例えば、ZnやCdなどを用いることができる。また、高濃度p型不純物拡散層7のキャリア濃度としては、例えば、1019cm−3を超えるように設定することができる。さらに、高濃度p型不純物拡散層7の深さDは、例えば、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´に達するように設定することができ、高濃度p型不純物拡散層7の形成範囲は、例えば、レーザ光がノンドープ分布ブラッグ反射層6で反射される際に、高濃度p型不純物拡散層7による共振器損失が発生しないように設定することができる。
【0028】
また、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´は、例えば、高濃度p型GaAs層6a´および高濃度p型AlGaAs層6b´からなる1ペア層で構成することができ、高濃度p型GaAs層6a´および高濃度p型AlGaAs層6b´のp型キャリア濃度は1017cm−3の中程度に設定することができる。
また、電流狭窄層5は、例えば、AlAs層5aの側壁をリング状に酸化することにより形成された選択酸化層5bから構成することができる。
【0029】
ここで、AlAs層5aの側壁を効率よく酸化するために、p型分布ブラッグ反射層6および電流狭窄層5は、例えば、円形状または多角形状にエッチングされ、AlAs層5aの側壁が露出される。
そして、AlAs層5aの側壁部分を酸化性ガスに晒して、AlAss層5aをリング状に酸化することにより、AlAs層5aの周囲に選択酸化層5bを形成することができる。
【0030】
また、p型分布ブラッグ反射層6上にはp側電極8が形成されるとともに、InP基板1の裏面にはn側電極9が形成され、p側電極8には、活性層3bの積層方向にレーザ光を出射させる開口部8aが設けられている。
そして、電流I1がp側電極8から供給されると、ノンドープ分布ブラッグ反射層6内に注入される。ここで、ノンドープ分布ブラッグ反射層6内には、高濃度p型不純物拡散層7が設けられ、高濃度p型不純物拡散層7の電気抵抗は、ノンドープAlGaAs層6aおよびノンドープGaAs層6bに比べて小さいので、p側電極8から供給された電流Iは高濃度p型不純物拡散層7を流れる。そして、高濃度p型不純物拡散層7を流れた電流IはP型ドープの分布ブラッグ反射層6´を流れ、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´を流れた電流Iが電流狭窄層5に達すると、選択酸化層5bの内側に狭窄される。
【0031】
そして、電流狭窄層5で狭窄された電流I1は活性層3bに注入され、光が発生する。そして、活性層3bで発生した光は、n型分布ブラッグ反射層2とp型分布ブラッグ反射層6との間で反射を繰り返すことでレーザ発振し、開口部8aを介してレーザ光が出射される。
ここで、p型分布ブラッグ反射層6に高濃度p型不純物拡散層7を設けることにより、光反射領域R1の不純物濃度を低下させることを可能としつつ、光反射領域R1の周囲に低抵抗領域R2を設けることが可能となる。さらに、ノンドープ分布ブラッグ反射層6と電流狭窄層5との間にP型ドープの分布ブラッグ反射層6´を設けることにより、高濃度p型不純物拡散層7を流れてきた電流Iを電流狭窄層5で狭窄する際の電気抵抗を低下させることが可能となる。
【0032】
このため、共振器損失を低減させることを可能としつつ、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となる。
また、p型分布ブラッグ反射層6に高濃度p型不純物拡散層7を設けることにより、光反射領域R1の周囲で共振器損失を大きくすることが可能となり、選択酸化層5bの電気的開口径を拡大した場合においても、高次モードの発振を抑制することが可能となる。
【0033】
このため、電流狭窄層5の電気抵抗を低下させることが可能となり、単一基本モード発振を維持しつつ、レーザ光の高出力化を図ることが可能となる。
図2、3は、本発明の一実施形態に係る面発光レーザの製造工程を示す断面図である。
図2(a)において、例えば、MOCVD(有機金属化学気相成長)法により、n型分布ブラッグ反射層2、発光層3、電流狭窄層5、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´およびノンドープ分布ブラッグ反射層6をInP基板1上に順次積層する。ここで、n型分布ブラッグ反射層2としては、n型InAlGaAs層2aとn型InAlAs層2bとをペアとした積層構造で形成し、発光層3としては、活性層3bがn型クラッド層3aとp型クラッド層3cとの間に挟まれた積層構造で形成し、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´としては、高濃度p型GaAs層6a´および高濃度p型AlGaAs層6b´からなる1ペア層で形成し、ノンドープ分布ブラッグ反射層6としては、ノンドープGaAs層6aとノンドープAlGaAs層6bとをペアとした積層構造で形成することができる。
【0034】
次に、図2(b)に示すように、CVDなどの方法により、窒化珪素膜などからなる拡散防止膜をノンドープ分布ブラッグ反射層6上に成膜する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて拡散防止膜をパターニングすることにより、ノンドープ分布ブラッグ反射層6の光反射領域R1上に選択拡散用マスク10を形成する。
【0035】
そして、ZnまたはCdなどのp型不純物が含まれる雰囲気中で、選択拡散用マスク10が形成されたノンドープ分布ブラッグ反射層6の熱処理を行うことにより、ノンドープ分布ブラッグ反射層6の光反射領域R1の周囲にp型不純物を拡散させる。
次に、図3(a)に示すように、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いることにより、ノンドープ分布ブラッグ反射層6、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´および電流狭窄層5を円形状または多角形状にエッチングし、AlGaAs層5aの側壁を露出させる。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、AlAs層5aの側壁を酸化性ガスGに晒すことにより、AlAs層5aの周囲をリング状に酸化し、AlAs層5aの周囲にリング状の選択酸化層5bを形成する。
そして、図1に示すように、スパッタ法または蒸着法などにより、p型分布ブラッグ反射層6上にp側電極8を形成するとともに、InP基板1の裏面にn側電極9を形成する。
【0037】
そして、フォトリソグラフィー技術およびリフトオフ技術を用いることにより、出射光を効率よく取り出すための開口部8aをp側電極8に形成する。
これにより、エピタキシャル成長を用いることなく、ノンドープ分布ブラッグ反射層6の不純物濃度の面内分布を制御することが可能となり、光反射領域R1の周囲を低抵抗化することが可能となる。
【0038】
このため、共振器損失を抑制しつつ、発熱量を低下させることが可能となり、レーザ出力を上昇させることが可能となるとともに、高濃度p型不純物拡散層7によるモード制御を可能として、単一基本モード発振を安定して行わせることが可能となる。
なお、上述した実施形態では、n型分布ブラッグ反射層2、発光層3、電流狭窄層5、P型ドープの分布ブラッグ反射層6´およびノンドープ分布ブラッグ反射層6を結晶成長させるために、MOCVD法を例にとって説明したが、MBE(分子線エピタキシャル成長)法またはALE(原子層エピタキシャル成長)法などを用いるようにしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、ノンドープ分布ブラッグ反射層6に高濃度p型不純物拡散層7を形成するために、p型不純物の拡散を用いる方法について説明したが、イオン注入を用いるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、表面側のミラーとして、ノンドープ分布ブラッグ反射層6を用いる方法について説明したが、高濃度p型不純物拡散層7より低濃度のP型分布ブラッグ反射層又はn型の分布ブラッグ反射層を用いるようにしてもよく、ノンドープ層とp型層とを組み合わせた積層構造を用いるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、ノンドープ分布ブラッグ反射層6をGaAs系の材料で構成する方法について説明したが、InP系、GaN系の他の材料のミラー、あるいは複合した材料系のミラーを持つ面発光レーザに適用してもよい。また、上述した実施形態では、ノンドープ分布ブラッグ反射層6側にのみ電流狭窄層5を設ける構成について説明したが、n型分布ブラッグ反射層2側に電流狭窄層を設けてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、面発光レーザの分布ブラッグ反射層内において、共振器を構成する領域と電流が流れる領域とを分けることにより、共振器を構成する領域のキャリア濃度の低減を可能としつつ、分布ブラッグ反射層の抵抗化を図ることが可能となり、共振器損失を抑制しつつ、高出力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る面発光レーザの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る面発光レーザの製造工程を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る面発光レーザの製造工程を示す断面図である。
【図4】従来の面発光レーザの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 InP基板
2 n型分布ブラッグ反射層
2a n型InAlGaAs層
2b n型InAlAs層
3 発光層
3a n型クラッド層
3b 活性層
3c p型クラッド層
5 電流狭窄層
5a AlAs層
5b 選択酸化層
6 ノンドープ分布ブラッグ反射層
6a ノンドープGaAs層
6b ノンドープAlGaAs層
6´ P型にドーピングされた1ペアのブラッグ反射層
6a´ 高濃度p型GaAs層
6b´ 高濃度p型AlGaAs層
7 高濃度p型不純物拡散層
8 p側電極
8a 開口部
9 n側電極
10 選択拡散用マスク
I1 電流
R1 光反射領域
R2 低抵抗領域
G 酸化性ガス
Claims (7)
- 発光層と、
前記発光層上に設けられた分布ブラッグ反射層と、
前記分布ブラッグ反射層内に設けられた光反射領域と、
前記分布ブラッグ反射層内に設けられ、前記分布ブラッグ反射層の最上層と発光層との間の積層方向の抵抗が前記光反射領域よりも小さい低抵抗領域とを備えることを特徴とする面発光レーザ。 - 前記低抵抗領域は、前記光反射領域の周囲に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物導入領域であることを特徴とする請求項1記載の面発光レーザ。
- 前記分布ブラッグ反射層の中の前記発光層側に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物層を備えることを特徴とする請求項2記載の面発光レーザ。
- 前記高濃度不純物層と前記発光層との間に設けられ、前記発光層に注入される電流の狭窄を行う電流狭窄手段をさらに備えることを特徴とする請求項3記載の面発光レーザ。
- 半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された第1分布ブラッグ反射層と、
前記半導体基板上に形成された第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層上に形成された活性層と、
前記活性層上に形成された第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層上に形成された選択酸化層と、
前記選択酸化層上に形成された第2導電型の第2分布ブラッグ反射層と、
前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層上に形成され、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層よりも不純物濃度の低い第3分布ブラッグ反射層と、
前記第3分布ブラッグ反射層内に設けられた光反射領域と、
前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層と接触するようにして前記光反射領域の周囲に設けられ、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い第2導電型不純物領域とを備えることを特徴とする面発光レーザ。 - エピタキシャル成長により、半導体基板上に第1分布ブラッグ反射層を形成する工程と、
エピタキシャル成長により、前記第1分布ブラッグ反射層上に第1導電型クラッド層、活性層および第2導電型クラッド層を順次形成する工程と、
エピタキシャル成長により、前記第2導電型クラッド層上にアルミ含有半導体層を形成する工程と、
エピタキシャル成長により、前記アルミ含有半導体層上に第2導電型の第2分布ブラッグ反射層を形成する工程と、
エピタキシャル成長により、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層よりも不純物濃度の低い第3分布ブラッグ反射層を前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層上に形成する工程と、
前記第3分布ブラッグ反射層の光反射領域の周囲に第2導電型不純物を導入することにより、前記光反射領域よりも不純物濃度の高い高濃度不純物領域を前記第2及び第3の分布ブラッグ反射層内に形成する工程と、
前記光反射領域の周囲に前記高濃度不純物領域が残るようにして、前記第3分布ブラッグ反射層、前記第2導電型の第2分布ブラッグ反射層および前記アルミ含有半導体層を順次エッチングすることにより、前記アルミ含有半導体層の側壁を露出させる工程と、
前記アルミ含有半導体層の側壁を酸化性ガスに晒すことにより、前記アルミ含有半導体層の周囲を酸化する工程とを備えることを特徴とする面発光レーザの製造方法。 - 前記第2分布ブラッグ反射層への第2導電型不純物の導入は、拡散またはイオン注入により行うことを特徴とする請求項6記載の面発光レーザの製造方法。
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